特許第5953422号(P5953422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社TBWA HAKUHODOの特許一覧

<>
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000002
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000003
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000004
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000005
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000006
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000007
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000008
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000009
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000010
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000011
  • 特許5953422-自転車用錠装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5953422
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】自転車用錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 71/00 20060101AFI20160707BHJP
   E05B 17/22 20060101ALI20160707BHJP
   E05B 17/10 20060101ALI20160707BHJP
   B62H 5/16 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   E05B71/00 G
   E05B17/22 A
   E05B17/10 B
   B62H5/16
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-503598(P2015-503598)
(86)(22)【出願日】2014年9月22日
(86)【国際出願番号】JP2014075058
【審査請求日】2015年1月26日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508027305
【氏名又は名称】株式会社TBWA HAKUHODO
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】特許業務法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】武島 和義
(72)【発明者】
【氏名】内間 らうざ
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3077118(JP,U)
【文献】 実開平2−103476(JP,U)
【文献】 特開2003−184361(JP,A)
【文献】 特開2008−14070(JP,A)
【文献】 特開平6−108711(JP,A)
【文献】 特開平9−221952(JP,A)
【文献】 特開2008−57197(JP,A)
【文献】 特開2002−180711(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3106716(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00− 85/28
B62M 1/00− 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用の錠と、この錠を開閉する鍵との組み合わせであって、前記錠は開錠時には常時鍵が鍵穴に装着され、閉錠時に鍵が鍵穴から離脱するようにしたものにおいて、
前記錠はワイヤ錠とし、ワイヤの長手方向に沿ってバッテリーを電源とする安全装置としての光源を備え、
ワイヤは、人が肩にたすき掛けし得る長さとし、その基端部の表裏にそれぞれワイヤの先端部が挿入固定される穴が設けられ、一方の穴は閉錠時にワイヤの先端を挿入して閉錠するための鍵穴とし、他方の穴は開錠時にワイヤの先端を挿入してワイヤの先端を仮止めするためのものとし、
前記鍵は充電可能なバッテリーを備え、
前記錠に鍵を装着したときに両者が電気的に接続されるようにした、
自転車用錠装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、夜間における安全装置の機能を兼ね備えた自転車用錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ錠や馬蹄錠などの自転車用の錠において、蓄光剤や反射テープを用いて夜間の安全装置の機能を兼ねるようにしたものは種々提案されている。
そして、自転車用のワイヤ錠において、ワイヤ部分に光源を備えたものとしては、ワイヤに取り付けた光源と光ファイバーを用いたものが実開平2−103476号として提案されている。しかしながら、この考案では光源の電力についての配慮はなされていない。
また、ワイヤを使用者が肩にたすき掛けできる長さとしたものとしては、実用新案登録第3077118号がある。しかしながら、この考案は反射テープを用いるものであって、光源を備えるものではない。
【0003】
反射テープによって自動車からの視認性を高めて安全装置として機能させる場合、自動車がヘッドライトを点灯していなければ、自動車運転手からの視認性が向上しない。すなわち、自動車運転手から自転車の視認性が低下しているにもかかわらず多くの自動車がヘッドライトを点灯していない薄暮の時間帯には、反射テープは安全装置として機能しない。
薄暮の時間帯に安全装置として機能するためには、自転車錠に光源を装着する必要がある。しかしながら、光源を装着した場合、バッテリーのメンテナンスへの配慮が必要となるが、この点に配慮された提案はない。
【特許文献1】実開平2−103476号公報
【特許文献2】実用新案登録第3077118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、自転車用の錠に光源を備えつつ、その電源となるバッテリーのメンテナンスを容易にすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の自転車用錠装置は、自転車用の錠と、この錠を開閉する鍵との組み合わせであって、前記錠はバッテリーを電源とする光源を備え、前記鍵は充電可能なバッテリーを備え、前記錠に鍵を装着したときに両者が電気的に接続されるようにしたものである。
前記自転車用の錠は、ワイヤ錠である
前記光源は前記鍵に備えられたバッテリーを電源とするものであり、錠に鍵を装着したとき、すなわち錠が解放されているとき、に両者が電気的に接続されるようにしてある。光源は、実施例に示す有機ELに限られるものではなく、バッテリーで駆動するものであればよい。
【0006】
錠はワイヤ錠とし、ワイヤの長手方向に沿って光源を配設することにより、視認性を高めることができる。ワイヤは、人が肩にたすき掛けし得る長さ、例えば130センチ程度とする。
光源の配設態様は、実施例に示すようにワイヤ錠の全長に亘って連続的に配設する他、断続的に又は散点状に配設してもよい。また、全長に亘ることは必須でなく、半分の長さ程度のみに配設しても使用することができる。
更に、ワイヤの基端部の表裏にそれぞれワイヤの先端部が挿入固定される穴を設ける。この場合、 一方の穴は閉錠時にワイヤの先端を挿入して閉錠するための鍵穴とし、他方の穴は開錠時にワイヤの先端を挿入してワイヤの先端を仮止めするためのものとする。
ワイヤは、断面形状を縦長の楕円状その他やや扁平な形状とすることにより、ワイヤを無理なく曲げることができ、ワイヤの先端を穴に装着しやすくなる。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、以下の効果を得ることができる。
1 錠はバッテリーを電源とする光源を備えているので、自動車のヘッドライトが点灯されなくとも光を発し、安全装置としての機能を発揮することができる。
2 光源は鍵に備えた充電可能なバッテリーを電源とするものであるから、鍵が錠と分離する閉錠時にバッテリーを充電することができ、バッテリーのメンテナンスがきわめて容易である。
3 ワイヤの長手方向に沿って光源を配設し、ワイヤをたすき掛けできるようにすることにより、よく目立つ視認性のよい警告表示とすることができる。
4 ワイヤの基端部に二つの穴を設けて、一方を開錠時に仮止めする穴とすることにより、自転車走行中にワイヤが異物と接触したときに、ワイヤ先端が穴から容易に離脱する。そのために、自転車運転者の安全が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明実施例の斜視図
図2】同じく基端部の一部縦断面図
図3】同じく基端部の斜視図
図4】同じくワイヤ錠先端部の縦断面図
図5】閉錠状態の斜視図
図6】使用状態の正面図
図7】解錠状態の斜視図
図8】鍵の鍵本体側の斜視図
図9】同じくUSB端子側のUSB端子を立ち上げた状態の斜視図
図10】充電中の斜視図
図11】他の断面形状を示す断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下この発明の実施例を説明する。
この実施例の自転車用錠装置は、ワイヤ錠Aと鍵Bとで構成されている。
前記ワイヤ錠Aは断面縦長の楕円状であって、鍵穴のある基端から先端に向けて次第に細くなっている。全長は約130センチ程度であって、後に述べるように、ループを形成した状態で使用者が肩にたすき掛けできるような長さとしてある。
前記ワイヤ錠Aは、可撓性のあるワイヤ1をシリコーン樹脂2で被覆して構成してある。そして、その長軸側の一面3a(以下、この面を「表側面」といい、反対側の面を「裏側面」という)に、そのほぼ全長に亘って光源としての有機ELテープ4が装着してあり、このテープ4に沿って、反射部材5が装着してある。前記反射部材5は、ビームライト塗料(アクリル樹脂蛍光塗料や塗料に再帰反射性のガラスビーズを混合したもの)の塗布ないしは、反射材(ポリエステルやナイロン、難燃コットン、スコッチライト(登録商標)など)のはめ込み、張り込みによって構成する。
【0010】
前記ワイヤ錠Aの先端には閉錠時にロックされる係止鉤6が形成してあり、先端部には仮止め用の磁石7が装着してある。
【0011】
前記ワイヤ錠Aの基端部において、表面3aには閉錠時に前記係止鉤6が挿入されて係止するロック穴8が、表側面3aの表面に対してほぼ直角に設けてあり、裏側面3bには閉錠時に前記磁石7が挿入されて係止する仮止め穴9が、ワイヤ錠の先端に向けてやや傾斜して設けてある。
前記仮止め用の穴9は、軽い衝撃で抜けやすい係止機構を備え、係止鉤6が抜けやすいように、径をやや大きく余裕のあるサイズとしてある。また、穴の底部には前記仮止め用の磁石7が吸着するように磁性体を備えている。
前記ワイヤ錠1の基端面10には、鍵穴11と二つの電気端子12a,12bが設けてあり、二つの電気端子12は、後述する鉤Bからの電気を受けて前記有機ELテープ4に電気的に接続してある。
【0012】
鍵Bは、前記ワイヤ錠Aと同じ断面形状とした把持部21の端面に鍵本体22を取り付けたものである。前記把持部21の内部には充電可能なバッテリー(図示しない)が装着してある。また鍵本体22が取り付けられた端面には、前記ワイヤ錠Aの基端面10に設けられた二つの電気端子12と接触する二つの電気端子23a、23bが設けてある。この構成により、前記バッテリーと有機ELテープ4とは、電気端子12,23を介して、電気的に接続されている。
図中、符号24は電源スイッチである。
【0013】
前記把持部21の鍵本体22と反対側の端面にはバッテリー充電のためのUSB端子25が取り付けてある。
把持部21の端面にUSB端子取り付け用の溝26が形成してあり、USB端子25は取付軸を介して溝26の端部に起伏可能に取り付けてある。
前記把持部21のUSB端子側の面は傾斜面としてあり、側面視台形をなしている(図10参照)。
鍵Bには充電池、サーキットボード、LEDライトなどが内蔵されるが、その中で最も充電池の重量が重くなると思われる。そこで、充電池は鍵の上下面の中心に設置するのではなく、裏面側(台形底辺部)に設置するといった人間工学的にデザインとして、説明書などがなくとも、使用者が感覚的に重みのある裏面を下にして鍵BをパソコンPに接続できるようにしてある。
鍵Bの端面を傾斜させて充電時に鍵Bが下向き傾斜をなすことと、底辺部にUSBへの差し込み端子が設置されることで、パソコンP等に接続したUSB差し込み端子への無理な荷重負担を除くとともに、無理な荷重がかかる場合、USB端子を痛めることなく充電中に鍵Bが抜けやすくなる。
【0014】
上記において、ワイヤ錠Aの形状を断面楕円状としたが、図11に示すような形状も楕円状と同様に「扁平」であり、同様の効果を得ることができる。
【0015】
以下上記実施例に示す錠装置の使用方法を説明する。
【0016】
(開錠時)
開錠時は、ワイヤ錠Aの先端を仮止め穴9に挿入し、磁石7で吸着させて、ワイヤ錠をループ状に保持する。このとき、光源である有機ELテープ4はループ状をなしたワイヤ錠の外側に位置している。そして、鍵Bは鍵穴11に挿入され、ワイヤ錠Aの有機ELテープ4は鍵Bのバッテリーと通電しており、電源スイッチ24をONにすると光源が発光する。
この状態で自転車の運転者Bは、ループ状をなしているワイヤ錠を肩にたすき掛けして自転車を運転する。有機ELテープ4が発光しているので、薄暮時であって自動車がヘッドライトを点灯していなくとも、自動車運転手は光を視認することができ、警告灯として機能する。
夜間には自動車がヘッドライトを点灯するので、電源をOFFとして反射部材5の反射光のみでも警告機能を果たすことができる。
【0017】
ループ状に保持したとき、ワイヤ錠Aの先端はリリースしやすい係止機構と磁石によって抜けやすいように止められている。すなわち、強固に固定されていない。
従前もワイヤ錠をループ状にして肩にたすき掛けして使用する場合があったが、ワイヤ錠が障害物に接触したときに使用者の首が絞められるような事故や、ワイヤが、車のミラーなどにひっかかり、自転車運転者が車に引きずられる、等の二次災害が生じるおそれがあった。
この実施例では、自転車走行中にワイヤ錠Aが障害物に接触したときには、ワイヤ錠Aの先端の係止は解除される。したがって、上記のような事故の発生を未然に防止することができる。この実施例では仮止め穴9を斜めに設けたので、いっそう外れやすい。
【0018】
(閉錠時)
閉錠時は、ワイヤ錠Aの先端をロック穴8に挿入してロックする。このとき、ワイヤ錠Aは有機ELテープ4を内側にしてループが形成される。ロックの後、鍵Bを鍵穴11から引き抜く。鍵Bは自由に持ち運ぶことができる。
鍵BにはUSB端子25が取り付けてある。そこで、USB端子25を立ち上げてパソコンのUSBポート等に接続することにより、把持部21に装着されたバッテリーを充電することができる。
前記把持部21の端面は傾斜面としてある。そのために、本体部が薄いラップトップ型パソコンを使用して充電する際においても、把持部21の鍵本体側がパソコンの接地面にぶつかるおそれを解消できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明によれば、自転車用の錠に発光光源を備えることにより、自動車のヘッドライトが点灯していない薄暮時においても自動車運転手に警告を視認させることができ、鍵に充電可能なバッテリーを装着することにより、バッテリーの充電を容易にするものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0020】
A ワイヤ錠
B 鍵
1 ワイヤ
2 シリコーン樹脂
4 有機ELテープ
5 反射部材
6 係止鉤
7 磁石
8 ロック穴
9 仮止め穴
10 基端面
11 鍵穴
12 電気端子
21 把持部
22 鍵本体
23 電気端子
25 USB端子
【要約】
この発明は、自転車用の錠に光源を備えつつ、その電源となるバッテリーのメンテナンスを容易にすることを課題とする。
この発明の自転車用錠装置は、自転車用の錠Aと、この錠を開閉する鍵Bとの組み合わせであって、前記錠Aはバッテリーを電源とする光源4を備え、前記鍵Bは充電可能なバッテリーを備え、前記錠Aに鍵Bを装着したときに両者が電気的に接続されるようにしたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11