【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術が与える課題に鑑み、高温水による殺菌処理の前段階などに、容器内への微生物の連行をより確実に規制可能なウォーターサーバを提供することにある。
【0007】
本発明の特徴構成は、
容器に詰められた飲料水を配管系統を介して供給するウォーターサーバであって、
前記配管系統中に飲料水を貯留するタンクと、
前記タンクの飲料水を加熱して高温水にする加熱手段と、
前記タンク内の高温水を前記配管系統に向けて逆流させるポンプと、
前記ポンプによって前記配管系統に送られた前記高温水を再び前記タンクに戻すための循環路と、
少なくとも前記加熱手段と前記ポンプを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記ポンプによって前記高温水を所定期間に亘って逆流させて、少なくとも前記配管系統及び前記循環路を殺菌する主殺菌処理手段と、少なくとも前記配管系統の始点付近を殺菌処理された状態とする補助殺菌処理手段とを備えている点にある。
【0008】
上記の特徴構成によるウォーターサーバでは、主殺菌処理手段による、高温水を所定期間に亘って逆流させて、少なくとも配管系統及び循環路を殺菌する操作とは別に、補助殺菌処理手段によって少なくとも配管系統の始点付近が殺菌処理された状態とされるので、主殺菌処理手段が実施されたる際にもしもタンク内の飲料水の膨張によって配管系統の始点付近に位置する配管系統の飲料水が容器内へ逆流しても、配管系統の始点付近に潜在的に存在している微生物が容器内に連行され難くなった。
【0009】
本発明の他の特徴構成は、前記補助殺菌処理手段では、前記制御装置が前記ポンプによって前記主殺菌処理手段の前記所定期間よりも短い時間で、少なくとも前記配管系統の始点付近に前記高温水を逆流させる点にある。
【0010】
本構成であれば、ポンプを少なくとも配管系統及び循環路の全長が高温水で満たされる期間に亘って運転させる主殺菌処理手段とは別に、補助殺菌処理手段として、少なくとも配管系統の始点付近に高温水が流すという比較的簡単な操作が行われることで、同始点付近に位置する飲料水が殺菌されている水で置き換えられることになり、少なくとも配管系統の始点付近を実質的に殺菌処理することができる。
【0011】
また、この補助殺菌処理では、ポンプは主殺菌処理手段の所定期間よりも短い時間に亘って運転されるので、冷たい飲料水を提供するための冷水タンクが配管系統の一部として設けてある場合でも、冷水タンク内の飲料水の温度管理への支障が生じ難い。
【0012】
本発明の他の特徴構成は、前記制御装置は、前記主殺菌処理手段より、前記補助殺菌処理手段を多く実施する点にある。
【0013】
本構成であれば、補助殺菌処理手段が主殺菌処理よりも多く実施されるので、配管系統の始点付近が常に微生物の存在しない状態に維持され易い。
【0014】
本発明の他の特徴構成は、前記タンク内の飲料水を前記高温水よりも低温の温水に保持する省エネ給水モードに設定されている際に、前記制御装置が前記タンク内の飲料水を前記加熱手段によって前記高温水にした後に前記補助殺菌処理手段を実施する点にある。
【0015】
タンク内の飲料水が一般の微生物を殺菌可能な高温水の温度以上に保持されている場合は、補助殺菌処理では単にタンク内の飲料水の一部を配管系統に向けてポンプで逆流させればよいが、省エネ給水モードでの運転によってタンク内の飲料水が高温水よりも低温に保持されている場合は、そのままポンプで逆流させただけでは容器とタンクの間に位置する配管系統が十分に殺菌できない虞がある。しかし、本構成であれば、省エネ給水モードの場合には、タンク内の飲料水が高温水に加熱された後に逆流されるので、容器とタンクの間に位置する配管系統が十分に殺菌できる。
【0016】
本発明の他の特徴構成は、前記容器を支持する容器収納部に、前記容器の取り出しを可能にする開口部と同開口部を閉鎖する蓋部が設けられており、前記制御装置は、前記蓋部の開放に基づいて前記補助殺菌処理手段を実施する点にある。
【0017】
本構成であれば、ユーザーが容器を新しいものに取替えようとして、蓋部を開放すると、定期的なルーチンとしての補助殺菌処理とは別に、蓋部の開放と連動した臨時的な補助殺菌処理が実行される。したがって、もしも現在設置されている容器の内部に微生物繁殖などの問題があっても、この臨時の補助殺菌処理によって容器とタンクの間に位置する配管系統が殺菌されるので、この問題が配管系統を介して次の新しい容器に引き継がれる事態が生じ難い。すなわち、前述したような、主殺菌処理よりも高頻度で補助殺菌処理を実施するだけでも本発明の目的は達成されるが、このような臨時の補助殺菌処理によってさらに効果が高められる。
【0018】
本発明の他の特徴構成は、前記蓋部の開放を検知する検知手段が設けられており、前記制御装置は、前記検知手段による前記蓋部の開放の検出に基づいて、前記容器の交換前に前記補助殺菌処理手段を実施する点にある。
【0019】
本構成であれば、蓋部の開放操作が検知手段によって検知され、制御装置は同検知に基づいて容器の取替え直前に臨時の補助殺菌処理を実行するので、もしも現在設置されている容器の内部に微生物繁殖などの問題があっても、この問題が配管系統を介して次の新しい容器に引き継がれる事態がより確実に防止される。
【0020】
尚、もしも補助殺菌処理前または補助殺菌処理中に容器がウォーターサーバの配管系統から外されると、容器と配管系統との接続部から水が漏れる場合があるが、この漏れた水は全て、配管系統から供給される飲料水を受けるためのコップなどを置くためにウォーターサーバに設けてある受け皿から通常の排水経路に流れるため、漏れた水が容器内に逆流したり、ウォーターサーバの外にこぼれたりする問題は生じない。
【0021】
本発明の他の特徴構成は、制御装置は、前記タンク内の飲料水を前記加熱手段によって前記高温水よりも高温の高温水にした後に前記主殺菌処理手段を実施する点にある。
【0022】
本構成であれば、主殺菌処理に際してポンプによって逆流される飲料水の殺菌作用が高温化によって更に高められるので、より短時間で主殺菌処理を完了することができ、ユーザーによる通常の使用を妨げ難いウォーターサーバが得られる。
【0023】
本発明の他の特徴構成は、前記配管系統の始点付近に配置された局部ヒータを備え、前記制御装置は、前記局部ヒータを、前記主殺菌処理手段による主殺菌処理の前記所定期間よりも短く、少なくとも前記配管系統の始点付近が前記高温水で満たされる期間に亘って運転させる補助殺菌処理を前記主殺菌処理よりも高頻度で実施する点にある。
【0024】
本構成であれば、ポンプを少なくとも配管系統及び循環路の全長が高温水で満たされる期間に亘って運転させる主殺菌処理手段とは別に、補助殺菌処理手段として、配管系統の始点付近に配置された局部ヒータを、少なくとも配管系統の始点付近が高温水で満たされる期間に亘って運転させるので、配管系統の始点付近に微生物が繁殖し難い状態に維持される。したがって、主殺菌処理手段として、殺菌処理を行うためにタンクの飲料水を高温水に加熱する際に、もしもタンク内の飲料水の膨張によって配管系統の始点付近の飲料水が容器内へ逆流しても、微生物が容器内に連行される虞が少なくなった。また、この補助殺菌処理手段では、局部ヒータは少なくとも配管系統の始点付近が高温水で満たされる程度の短い期間に亘って運転されるので、冷たい飲料水を提供するための冷水タンクが配管系統の一部として設けてある場合でも、冷水タンク内の飲料水の温度管理への支障が生じ難い。