(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、高純度で高収率のポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーのヘテロ
二官能性誘導体を提供する。本方法ではクロマトグラフィーでの精製工程は必要ない。本
発明の方法によれば、一方に除去可能な基Wを保有するW−ポリ−OHを有する中間体ポ
リマーが得られる。中間体ポリマーW−ポリ−OHは、最初にOH基の第1の官能基Xへ
の改変後、Wが除去されて第2の水酸基が得られる。後者の水酸基を、第2の官能基Yに
さらに変換することができるので、所望のヘテロ二官能性誘導体が得られる。
W−Poly−OH → W−Poly−X → HO−Poly−X → Y−Poly−X
【0020】
以下の考察では、Polyは、しばしば便宜上PEGまたはポリ(エチレングリコール
)という。しかし、他の関連ポリマーもまた本発明の実施に有用であり、用語PEGまた
はポリ(エチレングリコール)に含まれるが、この点では含まれないと理解すべきである
。
【0021】
ポリ(エチレングリコール)またはPEGは、非常に望ましい性質を有し、一般に生物
学または生物工学への適用が一般に承認されているために生物学への適用に有用である。
PEGは典型的には、無色透明、水溶性、熱安定性、多数の化学薬品に不活性で、加水分
解または変質せず、無毒である。ポリ(エチレングリコール)は、生体適合性を示す(す
なわちPEGは生きている組織または器官と害を与えることなく共存できる)と考えられ
ている。より詳細には、PEGは免疫原性を示さない(すなわち、PEGは体内で免疫応
答を起こす傾向がない)。体内でいくつかの所望の機能を有する部分と結合した場合、P
EGはその部分をマスクする傾向があり、器官がその部分の存在に耐性を示すように任意
の免疫応答を減少または消滅させることができる。したがって、本発明のヘテロ二官能性
誘導体は、実質的に無毒であり、免疫応答も凝固または他の望ましくない効果も実質的に
起こさないはずである。
【0022】
式−CH2CH
2−(CH
2CH
2O)n−CH
2CH
2−(式中、nは約8〜4000であ
る)を有するPEGは、本発明の実施における有用なポリマーの1つである。PEG以外
の他の二官能価で水溶性の非ペプチドポリマーもまた本発明に有用である。これらの他の
ポリマーには、ポリ(ビニルアルコール)(「PVA」);他のポリ(アルキレンオキシ
ド(ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)など);およびポリ(オキシエチル化
ポリオール(ポリ(オキシエチル化グリセロール)、ポリ(オキシエチル化ソルビトール
)、およびポリ(オキシエチル化グルコース)など)が含まれる。ポリマーは、ホモポリ
マーまたは無作為もしくはブロックコポリマーおよび上記ポリマーのモノマーを基本単位
とする直鎖もしくは分岐ターポリマーであり得る。
【0023】
適切なさらなるポリマーの特定の例には、ポリ(オキサゾリン)、二官能価ポリ(アク
リロイルモルホリン)(「PAcM」)、およびポリ(ビニルピロリドン)(「PVP」
)が含まれる。PVPおよびポリ(オキサゾリン)は当該分野で周知のポリマーであり、
その調製は当業者に容易であるはずである。PAcMおよびその合成ならびに使用は米国
特許第5,629,384号および同第5,631,322号(その内容全体が本明細書
中で参考として援用される)に記載されている。
【0024】
用語「基」、「官能基」、「部分」、「活性部分」、および「活性部位」は全て化学分
野で幾らか同義語であり、当該分野で使用されており、本明細書中では分子の識別および
定義可能な部分および幾らかの機能または活性を示す単位をいい、他の分子または分子の
一部と反応性を示す。
【0025】
用語「結合」は、通常化学反応の結果として形成される基をいうために使用し、典型的
には共有結合である。
【0026】
「薬物」は、ヒトおよび他の動物の実感の診断、治癒、緩和、治療、または予防を意図
するか身体または精神の健康を向上させる任意の物質と理解すべきである。
【0027】
用語「高分子」を、脂質、多糖類、タンパク質、ヌクレオチド配列、薬物、ポリマーな
どを含むがこれらに限定されない巨大分子を意味するために使用する。しばしば上記ポリ
マーとこのような高分子とを抱合することが望ましい。
【0028】
本発明によれば、除去可能な基Wを、穏やかな化学反応によってポリマーW−Poly
−Xから除去することができる。ポリマーW−Poly−Xの他の部分(特に、第1の官
能基X)望ましくない改変を起こさない条件下でこのような化学反応を行うことができる
。好ましくは、Wは式Ar−C(R1)(R2)−O−(式中、Arは、フェニル、置換フ
ェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘ
テロ環式アリールからなる群から選択される部分を示し、R1およびR2はH、アルキル、
または上記定義のArである)を有する。したがって、除去可能な基Wの例には、ベンジ
ルオキシ基(C
6H
5CH
2O)および他のアリールメチルオキシ基(4−メチルベンジル
オキシ、3−メチルベンジルオキシ、4−クロロベンジルオキシ、4−メトキシベンジル
オキシ、ジフェニルメチルオキシ、トリフェニルメチルオキシ、および1−ナフチルメチ
ルオキシが含まれるこれらに限定されない)が含まれるが、これらに限定されない。アリ
ールメチルオキシ基を、触媒による水素化分解または酸触媒加水分解によって比較的穏や
かな条件下でポリマーから除去することができる。
【0029】
本発明によれば、W−ポリ−OHを例えば、適切なポリマーのモノマーのアリールメチ
ルオキシドへの重合に異よって合成することが好ましい。例えば、ベンジルオキシ−PE
G−OH(BzO−PEG−OH)を、エチレンオキシドのベンジルオキシイオンBzO
−への重合によって高純度および高収率で調製することができる。好ましくは、無水条件
下で重合反応を行う。本発明のこの態様によれば、HO−PEG−OHの生成は最小であ
る。広範な勾配クロマトグラフィー精製は必要ではなく、BzO−PEG−OHの収率は
高い。これは、PEGのベンジル化後の骨の折れる広範囲勾配のクロマトグラフィーを行
うコスト高および低収率を回避不可能な量産価値のほとんどない方法である先行技術とは
対照的である。
【0030】
本発明によれば、ポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーのヘテロ二官能性誘
導体の最終生成物は式Y−Poly−Xを有する。第1の官能基Xおよび第2の官能基Y
はPEG誘導体が例えば他の高分子(タンパク質、脂質、他党、および他のポリマーが含
まれるが、これらに限定されない)と抱合することが望ましい他の分子と反応することが
できる反応部分である。第1の官能基Xの例には、メシレート;トシレート;トレシレー
ト、O(CH2)nCO2H(式中、n=1〜6)、O(CH2)nCO2R3(式中、n=1
〜6であり、R3はアルキル基である)、NHR4(式中、R4はHまたはアルキルまたは
t−BocおよびFmocなどのアミン保護基);O(CH2)nCH(ZR5)2(式中、
nは1〜6の数字であり、ZはOまたはSであり、R5はHまたはアルキル基である);
Ar−CH=CH−CH=CH−CO2(式中、Arは、フェニル、置換フェニル、ビフ
ェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ環式アリ
ールからなる群から選択される部分を示す);−O−(CH2)n−CHOおよび−O2C
CH2CH2CO2R6(式中、R6はHまたはNスクシニミジルを示すNHSである)が含
まれるが、これらに限定されない。
【0031】
第2の官能基Yの例には、水酸基;メシレート;トシレート;トレシレート、O(CH
2)nCO2H(式中、n=1〜6)、O(CH2)nCO2R3(式中、n=1〜6であり、
R3はアルキル基である)、NHR4(式中、R4はHまたはアルキルまたはt−Bocお
よびFmocなどのアミン保護基);O(CH
2)nCH(ZR
5)
2(式中、nは1〜6の
数字であり、ZはOまたはSであり、R
5はHまたはアルキル基である);Ar−CH=
CH−CH=CH−CO
2(式中、Arは、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換
ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ環式アリールからなる
群から選択される部分を示す);−O−(CH
2)n−CHOおよび−O
2CCH
2CH
2C
O
2R
6(式中、R
6はHまたはNスクシニミジルを示すNHSである);およびCH
2=C
H−CO
2−が含まれるが、これらに限定されない。式Y−Poly−Xのポリ(エチレ
ングリコール)誘導体では、第1の官能基Xおよび第2の官能基Yは互いに異なることが
好ましいので、ヘテロ二官能価であることが裏付けられている。
【0032】
XがAr−CH=CHCH=CH−CO
2(Arは上記のように定義)であり、Yが−
O−(CH
2)n−CHOまたはO(CH
2)nCH(ZR
5)
2(式中、nは1〜6の数字で
あり、ZはOまたはSであり、R
5はHまたはアルキル基である)であることが好ましい
。XがO(CH
2)nCH(ZR
5)
2(式中、nは1〜6の数字であり、ZはOまたはSで
あり、R
5はHまたはアルキル基である)である場合、Yは−O
2CCH
2CH
2CO
2R
6(
式中、R
6はHまたはNHSである)であることが好ましい。XがOCH
2CO
2CH(C
H
3)CH
2CONHSである場合、第2の官能基YはCH
2=CHCO
2であることが好ま
しい。
【0033】
本方法の反応スキームは上記で式: W−Poly−OH → W−Poly−X → H
O−Poly−X → Y−Poly−Xと示しているにもかかわらず、式中の任意の2つ
の生成物の間に1つを超える化学反応工程が存在し得ると理解すべきである。例えば、W
−Poly−OHの末端の水酸基を第1の官能基Xに変換するためにいくつかの連続反応
が起こり得る。同様に、いくつかの反応工程を行って、HO−Poly−Xの新規の水酸
基を改変して第2の官能基Yを得ることができる。
【0034】
さらに、本発明の1つの実施形態では、除去可能な基Wの除去工程前に、ポリマーY−
Poly−Xを高分子表面上で第1の反応性官能基Xと適切な部分との間で形成された結
合によって高分子または表面に結合することができる(しがって、ポリマーのW−Pol
y−部分と高分子との抱合:W−Poly−M
1(M
1は、タンパク質、ペプチド、脂質、
薬物、多糖類、もしくは他のポリマー、または物質(例えば、微生物)の表面などの高分
子))。抱合体W−Poly−M
1中の除去可能な基Wは、その後穏やかな化学反応(例
えば、触媒による水素化分解または酸触媒加水分解など)によって除去される。得られた
−OHは、例えば、別の高分子M
2(など、タンパク質、ペプチド、脂質、薬物、多糖類
、もしくは他のポリマー、または物質(例えば、微生物)の表面など))と直接反応して
、M
2−Poly−M
1を形成することができる。別の高分子への抱合が好ましい場合、−
OH基は任意選択的に例えばアルキル化によってキャップされた不活性の非反応性基に変
換することができる。あるいは、得られたOH基を上記の反応性官能基Yに変換すること
ができる:Y−Poly−M
1。次いで、官能基YをM
2と反応させてM
2−Poly−M
1
を形成することができる。
(1)WPolyOH −−→ WPolyX (X=反応性官能基)
(2)WPolyX −−→ WPolyM
1 (M
1= 例えば、表面、薬物タンパク質、ま
たはポリマーなどの高分子)
(3)WPolyM
1 + H
2(Pd/C)→ WH + HOPolyM
1または WPol
yM
1 + H
2O/H+ → WOH + HOPolyM
1
(4)HOPolyM
1 → Y
2PolyM
1
(5)YPolyM
1 + M
2 → M
2PolyM
1 (M
2= 例えば、表面、薬物、タンパ
ク質、もしくはポリマーなどの高分子またはM
1上の異なる部位)
【0035】
本方法において、PEG関連ポリマーPolyによる複数の異なる高分子の架橋によっ
てヒドロゲルを作製することができる。しかし、本発明により、2つの官能基XおよびY
を同一の高分子に結合させることができ、これにより高分子上でのPEG関連ポリマーの
抱合により高分子上にポリマーの殻を形成することができると理解すべきである。
【0036】
本発明の別の実施形態では、上記のように作製されたPEGまたは関連ポリマーのヘテ
ロ路二官能価誘導体Y−Poly−Xは、高分子または他の物質上での官能基XおよびY
ならびに反応部分を介して高分子または他の分子と反応することができる。例えば、Xお
よびYを、異なる型の高分子または他の物質がそれぞれXおよびYに結合するように選択
することができる。同一の型の高分子と反応するようにXおよびYを選択することも可能
である。
【0037】
本発明の別の態様によれば、ポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーのヘテロ
二官能性誘導体が得られる。このようなポリマーを、式Y−Poly−X(式中、Pol
yは、上記定義のポリ(エチレングリコール)または関連化合物を示す)と示す。Xおよ
びYは、メシレート;トシレート;トレシレート、O(CH
2)nCO
2H(式中、n=1
〜6)、O(CH
2)nCO
2R
3(式中、n=1〜6であり、R
3はアルキル基である)、
NHR
4(式中、R
4はHまたはアルキルまたはt−BocおよびFmocなどのアミン保
護基);O(CH
2)nCH(ZR
5)
2(式中、nは1〜6の数字であり、ZはOまたはS
であり、R
5はHまたはアルキル基である);Ar−CH=CH−CH=CH−CO
2(式
中、Arは、フェニル、置換フェニル、ビフェニル、置換ビフェニル、多環式アリール、
置換多環式アリール、およびヘテロ環式アリールからなる群から選択される部分を示す)
;−O−(CH
2)n−CHOおよび−O
2CCH
2CH
2CO
2R
6(式中、R
6はHまたはN
HSであり、nは1〜6である)からなる群から選択される反応性官能基である。好まし
くは、XとYは異なる。
【0038】
いくつかの実施形態では、XがAr−CH=CHCH=CH−CO
2(Arは上記のよ
うに定義)である場合、Yは−O−(CH
2)n−CHOまたはO(CH
2)nCH(ZR
5
)
2(式中、nは1〜6の数字であり、ZはOまたはSであり、R
5はHまたはアルキル基
である)であることが好ましく、XがO(CH
2)nCH(ZR
5)
2(式中、nは1〜6の
数字であり、ZはOまたはSであり、R
5はHまたはアルキル基である)である場合、Y
は−O
2CCH
2CH
2CO
2R
6(式中、R
6はHまたはNHSである)であることが好まし
く、XがOCH
2CO
2CH(CH
3)CH
2CONHSである場合、第2の官能基YはCH
2=CHCO
2であることが好ましい。
【0039】
さらに別の態様では、式XPolyaOCHR
5(CH
2)nCO
2PolybX(式中、P
olyaおよびPolybは、上記のPolyによって示される同一の型のポリマーを示し
、nは0−6であり、R
5はHまたはアルキルであり、Xは反応性官能基である)を有す
るポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーの調製法を提供する。ヘテロ二官能性
誘導体の実質的に純粋な形態を、クロマトグラフィー精製工程に依存することなく高純度
且つ高収率で作製することができる。
【0040】
本方法では、式ArC(R
1)(R
2)OPolybUの第1のポリマーおよび式ArC
(R
1)(R
2)OPolya−CHR
5(CH
2)nCO−Vの第2のポリマー(式中、R
1
およびR
2はH、アルキル、またはAr(Arは、フェニル、置換フェニル、ビフェニル
、置換ビフェニル、多環式アリール、置換多環式アリール、およびヘテロ環式アリールで
ある)であり、UおよびVは第1のポリマーが第2のポリマーと反応してArC(R
1)
(R
2)OPolyaOCHR
5(CH
2)nCO
2PolybOC(R
1)(R
2)−Arのポ
リマーを形成するように選択した部分である)が得られる。上記のように、第1のポリマ
ーおよび第2のポリマーを、アリルメチルオキシドイオンArC(R
1)(R
2)O-から
生成物ArC(R
1)(R
2)O-Polya−OHまたはArC(R
1)(R
2)O-Pol
yb−OHとPolybおよびPolyaとの個別の反応、および任意選択的に2つのポリ
マーが例えばエステル結合によって結合するようなその後の末端水酸基の部分UおよびV
への個別の改変によって作製することができる。次いで、結合したポリマーを、触媒によ
る水素化分解または酸触媒加水分解によるArC(R
1)(R
2)O−部分の除去により改
変することができる。得られたOH基を、任意選択的に他の反応性官能基に変換すること
ができる。反応性官能基Xの例には、−OH;CH
2=CR
5CO
2(式中、R
5はHまたは
アルキルである);O(CH
2)nCH(ZR)
2(式中、R
5はHまたはアルキルであり、
ZはOまたはSであり、nは1〜6である);NHS−O
2CO−(式中、NHSはN−
スクシニミジルを示す)が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、
Uは−OHであり、Vは−Clなどのハロゲン基である。
【0041】
本発明のさらに別の態様では、式R
8OPolyaOCHR
5(CH
2)nCO
2Polyb
Y(式中、Polya、Polyb、n、R
5は、上記定義の通りであり、R
8はHまたはア
ルキル基である)を有するポリ(エチレングリコール)または関連ポリマーの調製法を提
供する。Yは反応性官能基である。本方法は、クロマトグラフィー工程が必要ない。本方
法では、上記のようにArC(R
1)(R
2)OPolybUの第1のポリマーが得られる
。R
8OPolya−CHR
5(CH
2)nCO−V(R
8はHまたはアルキル基であるか、A
r(式中、Arは上記定義の通り))の第2のポリマーも得られる。第1のポリマーが第
2のポリマーと結合してR
8OPolyaOCHR
5(CH
2)nCO
2PolybOC(R
1)
(R
2)−Arのポリマーを形成するように、部分UおよびVは互いに反応して、例えば
、エステル結合を形成することができる。次いで、ArC(R
1)(R
2)O−部分を、所
望の官能基に変換することができる。好ましくは、Uは−OHであり、Vは−Clなどの
ハロゲン基である。Yは、−OH;CH
2=CR
5CO
2(式中、R
5はHまたはアルキルで
ある);O(CH
2)nCH(ZR)
2(式中、RはHまたはアルキルであり、ZはOまた
はSであり、nは1〜6である);および−O−(CH
2)n−CO
2H(式中、nは1〜
6である)などの官能基であり得る。
【0042】
本発明のさらに別の態様によれば、HO−Poly−OHの反応性を有するポリマーの
汚染のないR
9O−Poly−OHのポリマーの作製法を提供する。Polyは上記に定
義した通りであり、R
9アルキル基またはアリール基である。は当該分野で開示のように
、PEG誘導体の調製由来のHO−PEG−OHなどのHO−Poly−OHの除去には
、通常、例えばクロマトグラフィーを使用した広範で骨の折れる精製工程が必要である。
本発明の方法は、その必要がない。本方法では、ArCR
1R
2OPolyOHを、最初に
アリールメチルオキシイオンArCR
1R
2O-上へのポリマーPolyの形成によって合
成する。次いで、ArCR
1R
2OPolyOHをアルキル化してポリマーAr−CR
1R
2
−OPEGOR
9に変換する。HO−Poly−OHの任意の不純物を、アルキル化の際
にR
9OPEGOR
9に変換する。次の工程は、酸触媒加水分解または水素化分解によって
ArCR
1R
2O部分を−OHに変換し、R
9O−PEG−OHとR
9O−PEG−OR
9と
の新規の混合物を形成することである。R
9O−PEG−OR
9はほとんどの化学反応に不
活性であるので、混合物は、純粋なR
9O−PEG−OHと化学的に等価である。任意選
択的に、R
9O−PEG−OHをR
9O−PEG−CHOにさらに変換することができる。
【実施例】
【0043】
以下の実施例は本発明を例示するために記載するが、本発明の限定と解釈すべきではな
い。
実施例1.HOPEGNH
3+Cl-の合成
実施例2.HOPEG OCH
2CO
2Hの合成
実施例3.Cl-H
3N+PEGOCH
2CO
2Hの合成
実施例4.Cl-H
3N+PEGOCH
2CH
2CO
2Hの合成
実施例5.C
6H
5CH=CHCH=CHCO
2PEGOCH
2CH(OC
2H
5)
2の合成
実施例6.NHSO
2COPEGOCH
2CO
2PEGOCO
2NHS(NHS=Nsucc
inimidyl)の合成
実施例7.CH
2=CHCO
2PEGOCH
2CO
2PEGO
2CCH=CH
2の合成
実施例8.CH
3OPEGOCH
2CH
2CO
2PEGOHの合成
実施例9.NHSO
2CCH
2CH
2COOPEGOCH
2CH
2CH(OC
2H
5)
2の合成
実施例10.CH
2=CHCO
2PEGOCH
2CO
2PEGOCH(CH
3)CH
2CO
2N
HSの合成
実施例11.BzOPEGOHとHOPEGOHとの混合物からHOPEGOHを含まな
いCH
3OPEGOHを調製するためのアルキル化の適用
【0044】
実施例1 HOPEGNH
3+Cl-の調製反応:
【化2】
【0045】
a)BzOPEGOMの調製:BzOPEGOH(MW=3400,34g、10mmo
le)の150mlのトルエン溶液を、窒素下で2時間共沸し、溶液を室温に冷却した。
この溶液に40mlの乾燥塩化メチレンおよび2.1mlの乾燥トリエチルアミン(15
mmole)を添加した。溶液を氷浴中で冷却し、1.2mlの乾燥メシルクロリド(1
5mmole)を滴下した。溶液を窒素下、室温で一晩撹拌し、2mlの無水エタノール
の添加によって反応を停止させた。混合物を減圧蒸発させて特にトルエン以外の溶媒を除
去し、濾過し、再び減圧濃縮し、100mlのエチルエーテル中で沈殿させた。生成物を
濾過によって回収し、真空乾燥した。収量は34g(100%)であった。1H nmr(
DMSOd6):( 3.5(br m,PEG),4.31(t,OCH
2CH
2OMs),
?4.49(s,C
6H
5CH
2OPEG),7.33(s+complex mult.,
C
6H
5CH
2OPEG)。
【0046】
b) BzOPEGNH
2の調製:BzOPEGOMs(25g、7.35mmole)を
、5gの塩化アンモニウムを含む500mlのアンモニア水に溶解し、溶液を室温で72
時間撹拌した。次いで、溶液を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで
乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、生成物を100mlのエチルエーテルで沈殿させた。生成
物を濾過によって回収し、真空乾燥した。収量:23g(92%)。1H nmr(DMS
Od6):( 3.5(br m,PEG),2.9(t,CH
2NH
2),4.49(s,C
6H
5CH
2OPEG),7.33(s+complex mult.,C
6H
5CH
2OPE
G)。
【0047】
c) HOPEGNH
3+Cl-の調製:BzOPEGNH
2(46g、14mmoles)
の200ml濃HCl(12M)溶液を、室温で44時間撹拌した。次いで、これを水で
1200mlに希釈し、NaClを添加して15%溶液とした。水溶液を塩化メチレンで
3回抽出し、合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥した。塩化メチレンを減圧濃縮し、
エーテルの添加によって生成物を沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、室温で減圧
乾燥した。収量:42g(95%)。1H nmr(DMSOd6):( 2.96(t,C
H
2N),3.5(br m,PEG),4.6(br,OH),7.9(br,NH
3+)
。
【0048】
実施例2 HOPEGOCH
2CO
2Hの調製反応
【化3】
【0049】
a) BzOPEGOCH
2CO
2C(CH
3)
3の調製:BzOPEGOH(MW=340
0,40g、11.7mmole)を、N
2下で250mlのトルエンと共沸した。2時
間後、溶液を室温に冷却した。上記PEG溶液に90mlのtert−ブタノールおよび
90mlのトルエンに溶解したカリウムtert−ブトキシド(2.8g、23.5mm
ole)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。tert−ブチルブロモ酢酸(4
ml,26.3mmole)を添加し、溶液をN
2下の室温で一晩撹拌した。溶液を濾過
し、減圧濃縮し、300mlのエーテル中で沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、
減圧乾燥した。1H nmr(DMSOd6):( 1.5(s,tBu),3.51(m,
PEG),3.98(s,OCH
2CO
2),4.49(s,C
6H
5CH
2O),7.33
(s + comp.mult.,C
6H
5CH
2O−)。
【0050】
b) HOPEG OCH
2CO
2Hの調製:BzOPEGOCH
2CO
2C(CH
3)
3(10
g)を、100mlの塩酸(37%)に溶解し、溶液を室温で48時間撹拌した。溶液を
1リットルの蒸留水で希釈し、1Nの水酸化ナトリウムでpHを2に調整した。次いで、
溶液を塩化メチレンで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して塩
を除去し、減圧濃縮し、エーテルで沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、減圧乾燥
した。収量:8.5 g(85%)。 1H nmr(DMSOd6):( 3.51(br m
,PEG),4.01(s,−PEGOCH
2COOH)。
【0051】
実施例3 ClH
3N+PEGOCH
2CO
2Hの調製
【化4】
【0052】
a) HOPEG
3400OCH
2CO
2CH
3の調製:実施例2で調製したHOPEGOCH
2
CO
2H(15 g)を75mlのメタノールに溶解し、得られた溶液に3mlの濃H
2S
O
4を添加した。溶液を室温で1.5時間撹拌し、180mlの5%NaHCO
3水溶液を
慎重に添加した。次いで、塩化ナトリウム(25g)を添加し、得られた溶液のpHを5
%Na
2HPO
4で7に調整した。溶液を塩化メチレンで抽出し、合わせた有機層をNa
2
SO
4で乾燥した。次いで、塩化メチレン溶液を20mlに蒸発させ、生成物を300m
lの冷エチルエーテルで沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、室温で減圧乾燥して
13.5gの生成物を獲得し、これはGPCによって純度100%であることが示された
。
【0053】
b) MsOPEGOCH
2CO
2CH
3の調製:HOPEG
3400OCH
2CO
2CH
3(13
.5 g)を、400mlのCHCl
3に溶解し、約200mlの溶媒を蒸留した。残りの
溶液を室温に冷却し、トリエチルアミン(0.72ml)を添加後、0.38mlのMs
Clを添加した。反応混合物をN
2下の室温で一晩撹拌し、2mlのエタノールを添加し
、得られた混合物を15分間撹拌した。減圧下(55℃の浴)での溶媒の蒸発後、得られ
た沈殿を濾過によって回収し、室温で減圧乾燥した。収量は14gであり、1H nmrス
ペクトルにより、100%メシル化が示された。
【0054】
c) H
2NPEG
3400CO
2- NH
4+の調製:MsO−PEG−OCH
2CO
2CH
3(13
g)を、70mlのH
2Oに溶解し、pHを12に調整した。pH12を維持しながら1
.5時間撹拌後、5%NH
4Clを含む250mlのNH
4OH溶液を添加した。次いで、
反応混合物を約40時間撹拌し、NaClを添加して濃度を約8%にした。得られた溶液
をCH
2Cl
2で抽出し、Na
2SO
4で乾燥した。CH
2Cl
2層を約20mlに蒸発させ、
約300mlの冷エチルエーテルで沈殿させた。沈殿した生成物を濾過によって回収し、
室温で減圧乾燥した。収量は12.5gであった。純度は1H nmrでは97%であり、
GPCでは95%であった。
【0055】
d)Cl――H
3N
+−PEG
3400OCH
2CO
2Hの調製:H
2NPEGCO
2- NH
4+(1
2g)を15%NaClを含むH
2O(50ml)に溶解した。1N HClでpHを3.
0に調整し、得られた溶液をCH
2Cl
2で抽出した。CH
2Cl
2抽出物をNa
2SO
4で乾
燥し、約20mlに蒸発させ、約300mlのエチルエーテルで生成物を沈殿させ、室温
で減圧乾燥した。1H nmrでの純度は95%であった。
【0056】
実施例4 Cl-H
3N+PEGOCH
2CH
2CO
2Hの調製
【化5】
【0057】
a) HOPEG
3400OCH
2CH
2CO
2Hの調製:BzOPEGOH(100 g)を、
100mlのH
2Oに溶解し、得られた溶液に5mlの40%のKOH水溶液を添加し、
混合物を1時間撹拌した。次いで、溶液を0℃に冷却し、アルゴン下で50mlのアクリ
ロニトリルを添加した。3時間の撹拌後、20%NaCl水溶液を添加し、10%NaH
2PO
4でpHを7.0に調整した。ついで、溶液をCH
2Cl
2で抽出し、抽出物をNa
2
SO
4で乾燥した。溶媒の減圧蒸発後、残渣を500mlの濃HClに溶解し、室温で6
0時間撹拌した。次いで、240gのNaOHの1.2l水溶液に溶液を添加し、NaC
lを添加して8%溶液を作製し、pHを7.0に調整した。溶液をCH
2Cl
2で抽出し、
抽出物をNa
2SO
4で乾燥し、減圧蒸発によって乾燥した。残渣を1.5lの8%KOH
中で20時間撹拌し、180mlの濃HClおよびNaCl(8%)を添加した。pHを
3.0に調整し、生成物を塩化メチレンで抽出した。抽出物をNa
2SO
4で乾燥し、蒸発
させ、生成物をエチルエーテルで沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、減圧乾燥し
て、GPCによって収率91%のHOPEGOCH
2CH
2CO
2Hを含む90gの生成物
が得られた。
【0058】
b) Cl- +H
3NPEGOCH
2CH
2CO
2Hの調製:実施例3のHOPEGOCH
2C
O
2HのCl- H
3N+PEG
3400OCH
2CO
2Hへの変換と同一の手順によって、HOP
EGOCH
2CH
2CO
2HをCl- +H
3NPEGOCH
2CH
2CO
2Hに変換した。
【0059】
実施例5 C
6H
5CH=CHCH=CHCO
2PEGOCH
2CH(OC
2H
5)
2の調製反応
:
【化6】
【0060】
a) BzOPEGOCH
2CH(OC
2H
5)
2の調製:500mlの丸底三つ口フラスコ
に300mlのジオキサンおよび14gのBzOPEGOH(MW=3400,0.00
40 moles)を入れた。ついで、得られた溶液を130mlの溶媒とN
2下で共沸さ
せた。溶液の冷却後、微粉末NaOH(0.8g、0.02 moles)およびClC
H
2CH(OC
2H
5)
2(3 ml,0.02 moles)をN
2下で添加し、得られた懸
濁液を24時間還流しながら急速に撹拌した。次いで、30mlのジオキサンを蒸留によ
って除去し、急速に撹拌した溶液をN
2下でさらに24時間還流した。次いで、懸濁液を
冷却し、Celite(商品名)の添加によって濾過した。濾過物を減圧蒸発し、残渣の
オイルに200mlのエチルエーテルを添加した。得られた沈殿を濾過によって回収し、
室温で減圧乾燥して黄褐色粉末(13.6g)を得た。粉末をCH
2Cl
2(35 ml)
に溶解し、500mlの冷エチルエーテルの添加によって再沈殿させた。沈殿物を濾過に
よって回収し、室温で減圧乾燥して白色粉末として13.0gのBzOPEGOCH
2C
H(OC
2H
5)
2を得た(1H nmrによれば純度9498%)。1H nmr(DMSO
d6):( 1.11(t,OCH
2CH
3);3.51(br m,O−CH
2CH
2O),4
.48(s,C
6H
5CH
2O);4.55(t,CH(OC
2H
5)
2),7.32(s,C
6H
5)。
【0061】
b) HOPEGO CH
2CH(OC
2H
5)
2の調製:BzOPEGOCH
2CH(OC
2H
5)
2(13 g)を150mlの95%エタノールに溶解し、N
2下で6.5gの10%炭
素担持Pd触媒を添加した。懸濁液をH
2下(40psi)で70時間震盪し、懸濁液を
濾過した。残りの触媒を2×25mlのボイルクロロホルムで洗浄し、洗浄物をエタノー
ルと合わせ、濾過し、減圧濃縮して、無色透明のオイルを得た。オイルに400mlの冷
エチルエーテルを添加し、得られた沈殿物を濾過によって回収し、室温での減圧乾燥後に
白色粉末として11.3gのHOPEGOCH
2CH(OC
2H
5)
2を得た(1H nmrに
よれば純度92%)。1H nmr(DMSOd6):( 1.10,(t,OCH
2CH
3)
,3.51(br m,OCH
2CH
2O),4.55,(m,HO + CH(OCH
2CH
3)
2)。
【0062】
c) C
6H
5CH=CHCH=CHCO
2PEGOCH
2CH(OC
2H
5)
2の調製:シンナ
ミリデン酢酸(1.7g、0.01 moles)および塩化チオニル(3 ml,0.0
4 moles)の50mlヘキサン溶液を、N
2下で4時間還流し、濾過して少量の暗色
固体を除去し、濾過物を減圧蒸発させた。残渣を室温で一晩減圧乾燥して、黄色固体とし
て1.5gのシンナミリデンアセチルクロリド(融点51−52℃)を得た。
【0063】
HOPEG−OCH
2CH(OC
2H
5)
2(3.4g、1.0mmole)のトルエン溶液
(50ml)を、窒素下で2時間共沸して微量の水を除去し、室温に冷却した。窒素下で
KOHからトリエチルアミンを蒸留し、窒素下でHOPEGO CH
2CH(OC
2H
5)
2
のトルエン溶液に0.28ml(2mmole)の新鮮な蒸留物を注入した。室温および
窒素下で得られた溶液を急速に撹拌しながらシンナミリデンアセチルクロリド(C
6H
5C
H=CHCH=CHCOCl)を滴下した。同一の条件下で撹拌を3日間継続し、白色沈
殿を濾過によって取り出した。濾過物を減圧下で20mlに蒸発させ、300mlの冷エ
ーテルを添加した。淡黄色沈殿を濾過によって回収し、減圧乾燥して、3.4gの淡黄色
粉末を得た。粉末を塩化メチレンに溶解し、50mlの飽和塩化ナトリウム水溶液で1回
抽出し、水で1回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、25mlに蒸発させ、3
00mlの冷エーテルを撹拌しながら添加した。得られた沈殿物を濾過によって回収し、
室温で減圧乾燥して淡黄色粉末として3.05g(86%)のC
6H
5CH=CHCH=C
HCO
2PEG−OCH
2CH(OC
2H
5)
2を得た。1H nmr(DMSOd6):δ 1
.11ppm(t,C
H3CH
2O−,3.51ppm(m,PEGOC
H2C
H2O + C
H
3C
H2O);4.20ppm(t,―C
H2O
2C―),4.52ppm(t,―CH(
OC
2H
5)
2),6.11(d,=C
H),7.57―7.12(comp.mult.
,C
6H5 + =C
H)nmrによる純度:89―96%。
【0064】
実施例6 NHSO
2COPEGOCH
2CO
2PEGOCO
2NHS(NHS=Nスクシニ
ミジル)の調製反応:
【化7】
【0065】
a) BzOPEGOCH
2CO
2Hの調製:BzOPEGOCH
2CO
2C(CH
3)
3(2
0g)を蒸留水に溶解し、1NNaOH溶液でpHを12.0に調整した。NaOHの継
続的添加により溶液をpH12.0に2時間維持し、溶液を一晩撹拌した。1NNaOH
溶液の添加により溶液のpHを2.5に調整し、溶液を塩化メチレンで3回抽出した。合
わせた有機塩化メチレン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾過物を減圧濃縮し
、エチルエーテルで生成物を沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、室温で減圧乾燥
した。収量は18g(90%)であった。1H nmr(DMSOd6):( 3.5(br
m,PEG),4.01(s,PEGOCH
2COOH),4.49(s,C
6H
5CH
2O
PEG),7.33(s+com,C
6H
5CH
2OPEG)。
【0066】
b) BzOPEGOCH
2CO
2PEGOBzの調製:100mlの丸底フラスコに、B
zOPEGOCH
2CO
2H(MW=3400,3.4g、1mmol)のトルエン溶液を
共沸によって乾燥した。塩化チオニル(2M,4 ml,8mmole)の塩化メチレン
溶液を注入し、混合物をN
2下で一晩撹拌した。溶媒を回転式蒸発器で濃縮し、P
2O
5粉
末と共にシロップを約4時間真空乾燥した。残渣に5mlの無水塩化メチレンを添加し、
トルエン中(20ml)でBzOPEGOH(MW=3400,2.55g、0.75
mmol)を共沸により乾燥させた。BzOPEGOCH
2COClの溶解後、新たに蒸
留したトリエチルアミン(0.6ml)を添加し、混合物を一晩撹拌した。トリエチルア
ミン塩を濾過によって取り出し、生成物をエチルエーテルでの沈殿によって回収した。こ
れを水への溶解および塩化メチレンでの抽出によってさらに精製した。生成物のゲル浸透
クロマトグラフィーにより、100%のBzOPEGOHがエステルに変換されたことが
示された。次いで、混合物をイオン交換カラム(DEAEセファロースfastflow
、Pharmacia)でクロマトグラフィーを行ってBzOPEGOCH
2CO
2Hを取
り出し、純粋なBzOPEGOCH
2CO
2PEGOBzを得た。収量:4.1グラム(8
0%)。1H nmr(DMSO−d6):( 3.5(br m,PEG),4.14(s,
PEGOCH
2COOPEG),4.18(t,PEGO−CH
2COOCH
2CH
2OPE
G),),4.48(s,ArCH
2O)7.32(s,C
6H
5)。
【0067】
c) HOPEGOCH
2CO
2PEGOHの調製:BzOPEGOCH
2CO
2PEGOB
z(MW=6800,2g、0.59mmole)の1,4−ジオキサン溶液(20ml
)をH
2(2 atm)および1グラムのPd/C(10%)で一晩水素化分解した。濾過
によって触媒を除去し、回転式蒸発器でほとんどの溶媒を沈殿させた後に生成物をエチル
エーテルに沈殿させた。濾過によって純粋なHOPEGOCH
2CO
2PEG−OHを回収
し、室温で減圧乾燥して1.5g(75%)のHOPEGOCH
2CO
2PEGOHを得た
。1H nmr(DMSOd6):( 3.5(br m,PEG),4.14(s,PEGO
CH
2COOPEG),4.18(t,PEGOCH
2COOCH
2CH
2OPEG)。
【0068】
d) NHSO
2COPEGOCH
2CO
2PEGOCO
2NHSの調製:HOPEGOCH
2
CO
2PEGOH(2g、0.29mmole)を100mlのアセトニトリルと共沸し
、ゆっくりと室温に冷却した。得られた溶液にジスクシニミジルカーボネート(621m
g,1.17mmole)およびピリジン(0.3ml)を添加し、溶液を室温で一晩撹
拌した。減圧下で溶媒を除去し、残渣に35mlの乾燥塩化メチレンを添加した。不溶性
固体を濾過によって取り出し、濾過物をpH4.5の塩化ナトリウム飽和酢酸緩衝液で洗
浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。エチルエーテ
ルを添加し、沈殿を濾過によって回収し、減圧乾燥した。収量:1.8g(90%)。1
H nmr(DMSOd6):( 3.5(br m,PEG),4.14(s,PEGOC
H
2COOPEG),4.18(t,PEGOCH
2COOCH
2CH
2OPEG),4.4
5(t,PEGOCH
2CH
2OCONHS),2.81(s,NHS)。
【0069】
実施例7 CH
2=CHCO
2PEGOCH
2CO
2PEGO
2CCH=CH
2の調製反応:
【化8】
【0070】
CH
2=CHCO
2PEGOCH
2CO
2PEGO
2CCH=CH
2の調製:HOPEGOCH
2CO
2PEGOH(M.W.=6800,1.5g、0.44mmole 末端基)を、
100mlのトルエンで2時間共沸乾燥した。溶液をN
2下で室温に冷却し、25mlの
塩化メチレンおよびトリエチルアミン(TEA,0.56mmole)を添加した。溶液
を氷浴中で冷却し、溶液にアクリロイルクロリド(1.5mmole)のCH
2Cl
2溶液
を滴下した。アクリロイルクロリドの添加後、氷浴を取り除き、溶液を室温で一晩撹拌し
た。1mlのエタノールを添加して過剰量のアクリロイルクロリドを消費し、塩化メチレ
ンを減圧濃縮した。濾過によって塩を除去し、残りの溶液を100mlのエーテルで沈殿
させた。生成物を濾過によって回収し、真空乾燥した。生成物を50mlのクロロホルム
に溶解し、炭酸ナトリウム(1.3g)を添加した。混合物を室温で一晩激しく撹拌した
。塩を濾過によって除去し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を5mlの塩化メチレンに溶
解し、100mlエチルエーテルに溶液を添加した。得られた沈殿を濾過によって回収し
、20mlの2−プロパノールで洗浄し、40mlのエーテルで洗浄した。最後に、生成
物を真空乾燥した。収量1.35g(90%)。
1H nmr(DMSO―d
6):δ3.
5(br m,PEG),4.14(t,PEGOC
H2COOPEG),4.18(t
,PEGOCH
2COOC
H2CH
2OPEG),4.21(t,CH
2=CHCOOC
H2
CH
2OPEG,4H),5.85−6.45(m,C
H2=C
HCOOPEG)。
【0071】
実施例8 CH
3OPEGOCH
2CH
2CO
2PEGOHの調製反応:
【化9】
【0072】
a) CH
3OPEGOCH
2CH
2CO
2PEGOBzの調製:100mlの丸底フラスコ
中で、CH
3OPEGOCH
2CH
2CO
2H(MW=2000,2g、lmmole)溶液
をトルエンに溶解し、2時間共沸乾燥した。ゆっくりと室温に冷却後、チオニルクロリド
(3 ml,6mmole)の塩化メチレン溶液にこの溶液を添加し、N
2下で一晩撹拌し
た。次いで、回転式蒸発器によって溶媒を除去し、残ったシロップをP
2O
5粉末と共に約
4時間真空乾燥した。固体に5mlの無水塩化メチレンおよび共沸乾燥BzOPEGOH
(MW=3400,2.04g、0.60mmol)のトルエン溶液(20ml)を添加
した。得られた溶液に0.6mlの新たに蒸留したトリエチルアミンを添加し、溶液を一
晩撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過によって除去し、粗生成物をエチルエーテルで沈
殿させ、濾過によって回収した。次いで、混合物をイオン交換クロマトグラフィー(DE
AEセファロースfast flowカラム、Pharmacia)によって精製した。
純粋なCH
3OPEGOCH
2CH
2CO
2PEGOBzが得られた。収量:2.6g(80
%)。lH nmr(DMSOd6):( 3.5(br.mult.,PEG),3.24
(s,CH
3OPEG),4.48(s,−PEGOCH
2C
6H
5),7.33(s + c
omp.mult.,PEGOCH
2C
6H
5),2.55(t,OCH
2CH
2CO
2PEG
),4.13(t,PEGCO
2CH
2CH
2OPEG)。
【0073】
b) CH
3OPEGOCH
2CH
2CO
2PEGOHの調製:2gのCH
3OPEGOCH
2
CH
2CO
2PEGOBzの1,4−ジオキサン溶液を1グラムのPd/C(10%)上で
H
2(2atm)で一晩水素化分解した。濾過によって触媒を除去し、溶媒を減圧濃縮し
、エチルエーテルに溶液を添加した。生成物を濾過によって回収し、室温で減圧乾燥して
、1.5g(75%)のCH
3OPEGOCH
2CH
2CO
2PEGOHを得た。1H nmr
(DMSOd6):( 3.5(br.mult.PEG),3.24(s,CH
3OPEG
),2.55(t,OCH
2CH
2CO
2PEG),4.13(t,PEGCO
2CH
2CH
2
OPEG)。
【0074】
実施例9 NHSO
2CCH
2CH
2COOPEGOCH
2CH
2CH(OC
2H
5)
2の調製反
応:
【化10】
【0075】
a) BzOPEGOMsの調製:BzOPEGOH(MW=3400,25g、7.3
5mmol)の150mlトルエン溶液を、窒素下で1時間共沸し、溶液を室温に冷却し
た。溶液に20mlの乾燥塩化メチレン、1.14mlの乾燥トリエチルアミン(8.1
6mmol)、および0.61mlの乾燥メシルクロリド(7.86mmol)を滴下し
た。溶液を窒素下、室温で一晩撹拌し、5mlの無水エタノールの添加により反応を停止
させた。混合物を減圧濃縮し、濾過し、再度減圧濃縮し、エチルエーテル中で沈殿させた
。生成物を濾過によって回収し、真空乾燥した。収量:23g(100%)。1H nmr
(DMSOd6):( 3.5(br m,PEG),4.31(t,OCH
2CH
2OMs)
,4.49(s,C
6H
5CH
2OPEG),7.33(s + comp m.,C
6H
5CH
2OPEG)。
【0076】
b) BzOPEGOCH
2CH
2CH(OC
2H
5)
2の調製:3,3−ジエトキシプロパノ
ール(9.806g、66.2mmol)を窒素下の90mlのトルエン中で1時間共沸
した。室温に冷却後、水素化ナトリウム(60%鉱物油液、2.75g、68.7mmo
l)の50ml無水トルエン分散物に溶液を添加した。35℃に穏やかに加熱しながら溶
液を2時間混合し、濾過した。BzOPEGOMs(23g、6.76mmol)の15
0mlトルエン共沸溶液に、濾過物を添加した。混合物を125℃の窒素雰囲気下で20
時間濃縮し、残渣を80mlの塩化メチレンに溶解した。溶液を濾過し、生成物を1リッ
トルの冷イソプロピルアルコールで沈殿させた。生成物を濾過によって回収し、真空乾燥
した。粉末を100mlの脱イオン水に溶解し、200mlの塩化メチレンで3回抽出し
た。混合物を減圧濃縮し、濾過し、エチルエーテルで沈殿させた。生成物を濾過によって
回収し、真空乾燥した。収量19g(100%)。1H nmr(DMSOd6):( 1.
10(t,−CH(OCH
2CH
3)
2,1.73(q,OCH
2CH
2CH),3.5(b
r m,PEG),4.49(s,C
6H
5CH
2OPEG),4.56(m,CH(OCH
2CH
3)
2),7.33(s + comp m,C
6H
5CH
2OPEG)。
【0077】
c) HOPEGOCH
2CH
2CH(OC
2H
5)
2の調製:BzOPEGOCH
2CH
2CH
(OC
2H
5)
2(10g、2.94 mmol)を100mlの96%エタノールに溶解し
、窒素下で5.0gの10%炭素担持Pd触媒を添加した。懸濁液をH
2(40psi)
下で48時間震盪し、懸濁液を濾過した。残渣を塩化メチレンで洗浄した。塩化メチレン
とエタノールとの合わせた濾過物中の生成物を減圧濃縮し、濾過した。粘性溶液を冷エチ
ルエーテルで沈殿させ、生成物を濾過によって回収し、真空乾燥した。収量:15g。1
H nmr(DMSOd6):( 1.10(t,CH(OCH
2CH
3)
2,1.72(q,
−OCH
2CH
2CH).3.5(br m,PEG),4.55(m,CH(OCH
2CH
3)
2)。
【0078】
d)HO
2CCH
2CH
2CO
2PEGOCH
2CH
2CH(OCH
2CH
3)
2の調製:HOP
EGOCH
2CH
2CH(OC
2H
5)
2(3g,0.88mmol)およびBHT(5mg
)を、20mlの無水トルエンに溶解し、窒素下、120℃で1時間共沸した。溶液を7
5℃に冷却後、ピリジン(0.36ml)および無水コハク酸(0.353g)を添加し
、75℃で24時間撹拌した。溶液を減圧濃縮し、濾過し、冷エチルエーテルに沈殿させ
た。沈殿物を濾過によって回収し、真空乾燥した。粉末を50mlの脱イオン水中で再構
成し、1Mの水酸化ナトリウムを滴下してpHを7.2に1時間維持した。1NHClを
即座に滴下して、pH3.0とし、その後すぐに100mlの塩化メチレンで3回抽出し
た。有機層中の生成物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、冷エチルエーテルで沈殿
させ、濾過によって回収し、真空乾燥した。収量:2.0g(88%)。1H nmr(D
MSOd6):( 1.10(t,CH(OCH
2CH
3)
2,1.72(q,OCH
2CH
2C
H),3.5(br m,PEG),4.12(t,CO
2CH
2 ),4.55(t,CH
(OCH
2CH
3)
2)。
【0079】
e) NHSO
2CCH
2CH
2CO
2PEGOCH
2CH
2CH(OCH
2CH
3)
2の調製:H
O
2CCH
2CH
2CO
2PEGOCH
2CH
2CH(OCH
2CH
3)
2(2.0g、0.56
mmol)を窒素雰囲気下で20mlの無水塩化メチレンに溶解した。N−ヒドロキシス
クシンイミド(105 mg,0.91mmol)を、最初に溶液に添加し、その後ジシ
クロヘキシルカルボジイミド(174 mg,0.84mmol)を添加した。溶液を窒
素雰囲気下の室温で一晩撹拌した。生成物を減圧濃縮し、濾過し、冷エチルエーテルに沈
殿させ、濾過によって回収し、真空乾燥した。収量:1.5g:(99%)。1H nmr
(DMSOd6):( 1.10(t,CH(OCH
2CH
3)
2,1.72(q,OCH
2C
H
2CH),2.80(s,NHS),3.5(br m,PEG),4.12(t,CO
2CH
2),4.55(t,CH(OCH
2CH
3)
2)。
【0080】
実施例10 CH
2=CHCO
2PEGOCH
2CO
2CH(CH
3)CH
2CO
2NHSの調製
反応:
【化11】
【0081】
a) BzOPEGOCH
2CO
2CH(CH
3)CH
2CO
2Hの調製:BzOPEGOCH
2CO
2H(MW=3400,15g、4.4mmole)を、N
2下で60mlのトルエ
ンと共沸した。2時間後、溶液をゆっくりと室温に冷却した。この溶液に、チオニルクロ
リド(18 ml,36mmole)を添加した。得られた溶液を一晩撹拌し、溶媒を回
転式蒸発器で濃縮し、シロップをP
2O
5粉末と共に約4時間真空乾燥した。3−ヒドロキ
シ酪酸(1.45g、13.5mmole)を70mlの1,4−ジオキサンと共沸乾燥
し、乾燥BzOPEGOCH
2COClに添加した。PEGアクリルクロリドを溶解後、
4.5mlの乾燥トリエチルアミンをこの系に注入し、溶液を一晩撹拌した。濾過によっ
て塩を除去し、濾過物を55℃の回転式蒸発器で濃縮し、真空乾燥した。次いで、粗生成
物を100mlの蒸留水に溶解し、溶液のpHを3.0に調整した。水層を全部で80m
lの塩化メチレンで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転式蒸
発器で濃縮し、100mlのエチルエーテルで沈殿させた。生成物を濾過によって回収し
、室温で真空乾燥した。収量:14g(93%)。1H nmr(DMSOd6):( 3.
5(br m,PEG),2.58(d,PEGCOOCH(CH
3)CH
2COOH),
5.14(h,PEGCOOCH(CH
3)CH
2COOH),1.21(d,PEGCO
OCH(CH
3)CH
2COOH),4.055(s,PEGOCH
2COO),4.49
(s,C
6H
5CH
2OPEG),7.33(s+comp.mult.,C
6H
5CH
2OP
EG)。
【0082】
b)HOPEGOCH
2CO
2CH(CH
3)CH
2CO
2Hの調製:BzOPEGOCH
2C
O
2 OCH(CH
3)CH
2CO
2H(8 g)のベンゼン(50ml)溶液を室温で48時
間4グラムのPd/C(10%)上でH
2(2atm)で水素化分解した。濾過によって
触媒を除去し、溶媒を濃縮し、溶液をエチルエーテルで沈殿させた。生成物を濾過によっ
て回収し、室温で真空乾燥した。収量:6.6グラム(83%)。1H nmr(DMSO
d6):( 3.5(br m,PEG),2.51(d,PEGCO
2CH(CH
3)CH
2
CO
2H),5.16(h,PEGCO
2CH(CH
3)CH
2CO
2H),1.22(ds
PEGCO
2CH(CH
3)CH
2CO
2H),4.06(s,PEGOCHCO
2CH(C
H
3)−。
【0083】
c) CH
2=CHCO
2PEGOCH
2CO
2CH(CH
3)CH
2CO
2Hの調製:HOPE
GOCH
2CO
2CH(CH
3)CH
2CO
2H(3g,0.88mmole)を、約15m
lの溶液となるまでN
2下で40mlのトルエンと共沸した。次いで、溶液をN
2下で室温
に冷却し、25mlの塩化メチレンおよびトリエチルアミン(1.5mmole)を添加
した。溶液を氷浴中で冷却し、アクリロイルクロリド(2mmole)を滴下した。アク
リロイルクロリドの添加後、氷浴を取り除き、溶液を室温で一晩撹拌した。次いで、塩化
メチレンを減圧下で部分的に除去し、塩を濾過によって除去し、100mlのエーテルに
濾過物を添加した。沈殿した生成物を濾過によって回収し、真空乾燥した。次いで、生成
物を酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M,pH5.5)に溶解し、30分間撹拌し、塩化メ
チレンで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、100ml
のエチルエーテル中で沈殿させた。沈殿物を濾過によって回収し、室温で真空乾燥した。
収量:2.4g(80%)。1H nmr(DMSOd6):( 3.5(br m,PEG)
,2.51(d,CH
2CO
2H),5.16(h,CH(CH
3),1.22(d,CH
(CH
3)),4.06(s,PEGOCH
2CO
2PEG),4.21(t,CO
2CH
2
CH
2O),5.856.45(m,CH
2=CH)。
【0084】
d) CH
2=CHCO
2PEGOCH
2CO
2CH(CH
3)CH
2CO
2NHSの調製:CH
2=CHCO
2PEGOCH
2CO
2CH(CH
3)CH
2CO
2H(1.4g、約0.4mm
ole)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(51mg,0.43mmole)を、3
0mlの乾燥塩化メチレンに溶解した。この溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(
95mg,0.45mmole)の5mlの乾燥塩化メチレン溶液を添加した。溶液を窒
素下で一晩撹拌し、溶媒を回転式蒸発器によって除去した。得られたシロップを、10m
lの乾燥トルエンに溶解し、不溶性固体を濾過によって除去した。100mlの乾燥エチ
ルエーテルに濾過物を添加し、沈殿した生成物を濾過によって回収し、室温で真空乾燥し
た。収量0.94g(94%)。1H nmr(DMSOd6):( 3.5(br m,PE
G),3.03.2(m,PEGCOOCH(CH
3)CH
2COONHS),5.26(
h,PEGCOOCH(CH
3)CH
2COONHS),1.3(d,PEGCOOCH(
CH
3)CH
2COONHS),4.10(s,PEGOCH
2COO(CM)),2.8
1(s,NHS),4.21(t,CH
2=CHCOOCH
2CH
2OPEG,4H),5
.856.45(m,CH
2=CHCOOPEG)。
【0085】
実施例11 BzOPEGOHとHOPEGOHとの混合物由来のHOPEGOHを含
まないCH
3OPEGOHの調製法反応:
【化12】
BzOPEGOCH
3+CH
3OPEGOCH
3の別の合成
【化13】
いずれかの経路由来の生成物が水素化分解される。
【化14】
【0086】
a) BzOPEGOMsの調製:6重量%のHOPEGOHを含むBzOPEGOH(
MW=5000,50g、10mmoles)をトルエンに溶解し、溶液を窒素下で2時
間共沸乾燥し、室温に冷却した。この溶液に50mlの無水塩化メチレンおよび2.1m
lの無水トリエチルアミン(15mmoles)を添加した。得られた溶液を氷浴中で冷
却し、1.2mlのメシルクロリド(15mmoles)を滴下した。次いで、溶液を室
温で一晩撹拌し、2mlの無水エタノールの添加によって反応を停止させた。混合物を減
圧濃縮して100mlの溶媒を除去し、濾過し、800mlの冷エーテルに添加した。沈
殿した生成物を濾過によって回収し、減圧乾燥した。収量48.3g(96.6%)。1
H nmr(DMSOd6):( 3.5(br m,PEG),4.31(t,OCH
2CH
2OMs),4.49(s,C
6H
5CH
2OPEG),7.33(s+complex m
ult.,C
6H
5CH
2OPEG)。
【0087】
b) MsOPEGOCH
3の調製:6重量%のMsOPEGOMs(MW=5078,4
5g、8.86mmoles)を含むBzOPEGOMsの250mlのトルエン溶液を
2時間共沸乾燥した。得られた溶液に25重量%のナトリウムメトキシド(11.5g、
53.2mmoles,6倍過剰)のメタノール溶液を添加し、得られた溶液を窒素下、
120〜122℃で20時間加熱した。次いで、得られた溶液を室温に冷却し、2mlの
水を添加し、混合物を15分間撹拌した。次いで、混合物を減圧濃縮して100mlの溶
媒を除去し、濾過し、700mlの冷エーテルに濾過物を添加した。沈殿した生成物を濾
過によって回収し、減圧乾燥した。収量:42.8g。1H nmr(DMSOd6):(
3.24(s,PEG),3.51(br.mult.,PEG),4.49(s,C
6
H
5CH
2OPEG),7.33(s+comp.mult.,C
6H
5CH
2OPEG)。
【0088】
c) BzOPEGOHからのBzOPEGOCH
3の調製:6重量%のHOPEGOH(
MW=10,000,50g、5.0moles)を含むBzOPEGOHの250ml
のトルエン溶液を窒素下で2時間共沸し、溶液を室温に冷却した。カリウムtert−ブ
トキシド(1.0Mのtert−ブタノール溶液、25ml、25mmole)を添加し
、混合物を15分間撹拌した。次いで、ヨウ化メチル(7.1g、50mmole)を添
加し、混合物を暗所で室温の窒素下で20時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を
100mlの塩化メチレンに溶解し、800mlの冷エーテルに添加した。沈殿した生成
物を濾過によって回収し、減圧乾燥した。収量:46.8g。1H nmr(DMSOd6
):( 3.24(s,CH
3OPEG),3.51(br.mult.,PEG),4.
49(s,C
6H
5CH
2OPEG),7.33(s+comp.mult.,C
6H
5CH
2
OPEG)。
【0089】
d) HOPEGOHを含まないCH
3OPEGOHの調製:6重量%のCH
3OPEGO
CH
3(40g、MW=10,000,mmoles)を含むBzOPEGOCH
3を40
0mlのエタノールに溶解し、4gの活性炭担持Pd触媒(10%Pd)を添加した。混
合物を室温で水素化分解した(800psi)。次いで、混合物を濾過し、減圧下で溶媒
を除去した。収量:37.1g。1H nmr(DMSOd6):((s,CH
3OPEG)
,3.51(br.mult.,PEG),4.58(t,OH)。
【0090】
本発明を特定の実施形態に記載している。しかし、上記は本発明を例示の実施形態に限
定することを意図せず、上記の明細書中に記載の本発明の範囲および目的の範囲内で変形
形態を行うことができることが当業者に認識されるはずである。それに対して、本発明は
、すべての変更形態、修正形態、および等価物を含み、これは、特許請求の範囲によって
定義される本発明の目的および範囲内に含めることができる。