特許第5953488号(P5953488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5953488溶液を提供するための容器、システムならびに方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953488
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】溶液を提供するための容器、システムならびに方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/10 20060101AFI20160707BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   A61J1/10 335C
   A61J1/10 335A
   A61J1/10 330Z
   A61M1/14 511
   A61M1/14 551
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-131620(P2013-131620)
(22)【出願日】2013年6月24日
(62)【分割の表示】特願2009-514814(P2009-514814)の分割
【原出願日】2007年6月15日
(65)【公開番号】特開2013-215606(P2013-215606A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2013年7月3日
(31)【優先権主張番号】0601327-0
(32)【優先日】2006年6月15日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】516122508
【氏名又は名称】キパックス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】トレ・フォークヴァル
(72)【発明者】
【氏名】ペール−オロヴ・カールソン
【審査官】 久郷 明義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−299134(JP,A)
【文献】 特開2005−000677(JP,A)
【文献】 特表平08−511216(JP,A)
【文献】 特開2005−118445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療溶液を提供するための容器であって、
少なくとも2つのコンパートメントを含み、前記2つのコンパートメントのうち少なくとも1つのコンパートメントは、粉末を有し、前記少なくとも2つのコンパートメントのうち1つは、所定の量の液体を収容するように構成された最も低いコンパートメントであり、
前記最も低いコンパートメントに接続されたインレットコネクターと、
前記最も低いコンパートメントに接続されたアウトレットコネクターと、
前記少なくとも2つのコンパートメントを分離するように前記容器の長手方向に沿って配置された、接合されたコンパートメントデバイダーとを含み、前記接合されたコンパートメントデバイダーは、前記最も低いコンパートメントが使用時に前記インレットコネクターを介して前記所定の量の液体により充満されると割れるように構成され、
前記アウトレットコネクターおよび前記インレットコネクターは、1の二管式コネクターに集約され、
前記インレットコネクターおよび前記アウトレットコネクターは、前記インレットコネクターを介した前記液体の流入および前記アウトレットコネクターを介した前記液体の流出を同時にできるように構成され、
前記アウトレットコネクターを介した流出と、前記インレットコネクターを介した流入を行うことで、前記液体を前記粉末と混合し、
前記二管式コネクターは、スリーブ内に設けられたカニューレを有し、前記カニューレと前記スリーブは、前記インレットコネクターと前記アウトレットコネクターのいずれか一方である、容器。
【請求項2】
前記コンパートメントデバイダーは、矢尻形状に設けられる、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記インレットコネクターおよび/または前記アウトレットコネクターは、バルブを備える、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記インレットコネクターは、前記インレットコネクターを介して前記所定の量の液体を供給するための液体ポンプに接続可能である、請求項1から3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記医療溶液は、電解質溶液を含む、請求項1から4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記粉末は、重炭素粉末である、請求項1から5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
前記インレットコネクターおよび/または前記アウトレットコネクターは、膜を備える、請求項1から6のいずれかに記載の容器。
【請求項8】
前記容器の第1コンパートメントの内側に設けられた少なくとも1つのフロー流通経路をさらに備え、前記フロー流通経路の各々は、近位端および遠位端を有し、前記近位端は、前記インレットコネクターに接続され、前記遠位端は、少なくとも1つのポンプコンパートメントに接続され、前記ポンプコンパートメントは、前記ポンプコンパートメントに与えられる外部からの交互加圧動作によって、前記容器内で混合動作を提供するように構成される、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記少なくとも2つのコンパートメントは、3つのコンパートメントであり、前記3つのコンパートメントは、2つの接合されたコンパートメントデバイダーにより隔てられ、前記2つの接合されたコンパートメントデバイダーの各々は、前記最も低いコンパートメントが使用時に前記インレットコネクターを介して前記所定の量の液体により充満されると割れることができる、請求項1から8のいずれかに記載の容器。
【請求項10】
前記最も低いコンパートメントは、空であって、液体により充填可能である、請求項9に記載の容器。
【請求項11】
前記最も低いコンパートメントは、移動の際に折畳み可能である、請求項9または10に記載の容器。
【請求項12】
前記所定の量の液体は、少なくとも5リットルである、請求項1から11のいずれかに記載の容器。
【請求項13】
前記液体は、前記インレットコネクターに接続可能な清浄水源からのものである、請求項1から12のいずれかに記載の容器。
【請求項14】
前記少なくとも2つのコンパートメントのうち少なくとも1つは、溶液を含む、請求項1から13のいずれかに記載の容器。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の容器への接続のための接続アダプターであって、
前記インレットコネクターへの接続のための第1アダプターと前記アウトレットコネクターへの接続のための第2アダプターとを含む、接続アダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に溶液の分野に関し、具体的には、医療溶液に関する。本発明は、より具体的に述べると、透析液等の医療溶液を提供する容器、方法ならびにシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許6149294は、粉末から医療に用いられる溶液を準備するための装置を開示している。かかる装置は、水と粉末を混ぜその中に濃縮液を提供する容器、ならびに、所定濃度を有する濃縮液を準備するために、水と粉末をさらに混ぜ、水あるいは濃縮液を前記容器中に再循環させる再循環回路を備えている。
【0003】
この装置では、血液透析(HD)、血液透析ろ過法(HDF)あるいは血液ろ過法(HD)を実行する透析装置に送られる調合済み透析液あるいは代替液を準備することができる。こうして準備された液は、腹膜透析、又は、患者の血液に注入される栄養剤等、他の目的にも使用可能である。しかし、この装置は、いくつかのバルブおよびコンピュータによる制御が要求される他の装置を備えている。したがって、医療溶液を準備するため、より簡易な装置が求められている。
【0004】
国際公開公報WO00/057833は、透析治療に用いるための薬剤を封入するための容器を開示している。かかる容器は、電解液コンパートメントならびに粉末コンパートメントを備えている。電解液コンパートメント中の電解液に粉末を溶かすため、粉末コンパートメントは使用直前に開封される。別のコンパートメントを設けるようにしてもよい。混合された溶液は、腹膜透析等における次の使用のため、排出チューブを介して送られる。別々のコンパートメントは、折れ易いピンあるいはプルタブを引っ張ることにより破れるシールによって互いに接続されている。
【0005】
この容器は、その内容を混ぜ合わせるために異なるコンパートメント同士を接続するため、手動による作業を必要とする。しかし、それらの薬剤を用いる、透析患者等の多くは筋力が弱っており、かかる引っ張り作業を実行するのが困難である。したがって、システムに設けることが可能で、患者による作業、あるいは、患者に最小限の筋力を求めることなく、自動的に混合を実行する容器が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許6149294
【特許文献2】国際公開公報WO00/057833
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、上述の一以上の技術的な課題および欠点について、それを単独あるいはいずれかの組み合わせにより、軽減し、緩和し、取り除くよう努め、添付した特許請求の範囲に基づく容器、システム、プロセスならびに使用方法を提供することにより、少なくとも上述の問題点を解決することが好ましい。本発明のある側面によると、薬剤を封入するための容器であって、前記薬剤を有する少なくとも一のコンパートメント(A、B、C)と、前記コンパートメントと接続するためのインレットコネクターと、前記インレットコネクターから前記少なくとも一のコンパートメントを隔てる、少なくとも一のセパレーターと、を備えており、前記セパレーターは、前記コネクターを介して圧力が加えられると開くよう構成されること、を特徴とする容器が提供される。
【0008】
本発明の他の側面によると、薬剤を提供するためのシステムが提供される。当該システムは、そのコンパートメント内に液体を受けるためのインレットコネクターを備えた少なくとも一の容器と、液体源(105)から前記少なくとも一の容器に水などの液体を提供するためのインレットチューブにより、前記インレットコネクターに接続された液体ポンプと、前記液体ポンプと前記インレットコネクターとの間に設けられ、通常は開いている第一バルブ(95)と、前記インレットコネクターと溶液供給容器の間に設けられ、通常は閉じている第二バルブとを備え、使用の際、前記少なくとも一の容器の内容物を前記液体源からの液体と混合することによって前記薬剤が準備される。
【0009】
本発明のさらに他の側面によると、薬剤を提供するための方法が提供される。かかる方法は、請求項1から請求項20に基づくいずれのか容器内に、送水ポンプならびに第一バルブを介して水源から第一の水量を導入するステップと、前記少なくとも一のコンパートメントデバイダーの最初のものを開くため前記送水ポンプによって圧力を加えるステップと、前記圧力が加えられると前記送水ポンプを停止し、再循環ポンプによって前記容器の内容物を再循環させ、これにより、混合された医療溶液を提供するとともに、前記混合医療溶液を、前記溶液供給容器に伝達するステップと、を備える。
【0010】
本発明の他の側面によると、請求項20から請求項32に基づくいずれかのシステムを空にする方法が提供される。かかる方法は、前記送水ポンプの方向を、逆方向ポンピングモードに変更するステップと、前記第一バルブならびに前記第二バルブの方向を、逆方向フローモードに変更するステップと、液体をドレイン内にポンピングすることにより、前記システムの液体を空にするステップと、を備える。
【0011】
また、本発明の他の側面によると、連続携帯式腹膜透析、あるいは、連続循環腹膜透析、バッチ式血液濾過およびバッチ式血液透析などの腹膜透析治療における請求項1から請求項13に基づく容器の使用方法が提供される。
【0012】
さらに、本発明の他の側面によると、血液透析、オンライン血液濾過およびオンライン血液透析などの腹膜透析治療における請求項1から請求項19に基づく容器の使用方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明により可能となる、これらおよび他の側面、特徴、ならびに効果は、添付図面を参照することにより述べられる本発明の実施形態の説明から明らかであり、それによって明確にされる。
図1図1は、異なる実施形態に基づくバッグ型容器の略図である。
図2図2は、異なる実施形態に基づくバッグ型容器の略図である。
図3図3は、異なる実施形態に基づくバッグ型容器の略図である。
図4図4は、異なる実施形態に基づくバッグ型容器の略図である。
図5図5は、異なる実施形態に基づくバッグ型容器の略図である。
図6図6は、異なる実施形態に基づくバッグ型容器の略図である。
図7図7は、異なる実施形態に基づくバッグ型容器の略図である。
図8図8は、異なる実施形態に基づくバッグ型容器の略図である。
図9図9は、様々な実施形態に基づくシステムの略図である。
図10図10は、様々な実施形態に基づくシステムの略図である。
図11図11は、様々な実施形態に基づくシステムの略図である。
図12図12は、様々な実施形態に基づくシステムの略図である。
図13図13は、様々な実施形態に基づくシステムの略図である。
図14図14は、システムを空にするプロセスに関する図である。
図15図15は、システムを殺菌するプロセスに関する図である。
図16a図16は、ある実施形態に基づくバッグ接続アダプターの図である。
図16b図16は、ある実施形態に基づくバッグ接続アダプターの図である。
図16c図16は、ある実施形態に基づくバッグ接続アダプターの図である。
図17a図17は、ある実施形態に基づくバッグ型容器の図である。
図17b図17は、ある実施形態に基づくバッグ型容器の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明は、透析システムに適用可能な本発明の実施形態に焦点を当てるものであって、具体的には、透析液、あるいは、粉状の濃縮物を用いることにより異なる濃度の透析用濃縮物を準備することに関する。しかし、発明は、本明細書に限定されず、他の多くの液を混合し、溶液を提供するシステムに適用可能であることが理解される。したがって、以下で説明される実施形態により準備される医療溶液を、濃縮液又は透析用の既製溶液として透析治療のために、乳酸リンゲル液等の輸液、栄養剤、代替溶液、血漿増量液等として用いることが可能である。
【0015】
図1は、バッグ10をコンパートメントA、BおよびCに仕切る二のコンパートメントデバイダー6を備える、バッグ10等の容器を開示している。かかるコンパートメントAからCは、粉末を液体に溶かし、コンパートメントAからCの内容物を混合させることにより、透析等の溶液を提供するために適切な量の粉末あるいは液体を含んでもよい。また、穴8あるいはターミナルストリップ等を用い、バッグ10をハンガーに任意に取り付けるようにしてもよい。
【0016】
かかるバッグ10は、水等の液体又は気体を、バッグのコンパートメントAに導入するためのインレットチューブ2に接続されたインレットコネクター3を用いて取り付けられる。液体がインレットコネクター3を介してバッグ10に入ると、以下で更に述べるように、コンパートメントデバイダー6は、コンパートメント同士が互いに接続するため、破壊又は破裂するように構成される。
【0017】
コンパートメントAおよびBとの間の第一コンパートメントデバイダー6’は、インレット3に接続しているコンパートメントAの内側の流圧が、所定の第一圧を上回ると破壊される。次に、最初のコンパートメントAは、二番目のコンパートメントBに接続され、その内容物は互いに混ぜられ、混合される。
【0018】
第一コンパートメントデバイダー6’が開くと、コンパートメントBとともにコンパートメントAの体積が増加するので流圧は下降する。バッグ内にさらに液体を導入し続けることにより、内部の流圧は、所定の第二圧まで上昇し、これにより、コンパートメントBとコンパートメントCとの間の第二コンパートメントデバイダー6’が開き、コンパートメントBとコンパートメントC間の連通を提供する。したがって、コンパートメントAおよびBの内容物とコンパートメントCの内容物との第二の混合が提供される。
【0019】
前記所定の第一および第二圧は、主に、バッグならびにそれぞれのコンパートメントデバイダーの設計によって決定される。いくつかの実施形態において、前記所定の第一および第二圧は同じであるが、それらはバッグの設計によって異なるので、使われた材料の剛性ならびに各コンパートメントデバイダーの設計に関し、所定圧は、異なるバッグの間ならびにバッグ内の前記所定の第一および第二圧間で変動する。例えば、コンパートメントデバイダーについての所定圧は、1から2気圧であり、1.5気圧等であってもよい。しかし、コンパートメントデバイダーを破壊又は破裂させるため、他のいずれの所定圧を用いることもできる。
【0020】
以下において、“十分な圧”という語は、バッグならびにコンパートメントデバイダーの設計に基づく所定圧であって、コンパートメントデバイダーを破壊又は破裂させるのに十分なものと解釈することができる。
【0021】
当該コンパートメントデバイダーは、図2におけるバッグ20で示すように、矢尻21形状に設けてもよい。バッグ20内に液体が導入されると、コンパートメントデバイダー上に作用する最大張力が前記矢尻形状に局所化され、これにより増大した圧が加えられると、まず、コンパートメントデバイダーの当該部分21が開く。この実施形態の長所は、バッグ内の場所に関するコンパートメントデバイダーの開放プロセスが制御できることである。
【0022】
バッグの内容物ならびにバッグの内容物を混ぜる方法にもよるが、異なる種類のコンパートメントデバイダーの形状を選ぶようにしても良い。例えば、図1に示すように、まっすぐなコンパートメントデバイダーを設けるようにしてもよい。また、コンパートメントデバイダーは、波形形状であってもよい。さらに、コンパートメントデバイダーは、圧力が加わると、いくつかの場所で同時にコンパートメントデバイダーが開くことになる、ジグザグ形状であってもよい。
【0023】
コンパートメントデバイダーを開くために用いられる液体は、水源から提供される水であってもよい。ある実施形態において、コンパートメントデバイダー6’が破壊された場合、コンパートメントAに導かれた水は、コンパートメントB内に配置された粉末を溶かすために用いてもよい。さらに水が導かれると、コンパートメントBとCの間の第二コンパートメントデバイダー6’’が破壊され、溶液、あるいは、更なる粉末が、結合されたコンパートメントAおよびBの内容物と混ぜられ、これにより調合済み医療溶液が提供される。
【0024】
他の実施形態において、コンパートメントデバイダーを開けるために用いられた液体は、空気又は窒素ガス等の加圧された気体であってもよい。この場合、かかる液体は、最終的な液体の準備に関係することはないが、コンパートメントの内容物を混ぜるため、コンパートメントデバイダー6’ならびに6’’を開けるためだけに用いられる。ある実施形態において、低い位置にあるコンパートメントAは水を有し、第二コンパートメントは、混合がなされる際に溶液に溶けるパワーを有する。最後に、コンパートメントCは、コンパートメントデバイダーが破壊され、混合がなされる際に溶液に溶ける、別の粉末を有してもよい。
【0025】
通常バッグに含まれる酸素から遊離基(free radical)を除去するため、窒素を用いてもよい。
【0026】
ある実施形態において、コンパートメントデバイダーは、化学反応あるいは溶解を介して開放されるよう構成される。かかるコンパートメントデバイダーは、たとえば、化学反応又は溶解を生じさせることが可能な、非有毒性の接着剤等の物質を用いて閉じるようにしてもよい。水等の化学試薬を、たとえばインレットコネクターを介してバッグ内に導くことにより、非有毒性の接着剤と化学試薬の反応によって、接着剤が溶解してコンパートメントデバイダーを開かせることになる。
【0027】
ある実施形態において、コンパートメントデバイダーは、当該コンパートメントデバイダーが熱せられた場合に開くよう構成される。たとえば、コンパートメントデバイダーは、熱溶解を生じさせることが可能な、非有毒性の感熱接着剤等の物質を用いて閉じるようにしてもよい。したがって、コンパートメントデバイダーに熱を加えることによって、当該コンパートメントデバイダーが開くようになる。
【0028】
ある実施形態において、コンパートメントデバイダーは、さらに、コンパートメントデバイダーの上の熱均質性を改善する熱伝導材料であってもよい。たとえば、それが開くまでコンパートメントデバイダーを熱するために、薄い金属箔を用いてもよい。
【0029】
ある実施形態において、コンパートメントデバイダーは、誘導によって開くよう構成される。電磁界を誘導することにより、コンパートメントデバイダーを閉じるのに用いられる物質の特性を変更してもよい。
【0030】
いくつかの実施形態においては、その中にある実施形態に基づくバッグが挿入される、真空チャンバーが設けられる。かかる真空チャンバーは、医療溶液を提供するためそこにバッグが接続される、バッグ接続アダプター160(以下で詳細を説明する)の一部であってもよい。当該真空チャンバーは、真空状態を連続的に作り出し、真空チャンバー内に空気を入れることにより、バッグの内容物を混合するアクションを提供するために用いてもよい。これにより、バッグの内容物は、バッグインレットコネクター等のバッグコネクターを介してバッグの外に押し出され、同じあるいは別のバッグコネクターを介して再びバッグ内に戻ることによって混合される。
【0031】
前記インレットチューブ2は、計量された値を送水ポンプによって提供する水源に接続してもよい。最終製品に適用可能とするため、バッグ内に導かれた水は、医療用の質を有していなければならない。透析液用に、逆浸透圧水を用いるようにしてもよい。血液回路内に導入される溶液としては、殺菌水を用いなければならない。
【0032】
また、前記インレットチューブ2を、バッグの内容物の再循環を提供する再循環ポンプに接続してもよい。
【0033】
バッグ内に導かれた水は、その量を慎重に制御する必要がある。したがって、計量ポンプを設ける等により、水量が監視される。バッグの重量を監視し、これによりバッグに導かれた水の重量を監視するよう、前記バッグをはかりの上に配置してもよい。
【0034】
再循環ポンプならびに水導入ポンプは、遠心ポンプ又はギアポンプあるいは蠕動ポンプ(peristaltic pump)であってもよい。
【0035】
図3に基づくバッグ30の一実施形態において、インレットコネクター33は、両方向の流れを可能にするのに適したバルブを備えている。再循環ポンプをインレットコネクター33に接続してもよく、再循環ポンプの流れを前後に切り替えることにより、バッグは、その内容物を混合することが可能となる。適当な期間の流入と適当な期間の逆流とが結合されて混合が行われる。コンパートメントデバイダーを開くのに十分な送り圧を用いることにより、異なるコンパートメントにおいてバッグ内容物の混合を得ることができる。
【0036】
図4に基づくバッグ40の一実施形態において、当該バッグ40は、上述のバッグ10、20および30と比較すると、アウトレットチューブ42に接続されたアウトレットコネクター41をさらに備えている。ここでは、バッグからインレットチューブ44への逆流を防止するため、逆止弁等のチェックバルブを有するインレットコネクター43が設けられている。アウトレットコネクター41も、アウトレットチューブ42からバッグ内への逆流を防止するため、逆止弁等のチェックバルブを有する。インレットチューブ44および/又はアウトレットチューブ42に、再循環ポンプ(図示せず)を接続することにより、混合物を交互に、インレットコネクター43を介してバッグ内に押し入れ、アウトレットコネクター41を介して排出することで、水とバッグの内容物を混合することを可能とする。この再循環プロセスは、水とバッグの内容物との効率的混合を提供する。かかる再循環プロセスは、水をかき回すことによって水の中での粉末の溶解を促進させる。
【0037】
図5に基づくバッグ50の一実施形態において、インレットコネクターならびにアウトレットコネクターは、51で示されるように一体化されている。逆止弁を備えた2方向アクセスチューブ52、53を介してバッグに混合物を提供し、そこから除去するために、一の貫入開口部しか必要でないことが、この実施形態の長所である。
【0038】
バッグ60の別の実施形態を図6に示す。かかるバッグ60は、図3に示されたバッグと類似し、さらに、バッグ60の上コンパートメントに位置するアウトレットコネクター61を備える。かかるアウトレットコネクター61は、アウトレットチューブ62からバッグ内への逆流を防止するため、逆止弁等のチェックバルブを有する。かかるバルブは、アウトレットチューブ62内に配置するようにしてもよい。インレットチューブ63に接続された再循環ポンプ(図示せず)は、インレットコネクター64を介して、混合物を、交互にバッグ内に押し入れ、排出することでバッグ60の内容物の混合を実行する。混合が完了し、混合溶液が得られた後、かかる混合溶液を、アウトレットコネクター61を介して、透析回路に提供してもよい。
【0039】
ある実施形態において、前記アウトレットコネクター61は、図10に示すように、例えば透析回路109に接続する吸引チューブ1099による侵入を可能にするよう適合される膜を有して構成される。かかる膜は、柔軟なプラスチック材料で形成してもよい。当該膜は、アルミ箔又はアルミ箔とポリエチレン等のプラスチック材料との組み合わせによって形成するようにしてもよい。
【0040】
図7に基づくバッグ70の一実施形態において、図6に図示されたバッグは、さらに、第二アウトレットチューブ72に接続する第二アウトレットコネクター71を備えている。インレットコネクター73は、バッグからインレットチューブ72内への逆流を防止するため逆止弁を有している。前記第二アウトレットコネクター71も、第二アウトレットチューブ72からバッグ内への逆流を防止するため逆止弁を有している。インレットチューブ74および/又はアウトレットチューブ72に、再循環ポンプ(図示せず)を接続することにより、第二アウトレットコネクター71を介して混合物を交互に排出し、インレットコネクター73を介してバッグ内に押し入れることで、バッグが水とバッグの内容物を混合させることを可能とする。混合が完了し、混合溶液が得られた後、かかる混合溶液は、バッグの上コンパートメント内の第一アウトレットコネクター75を介して、透析回路に提供される。
【0041】
ある実施形態において、図7のインレットコネクターならびに第二アウトレットコネクターは一体化されている。この実施形態の長所は、バッグに混合物を提供しそこから除去するため、一の貫入開口部しか必要でないことである。
【0042】
また、インレットコネクターならびにアウトレットコネクターを、二管式コネクターとして設けてもよく、かかるインレットコネクターは、前記アウトレットコネクターを構成するスリーブの内部に設けられたカニューレである。これとは逆に、当該アウトレットコネクターを、前記インレットコネクターを構成するスリーブの内部にカニューレとして設けるようにしてもよい。
【0043】
図8に別の実施形態が示される。ここで、図1に示されたバッグと類似するバッグ80は、さらに、当該バッグの上コンパートメントCに接続されたアウトレットコネクター81を備える。また、バッグ80は、二のフロー流通経路821、822ならびに二のポンプコンパートメント831、832を備える。
【0044】
アウトレットコネクター81は、アウトレットチューブ84からバッグ内への逆流を防止するため、逆止弁を備えるようにしてもよい。インレットコネクター2により水がバッグ内に導かれると、かかる水は二のフロー流通経路821、822を通じて、二のポンプコンパートメント831、832に押し出される。かかるポンプコンパートメント831、832は、交互に動作するピストン(alternating pistons)あるいは同様の機構(図示せず)等により内部的な循環フローを提供するため外部から圧力を受け、押されあるいは巻き取られるようにしてもよい。混合溶液が得られると、アウトレットチューブ84は、アウトレットコネクター81を介し、前記混合溶液を透析回路に運搬可能となる。
【0045】
図8のバッグ80は、CAPD、HFの1回分(HF in batch)ならびにHDFの1回分(HDF in batch)に用いるため無菌の透析液を提供するため用いてもよい。この場合、混合溶液すなわち透析液は、アウトレットコネクタ81ならびにアウトレットチューブ84を介して、患者の腹膜(CAPDの場合)に直接送り届けられ、あるいは、治療が適切になるまでバッグ内部に保存するようにしてもよい。在宅治療の患者が、自身の家に重くてかさばる透析液の容器を搬送し、運ぶ必要がないことがこの実施形態の長所である。それに代え、きれいな水源をインストールし、図8に示すバッグを当該水源に接続することにより、患者の重荷となっている治療を促進させる。
【0046】
ここで説明するバッグは、漏れないバッグを提供するためPVC又はPPC等の弾力性物質によって作ってもよい。当該バッグに生体適合性あるいは医療グレード材料を用いるようにしてもよい。かかる材料は、バッグ材料とその内容物の相互の影響ができるだけ小さくなるよう適切に選ぶようにしてもよい。いくつかの実施形態において、前記弾力性物質は、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン又はPETの少なくとも一部を備えている。また、いくつかの実施形態において、異なる弾力性物質の組み合わせを用いるようにしてもよい。さらに、ある実施形態において、前記弾力性物質は、バッグに湿気が侵入するのを防止するための約120μmの厚みを有する外部PET層、バッグの引っ張り強さを増加させるための約15μmの厚みを有する中間層、ならびに、バッグの溶接を可能にするための約12μmの厚みを有する内部層を備えている。
【0047】
インレットコネクターおよび/またはアウトレットコネクターの逆止弁の一実施形態においては、二の溶接された薄い平らなフォリオ構造(two-welded thin flat folio design)を備えるようにしてもよい。
【0048】
インレットコネクターおよびアウトレットコネクターにおける逆止弁は、ボールスライド機構付き逆止弁等のどのような逆止弁であってもよい。
【0049】
ある実施形態において、前記バッグは、どのような数nのコンパートメント、例えば、二のコンパートメントデバイダーおよび一のコンパートメントデバイダー等、n-1個のコンパートメントデバイダーを設けるようにしてもよい。
【0050】
したがって、上のコンパートメントに粉末が充填された一のコンパートメントデバイダーを有するバッグを設けるようにしてもよい。この実施形態の長所は、当該粉末が、下のコンパートメントのコネクターのバルブ構造の動作の邪魔にならないことである。
【0051】
CAPD(持続的携帯型腹膜透析)又はCCPD(連続周期的腹膜透析)用の溶液を提供するための一実施形態において、バッグ80のコンパートメントは、以下の内容物を有するようにしてもよい:
コンパートメントA:塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カルシウム、水溶性の塩化マグネシウムを含む2000mlの水
コンパートメントB:グルコース粉末
コンパートメントC:追加のグルコース粉末
バッグ80は、コンパートメントAとコンパートメントBとの間のコンパートメントデバイダー6’を破裂させるための窒素ガス等の気体を導入することによって活性化する。かかるデバイダー6’が破裂すると、コンパートメントB内のグルコース粉末は、コンポーネントAの水中に落ち、そこで急速に溶ける。溶液を攪拌するためにポンプ領域831および832を押すことでコンポーネントBの粉末の溶解が促進される。コンパートメントB内の粉末を全て溶解させるために、バッグを前後逆転させてもよい。こうして、リットルあたり15グラムの第一のグルコース濃度を有する透析液が提供される。リットルあたり25グラム等のより高い濃度が望まれる場合、第二コンパートメントデバイダー6’’を破裂させるため気体圧をさらに増大させる。つぎに、第3コンパートメントCのグルコース粉末が、下のコンポーネントAおよびBの水混合され、溶かされる。両デバイダーが破壊されるまで気体圧を高く保つことにより、二のコンパートメントデバイダー6’およびコンパートメントデバイダー6’’を一の操作で開いてもよいことに注意すべきである。
【0052】
例えば、その内容物を含んだバッグ80全体を高圧蒸気滅菌することにより、バッグ全体を無菌にしてもよい。バッグへの気体の導入は、無菌コネクタにより実行しても、気体が無菌であってもよく、この結果、最終製品である医療用液は無菌となる。
【0053】
同じ方法により、輸液又は置換液等の他の無菌医療用液を作るようにしてもよい。
ある実施形態において、前記バッグは、A−濃縮物ならびにB−濃縮物等、透析治療のための濃縮物を生産することを目的とする。
【0054】
A−濃縮物を提供するためのバッグ80は、以下の要素を有してもよい:
コンパートメントA:空であるが、5リットルの容量を持つ。移動の際、本コンパートメントは折りたたんでもよい。
【0055】
コンパートメントB:全て粉末の、塩化ナトリウム1050グラム、塩化カリウム25グラム、塩化カルシウム45グラム、塩化マグネシウム34グラム。
【0056】
コンパートメントC:酢酸32グラムが溶解している水200グラム。
透析治療のためのA−濃縮物は、一定圧において水5リットルをコンパートメントAに入れ、その結果、コンパートメントデバイダー6’が破壊されることによって準備される。これにより、コンパートメントB内の粉末は、コンパートメントAの水中に落ち、そこで溶解する。全ての粉末が溶けると、第二コンパートメントデバイダー6’’を破壊するため気体圧が導かれ、コンパートメントCの酢酸が、コンパートメントAおよびBの溶液に加えられる。この溶液は、1:34の割合で希釈されるべきである。コンパートメント内に導かれた水は、意図された用途への適合性を有していなければならない。A−濃縮物の準備には、逆浸透圧水(RO-water)が適している。コネクターは、無菌である必要はないが、十分に消毒されなければならない。
【0057】
B−濃縮物を提供するためのバッグ80は、以下の要素を有してもよい:
コンパートメントA:空であるが、9.5リットルの容量を持つ。移動の際、本コンパートメントは折りたたんでもよい。
【0058】
コンパートメントB:粉末の重炭酸ナトリウム750グラム。
透析治療のためのAB−濃縮物は、消毒されたコネクタを使って逆浸透圧水等の水をコンパートメントAに入れることにより準備される。水は、コンパートメントAおよびBの間のコンパートメントデバイダーが破壊されるまで、すなわち、約9.5リットルの水の導入後まで導かれる。次に、さらに0.5リットルの水が導かれ、全部で10リットルの水がバッグ内に存することになる。ここで重炭酸塩が水に溶け始める。かかる溶解は、上述のようにバッグをかき混ぜることによって促進される。全ての粉末が溶けると、約1:20の割合で希釈されるべき既製のB−濃縮物が得られる。
【0059】
インレットコネクターおよび/またはアウトレットコネクターは、インターロッキング機能等の漏れを防止する適切なデザインを有してもよい。
【0060】
ある実施形態においては、前記バッグを完全に空にすることができるので、無駄を最小限に抑えるとともに重量を最小限に抑えることが可能となる。それは、通常用いられている非弾力性のプラスチック製容器よりもずっと少ない保存領域しか使用しない。
【0061】
バッグの内容物が、治療中に全部使用されない場合であっても、次の治療において使用することができる。
【0062】
ある実施形態において、前記バッグは、生分解性ポリマー等の生分解性物質から構成されている。
【0063】
ある実施形態において、コンパートメントデバイダーは、十分な圧力が加わると破壊されるよう溶接されている。
【0064】
ある実施形態によると、コンパートメントデバイダーは、ジップロック(zip-lock)であってもよい。
【0065】
他の実施形態において、コンパートメントデバイダーは、接着、あるいは類似の方法により取り付けるようにしてもよい。
【0066】
ある実施形態において、コンパートメントデバイダーは、バッグを閉じる外部的に取り付けられたクリップにより設けられている。
【0067】
ある実施形態において、バッグには、半透明又は非透明フィルム等の保護フィルム、あるいは、バッグの内容物を、例えば日光、湿気、熱その他から保護する保護バッグ(図示せず)が設けられる。かかる保護フィルムを、バッグ10の外側に設け、あるいは、バッグの壁に組み込むようにしてもよい。また、前記保護バッグが、前記バッグの外側を取り囲むよう設け、あるいは、前記バッグと保護バッグを一体化したバッグとしてもよい。この実施形態の長所は、バッグ10の内容物が保護フィルム又は保護バッグが設けられていない場合と同じ程度にしか変質しないことにある。
【0068】
ある実施形態において、バッグが直立した位置に存する場合、バッグ内部の底面はバッグの最も低い点に向かって傾いている。
【0069】
ある実施形態において、インレットコネクター3は、最も低い点が存する位置に設けられる。
【0070】
ある実施形態において、バッグの前記傾斜底面は、傾斜し対向する更なる2つの面であって当該傾斜底面に対し垂直に配置されたものにより構成される。当該傾斜し対向する更なる2つの面は、バッグ内部の壁および端部にバッグの内容物が残るリスクが減少するので、バッグの内容物をバッグの最も低い点に導きバッグの内容物の混合を向上させるよう機能する。バッグの最も低い点であって、3つの傾斜面の近傍にインレットコネクター3を設けることにより、その中に傾斜面を設けない場合と比較して、バッグの混合効率は著しく向上する。
【0071】
ある実施形態において、バッグ10は、液体がバッグ内に導かれた場合に、支えなしで立つよう構成され、それは、部分的に堅いプラスチック素材を有する壁も設けることにより可能となる。したがって、この実施形態による液体が満たされたバッグは、使用前に、テーブル又は床等の平面上に置くことが可能である。
【0072】
ある実施形態において、コンパートメントデバイダーは、インレットコネクター(図示せず)の一部あるいは前記インレットコネクター上に設けられたキャップとして一体化される。したがって、バッグ内にコンパートメントデバイダーが存しない場合もあり得、これにより、かかるバッグは、一のコンパートメントしか有さないことになる。この実施形態は、上記のB−濃縮物バッグ等のバッグ内に一の粉末しか存しない場合に有益である。
【0073】
近年、電解質を塩化ナトリウム等の粉末に組み込んだ新しいタイプの粉末が開発された。したがって、この実施形態においては、電解質溶液用コンパートメントおよびに塩化ナトリウム粉末用コンパートメントを別々に有することが必要ではなく、これらを組み合わせた粉末を含むコンパートメントを1つ有するだけでよい。この粉末は、富田製薬株式会社(Tomita Pharmaceutical Corp. Ltd.)から入手することができる。したがって、この実施形態によると、“インレットコネクター”という語の定義は、キャップ又は一体化されたコンパートメントデバイダーが設けられた、あるいは、設けられていない、インレットコネクターであると解釈してもよい。
【0074】
図9に基づくある実施形態においては、システム900が設けられている。かかるシステムは、図5に示されたようなバッグ90、再循環ポンプ92、水源93、送水ポンプ94、通常は開いている第一バルブ95、通常は閉じている第二バルブ96とともに、透析バッチ容器等の溶液供給容器97を備えている。かかるシステムは、透析回路等の回路98と任意に接続してもよい。
【0075】
本システムの機能は、バッグ90の異なるコンパートメントの内容物を、水源93からの水と混ぜることにより、溶液供給容器97に対し混合溶液を提供することである。コンパートメント9Aが空の間、当該バッグ90は、NaClの粉末を含む一のコンパートメント9Bおよび濃厚電解質溶液を含む一のコンパートメント9Cを備える前記バッグ90は、前記システムと接続可能である。当初、バルブ96は閉じられているので、逆浸透圧水である水は、送水ポンプ94ならびに第一バルブ95を介し、水源93からバッグ内に導入される。十分な量の水がバッグ90内に導入され、バッグ90のアクセス可能な部分の内力が上述の第一所定圧値に達すると、第一コンパートメントデバイダー991が開き、NaClの粉末は導入された水と混ざりそれに溶け込む。同時に、前記コンパートメントデバイダーが開くので、送水ポンプ94が停止し、これにより、バッグ90内には追加の水が導入されず、決まった量の水がNaClの粉末と混ざる。次に、バルブ95が閉じられる。なお、所定量の水を導入するため、第一コンパートメントデバイダーが開いた後にも送水ポンプが続けて水を導入し続けるようにしてもよい。
【0076】
次に、再循環ポンプ92は、水とNaClの粉末の混合物を送り出し、それをインレットチューブを介してバッグ内に、バッグのアウトレットチューブを介してバッグの外に再循環させるため始動する。かかる再循環ポンプ92は、NaClの粉末が完全に水に溶けるまでの第一の期間中、動作する。アウトレットチューブは、粒子がポンプ動作を阻害するのでNaCl粉末の粒子がバッグの外に流出するのを阻止するようなフィルターを設けるようにしてもよい。
【0077】
次に、当該再循環ポンプ92を停止し、送水ポンプ94は、バルブ95を再び開くことにより、バッグ90内への追加の水のポンピング動作を開始する。バッグ90内に十分な量の追加の水が導入され、水圧が第二の所定圧値に達すると、第二コンパートメントデバイダー992が開き、コンパートメント9C内の電解質溶液が準備されていたNaCl粉末の粒子と混ざる。第二コンパートメントデバイダー992が開くと、送水ポンプ94は再び停止され、バルブ95が閉じられるとともに、再循環ポンプ92は、アウトレットチューブを介してバッグの外で、ならびに、インレットチューブを介してバッグの中で、混合物の再循環を開始する。
【0078】
電解質溶液がNaCl溶液と完全に混ぜられると、第二バルブ96が開かれ、これにより、かかる溶液は、重力により溶液供給容器97へと流れる。
【0079】
ある実施形態において、再循環ポンプは、結果として生じる混合溶液を、バッグ90の外、ならびに、溶液供給容器97内にポンピングすることが可能である。実施形態の長所は、たとえば、連続して治療をするために十分な量の溶液が溶液供給容器内に連続して存するので、治療を中止することなく使用済みのバッグが新しいバッグに交換されることである。一例として、溶液供給容器が空になる前に約10分間分の溶液がバッグおよび溶液供給容器97内に残存している場合、再循環ポンプは、残存する溶液をバッグ90から溶液供給容器へと送り出す。治療プロセス用により多くの溶液が必要である場合、新しいバッグが接続される。したがって、新しいバッグの準備を行うための処理時間は10分である。残存量は、溶液供給容器97内の残存レベルを決定するためのレベルセンサー(下の図13の131を参照)により、あるいは、それに代え、バッグおよびその残存内容物の重さを提供するはかりによって決定してもよい。
【0080】
ある実施形態において、送水ポンプは、コンパートメントデバイダーが破壊された場合と無関係に、正確な又は十分な量の水がバッグに送られるまで連続的に動作する。これは、例えば、定められた水源からの既知の水流により、所定の十分な時間でバッグを満たすことによって実行される。なお、水流又は水圧センサーは、前記システムに組み込むのに十分適している。
【0081】
ある実施形態においては、例えば混合物が準備出来ていることを示す経験的な研究を用いることができるので、再循環ポンプ92は、5分間等の十分な時間連続して動作する。
【0082】
ある実施形態において、前記システムは、送水ポンプならびに再循環ポンプの両方の機能を有するポンプを一台だけ備えている。
【0083】
図10に基づくある実施形態においては、システム100が設けられている。かかるシステムは、それぞれが図2に示すものと同じタイプであって、それぞれ同じ内容物を有する、第一バッグ1011および第二バッグ1012の2つのバッグ、第一再循環ポンプ1031、第二再循環ポンプ1032、水源105、送水ポンプ106、通常は開いている第一バルブ1071、通常は閉じている第二バルブ1072、通常は開いている第三バルブ1073、通常は閉じている第四バルブ1074、透析バッチ容器等の溶液供給容器108を備えている。当該システムは、例えば、吸引チューブ1099を介して透析回路等の回路109と任意に接続してもよい。かかるシステムは、図9で述べられたバッグ、ポンプならびにバルブを有する各サブシステムについて図9のシステムと同様に動作する。しかし、前記システムにおいて2つのバッグを用いることにより、第一バッグ1011がほぼ空の場合であっても、第二バッグ1012を満たすことが可能となる。第一バッグ1011が完全に空の場合、空気検知器1021は、第二バッグ1012に自動的に交換するための信号を与える。第一バッグ1011は、その後、新しいものと交換される。前記第二バッグ1012も、空気検知器1022を備えている。このサイクルを繰り返すことにより、溶液供給容器108内には常に十分な量の混合溶液が存し、これにより、システム100の使用可能な動作時間がさらに改善される。
【0084】
図10に基づく実施形態を、透析治療に必要な組成を有する調合済みの透析液を提供するため用いてもよい。この実施形態において、バッグ1011は、A−濃縮物を生成するための組成を備え、バッグ1012は、B−濃縮物を生成するための組成を備えている。上述のようにかかるバッグを動作させ、コンパートメント内で粉末を混合し、溶かした後、かかるバッグは、慎重に制御された組成を有する濃縮物を備える。蠕動ポンプまたはピストンポンプ等の定量ポンプであるポンプ1031ならびに1032を動作させるとともに、逆浸透圧水を提供するためにポンプ106を動作させることにより、更なる希釈を行うことなく透析患者に対して供給するのに適した組成を有する透析液を含むよう、供給容器の内容物を制御してもよい。
【0085】
図11に基づく別の実施形態においては、4つのバッグ111、112、114、115および2つの溶液供給容器113、116を備えたシステム110が設けられている。第一バッグ111および第二バッグ112は、第一溶液供給容器113に接続されている。また、第三バッグ114および第四バッグ115は、第二溶液供給容器116に接続されている。このシステムは、透析治療用の、サブシステムにおいて溶液供給容器113等に接続するA−濃縮物、ならびに、サブシステムにおいて溶液供給容器116等に接続するB−濃縮物の両方を得ることを可能にする。次に、溶液供給容器113、115は、従来の透析器の各濃縮物用の流入口に接続される。
【0086】
図12に基づくある実施形態においては、システム120が設けられている。かかるシステムは、図7に示すバッグを備えている。ポンプ121は、生成された溶液を溶液供給容器に提供することが可能である。
【0087】
図13に基づくある実施形態においては、システム130が設けられている。かかるシステムは、図8に示すバッグを備えている。
【0088】
ある実施形態において、溶液供給容器は、内部の溶液レベルが低くなりすぎているので、新しいバッグをシステムに接続しなければならないことを外部装置を通じてユーザーに警告する、図13に示すレベルセンサー131をさらに有するようにしてもよい。
【0089】
ある実施形態において、前記レベルセンサー131は、溶液供給容器が空になるまでの推定残時間に関する情報を提供する。
【0090】
ある実施形態において、レベルセンサーの情報は、ディスプレイに表示される。
患者の尿素濃度等の外部情報を当該ディスプレイに表示してもよい。
【0091】
治療に必要とされる生成溶液の量、いくつのバッグが必要となるのか等を演算するため、外部情報とレベルセンサーからの情報の組み合わせが用いられる。
【0092】
ある実施形態において、水源は、逆浸透施設等の透析回路に接続されたものと同じ水源である。別の実施形態において、水源は無菌の水を含むバッグから得られる無菌水である。
【0093】
ある実施形態において、当該システムをスタンドアローン機器として用いても、既存の透析器に接続することにより既存の透析装置に追加するようにしてもよい。かかるシステムは、T型コネクター等を通して、透析システムと同じ水源に接続するようにしてもよい。また、溶液供給容器を透析回路に接続してもよい。本発明は独立しているので、既存の透析装置を再構築する必要はない。
【0094】
ある実施形態において、送水ポンプはピストンポンプである。
本発明の他の実施形態において、送水ポンプはギアポンプである。経済的理由からギアポンプを用いるようにしてもよい。
【0095】
システムを空にするプロセス
ここで、図14を参照しつつ、システムを空にするプロセスについて説明する。ピストンポンプ等の送水ポンプ141の順方向フローは、逆方向フローに変更され、オンにされる。双方向戻り弁142、143は、ドレイン144方向に開かれる。再循環ポンプ145がオンにされ、バッグに残った内容物を排出する。このようにして、システムから液体がなくなる。ドレイン144との連通を提供するためドレインバルブ146を設けてもよい。何らの事情で液体が水源105内に排出されてしまうのを防止するため、水源105とポンプ141とを接続するライン内に逆止弁147を配置してもよい。
【0096】
ある実施形態においては、システムを空にするプロセスを促進するために再循環ポンプの排出方向を変更するようにしてもよい。
【0097】
殺菌プロセス
図15を参照しつつ、システムを殺菌するプロセスについて以下で説明する。殺菌プロセスは、上述のシステムを空にするプロセスの後に実行される。バッグが取り外され、予めバッグに接続されたインレットチューブとアウトレットチューブを相互に接続するコネクター151、152が挿入される。かかるバッグ自体は一回使用した後に廃棄してもよいし、最終的にリサイクルしてもよい。
【0098】
システムの殺菌プロセスは、主に3つのステップに集約される。最初のステップにおいて、所定量のきれいな水が、送水ポンプ153を介してシステム内に注入される。システムの全てのインレットチューブおよびアウトレットチューブならびに溶液供給容器が、きれいな水で満たされる。所定の水量に達すると、送水ポンプ153がオフにされる。
【0099】
第二のステップにおいて、例えば、溶液供給容器内に殺菌剤を入れておくことにより、錠剤、粉末又は液体の殺菌剤(洗浄剤)が、システム内に導入される。これに代え、最初のステップを実行する前に、溶液供給容器内に殺菌剤を入れておくようにしてもよい。溶液供給容器154には、ふた1551等を介して殺菌チューブ155が接続される。システム内に殺菌剤を循環させるためポンプ153を動作させる。再循環ループ付近における再循環ポンプ1561、1562による殺菌剤を含む水のポンピングは、殺菌剤がシステム全体を洗浄するまで続けられる。
【0100】
第三のステップにおいて、前記システムは、上述のように空にされ、さらに、殺菌チューブ155内に残存する内容物は、溶液供給容器154を介して、ドレイン157内に排出される。また、かかるシステムは、システム内に残留薬剤が残存することがないよう使用前に水により洗浄してもよい。殺菌チューブ155が、溶液供給容器154から外される。こうして、当該システムは殺菌され、再び使用可能な状態となる。
【0101】
図16に基づくある実施形態において、システムに対するバッグ60、70、80、161の接続は、バッグ161がシステムに接続されるところに位置するバッグ接続アダプター160により円滑にされる。かかるバッグ接続アダプター160は、バッグのインレットコネクター3に接続するための第一アダプター162を備えてもよい。上述の実施形態によると、接続されたバッグに内容物を満たし、混合することを可能とするため、かかる第一アダプター162は、他の端部1621において送水ポンプおよび/又は再循環ポンプと接続される。いくつかの実施形態において、バッグ接続アダプターは、アウトレットコネクター33、61、75、81に接続するための第二アダプター163を備えている。バッグの底部に設けられた場合、当該第二アダプター163は、アウトレットコネクター42、53、62、84に接続してもよい。バッグ接続アダプターの第二アダプター163は、透析回路、あるいは、溶液供給容器に直接接続164してもよい。当該第一又は第二アダプターは、システムへのバッグの接続を容易にする。殺菌モードにおいては、バッグ接続アダプターの殺菌を可能にするため、第一および第二アダプター162、163間に殺菌コネクター(151、152)を設け、接続してもよい。したがって、この実施形態を用いることで、システムへのバッグの接続が促進される。
【0102】
いくつかの実施形態において、バッグ接続アダプターは、接続されたバッグのコンパートメントデバイダーを開く手段を備える。例えば、かかるコンパートメントデバイダーが誘導を介して開かれる場合、バッグ接続アダプターは、コンパートメントデバイダーを開くことを可能とする電磁界を提供する手段を備えてもよい。かかるバッグ接続アダプターは、コンパートメントデバイダーを熱的に開くための加熱手段、その中に前記バッグが存する真空チャンバーを有するよう当該バッグ接続アダプターを構成すること等によって、外部より加えられた真空によりコンパートメントデバイダーを開くするような真空手段をさらに備えてもよい。また、バッグが、コンパートメントデバイダーを機械的に開くためのハンドル手段を備えている場合、バッグ接続アダプターは、コンパートメントデバイダーを開くため、バッグの内側と外側の2つの反対側からバッグを掴んで、引っ張るための機械的手段を備えるようにしてもよい。
【0103】
図17aおよびbに基づくある実施形態において、例えば、バッグの頂面に位置するアウトレットコネクター171は、ネジ付きキャップ172を備えて構成される。バッグのインレットコネクター3に対して1つの接続を有するバッグ接続アダプター160に、バッグを任意に接続するようにしてもよい。図17aは、例えば、バッグの内容物を混合している段階であって、アウトレットコネクター上にまだキャップが設けられている状態のバッグを示している。従来の透析機の殺菌中、吸引チューブ173が、ネジ付きキャップ等を介して液体のクエン酸を有している缶内に配され、当該缶から一定量のクエン酸を吸引することにより、システムが殺菌される。図17bにおいて、かかるキャップは取り除かれ、吸引チューブ173が設けられる。汚染を避けるため、殺菌は使用の度に行われるべきである。殺菌後、吸引チューブは、殺菌サイクルの一部となるよう透析システム内のそれぞれの位置に置かれる。この実施形態において、アウトレットコネクターのキャップは、バッグの上に設けられており、これにより、液体のクエン酸を有する既知の缶と同様の方法で吸引チューブをバッグに挿入してもよい。
【0104】
いくつかの実施形態において、キャップ又はアウトレットコネクターは、吸引チューブが貫通可能な、薄い貫通可能膜により構成される。当該膜が吸引チューブの外面に押しつけられるので、かかる膜を用いることにより、バッグの内容物から空気中の任意の汚染物質を遠ざけることが可能となる。したがって、本実施形態のバッグは、液体クエン酸が入った重い缶が不要となり、従来技術の液体クエン酸を有する缶に代え、ユーザーの取り扱い方法の柔軟性を改善することができる。このように、粉末のクエン酸を有する本発明のバッグを設けることで、バッグの混合動作によって混合された液体クエン酸溶液が提供される。このことから、殺菌手順は、例えば、バッグ内の粉末を混ぜ;キャップを開け;吸引チューブをキャップの開口又は膜を通じて配し;その濃度に応じて殺菌システムが液体クエン酸をくみ上げ;バッグから吸引チューブを取り除き;バッグのキャップを閉じる;というものであって、その後に、殺菌システムならびに透析機が同時に殺菌されるものでもよい。
【0105】
ある実施形態において、膜は、アウトレットコネクターと一体に射出成形される。かかるアウトレットコネクターは、例えば、16mmの外径を有し、それによる膜の直径は、当該アウトレットコネクターの内径に対応する径を有してもよい。前記膜には、例えば直径6mmであって、膜の中央に位置する穴を設けてもよい。かかる穴は、キャップがバッグから取り除かれた場合に、吸引チューブ171をバッグ内に挿入可能とするため設けられるものである。したがって、本発明に基づくバッグは、吸引チューブを使用する既存の全ての透析システムに用いることができる。図17は、吸引チューブ171をアウトレットコネクターに入れることを可能とするための膜172を有するバッグを示している。
【0106】
バッグ内に導かれる水の量を制御する方法として、さまざまな方法が存在する。例えば、輸血用ポンプによる容積測定、流れ測定、重量測定、導電率測定、pH測定、柔軟なバッグへの圧力あるいは固定されたスペースに位置するバッグへの圧力等により、水量を制御するようにしてもよい。これらの測定パラメーター(容積、流れ、重量、圧力、導電率、pH、ポンプの再循環時間等)を、以下で水量パラメーターと呼ぶ。
【0107】
ある実施形態によると、システム内および/又は外部装置であって、図10に例示された制御装置192と少なくとも一の上記パラメーターをやりとりするためバッグ上にトランスポンダー装置191が設けられる。
【0108】
かかる制御装置および/又は外部装置は、トランスポンダーから受けとった、水量パラメーター等の情報を、当該システムのバルブ、送水ポンプ、再循環ポンプ、空気検知器およびレベルセンサーに伝達してもよい。前記制御装置および/又は外部装置は、任意に双方向通信を行うようにしてもよい。前記水量パラメーターは、各バッグの設計によって異なる。
【0109】
ある実施形態において、トランスポンダー装置は、再循環時間、流量等に関する水量情報を再循環ポンプと直接やりとりする。
【0110】
また、ある実施形態において、トランスポンダー装置は、ポンプ流、水量、順方向/逆方向への動作等に関する水量情報を送水ポンプと直接やりとりする。
【0111】
制御装置および/又は外部装置は、たとえば、バッグの必要条件に対するポンプの設定が正確になされていなかったり、溶液供給容器がほとんど空だったり、新しいバッグを接続しなければならない場合に、光および/又は音によって特定の状況の患者/ユーザーに警告する能力を有してもよい。
【0112】
ある実施形態において、前記制御装置は、残りの治療時間、バッグが空になるまでの予測時間ならびに新しいバッグを接続しなければならない旨、水量パラメーター、バッグの識別番号等のパラメーターを表示するディスプレイを備えている。これにより、ユーザー/患者は、治療プロセスについて完全な総括情報(complete general overview)を有することになる。
【0113】
ある実施形態において、トランスポンダー装置は、外部装置のシステム内で、これを制御装置とやりとりする識別手段兼通信インターフェースを有している。
【0114】
また、ある実施形態において、アウトレットコネクターが透析回路に直接接続されている場合、当該アウトレットコネクターは、フローセンサーを有して構成される。それに応じて、バッグから流れ出る混合溶液の量を測定するようにしてもよい。バッグ内の混合溶液の量を知ることにより、制御装置によってバッグが空になるまでの予測時間を算出してもよい。また、濃縮物の使用量、ならびに、バッグ内の濃縮物の残量を算出するためにフローセンサーを用いてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態においては、アウトレットコネクターに(直接又は間接的に)接続される尿素センサー等のフローセンサーが、外部装置に設けられる。
【0116】
いくつかの実施形態においては、バッグ内に流入するフローの測定を可能とするため、インレットコネクター内にフローセンサーが設けられる。流入するフローを測定することにより、例えば、バッグが空になるまでの予測時間を算出することが可能となる。
【0117】
バッグが空になるまでの予測時間を判断するための他の方法としては、バッグ内部の寸法についての情報とともにバッグ内の液柱(liquid column)を測定することによってもよい。いくつかの実施形態において、バッグは、当該バッグの縦方向に沿ったボリュームレベルインジケーターを備えて設けられる。これにより、バッグ内に残存する量を目で確認することができる。各透析フローごとに、一の目盛りを任意に用いてもよく、これにより、レベルメーターは、流出フローのためにいくつかの異なる目盛りを備えるようにしてもよい。
【0118】
ある実施形態において、システムにおいて用いられる全てのバッグは、識別手段を有している。透析液提供システムにおいては、正しいバッグがシステムに取り付けられていることを確認するため識別手段が必要とされる。システムあるいは外部装置内の制御装置は、バッグをシステムに接続可能にする識別コードを管理する。かかる識別手段は、識別手段としてのバーコード又はPINコード、磁気ストリップ、トランスポンダーあるいはチップを備えた、ラベルであってもよい。
【0119】
また、システムにおける全てのバルブ、送水ポンプ、再循環ポンプ、空気検出器ならびにレベルセンサー等が、識別手段を有してもよい。
【0120】
さらに、ユーザー/患者、つまり、患者およびオペレーターに対し、個人識別用の、PINコード、磁気ストリップ、データチップ等が付いたIDカード等の識別手段を設けるようにしてもよい。これにより、制御装置および/又は外部装置は、バッグのIDに対応する患者IDであることを確認することができ、正しい透析溶液がユーザー/患者に提供される。
【0121】
水量パラメーターおよびシステム内の識別手段は、当該システム内の制御装置あるいは外部装置により管理される。
【0122】
ある実施形態において、バッグ上のトランスポンダー装置は、制御装置および/又は外部装置に対して水量パラメーターならびに識別手段の両方を提供する。
【0123】
トランスポンダー装置から受けた情報が与えられると、当該制御装置および/又は外部装置は、圧力値、水量、再循環による効果的な混合時間ならびに追加の水量を判断する。
【0124】
本実施形態は、従来技術を上回る多くの長所を提供する。例えば、本発明のある実施形態に基づく再循環プロセスは、再流通ポンプを用いることにより、バッグの内容物について、自動的に、安全かつ正確な混合を提供する。ある実施形態のバッグを用いたHD、HDFならびにHFによる治療の場合、手動による混合は不要である。したがって、本発明は、患者/ユーザーがエラーを犯すリスクを低減させる。
【0125】
バッグ内に水又は気体圧力を加えることにより、コンパートメントデバイダーを自動的に開放する。これにより、ユーザー/患者は、バッグの異なるコンパートメントを手動で開ける必要がない。したがって、本発明は、患者/ユーザーがエラーを犯すリスクを低減させる。
【0126】
粉末から溶液を提供するA−粉末バッグは、混ぜる前に約1.5Kgの重さがある。粉末から溶液を提供するB−粉末バッグは、混ぜる前に約700gの重さがある。これらの実施形態は、粉を有し、使用時点で水を満たすバッグを設けることにより、液体濃縮物を完全に置き換えることが可能である。A−粉末バッグが設けられたとしても、粉末と電解質溶液がバッグ内の別のコンパートメントに収納されるので、使用時点で水を満たすことにより、まず最初に混ぜ合わされる。したがって、A−濃縮溶液を提供するために二のバッグ又はカートリッジを用いる必要がなくなる。
【0127】
各実施形態に基づくバッグは、HD(例えば、図1から7に示されたバッグ10から70用)および腹膜透析(例えば、図8に示されたバッグ80用)あるいは、バッチHFおよびHDF等のいずれの透析治療においても用いてもよい。
【0128】
各実施形態に基づくシステムをスタンドアローン装置として用い、既存の透析機に追加するようにしてもよく、したがって、当該システムを水源に接続し、溶液供給容器を透析システムの透析溶液のインレットに接続するだけで、既存の透析システムに接続することができる。
【0129】
また、使用後の、ある実施形態に基づくバッグは、完全に空であり、これにより、無駄をなくし使用後のバッグの重量を低減する。
【0130】
さらに、液体によるバッグ(図7)の充填および準備を、別のステーションで行うことが可能である。したがって、自宅療養の患者は、治療(PD、CAPD、HFバッチ又はHDFバッチ)が開始されるまで、いくつかのバッグを充填し保存してもよい。
【0131】
特定の実施形態に基づいて本発明に関する説明がなされているが、ここで述べた特定の形式に限定されることを意図するものではない。本発明は、添付されている特許請求の範囲によって定義されるべきであり、上記実施形態以外の他の実施形態、例えば、上述のものとは異なる適用領域も同様に添付の請求項の範囲内に入る。
【0132】
特許請求の範囲における、“備え/備える”という文言は、他のエレメントあるいはステップの存在を排除するものではない。また、独立して示してはいるが、複数の手段、エレメント、あるいは、方法のステップを実行するようにしてもよい。さらに、それぞれの特徴を、異なる特許請求の範囲に含めるようにしても、これらを有利になるよう組み合わせるようにしてもよく、異なる特許請求の範囲に含めることは、特徴の組合せが実行可能ではなく、および/または、有利であることを意味するものではない。また、単数の記述は、複数の可能性を除外するものでない“a”、“an”“第一”、“第二”等の文言は、複数であることを除外する意図ではない。特許請求の範囲における参照符号は、例を明確化するためだけに与えられており、どのような形であれ、特許請求の範囲を限定するものと解釈するべきでない。
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