特許第5953491号(P5953491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953491
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】マイクロポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/12 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   F04B43/12 C
   F04B43/12 J
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-270425(P2012-270425)
(22)【出願日】2012年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-114772(P2014-114772A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2014年10月7日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、経済産業省、戦略的基盤技術高度化支援事業「高度な制御機能を有するモータ一体化ダイレクトドライブ型医療用チューブポンプの開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】597095957
【氏名又は名称】株式会社アクアテック
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(72)【発明者】
【氏名】玉川 長雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛士
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 洋一
(72)【発明者】
【氏名】西松 忠男
(72)【発明者】
【氏名】井上 広昭
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−050081(JP,U)
【文献】 特開2006−258044(JP,A)
【文献】 実開昭52−098209(JP,U)
【文献】 実開昭55−152386(JP,U)
【文献】 特開平09−287571(JP,A)
【文献】 国際公開第99/11309(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に磁性材料を配設した薄肉シート2枚を貼り合わせて内部に流体を流すための流路を形成した扁平な可撓性のチューブと、
前記チューブの扁平な両面と対向するように該チューブの長手方向に所定間隔をおいて複数配置されて前記磁性材料に磁場を与える電磁石と、を備え、
前記磁性材料は、前記扁平な両面に配設した磁性材料同士が互いに反発する極性になるように、前記チューブの長手方向に所定間隔をおいて着磁された磁極を有し、
前記複数の電磁石を時系列に順次励磁することにより、励磁された電磁石と前記磁性材料とを互いに反発させて前記チューブを部分的に圧閉させ、その圧閉箇所を順次移動させることにより前記チューブ内の流体を送出することを特徴とするマイクロポンプ。
【請求項2】
表面に磁性材料を配設した可撓性の線材と、この線材の長手方向に沿った所定深さの溝部を有し、かつ該溝部にその底部との間に流路を形成するように前記線材が挿入され板状部材とから構成されて一部が可撓性の流体流路用のチューブと、
前記板状部材の一面側及び他面側に対向するように、その長手方向に所定間隔をおいて複数配置されて前記磁性材料に磁場を与える電磁石と、を備え、
前記磁性材料は、前記線材の長手方向に所定間隔をおいて着磁された磁極を有し、
前記複数の電磁石は、前記チューブの一面側及び他面側にそれぞれ設けられ、
前記複数の電磁石の励磁を時系列に順次に励磁することにより、励磁された電磁石と前記磁性材料とを一面側において同極にして互いに反発させると共に他面側において異極にして互いに吸引させて、前記チューブを部分的に圧閉し、その圧閉箇所を順次移動させることにより前記チューブ内の流体を送出することを特徴とするマイクロポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極微量の流体を吐出することができるマイクロポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、薬液を分注したり、細胞培養においてマイクロ流路に培養液を流す際、薬液や培養液の流量を正確に調整するために、極微量(毎分1μl以下)の流体を吐出可能なマイクロポンプが必要とされている。
【0003】
従来のダイヤフラムポンプやチューブポンプ等の機械系ポンプをマイクロポンプとして用いることが知られている。ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラムの撓みを増減させ、ポンプ室の内容積が増減することで流体流入側のバルブから流体を流入させ、流体吐出側のバルブから流体を吐出する(例えば、特許文献1参照)。また、チューブポンプは、ハウジングの円孤状内壁面に沿って配置された弾力性を有するチューブを駆動機構によって駆動される回転体によって順次圧閉してチューブ内の流体を送出する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−193979号公報
【特許文献2】特開2012−087752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述のようなダイヤフラムポンプにおいては、極微量の流体を精度良く吐出することができるバルブを得ることが難しい。また、チューブポンプにおいては、弾力性があって各種流体に対応できる内径精度が良好なチューブを製造することが難しい。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、極微量の流体に対応できるバルブや各種流体に対応できる内径精度が良好なチューブを必要とすることなく、容易に極微量の流体を精度良く吐出することができるマイクロポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマイクロポンプは、表面に磁性材料を配設した薄肉シート2枚を貼り合わせて内部に流体を流すための流路を形成した扁平な可撓性のチューブと、
前記チューブの扁平な両面と対向するように該チューブの長手方向に所定間隔をおいて複数配置されて前記磁性材料に磁場を与える電磁石と、を備え、
前記磁性材料は、前記扁平な両面に配設した磁性材料同士が互いに反発する極性になるように、前記チューブの長手方向に所定間隔をおいて着磁された磁極を有し、
前記複数の電磁石を時系列に順次励磁することにより、励磁された電磁石と前記磁性材料とを互いに反発させて前記チューブを部分的に圧閉させ、その圧閉箇所を順次移動させることにより前記チューブ内の流体を送出することを特徴とする。
【0009】
また、マイクロポンプは、表面に磁性材料を配設した可撓性の線材と、この線材の長手方向に沿った所定深さの溝部を有し、かつ該溝部にその底部との間に流路を形成するように前記線材が挿入され板状部材とから構成されて一部が可撓性の流体流路用のチューブと、
前記板状部材の一面側及び他面側に対向するように、その長手方向に所定間隔をおいて複数配置されて前記磁性材料に磁場を与える電磁石と、を備え、
前記磁性材料は、前記線材の長手方向に所定間隔をおいて着磁された磁極を有し、
前記複数の電磁石は、前記チューブの一面側及び他面側にそれぞれ設けられ、
前記複数の電磁石の励磁を時系列に順次に励磁することにより、励磁された電磁石と前記磁性材料とを一面側において同極にして互いに反発させると共に他面側において異極にして互いに吸引させて、前記チューブを部分的に圧閉し、その圧閉箇所を順次移動させることにより前記チューブ内の流体を送出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマイクロポンプによれば、バルブを用いることなく、容易に極微量の流体を精度良く吐出することができる。特に、流体流路用のチューブは、薄肉シート2枚の貼り合わせた構造、または、可撓性の線材を板状部材の溝部内で移動可能とした構造としているので、チューブの内径精度が問題とならず、各種流体に対応可能となる。従って、製造が難しい内径精度の良いチューブを必要としなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係るマイクロポンプを示す上面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図。
図2】(a)乃至(c)は同マイクロポンプのポンプ作用を説明するための断面図。
図3】(a)及び(b)は同マイクロポンプが備えているチューブの例を示す斜視図。
図4】(a)は本発明の第2の実施形態に係るマイクロポンプを示す斜視図、(b)は(a)のA−A線断面図、(b)は(a)のB−B線断面図。
図5】(a)は同マイクロポンプが備えている線材を示す斜視図、(b)は同線材の他の例を示す斜視図。
図6】(a)乃至(c)は同マイクロポンプのポンプ作用を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態に係るマイクロポンプについて、図1乃至図3を参照して説明する。図1に示すように、マイクロポンプ1は、磁性材料2を有し、かつ内部に流体を流すための流路3を形成する可撓性のチューブ4と、このチューブ4と対向するようにその長手方向に複数配置される電磁石5と、を備えている。チューブ4は扁平状に形成され、その一面側及び他面側に磁性材料2をそれぞれ配設している。これらの磁性材料2を配設したチューブ4は、その上流側及び下流側をそれぞれN極及びS極として同じ方向に着磁している。そのため、チューブ4の一面側及び他面側の磁性材料2は互いに反発している。複数の電磁石5は、チューブ4の一面側及び他面側にその長手方向に所定間隔をおいて磁性材料2と近接して配置されている。これら電磁石5は、チューブ4を挟んでその両面側において最上流に配置される一対の電磁石51,52、その下流側に配置される一対の電磁石53,54、及び最下流に配置される一対の電磁石55,56から構成されている。電磁石51,52、電磁石53,54、及び電磁石55,56はそれぞれ対となって対のものが同時にオン、オフ励磁される。チューブ4は、その上流端及び下流端において流体を流路3へ流入させる流体流入部6及び流体を流路3から吐出させる流体吐出部7をそれぞれ挿入されて固定されている。流体流入部6から流路3へ流入した流体は、マイクロポンプ1のポンプ作用によって流路3を進んで流体吐出部7から吐出される。
【0013】
チューブ4は、磁性材料2が予め表面に印刷された薄肉シート2枚を貼り合わせて、流路3を形成するようにプレスしたものである。流路3の幅や深さは、マイクロメートルのオーダーとなっており、その経路は磁性材料2の形状によって決定される。チューブ4の材料は、流路3に流す流体の粘度等の物理的性質や水素イオン指数等の化学的性質を考慮して選択される。本実施形態では、チューブ4は、薄肉シート2枚により上述のように構成され、その内径精度を問題としないので、例えば熱膨張や弾性変形してチューブの内径にばらつきを生じ易い材料であっても選択することができる。そのため、従来よりもチューブ4の材料選択の幅が広がり、上記流体の性質を考慮して各種の流体に対応することができる。
【0014】
電磁石5は、磁性材料2に磁場を与えるものであり、例えば鉄心にコイルを巻き付けて構成されている。電磁石5は、コイルに接続された励磁用電源(図示なし)によって励磁のオン、オフが交互に切り替えられる。この切り替えは、一対の電磁石51,52、一対の電磁石53,54、及び一対の電磁石55,56の順に時系列に移っていく。各電磁石5の両磁極は、チューブ4の長手方向に沿って並んでいる。ここで、各電磁石5について、チューブ4の上流側にある磁極を上流側磁極とし、下流側にある磁極を下流側磁極とする。本実施形態において、一対の電磁石5の励磁がオンのとき、チューブ4の両面側においてこれら電磁石5の上流側磁極及び下流側磁極がそれぞれN極及びS極となる。このとき、一対の電磁石5は、チューブ4の一面側及び他面側の磁性材料2の反発力よりも大きな反発力をそれらの磁性材料2に与えてチューブ4を変形させる。電磁石5は、マイクロポンプ1にポンプ作用を行わせるために、少なくとも3個以上並んで配置されることが好ましい。以下において、電磁石51,52、電磁石53,54、及び電磁石55,56をそれぞれ、電磁石a、電磁石b、及び電磁石cと略記する。
【0015】
上記のようなマイクロポンプ1のポンプ作用について、図2を参照して説明する。マイクロポンプ1が、図1(b)に示す初期状態にあるとき、流体を流体流入部6から流路3へ流入させる。この状態では、いずれの電磁石a,b,cの励磁もオフしており、チューブ4は自身の可撓性により、流路3を全開した姿勢になる。次に、図2(a)に示すように、電磁石aの励磁をオンすると、チューブ4の一面側及び他面側において、電磁石aとこの電磁石aから磁場を与えられた磁性材料2が同極となって、それらが互いに反発してチューブ4の上流側の部分が圧閉される。それにより、流路3の上流側に滞留していた流体が下流側へ送出される。
【0016】
次に、電磁石aの励磁をオンしたままで、図2(b)に示すように、電磁石bの励磁をオンすると、上記と同様に、電磁石bと磁性材料2が互いに反発してチューブ4の中央部分が圧閉される。図2の(a)から(b)の状態に移行する途上では、チューブ4の上流側の部分は圧閉されたままなので、流路3の中央に滞留していた流体は、逆流することなく下流側へ送出される。その後、電磁石aの励磁をオフすれば、チューブ4の上流側の部分はその可撓性により流路3を開いた元の状態に復元する。
【0017】
次に、電磁石bの励磁をオンしたままで、図2(c)に示すように、電磁石cの励磁をオンすると、電磁石cと磁性材料2が互いに反発して、チューブ4の下流側の部分が圧閉される。図2の(b)から(c)の状態に移行する途上では、流路3の下流側に滞留していた流体は、上記と同様に、逆流することなく流体吐出部7から吐出される。その後、電磁石b,cの励磁を順次オフする。上記のような動作が繰り返されて、マイクロポンプ1のポンプ作用が行われる。
【0018】
このように本実施形態のマイクロポンプ1によれば、電磁石a,b,cが順次励磁されることにより、チューブ4の両面側において磁性材料2と電磁石a,b,cとが互いに反発してチューブ4が順次圧閉され、チューブ4内の流体が送出される。従って、バルブを用いることなく、容易に極微量の流体を精度良く吐出することができる。また、チューブ4は、磁性材料2が受ける反発力によってその形状を変形させるものであって、薄肉シート2枚を貼り合わせたような構造でよく、チューブの内径精度が問題とならず、各種流体に対応できる。従って、製造が難しい内径精度の良いチューブを必要としない。
【0019】
チューブ4は上記の他、図3(a)に示すように、扁平状のチューブで、その一面側(表)及び他面側(裏)に、テープ状の磁性材料2を張り付けたものでもよい。このチューブ4は、その表裏において、上流側及び下流側をそれぞれN極及びS極として同じ方向に着磁している。なお、表裏において逆方向に着磁したものでは、表裏の磁性材料2が互いに吸引して、チューブ4が密着してチューブ4の流路3が常に圧閉されてしまうことから好ましくない。また、図3(b)に示すように、扁平状のチューブの表裏に斑模様に磁性材料2を複数配設したものでもよい。このチューブ4の表裏において、長手方向に並ぶ各磁性材料2の隣り合うもの同士の着磁方向は、逆になっている。こうすれば、隣り合う磁性材料2同士が反発するので、チューブ4がその長手方向に引っ張られて安定に保持される。
【0020】
次に、本発明の第2の実施形態に係るマイクロポンプについて、図4乃至図6を参照して説明する。図4に示すように、マイクロポンプ1aを構成するチューブ4は、磁性材料2を有した可撓性の線材8と、この線材8の長手方向に沿った所定深さの溝部9を有する板状部材10と、から構成されている。線材8は、チューブ4の一面側において溝部9にその底部との間に流路3を形成するように挿入されている。複数の電磁石5は、前述実施形態と同様に、板状部材10の一面側及び他面側にその長手方向に所定間隔をおいて配置される。
【0021】
線材8は、図5(a)に示すように、長手方向に沿って表面に所定間隔をおいて磁性材料2を配設したものである。磁性材料2はそれぞれ、流路3に沿ったその上流側及び下流側がN極及びS極となるようにチューブ4の表面に着磁している。線材8は上記の他、図5(b)に示すように、線材8の表面全体にわたって磁性材料2を配設したものでもよい。この線材8は、流路3に沿ったその上流側及び下流側がそれぞれN極及びS極となるように着磁しているが、磁性材料2のコストを考慮すると、図5(a)の方が好ましい。板状部材10は、磁場を透過し、厚さ数mmの扁平な基板の表面に溝部を形成したものである。なお、本例においては、前述の流体流入部6及び流体吐出部7の図示を省略している。
【0022】
本実施形態において、一対の電磁石5の励磁がオンのとき、チューブ4の一面側において電磁石5の上流側磁極及び下流側磁極がそれぞれN極及びS極となり、他面側において上流側磁極及び下流側磁極がそれぞれS極及びN極となる。このとき、一対の電磁石5は、チューブ4の一面側において線材8の磁性材料2と反発し、他面側において線材8の磁性材料2と吸引するので、線材8は溝部9の底部へ移動する。
【0023】
上記のようなマイクロポンプ1aのポンプ作用について、図6を参照して説明する。マイクロポンプ1aが、図4(b)に示す初期状態にあるとき、線材8は流路3が全開状態となる位置にあり、流体を流体流入部(図示なし)から流路3へ流入させる。次に、図6(a)に示すように、電磁石aの励磁をオンすると、チューブ4の一面側において電磁石aとこの電磁石aから磁場を与えられた磁性材料2が同極となって互いに反発し、他面側においてそれらが異極となって互いに吸引する。そのため、チューブ4の上流側において線材8が溝部9の底部へ移動して、流路3の上流側に滞留していた流体が下流側へ送出される。
【0024】
次に、電磁石aの励磁をオンしたままで、図6(b)に示すように、電磁石bの励磁をオンすると、上記と同様に、チューブ4の一面側において電磁石bと磁性材料2が互いに反発し、他面側においてそれらが互いに吸引して、チューブ4の中央において線材8が溝部9の底部へ移動する。図6の(a)から(b)の状態に移行する途上では、チューブ4の上流側において線材8は溝部9の底部へ移動したままなので、流路3の中央に滞留していた流体は、逆流することなく下流側へ送出される。その後、電磁石aの励磁をオフすれば、チューブ4の上流側において線材8はその可撓性により流路3を開いた元の状態に復元する。
【0025】
次に、電磁石bの励磁をオンしたままで、図6(c)に示すように、電磁石cの励磁をオンすると、チューブ4の一面側において電磁石cと磁性材料2が互いに反発し、他面側においてそれらが互いに吸引して、チューブ4の下流側において線材8が溝部9の底部へ移動する。図6の(b)から(c)の状態に移行する途上では、流路3の下流側に滞留していた流体は、上記と同様に、逆流することなく流体吐出部(図示なし)から吐出される。その後、電磁石b,cの励磁を順次オフする。
【0026】
このように本実施形態のマイクロポンプ1aによれば、電磁石a,b,cが順次励磁されることにより、チューブ4の一面側において線材8の磁性材料2と電磁石a,b,cが互いに反発し、他面側においてそれらが互いに吸引して、線材8が順次溝部9の底部へ移動して、チューブ4内の流体が送出される。従って、前述の実施形態と同様に、容易に極微量の流体を精度良く吐出することができる。また、チューブ4は、線材8を溝部9の底部へ移動させてチューブ4内の流体を送出する構造であって、内径精度が良いチューブを製造する場合に比べて、製造が容易である。
【0027】
本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態において、電磁石5は、チューブ4の一面側又は他面側のいずれか一方のみに配置されてもよい。但し、上記第2の実施形態において、電磁石5がチューブ4の一面側のみに配置される場合、電磁石5と磁性材料2が同極となり、電磁石5が他面側のみに配置される場合、それらが異極となるように励磁が調整される。
【符号の説明】
【0028】
1,1a マイクロポンプ
2 磁性材料
3 流路
4 チューブ
5,51,52,53,54,55,56,a,b,c 電磁石
8 線材
9 溝部
10 板状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6