(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ランプデータ合成手段は、前記優先情報が設定されていない前記部分領域について、予め定められた優先順位で点灯情報を抽出することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技者が遊技可能なスロットマシン(遊技機)の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、スロットマシンの各基板における具体的な処理を説明する。
【0015】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1や
図2の外観図に示すように、スロットマシン100は、略矩形状の箱体である筐体102と、筐体102の前面開口部に対して回動可能な連結部材により開閉可能に取り付けられた前面上扉104と、前面上扉104の下方に位置し、前面上扉104同様、筐体102の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉106と、前面下扉106の下部に位置し、メダル排出口108aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部108とを備えている。
【0016】
前面下扉106の上部には操作部設置台122が形成され、操作部設置台122には、メダル投入部124、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130、精算ボタン132等が配設されている。
【0017】
操作部設置台122の右側に位置するメダル投入部(遊技媒体受付手段)124は、メダル投入口(投入口)124aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付け、前面下扉106の背面に設けられたメダルセレクタ(図示せず)にメダルを送る。メダルセレクタには、メダルの投入が可能な投入期間外に投入されたメダルや規格外のメダルをメダル排出口108aに導くブロッカー(図示せず)と、投入期間内に投入された規格内のメダルの通過を検出する投入メダル検出部124bとが設けられている。ここで、メダル排出口108aに導かれたメダルは受け皿部108に排出される。遊技者により、1遊技を開始するために必要なメダルの投入枚数である規定数を超えてメダルが投入されると、その規定数を超えた分のメダルが、所定枚数(例えば50枚)を上限としてスロットマシン100の内部に電子的に貯留(以下、単に「クレジット」という。)される。
【0018】
ここで、1遊技は、メダルの投入を条件として1度の払い出しを受け得る一連の遊技をいう。また、ここでは、規定数は「3」に固定されている。ただし、スロットマシン100の機種によっては規定数が異なったり、あるいは、同一機種であっても規定数が変化したりして、規定数が固定されている場合と、複数の中から選択可能な場合がある。なお、1遊技を開始するために必要なメダル数を、複数の規定数から任意に選択できる場合、その複数の規定数の中の最大のものを最大規定数といい、最小のものを最小規定数という。仮に、規定数が1〜3の間で選択可能な場合、最大規定数は「3」となり、最小規定数は「1」となる。ここでは、規定数が「3」に固定されているので、最大規定数および最小規定数は「3」となる。
【0019】
ベットボタン126は、クレジットされているメダルのうち規定数のメダルを投入(ベット)する、押圧式のボタンスイッチである。精算ボタン132は、クレジットされているメダルの返却(精算)要求操作を受け付ける、押圧式のボタンスイッチである。遊技者は、精算ボタン132を操作することにより、ベットされたメダルや電子的にクレジットされたメダルを精算する精算要求を行うことができ、かかる精算要求に応じて、ベットされているメダルや電子的にクレジットされているメダルがメダル排出口108aから排出される。
【0020】
操作部設置台122の左側に位置するスタートスイッチ128は、傾倒操作を検出可能なレバーで形成され、遊技者による1遊技の開始操作を検出する。また、スタートスイッチ128は、押圧操作を検出可能なボタンスイッチによって形成することも可能である。
【0021】
前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓136が設けられ、筐体102内の図柄表示窓136に対応した位置には、リールユニット134が設けられている。リールユニット134には、
図3のリールの図柄配列に示すように、21に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列された3つの回転リール(左リール134a、中リール134b、右リール134c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられ、遊技者は、図柄表示窓136を通じて、左リール134a、中リール134b、右リール134cを視認することができる。リールユニット134は、スタートスイッチ128の操作を契機として、左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転を開始する。
【0022】
操作部設置台122の中央に位置するストップスイッチ130は、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれに対応して設けられた、遊技者の押圧操作を検出可能なボタンスイッチであり、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれを停止させようとする遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ130に係る3つのボタンスイッチを特にストップボタンスイッチとよび、左から順にストップボタンスイッチ130a、130b、130cとする。
【0023】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な映像を表示する液晶表示部(表示部)138が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ142が設けられる。かかる演出用ランプ142については後ほど詳述する。
【0024】
また、
図2に示すように、前面上扉104の裏面における液晶表示部138の左右位置や前面下扉106の裏面における内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ140が設けられている。さらに、筐体102内におけるリールユニット134の下方には、メダル排出口108aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)264が設けられている。メダル払出装置264は、メダルを貯留するメダル貯留部264aと、メダル貯留部264aに貯留されたメダルをメダル排出口108aから排出するための払出制御部264bと、メダル排出口108aから排出されるメダルを検出する払出メダル検出部264cとを備えている。具体的に払出制御部264bは、当該払出制御部264bの本体外装に回転可能に支持され、メダル貯留部264aから落下したメダルが上方より1枚ずつ嵌入するメダル嵌入孔を円周方向に複数配してなるディスク(図示せず)と、かかるディスクを回転するディスクモータ(図示せず)とを備え、このディスクを回転させて、メダル嵌入孔に嵌入したメダルを、押出機構を通じて1枚ずつ外部に排出するとともに、排出により空いたメダル嵌入孔に次のメダルを順次嵌入させることで、メダルを1枚ずつ連続排出する。
【0025】
また、
図1や
図2では図示していないが、各回転リール134a、134b、134cの内側には、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれに施された図柄のうち、図柄表示窓136に対応する(有効ラインの対象となり得る)各回転リール134a、134b、134cの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト144(
図4参照)が設けられている。また、図柄表示窓136の裏面上部にも左リール134a、中リール134b、右リール134c全ての正面を直接照射するリール上方ライト146が設けられている。
【0026】
また、
図1に示すように、操作部設置台122において、図柄表示窓136とストップスイッチ130との間に設けられた段部122aの略水平面には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が設けられている。また、図柄表示窓136と操作部設置台122との間には、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158が設けられている。これらメインクレジット表示部152およびサブクレジット表示部156にはクレジット枚数が表示され、メイン払出表示部154およびサブ払出表示部158にはメダルの払出枚数が表示される。なお、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158には、演出に伴う様々な数値を表示することもできる。
【0027】
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図4に示すように、スロットマシン100は、主として、主制御基板200と、副制御基板202とによって制御されている。ここでは、遊技の進行に関わるプログラムのうち、遊技に供する当選役の抽選やその入賞といったような、特に重要な処理を主制御基板200で実行し、それ以外の例えば演出に関する処理を副制御基板202で実行している。また、
図4に示したように、主制御基板200と副制御基板202との通信は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。ただし、このような制限がなければ、電気的に双方向通信も可能である。
【0028】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む各種半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。ただし、メインRAM200cには不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、意図的にメインRAM200cの初期化処理を実行しない限り、データが消去されることなく保持される。
【0029】
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、クレジット手段312を有する。初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。ここで、ベットは、ベットボタン126の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部124を通じてメダルを投入する場合のいずれも含む。当選役抽選手段304は、メダルのベットおよびスタートスイッチ128の操作に基づき、当選役およびハズレのうちいずれかを抽選により決定する(当選役抽選)。リール制御手段306は、各回転リール134a、134b、134cを回転および停止制御する。判定手段308は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否か判定する。払出制御手段310は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたことに基づいて、当該当選役に対応するメダルを払い出す。クレジット手段312は、メダルをクレジットとして貯留する。
【0030】
主制御基板200では、投入メダル検出部124b、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130および精算ボタン132から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。また、主制御基板200には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が接続されており、メインCPU200aが両表示部152、154に対してメダルのクレジット枚数や払出枚数の表示を制御する。
【0031】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部258が接続されている。このリール駆動制御部258は、スタートスイッチ128の操作信号に基づき主制御基板200から送信される各回転リール134a、134b、134cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ262を駆動するとともに、ストップスイッチ130の操作信号に基づき主制御基板200から送信される、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路260の検出信号に基づいて、ステッピングモータ262の駆動を停止する。
【0032】
また、主制御基板200には、メダル払出装置264が接続されている。主制御基板200には払出メダル検出部264cの検出信号が入力されるようになっており、払出制御手段310は、その検出信号に応じてメダルの払出枚数をカウントしながら払出制御部264bからのメダルの排出を制御する。
【0033】
また、主制御基板200には、乱数発生手段200dが設けられる。乱数発生手段200dは、計数値を順次インクリメントし、所定の数値範囲内でループさせ、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。乱数発生手段200dによって生成される乱数(当選役抽選乱数)は、遊技者に付与する遊技上の利益、例えば、当選役を決定するために用いられる。
【0034】
(主制御基板200で用いられるテーブル)
スロットマシン100においては、遊技の進行に際して複数の遊技状態が設けられており、これら遊技状態および設定値に対応する複数の当選役抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選役抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の遊技状態および設定値に応じて、対応する当選役抽選テーブルをメインROM200bから抽出するとともに、抽出した当選役抽選テーブルに基づき、スタートスイッチ128の操作信号に応じて取得された当選役抽選乱数が当選役抽選テーブル内のいずれの当選役またはハズレに対応するか判定する。
【0035】
ここで、各当選役抽選テーブルで抽出される当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役がある。このような当選役に対応する図柄組み合わせが、有効ライン上に揃った状態を表示(入賞)といい、当選役に当選し、その当選役に対応する図柄組み合わせが表示されるまでの状態を内部当選状態とする。当選役のうちのリプレイ役は、そのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、メダルの新たなるベットを行わずして再度1遊技を実行できる役であり、小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより、遊技状態を、通常遊技状態からボーナス遊技状態に移行させることができる当選役である。ここで、ボーナス遊技状態とは、当選役の判定にあたり、メダルが実質的に増加するように小役の当選確率が設定された当選役抽選テーブル(後述するボーナス遊技状態用当選役抽選テーブル)を用いる遊技状態であり、通常遊技状態よりも有利な遊技状態をいう。以下に、当選役および遊技者に付与される遊技上の利益について説明する。
【0036】
図5は、有効ラインおよび各テーブルを説明するための説明図である。
図5(a)は、本実施形態における有効ラインを示している。ここで、有効ラインは5本あり、具体的に、図柄表示窓136に臨む9つの図柄のうち、左リール134a、中リール134b、右リール134cのそれぞれ中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインA、左リール134aの上段、中リール134bの中段、右リール134cの下段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインB1、左リール134aの下段、中リール134bの中段、右リール134cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインB2、左リール134aの上段、中リール134bの中段、右リール134cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインC1、左リール134aの下段、中リール134bの中段、右リール134cの下段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインC2をそれぞれ有効ラインとして設定している。
【0037】
また、
図5(b)の図柄組み合わせに示すように、本実施形態においては、当選役として、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「ビッグボーナス(以下、「BB」という。)」、「レギュラーボーナス(以下、「RB」という。)」の合計5種類の当選役が設けられている。このうち、当選役「リプレイ」が上記リプレイ役に相当し、当選役「ベル」、当選役「スイカ」が上記小役に相当し、当選役「BB」、当選役「RB」が上記ボーナス役に相当する。
【0038】
なお、いずれかの当選役に当選すると、それぞれの当選役に対応する内部当選フラグが成立(ON)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止制御がなされることとなる。このとき、当選役「ベル」、当選役「スイカ」に当選したものの、これら当選役に対応する図柄組み合わせを、その1遊技で有効ライン上に表示させることができなかった場合には、当該遊技において内部当選フラグがOFFされる(ただし、本実施形態では、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせは必ず有効ライン上に表示させることができる。)。つまり、小役の当選の権利は当該遊技のみに限られ、当該権利を次の1遊技(以下、単に「次遊技」という。)に持ち越すことはできない。
【0039】
これに対して、当選役「BB」や当選役「RB」に当選した場合には、BB内部当選フラグまたはRB内部当選フラグが成立(ON)するとともに、BB内部当選フラグやRB内部当選フラグの成立状況に応じて遊技状態が内部中遊技状態となり、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止制御がなされる。このとき、当選役「BB」や当選役「RB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることができなかった場合には、そのままBB内部当選フラグやRB内部当選フラグが次遊技に持ち越され、次回以降の遊技においても当選役「BB」や当選役「RB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることが可能となる。
【0040】
なお、リプレイ役である当選役「リプレイ」に対応する内部当選フラグが成立した場合には、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがOFFされる。
【0041】
図5(c)に示す通常遊技状態用当選役抽選テーブルは、通常遊技状態において当選役抽選乱数を判定する場合に用いられる。ここでは、当選役抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域(1〜6)に区画されており、当選領域毎に、当選役と、複数の当選領域それぞれが当選する比率を相対数で示した当選範囲値(置数)が対応付けられている。例えば、当選領域1には当選役「リプレイ」と当選範囲値「8978」とが対応付けられている。当選役抽選乱数は0〜65535まで設けられていることから、当選役「リプレイ」が当選する確率は8978/65536となる。他の当選領域2〜6についても同様の対応付けがなされている。当選役抽選手段304は、当該通常遊技状態用当選役抽選テーブルにおける複数の当選領域から、順次、当選範囲値を取得し、その当選範囲値を当選役抽選乱数から順次減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選役を抽選結果としている。当該抽選の手順は、他の抽選においても適用できる。
【0042】
図5(d)に示すボーナス遊技状態用当選役抽選テーブルは、当選役「BB」や当選役「RB」に対応する図柄組み合わせに入賞して設定されるボーナス遊技状態において当選役抽選乱数を判定する場合に用いられるものである。このボーナス遊技状態用当選役抽選テーブルによれば、重ねてボーナス役およびリプレイ役に当選することがなく、当選役「ベル」の当選確率が通常遊技状態用当選役抽選テーブル(
図5(c)参照)に比べて高く設定されている。ここでは、通常遊技状態用当選役抽選テーブルとボーナス遊技状態用当選役抽選テーブルとを挙げて当選役抽選テーブルを説明したが、当選役抽選テーブルはこれに限らず、内部中遊技状態において用いられる内部中遊技状態用当選役抽選テーブル等、その遊技状態に応じて様々な当選役抽選テーブルが用いられる。
【0043】
(副制御基板202)
図4に戻り、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生手段202dが設けられており、乱数発生手段202dによって生成される乱数(演出抽選乱数)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
【0044】
また、副制御基板202は、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、演出決定手段(ランプデータ生成手段)334、ランプデータ合成手段336、演出実行手段(電飾実行手段)338を有する。初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出決定手段334は、遊技者に提供する演出を決定する。具体的に、演出決定手段334は、液晶表示部138に表示される画像データ、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等の電飾機器を通じた演出のための電飾データ、および、スピーカ140から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。ランプデータ合成手段336は、上記電飾データのうち、特に、演出用ランプ142に関するランプデータを合成する。演出実行手段338は、演出決定手段334が決定した演出を実行する。具体的に、演出実行手段338は、演出決定手段334が決定した画像データを液晶制御基板204に送信することで、その画像データに基づく画像を液晶表示部138に表示させ、電飾データを電飾用通信IC(I
2C:Inter-Integrated Circuit)202eを通じて電飾機器に送信し、音声データに基づく音声をスピーカ140から出力させる。
【0045】
ここで、演出とは、遊技の進行に伴い、液晶表示部138、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158、スピーカ140等を通じて提供される視覚的および聴覚的な表現手段であり、当該遊技にストーリー性を与えたり、当選役の抽選結果をよりダイナミックな画像で示唆したりすることができる。当選役の抽選結果を示唆する演出としては、例えば、遊技者が左リール134a、中リール134b、右リール134cの停止操作を適当に行っただけでは、当選役に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ライン上に表示させることができるとは限らない当選役(例えば、当選役「スイカ」)に当選した場合に、遊技者が停止操作を行う前にその当選役を示唆し、当選役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させるように促すものがある。また、上述したボーナス役に関しては、BB内部当選フラグやRB内部当選フラグを複数遊技に亘って持ち越すことが可能なので、ボーナス役の当選を示唆する演出を複数遊技に亘って行ったり、いずれかの遊技で遊技者の操作入力を所定時間無効化し、その間に特定の演出を実行するフリーズ処理を行ったりして、遊技者の期待感を高めることができる。また、たとえ、いずれの当選役も当選していなかったとしても、恰も当選しているかのような演出を通じて遊技者に高配当の期待感を持たせ、遊技者を飽きさせないようにすることが可能となる。
【0046】
ただし、液晶表示部138に表示される静止画や動画を含む画像は、データ容量やその表示に伴う処理負荷が膨大となるため、上述したように画像データに関しては、別途、液晶制御基板204を介在させて制御する。
【0047】
(副制御基板202で用いられるテーブル)
図6は、演出抽選テーブルを説明する図である。副制御基板202のサブROM202bには、複数の当選役およびハズレに対応する複数の演出抽選テーブルが設けられている。そして、主制御基板200において当選役抽選によりいずれかの当選役またはハズレが決定されると、その抽選結果に対応する演出抽選テーブルが決定される。例えば、当選役抽選の抽選結果が当選役「スイカ」であった場合、演出決定手段334は、複数の当選役およびハズレに対応する複数の演出抽選テーブルのうち、
図6に示すような当選役「スイカ」に対応する演出抽選テーブルを決定する。
【0048】
図6に示すような当選役「スイカ」に対応する演出抽選テーブルでは、例えば、演出抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域(1〜8)に区画されており、当選領域毎に、当選範囲値と、液晶表示部138に表示させる画像データと、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等の電飾機器から出力される演出にかかる電飾データと、スピーカ140から出力される演出にかかる音声データとが対応付けられている。演出決定手段334は、演出抽選テーブルにおける複数の当選領域の当選範囲値と演出抽選乱数とを比較して、演出抽選乱数に対応した抽選結果を導出する。すなわち、演出抽選テーブルにおける複数の当選領域から、順次、当選範囲値(ここでは「8192」)を取得し、その当選範囲値を、乱数発生手段202dによって生成された演出抽選乱数から順次減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた画像データ、電飾データおよび音声データを抽選結果とする。
【0049】
例えば、演出抽選乱数が「20000」であった場合、演出決定手段334は、まず、演出抽選乱数から当選領域1の当選範囲値「8192」を減算して減算値「11808」を導出する。かかる減算値「11808」は0以上なので(0未満ではないので)、演出決定手段334は、引き続き、減算された演出抽選乱数「11808」から当選領域1の次の当選領域である当選領域2の当選範囲値「8192」を減算して減算値「3616」を導出する。かかる減算値「3616」も0以上なので、演出決定手段334は、減算された演出抽選乱数「3616」から当選領域2の次の当選領域である当選領域3の当選範囲値「8192」を減算して減算値「−4576」を導出する。ここで、減算値「−4576」が0未満となるので、演出決定手段334は、その当選領域3に対応付けられた「画像データ3」、「電飾データ3」および「音声データ3」を抽選結果とする。ここでは演出抽選乱数の総数が65536なので、各当選領域の当選確率は、8192/65536となる。
【0050】
このように決定された画像データに基づく画像は液晶表示部138に表示され、それに連動して電飾データに基づき電飾機器が発光し、また、音声データに基づく音声がスピーカ140から出力される。電飾や音声は、画像の表示態様に応じて変化し、画像データの演出効果を高める役割を担う。以下では、特に、電飾データのうち、演出用ランプ142に関するランプデータの設定について詳述する。
【0051】
図7は、スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための図である。本実施形態における演出用ランプ142は、例えば、
図7(a)の正面図に示すように、ランプグループ142a〜142hの8つのランプグループに区分されている。各ランプグループ142a〜142hは、それぞれ1または複数のLEDで構成され、ランプグループ142a〜142h内のLEDは、ランプグループ142a〜142h内で点灯および消灯のタイミングが同期している。すなわち、ランプグループ142a〜142h内のLEDは、それぞれ1のランプとして一体的に発光または消灯する。
【0052】
演出決定手段334は、このような複数のランプグループ142a〜142hの点灯態様(点灯または消灯)を示す点灯情報を個々に決定する。ただし、後述する演出用ランプ142へのデータ転送上の理由から、複数のランプグループ142a〜142hは、複数のランプグループ142a〜142hの点灯情報を集約したランプデータ(データテーブル)単位で一度に制御される。例えば、
図7(b)に示すように、ランプグループ142a〜142hの点灯情報は、8ビット(1バイト)のランプデータとして集約される。ここでは、ランプデータにおける部分領域(ここでは、1ビット分の領域)それぞれに、ランプグループ142a〜142hそれぞれの点灯情報が記される。なお、点灯情報の「1」はランプグループ142a〜142hの点灯を、点灯情報の「0」はランプグループ142a〜142hの消灯に対応する。このように、複数のランプグループ142a〜142hの点灯情報が1のランプデータに集約されているので、任意の1のランプグループの点灯態様のみを新たに設定しようと試みたとしても、ランプデータ内の他のランプグループの点灯態様も同時に更新されてしまう。以下、ランプデータのデータ転送について詳述する。
【0053】
図8は、電飾機器へのデータ転送を説明するためのブロック図である。本実施形態では、副制御基板202に電飾用通信IC202eが設けられており、当該電飾用通信IC202eに、電飾機器としての、例えば、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158が、その順にデイジーチェーン接続されている。かかるデイジーチェーン接続は、複数の機器を数珠繋ぎに接続する配線方法であり、バケツリレー方式でデータが転送される。
【0054】
具体的に説明すると、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158の各電飾機器は、それぞれにアドレスが対応付けられ(アドレス1〜5)、電飾用通信IC202eは、アドレスを通じてデータ転送対象となる電飾機器を特定する。したがって、例えば、演出用ランプ142にランプデータを転送する場合、演出用ランプ142に対応付けられたアドレス(ここではアドレス1)とデータ(ランプデータ)とを組み合わせて転送し、演出用ランプ142は、デイジーチェーン上で転送されるアドレスをデコードし、そのデータ(ランプデータ)が自身に転送されたデータであることを把握してデータをラッチ(保持)し、ラッチしたデータに基づいてランプグループ142a〜142hそれぞれを点灯または消灯する。
【0055】
ここでは電飾用通信IC202eを用いているので、データの転送単位が8ビットとなる。また、8ビットのランプデータの全てのビットにはランプグループ142a〜142hそれぞれの点灯情報が記されている。したがって、電飾用通信IC202eは、各ランプグループ142a〜142hの点灯情報を一度に変更することしかできない。換言すれば、一部のランプグループを変更しようとしても、常に、他のランプグループも更新されてしまうため、一部のランプグループのみを変更することが困難となる。
【0056】
図9は、ランプデータを設定するレイヤについて説明するための説明図である。ここでは、理解を容易にするため、2つのレイヤを挙げて説明しているが、3以上設定することもできる。演出決定手段334は、遊技の進行に応じて、複数のランプグループ142a〜142hの点灯情報を決定すると、その複数のランプグループ142a〜142hの点灯情報を集約したランプデータを生成する。そして、生成されたランプデータを、その優先度に応じて、複数のレイヤのいずれか1のレイヤに振り分ける。ここで、レイヤは、サブRAM202c内に設けられた、それぞれ8ビットのバッファであり、異なるレイヤ間でランプデータの同一の部分領域が同一のランプグループ142a〜142hと対応している。すなわち、各レイヤに設定されたランプデータの1ビット目がランプグループ142aと対応し、2ビット目がランプグループ142bと対応し、3ビット目がランプグループ142cと対応し、4ビット目がランプグループ142dと対応し、5ビット目がランプグループ142eと対応し、6ビット目がランプグループ142fと対応し、7ビット目がランプグループ142gと対応し、8ビット目がランプグループ142hと対応する。
【0057】
ここで、仮に、複数のレイヤに優先順位を施して下位レイヤと上位レイヤとし、下位レイヤより上位レイヤを優先して出力することとすると、
図9の如く、下位レイヤにランプデータが設定されていたとしても、その上位レイヤに異なるランプデータが設定されていると、上位レイヤのランプデータがそのまま採用され、下位のレイヤにおけるランプデータが一切出力されなくなる。このとき、例えば、上位レイヤのランプデータを構成する全てのランプグループ142a〜142hが点灯情報を有効に設定されていれば問題ないが、演出決定手段334が、ランプデータ内の一部のランプグループ142a、142bについてのみ点灯情報を有効に設定した場合、他のランプグループ142c〜142hの値は、固定値「0」または不定値となる。この場合、本来、上位のレイヤにおけるランプデータで有効に設定されていないランプグループ142c〜142hについては、下位のレイヤにおけるランプデータで有効に設定されたランプループ142c〜142hを採用すべきである。しかし、レイヤ単位で優先度を異ならせると、上位レイヤのランプデータが8ビット単位で採用されてしまう。
【0058】
そこで、本実施形態では、ランプデータ合成手段336を用い、複数のレイヤそれぞれにランプデータを設定した後、ランプデータを再度加工し、電飾用通信IC202eから出力する。具体的に、サブRAM202c(優先情報記憶手段)に、点灯情報が記される、ランプデータにおける複数の部分領域(ここではビット毎)それぞれに、複数のレイヤのうちいずれを優先するかの優先情報を対応付けて記憶しておき、ランプデータ合成手段336が、複数のレイヤそれぞれに設定されたランプデータから、サブRAM202cに記憶された優先情報に基づき部分領域単位で点灯情報を抽出し、新たなランプデータとして合成する。以下、ランプデータの合成について具体的に説明する。
【0059】
図10は、ランプデータ合成手段336の動作を説明するための図である。サブRAM202cに記憶されている優先情報では、ランプデータの各部分領域に、それぞれレイヤの識別子(ここでは、レイヤ1、レイヤ2)が関連付けられている。これは、新たに合成されるランプデータの任意の部分領域については、優先情報において識別子で示されるレイヤに設定されたランプデータの当該部分領域に記される点灯情報を優先的に採用することを示している。
【0060】
例えば、
図10を参照すると、ランプデータの1ビット目に対応する優先情報がレイヤ1を優先することを示しているので、ランプデータ合成手段336は、最終的なランプデータの1ビット目として、レイヤ1のランプデータの1ビット目の点灯情報「1」を抽出する。また、ランプデータの5ビット目に対応する優先情報がレイヤ2を優先することを示しているので、ランプデータ合成手段336は、最終的なランプデータの5ビット目として、レイヤ2のランプデータの5ビット目の点灯情報「1」を抽出する。このようにして各ビットについてデータを抽出すると、ランプデータ合成手段336は、その順に合成し、新たに、ランプデータを生成し、電飾用通信IC202eに送信する。
【0061】
ここで、ランプグループ142a〜142hにそれぞれ1ビットを対応付けているが、その大きさは限定されず、複数ビットでもよい。したがって、ランプグループ142aに対応する部分領域もその大きさは限定されない。また、サブRAM202cにおける優先情報は、演出決定手段334が実行すべき演出に基づいて更新することとなる。
【0062】
また、優先情報が設定されていない部分領域があると、ランプデータ合成手段336は、予め定められた優先順位で点灯情報を抽出する。かかる構成により、予め定められた優先順位のまま利用できるのであれば、別途、その部分領域について優先情報を設定しなくても済み、また、部分領域に優先順位を設定し忘れた場合であっても、遊技機の動作に影響を及ぼすことはない。
【0063】
以下、主制御基板200および副制御基板202における具体的処理を説明する。
【0064】
(主制御基板200のメイン処理)
図11は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。
【0065】
(ステップS100)
スロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、回転リールの回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各回転リール134a、134b、134cが回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的にメインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。ただし、遊技者の遊技利益に影響を与えない情報、例えば、演出に関する情報等は必要に応じて初期化してもよい。そして、初期化手段300は、リールユニット134をはじめとする各種装置の接続状況や作動状況を確認する。
【0066】
(ステップS200)
続いて、ベット手段302は、メダル投入部124から規定数のメダルの投入を受け付け、あるいは、規定数以上のクレジットが貯留されている状況でベットボタン126の操作を受け付けて、メダルのベットを完了させ、スタートスイッチ128の操作待ち状態に移行する。また、ベット手段302は、その操作がなされたことを示す投入コマンドを生成し、副制御基板202に送信する。そして、スタートスイッチ128の操作が検知されると、次のステップS300に処理が移される。
【0067】
(ステップS300)
次に、当選役抽選手段304は、スタートスイッチ128の操作に応じて、乱数発生手段200dによって更新された当選役抽選乱数から、スタートスイッチ128が操作された時点における1の当選役抽選乱数を取得する。そして、当選役抽選手段304は、
図5(c)、
図5(d)に示した当選役抽選テーブルを含む複数の当選役抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選役抽選テーブルを決定するとともに、取得した当選役抽選乱数が、決定した当選役抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選役またはハズレを抽選結果として決定する。また、当選役抽選手段304は、スタートスイッチ128の操作に応じて抽選結果が決定された後、その当選役抽選の抽選結果(当選役またはハズレ)や遊技状態に関する情報等を含む当選役コマンドを生成し、副制御基板202に送信する。
【0068】
(ステップS400)
上記のようにして抽選処理が終了すると、次に、リール制御手段306は、ステッピングモータ262を駆動して左リール134a、中リール134b、右リール134cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転を開始し、左リール134a、中リール134b、右リール134cの全てが定速回転となったところで、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を有効化する。
【0069】
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cが有効化されている状態で、遊技者によるストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を受け付けると、その操作に対応する回転リール(左リール134a、中リール134b、右リール134cのいずれか)を所定の停止制御に従って停止させる。また、リール制御手段306は、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップボタンスイッチ130a、130b、130cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、その都度、副制御基板202に送信する。
【0070】
(ステップS600)
次に、判定手段308は、
図5(a)に示した有効ライン上に表示された図柄組み合わせが、
図5(b)に示した、予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて、メダルの払出枚数の決定処理、遊技状態の変更処理、および、リプレイに際して要求される種々の処理を実行する。ここで、判定手段308は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたことに基づいて、遊技者の有利度合いを異にする複数の遊技状態のうち1の遊技状態、例えば、ボーナス遊技状態を決定する。また、判定手段308は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせや、有効ライン上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、副制御基板202に送信する。
【0071】
(ステップS700)
続いて、払出制御手段310は、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ライン上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ライン上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。このように、払出制御手段310は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を遂行し、当該1遊技を終了する。また、払出制御手段310は、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、副制御基板202に送信する。
【0072】
ステップS200からステップS700に示したように、メダルのベットを通じて遊技を開始可能な状態となり、スタートスイッチ128の操作から入賞による払い出しまでの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS700までを繰り返すこととなる。
【0073】
(副制御基板202のメイン処理)
図12は、副制御基板202のメイン処理を示したフローチャートである。
【0074】
(ステップS1100)
電源スイッチを介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、副制御基板202の初期化決定手段330は、主制御基板200の初期化手段300同様、初期化処理を実行し、割込を許可する。また、初期化決定手段330は、電源が投入されている間、バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをサブRAM202cに保持し、不意の電源断が生じた場合、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
【0075】
(ステップS1200)
コマンド受信手段332は、主制御基板200からのコマンドが受信されたか否か判定し、コマンドが受信されない間、ステップS1200の処理を繰り返すことでコマンド待機状態を維持する。そして、コマンドが受信されたと判定した場合、コマンド受信手段332は、処理をステップS1300に移行する。
【0076】
(ステップS1300)
上記ステップS1200においてコマンドが受信されていると判定されれば、コマンド受信手段332は、当該受信されたコマンドに基づいて種々の処理を実行する。
【0077】
(コマンド受信処理S1300の詳細な処理)
図13は、上記ステップS1300のコマンド受信処理を示したフローチャートである。ここでは本実施形態の特徴に関係する処理についてのみ詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0078】
(ステップS1301)
まず、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが投入コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが投入コマンドであれば、ステップS1302に処理を移し、投入コマンドでなければ、ステップS1304に処理を移す。
【0079】
(ステップS1302)
上記ステップS1301において受信したコマンドが投入コマンドであると判定されれば、演出決定手段334は、投入コマンドに基づいて演出(画像データ、電飾データおよび音声データ)を決定する。なお、この投入コマンドは、上記したとおり、
図11のベット処理S200で送信されるコマンドであり、ベット手段302の操作がなされたことを示す情報が付加されている。
【0080】
(ステップS1303)
次に、演出実行手段338は、ステップS1302で決定された演出(画像データ、電飾データおよび音声データ)を実行する。当該演出実行処理S1303は
図14を用いて詳述する。
【0081】
(ステップS1304)
次に、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが当選役コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが当選役コマンドであれば、ステップS1305に処理を移し、当選役コマンドでなければ、ステップS1306に処理を移す。
【0082】
(ステップS1305)
上記ステップS1304において受信したコマンドが当選役コマンドであると判定されれば、演出決定手段334は、遊技者に提供する演出を決定する。当該演出決定処理S1305は
図15を用いて詳述する。なお、この当選役コマンドは、上記したとおり、
図11の抽選処理S300で送信されるコマンドであり、いずれかの当選役に当選した場合には、その当選役の種別を示す情報が付加されており、いずれの当選役にも当選しなかった場合にはハズレを示す情報が付加されている。そして、演出実行処理S1303を実行後、ステップS1306に処理を移す。
【0083】
(ステップS1306)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが第1〜第3停止コマンドのいずれかであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが第1〜第3停止コマンドのいずれかであれば、ステップS1307に処理を移し、第1〜第3停止コマンドのいずれでもなければ、ステップS1308に処理を移す。
【0084】
(ステップS1307)
上記ステップS1306において受信したコマンドが第1〜第3停止コマンドのいずれかであると判定されれば、演出決定手段334は、例えば、
図6に示したような演出抽選テーブルを参照し、第1〜第3停止コマンドのいずれであるかに基づいて演出(画像データ、電飾データおよび音声データ)を決定する。なお、この第1〜第3停止コマンドは、上記したとおり、
図11のリール停止処理S500で送信されるコマンドであり、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれかの操作がなされたことを示す情報が付加されている。そして、演出実行処理S1303を実行後、ステップS1308に処理を移す。
【0085】
(ステップS1308)
次に、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが入賞コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが入賞コマンドであれば、ステップS1309に処理を移し、入賞コマンドでなければ、ステップS1310に処理を移す。
【0086】
(ステップS1309)
上記ステップS1308において受信したコマンドが入賞コマンドであると判定されれば、演出決定手段334は、入賞コマンドに基づいて演出(画像データ、電飾データおよび音声データ)を決定する。なお、この入賞コマンドは、上記したとおり、
図11の判定処理S600で送信されるコマンドであり、有効ライン上に表示された図柄組み合わせや、有効ライン上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を示す情報が付加されている。そして、演出実行処理S1303を実行後、ステップS1310に処理を移す。
【0087】
(ステップS1310)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが払出コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが払出コマンドであれば、ステップS1311に処理を移し、払出コマンドでなければ、ステップS1312に処理を移す。
【0088】
(ステップS1311)
上記ステップS1310において受信したコマンドが払出コマンドであると判定されれば、演出決定手段334は、払出コマンドに基づいて演出(画像データ、電飾データおよび音声データ)を決定する。なお、この払出コマンドは、上記したとおり、
図11の払出処理S700で送信されるコマンドであり、払出処理がなされたことを示す情報が付加されている。そして、演出実行処理S1303を実行後、ステップS1312に処理を移す。
【0089】
(ステップS1312)
次に、コマンド受信手段332は、受信したコマンド(例えば、投入コマンド、当選役コマンド、第1〜第3停止コマンド、入賞コマンド、払出コマンド等)に対する他の種々の処理を遂行して、当該コマンド受信処理S1300を終了する。かかる処理に関しては、本実施形態の特徴と無関係なので、ここでは説明を省略する。
【0090】
図14は、上記ステップS1303の演出実行処理を示したフローチャートである。かかる演出実行処理では、演出決定手段334で決定された演出(画像データ、電飾データおよび音声データ)が実行される。
【0091】
(ステップS1303−1)
まず、演出実行手段338は、演出決定手段334が決定した演出に画像データが含まれているか否か判定する。その結果、演出に画像データが含まれていれば、ステップS1303−2に処理を移し、画像データが含まれていなければ、ステップS1303−3に処理を移す。
【0092】
(ステップS1303−2)
上記ステップS1303−1において、演出に画像データが含まれていると判定した場合、演出実行手段338は、その画像データを液晶制御基板204に送信する。すると、その画像データに基づく画像が液晶表示部138に表示される。
【0093】
(ステップS1303−3)
続いて、演出実行手段338は、演出決定手段334が決定した演出に電飾データが含まれているか否か判定する。その結果、演出に電飾データが含まれていれば、ステップS1303−4に処理を移し、電飾データが含まれていなければ、ステップS1303−10に処理を移す。
【0094】
(ステップS1303−4)
上記ステップS1303−3において、演出に電飾データが含まれていると判定した場合、演出実行手段338は、電飾データの特にランプデータを、複数のレイヤのうちランプデータに対応付けられたレイヤに設定する。
【0095】
(ステップS1303−5)
次に、ランプデータ合成手段336は、新たなランプデータの加工対象となるビットとして1を設定する。
【0096】
(ステップS1303−6)
続いて、ランプデータ合成手段336は、設定されたビット(初回は1)に対応するサブRAM202cの優先情報からレイヤの識別子を取得し、識別子で特定されるレイヤに設定されたランプデータの設定されたビットの点灯情報を抽出し、新たなランプデータの設定されたビットとして記憶する。
【0097】
(ステップS1303−7)
次に、ランプデータ合成手段336は、加工対象となるビットが全て(1〜8)終了したか否か判定する。その結果、加工対象となるビットが全て終了していれば、ステップS1303−9に処理を移し、全て終了していなければ、ステップS1303−8に処理を移す。
【0098】
(ステップS1303−8)
上記ステップS1303−7において、加工対象となるビットが全て終了していないと判定した場合、ランプデータ合成手段336は、加工対象となるビットをインクリメントし、ステップS1303−6からの処理を繰り返す。
【0099】
(ステップS1303−9)
上記ステップS1303−7において、加工対象となるビットが全て終了したと判定した場合、演出実行手段338は、記憶された新たなランプデータを電飾用通信IC202eを通じて演出用ランプ142に送信する。また、このとき電飾データのランプデータ以外のデータを各電飾機器に送信する。
【0100】
(ステップS1303−10)
続いて、演出実行手段338は、演出決定手段334が決定した演出に音声データが含まれているか否か判定する。その結果、演出に音声データが含まれていれば、ステップS1303−11に処理を移し、音声データが含まれていなければ、当該演出実行処理S1303を終了する。
【0101】
(ステップS1303−11)
上記ステップS1303−10において、演出に音声データが含まれていると判定した場合、演出実行手段338は、その音声データに基づく音声をスピーカ140から出力させる。
【0102】
図15は、上記ステップS1305の演出決定処理を示したフローチャートである。かかる演出決定処理では、遊技者に提供する演出が決定される。
【0103】
(ステップS1305−1)
コマンド受信手段332が当選役コマンドを受信すると、演出決定手段334は、当選役コマンドに基づいて演出を決定するために、サブROM202bに記憶された複数の演出抽選テーブルから、当選役コマンドに情報として含まれる当選役に対応する1の演出抽選テーブル(例えば
図6参照)を決定する。
【0104】
(ステップS1305−2)
次に、演出決定手段334は、乱数発生手段202dによって更新された演出抽選乱数から1の演出抽選乱数を取得する。
【0105】
(ステップS1305−3)
続いて、演出決定手段334は、上記ステップS1305−2において取得した演出抽選乱数が、演出抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の画像データ、電飾データおよび音声データを決定する。具体的に、演出決定手段334は、演出抽選テーブルにおける複数の当選領域から、予め定められた順番(ここでは当選領域に付した序数で順番を示す)に従って、順次、当選範囲値を参照し、その当選範囲値を演出抽選乱数から減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた演出を抽選結果としている。
【0106】
以上説明した構成により、複数のレイヤそれぞれに電飾機器のランプデータを設定する既存の構成を踏襲しつつ、ランプグループ単位で点灯情報を適切に設定することが可能となる。
【0107】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0108】
例えば、上述した実施形態においては、ランプデータの部分領域毎に優先情報を対応付ける例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、例えば、予め複数のレイヤに優先順位を付し、かつ、ランプデータにおいて、各ビットに有効または無効の情報を付すことができる場合、ランプデータ合成手段336が、上位レイヤに設定されたランプデータの有効な点灯情報のみを採用し、無効な点灯情報に関しては、優先順位が次に高い下位レイヤに設定されたランプデータで有効な点灯情報を採用するとしてもよい。
【0109】
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。