(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示される両面印刷機は、押え部材の設置位置が中間トレイの上面の広い範囲に及んでいるので、積載部に積載された用紙を、該積載部から取り出したい場合には、押え部材が取り出し作業の妨げとなる。
【0006】
また、上記特許文献2に示される製紙装置では、用紙としての再生紙を積載部へ整然と揃えて積載することは容易でない。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するものであり、用紙を積載部へ整然と揃えて積載することが可能
な製紙装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の製紙装置は、複数の用紙を一枚ずつ排出する排出手段と、用紙の排出方向に直交する幅方向に所定間隔離間して配置され、用紙の左右端部を上方に押し上げる一対の押上ガイドと、排出手段により排出された用紙を積載する積載部とが設けられたスタッカー装置を備えた製紙装置において、用紙の幅方向略中央部を上から押えるとともに、用紙の後端部を下方に押えることで、用紙を積載部に落とし込み可能な所定長さを有する押え部材を用紙の排出経路における排出手段と積載部との間に配設し、前記
押え部材の上流側端部は、前記押上ガイドの上流側端部より下流側に位置し、前記押え部材の下流側端部は、前記押上ガイドの下流側端部より下流側に位置するスタッカー装置を備えた。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の
製紙装置において、押え部材は、用紙との接触により上下動可能に構成されてなるものである。
【0010】
そして、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の
製紙装置において、押え部材は、可撓性薄板部材により形成されてなるものである。
【0011】
更に、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の
製紙装置において、押え部材は、用紙の排出方向の下流側が低く、上流側が高くなるよう傾斜配置されてなるものである。
【0012】
更に、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の
製紙装置において、押え部材は、上部が装置本体を構成する支持部材に片持ち支持されているものである。
【0013】
更に、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の製紙装置において、押上ガイドは、排出手段より排出方向下流側に配設さ
れるものである。
【0014】
更に、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の
製紙装置において、積載部は、用紙を積載する載置台と、前記積載台を昇降する昇降手段とを備えたものである。
【0015】
更に、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の
製紙装置において、載置台上に積載された再生紙の高さを検出するセンサと、前記センサの検出に基づいて、昇降手段を作動し、載置台を昇降する制御を行う制御部とを備えたものである。
【0016】
更に、請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の
製紙装置において、積載部は、積載される用紙を収容する箱状の収容部材を備えたものである。
【0017】
更に、請求項10に記載の発明は、収容部材は、排出された用紙の前端部が当接する内壁面に緩衝部材を設置したものである。
【0018】
更に、請求項11に記載の発明は、請求項9または請求項10に記載の発明において、収容部材は、左右両側面に上下に長い長穴が形成されてなるものである。
【0019】
更に、請求項12に記載の発明は、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の
製紙装置において、収容部材内に収容された用紙の後端縁を規制する後端規制部材を設けたものである。
【0020】
更に、請求項13に記載の発明は、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の
製紙装置において、処理を行う用紙が、古紙を離解し、抄紙することで得られた再生紙である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の製紙装置は、用紙の幅方向略中央部を上から押えるとともに、用紙の後端部を下方に押えることで、用紙を積載部に落とし込み可能な所定長さを有する押え部材を用紙の排出経路における排出手段と積載部との間に配設し、前記
押え部材の上流側端部は、前記押上ガイドの上流側端部より下流側に位置し、前記押え部材の下流側端部は、前記押上ガイドの下流側端部より下流側に位置するので、排出手段により排出された用紙は、押上ガイドにより左右端部が押し上げられるとともに、押え部材により幅方向略中央部が押し下げられることで、U字状に撓まされて腰付けられ、積載部へと放出することができ、製造した紙を整然と揃えて積載することが可能である。
【0022】
また、請求項2に記載の発明によれば、押え部材は、用紙との接触により上下動可能に構成したので、用紙が積載部の上方に略水平姿勢のまま進入すると、用紙に接触することで押え部材が押し上げられ、前方へ円滑に移動することができ、用紙が排出手段から解放された時点で押え部材が下方に移動して用紙の後部を積載部内に落とし込むことができ、よって、用紙を素早く積載部に積載可能である。
【0023】
そして、請求項3に記載の発明によれば、押え部材は、可撓性薄板部材により形成されてなるので、用紙との接触により押え部材が容易に撓み、用紙を傷めることなく略水平姿勢に保持することができる。
【0024】
更に、請求項4に押え部材は、用紙の排出方向の下流側が低く、上流側が高くなるよう傾斜配置されてなるので、押え部材の下部が用紙に上から接触して用紙の幅方向略中央部を押えることができ、押え部材が用紙の排出の妨げにならず、円滑に用紙を排出方向へ移動させることが出来る。
【0025】
更に、請求項5に記載の発明によれば、押え部材は、上部が装置本体を構成する支持部材に片持ち支持されているので、自由端である押え部材の下部は容易に上下揺動可能であり、適切に用紙の幅方向略中央部を押さえ部材により押えることが可能である。
【0026】
更に、請求項6に記載の発明によれば、押上ガイドは、排出手段より排出方向下流側に配設さ
れるので、
円滑に用紙を排出できる。
【0027】
更に、請求項7に記載の発明によれば、積載部は、用紙を積載する載置台と、前記積載台を昇降する昇降手段とを備えたので、積載部への用紙の積載量に応じて昇降手段により積載台を昇降して、積載台を最適な位置に移動し、適正に用紙を積載することが可能である。
【0028】
更に、請求項8に記載の発明によれば、載置台上に積載された用紙の高さを検出するセンサと、前記センサの検出に基づいて、昇降手段を作動し、載置台を昇降する制御を行う制御部とを備えたので、載置台上に積載される用紙の高さに応じて制御部が昇降手段の作動し、載置台を昇降させ、最適な高さ位置に移動することができる。
【0029】
更に、請求項9に記載の発明によれば、積載部は、積載される用紙を収容する箱状の収容部材を備えたので、積載部に積載される用紙を収容部材の内部に容易に収容することが可能である。
【0030】
更に、請求項10に記載の発明によれば、収容部材は、排出された用紙の前端部が当接する内壁面に緩衝部材を設置したので、排出された用紙が収容部材の内壁面に衝突し、跳ね返るのを抑制することができる。
【0031】
更に、請求項11に記載の発明によれば、収容部材は、左右両側面に上下に長い長穴が形成されてなるので、収容部材の内部で用紙が底面へと落下する際、用紙の下方にある空気が長穴から側方へ抜け、用紙は水平姿勢を維持したまま落下でき、用紙を収容部材の内部に整然と揃えて積載できる。
【0032】
更に、請求項12に記載の発明によれば、収容部材内に収容された用紙の後端縁を規制する後端規制部材を設けたので、収容部材の内壁面に用紙が衝突し、跳ね返った場合であっても、後端規制板により用紙の後端を規制でき、用紙の収容部材の内部に整然と揃えて積載できる。
【0033】
更に、請求項13に記載の発明によれば、
処理を行う用紙が、古紙を離解し、抄紙することで得られた再生紙であるので、製紙装置により製造された再生紙を整然と揃えて積載することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明にかか
る製紙装置の一例である古紙再生処理装置の構成概略図である。尚、本実施形態では、処理を行う用紙が、古紙を離解し、抄紙することで得られた再生紙である製紙装置としての古紙再生処理装置について記載する
が、用紙は再生紙に限定されず、古紙以外のパルプ原料を用
いて用紙を製造する製紙装置に利用可能である。
【0036】
図1において、古紙再生処理装置100は、古紙パルプ液製造部1、脱墨パルプ部2、抄紙部3、仕上部4、制御部(図示省略)を一体的に備えるものである。古紙パルプ液製造部1は、古紙6を離解して古紙パルプ液を製造するものであり、脱墨パルプ部2は、古紙パルプ液製造部1において製造された古紙パルプを脱墨するものであり、抄紙部3は、脱墨パルプ部2において得られた脱墨パルプ液を抄紙し、抄紙により得られた湿紙の脱水及び乾燥を行うものであり、仕上部4は、抄紙部3において得られた帯状紙65を断裁等することにより仕上げを行って再生紙7を得るものである。古紙パルプ液製造部1及び脱墨パルプ部2は、それぞれ公知の古紙パルプ製造装置及び脱墨装置を利用可能であり、詳細な説明を省略する。
【0037】
(抄紙部)
図2は、抄紙部3の概略斜視図である。抄紙部3は、脱墨パルプ部2による脱墨の終了した脱墨パルプ液を抄紙するものであり、ヘッドボックス31、ワイヤー部32、プレス部33、ドライヤー部34からなる。
【0038】
ヘッドボックス31は、上部が開口しており、下部に脱墨パルプ液の供給口31aが形成されている。脱墨パルプ液の供給口31aの幅方向両端部には、脱墨パルプ液を抄紙する抄紙ワイヤー323の両幅縁部に沿って所定長さを有するガイド部材31bが片持ち支持されている。ガイド部材31bは、ヘッドボックス31から抄紙ワイヤー323上に供給された脱墨パルプ液が抄紙ワイヤー323の側縁から外方に流れ落ちるのを防止するとともに、湿紙64の抄紙幅を所定長さとなるよう設定し、維持するようになっている。
【0039】
ワイヤー部32は、複数の回転ローラ321に掛け渡され、無端軌道を形成する抄紙ワイヤー323が設けられ、周回する抄紙ワイヤー323の内方には、抄紙ワイヤー323の網目から流下する水を受ける受水部325を設けている。受水部325は白水タンク(図示省略)に接続され、該白水タンクはパルパー18及び脱墨前希釈部21等に接続されることで、古紙の離解または古紙パルプ液の希釈に利用される。更に、白水タンクは脱墨処理部22の液体供給配管36にも接続され、白水タンク内の白水を消泡液または洗浄液の少なくともいずれかとして再度利用可能に構成されている。
【0040】
プレス部33は、複数の回転ローラ331の間にそれぞれ掛け渡したフェルトからなる無端状の吸水ベルト332a,332bを上下一対有し、上側の吸水ベルト332aと下側の吸水ベルト332bとが一部当接している。この上側の吸水ベルト332aと下側の吸水ベルト332bとが一部当接した部分において、双方の吸水ベルト332a,332bを挟圧して圧搾する一対の圧搾ローラ334を複数備えている。
【0041】
ドライヤー部34は、フード(図示省略)内に複数の回転ローラ351及び乾燥ローラ343を配置し、この複数の回転ローラ351及び乾燥ローラ343の間に掛け渡した搬送ベルト342を上下一対備えている。搬送ベルト342の材質は特に限定されず、例えば、布、耐熱樹脂または金属等とし、上下の搬送ベルト342は一部が当接した状態で走行し、上下の搬送ベルト342の当接箇所に複数の乾燥ローラ343が配置されている。乾燥ローラ343は、内部にヒータ345を備えるとともに、外周面に搬送ベルト342を巻回しており、また、乾燥ローラ343の表面の温度を測定する温度センサ(図示省略)を有している。
【0042】
(仕上部)
図3は、仕上部4を構成するスタッカー装置Sの外観斜視図、
図4は、前記スタッカー装置Sのカバー11を外した状態の平面図、
図5は、
図4のA−A線矢視断面図、
図6は、スタッカー装置Sの内部構造を示す断面図である。スタッカー装置Sは、
図3に示すように、カバー11内部に、抄紙部3からの帯状紙65を断裁する断裁部12を備え、更に、断裁部12で所定サイズに断裁され、得られた再生紙7を積載する紙受部13を有している。
【0043】
図6に示すように、断裁部12は、断裁手段16及び搬送部17、先端センサ29、排出センサ40を備えている。断裁手段16は、帯状紙65の幅方向に延在され、帯状紙65を搬送方向Fに直交する向きに断裁するカッター19と、カッター19より帯状紙65の搬送方向F下流側に設けられた
図4に示す左右一対のスリッター20a,20bとを備えている。カッター19は、
図6に示すように、帯状紙65の搬送面より上方及び下方にそれぞれ配設されてなるカッター上刃19a及びカッター下刃19bを備えている。カッター上刃19aは
図4に示すカッター昇降手18により昇降可能に構成され、カッター上刃19aがカッター昇降手段18によって昇降されることでカッター上刃19aの刃先がカッター下刃19bの刃先に摺接し、帯状紙65を搬送方向Fにほぼ直交する幅方向Wに断裁するようになっている。
【0044】
図6において、スリッター20は、帯状紙65及び帯状紙65がカッター19により断裁されることで生じた断裁紙片66の左右側縁部を、搬送方向Fに沿って断裁するものであり、ディスク状のスリッター上刃20aとスリッター下刃20bを備えている。そして、左右一対のスリッター20はそれぞれ帯状紙65の幅方向Wに延在されたスリッターガイドロッド22に垂下されており、ネジ送り機構等からなる
図4に示すスリッター送り装置21で帯状紙65の幅方向Wへ左右双方のスリッター20a,20bが同期して近接、離間し移動するようになっている。
【0045】
図6に示すように、スリッター20の搬送方向F下流側には、スリッター20により帯状紙65や断裁紙片66の左右側縁部を断裁することで生じた端材67を帯状紙65の搬送面より下方に案内するガイド23を設けている。ガイド23の下方には、該ガイド23により下方に案内された端材67を収容する図示しない端材収容箱を設けている。
【0046】
搬送部17は、帯状紙65の搬送面の下方に配設された搬送ローラ25a,25b,25cと、該搬送ローラ25に搬送面を介して対向配置された押えローラ26を備えている。押えローラ26は各搬送ローラ25に対し所定の圧力で押圧するようバネ27により付勢されている。この搬送ローラ25および押えローラ26が、帯状紙65の搬送方向Fに沿ってカッター19及びスリッター20の前後に複数並設されている。また、搬送ローラ25を回転駆動する
図4に示す駆動部28を備えている。
【0047】
先端センサ29は、カッター19の上流側に設置され、帯状紙65の搬送面の上下に配置された発光素子と受光素子とからなる透過型のセンサであり、帯状紙65の先端(前端または後端)を検知する。排出センサ40は、スリッター20の下流側となる再生紙7の搬送面の上方に設置される。一方、排出センサ40は、断裁手段16によって断裁され、紙受部13へと送られる再生紙7の先端(前端または後端)を検出する発光素子と受光素子とからなる反射型のセンサである。
【0048】
図6に示すように、搬送ローラ25cの近傍の本体フレーム55には、コロナ放電等によりイオンを発生し、再生紙7の静電気を除去する静電気除去装置89(
図4参照)の吹き出し口89aが設けられている。
【0049】
紙受部13は、排出手段41、押上ガイド42、押え部材43、後端規制部材45、上限センサ47、積載部44を備えている。排出手段41は、断裁手段16により所定サイズに断裁された再生紙7を一枚ずつ下流側の積載部44へ排出するものであり、再生紙7の搬送面の下方に設けられた排出ローラ49と、前記排出ローラ49に搬送面を介して対向配置された押えローラ50とを有している。排出ローラ49は、
図4に示す駆動部52により駆動される。押えローラ50は、排出ローラ49に対し所定の圧力で押圧するよう
図6に示すバネ53により付勢されている。また、
図4に示すように、押えローラ50は、回転軸50aに固着されたゴムローラ50bの幅方向W長さが、回転軸50aの幅方向W長さの4分の1乃至3分の1程度に短く形成される。これにより、押えローラ50は再生紙7の幅方向W略中央部のみをゴムローラ50bにより押えるようになっている。
【0050】
押上ガイド42は、
図4に示すように、排出ローラ49及び押えローラ50の下流側において、再生紙7の排出方向F(断裁部12における搬送方向と同じ)に直交する幅方向Wに所定間隔離間して配置され、排出手段41による再生紙7の排出の際、再生紙7の左右端部を上方に押し上げるようになっている。押上ガイド42の再生紙7と接触する上部の上面42aには、再生紙7の搬送の際の摩擦等によって生じた静電気を除去するテープ状の静電気除去部材86が貼着されている。
【0051】
押え部材43は、排出方向Fに沿って配設されてなり、
図6に示すように、排出方向F下流側となる前側が低く、後側が高くなるよう傾斜配置されている。
図7は押え部材43及びその周辺の拡大斜視図である。押え部材43は、所定長さを有する矩形状の薄板状部材が2箇所で屈曲して形成され、押え部材43の下部43aは、再生紙7に接触して表面を傷めることのないよう上方に屈曲して形成され、該押え部材43の上部43bは、装置本体としての本体フレーム55の上部に架設された支持部材としての架設部材56に貼着され、片持ち支持されている。押え部材43は、本体フレーム55に架設された架設部材57の上面の上方より放出される再生紙7の幅方向W略中央部を押さえることで、自由端となっている押え部材43の下部43aが再生紙7との接触により上下動可能に構成されている。
【0052】
押え部材43は、弾性変形を可能とし、柔軟で可撓性を有する合成樹脂等により形成することが好ましい。また、これに替えて、図示しないが、金属薄板等の剛性を有する部材をバネ等の付勢手段により付勢し同様の作用を奏する構成としてもよい。
【0053】
押え部材43の下方に配設された架設部材57の上部は、搬送方向F上流側へ屈曲して形成され、該架設部材57の上面における押え部材43の下方位置には、再生紙7の搬送の際の摩擦等によって生じた静電気を除去するテープ状の静電気除去部材87が貼着されている。また、押え部材43の上部43bを支持する架設部材16には、下部の幅方向Wの略全体に亘って刷毛状の静電気除去部材88が付設されている。
【0054】
図4に示すように、後端規制部材45は、幅方向Wにおいて、左右一対の押上ガイド42と押え部材43の間に設置され、積載部44に積載される再生紙7の後端縁を規制するようになっている。後端規制部材45は
図6に示すように、上部45aが鉤状に排出方向F上流側に屈曲して形成され、屈曲部分の上面は、先端部が若干低く、根元側が若干高く傾斜する傾斜面45sを有し、再生紙7が排出手段41により放出された際、再生紙7の下面を傾斜面45sにより摺接支持する。後端規制部材45の下部45bは本体フレーム55の中段に架設された架設部材57に螺着されている。後端規制部材45は、排出手段41により積載部44の上方に放出され、積載された再生紙7が収容部材71の内壁面71aに衝突した後、跳ね返って排出方向Fと逆方向となる排出手段41側に戻り、後続する再生紙7の排出の妨げとなるのを防止する。
【0055】
上限センサ47は、載置台69上に積載された再生紙7の高さを検出するセンサであり、
図5に示すように、架設部材57における押え部材43の下方となる位置に設置され、該上限センサ47の設置箇所の搬送方向F下流側における再生紙7の積載の有無を検出する。上限センサ47は、発行素子及び受光素子からなる反射型のセンサであり、この上限センサ47が検出した情報は制御部に送られる。
【0056】
積載部44は、排出手段41により排出された再生紙7を積載するものであり、載置台69、昇降手段70(
図4参照)、収容部材71を備えている。載置台69は、排出手段41により排出された再生紙7を積載するための台であり、載置台69の側方に設けた昇降手段70によって、
図8において実線で示した上限位置と一点鎖線で示した下限位置との間で昇降される。
図8に昇降手段70の概略図を示す。昇降手段70は、モータ77と、チェーン78と、スプロケット79、80と、コイルバネ81とを備える。チェーン78は、一端が載置台69の側部に固定され、載置台69から上方に延在し、載置台69の上限位置より上方に設けた案内スプロケット79に噛み合って下方に延在し、下部に設けられた減速ギヤを介してモータ77によって回転される駆動スプロケット80に噛み合い、他端が本体フレーム54に固定されたコイルバネ81によって常に上向きに付勢されている。駆動スプロケット80の回転により、チェーン78が軌道に沿って移動し、載置台69を昇降するようになっている。
【0057】
収容部材71は、排出手段41より排出された再生紙7を内部に収容するものであり、載置台69上に着脱自在に載置される。該収容部材71は、上下の架設部材56,57の間に形成された排出口58の対向面のみ開口した箱状に形成されている。尚、収容部材71は、排出口58の対向面のみならず、排出口58の対抗面及び上面が開口した箱状であってもよい。
【0058】
収容部材71の材質は、合成樹脂、紙等用いることができ、特に限定されないが、より軽量であるために持ち運びの容易なダンボール紙等の紙製が好ましい。収容部材71の排出口58に対向する開口面の横幅は、再生紙7の幅方向W長さと略同じ長さとすることが、再生紙7を整然と揃えて収容できる点で好ましい。例えば再生紙7の長手方向の長さが297mmのA4サイズである場合に、この長手方向を収容部材71の幅方向Wに収容する際には、収容部材71の横幅を299mm、より好ましくは298mm程度とし、再生紙7のサイズより若干長くする長さを2mm以内、より好ましくは1mmとするよう調整することが好ましい。
【0059】
また、
図3に示すように、収容部材71の左右両側面には、上下に長い長孔73が排出方向に沿って複数並設されている。そして、上部に把手74を設けている。更に、収容部材71は、載置台69上に1個のみ載置してもよいが、2個以上重ねて載置してもよい。更に、収容部材71は、載置台69上に立設した凸部材75により位置合わせされ、該載置台69上の所定位置に載置される。更に、収容部材71は、排出された再生紙7の前端部が当接する内壁面71aに緩衝部材72を設置している。
【0060】
制御部は、古紙再生処理装置100全体の動作を制御するCPU、記憶手段などにより構成される。この制御部は、上限センサ47から、該上限センサ47の設置位置の搬送方向F下流側に積載された再生紙7があるとの情報が送られた場合には、昇降手段70を駆動して載置台69を所定量降下する制御を行う。この場合の所定量とは、新たに排出手段41により放出され、載置台69上に積載される再生紙7の排出高さ位置より、例えば20mm〜50mmといった僅かに低くなる程度の範囲である。
【0061】
(第1の実施形態の作用)
本実施形態にかかる古紙再生処理装置100の作用につき以下に説明する。
図1に示すように、所定量の古紙6を、古紙パルプ製造1に投入して古紙パルプ液を製造し、得られた古紙パルプ液を脱墨パルプ部2へ送り、脱墨剤を投入して脱墨処理し、得られた脱墨パルプ液を抄紙部3へ送る。
【0062】
抄紙部3では、
図3に示すヘッドボックス31から走行する抄紙ワイヤー323上に、脱墨後の脱墨パルプを含む脱墨パルプ液をガイド部材31bに案内させつつ均一に供給し、水切りして水分を比較的多く含んだ繊維の層である湿紙64を形成する。抄紙ワイヤー323の下方に流下した水は受水部325に受水され、該受水部325から白水タンクに送られる。
【0063】
抄紙ワイヤー323上の湿紙64が上側の抄紙ワイヤー323の終端部に達すると、上側の吸水ベルト332aに転移され、下側の吸水ベルト332bとの間で挟持され、脱水ローラ対334によって挟圧され、湿紙64に含まれる水分が脱水される。
【0064】
脱水ローラ対334により脱水された湿紙64は、乾燥部34へと搬送され、一対の乾燥用ベルト342の間に挟持されて搬送される。そして、ヒータ345により加熱され所定温度に維持された複数の乾燥ローラ343に、乾燥用ベルト342を介して当接されつつ搬送されることで、湿紙64の乾燥が行われ仕上げ前の再生紙7である帯状紙65を得る。得られた帯状紙65は仕上部4に送られる。
【0065】
図6に示すように、仕上部4では、前端センサ29が帯状紙65の前端部が該前端センサ29の設置箇所を通過したことを検知し、制御部へ供給する。制御部は、帯状紙65を搬送ローラ25a及び押えローラ26により挟持し、予め設定された所定サイズの再生紙7に断裁するため所定量の搬送を行った後に、カッター19により断裁する。
【0066】
その際、予め設定された所定のサイズに応じた帯状紙65の断裁箇所がカッター19設置位置まで搬送されたところで、カッター19の前後に配設された搬送ローラ25a、25bの回転を停止して、帯状紙65の搬送を一時的に止める。そして、断裁箇所の前後の帯状紙65を各搬送ローラ25a、25bと押えローラ76とによって挟持した状態で、カッター昇降手段18によりカッター上刃19aを降下し、カッター下刃19bに摺接して帯状紙65を幅方向Wに沿って断裁する。この動作を帯状紙65の断裁箇所がカッター19設置位置に搬送される度に繰り返し行う。
【0067】
このカッター19の断裁によって、帯状紙65は幅方向Wに沿って断裁された断裁紙片66となる。このカッター19の断裁のため帯状紙65の搬送を停止している間にも、ドライヤー部34の搬送ベルト342は停止することなく連続的に帯状紙65を仕上部4へと供給し続けている。この結果、帯状紙65は搬送ローラ25aの上流側で弛み、皺が発生する原因となる。
【0068】
そこで、カッター19による断裁を行った後搬送ローラ25a,25bによる搬送を再開した直後に搬送部17による搬送を、ドライヤー部34の搬送ベルト342の搬送速度よりも速い速度で搬送するようにし、弛んだ帯状紙65を素早く搬送するように制御する。これにより、帯状紙65の弛みを容易に解消することができる。
【0069】
スリッター20は、搬送方向Fに沿って形成された断裁箇所に応じた所定位置にスリッター送り装置21によって予め移動され、スリッター20により帯状紙65または断裁紙片66の左右両側縁部に形成された断裁箇所を断裁して所定サイズの再生紙7とし、搬送ローラ25b、25cにより得られた再生紙7を下流側の紙受部13へ送る。
【0070】
紙受部13では、排出ローラ49及び押えローラ50により、再生紙7を挟持し、収容部材71内へと排出する。排出の際は、排出ローラ49による搬送を、断裁部12の各搬送ローラ25a、25b、25cによる搬送より、更に高速となるよう調整することで、再生紙7を加速させ、収容部材71の内部に勢いよく放出する。
図9(a)に示すように、再生紙7は、押え部材43により再生紙7の幅方向W略中央部が押し下げられ、押上ガイド42により左右端部が押し上げられることで再生紙7が腰付けられ、U字状に撓まされて略左右対称とした状態で放出される。その際、後端規制板45の傾斜面45sはU字状に撓まされた再生紙7の幅方向中央部と左右端部との中間位置を、押え部材43の下部43aと押上ガイド42の上部の中間高さで支持する。
【0071】
図10に示すように、押え部材43は、再生紙7の幅方向W略中央部を押さえることで、自由端となっている押え部材43の下部43aが、再生紙7との接触により上方へ揺動し、再生紙7を上から押えることの反作用により再生紙7から上向きの力を受け撓む。
【0072】
そして、
図11に示すように、押え部材43に押さえられることで、再生紙7は水平姿勢を略維持しながら収容部材71の内部へ徐々に送り込まれる。更に、
図12に示すように、再生紙7が排出ローラ49から離間した後、収容部材71の内壁面71aに衝突する。その際、収容部材71の内壁面71aには緩衝部材72を設置しているので、排出された再生紙7が逆方向へ勢いよく、跳ね返るのを抑制することができる。
【0073】
内壁面71aにより跳ね返された再生紙7は、後端規制部材45により再生紙7の後端が規制され、収容部材71の前側の内壁面71aとの間で位置合わせされながら、
図9(b)に示すように、U字状を維持した状態で下方へ静かに落下する。
【0074】
これにより、収容部材71の内部に各再生紙7の端部がきちんと揃った状態で整然と積層することが可能である。また、後続の再生紙7の送出しの際に邪魔になりやすい再生紙7の後部を後端規制部材45により規制し、収容部材71内に落とし込むので、排出ローラ49により加速して放出された再生紙7が収容部材71の内壁面71aに衝突し、跳ね返った場合であっても、先に送出された再生紙7に後続の再生紙7が接触することがなく、適正に再生紙7を積層可能である。
【0075】
また、再生紙7は、収容部材71の前方及び左右の内壁面により前後左右の端縁をそれぞれ位置決めされ、端辺を揃えられる。このとき、再生紙7が、既に積層されている先の再生紙7の上に落下し収まるまでに、複数の長孔73から収容部材71の左右両側の外方へ空気が抜けるので、再生紙7の水平姿勢を維持したまま先に積層された再生紙7の上面に揃えて積載できるとともに、素早く落下させることが可能である。
【0076】
更に、押上ガイド42は、排出手段41より排出方向下流側に配設され、押え部材43は、前記押上ガイド42の上流側端部と、積載部44に積載された再生紙7の後端縁との間に設置されてなるので、積載部44上に積載された再生紙7を取り出すため、収容部材71を載置台69から外す際、押え部材43が邪魔にならず、収容部材71を容易に着脱可能である。
【0077】
載置台69上に積載された再生紙7の高さが、上限センサ47の設置高さと同じにとなった際、制御部は、上限センサ47からの検出結果に基づいて昇降手段70を駆動して載置台69を所定量降下するよう制御する。このように、上限センサ47の設置高さ位置にまで、載置台69上に積載された再生紙7の高さが達した場合に、昇降手段70を作動して載置台69を僅かに降下し、載置台69上に積載された再生紙7の高さを上限センサ47の設置高さより低くする。
【0078】
これにより、載置台69上に載置される再生紙7の高さを、上限センサ47の設置高さより常に低くなるよう制御するとともに、排出手段41による排出高さ位置と、載置台69上に新たに積載される再生紙7の積載高さ位置との距離を、余り大きくすることなく、所定量以内の比較的小さい範囲に抑えることで、再生紙7が放出された際に、水平姿勢を維持しつつ落下する距離を小さくして積載部44に適正に揃えて積載することが可能なる。
【0079】
上限センサ47により検出を行うタイミングは、排出センサ40が再生紙7の排出を検出した後、所定時間経過後とする。即ち、排出センサ40が再生紙7が排出されたことを検出した直後は、
図9(a)、(b)に示すように、再生紙7が未だ落下途中であり、収容部材71の底面に積載されていないので、上限センサ47により検出を行っても正確な情報を得ることは困難である。そこで、上限センサ40が再生紙7の排出を検出した後、所定時間経過し、排出された再生紙7が収容部材71の底面に積載された時点で検出することで、正確な情報を得ることができる。