(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
用紙を挟持し搬送する一対の搬送部材を備えた搬送ユニットが、用紙搬送経路に沿って複数設置され、前記搬送部材による用紙搬送方向に交差する向きに該用紙を加工処理する加工処理部が、用紙搬送経路の途中に設けられ、加工処理部の近傍に設置された一部の搬送ユニットは、一対の搬送部材のうち回転駆動される方の搬送部材が、用紙を挟持する用紙挟持部がゴムにより形成されたゴム搬送部材であり、他の搬送ユニットは、一対の搬送部材のうち回転駆動される方の搬送部材の用紙挟持部が、金属により形成された金属搬送部材であることを特徴とする加工処理装置。
加工処理部が、用紙を裁断する裁断刃を備え、ゴム搬送部材は、裁断刃の設置箇所の用紙搬送方向直近上流側及び直近下流側の双方に設置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加工処理装置。
用紙搬送経路上に用紙を検出するセンサーが設置され、用紙が、前記センサーにより検出された後、ゴム搬送部材により所定量搬送されたところで、該用紙に加工処理を施すよう制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の加工処理装置。
搬送部材による用紙搬送方向に沿った向きに用紙を加工処理する加工処理部が、用紙搬送経路の途中に更に設けられている請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の加工処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の用紙折り目形成機構では、全ての搬送ローラの表面をゴム材料により形成している。このように表面がゴム材料の搬送ローラを多数用いると、個々の搬送ローラのゴムの変形による周長の変化によって、用紙の搬送量が僅かにばらつくことがある。また、ゴム材料は、金属材料のローラと比較すると用紙の搬送により短期間のうちに磨耗しやすい。
【0005】
本発明の目的は、用紙を加工処理する際、該用紙を精度よく搬送することが可能であるとともに、用紙を搬送する部材の耐久性を向上可能な加工処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の加工処理装置は、用紙を挟持し搬送する一対の搬送部材を備えた搬送ユニットが、用紙搬送経路に沿って複数設置され、前記搬送部材による用紙搬送方向に交差する向きに該用紙を加工処理する加工処理部が、用紙搬送経路の途中に設けられ、加工処理部の近傍に設置された一部の搬送ユニットは、一対の搬送部材のうち
回転駆動される方の搬送部材が、用紙を挟持する用紙挟持部がゴムにより形成されたゴム搬送部材であり、他の搬送ユニットは、一対の搬送部材のうち
回転駆動される方の搬送部材の用紙挟持部が、金属により形成された金属搬送部材であることを特徴とする。
【0007】
また、前記構成において、ゴム搬送部材は、加工処理部より用紙搬送方向の少なくとも直近上流側に設置される。
【0008】
そして、前記各構成において、加工処理部が、用紙を裁断する裁断刃を備え、ゴム搬送部材は、裁断刃の設置箇所の用紙搬送方向直近上流側及び直近下流側の双方に設置される。
【0009】
更に、前記各構成において、用紙搬送経路上に用紙を検出するセンサーが設置され、用紙が、前記センサーにより検出された後、ゴム搬送部材により所定量搬送されたところで、該用紙に加工処理を施すよう制御する制御部を備える。
【0010】
更に、前記各構成において、ゴム搬送部材のゴム層の厚さが、10μmより大きく設定されている。
【0011】
更に、前記各構成において、ゴム搬送部材のゴム層の硬度が、JISK6253タイプAで70度以上に設定されている。
【0012】
更に、前記各構成において、搬送部材が、ローラである。
【0013】
更に、前記各構成において、加工処理部が、装置本体に形成された装着部に着脱自在となっている。
【0014】
更に、前記各構成において、搬送部材による用紙搬送方向に沿った向きに用紙を加工処理する加工処理部が、用紙搬送経路の途中に更に設けられている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、用紙搬送方向に交差する向きに該用紙を加工処理する加工処理部の近傍に設置された一部の搬送ユニットは、一対の搬送部材のうち
回転駆動される方の搬送部材が、用紙を挟持する用紙挟持部がゴムにより形成されたゴム搬送部材であり、他の搬送ユニットは、一対の搬送部材のうち
回転駆動される方の搬送部材の用紙挟持部が、金属により形成された金属搬送部材であるので、用紙を用紙搬送方向に交差する向きに加工処理するために用紙を搬送する際、加工処理部の近傍に設置されたゴム搬送部材によって該用紙を精度よく搬送することが可能である。また、加工処理部から離れた位置に設置される搬送ユニットを構成する搬送部材のうち
回転駆動される方を金属搬送部材とすることで、用紙挟持部の磨耗を抑制することができる。
【0016】
また、ゴム搬送部材が、加工処理部より用紙搬送方向の少なくとも直近上流側に設置される場合は、ゴム搬送部材によって用紙を加工処理部へ搬送する際の搬送量の精度をより向上可能である。
【0017】
そして、加工処理部が、用紙を裁断する裁断刃を備え、ゴム搬送部材は、裁断刃の設置箇所の用紙搬送方向直近上流側及び直近下流側の双方に設置される場合は、用紙を裁断する際、用紙を一対の搬送部材によって用紙搬送方向上流側及び下流側の双方で強い力で挟持することができる。よって、用紙を用紙搬送方向に交差する向きに精度よく裁断することが可能である。
【0018】
そして、用紙搬送経路上に用紙を検出するセンサーが設置され、用紙が、前記センサーにより検出された後、ゴム搬送部材により所定量搬送されたところで、該用紙に加工処理を施すよう制御する制御部を備えた場合は、用紙の搬送量の精度を更に向上可能である。
【0019】
更に、ゴム搬送部材のゴム層の厚さが、10μmより大きく設定されている場合は、ゴム層が剥離し難くすることができる。
【0020】
更に、ゴム搬送部材のゴム層の硬度が、JISK6253タイプAで70度以上に設定されている場合は、用紙を挟持した際のゴムの変形を小さくし、用紙搬送量の精度を更に向上可能である。
【0021】
更に、搬送部材が、ローラである場合は、小さい占有面積で容易に用紙を搬送でき、加工処理装置の大きさを小さくできる。
【0022】
更に、加工処理部が、装置本体に形成された装着部に着脱自在となっている場合は、必要とされる用紙の加工方法に応じて加工処理部を変更することができる。
【0023】
更に、搬送部材による用紙搬送方向に沿った向きに用紙を加工処理する加工処理部が、用紙搬送経路の途中に更に設けられている場合は、用紙搬送方向に沿った向きの加工処理を用紙に施すことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[加工処理装置の全体構成]
本発明にかかる加工処理装置の実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る加工処理装置の模式縦断面図である。この
図1において、加工処理装置100は、装置本体1の用紙Pの用紙搬送方向Fの上流端部に給紙部2を備え、用紙搬送方向Fの下流端部に紙受け部3を備えている。そして、給紙部2と紙受け部3との間に、略水平な用紙搬送経路5が形成されている。用紙搬送経路5の途中には、用紙Pを加工処理する複数の加工処理部24が設けられている。
【0026】
加工処理部24としては、用紙搬送方向F上流側から下流側にかけて、横ミシン目形成機構18、縦ミシン目形成機構19、スリッター機構20、クリース機構21及びカッター機構22が配置されている。各加工処理部24のうち、横ミシン目形成機構18、クリース機構21及びカッター機構22は、用紙搬送方向Fに交差する向きに該用紙Pを加工処理し、縦ミシン目形成機構19及びスリッター機構20は、搬送部材による用紙搬送方向Fに沿った向きに用紙Pを加工処理する。
【0027】
各加工処理部24は、装置本体1に形成された装着部7に着脱自在となっている。各加工処理部24は、カセット方式により、複数の装着部7のうち所望の位置に差し替えすることができる。したがって、必要とされる用紙の加工方法に応じて、各機構18〜22の配置順序を変更したり、あるいは縦クリース機構、面取り機構、用紙Pの厚さ方向の一部を切断するキスカット線形成機構等の他の機構と取り替えたりできる。
【0028】
横ミシン目形成機構18の用紙搬送方向F上流側には、読取手段26及びリジェクト機構25が配置され、スリッター機構20の用紙搬送方向F下流側には、紙片落とし機構27が配置されている。
【0029】
[給紙部2]
給紙部2は、吸引搬送ベルト機構8aを備えており、給紙トレイ2a上に積載された所定枚数の用紙Pを、吸引搬送ベルト機構8a及び給紙ローラ対8により、最上位の用紙Pから順に、一枚ずつ用紙搬送経路5に供給する。給紙ローラ対8のうち下方の給紙ローラ8b及び吸引搬送ベルト機構8aは、図示しない給紙用駆動部に接続され、該給紙用駆動部は制御部45に電気的に接続されている。
【0030】
[読取手段26]
読取手段26は、用紙搬送経路5における用紙の位置情報を読み取る。また、読取手段26は、操作パネル46を用いた加工処理情報の手動入力による設定とは別に、自動的に加工処理情報を読み取り、設定できる設定部47としても用いられる。具体的には、
図5に示すような用紙Pの左端上隅部に印刷された位置マークM1の画像を読み取って、用紙Pの用紙搬送方向F及び用紙搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wの基準位置を検出するとともに、用紙Pの前端部に印刷されたバーコードM2の画像を読み取って用紙Pに施されるべき加工処理情報を取得し設定する。このため読取手段26は、CCDセンサー等により構成される。加工処理情報としては、たとえば、用紙Pの用紙搬送方向Fの全長及び全幅に加え、加工処理により得られる加工品Qの寸法、数及び配置、ミシン目線Y、クリース線T、用紙Pの厚さ方向の一部を切断する切断線、スリッター機構20及びカッター機構22により形成される裁断線等の位置情報及び長さ等が挙げられる。
【0031】
[リジェクト機構25]
図1のリジェクト機構25は、印刷された位置マークM1やバーコードM2が不鮮明であるために読取手段26による読取が不能であった場合や、用紙を重送した場合等に、その用紙Pに対して作動し、用紙Pを下方へ落下させて排出トレイ25aで回収する。
【0032】
[横ミシン目形成機構18]
横ミシン目形成機構18は、用紙搬送幅方向Wに延び、相対向するミシン目形成刃53及び受け部材54からなる一対の横ミシン目刃を備える。上側のミシン目形成刃53は、下端縁に先鋭な刃先が鋸状に形成され、受け部材54は、上面にミシン目形成刃53の刃先の突き当る突き当て面が形成されている。ミシン目形成刃53は、受け部材54に対し接触離間し、これにより、用紙搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wに沿って用紙Pの予め設定された所定位置にミシン目線Yを形成する。ミシン目形成刃53は、動力伝達機構を介してモータ等の図示しない横ミシン目形成駆動部に連結されている。
【0033】
[縦ミシン目形成機構19]
縦ミシン目形成機構19には、回転式のミシン目形成刃55及び受け部材56が、用紙搬送幅方向Wに間隔を置いて2組配置されている。受け部材56は、ミシン目形成刃55に用紙Pの搬送面を介し対向配置される。用紙Pを介してミシン目形成刃55と受け部材56とを接触させることで、用紙Pの所定箇所に縦ミシン目線を形成する。対向するミシン目形成刃55及び受け部材56は、用紙搬送幅方向Wの所定位置に移動可能である。
【0034】
[スリッター機構20]
図1において、スリッター機構20は、上下一対の回転式裁断刃57,58が、用紙搬送幅方向Wに間隔を置いて2組配置されている。下側の裁断刃58は、動力伝達機構を介して図示しないモータ等の裁断刃駆動部に連結されている。すなわち、裁断刃駆動部の駆動力で下側の裁断刃58を回転させることにより、用紙Pに対して、用紙搬送方向Fと平行にスリット線を形成するようになっている。この裁断刃57,58の用紙搬送幅方向Wの位置は任意に変更可能である。
【0035】
[紙片落とし機構27]
紙片落とし機構27は、前記スリッター機構20で裁断刃57,58によって用紙搬送方向Fに沿って切り取られた不要領域Uの紙片を、用紙搬送経路5の下方へと落下させる。紙片落とし機構27は、用紙Pが紙片落とし機構27を通過する際に、前記紙片を下方の紙片回収部23へ落下させる。
【0036】
[横クリース形成機構21]
横クリース形成機構21は、上端凹部を有する下型60と、前記凹部に嵌合する下端凸部を有する上型59とを備えており、前記上型59は、図示しないモータ等の横クリース形成駆動部に動力伝達機構を介して連結されている。すなわち、横クリース形成駆動部の駆動力で上型59は下降され、用紙Pを介して下型60に嵌合されることにより、用紙Pに、用紙搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wに折り目が形成される。
【0037】
[カッター機構22]
カッター機構22は、用紙Pを裁断する裁断刃61を備える。裁断刃61は、用紙搬送幅方向Wに延び、相対向する上側可動刃62及び下側固定刃63からなる。上側可動刃62は下側固定刃63に対し接触離間し、これにより、用紙Pを用紙搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wに沿って裁断する。上側可動刃62は、動力伝達機構を介して図示しないモータ等の裁断駆動部に連結されている。
【0038】
加工処理装置100には、用紙搬送経路5に沿って、用紙Pを挟持し搬送する一対の搬送部材を備えた搬送ユニット9〜17が、複数設置されている。この複数の搬送ユニット9〜17のうち、搬送部材による用紙搬送方向Fに交差する向きに用紙Pを加工処理する横ミシン目形成機構18、クリース機構21及びカッター機構22の各加工処理部24の近傍、特に、各加工処理部24より用紙搬送方向Fの少なくとも直近上流側に設置された一部の搬送ユニット11,15,16は、一対の搬送部材のうち
回転駆動される方の搬送部材が、用紙Pを挟持する用紙挟持部67がゴムにより形成されたゴム搬送部材である。また、加工処理部24が、用紙Pを裁断する裁断刃61を備えたカッター機構22については、裁断刃61の設置箇所の用紙搬送方向F直近上流側の搬送ユニット16のみならず、直近下流側の搬送ユニット17が、一対の搬送部材のうち
回転駆動される方の搬送部材が、用紙Pを挟持する用紙挟持部67がゴムにより形成されたゴム搬送部材である。そして、他の搬送ユニット9,10,12,13,14は、一対の搬送部材のうち
回転駆動される方の搬送部材の用紙挟持部67が、金属により形成された金属搬送部材である。
【0039】
一対の搬送部材は、用紙搬送面の上方に設置される上ローラ64及び用紙搬送面の下方に設置される下ローラ65,66により構成される。この上ローラ64と下ローラ65,66とは、対向して設置される。
【0040】
図2は、全ての搬送ユニット9〜17の上ローラ64を、一部を断面で示す平面図、
図3は、搬送ユニット11,15,16,17の下ローラ65の一部を断面で示す平面図、
図4は、搬送ユニット9,10,12,13,14の下ローラ66の一部を断面で示す平面図である。
図2〜4に示す全ての搬送部材は、円筒状のローラ本体69と、該ローラ本体69の長手方向両端部を閉塞するとともに、該両端部からローラ本体69の長手方向に沿って突出する回転軸70とを備える。ローラ本体69及び回転軸70は双方とも鉄、鋼、ステンレス、アルミニウム、真鍮等の金属により形成される。ローラ本体69と回転軸70とは、同種の金属により形成してもよく、異種の金属により形成してもよい。
【0041】
そして、
図2に示す上ローラ64は、用紙Pを挟持する用紙挟持部67が、スポンジ等の柔軟性のある部材72により形成されたスポンジローラとなっている。スポンジローラを構成する柔軟性のある部材72は、ローラ本体69の外周面を覆うよう形成される。上ローラ64がスポンジローラとされることで、用紙Pを傷付けることなく下ローラ65,66との間で強く挟持することができる。
【0042】
図3に示す搬送ユニット11,15,16,17の下ローラ65は、用紙Pを挟持する用紙挟持部67が、ゴムにより形成されたゴム搬送部材となっている。このゴム搬送部材を構成するゴム層は、ローラ本体69の外周面を覆うように形成される。ゴムの種類は、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、シリコーン変性エチレンプロピレンゴム、フロロシリコーンゴム等を用いることができる。これらのうち、耐摩耗性に優れる点でウレタンゴムを用いることが好ましい。
【0043】
ゴム搬送部材のゴム層74の厚さは、10μmより大きく設定されていることが好ましく、25μm以上とすることがより好ましい。ゴムの厚さを10μmより大きくすることで、ローラ本体69からゴムが剥離し難くすることができる。
【0044】
また、ゴム搬送部材のゴム層74の硬度は、JISK6253タイプAで70度以上に設定されていることが好ましく、80度以上とすることがより好ましい。ゴムの硬度を70度以上とすることで、用紙Pを挟持した際のゴムの変形を小さくし、用紙搬送量の精度を向上可能である。
【0045】
ゴム層を形成する方法としては、例えば、注型成形、押出成形、射出成形等を用いることができる。これらのうち、ゴム層の成形精度が良好であることから、注型成形が好ましい。さらに、寸法精度をより向上させるために、ゴム層表面を研磨などで追加工しておくこともできる。
【0046】
図4に示す搬送ユニット9,10,12,13,14の下ローラ66は、用紙Pを挟持する用紙挟持部67が、金属により形成された金属搬送部材となっている。金属搬送部材は、ローラ本体69がむき出しで、何ら表面処理加工がなされていなくてもよいが、
図4に示すように、ローラ本体69の外周面に、更に金属層75が形成されてもよい。ローラ本体69の外周面に形成する金属層75は、無電解メッキ、電気メッキなどのメッキ処理、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、化学蒸着等の蒸着処理、金属溶射、金属拡散などの各方法を用いることで、ニッケル、クロム、亜鉛、銅、銀、アルマイト、チタン等の層として形成することができる。
【0047】
この上下ローラ64,65,66の回転軸70は、いずれも図示しない軸受にベアリングを介して支持されている。前記軸受は、装置本体1の側壁に固定されている。下ローラ65,66の回転軸70は、動力伝達機構を介して図示しない搬送駆動部にそれぞれ連結されており、各搬送駆動部は制御部45に電気的に接続されている。そして、上ローラ64は、下ローラ65,66に対し所定の付勢力で付勢されている。
【0048】
[制御部45]
制御部45には、CPUや、RAM及びROM等の記憶装置が内蔵されており、制御部45のインターフェースには、用紙Pの加工処理情報を設定する設定部47が電気的に接続されている。設定部47は操作パネル46により構成され、該操作パネル46によって用紙Pの加工処理情報を設定し、かつ、表示する。
【0049】
用紙搬送経路5には、さらに、用紙Pの前端縁(用紙搬送下流端縁)Paあるいは用紙Pの後端縁(用紙搬送上流端縁)Pbを検出する複数の光透過式のセンサー31〜35が配置されており、それぞれ制御部45に電気的に接続されている。そして、制御部45は、用紙搬送方向Fに交差する向きに該用紙Pを加工処理する加工処理部24の上流側に設置されたセンサー32,34により用紙Pが検出された後、ゴム搬送部材により所定量搬送されたところで、該用紙Pに加工処理を施すよう制御する。
【0050】
[用紙Pの加工品配列パターン]
図4は、設定部47で設定された用紙Pの加工品Qの配列パターンの一例を示す平面図である。同図に示す加工品Qの配列パターンは、一枚の用紙Pに用紙搬送幅方向に沿った4本の裁断線K、2本のミシン目線Y及び2本のクリース線Tが設定されている。これより3枚の不要領域Uを取り除き2枚の加工品Qを製作するようになっている。
【0051】
[加工処理装置の作業]
図1に示す操作パネル46を用い、使用者は、加工品Qの配列パターンについて、用紙Pの大きさ及び種類、加工品Qの配列、数及び大きさ、裁断線やミシン目線、クリース線等の用紙加工線の位置及び長さ等に関する各種加工処理情報を設定する。なお、この手動設定に替えて、あるいは、手動設定と協働して、読取手段26によるバーコードM2等の読み取りにより、加工処理情報を自動的に設定することもできる。
【0052】
図1の給紙部2の給紙トレイ2a上に積載された複数の用紙Pが、吸引搬送ベルト機構8a及び給紙ローラ8bにより、上端から一枚ずつ用紙搬送経路5に供給される。そして、搬送ローラ9〜17により、用紙Pは用紙搬送経路5上を下流側へと搬送される。
【0053】
読取手段26では、用紙Pの位置マークM1並びに、必要に応じてバーコードM2が読み取られて、用紙Pに施されるべき加工処理情報が設定される。
【0054】
リジェクト機構25は、仮に、読取手段26による読取が不能であり、加工条件が不明であった場合や重送があった場合に、その用紙Pに対して作動し、用紙Pを落下させて排出トレイ25aにより回収する。
【0055】
横ミシン目形成機構18では、制御部45は、センサー32が用紙Pの前端縁Paを検出したとき、ミシン目線Yの形成位置を判断するために用紙Pの搬送量の計測を開始する。そして、制御部45は、各搬送駆動部を同期駆動することで用紙Pが所定量搬送され、ミシン目形成刃53の設置位置に、用紙Pの用紙搬送幅方向Wに沿ったミシン目線Yを形成すべき位置が到達した時点で、各搬送駆動部を停止して用紙Pの搬送を停止する。そして、制御部45は、横ミシン目形成駆動部を駆動し、ミシン目形成刃53を下降し、用紙Pを介して受け部材54に接触させ、用紙Pの所定位置にミシン目線Yを形成する。
【0056】
このとき、横ミシン目形成機構18の直近上流側に設置される搬送ユニット11の下ローラ65は、用紙Pを挟持する用紙挟持部67がゴムにより形成されたゴム搬送部材であるので、ミシン目線Yを形成するために、制御部45が搬送駆動部の駆動を停止し用紙Pの搬送を停止するとき、上ローラ64と下ローラ65の間で用紙Pをしっかりと挟持し、適正な位置で正確に停止することができる。よって、ミシン目線Yを精度よく形成することが可能であり、搬送部材の用紙挟持部67で用紙がスリップし、下流側へ過剰に用紙Pが搬送されるといったことがなく、ミシン目線Yの形成位置がずれることがない。
【0057】
また、制御部45は、センサー32が用紙Pの前端縁Paを検出したとき用紙Pの搬送量の計測を開始し、その後用紙Pが搬送ユニット11のゴム搬送部材により所定量搬送されたところで、該用紙Pにミシン目線Yを形成するよう制御するので、用紙Pの搬送量の精度を更に向上可能である。
【0058】
図4に示す加工品Qの配列パターンでは、用紙搬送方向Fに沿ったミシン目線及びスリット線が設定されていないため、用紙Pが横ミシン目形成機構18を通過した後、縦ミシン目形成機構19及びスリッター機構20、紙片落とし機構27において、何の加工処理も施されることなく素通りする。
【0059】
横クリース形成機構21では、制御部45は、センサー34が用紙Pの前端縁Paを検出したとき、クリース線T及び裁断線Kの形成位置を判断するために用紙Pの搬送量の計測を開始する。そして、制御部45は、上型59及び下型60の設置位置に、用紙Pの用紙搬送幅方向Wに沿ったクリース線Tを形成すべき位置が到達した時点で、用紙Pの搬送を停止する。そして、制御部45は、横クリース形成駆動部を駆動し、上型59を下降し、用紙Pを介して下型60の凹溝に上型59の凸部を挿入し、用紙Pの所定位置にクリース線Tを形成する。
【0060】
このとき、上記横ミシン目形成機構18におけるミシン目線Yの形成時と同様に、横クリース形成機構21の直近上流側に設置される搬送ユニット15は、下ローラ65の用紙Pを挟持する用紙挟持部67が、ゴムにより形成されたゴム搬送部材であるので、クリース線Tを形成するために、制御部45が搬送駆動部の駆動を停止し、用紙Pの搬送を停止するとき、用紙Pが強い摩擦力により適正な位置で停止することができる。これより、クリース線Tを精度よく形成することができ用紙Pがスリップして下流側へ過剰に搬送されるといったことがない。
【0061】
更に、用紙Pがカッター機構22に至ると、上側可動刃62と下側固定刃63の接触位置に、用紙Pの用紙搬送幅方向Wに沿った裁断線Kを形成すべき位置が到達した時点で、制御部45は用紙Pの搬送を停止する。そして、制御部45は、裁断駆動部を駆動し、上側可動刃62を下降し、下側固定刃63と用紙Pを介して接触することで、用紙Pを所定位置で裁断する。
【0062】
このとき、カッター機構22の直近上流側に設置される搬送ユニット16の下ローラ65の用紙Pを挟持する用紙挟持部67が、ゴムにより形成されたゴム搬送部材であるので、制御部45が用紙Pの搬送を停止するとき、適正な位置で正確に停止することができる。よって、裁断線Tを精度よく形成することができる。
【0063】
更に、カッター機構18の直近上流側に加え、直近下流側に設置される搬送ユニット17の下ローラ65の用紙Pを挟持する用紙挟持部67が、ゴムにより形成されたゴム搬送部材とされているので、用紙Pを裁断する際、用紙Pを一対の搬送部材によって用紙搬送方向上流側及び下流側の双方で強い力で挟持することができる。よって、用紙Pを用紙搬送幅方向Wに沿って精度よく裁断することが可能である。したがって、裁断中に上側可動刃62が下側固定刃63に接触することで用紙Pの位置が、停止位置からずれてしまうといったことがなく、裁断線Tが用紙搬送幅方向Wからずれて斜めに形成されてしまうといったことがない。
【0064】
用紙Pから切り取られた不要領域Uは下方の紙片回収部23へと落下する。ミシン目線Y、クリース線T及び裁断線Kがそれぞれ施され、得られた加工品Qは紙受け部3に搬送され、積載される。
【0065】
以上より、本実施形態にかかる加工処理装置100では、横ミシン目形成機構18、横クリース機構21、カッター機構22という搬送部材による用紙搬送方向Fに交差する向きに該用紙Pを加工処理する加工処理部24の近傍に設置された一部の搬送ユニット11,15,16,17は、一対の搬送部材のうち
回転駆動される方の搬送部材が、用紙Pを挟持する用紙挟持部67がゴムにより形成されたゴム搬送部材であり、他の搬送ユニット9,10,12,13,14は、一対の搬送部材のうち
回転駆動される方の搬送部材の用紙挟持部67が、金属により形成された金属搬送部材であるので、該用紙Pを加工処理する際、該用紙Pを精度よく搬送し、停止することが可能であるとともに、金属搬送部材を用いた搬送ユニットの用紙挟持部67の磨耗が抑制される。よって、耐久性を向上可能である。
【0066】
尚、上記実施形態では、一対の搬送部材が上ローラ64及び下ローラ65,66により構成されたが、本発明にかかる加工処理装置はこれに限定されず、搬送部材の設置方向を上下に替えて横方向に対向するようにしてもよく、ローラに替えてベルトを用いてもよい。また、ゴム搬送部材及び金属搬送部材と対をなす搬送部材をスポンジローラとしたが、一対の搬送部材の用紙挟持部67を同種の材質により構成してもよい。
【0067】
また、ゴム搬送部材は、搬送部材による用紙搬送方向Fに交差する向きに該用紙Pを加工処理する加工処理部24である横ミシン目形成機構18及び横クリース機構21より用紙搬送方向Fの直近上流側に設置されたが、直近上流側の搬送ユニットの更に上流側に設置された搬送ユニットの搬送部材をゴム搬送部材としてもよい。また、横ミシン目形成機構18は、用紙搬送方向の直近上流側に替えて、またはこれに加えて直近下流側の搬送部材をゴム搬送部材としてもよい。
【0068】
また、制御部45は、各加工処理部24の上流側に設置したセンサー32,34により用紙Pが検出された際、用紙Pの搬送量の計測を開始したが、他の位置、例えば各加工処理部24の直近下流側に設置したセンサーの検出結果を基に用紙の搬送量を計測してもよく、また、設定部47の設定を基に用紙Pの位置を判断してもよい。
【0069】
また、カッター機構22の裁断刃61の設置箇所の用紙搬送方向F直近上流側及び直近下流側の双方の下ローラ65がゴム搬送部材とされたが、裁断刃61の上流側または下流側のいずれかのみにゴム搬送部材が設置されてもよい。
【0070】
また、各種加工処理情報は、操作パネル46より使用者が手動設定するかまたは読取手段26によりバーコードM2を読み取ることで自動的に設定したが、パソコンなどの情報処理装置と通信の可能な外部の装置から情報を送信し、設定してもよい。また、予め操作パネルからの手動設定によって、用紙Pの配列パターンを複数記憶手段に記憶しておき、各パターンを番号などによって呼出して、設定することとしてもよい。
【0071】
また、加工処理装置100は、用紙を加工処理する各機構の構成が前記実施の形態と異なる加工処理装置にも、本発明を適用できることはいうまでもない。また、用紙Pの配列パターンは、
図4に例示したものに限定されず、裁断線、ミシン目線、クリース線等の位置や数について、他の種々のパターンが設定可能である。