特許第5953572号(P5953572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5953572災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953572
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/22 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   E03F5/22
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-207077(P2014-207077)
(22)【出願日】2014年10月8日
(65)【公開番号】特開2016-75102(P2016-75102A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2015年8月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514256298
【氏名又は名称】株式会社タクセル
(73)【特許権者】
【識別番号】514256265
【氏名又は名称】田平 直
(74)【代理人】
【識別番号】100168930
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 勤
(72)【発明者】
【氏名】田平 直
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 範泰
(72)【発明者】
【氏名】高崎 喜一
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−279569(JP,A)
【文献】 特開2013−221615(JP,A)
【文献】 特開2004−250881(JP,A)
【文献】 特開2001−228008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00〜11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水槽と、前記汚水槽内に設置され、汚水の吸込及び吐出を行う汚水ポンプと、前記汚水ポンプから吐出された汚水を外部に送水する圧送管とを備えたマンホールポンプ場において用いられる災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステムであって、
前記汚水槽の外部に設置される予備ポンプと、
前記予備ポンプから前記汚水槽内に垂設され、前記汚水槽内の汚水を吸込むための吸込ホースと、
前記予備ポンプから前記汚水槽内に垂設されるとともに前記圧送管に連結され、前記吸込まれた汚水を吐出するための吐出ホースと、を備え、
前記予備ポンプは、前記汚水ポンプが停止した場合に設置され、前記吸込ホースを介して前記汚水槽内の汚水を吸込み、前記吐出ホースを介して前記圧送管に前記汚水を吐出することを特徴とする災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム。
【請求項2】
前記汚水ポンプと前記圧送管との間に介設される水平管には、前記吐出ホースを連通可能に接続する接続部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム。
【請求項3】
前記接続部において、前記吐出ホースと前記水平管とはカップリング方式で接続されることを特徴とする請求項2に記載の災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム。
【請求項4】
前記予備ポンプは、エンジンポンプであることを特徴とする請求項1に記載の災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム。
【請求項5】
前記吸込ホースに固定され、前記予備ポンプの起動水位及び停止水位の検知を行う電極棒を備えたことを特徴とする請求項1に記載の災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム。
【請求項6】
前記予備ポンプには、太陽光で発電を行うソーラーパネルと、前記ソーラーパネルによって発電された電力を蓄電可能なソーラーバッテリーとが設けられ、
前記予備ポンプは、前記ソーラーバッテリーに蓄えられた電力に基づいて駆動することを特徴とする請求項1に記載の災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害対応型のマンホールポンプ場のバックアップシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水道等の中継地点に設置されるマンホール形式ポンプ場(以下、単に「マンホールポンプ場」と称する)が知られている。マンホールポンプ場とは、マンホールの中にポンプを設置した簡易な中継ポンプ場である。このようなマンホールポンプ場に関し、これまで各種発明がなされてきた(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、自家発電装置を備えたマンホールポンプシステムにおいて、自家発電装置の容量の大型化を阻止すべく、ポンプを駆動する誘導電動機の始動電流を低減する技術が開示されている。特許文献2には、マンホールポンプ場において、停電等の異常が発生したときに、その異常をランク付けして警報する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−279569号公報
【特許文献2】特開2001−132648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記マンホールポンプ場で用いられるポンプは、地震時や不慮の故障で自動停止したり、マンホール又はポンプ設備の点検、修繕、補修等の際に手動停止されたりする場合がある。この場合、ポンプの停止時間が長くなると、下水が地表に溢れ出る溢水被害や、汚水が管路内に停滞することでし渣や汚泥が管路内に沈積して下水管が閉塞し易くなる問題等がある。
【0006】
しかしながら、上記従来のマンホールポンプ場では、ポンプが停止した場合の復旧を迅速に行える仕組みになっていなかった。
【0007】
図5は、従来のマンホールポンプ場の全体構成例を示す図である。図5では、マンホールポンプ場100の地中断面図を示している。
【0008】
図5に示す従来のマンホールポンプ場100は、汚水槽(マンホール井)51、汚水ポンプ52、流入管53、圧送管54、水平管55等から構成される。汚水ポンプ52を駆動するための電源等については図示を省略している。このマンホールポンプ場100は、下水管や配水管の中継地点に設置されるものである。
【0009】
図5に示す従来のマンホールポンプ場100では、流入管53を介して排水・下水が汚水槽51内に流入し、汚水ポンプ52が汚水槽51内の排水・下水を吸込む。汚水ポンプ52によって吸込まれた下水は、水平管55を経由して圧送管54に送水される。
【0010】
このようなマンホールポンプ場100において、何らかの理由により汚水ポンプ52が停止した場合、仮復旧に配慮した構造を有していないために、仮復旧に多大な労力と時間と費用が必要であった。
【0011】
すなわち、通常、マンホールポンプ場の復旧作業は、バキューム車で下水を吸引し、次のマンホール等の下水道施設まで輸送したり、又は別途に仮設する予備ポンプをマンホール内に搬入・設置し、この予備ポンプにより次の自然流下区間のマンホール又はマンホールポンプ場等にバイパスで圧送したりする必要があり、大掛かりな作業、時間及び多大な工事費が必要だった。
【0012】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、ポンプが停止した場合の復旧を迅速に行うことが可能な災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明に係る災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステムは、汚水槽と、前記汚水槽内に設置され、汚水の吸込及び吐出を行う汚水ポンプと、前記汚水ポンプから吐出された汚水を外部に送水する圧送管とを備えたマンホールポンプ場において用いられる災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステムであって、前記汚水槽の外部に設置される予備ポンプと、前記予備ポンプから前記汚水槽内に垂設され、前記汚水槽内の汚水を吸込むための吸込ホースと、前記予備ポンプから前記汚水槽内に垂設されるとともに前記圧送管に連結され、前記吸込まれた汚水を吐出するための吐出ホースと、を備え、前記予備ポンプは、前記汚水ポンプが停止した場合に設置され、前記吸込ホースを介して前記汚水槽内の汚水を吸込み、前記吐出ホースを介して前記圧送管に前記汚水を吐出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マンホールポンプ場においてポンプが停止した場合の復旧を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステムを含むシステム全体構成例を示す上面図である。
図2図1のA−Aにおける断面図である。
図3図1のB−Bにおける断面図である。
図4図1図3の枠Cの拡大図である。
図5】従来のマンホールポンプ場の全体構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
[システムの全体構成]
図1は、本実施形態に係る災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステムを含むシステム全体構成例を示す上面図である。図1では、マンホールポンプ場10を鉛直上方から見た図を示している。
【0018】
図2は、図1のA−Aにおける断面図である。図3は、図1のB−Bにおける断面図である。図4は、図1図3の枠Cの拡大図である。
【0019】
図1図3において、本実施形態に係るマンホールポンプ場10は、吸込ホース1、エンジンポンプ2、ソーラーパネル2a、ソーラーバッテリー2b、吐出ホース3、バイパス管4、電極棒5、汚水槽(マンホール井)6、汚水ポンプ7、流入管8、圧送管9等から構成される。このマンホールポンプ場10は、下水管や配水管の中継地点に設置されるものである。
【0020】
図1図3における矢印は液体の流れを示している。
【0021】
また、図1図3に示す構成要素のうち、特に吸込ホース1、エンジンポンプ2、ソーラーパネル2a、ソーラーバッテリー2b、吐出ホース3、バイパス管4、電極棒5を総称する場合、災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム20と称する。災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム20(以下、単に「バックアップシステム20」と称する)は、マンホールポンプ場10が災害や故障等により停止している間、仮復旧を迅速に行うことを可能にするためのシステムである。以下、各構成要素について説明する。
【0022】
吸込ホース1は、図2図3に示すように、一端側がエンジンポンプ2に接続されるとともに、他端側が汚水槽6内に垂設され、汚水槽6内の汚水ポンプ7付近の汚水を吸込む(吸引する)ための中空の管体である。
【0023】
エンジンポンプ2は、汚水ポンプ7が停止した場合に仮復旧用に外部に仮設される汚水用の予備ポンプであり、汚水槽6の地表開口部近傍の地面に設置される。このエンジンポンプ2は、吸込ホース1を介して汚水槽6内の汚水を吸込み、吐出ホース3を介して、吸込まれた汚水を圧送管9に吐出するエンジン内蔵式のポンプである。エンジン内蔵式のポンプであるため、災害時等に電力供給が遮断されることで稼働の可否を左右されない利点がある。なお、エンジンポンプ2の代わりに、他の例えばモーター式のポンプ等を予備ポンプとしても良い。
【0024】
このエンジンポンプ2には、太陽光で発電を行うソーラーパネル2aと、ソーラーパネル2aによって発電された電力を蓄電可能なソーラーバッテリー2bとが設けられ、エンジンポンプ2は、ソーラーバッテリー2bに蓄えられた電力に基づいて駆動する。これにより、エンジンポンプ2のエンジン点火用の電力が不足しないように発電と充電を行うことが可能である。
【0025】
またエンジンポンプ2は、エンジンポンプ2のオン・オフを切り替える制御回路2cを備えており、この制御回路2cは、後述する電極棒5から発せされる導通信号に基づいてエンジンポンプ2のオン・オフを切り替える制御を行う。
【0026】
吐出ホース3は、一端側がエンジンポンプ2に接続され、他端側が汚水槽6内に垂設されるとともにバイパス管4を介して圧送管9に連結され、吸込ホース1で吸込まれた汚水を、バイパス管4を介して圧送管9に吐出するための中空の管体である。
【0027】
バイパス管4は、圧送管9の頂上部に設置され、吐出ホース3の端部を接続するための逆T字状(図3参照)の水平管であり、汚水ポンプ7と圧送管9との間に介設される。
【0028】
本実施形態に係るマンホールポンプ場10では、従来の水平管55(図5参照)に代えて、このバイパス管4を設置することにより、圧送管9が仮復旧用のエンジンポンプ2により圧縮された汚水を受け入れることが可能となる。このバイパス管4と吐出ホース3との接続態様については、図4を用いて後述する。
【0029】
電極棒5は、吸込ホース1に固定され、汚水槽6内の水位を検知する水位検知手段である。この電極棒5は汚水の水面を検知すると導通信号を発し、エンジンポンプ2内の制御回路2cにオン・オフを指示して制御を行う。この電極棒5が水面の検知を開始するための起動スイッチ(不図示)が押下されると、本バックアップシステム20の動作は開始する。
【0030】
この電極棒5は、図2図3に示すように、流入管8の直下部に配置される上側電極棒5aと、吸込ホース1の端部より少し上方の位置に設置される下側電極棒5bとを含み、いずれも吸込ホース1に固定される。
【0031】
上側電極棒5aにより水面が検知されると、エンジンポンプ2は起動する。一方、下側電極棒5bにより水面が検知されると、エンジンポンプ2は停止する。すなわち、上側電極棒5a、下側電極棒5bは、それぞれエンジンポンプ2の起動水位、停止水位を検知するものと言い換えることができる。
【0032】
なお、エンジンポンプ2の起動水位と停止水位の検知をフロート式の検知器で行うと、きょう雑物がフロートに絡まることで動作不良が生じて制御不能の原因となることから、電極棒5で水位検知を行い、電極棒5を吸込ホース1に固定することで稼働中のトラブルを低減させる利点がある。
【0033】
汚水ポンプ7は、汚水槽6内に設置され、汚水槽6内の汚水の吸込及び吐出を行う、電動機とポンプとが一体化して構成された2台のポンプである。この汚水ポンプ7の電動機を駆動するための電源等については図1図3において図示を省略している。
【0034】
流入管8は、図2図3に示すように、汚水槽6内の鉛直方向中間よりやや上の位置に設けられ、上流から流れてきた排水・下水を汚水槽6内に流入させる中空の管体である。
【0035】
圧送管9は、流入管8より高い位置に設けられ、汚水ポンプ7又はエンジンポンプ2によって圧力を高められた排水・下水を送水するための中空の管体である。
【0036】
以上に示す構成により、本実施形態に係るマンホールポンプ場10では、吸込ホース1、エンジンポンプ2(ソーラーバッテリー2b付)、吐出ホース3、バイパス管4及び電極棒5からなるバックアップシステム20の設備を追加している。これにより、マンホールポンプ場10が災害や故障等により停止している間、仮復旧を迅速に行うことを可能にしている。
【0037】
また、当該マンホールポンプ場10のポンプ場としての機能を確保することができ、下水管路内における下水の滞留による地上部への溢水を防ぐことができる。また、下水が管路内に停滞することでし渣や汚泥が管路内に沈積して下水管が閉塞し易くなるといった二次的な被害の発生を防ぐことができる。さらに、簡便に当該マンホールポンプ場10の機能を復旧させることができることにより、バキューム車による輸送や大掛かりなバイパスによる圧送を行うことで工事費が多大に発生することを防ぐことができる。
【0038】
なお、上記説明において、エンジンポンプ2は、マンホールポンプ場10の災害時等における電力供給断絶時における仮復旧のための仮設の汚水ポンプであり、吸込ホース1、吐出ホース3及びバイパス管4は仮復旧のための配管であると言い換えることができる。
【0039】
[吐出ホースとバイパス管の接続構造例]
図4は、図1図3の枠Cの拡大図である。図4では、吐出ホース3とバイパス管4との接続構造の一例を示している。
【0040】
図4に示すように、バイパス管4の管頂部には、吐出ホース3を連通可能に接続するための接続部4bが形成されており、吐出ホース3の端部に形成されたワンタッチジョイント3aと接続部4bとは簡易に脱着可能に構成されている。これにより、マンホールポンプ場10が停止した際には、ワンタッチジョイント3aと接続部4bとは迅速にカップリング方式で接続される。
【0041】
なお、ワンタッチジョイント3aと接続部4bとをカップリング接続した後にバルブ4aを開放することによって、吐出ホース3からバイパス管4を介して圧送管9への汚水の送水が可能になる。これにより、復旧の迅速性を高めることができる。
【0042】
以上に示す構成により、本実施形態に係るバックアップシステム20によれば、地震時や不慮の故障によりマンホールポンプ場10が停止した場合に、エンジンポンプ2やバイパス管4等を用いて、緊急時に対応し、即時に供用開始が可能になる。
【0043】
以下、このバックアップシステム20の実施例を説明する。
【0044】
[実施例1]
以下、実施例1として、本バックアップシステム20を新規のマンホールポンプ場に適用する場合について説明する。
【0045】
新規のマンホールポンプ場10で本システムを採用する場合は、あらかじめ、圧送管9の水平管(図5の水平管55に対応)を本実施形態に係るT字状のバイパス管4に変更しておくことで、当該マンホールポンプ場10の仮復旧の迅速性を確保する。
【0046】
加えて、仮復旧時に必要となる本バックアップシステム20、すなわち吸込ホース1、エンジンポンプ2(ソーラーバッテリー2b付)、吐出ホース3及び電極棒5の設備を準備する。
【0047】
マンホールポンプ場10の汚水ポンプ7が停止した際には、当該マンホールポンプ場10の外部にエンジンポンプ2を設置し、吐出ホース3をバイパス管4の接続部4bへワンタッチジョイント3aによりカップリング方式で接続し、吸込ホース1を設置した後、バルブ4aを開放する。
【0048】
当該マンホールポンプ場10の仮復旧の始動は、当該マンホールポンプ場10の汚水槽6に挿入した吸込ホース1に取り付けられた電極棒5が水面を検知するための起動スイッチ(不図示)が押下され、エンジンポンプ2が起動することにより開始する。
【0049】
始動後は、電極棒5が下水の水面を検知し、自動的にエンジンポンプ2のオンとオフを制御する。
【0050】
[実施例2]
次に、実施例2として、本バックアップシステム20を既存のマンホールポンプ場に適用する場合について説明する。
【0051】
既存のマンホールポンプ場で本システムを採用する場合は、あらかじめ、既存のマンホールポンプ場の水平管(図5の水平管55に対応)を本実施形態に係るT字状のバイパス管4に変更しておくことで、図1図3に示すマンホールポンプ場10に変更し、当該マンホールポンプ場10の仮復旧の迅速性を確保する。
【0052】
加えて、仮復旧時に必要となる本バックアップシステム20、すなわち吸込ホース1、エンジンポンプ2(ソーラーバッテリー2b付)、吐出ホース3及び電極棒5の設備を準備する。
【0053】
マンホールポンプ場10の汚水ポンプ7が停止した際には、当該マンホールポンプ場10の外部にエンジンポンプ2を設置し、吐出ホース3をバイパス管4の接続部4bへワンタッチジョイント3aによりカップリング方式で接続し、吸込ホース1を設置した後、バルブ4aを開放する。
【0054】
当該マンホールポンプ場10の仮復旧の始動は、当該マンホールポンプ場10の汚水槽6に挿入した吸込ホース1に取り付けられた電極棒5が水面を検知するための起動スイッチ(不図示)が押下され、エンジンポンプ2が起動することにより開始する。
【0055】
始動後は、電極棒5が下水の水面を検知し、自動的にエンジンポンプ2のオンとオフを制御する。
【0056】
[実施例3]
以下、実施例3として、本バックアップシステム20を何らかの理由で停止せざるを得ない既存のマンホールポンプ場に適用する場合について説明する。
【0057】
既存のマンホールポンプ場で何らかの理由で停止せざるを得ないときに本システムを採用する場合は、あらかじめ、既存のマンホールポンプ場の水平管(図5の水平管55に対応)を本実施形態に係るT字状のバイパス管4に変更できるように、バイパス管4を準備しておくことで、当該マンホールポンプ場の仮復旧の迅速性を確保する。
【0058】
停止させる前に、既存のマンホールポンプ場の水平管をT字のバイパス管4に変更する。これにより、図1図3に示すマンホールポンプ場10に変更する。
【0059】
加えて、仮復旧時に必要となる本バックアップシステム20、すなわち吸込ホース1、エンジンポンプ2(ソーラーバッテリー2b付)、吐出ホース3及び電極棒5の設備を準備する。
【0060】
マンホールポンプ場10の汚水ポンプ7が停止した際には、当該マンホールポンプ場10の外部にエンジンポンプ2を設置し、吐出ホース3をバイパス管4のT字の管頂部へワンタッチジョイント3aによりカップリング方式で接続し、吸込ホース1を設置した後、バルブ4aを開放する。
【0061】
当該マンホールポンプ場10の仮復旧の始動は、当該マンホールポンプ場10の汚水槽6に挿入した吸込ホース1に取り付けられた電極棒5が水面を検知するための起動スイッチ(不図示)が押下され、エンジンポンプ2が起動することにより開始する。
【0062】
始動後は、電極棒5が下水の水面を検知し、自動的にエンジンポンプ2のオンとオフを制御する。
【0063】
[実施例4]
以下、実施例4として、本バックアップシステム20を災害やメンテナンス等の何らかの理由で停止した既存のマンホールポンプ場に適用する場合について説明する。
【0064】
災害やメンテナンス等の何らかの理由で既存のマンホールポンプ場が停止してしまった後に本バックアップシステム20を採用する場合は、あらかじめ、既存のマンホールポンプ場の水平管(図5の水平管55に対応)を本実施形態に係るT字状のバイパス管4に変更できるように、バイパス管4を準備しておくことで、当該マンホールポンプ場の仮復旧の迅速性を確保する。
【0065】
停止してしまったマンホールポンプ場には既に下水が停滞しているため、作業性を確保するためにバキューム車で溜まった下水を吸引し除去させた上で、当該マンホールポンプ場の水平管をT字のバイパス管4に変更する。これにより、図1図3に示すマンホールポンプ場10に変更する。
【0066】
加えて、仮復旧時に必要となる本バックアップシステム20、すなわち吸込ホース1、エンジンポンプ2(ソーラーバッテリー2b付)、吐出ホース3及び電極棒5の設備を準備する。
【0067】
マンホールポンプ場10の汚水ポンプ7が停止した際には、当該マンホールポンプ場10の外部にエンジンポンプ2を設置し、吐出ホース3をバイパス管4の接続部4bへワンタッチジョイント3aによりカップリング方式で接続し、吸込ホース1を設置した後、バルブ4aを開放する。
【0068】
当該マンホールポンプ場10の仮復旧の始動は、当該マンホールポンプ場10の汚水槽6に挿入した吸込ホース1に取り付けられた電極棒5が水面を検知するための起動スイッチ(不図示)が押下され、エンジンポンプ2が起動することにより開始する。
【0069】
始動後は、電極棒5が下水の水面を検知し、自動的にエンジンポンプ2のオンとオフを制御する。
【0070】
(まとめ)
以上説明してきたように、本実施形態に係るバックアップシステム20によれば、事故、故障やメンテナンスのために汚水ポンプ7が停止した場合に、マンホールポンプ場10のマンホール内の圧送管9、マンホール外部に別途仮設する予備のポンプ(エンジンポンプ2)、マンホールからの吸込管8および圧送管9への吐出ホース3で構成するシステムを迅速かつ簡便に連結させることで、マンホールポンプ場10の復旧を迅速、簡便且つ安価にすることを可能としている。
【0071】
また、本実施形態に係るバックアップシステム20によれば、マンホールポンプ場10のマンホール内の圧送管9の水平管を、仮復旧用に外部に設置されるエンジンポンプ2からの配管(吐出ホース3)の接続用の形状を持たせたバイパス管4に変更することで、圧送管9が仮復旧用のエンジンポンプ2からの汚水の圧送を受け入れることを可能としている。
【0072】
また、本実施形態に係るバックアップシステム20によれば、吐出ホース3を取り付けるための接続部4aは、仮復旧用に外部に設置するエンジンポンプ2からの吐出ホース3をバイパス管4に迅速に取り付けるべく、消防用ホースの接続方法と同様のカップリング方式により脱着する仕組みを採用している。これにより、迅速かつ簡便に吐出ホース3を接続部4aに接続することができる。
【0073】
また、本実施形態に係るバックアップシステム20によれば、仮復旧用に外部に設置される仮設の汚水用のポンプをエンジンポンプ2とすることで、災害時に電力供給が遮断されていても稼動することが可能になり、災害対応性を高めることができる。
【0074】
また、本実施形態に係るバックアップシステム20によれば、水位検知を電極棒5で行い、電極棒5を吸込ホース1に固定することで、稼働中のトラブルを低減させることができる。仮に仮設のエンジンポンプ2の起動水位と停止水位の検知をフロート式の検知器で行うと、きょう雑物がフロートに絡まることで動作不良が生じて制御不能の原因となり得るが、これを防止することができる。
【0075】
また、本実施形態に係るバックアップシステム20によれば、ソーラーパネル2aやソーラーバッテリー2bを用いるため、エンジンポンプ2のエンジン点火用の電力が不足することがないように発電を行い、発電により生じた電力を充電することが可能になる。
【0076】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0077】
例えば、上記説明においては、バイパス管4に接続部4bが形成される場合を例示して説明したが、この場合には限らない。例えば、圧送管9において、吐出ホース3を連通可能に接続する接続部が形成されてもよい。また、上記説明においては、接続部4bにおいて、吐出ホース3とバイパス管4とがカップリング方式で接続される場合を例示して説明したが、その他の接続態様であってもよい。また、上記説明においては、電極棒5がエンジンポンプ2の起動水位及び停止水位の検知を行う場合を例示して説明したが、その他の手段によってエンジンポンプ2の起動水位及び停止水位を検知してもよい。さらに、上記説明においては、エンジンポンプ2の駆動電源がソーラーパネル2a及びソーラーバッテリー2bである場合を例示して説明したが、その他の駆動電源を用いてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 吸込ホース
2 エンジンポンプ
2a ソーラーパネル
2b ソーラーバッテリー
3 吐出ホース
3a ワンタッチジョイント
4 バイパス管
4a バルブ
4b 接続部
5 電極棒
6 汚水槽
7 汚水ポンプ
8 流入管
9 圧送管
10 マンホールポンプ場
20 災害対応型マンホールポンプ場バックアップシステム
図1
図2
図3
図4
図5