特許第5953586号(P5953586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953586
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/23 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   F16L33/23
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-82339(P2014-82339)
(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公開番号】特開2015-203439(P2015-203439A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年4月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134534
【氏名又は名称】株式会社トヨックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 明広
(72)【発明者】
【氏名】杉田 修司
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 伸二
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−85275(JP,A)
【文献】 米国特許第1522013(US,A)
【文献】 実開平7−2694(JP,U)
【文献】 特表2010−527430(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第233963(GB,A)
【文献】 特開平10−196859(JP,A)
【文献】 米国特許第7690698(US,B1)
【文献】 特開平8−284911(JP,A)
【文献】 実開平5−44680(JP,U)
【文献】 米国特許第1532596(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体の挿入空間に沿って設けられるニップルと、
前記ニップルの外周面に沿って形成した前記管体の前記挿入空間の外周を囲むように設けられる径方向へ変形可能な弾性スリーブと、
前記弾性スリーブの外側に前記弾性スリーブの外面を周方向へ覆い且つ径方向へ分離可能に設けられる複数の分割ホルダと、
前記複数の分割ホルダに亘り設けられて前記複数の分割ホルダ同士を前記弾性スリーブが縮径変形するように径方向へ接近移動させる締め付け部材と、
周方向へ隣り合う前記複数の分割ホルダの周端部の内面に亘って前記弾性スリーブの前記外面と径方向へ対向するように設けられるストッパー部材と、を備え、
前記締め付け部材は、頭部と、周方向へ隣り合う前記複数の分割ホルダの前記周端部のいずれか一方に開設された通孔を挿通する軸部と、他方に開設されたネジ穴と螺合するネジ部と、を有し、
前記ストッパー部材は、前記締め付け部材による前記複数の分割ホルダの接近移動に伴って縮径変形した前記弾性スリーブの肉余り部位と径方向へ当接するガイド面と、周方向へ隣り合う前記複数の分割ホルダの前記周端部の間に挟まれる突片と、前記突片に設けられる貫通部と、を有し、
前記貫通部が、前記締め付け部材により前記ストッパー部材を前記複数の分割ホルダの前記周端部のいずれか一方に組み込んだ状態で、前記締め付け部材の前記頭部及び前記ネジ部の外径よりも小さく且つ前記軸部の外径よりも大きく設定されることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記ストッパー部材が、前記複数の分割ホルダの前記周端部の前記面に亘って周方向へ移動不能に設けられるスペーサであり、前記スペーサの内側に円弧状の前記ガイド面を有することを特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項3】
前記ストッパー部材が、前記複数の分割ホルダに対する前記ストッパー部材の位置決め手段として、周方向へ隣り合う前記複数の分割ホルダの前記周端部の端面と平行な突片を有し、前記締め付け部材による前記複数の分割ホルダの接近移動終了時において、前記周端部の前記端面と前記突片が互いに当接するように設定したことを特徴とする請求項1又は2記載の管継手。
【請求項4】
前記ストッパー部材は、前記締め付け部材の前記貫通部として径方向へ長尺に形成される長孔と、前記複数の分割ホルダの前記周端部の前記内側面と周方向へ摺接する摺接部と、を有し、前記複数の分割ホルダの前記周端部の前記内側面が、前記摺接部と摺接する周方向端縁に向かって徐々に肉薄になる傾斜凹部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の管継手。
【請求項5】
前記長孔の短尺方向内径が、前記締め付け部材により前記ストッパー部材を前記複数の分割ホルダの前記周端部のいずれか一方に組み込んだ状態で、前記締め付け部材の前記ネジ部の最大外径よりも小さく且つ前記軸部の外径よりも大きく設定されることを特徴とする請求項記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば合成樹脂やゴムなどの軟質材料で形成された可撓性を有する変形可能なホースやチューブか、又は変形不能なパイプなどの管体を配管接続するために用いられる管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の管継手として、ホースを挿入可能なニップルと、そのニップルに嵌合可能な半円筒状の上部シェル及び下部シェルと、ホースを締め付けるための弾性体変形リングを備え、上部シェルと下部シェルの端部のボルト孔にボルトを挿入して上部シェルと下部シェルを締め付けることにより、弾性体変形リングが変形してホースの外周に均一に食込み、漏洩防止を図るホースコネクタがある(例えば、特許文献1参照)。
詳しく説明すると、ボルトによる上部シェルと下部シェルの締め付け開始時は、上部シェルと下部シェルが径方向へ離れて配置されている。ボルトの締め付けにより上部シェルと下部シェルが弾性体変形リングを挟み込むように径方向へ徐々に接近移動し、これら上部シェル及び下部シェルの接近移動に伴って弾性体変形リングを縮径変形させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−85275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ボルトの締め付けにより上部シェルと下部シェルが接近移動して弾性体変形リングを強制的に縮径変形させると、弾性体変形リングの周方向のいずれかの位置に、縮径変形した分だけ肉余り部位が発生する。この肉余り部位は、弾性体変形リングの縮径変形に伴って径方向や軸方向へ徐々に大きくなる。
しかし乍ら、このような従来の管継手では、ボルトによる締め付け開始時から終了直前まで上部シェルと下部シェルの端部同士が離れて開口しているため、弾性体変形リングの縮径変形に伴って発生した肉余り部位が、上部シェル及び下部シェルの端部間の開口に向け膨出して入り込み、両者間に噛み込んでしまう。
一度、弾性体変形リングの肉余り部位を噛み込むと、ボルトで締め付けても上部シェルと下部シェルをそれ以上に接近移動できなくなる。そのため、ボルトで上部シェル及び下部シェルを予め設定された接近終了位置まで締め切る(完全に締める)ことができなくなる。この状況では、ホースに対する弾性体変形リングの締め付けが、特に肉余り部位で緩くなって全体的に不均一となり、ホースの抜け強度が低下して流体の漏れ事故が発生し易くなるという問題があった。
さらに、ホースの締め付け力を高めるために弾性体変形リングを肉厚にすると、弾性体変形リングの強制的な縮径変形に伴って、上部シェル及び下部シェルの端部間の開口に向け膨出変形する肉余り部位の体積が大きくなる。それにより、肉余り部位の噛み込み量も増大して、ホースの抜け強度がより低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、複数の分割ホルダの周端部の間に弾性スリーブの肉余り部位が噛み込まれることを防止して複数の分割ホルダを締め付け部材で締め切ること、などを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために本発明に係る管継手は、管体の挿入空間に沿って設けられるニップルと、前記ニップルの外周面に沿って形成した前記管体の前記挿入空間の外周を囲むように設けられる径方向へ変形可能な弾性スリーブと、前記弾性スリーブの外側に前記弾性スリーブの外面を周方向へ覆い且つ径方向へ分離可能に設けられる複数の分割ホルダと、前記複数の分割ホルダに亘り設けられて前記複数の分割ホルダ同士を前記弾性スリーブが縮径変形するように径方向へ接近移動させる締め付け部材と、周方向へ隣り合う前記複数の分割ホルダの周端部の内面に亘って前記弾性スリーブの前記外面と径方向へ対向するように設けられるストッパー部材と、を備え、前記締め付け部材は、頭部と、周方向へ隣り合う前記複数の分割ホルダの前記周端部のいずれか一方に開設された通孔を挿通する軸部と、他方に開設されたネジ穴と螺合するネジ部と、を有し、前記ストッパー部材は、前記締め付け部材による前記複数の分割ホルダの接近移動に伴って縮径変形した前記弾性スリーブの肉余り部位と径方向へ当接するガイド面と、周方向へ隣り合う前記複数の分割ホルダの前記周端部の間に挟まれる突片と、前記突片に設けられる貫通部と、を有し、前記貫通部が、前記締め付け部材により前記ストッパー部材を前記複数の分割ホルダの前記周端部のいずれか一方に組み込んだ状態で、前記締め付け部材の前記頭部及び前記ネジ部の外径よりも小さく且つ前記軸部の外径よりも大きく設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
前述した特徴を有する本発明は、締め付け部材で複数の分割ホルダを径方向へ接近移動させることにより、弾性スリーブが縮径変形して肉余り部位が発生する。その後の弾性スリーブの縮径変形に伴って肉余り部位が、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダの周端部の間に向け膨出しようとしても、肉余り部位の外側からストッパー部材のガイド面が径方向へ当接することで、肉余り部位の膨出を抑制して、複数の分割ホルダの周端部の間に肉余り部位が入り込まず、周方向へ誘導される。
したがって、複数の分割ホルダの周端部の間に弾性スリーブの肉余り部位が噛み込まれることを防止して複数の分割ホルダを締め付け部材で締め切ることができる。
その結果、ボルトによる締め付け開始時から終了直前まで上部シェルと下部シェルの端部同士が離れ、弾性体変形リングの縮径変形に伴って発生した肉余り部位を噛み込んでしまう従来のものに比べ、管体に対する弾性スリーブの締め付けが、肉余り部位で緩くならず全体的に均一にでき、管体の抜け強度が向上し、流体の漏れ事故を確実に防止できて安全性に優れる。
さらに、弾性スリーブの肉厚に関係なく、複数の分割ホルダの周端部の間に対する肉余り部位の噛み込みを防止可能となるため、肉厚の弾性スリーブで管体をより強く締め付けることが可能となる。それにより、管体の抜け強度を更に向上させて、流体の漏れ事故を長期に亘って確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る管継手の全体構成を示す説明図であり、(a)が締め付け前の側面図、(b)が図1(a)の(1B)−(1B)線に沿える縦断正面図である。
図2】同締め付け後の状態を示す説明図であり、(a)が側面図、(b)が図2(a)の(2B)−(2B)線に沿える縦断正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る管継手による管体との接続方法を示す斜視図であり、(a)が接続前の分解斜視図であり、(b)が組み付け開始状態の外観斜視図、(c)が締め付け前の外観斜視図、(d)が締め付け後の外観斜視図である。
図4】継手本体の変形例を示す説明図であり、(a)が接続前の分解斜視図であり、(b)が組み付け開始状態の外観斜視図、(c)が締め付け前の外観斜視図、(d)が締め付け後の外観斜視図である。
図5】弾性スリーブの変形例を示す説明図であり、(a)が接続前の分解斜視図であり、(b)が組み付け開始状態の外観斜視図、(c)が締め付け前の外観斜視図、(d)が締め付け後の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る管継手Aは、図1図5に示すように、継手本体10のニップル1と弾性スリーブ2の間に管体Bの接続端部Baを差し込み、弾性スリーブ2の外側に複数の分割ホルダ3を被せ、分割ホルダ3同士を締め付け部材4で径方向へ互いに接近移動して円筒状に連結させるためのコネクタである。
締め付け部材4で複数の分割ホルダ3を接近移動させることにより、弾性スリーブ2が縮径変形して、弾性スリーブ2の内面2aを管体Bの接続端部Baの外表面B1に対し全周に亘って略均等に密着させる。これとともに、管体Bの内表面B2をニップル1の外周面1aに密着させて着脱自在に配管接続される。それによって、径寸法が比較的に大きな大口径の管体Bでも簡単に接続でき、且つ組立及び分解が容易に洗浄できる。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る管継手Aは、管体Bの挿入空間Sに沿って設けられるニップル1と、ニップル1の外周面1aに沿って形成した管体Bの挿入空間Sの外周を囲むように設けられる弾性スリーブ2と、弾性スリーブ2の外面2bを周方向へ覆い且つ径方向へ分離可能に設けられる複数の分割ホルダ3と、複数の分割ホルダ3に亘って分割ホルダ3同士を径方向へ互いに接近移動させるように設けられる締め付け部材4と、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部3aの内面に亘って設けられるストッパー部材5と、を主要な構成要素として備えている。
なお、図1図5に示されるように、挿入空間Sに対する管体Bの挿入方向Nを「以下、管挿入方向N」といい、管挿入方向Nの逆方向Uを「以下、管抜け方向U」という。
【0010】
継手本体10は、例えば錆難いステンレスや真鍮などの金属や硬質合成樹脂などの剛性材料で、肉厚が厚い略円筒状に形成されるか、又はプレス加工やその他の成形加工することで形成される。継手本体10は、円筒状のニップル1と、他の管体(図示しない)や他の機器の管接続口(図示しない)と接続するための接続部11と、を有している。
ニップル1は、継手本体10の先端側に形成され、接続部11は、継手本体10の基端側に形成されている。
【0011】
ニップル1の外径は、後述する管体Bの内径と略同じか又はそれよりも若干大きいか若しくは若干小さく形成されている。
ニップル1の外周面1aは、その軸方向の所定位置に、管体Bの挿入空間Sを挟んで後述する弾性スリーブ2の内面2aと径方向へ対向して配置される管抜け止め用の凹凸部1bと、後述する分割ホルダ3を軸方向への移動不能に位置規制するための抜け止め手段1cと、を有することが好ましい。
ニップル1の具体例としては、図3(a)〜(d)に示されるように、外周面1aの先端部(管抜け方向Uの端部)のみに管抜け止め用の凹凸部1bとして、軸方向へ複数の環状凹部及び環状凸部を交互に連続して凹凸形成している。外周面1aの基端側(管挿入方向Nの奥側)と接続部11との間には、分割ホルダ3の抜け止め手段1cとして、周方向へ環状に連続する係止部1c1を突出形成している。
また、その他の例として図示しないが、ニップル1の外周面1aの略全長に亘り、管抜け止め用の凹凸部1bとして、軸方向へ環状凹部と環状凸部が交互に連続する竹の子状に形成したり、ニップル1の外周面1aに管体Bの内表面B2と径方向へ圧接する環状シール材を設けたり変更することも可能である。さらに、分割ホルダ3の抜け止め手段1cとして、周方向へ分割された係止部を突出形成したり、周方向へ連続又は分割された凹状の係止部を形成したり変更することも可能である。
【0012】
弾性スリーブ2は、例えばゴムや軟質合成樹脂などの耐熱性に優れて且つ弾性変形可能な材料で、少なくとも径方向へ弾性変形可能な略円筒状に形成され、ニップル1の外周面1aの外側に管体Bの挿入空間Sを挟んで径方向へ対向するように組み付けられる。弾性スリーブ2はその組み付け時において、ニップル1の外周面1aの外側に装着した管体Bの接続端部Baの外表面B1と径方向へ対向し当接する内面2aと、後述する複数の分割ホルダ3の内側面3bと径方向へ対向する外面2bと、を有している。
弾性スリーブ2の内面2aは、その拡径時における内径が、後述する管体Bの外径と略同じか又はそれよりも若干大きく設定され、縮径時における内径が、管体Bの外径よりも小さくなるように設定されている。
また、弾性スリーブ2の外面2bは、拡径時における外径が、後述する複数の分割ホルダ3の接近移動完了時における内径よりも大きくなるように設定されている。つまり、複数の分割ホルダ3の接近移動が完了して、それ以上の接近移動が不能なった時において、複数の分割ホルダ3の内側面3bの内径よりも大きくなるように設定されている。
さらに、弾性スリーブ2には、その径方向へスムーズに弾性変形させるための切れ込み2cを複数それぞれ周方向へ所定間隔毎に形成することにより、拡径変形時及び縮径変形時において十分な内径差と外径差が生じるように構成することが好ましい。
【0013】
分割ホルダ3は、例えば錆難いステンレスや真鍮などの金属や硬質合成樹脂などの剛性材料で形成された円筒体を、周方向へ複数に分割した形状に形成されている。
これら複数の分割ホルダ3は、図3(a)(b)に示されるように、弾性スリーブ2の外面2bを外側から囲むように組み付けられる。この組み付け状態で周方向にそれぞれ隣り合う複数の周端部3aと、弾性スリーブ2の外面2bと径方向へそれぞれ対向する複数の内側面3bと、を有している。
複数の分割ホルダ3の周端部3aは、各分割ホルダ3に対して少なくとも一対それぞれ径方向外側へ突出するように形成され、周方向へ略平行に対向する端面3cを有している。
さらに、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部3aに亘って後述する締め付け部材4が設けられる。図3(c)に示されるように、締め付け部材4の操作により、複数の分割ホルダ3同士が径方向へ互いに接近移動して、スリーブ2を縮径変形させるように構成されている。複数の分割ホルダ3の内側面3bは、締め付け部材4による複数の分割ホルダ3の接近移動の完了時において、複数の分割ホルダ3の内側面3bが連続して略真円となる円弧面に形成されている。各分割ホルダ3の内側面3bには、弾性スリーブ2を軸方向へ位置決めするための段部3dを設けることが好ましい。
さらに、複数の分割ホルダ3のいずれか一方か又は分割ホルダ3の総てには、ニップル1の抜け止め手段1cと軸方向へ移動不能に係合する係止部3eを形成している。
【0014】
複数の分割ホルダ3の具体例としては、図1図5に示されるように、円筒体を周方向へ二分割して、対称形状の半円筒状に形成された第一分割ホルダ31と第二分割ホルダ32を用いている。第一分割ホルダ31及び第二分割ホルダ32は、周端部3aをそれぞれ一対ずつ有している。
第一分割ホルダ31及び第二分割ホルダ32の基端部(管挿入方向Nの奥側端部)には、係止部3eとして、ニップル1の係止部1c1と軸方向へ係合するフックをそれぞれ突出形成している。
また、その他の例として図示しないが、円筒体を周方向へ三分割か又は四分割か若しくはそれ以上に分割して、それぞれを後述する締め付け部材4で複数の径方向へ接近移動させたり、第一分割ホルダ31及び第二分割ホルダ32の基端部のいずれか一方に係止部3eを形成したり変更することも可能である。
【0015】
締め付け部材4としては、レンチやスパナなどの工具(図示しない)と係合する工具係合部位4a1を有する頭部4aと、頭部4aに連続する軸部4bと、軸部4bの先端に形成されるネジ部4cを有するボルトなどのねじ部品を用いることが好ましい。図示例では、工具係合部位4a1が六角穴などの係合凹部である。
締め付け部材4としてねじ部品を用いる場合には、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部3aのいずれか一方に開設された通孔3fと、他方に開設されたネジ穴3gとに亘って挿通される。この挿通状態でねじ部品の工具係合部位4a1にレンチやスパナなどの工具を係合させて回転操作する。
それにより、一対の第一分割ホルダ31及び第二分割ホルダ32が径方向へ互いに接近移動して、スリーブ2を縮径変形させている。さらに、レンチやスパナなどの比較的に小型工具で締め付けることが可能であるため、大口径の管体Bを接続する大口径用の管継手Aであっても簡単に接続でき、且つ組立及び分解が容易に洗浄可能で適している。
また、その他の例として図示しないが、締め付け部材4として、工具係合部位4a1が頭部4aの外周面を六角などの多角形に形成したボルトを用いたり、ねじ部品以外の締結部品を用いたり変更することも可能である。
【0016】
ストッパー部材5は、例えばポリアセタール樹脂やそれ以外の表面の滑り性と耐熱性に優れた合成樹脂などの材料で形成された、弾性スリーブ2の部分的な膨出変形を抑制するための部品である。ストッパー部材5は、図1図5に示されるように、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部3aの間に複数それぞれ配置され、締め付け部材4による複数の分割ホルダ3の接近移動に伴って縮径変形した弾性スリーブ2の肉余り部位2gと径方向へ対向し当接するガイド面5aを有している。
ガイド面5aは、ストッパー部材5の内側に複数の分割ホルダ3の内側面(円弧面)3bと連続するように形成される面である。図1(a)(b)及び図3(c)に示されるような、締め付け部材4による締め付け開始時において周方向へ隣り合う周端部3aの端面3cの間隔よりも幅広くなるように形成されている。つまり、図1(a)(b)及び図3(c)に示される締め付け部材4による締め付け開始時において、ガイド面5aの周方向両端と、複数の分割ホルダ3の内側面(円弧面)3bの周方向端縁との間に隙間ができないように設定されている。
【0017】
ストッパー部材5の具体例としては、図1図5に示されるように、複数の分割ホルダ3(第一分割ホルダ31,第二分割ホルダ32)の周端部3aの内面に亘って、少なくとも周方向へ移動不能に設けられるスペーサ51を用いることが好ましい。スペーサ51の内側には円弧状のガイド面5aを形成することが好ましい。
スペーサ51は、複数の分割ホルダ3に対するスペーサ51の位置決め手段5bと、締め付け部材(ねじ部品)4が貫通する貫通部5cと、を有することが好ましい。
貫通部5cとしては、図1図5に示されるような貫通孔や、それ以外にクワ形などの切欠などが用いられる。
【0018】
一方、管体Bは、例えば塩化ビニルなどの軟質合成樹脂やシリコーンゴムやその他のゴムなどの軟質材料で、可撓性がある弾性変形可能に成形される例えばホースやチューブなどであることが好ましい。さらに、管体Bの少なくとも接続端部Baにおいて内表面B1と外表面B2が平坦なものが好ましい。
管体Bの具体例として、図示される例では単層構造のホースを用いている。
また、その他の例として図示しないが、管体Bとして単層構造の管体に代え、多層構造の管体などを用いることも可能である。多種類の管体Bの具体例としては、透明又は不透明な外層及び内層との間に中間層として、複数本か又は単数本の合成樹脂製ブレード(補強糸)が螺旋状に埋設される積層ホース(ブレードホース)や、中間層として合成樹脂製又は金属製の断面矩形などの帯状補強材と断面円形などの線状補強材を螺旋状に巻き付けて一体化した螺旋補強ホース(フォーランホース)や、金属製線材や硬質合成樹脂製線材を螺旋状に埋設した螺旋補強ホースなどが挙げられる。
【0019】
このような本発明の実施形態に係る管継手Aによると、先ず、図3(a)(b)に示されるように、管体Bの接続端部Baを弾性スリーブ2に挿入してから、ニップル11の外周面1aに沿って管挿入方向Nへ差し込む。その外側には、弾性スリーブ2の外面2bを周方向へ覆うように複数の分割ホルダ3(第一分割ホルダ31,第二分割ホルダ32)と、ストッパー部材5を組み付ける。
これに続いて、図1(a)(b)及び図3(c)に示されるように、締め付け部材(ねじ部品)4で複数の分割ホルダ3を径方向へ互いに接近移動させることにより、弾性スリーブ2が縮径変形して肉余り部位2gが発生する。
この肉余り部位2gは、その後の弾性スリーブ2の縮径変形に伴って径方向や軸方向へ徐々に大きくなり、行き場がなくなった肉余り部位2gは、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部3aの間に向け膨出しようとする。しかし、弾性スリーブ2の肉余り部位2gの外側からストッパー部材5のガイド面5aが径方向へ当接することで、肉余り部位2gの膨出を抑制して、複数の分割ホルダ3の周端部3aの間に肉余り部位2gが入り込まず、周方向へ誘導される。
それにより、図2(a)(b)及び図3(d)に示されるように、複数の分割ホルダ3の周端部3aの間に弾性スリーブ2の肉余り部位2gが噛み込まれることを防止して、複数の分割ホルダ3を締め付け部材4で締め切る(完全に締める)ことができる。
したがって、管体Bに対する弾性スリーブ2の締め付けが、肉余り部位2gで緩くならず全体的に均一にでき、継手本体10のニップル1に対する管抜け方向Uへの管体Bの抜け強度が向上し、流体の漏れ事故を確実に防止できて安全性に優れる。
さらに、弾性スリーブ2の肉厚に関係なく、複数の分割ホルダ3の周端部3aの間に対する肉余り部位2gの噛み込みを防止可能となるため、肉厚の弾性スリーブ2で管体Bをより強く締め付けることが可能となる。それにより、管体Bの抜け強度を更に向上させて、流体の漏れ事故を長期に亘って確実に防止できる。
【0020】
特に、ストッパー部材5が、複数の分割ホルダ3の周端部3aの内面に亘って周方向へ移動不能に設けられるスペーサ51であり、スペーサ51の内側に円弧状のガイド面5aを有する場合には、締め付け部材4による複数の分割ホルダ3の接近移動に伴い、弾性スリーブ2が縮径変形して、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部3a同士の間に向け、弾性スリーブ2の肉余り部位2gが径方向外側に膨出変形しても、肉余り部位2gがストッパー部材5となるスペーサ51の円弧状のガイド面5aに突き当たった後、周方向へスムーズに摺動して誘導される。
したがって、弾性スリーブ2を周方向へ均一に縮径変形させることができる。
その結果、管体Bの外表面B1に弾性スリーブ2の内面2aを全周に亘って均等に密着させてシールすることができ、更なるシール性の向上が図れる。
【実施例1】
【0021】
次に、本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
この実施例1は、図2(a)(b)及び図3(d)に示すように、ストッパー部材5が、複数の分割ホルダ3(第一分割ホルダ31,第二分割ホルダ32)に対するストッパー部材5の位置決め手段5bとして、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部3aの端面3cと平行な突片5b1を有している。さらに、締め付け部材4による複数の分割ホルダ3の接近移動終了時において、周端部3aの端面3cと突片5b1が互いに当接するように設定している。
突片5b1は、ストッパー部材5(スペーサ51)の外側に周方向へ隣り合う周端部3aの端面3cと平行な板状に突出形成されている。
【0022】
さらに、ストッパー部材5が、締め付け部材(ねじ部品)4の貫通部5cとして径方向へ長尺な長孔5c1と、複数の分割ホルダ3の周端部3aの内面と周方向へ摺接する摺接部5dと、を有することが好ましい。
摺接部5dは、ストッパー部材5(スペーサ51)の外側に突片5b1を挟んで周方向へ一対形成され、それぞれが周方向端縁に向かって徐々に肉薄になるテーパー状に形成することが好ましい。
また、複数の分割ホルダ3の周端部3aの内面には、摺接部5dと摺接する周方向端縁に向かって徐々に肉薄になるテーパー状の傾斜凹部3b1を有することが好ましい。
【0023】
このような本発明の実施例1に係る管継手Aによると、締め付け部材4による複数の分割ホルダ3の接近移動終了時において、周端部3aの端面3cと突片5b1が互いに当接するため、締め付け部材4でそれ以上に締め付け不能になる。
したがって、作業者の感覚と関係なく締め付け部材4による締め付け完了状態を一定することができる。
その結果、締め付け部材4による締め付けトルクの管理が不要になり、誰が作業しても均一な配管接続が可能となるという利点がある。
【0024】
そして、実施例1では、図1図3に示されるように、締め付け部材4が、頭部4aと、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部3aのいずれか一方に開設された通孔3fを挿通する軸部4bと、他方に開設されたネジ穴3gと螺合するネジ部4cと、を有するねじ部品である。軸部4bは、頭部4aやネジ部4cの外径よりも小径に形成されている。軸部4bがねじ部品の軸方向へ挿通する通孔3fの最小内径よりも、ネジ部4cの最大外径の方が大きくなるように形成している。
図1図3に示される例では、第一分割ホルダ31の周端部3aに通孔3fがそれぞれ開穿され、第二分割ホルダ32の周端部3aにネジ穴3gをそれぞれ貫通開穿するか又は凹状に開設している。
つまり、通孔3f及びネジ穴3gには、締め付け部材(ねじ部品)4のネジ部4cと螺合する同じ内径の雌ネジが刻設されており、通孔3fの雌ネジにネジ部4cとなる雄ネジをねじ込んで軸部4bが通孔3fを挿通する時は、通孔3fに対し頭部4aやネジ部4cが軸方向へ突き当たって抜け止めされる。
したがって、分割ホルダ3の周端部3aから締め付け部材(ねじ部品)4が抜け落ちることを防止することができるという利点がある。
その結果、食品工場や薬品工場などのような製品への異物混入の対処が厳しい業界でも使用することができて安全性に優れる。
【0025】
特に、分割ホルダ3及び締め付け部材(ねじ部品)4が金属製である場合には、図1(b)及び図2(b)に示されるように、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部3aのいずれか一方(第一分割ホルダ31)に開設された通孔3fを座ぐり穴とする。この座ぐり穴と締め付け部材(ねじ部品)4の頭部4aとの間に、滑り性に優れた合成樹脂などからなるワッシャー4dを挟み込んで締め付けることが好ましい。
このように構成した場合には、締め付け部材(ねじ部品)4の締め付けに伴って、頭部4aが通孔(座ぐり穴)3fとの摩擦熱で凝着磨耗(かじり)が発生せず、両者の摩擦で金属粉が発生することがない。
その結果、食品工場や薬品工場などのような製品への異物混入の対処が厳しい業界でも使用することができて安全性に優れる。
また、締め付け部材(ねじ部品)4と通孔3fやネジ穴3gとの接触部分や、ねじ部品の軸部4bとストッパー部材5の位置決め手段5b(突片5b1)の貫通部5c(長孔5c1)との接触部分には、滑剤を塗布又は充填することが好ましい。
滑り性に優れたワッシャー4dや滑剤によって、締め付け部材(ねじ部品)4による締め付けトルクを更に軽減することができる。
【0026】
さらに、ストッパー部材5が、締め付け部材4の貫通部5cとして径方向へ長尺な長孔5c1と、複数の分割ホルダ3の周端部3aの内面と周方向へ摺接する摺接部5dと、を有し、複数の分割ホルダ3の周端部3aの内面が、摺接部5dと摺接する周方向端縁に向かって徐々に肉薄になる傾斜凹部3b1を有する場合には、締め付け部材4による複数の分割ホルダ3の接近移動に伴い、テーパー状の傾斜凹部3b1がストッパー部材5の摺接部5dに沿って摺動する。それにより、締め付け部材4に対し長孔5c1に沿ってストッパー部材5が径方向内側に向けスムーズに移動する。
したがって、締め付け部材4による締め付けトルクを軽減することができる。
その結果、作業性に優れ、例えば女性のような非力な作業者であっても、締め付け部材4で分割ホルダ3を締め切る(完全に締める)ことができるという利点がある。
【0027】
長孔5c1は、ストッパー部材5の組み込み時において、締め付け部材(ねじ部品)4の軸部4b及びネジ部4cが挿通する。しかし、ストッパー部材5の組み込み後において、長孔5c1の短尺方向の内径を、締め付け部材(ねじ部品)4の頭部4aやネジ部4cの最大外径よりも小さく且つ軸部4bの外径よりも大きくしている。
つまり、ストッパー部材5の全体が弾性変形可能な材料で形成され、長孔5c1の短尺方向の内径をネジ部4cの外径よりも僅かに小さくして、ネジ部4cの挿通時に長孔5c1がその短尺方向へ伸縮変形するように形成している。図示例では長孔5c1が、ネジ部4cの外径よりも僅かに小径な大円形部位と、軸部4bの外径と略同径の小円形部位とを連結したダルマ型に形成されている。
また、その他の例として、長孔5c1の一部に締め付け部材(ねじ部品)4のネジ部4cと螺合する同じ内径の雌ネジを刻設することで、ストッパー部材5の組み込み時には、締め付け部材(ねじ部品)4のネジ部4cが挿通可能な構造にしたり、大円形部位と小円形部位が連結されダルマ型に代えて楕円形など他の形状に変更したりすることも可能である。
それにより、ストッパー部材5の組み込み後は、締め付け部材(ねじ部品)4のネジ部4cに、ストッパー部材5の長孔5c1が引っ掛かって抜け止めされる。
したがって、分割ホルダ3の周端部3aからストッパー部材5が抜け落ちることを防止することができるという利点がある。
その結果、食品工場や薬品工場などのような製品への異物混入の対処が厳しい業界でも使用することができて安全性に優れる。
さらに、締め付け部材4による複数の分割ホルダ3の接近移動中か又は接近移動後に、分割ホルダ3や締め付け部材4などに対し振動や衝撃などの外力が作用しても、締め付け部材4によりストッパー部材5が軸方向へ位置ズレしない。
したがって、簡単な構造でストッパー部材5を軸方向へ位置決めすることができる。
その結果、不意にストッパー部材5が軸方向へ位置ズレして弾性スリーブ2の肉余り部位2gが膨出することを防止することができ、完全性に優れると同時に、コスト高になることもなく経済性にも優れる。
【0028】
それに加え、図1図3に示される例では、継手本体10の基端側に、接続部11として他の管体と接続するためにフェルールやブッシュなどの円筒部品11aを一体形成している。
さらに、図1図3に示される例では、弾性スリーブ2としてゴム製スリーブ21を用いている。ゴム製スリーブ21の内面2aに切れ込み2cとして、図3(a)〜(d)に示されるように、軸方向へ直線状に延びる凹状溝2c1を複数それぞれ周方向へ所定間隔毎に凹状形成している。
弾性スリーブ2の表面には、周方向へ隣り合う複数の切れ込み2c(凹状溝2c1)の間を示すための目印2eが設けられている。図示例では、弾性スリーブ2の外面2b及び端面に目印2eを弾性スリーブ2の周方向へ四つ配置している。
なお、その他の例として図示しないが、切れ込み2cの変形例として、曲線などの非直線状に延びる凹状溝2c1を形成したり、弾性スリーブ2の外面2b又は端面のいずれか一方のみに目印2eを配置したり、目印2eの数を周方向へ三つ以下又は五つ以上配置したり変更することも可能である。
ところで、弾性スリーブ2が特にゴム製スリーブ21のような全体的な可撓性に優れるものの場合には、その縮径変形時に切れ込み2c(凹状溝2c1)が埋まるところまで縮径変形すると、それ以上の縮径変形により弾性スリーブ2の外面2bにおいて切れ込み2c(凹状溝2c1)の外側の肉余り部位が膨出変形する。
これを防止するため、弾性スリーブ2の目印2eを、周方向へ隣り合う複数の分割ホルダ3の周端部3aの間に位置合わせすることにより、締め付け部材4で複数の分割ホルダ3が径方向へ接近移動しても、切れ込み2c(凹状溝2c1)の外側の肉余り部位が、複数の分割ホルダ3の周端部3aの間に向け膨出変形しない。
【0029】
また、弾性スリーブ2(ゴム製スリーブ21)の外面2bには、分割ホルダ3の内側面(円弧面)3bとの接触面積(摩擦抵抗)が減少するように低摩擦部2dを設けることが好ましい。それにより、締め付け部材4による複数の分割ホルダ3の接近移動に伴って弾性スリーブ2(ゴム製スリーブ21)がスムーズに縮径変形し、締め付け部材(ねじ部品)4の締め付けトルクを軽減できる。
図3(a)〜(d)に示される例では、ゴム製スリーブ21の軸方向一部又は全体に亘り低摩擦部2dとして、突条と凹溝が軸方向へ交互に断面鋸歯状に形成されている。
また、その他の例として図示しないが、低摩擦部2dの変形例として、突条と凹溝を断面鋸歯状とは異なる凹凸形状に形成したり、各分割ホルダ3の内側面(円弧面)3bにも低摩擦部を形成したり、弾性スリーブ2の外面2bの低摩擦部2dに代えて分割ホルダ3の内側面(円弧面)3bにのみ低摩擦部を形成することも可能である。
【実施例2】
【0030】
この実施例2は、図4(a)〜(d)に示すように、継手本体10の変形例を示し、継手本体10の基端側に、接続部11として他の管体と接続するためにナット部11bとネジ部11cを設けた構成が、図1図3に示した実施例1とは異なり、それ以外の構成は図1図3に示した実施例1と同じものである。
図4(a)〜(d)に示される例では、ネジ部11cとして、継手本体10の基端側外周面に外ネジを刻設し、他の管体や他の機器の管接続口の内周面に刻設された内ネジと螺合するように構成している。
また、その他の例として図示しないが、ネジ部11cとして、継手本体10の基端側内周面に内ネジを刻設し、他の管体や他の機器の管接続口の外周面に刻設された外ネジと螺合するように構成することも可能である。
したがって、このような本発明の実施例2に係る管継手Aも、前述した実施例1と同様な作用効果が得られる。
【実施例3】
【0031】
この実施例3は、図5(a)〜(d)に示すように、弾性スリーブ2の変形例を示し、弾性スリーブ2として樹脂製スリーブ22を用いた構成が、図1図3に示した実施例1や図4(a)〜(d)に示した実施例2とは異なり、それ以外の構成は図1図3に示した実施例1や図4(a)〜(d)に示した実施例2と同じものである。
図5(a)〜(d)に示される例では、樹脂製スリーブ22に切れ込み2cとして、軸方向へ千鳥状で配置され且つ直線状に延びるスリット(すり割り)2c2を複数それぞれ周方向へ所定間隔毎に切欠形成している。
また、その他の例として図示しないが、樹脂製スリーブ22の軸方向一端部から軸方向へ延びるスリット(すり割り)2c2を周方向へ複数切欠形成したり、樹脂製スリーブ22の軸方向全長に亘って一つのスリット(すり割り)を切欠形成したり、曲線などの非直線状に延びるスリット(すり割り)を形成することも可能である。
【0032】
さらに、樹脂製スリーブ22の内面2aには、管体Bの外表面B2との摩擦抵抗が増大するように高摩擦部2fを設けることが好ましい。それにより、管体Bの抜け強度が向上する。
図5(a)〜(d)に示される例では、樹脂製スリーブ22の内面2aの軸方向一部又は全体に亘り高摩擦部2fとして、環状凸部と環状凹部が軸方向へ交互に凹凸形成されている。
したがって、このような本発明の実施例3に係る管継手Aも、前述した実施例1や実施例2と同様な作用効果が得られる。
【0033】
なお、前示実施例の図示例では、複数の分割ホルダ3として周方向へ二分割された第一分割ホルダ31と第二分割ホルダ32を用いたが、これに限定されず、周方向へ三分割か又は四分割か若しくはそれ以上に分割された分割ホルダ3を用いてもよい。
【符号の説明】
【0034】
A 管継手 1 ニップル
1a 外周面 2 弾性スリーブ
2b 外面 2g 肉余り部位
3 分割ホルダ 3a 周端部
3b1 傾斜凹部 3c 端面
3f 通孔 3g ネジ穴
4 締め付け部材 4a 頭部
4b 軸 4c ネジ部
5 ストッパー部材 51 スペーサ
5a ガイド面 5b 位置決め手段
5b1 突片 5c 貫通部
5c1 長孔 5d 摺接部
B 管体 S 管体の挿入空間
図1
図2
図3
図4
図5