(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モールド金型を型開きしながら、前記リリースフィルムにテンションをかけて形成される当該リリースフィルムと成形品との隙間に前記第2の通気孔よりエアーを噴出させる請求項1記載の樹脂モールド装置。
樹脂モールド後に前記第1通気孔よりエアーを噴出させて前記リリースフィルムを前記他方の金型より離間させるとともに、前記他方の金型のキャビティ凹部に開口する第3の通気孔よりエアーを噴出させて前記リリースフィルムを介して前記成形品の表面を硬化させる請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の樹脂モールド装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、白熱電球や蛍光灯などに代わる光源として低消費電力で長寿命であるLED(発光装置)を光源として用いるニーズが高まっている。このレンズを備えたLEDをトランスファ成形によって樹脂モールドする場合、使用される透明樹脂(シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等)は樹脂モールド直後の金型温度では、成形品の表面が完全に硬化していないタック性(粘着性)を伴った状態にあり、成形品の表面温度が常温近くまで下がらないと硬化が促進されない。トランスファ成形においてモールド金型を型開きして成形品を取り出すのは、成形温度まで加熱された状態であり、加熱された状態での離型は金型クランプ面とリリースフィルム、リリースフィルムと成形品が各々貼り付いたままになり、離型し難い。
【0006】
また、エジェクタピンを用いて離型する方法もあるが、弾力のあるエラストマー系のモールド樹脂の場合には、エジェクト効果が不十分となり、ピン周辺のみが破断するおそれがある。特にレンズを備えたLEDにおいては、樹脂表面に打痕などの物理的なダメージが残ると不良品となりやすい。
【0007】
本発明の目的は上記従来技術の課題を解決し、樹脂モールド後に成形品をモールド金型から成形品質を損なうことなくスムーズに離型することができる樹脂モールド装置及び樹脂モールド方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
モールド金型でクランプされたワークが樹脂モールドされ、樹脂モールド後の成形品が型開きする際にモールド金型から離型される樹脂モールド装置であって、前記モールド金型は、前記ワークを載置する一方の金型と、金型クランプ面にキャビティ凹部が形成され、該キャビティ凹部を含む金型クランプ面がリリースフィルムで覆われた他方の金型と、を備え、前記他方の金型には、エアーを吸引して前記リリースフィルムを金型クランプ面に吸着させ又はエアーを噴出させて前記リリースフィルムを前記金型クランプ面より離間させることが可能な複数の第1の通気孔が設けられ、前記一方の金型には、前記リリースフィルムと金型クランプ面との間にエアーを噴出させて前記成形品を一方の金型面から離型させる第2の通気孔が設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、モールド金型を用いて成形品を樹脂モールド後に、他方の金型に設けられた第1の通気孔からエアーを噴出させることにより、型開きする際にリリースフィルムを金型クランプ面から離間させることができる。
また、モールド金型が型開きを開始した後、第2の通気孔からエアーを噴出させることにより、リリースフィルムを成形品から離間させることができる。
更に型開きが進行して、不要樹脂と金型クランプ面との間に第2の通気孔からエアーを噴出させることにより、成形品を一方の金型面から離型させることができる。
よって、例えば粘着性の高い透明樹脂を用いたレンズ部を含む成形品を、モールド金型から成形品質を低下させることなく離型することができる。
【0009】
前記モールド金型を型開きしながら、前記リリースフィルムにテンションをかけて形成される当該リリースフィルムと成形品との隙間に前記第2の通気孔よりエアーを噴出させることが好ましい。
これにより、モールド金型の型開き動作を利用してリリースフィルムと成形品との間に隙間を作った状態で第2の通気孔よりエアーを噴出させるので、リリースフィルムのテンションの増加とエアー噴出による冷却により成形品がリリースフィルムから剥離しやすくなる。
【0010】
前記一方の金型には、型開きする際に金型クランプ面から
成形品カル及び成形品ランナに向って突き出して離型させるエジェクタピンが設けられており、該エジェクタピンが前記
成形品カル及び成形品ランナを突き上げながら前記第2の通気孔より前記
成形品カル及び成形品ランナと金型クランプ面との隙間にエアーを噴出させることが望ましい。
これにより、例えば金型クランプ面より剥離し難い成形品カルや成形品ランナにエジェクタピンを突き上げるとともに第2の通気孔よりエアーを噴出させてエジェクタピンが当接するピン当接部を冷却することより、
成形品カル及び成形品ランナが硬化してエジェクタピンより剥がれ易くなる。
【0011】
前記他方の金型の金型クランプ面の周囲には、成形品とこれに連なる
成形品カル及び成形品ランナに向って異なるタイミングで各々エアーを噴出させる前記第2の通気孔が複数箇所に設けられていてもよい。
これにより、モールド金型の離型動作の進行に応じて成形品のみならず成形品カル及び成形品ランナを含む不要樹脂に対しても各々エアーを噴出させて冷却することで、成形品の離型を促進することができる。
【0012】
樹脂モールド後に前記第1通気孔よりエアーを噴出させて前記リリースフィルムを前記他方の金型より離間させるとともに、前記他方の金型のキャビティ凹部に開口する第3の通気孔よりエアーを噴出させて前記リリースフィルムを介して前記成形品の表面を硬化させることが好ましい。
これにより、リリースフィルムを金型クランプ面より離間させる際に、成形品の表面温度を低下させて粘着性を低下させるので、リリースフィルムを成形品から剥がれやすくすることができる。
【0013】
樹脂モールド方法においては、ワークが載置された一方の金型とキャビティ凹部を含む金型クランプ面がリリースフィルムで覆われた他方の金型とを型閉じして成形品を樹脂モールドする工程と、前記樹脂モールド後にモールド金型の型開きを開始する際に、前記他方の金型の金型クランプ面よりエアーを噴出させて前記リリースフィルムを当該金型クランプ面より離間させる工程と、前記モールド金型の型開きを進行させて、前記リリースフィルムと成形品との間に前記一方の金型の金型クランプ面よりエアーを噴出させて前記リリースフィルムを成形品から離間させる工程と、前記モールド金型の型開きを更に進行させて前記一方の金型よりエジェクタピンを
成形品カル及び成形品ランナに向かって突き出すとともに当該
成形品カル及び成形品ランナと前記一方の金型の金型クランプ面との間にエアーを噴出させて前記一方の金型面から前記成形品を離型させる工程と、を含むことを特徴とする。
上記樹脂モールド方法によれば、成形品を樹脂モールド後に、他方の金型クランプ面からエアー噴出させることにより、型開きする際にリリースフィルムを金型クランプ面より離間させ、次いでモールド金型が型開きを開始しリリースフィルムにテンションをかけた状態で一方の金型の金型クランプ面よりエアーを噴出させることにより、リリースフィルムを成形品から離間させることができ、型開きを更に進行させて一方の金型よりエジェクタピンを
成形品カル及び成形品ランナに向かって突き出すとともに当該
成形品カル及び成形品ランナと一方の金型の金型クランプ面との間にエアーを噴出させてピン当接部を硬化させるので、
成形品カル及び成形品ランナとエジェクタピンが剥がれ易くなり、成形品を容易に離型することができる。
【0014】
また、前記成形品に向ってエアーを噴出させたままエジェクタピンがセンターインサートに形成される
成形品カル及び成形品ランナを突き上げながら当該ピン当接部に更にエアーを噴出させて前記成形品を離型させることにより、成形品である製品と
成形品カル及び成形品ランナを確実に離型させることができる。
【発明の効果】
【0015】
樹脂モールド装置及び樹脂モールド方法を用いれば、樹脂モールド後に成形品をモールド金型から成形品質を損なうことなくスムーズに離型することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る樹脂モールド装置及び樹脂モールド方法の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。以下では、ワークとしてレンズ部(凸部)を含む発光装置(LED)を透明樹脂(シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等)を用いてトランスファ成形する樹脂モールド装置及び樹脂モールド方法について説明する。熱硬化性樹脂には、高輝度化に対応するため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質などから選択される少なくとも1以上の物質を混合することができる。また、モールド樹脂は、液状樹脂、顆粒状樹脂、粒体樹脂、シート樹脂、タブレット樹脂等様々な形態の樹脂が利用可能であるが、以下では液状樹脂を用いる例について説明する。尚、発光素子1から照射された照射光の拡散を防ぐリフレクタ(図示せず)を備えていてもよい。
【0018】
本実施形態におけるLEDは、
図13に示すように、発光素子1と、発光素子1を載置する基板2(基材)と、発光素子1を覆う樹脂基部3より突設されたレンズ部4を備え、例えば表面実装型発光装置して成形される。
図8においてワークWは、発光素子1が基板2上に行列状にフリップチップ接続(或いはワイヤボンディング接続)されたものが用いられる。
図9では短冊状の基板2に対して成形品が多数個取り(例えば18個取り)される例を示している。また、基材として用いられる基板2は、樹脂基板、金属(例えばアルミ,銅等)基板、セラミック基板、リードフレーム、キャリア等の様々な板状の部材が用いられる。また、ワークWとして、バンプが成形されたウェハや、電子部品を接着によって固定して搭載したキャリアなどを用いてもよい。
【0019】
図13は、基板2上に成形される成形品単体を示す平面図である。基板2上に実装された複数の発光素子1が樹脂封止された樹脂基部3が成形されており、当該樹脂基部3の上に発光素子1に対向する位置に半球状のレンズ部4が成形されている。本実施例では、1キャビティあたり5個の発光素子1(
図1参照)が樹脂基部3及びレンズ部4により封止されている。
【0020】
次に、樹脂モールド装置について説明する。尚、樹脂モールド装置の型開閉機構については公知の機構を採用しているため、モールド金型に備えた離型装置の構成を中心に説明するものとする。
図1はモールド金型6よりポット、カル、ランナ、ゲート等を省いた模式断面図である(
図2乃至
図4において同じ)。また、
図9では基板2上に成形品31が直列状に2個連なって樹脂封止されるようになっているが、
図1は1個の成形品を封止するためのモールド金型6の断面構造について模式的に示すものである。
【0021】
図1において、モールド金型6は、ワークWを載置する下型7(一方の金型)と、ワークWをクランプする上型8(他方の金型)とを備えている。本実施例では、上型8を固定型、下型7を可動型として説明する。プレス駆動機構は、駆動源(サーボモータ等)により駆動伝達機構(トグルリンクなど)を用いてプラテンに支持された下型7をタイバーにガイドされて昇降する公知の機構が用いられる。
【0022】
先ず上型8の構成について
図10を参照して説明する。上型8には、上型ベース32に下型チェイスブロック12が支持されている。上型チェイスブロック12には、上型センターインサート13の両側に上型インサート14が各々設けられている。上型センターインサート13には、上型カル13a及びこれに接続する複数(例えば6本)の上型ランナ13bが各々彫り込まれている。また、上型インサート14には、各上型ランナ13bに接続する上型ランナゲート14aと複数(例えば2個)の第1キャビティ凹部9aが連通ランナ14bを介して直列状に連なるように各々彫り込まれている。
【0023】
図10において、上型センターインサート13の長手方向両側には上型エンドブロック33が対向して設けられている。また、上型キャビティインサート14の長手方向両側には上型エンドブロック34が各々対向して設けられている。上型エンドブロック33には、後述する下型7のエアブローブロック26の逃げが形成されている。同様に、上型エンドブロック34には後述する下型7のエアブローブロック27の逃げが形成されている。
【0024】
上型インサート14のクランプ面には平面視で円形状の第1キャビティ凹部9aが行列状に形成されている。各第1キャビティ凹部9aの底部にはレンズ部4に対応する複数(例えば5個)の第2キャビティ凹部9bが第1キャビティ凹部9aの底部より深くなるように半球状の凹部に彫り込まれている。第1キャビティ凹部9aは、基板2上に複数(例えば5個)の発光素子1が散点状に搭載されたワークWを収容してモールドする(
図1参照)。また、第1キャビティ凹部9aの底部であって、第2キャビティ凹部9bの周囲には、複数(例えば4箇所)の第3の通気孔5が開口して設けられている。第3の通気孔5は、エアーを噴出或いは吸引可能なエアー吸排装置17aに接続されている(
図1参照)。
【0025】
また、上型センターインサート13及び上型インサート14のクランプ面(ワーク当接面)にはリリースフィルム10を吸着保持する複数の第1の通気孔15aが開口して設けられている。また、樹脂路に相当する上型カル13a、上型ランナ13b、上型ランナゲート14a、連通ランナ14bには第1の通気孔15bが開口して設けられている。第1の通気孔15a,15bは、エアーを吸引若しくは噴出可能なエアー吸排装置17bに接続されている(
図5,
図6,
図7参照)。
【0026】
図1に示すように、第1のキャビティ凹部9aの底部を含む上型クランプ面がリリースフィルム10で覆われている。リリースフィルム10は、上型クランプ面に吸着保持される。リリースフィルム10は、厚さ0.5mm程度で耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するもの、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEPフィルム、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。
【0027】
次に下型7の構成について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8において下型7には、下型ベース18に下型チェイスブロック19が支持されている。下型チェイスブロック19には、下型センターインサート20の両側に下型インサート21が各々設けられている。下型センターインサート20には、モールド樹脂が供給されるポット22が設けられている。ポット22内には、プランジャ23が昇降可能に設けられている。
【0028】
また、下型センターインサート20のポット周辺領域である成形品カル31a及び成形品ランナ31b(
図9参照)に対応する位置には貫通孔が設けられており、該貫通孔にはエジェクタピン29が突出し可能に設けられている。エジェクタピン29は、図示しないエジェクタピンプレートに立設されている。モールド金型6が型閉じ状態にあるときエジェクタピン29が下型クランプ面より退避しており、型開きが進行してエジェクタピンプレートが押圧されると下型クランプ面(下型センターインサート20)より突出して不要樹脂31c(
図9参照)を離型するようになっている。
【0029】
下型インサート21の上面部は、ワークWを載置するワーク載置部となる。また、下型センターインサート20の長手方向両側には下型エンドブロック24が対向して設けられている。また、下型インサート21の長手方向両側には下型エンドブロック25が各々対向して設けられている。
【0030】
上記一対の下型エンドブロック24には、エアブローブロック26が対向して設けられ、一対の下型エンドブロック25にはエアブローブロック27が対向して設けられている。各エアブローブロック26,27の対向面側には第2の通気孔26a,27aが設けられている。
図12(A)(B)にエアブローブロック27の構成例を示す。尚、エアブローブロック26の構成も同様である。第2の通気孔27a(26a)は、エアーがワークWと平行な向きに拡散して噴出させるように概ね90°にブロック開口27b(26b)が広がるように形成されている。ブロック開口27b(26b)の高さ位置は、ワークWの基板上面と略一致する高さに設けられている。この第2の通気孔27aからリリースフィルム10と成形品31との間にエアーを噴出させてリリースフィルム10を成形品31から離間させるようになっている(
図4参照)。また、後述するように第2の通気孔26aから不要樹脂と下型面との間にエアーを噴出させて不要樹脂(成形品カル31a)をエジェクタピン29から剥がれ易くするようになっている(
図6参照)。
【0031】
第2の通気孔26a,27aは、エアーを吸引若しくはエアブロー可能なエアー吸排装置17cと接続されている(
図2,
図3,
図4参照)。尚、第1の通気孔15a,15b、第2の通気孔26a,26b及び第3の通気孔5は通気孔毎に弁の開閉操作で個別のエアー吸排装置でエアー吸引とエアブローを切り替えて行ってもよい。また、エアブローブロック26,27は対向配置されているが、一方側のみに設けてもよい。また、エアブローブロック26,27は、下型エンドブロック24,25に設けたが、下型チェイスブロック19の短手方向の一方側若しくは両側に設けてもよい。
【0032】
また、
図8において、下型ベース18には下型チェイスブロック19の周囲を囲んでシールリング28が設けられている。このシールリング28は、上型8と下型7で型閉じする際に上型ベース32と当接し、上型8側のシールリング37とともにモールド金型6内に閉鎖空間を形成するようになっている。これにより、モールド金型6内に減圧空間(若しくは加圧空間)を形成し、ボイドが発生しないように樹脂モールドを行うことができる。
【0033】
次に、上述したモールド金型6を用いた離型動作の一例について
図14(A)のフローチャート及び同図(B)のエアブローのタイミングチャートを参照しながら説明する。
先ず、
図14(A)において、型開きしたモールド金型6の下型インサート21にワークWが載置され、ポット22にモールド樹脂30を供給された後、下型7を上動させて第1キャビティ凹部9aの底部を含む上型クランプ面がリリースフィルム10で覆われた上型8とで、ワークWをクランプしてレンズ部を含む成形品31を加熱硬化させて樹脂モールドする(ステップS1)。
図14(B)において、プレス駆動機構は、可動型である下型7が上型8と型閉じしているため、上動位置にある。また、上型8のクランプ面に開口する第1の通気孔15a,15bは、エアー吸排装置17bが作動してリリースフィルム10を吸引した状態にある(吸着ON状態)。尚、樹脂モールド直後の状態を
図1に示す。同図に示すモールド樹脂30の加熱硬化温度は樹脂により異なるが140℃〜180℃である。
【0034】
次に、
図14(A)において、モールド樹脂のキュアタイムが経過するとモールド金型6の型開きを開始する。即ち、プレス駆動機構を作動させて下型7を下降させる(ステップS2)。次いで、エアー吸排装置17bによるフィルム吸着動作を停止して、第1の通気孔15a,15bによるエアブロー動作を開始する(ステップS3)。
図14(B)において、第1の通気孔15a,15bよりエアーを噴出させてリリースフィルム10を上型8より離間させる。このとき、エアー吸排装置17aを作動させて第3の通気孔5からエアーを噴出させてリリースフィルム10を介してアスペクト比の高い凸部に相当する成形品31の表面を硬化させることが望ましい(
図2参照)。尚、第1の通気孔15a,15bによるエアブロー動作は継続しているが、所定時間経過したらエアブロー動作を終了させてもよい。第3の通気孔5についても同様である。
【0035】
次いで、
図14(A)において、モールド金型6の型開きを進行させて、エアー吸排装置17cを作動させてリリースフィルム10と成形品31との間に第2の通気孔27aよりエアーを噴出させてリリースフィルム10を成形品31から離間させる。(
図3,
図4参照;ステップS4)。
【0036】
具体的には、
図14(B)において、下型7を更に下降させながら、即ち型開きを開始してからt秒後(>0)にエアー吸排装置17cを作動させて、リリースフィルム10にテンションをかけた状態で形成される当該リリースフィルム10と成形品31との隙間に第2の通気孔27aより基板2に沿ってエアーを噴出させる(
図4参照)。
図11に、対向配置されたエアブローブロック27から基板2に沿って成形品31にエアーを噴出させている状態を模式的に示す。
図12(A)に示すように、エアブローブロック27に形成された第2の通気孔27a(26a)のブロック開口27b(26b)は、ワークWに対して略90°の角度で拡散するようにエアーが吹き付けられるため、成形品31を効率よく冷却することができる。
【0037】
これにより、リリースフィルム10のテンションの増加と第2の通気孔27aからのエアーの噴出による成形品表面の硬化促進により、リリースフィルム10が基板2及び成形品31から剥離しやすくなる。尚、このときの成形品31の表面温度は100℃程度に冷却されていることが望ましい。尚、第2の通気孔27aによるエアブロー動作は継続しているが、所定時間経過したらエアブロー動作を終了させてもよい。
【0038】
図5に示すように、上型8とリリースフィルム10、リリースフィルム10と成形品31は各々離間するが、成形品カル31a及び成形品ランナ31bは下型クランプ面(下型センターインサート20)に貼り付いたまま離型しない。特にLED用の透明樹脂は成形品が冷却された硬化しない限り粘着性が高いままの状態にあるため、加熱状態では下型クランプ面より離間し難い。ちなみに、
図9に示すように樹脂モールド後の不要樹脂である成形品カル31a及び成形品ランナ31bは下型7(下型センターインサート20)との密着面積が広いため剥がれ難い。
【0039】
そこで、
図14(A)において、モールド金型6の型開きを更に進行させて、下型エジェクト動作を開始する(ステップS5)。即ち、
図14(B)に示すように、下型7(下型センターインサート20)よりエジェクタピン29を成形品カル31a及び成形品ランナ31bに向かって突き上げる(
図6参照)。また、成形カル31a及び成形品ランナ31bと下型クランプ面との間に、第2の通気孔26aよりエアーを噴出させてエジェクタピン29が当接する成形カル31a及び成形品ランナ31bのピン当接部を硬化させる(ステップS6;
図7参照)。
図11に対向配置されたエアーブロック26から成形品カル31a及び成形品ランナ31bにエアーを噴出させている状態を模式的に示す。
【0040】
尚、
図7において、ブロック開口26bの高さは成形品カル31a及び成形品ランナ31bと下型クランプ面の境界面より高い位置に設けられているが、
図14(B)に示すように下型7が型開き位置まで移動すると、エジェクタピン29が最大突出位置まで突き出るため、成形品カル31a及び成形品ランナ31bが上方に突き上げられて下型面との間に形成される隙間を通じてエアブローされる。
【0041】
これにより、成形品カル31a及び成形品ランナ31bにエジェクタピン29を突き上げるとともにエアーを噴出させてエジェクタピン29が当接するピン当接部を冷却することより、不要樹脂31cが硬化してエジェクタピン29より剥がれやすくなる。尚、エジェクタピン29は、成形品カル31a及び成形品ランナ31bの双方に配置する必要はなくいずれかであってもよい。また、第3の通気孔26aによるエアブロー動作は継続しているが、所定時間経過したらエアブロー動作を終了させてもよい。
以上により、成形品31の離型動作が終了する(ステップS7)。
【0042】
上記構成によれば、モールド金型6を用いてレンズ部4を含む成形品31を樹脂モールド後に、上型8に設けられた第1の通気孔15a、15bからエアー噴出させることにより、リリースフィルム10を上型クランプ面から離間させることができる。
また、モールド金型6が型開きを開始した後、第2の通気孔27aからエアーを噴出させることにより、成形品31をリリースフィルム10から離間させることができる。
更に型開きが進行して、不要樹脂31c(成形品カル31a、成形品ランナ31b)と金型クランプ面との間に第2の通気孔26aからエアーを噴出させることにより、成形品31を下型7の金型クランプ面から離型させることができる。
よって、粘着性の高い透明樹脂を用いたレンズ部4を含む成形品31を、モールド金型6から成形品質を低下させることなく離型することができる。
【0043】
また、モールド金型6の型開き動作を利用してリリースフィルム10と成形品31との間に隙間を作った状態で第2の通気孔27aよりエアーを噴出させるので、リリースフィルム10のテンションの増加とエアー噴出による成形品表面の冷却により成形品31がリリースフィルム10から剥離しやすくなる。
同様に、成形品カル31aや成形品ランナ31bにエジェクタピン29を突き当てて押圧するとともに第2の通気孔26aよりエアーを噴出させてエジェクタピン先端の成形品当接部を冷却することより、不要樹脂31cが硬化してエジェクタピン29より剥がれやすくなる。
【0044】
上述したモールド金型は、上型8を固定型、下型7を可動型としたが、上型8と下型7のいずれを固定型とし、いずれを可動型とするかは任意に設定することができる。また、モールド金型6は、下型7にワークWが載置されポット22が設けられており、上型8にキャビティ凹部9が設けられ上型クランプ面がリリースフィルム10で覆われていたが、下型7にキャビティ凹部9が設けられ下型クランプ面がリリースフィルム10で覆われており、上型8にポット22が設けられるモールド金型であってもよい。
【0045】
また、上述した実施例においては基板2上に行列状に配置されたワークWをキャビティ毎に樹脂モールドする場合について説明したが、凸部を含む成形品をモールド樹脂により一括成形するタイプの製品にも適用することができる。また、発光装置(LED)を樹脂モールドする場合について説明したが、凸部を有する成形品であればこれに限定されるものではなく、半導体素子を樹脂封止する場合用いてもよい。
本発明は、特に、ワークWとして基板2上にLED用レンズ部4(凸部)が例えば0.2mmピッチで高密度配置された発光装置をモールドする樹脂モールド装置及び樹脂モールド方法に有効である。