【文献】
原内健次(他6名),「オープンリング共振器とGaNショットキーダイオードを用いた無線電力伝送」,2011年電子情報通信学会エレクトロソサイエティ大会,2011年 8月30日,エレクトロニクス 2,pp.60,C-10-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記整合手段は、上記遮断手段から入力側に伸びた伝送線路の途中に設けられたオープンスタブを備え、上記オープンスタブの長さ、および上記遮断手段と上記オープンスタブとの間の伝送線路の距離が、上記入力波の基本波の反射を実質的にゼロとするように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波整流回路。
上記整合手段が、上記遮断手段から入力側に伸びた伝送線路の途中に、距離を置いて設けられた2個のオープンスタブで構成されており、上記2個のオープンスタブのそれぞれの長さが、上記入力波の基本波の反射を実質的にゼロとするように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波整流回路。
上記整合手段が、上記遮断手段から入力側に伸びた伝送線路の途中に、距離を置いて設けられた2個の、電気的にリアクタンスを変更可能な可変リアクタンス素子で構成されており、上記2個の可変リアクタンス素子のリアクタンスが、上記入力波の基本波の反射を実質的にゼロとするように調整されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波整流回路。
上記遮断手段から入力側に伸びた伝送線路の途中に、当該伝送線路に必要に応じて接続可能な、入力波に対しインピーダンスが実質的にゼロとなるスタブまたはリアクタンス素子が配置されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のマイクロ波整流回路。
上記高調波遮断手段が、高調波の実効波長の4分の1、またはその奇数倍の長さのオープンスタブで構成されていることを特徴とする請求項6に記載のマイクロ波整流回路。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1の実施の形態〕
本発明の実施の一形態について、
図1〜
図10に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態のマイクロ波整流回路を備えたレクテナ回路100の等価回路図である。レクテナ回路100では、入力側からキャパシタやアンテナなどでDC電圧をカットした交流信号が入力され、整流ダイオードDにより信号線の中心電圧がグランドレベルから離れたDC電圧が発生し、これがDC電源として利用される。
【0029】
レクテナ回路100は、
図1に示すように、インピーダンス整合部10、高調波フィルタ部20、ダイオード部(整流部)30、負荷抵抗R、および図示しないアンテナ部を備えている。このうち、インピーダンス整合部10、高調波フィルタ部(遮断手段、高調波遮断手段)20、およびダイオード部30が、プリント基板(図示せず)上に形成される。以下、プリント基板上に形成される、インピーダンス整合部10、高調波フィルタ部20、およびダイオード部30を、レクテナ回路本体(マイクロ波整流回路)と称する。
【0030】
レクテナ回路100には、アンテナ部と接続された入力側から周波数f(基本周波数)のマイクロ波が入力波される。入力波は、インピーダンス整合部10および高調波フィルタ部20を経てダイオード部30に入力する。インピーダンス整合部10および高調波フィルタ部20には、後述するようにスタブ等が備えられているため、入力波はその都度反射を起こして若干は減少するものの、入力波の大部分は、ダイオード部30に到達する。
【0031】
ダイオード部30は、入力波であるマイクロ波を整流するための整流ダイオードDと、整流ダイオードDで整流された信号を直流(DC)電力に変換する出力フィルタ部35とを有する。
【0032】
図1では、ダイオード部30として、前述したシングルシャント法を採用した回路構成を例示している。すなわち、整流ダイオードDの後方に、周波数fの入力波の回路基板上での波長(以下、実効波長)をλとして、λ/4の距離を隔てて終端用のキャパシタCが配置され、整流ダイオードDと終端用のキャパシタCとの間の伝送線路32の長さが、λ/4に設定されている。終端用のキャパシタCが設けられることで、出力端子には直流電流のみが流れることとなる。
【0033】
なお、終端用のキャパシタCに変えて終端用のスタブを配置してもよく、また、ダイオード部30としては、前述したデュアルダイオード法(
図21参照)の構成や、他の方式の構成であってもよい。
【0034】
ここで、出力フィルタ部35における終端処理を、スタブを用いて行う構成について説明する。ダイオード部30においては、整流ダイオードDと出力フィルタ部35を構成する終端用のキャパシタCやスタブが配置されるため高調波が発生する。ダイオード部30で発生する高調波は、整流ダイオードDの電流電圧特性が非線形であるため、入力波の周波数fの整数倍の周波数を有するもののみとなる。したがって、以降、周波数fの波を入力波の基本波とし、周波数fの2倍の周波数f2を有する高調波を2次高調波、周波数fのn倍の周波数fnを有する高調波をn次高調波と称する。
【0035】
発生する高調波の成分は、その次数が増えるに従い急速に低下する。そのため、通常は8次以上を無視し、基本波および2次から7次までの高調波に対して終端処理を行う。
図1では、終端用のキャパシタCを例示したが、キャパシタにて吸収される信号周波数の数は限られる。特に高周波数の場合、キャパシタでは寄生インダクタンスや寄生抵抗のため理想どおりに吸収できないことがある。そのため、スタブによる終端処理、あるいはキャパシタとスタブとの併設が望ましい。実際に、マイクロ波の領域において、高調波の高周波まで十分な容量を持った純粋なキャパシタを作成することは困難であるため、レクテナ回路などに搭載されるマイクロ波整流回路においては、オープンスタブで終端処理が行われることが多い。
【0036】
具体的には、周波数fの波である基本波の実効波長をλとすると、周波数fの波を完全反射させるためのオープンスタブの長さは、インピーダンスがゼロになるλ/4である。したがって、λ/4の長さを有するスタブを配置することで、基本波を完全反射させて終端処理できる。そして、λ/4の長さを有するスタブは、同時に周波数fの奇数倍の周波数を有する波、つまり、周波数f3、f5、f7を有する3次、5次、7次の各高調波も完全反射させることができるので、これらも同時に終端処理できる。
【0037】
次に、周波数f2の波の実効波長をλ2(λ2はλの1/2倍)とすると、f2の2次高調波を完全反射させるためのオープンスタブの長さは、インピーダンスがゼロになるλ2/4である。したがって、λ/8の長さを有するスタブを配置することで、2次高調波を完全反射させて終端処理できる。そして、λ/8の長さを有するスタブは、同時に周波数f2の奇数倍の周波数を有する波、つまり、周波数f6の6次高調波も完全反射させることができるので、6次高調波も終端処理できる。
【0038】
最後に、周波数f4の波の実効波長をλ4(λ4はλの1/4倍)とすると、周波数f4の4次高調波を完全反射させるためのオープンスタブの長さは、インピーダンスがゼロになるλ4/4である。したがって、λ/16の長さを有するスタブを配置することで、4次高調波を完全反射させて終端処理できる。
【0039】
このように、λ/4、λ/8、λ/16の長さを有する3つのオープンスタブを配置することで、基本波および2次から7次までの高調波の終端処理ができる。
【0040】
ところで、ダイオード部30においては発生した高調波の一部は、反射して入力側に戻ることとなる。同様に、ダイオード部30に入った基本波の一部も反射して入力側に戻ることとなる。前述したように、このような信号の反射は、アンテナ部より外部へ放出されると、そのまま信号源や空中に戻されて損失となる。
【0041】
そこで、本実施の形態のレクテナ回路100においては、このような損失を引き起こす反射を低減すべく、高調波フィルタ部(遮断手段)20とインピーダンス整合部(整合手段)10とが設けられている。
【0042】
高調波フィルタ部20は、ダイオード部30の入力側に設けられ、入力波の周波数fよりも高い周波数の信号波を遮断するものである。高調波フィルタ部20は、ダイオード部30から発生する、入力波の周波数fの整数倍の周波数の高調波を遮断する。高調波フィルタは基本波より高い周波数の波を遮断するローパスフィルタで有り、一般的にはキャパシタとインダクタンスの組み合わせで実現できるがマイクロ波平面回路ではスタブを用いるのが便利である。高調波フィルタ部20は、遮断する高調波の実効波長の4分の1、またはその奇数倍の長さのオープンスタブで構成され、本実施の形態では、周波数f2、f3、f4、f5の2次、3次、4次、5次の各高調波の反射波に対してインピーダンスがゼロとなるオープンスタブが設けられている。
【0043】
具体的には、2次高調波の反射波を遮断するために、2次高調波の実効波長λ2とするとλ2/4(=λ/8)の長さを有するオープンスタブが、整流ダイオードDからの距離がλ2/4の奇数倍となる位置に配置されている。同様に、3次高調波の実効波長λ3、4次高調波の実効波長をλ4、5次高調波の実効波長をλ5とすると、3次高調波の反射波を遮断するために、λ3/4(=λ/12)の長さを有するオープンスタブが整流ダイオードDからの距離がλ3/4の奇数倍の位置に配置され、4次高調波の反射波を遮断するために、λ4/4(=λ/16)の長さを有するオープンスタブが整流ダイオードDからの距離がλ4/4の奇数倍の位置に配置され、5次高調波の反射波を遮断するために、λ5/4(=λ/20)の長さを有するオープンスタブが整流ダイオードDからの距離がλ5/4の奇数倍の位置に配置される。各スタブの整流ダイオードDからの距離を規定したのは、特許文献1に従って反射波の振幅をダイオード部30で最大にしてダイオード部30での損失を減らそうと考えたためであるが、単に高調波を遮断できる構成であればよい。
【0044】
また、整流ダイオードDによる整流ではヒステリシスや寄生容量の影響が少ない場合には波形の対称性から奇数次の高調波しか発生しない。そこで、高調波フィルタ部20も奇数次高調波のみ、さらに極端には3次高調波のみの反射処理でも効果は大きい。
【0045】
このような高調波フィルタ部20が、ダイオード部30の入力側に配置されることで、入力波の高調波の反射波の外部への放出が防止される。
【0046】
一方、インピーダンス整合部10は、高調波フィルタ部20の入力側に設けられ、ダイオード部30にて反射された入力波の基本波の反射を実質的にゼロとするものである。インピーダンス整合部10は、伝送線路および当該伝送線路に接続されたリアクタンス素子またはスタブによって、ダイオード部30にて反射された入力波の基本波の反射を実質的にゼロとする。
【0047】
本実施の形態のレクテナ回路100においては、インピーダンス整合部10として、
図6に示すインピーダンス整合部10Aを備えている。インピーダンス整合部10Aは、高調波フィルタ部20から入力側に伸びた伝送線路11の途中に配置された1個のオープンスタブ12を備え、オープンスタブ12の長さと、伝送線路11の一部である高調波フィルタ部20とオープンスタブ12との間の伝送線路L1の距離が、上記基本波の反射を実質的にゼロ、最も好ましくは完全にゼロとできるように設定されている。
【0048】
このようなインピーダンス整合部10Aが高調波フィルタ部20の入力側に設けられることで、ダイオード部30で反射された入力波の基本波の反射波が外部へ放出されることを防止することができる。
【0049】
ここで、
図2〜
図8を用いて、高調波フィルタ部20およびインピーダンス整合部10のそれぞれの効果について説明する。
【0050】
図2は、
図1のレクテナ回路100より、インピーダンス整合部10と高調波フィルタ部20とを取り除いた比較例のレクテナ回路の等価回路図である。
図3は、
図2に示す参考例のレクテナ回路の所定位置の波形を回路シミュレーションで求めた波形図である。
【0051】
回路シミュレーションにおいては、整流ダイオードDとして、GaNショットキーバリアダイオードであり、非特許文献2に記載したダイオードのアノードサイズ2μm×100μmのものを5本並列にて用いた。そして、2.45GHz(周波数f1)の交流入力信号を、入力電力1Wで、特性インピーダンス50Ωの線路に給電した。この場合の振幅はちょうど10Vとなる。
【0052】
図2に示す参考例のレクテナ回路においては、インピーダンス整合部10と高調波フィルタ部20とが備えられていないため、
図2のe点における電圧波形は、
図3のS2(太実線)のように歪んだものとなった。シミュレーションによれば、入力側から入る交流入力信号はひずみのないサイン波の電圧波形S1(細一点鎖線)であり、反射により入力部へ戻ってくる電圧波形はダイオード部30側からの高調波を含むS3(細実線)である。e点での電圧波形S2は、入力波の電圧波形S1、反射波の電圧波形S3とが混ざり合ったためで、高調波を含む反射が存在していることを示している。なお、S4(細二点鎖線)は、c点の整流ダイオードDにかかる電圧波形で、Mはd点の電圧波形であり出力フィルタ部35で整流されて直流電圧となっている。
【0053】
電圧波形S3より、反射波には、基本波の反射波と高調波の反射波が含まれていることがわかる。これらはアンテナ部から外部へ再放射されてすべて損失となる。また、電圧波形S4も高調波を含んでいるが、ダイオード部30では整流の効率を上げるためオンとオフがはっきりした矩形波に近い波形が理想であり、この波形をダイオード部30に閉じ込め、反射で入力側に戻さないことが重要である。
【0054】
ここで、入力側とレクテナ回路本体との間は、キャパシタC1で分離されており、a点はキャパシタC1の左側(入力側)の点で、e点はキャパシタC1の右側(出力側)の点ある。そのため、a点では中心電圧は電源と同じグランドレベル(0V)となる。一方、e点ではダイオード部30による整流作用の結果、中心電圧はずれ、
図3の場合は、d点の電圧波形Mが中心電圧に相当する。
【0055】
図4は、
図1に示すレクテナ回路100より、インピーダンス整合部10を取り除き、高調波フィルタ部20のみ備えた比較例のレクテナ回路の等価回路図である。
図5は、
図4に示す参考例のレクテナ回路の所定位置の電圧波形を回路シミュレーションで求めた波形図である。なお、回路シミュレーションの条件は
図3の場合と同じである。
【0056】
入力される交流入力信号は、電圧波形S1の基本波のみなので、高調波フィルタ部20が入力側とダイオード部30との間に挿入されることで、ダイオード部30で発生した高調波がダイオード部30側に留められる。
【0057】
図5に示すように、ダイオード部30の入力側に高調波フィルタ部20を備えることで、反射波の電圧波形S13(細実線)は、ほとんど基本波である電圧波形S1の反射波成分のみとなる。また、
図4のb点における信号の波形S12(太実線)も、ひずみのないサイン波となる。
【0058】
ただし、高調波フィルタ部20を挿入しても、ダイオード部30からの反射波が全て無くなるわけでは無い。
図5の例では、反射波(S13)は、
図3の反射波(S3)よりも明らかに増えている。これは、ダイオード部30内部の動作状態が変化するためである。一般に高調波を押し戻した場合、ダイオード部30内部の動作状態が変化し、場合によっては、
図5の例のように、基本波の反射が増大してしまうことも起きる。
【0059】
本発明は、高調波フィルタ部20を通過して戻ってきた反射波の電圧波形が、基本波成分のみであるということを利用して基本波の反射を制御するものである。つまり、整流ダイオードDは非線形素子で、高調波を発生するが、高調波フィルタ部20を通過させることで、基本波の反射波のみとなり、あたかも基本波に対する複素インピーダンスで反射が起きているのと等価である。そこで、このインピーダンスを等価複素インピーダンスと称する。
【0060】
図4に示す参考例のレクテナ回路においては、インピーダンス整合部10が備えられていないため、
図5に示すa点での電圧波形S1、e点での電圧波形S12は、
図4のb点での電圧波形と同一である。すなわち、
図4のb点から高調波フィルタ部20を含むダイオード部30側を見れば、基本波の電圧波形S1の約80%の振幅で位相がほぼ反転した電圧波形S13が戻っていることとなる。
【0061】
このような
図4のb点での入力基本波に対するSパラメータを、マイクロ波解析で用いられるスミスチャートに記載すると、
図8の「○」で示すP1となる。P1は、反射調整をしていない状態でのb点から見たダイオード側のSパラメータであり、高調波が高調波フィルタ部20で遮断された基本波の反射波だけとなっているので一義的に決まる。このようなSパラメータとなることは、高調波フィルタ部20およびダイオード部30などの代わりに、
図4のb点に7.1Ωの抵抗と5pFのキャパシタを並列につなぎ、さらにこれを接地端子につないだ回路構成と等価である。
【0062】
このような等価複素インピーダンスを持つ負荷に対し、スタブを用いて損失無くインピーダンス整合を取ることは、例えば、非特許文献3に記載されている手法を用いて実施できる。本実施の形態では、前述したように、スタブの長さとスタブを設ける位置とを調整したインピーダンス整合部10Aを備えている(
図6参照)。
【0063】
例えば1.27mmの厚さのテフロン(登録商標)基板(εr=10.6)では、基板上で2.45GHzの波長(実効波長)λ1は45.93mmとなり、特性インピーダンス50Ωとなる線路の幅は1.12mmである。そこで、
図6に示すインピーダンス整合部10Aでは、高調波フィルタ部20から入力側に伸びた伝送線路11の途中に、長さ0.189λ(8.69mm)のオープンスタブを設け、高調波フィルタ部20とオープンスタブ12との間の伝送線路L1の距離を0.074λ(3.4mm)としている。
【0064】
図7に、
図6に示すレクテナ回路において所定位置の電圧波形を回路シミュレーションで求めた波形図を示す。回路シミュレーションの条件は
図3の場合と同じである。
【0065】
図7に示すように、インピーダンス整合部10Aが設けられることで、反射波の電圧波形S23(細実線)は、フラットで反射がなくなっていることがわかる。反射がゼロと言うことは、スミスチャート上で反射特性が原点に有ることになる。インピーダンス整合部10Aの値から逆算すると、整合条件では、
図6のb点での等価複素インピーダンスは、12.9Ωの抵抗と5.23pFのキャパシタの並列接続となる。
【0066】
インピーダンス整合部10Aの付加により、ダイオード部30に戻される信号成分が増大し、等価複素インピーダンスは先に述べた値(7.1Ωの抵抗と5pF)から若干変わったことがわかる。このような整合条件でのb点における推定されるSパラメータを
図8のスミスチャートに記載すると「△」で示すP2となる。P2は、インピーダンス整合部10Aにおけるスタブを入れて、反射をゼロにした場合のb点から見たダイオード側のSパラメータである。インピーダンス整合部10Aを設けたために、整流ダイオードD内での電力が増えたため、等価複素インピーダンスは若干変化するが、整合を取るのが困難になるような大幅な変化では無いことがわかる。
【0067】
(インピーダンス整合部の変形例)
図9に、
図1のレクテナ回路100におけるインピーダンス整合部10の変形例を示す。
図9に示すインピーダンス整合部10Bは、高調波フィルタ部20から入力側に伸びた伝送線路11の途中に2個のオープンスタブ12A,12Bを備えている。これら2個のオープンスタブ12A,12Bそれぞれの長さが、ダイオード部30にて反射された入力波の基本波の反射を実質的にゼロとするよう設定されている。
【0068】
前述したように、例えば1.27mmの厚さのテフロン(登録商標)基板(εr=10.6)では、基板上で2.45GHzの波長(実効波長)λ1は45.93mmとなり、特性インピーダンス50Ωとなる線路の幅は1.12mmである。そこで、
図9に示すインピーダンス整合部10Bでは、高調波フィルタ部20から入力側に伸びた伝送線路11の途中に、長さ0.192λ(8.821mm)のオープンスタブ12Aと、長さ0.069λ(3.163mm)のオープンスタブ12Bとを設け、オープンスタブ12Aとオープンスタブ12Bとの間の伝送線路の距離を0.25λとしている。なお、高調波フィルタ部20とオープンスタブ12Bとの間の伝送線路の距離も0.25λとしている。
【0069】
図10は、
図9に示すレクテナ回路において所定位置の電圧波形を回路シミュレーションで求めた波形図である。回路シミュレーションの条件は
図3の場合と同じである。
【0070】
図10に示すように、インピーダンス整合部10Bが設けられることで、反射波の電圧波形S33(細実線)は、フラットで反射がなくなっていることがわかる。インピーダンス整合部10Bの値から逆算すると、整合条件では、
図9のb点での複素インピーダンスは、12.9Ωの抵抗と5.23pFのキャパシタの並列接続となり、インピーダンス整合部10Aと同じとなる。これは、反射を完全に防いでいるという点では全く同じであり、整流ダイオードDや出力フィルタ部35の動作状況は、インピーダンス整合部10Aと全く同一となるためである。このような整合条件でのb点における推定されるSパラメータを
図8のスミスチャートに記載すると、インピーダンス整合部10Aを備えた場合の同様に、「△」で示すP2となる。
【0071】
〔第2の実施の形態〕
本発明の実施のその他の形態について、
図11〜
図13に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、第1の実施の形態で用いた部材と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
ところで、ダイオード部30の等価複素インピーダンスは、レクテナ回路100の出力負荷条件や交流入力信号の強度などにより変化する。そのため、インピーダンス整合部10において、整合に必要なリアクタンスも変化させる必要がある。ところが、インピーダンス整合部10A,10Bのように、オープンスタブを用いた構成では、その長さを動作中に変化させることは難しく、整合に必要なリアクタンスを変化させることができない。
【0073】
そこで、本実施の形態のレクテナ回路では、インピーダンス整合部におけるリアクタンスを電気的に制御可能な構成としている。これにより、レクテナ回路の使用条件が変動する場合でも、レクテナ回路を動的に最適な効率で動作させることができる。
【0074】
前述した
図9のインピーダンス整合部10Bにおける、長さ0.069λ(3.163mmm)と0.192λ(8.821mm)のオープンスタブ12A,12Bのリアクタンスは、2.45GHzの交流入力信号に対してはそれぞれ0.60pF、3.41pFのキャパシタンスと同じである。したがって、これらのキャパシタンスを伝送線路11上におくことでもインピーダンス整合部10Bを構成できる。インピーダンス整合部10で処理する周波数は基本波だけなので全く同じ効果が得られる。
【0075】
図11に、本実施の形態のマイクロ波整流回路を備えたレクテナ回路101の等価回路図を示す。レクテナ回路101は、
図11に示すように、インピーダンス整合部10C、高調波フィルタ部20、ダイオード部30、および負荷抵抗Rを備えている。
【0076】
インピーダンス整合部10Cは、オープンスタブ12A,12Bに換えて2個の電気的にリアクタンスを変更可能な可変リアクタンス素子13A,13Bを備えている。可変リアクタンス素子13A,13Bは、高調波フィルタ部20から入力側に伸びた伝送線路11の途中に、距離を置いて備えられている。
図11の回路構成では、可変リアクタンス素子13Aと可変リアクタンス素子13Bとの間の伝送線路の距離を0.25λとしている。高調波フィルタ部20と可変リアクタンス素子13Bとの間の伝送線路の距離も0.25としている。これら2個の可変リアクタンス素子13A,13Bのリアクタンスを、上記入力波の基本波の反射を実質的にゼロとするように調整する。
【0077】
可変リアクタンス素子13A、13Bのリアクタンス(容量)は、それぞれに入力される制御信号によってデジタル的に調整される。
図12に、可変リアクタンス素子13A、13Bの等価回路を示す。
図12の例では、
図11の信号ライン11にトランジスタからなるスイッチング素子50を介して、記載順にCo、2Co、4Co,8Coの値(リアクタンス)を持つ4つのキャパシタC11、C12、C13、C14が接続されている。スイッチング素子50は、制御端子51に入力される制御信号に基づいてオンオフされ、4つのキャパシタC11〜C14のうち、オンしたスイッチング素子50に接続されたキャパシタが入力端子と接続される。接続されるキャパシタの組み合わせを変えることで、0〜15CoまでCo単位で所望のリアクタンスに調整する。例えば、キャパシタC11のみ接続することで、リアクタンスをCoとでき、キャパシタC11とC12とを接続することでリアクタンスを3Coとできる。キャパシタC11〜C14の4つ全てを接続することでリアクタンスを15Coとできる。
【0078】
可変リアクタンス素子13は、印加DC電圧で制御するバラクタ素子でも作成可能である。但し、電力応用であるため印加電圧範囲が広く、その間で容量値が一定であることが好ましいので、GaNなどの高耐圧バラクタが有効である。
【0079】
図13に、レクテナ回路101における、交流入力信号の強度、つまり入力電圧と、2個の可変リアクタンス素子13A、13Bの調整後の容量との関係を示す。
図13において、前方と示すのが、入力側側に配された可変リアクタンス素子13Aの容量であり、後方と示すのが、可変リアクタンス素子13Aの後方に配された可変リアクタンス素子13Bの容量である。
図13に示すように、入力電圧の変化にて、ダイオード部30の等価複素インピーダンスが変化し、これにより、整合に必要なインピーダンス整合部10Cの2個の可変リアクタンス素子13A、13Bの容量(リアクタンス)も変化する。なおスタブと異なりキャパシタで変化可能なリアクタンスは限られているので伝送線上の設置位置は想定される動作条件範囲に対応して選択する必要がある。
【0080】
〔第3の実施の形態〕
本発明の実施のその他の形態について、
図14〜
図16に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、第1、第2の実施の形態で用いた部材と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0081】
第1の実施の形態において、
図4〜
図8を用いて説明したように、高調波フィルタ部20の入力部であるb点での反射(Sパラメータ)がわかれば、高調波フィルタ部20以降からの反射は等価複素インピーダンスに変換でき、若干の変動はあるものの線形回路の整合理論に基づいて、インピーダンス整合部10におけるスタブの長さや伝送線路の長さを調整することで、基本波の反射波が外部に放出されないようにすることができる。
【0082】
しかしながら、実際には、b点でのSパラメータの測定は難しく、また、ダイオード部30の実効複素インピーダンスも必ずしも再現性のあるものではなく予備実験等で決めるのは難しい。これへの対応について、より詳しく説明する。
【0083】
図14のスミスチャートに、整流ダイオードDの実装において各端子にボンディングワイヤに対応する0.5nHのインダクタンスを着けた場合、負荷抵抗Rを200Ωから50Ωに変えた場合、交流入力信号のパワー(入力電力)を1Wから10Wへ増やした場合それぞれのb点でのSパラメータを示す。「△」で示すP3が、ボンディングワイヤとして0.5nHのインダクタンスを着けた場合のSパラメータであり、「◇」で示すP4が、入力パワーを1Wから10Wへ増やした場合のSパラメータであり、「□」で示すP5が、負荷抵抗Rを200Ωから50Ωに変えた場合のSパラメータである。「○」で示すP1は、
図8のP1と同じであり、b点の初期等価インピーダンスのSパラメータである。
【0084】
図14よりわかるように、b点でのSパラメータは、さまざまな条件の変化によって変化する。特に、Sパラメータは、送線路長が変わればそのまま位相が変化する。b点でのSパラメータを測定するには、b点での入射波の振幅と位相の値を知る必要があるが、実際には測定することは困難である。
【0085】
そこで、本実施の形態のマイクロ波整流回路を備えたレクテナ回路では、
図16に示すように、高調波フィルタ部20の直前にλ/4のオープンスタブ14を設置している。
図16は、レクテナ回路本体を構成するプリント基板のレイアウト図面である。左側のコネクタ60から伝送線路11に交流入力信号が入る。伝送線路11の中央部に、高調波フィルら部20と整流ダイオードDが配置されている。ここでは、高調波フィルタ部20は、4本の比較的細いオープンスタブにて構成されている。
【0086】
高調波フィルタ部20の入力側には、3本のオープンスタブ14A,14B,14Cが配置されている。これら3本のオープンスタブ14A,14B,14Cのうち、高調波フィルタ部20に最も近い位置に配置されたオープンスタブ14Cが、伝送線路11に必要に応じて接続可能な、入力波に対しインピーダンスが実質的にゼロとなるオープンスタブである。なお、入力波に対しインピーダンスが実質的にゼロとなるリアクタンス素子や単なるグランドへの短絡線路を必要に応じて接続できる構成であってよい。
【0087】
一方、オープンスタブ14A,14Bは、長さが調整されることで、
図9に示すインピーダンス整合部10Bとなる基本波の反射波を調整するためのオープンスタブである。これら3本のオープンスタブ14A,14B,14Cは、伝送線路11から離れて不連続に形成されているが、使用時には不連続部分に金属片を配置して短絡させる。
【0088】
整流ダイオードDの出力側には、オープンスタブから構成された出力フィルタ部35が配置されている。参照符号70は、後段の負荷抵抗Rと接続するための出力コネクタであり、参照符号80は、高調波フィルタ部20の調整に用いる調整用コネクタである。
【0089】
高調波フィルタ部20の直前にλ/4のオープンスタブ14Cを設置することにより、入力波はこのオープンスタブ14Cで完全反射となるため、オープンスタブ14Cよりも後段にある、高調波フィルタ部20およびダイオード部30による反射の影響を受けること無く、入力コネクタ60からオープンスタブ14Cまでの伝送線路の特性を測定することができる。
【0090】
具体的には、入力側に方向性結合器を着けて、反射波(基本波の反射波)の位相と振幅を測る。高調波フィルタ部20の直前にλ/4のオープンスタブ14Cを設置した状態での反射は、高調波フィルタ部20の入力部であるb点で観測すれば、ショートによる反射なのでスミスチャート上の(−1,0)点になっているはずである。
【0091】
この様子を
図15に示す。b点で観測できた場合の整流ダイオードDのSパラメータが「○」で示すP1であり、λ/4のオープンスタブ14Cを置いた場合は、完全反射を起こすので「□」で示すP6のSパラメータになる(系列5)。
【0092】
しかしながら、実際の調整時は、伝送線路に有限の長さがあり損失もある。また、相当な入力電力にて測定する必要があるので、小信号用のネットワークアナライザなどでこの測定をする場合は、アッテネータを通す必要がある。その際の厳密なキャリブレーションは非常に難しい。
【0093】
ここで、着目したのは、この測定系の伝送線路全体の特性は、ダイオード部30をそのまま測る場合も、λ/4のオープンスタブ14Cを仮置きする場合も、線形回路部品のみで構成されるので変わらない点である。そこで、ネットワークアナライザ上では、λ/4のオープンスタブ14Cがある場合が「◇」で示すP7に測定され、それを外した場合が、「△」で示すP8のように観測されるが、その際、原点−P7−P8の3点で構成される三角形と、原点−P6−P1で構成される三角形とは相似のはずである。P6の座標が(−1,0)と判っているのでP1の座標もわかり、すなわちb点から見たダイオード部30側のSパラメータが測定できることになる。
【0094】
この値がわかれば、
図9のインピーダンス整合部10Bにおけるオープンスタブ12A,12Bの調整は、ダイオード部30での等価複素インピーダンスが変わらなければ理論的に可能であり、整流ダイオードD内部でのインピーダンスの変化があっても調整は容易である。
【0095】
この借り置きしたλ/4のオープンスタブ14Cは、Sパラメータを測定したあとには、インピーダンス整合部10Bに備えられるオープンスタブとしても転用できる。つまり、基本波調整用のオープンスタブ14A,14Bのうちの1本に代えて、基本波調整用に転用することもできる。但し、借り置き使用される際のオープンスタブ14Cの長さは、正確にλ/4であり必要がある。そのため、金属片などで接続して測定したり、当初は伝送線路11につないでおいて、あとでナイフ等で切断するなどの方法が考えられる。
【0096】
なお、入力波を完全反射できるものであればよいのでオープンスタブ14Cに代えて、入力波を完全反射できるリアクタンス素子であってもよい。
【実施例】
【0097】
本発明の実施例について説明する。
図17に、
図9に示すレクテナ回路を作成した場合の特性についてシミュレーションによる予測を示す。インピーダンス整合部10Bにおけるオープンスタブ12A,12Bの調整によるインピーダンスの整合は入力電力1W(30dBm)の条件で行っている。
【0098】
図17においては、総合効率(外部効率)、出力電圧、反射、ダイオード効率(内部効率)、ダイオードロスを示す。信号源からの電力をPin、反射される電力をPref、整流ダイオードDで消費される電力をPdiode、DC出力電力をPdc と置くと、反射ηref、ダイオード効率(内部効率)ηint、ダイオードロスηdiode_loss、総合効率ηextは、以下のように表される。
【0099】
【数1】
【0100】
図17より、入力電力30dbmでは、反射ηref=0、総合効率(外部効率)ηext=ダイオード効率(内部効率)ηint が実現していることがわかる。
【0101】
次に、
図18に、電気的な方法で、インピーダンス整合部10におけるインピーダンスの整合を動的に行った場合の例を示す。
図10に示すレクテナ回路を用いる。ここでは、スイッチング素子50に1Ωの抵抗があるとし、各入力電力ごとに最適なリアクタンス(容量)を探索して得られた結果を示す。
【0102】
図18においては、総合効率(外部効率)、反射、およびダイオードロスの3項目について、動的最適化ありと動的最適化なしの場合とを示す。動的最適化ありの場合、0dBm〜40dBmまでのすべての入力電力の範囲で反射がほぼゼロに抑えられている。その結果、総合効率も常に上回っていることがわかる。なお、低電力側でダイオードロスが増大しているのは、反射を押さえ込んだためダイオードの立ち上がり電圧に起因するロスが大きくなったためである。
【0103】
このように、本発明の回路構成とすることで、もともと反射の大きなマイクロ波整流回路でしかも高調波が発生する回路において高調波および基本波の反射を押さえ、高効率な整流回路を実現できる。また、調整においてもダイオード部での反射状態を簡単に測定でき、効率的な調整が可能となる。
【0104】
〔第4の実施の形態〕
本発明の実施のその他の形態について、
図19に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、第1、第2の各実施の形態で用いた部材と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0105】
本実施の形態では、前述したレクテナ回路100、101におけるレクテナ回路本体を備えた非接触コネクタについて説明する。非接触コネクタは、電源線用無線接続コネクタであり、オープンリング共振器と組み合わされて、非接触電力伝送の受電回路に使われる。
【0106】
図19に、本実施の形態である非接触コネクタ110の構成を示す。非接触コネクタ110は、異なる平面上の回路間で高周波信号を伝送する高周波信号伝送装置であり、両平面上に、オープンリング共振器120a,120bと、これらオープンリング共振器120a,120bに接続され、当該共振器120a,120bに対して高周波信号(RF)の入出力を行う入出力線路121a,121bとが形成されている。オープンリング共振器120a,120b同士を電磁結合させて、高周波信号を伝送させる。なお、オープンリング共振器120a,120bを備えた高周波信号伝送装置については、例えば、特許文献2に記載されている構成を採用できる。
【0107】
図19に示すように、非接触コネクタ110は、送電側コネクタ110aと受電側コネクタ110bとからなる。レクテナ回路本体123は受電側コネクタ110bに備えられている。受電側コネクタ110bは、オープンリング共振器120bと、これに接続された伝送線路121bとレクテナ回路本体123とを備えている。受電側コネクタ110bのレクテナ回路本体から取り出されたDC電力は、受電側コネクタ110bの出力側に接続された機器130に供給される。受電回路においても、レクテナ回路本体(マイクロ波整流回路)における入力波の反射波は、受電回路にて取り出す電力の損失となる。そのため、上記した反射のないレクテナ回路本体を備えた非接触コネクタを、電源線用無線接続のコネクタとして用いることで、入力波の反射波をなくすることができる。
【0108】
送電側コネクタ110bは、オープンリング共振器120bと、これに接続された伝送線路121bと、増幅回路124と、発信回路125とを備えている。送電側コネクタ110bは入力側が直流電源131と接続されており、直流電力を発信回路125および増幅回路124が高周波信号(RF)に変換し、オープンリング共振器120aに出力する。
【0109】
ここで、レクテナ回路本体123における整流ダイオードDとして、前述したGaNショットキーバリアダイオードを用いることでコンパクトなデバイスでありながら高電力の整流が可能である。たとえば、5.8GHzの周波数を用いれば誘電率10のプリント基板上でλ/4は5mm程度であり、またオープンリング共振器120bの直径は3.5mm程度である。これにより、1mm角程度のダイオードやキャパシタと組み合わせて1cm角程度のプリント基板上にレクテナ回路本体123を実現できる。この場合、特に、ダイオード部30(
図1参照)を、2つのダイオードを用いるデュアルダイオード法(
図21参照、但し
図21は、負荷抵抗Rに接続されたレクテナ回路の構成例)では、シングルシャント法を採用した構成よりもλ/4線路が不要となり、さらに小型化が図れる。
【0110】
一方、送電側コネクタ110aでは、GaNトランジスタのF級アンプで80%以上の高効率が実現されており、この回路もトランジスタチップとλ/4程度のスタブやキャパシタで構成でき、やはり1cm角程度に収まる。
【0111】
このような非接触コネクタ110を用いることで、電力をプラスチック板を通して送電することができるため、送電側、受電側共に完全にプラスチック膜等で覆うことが可能になり、防水、防塵のコネクタを実現できる。
【0112】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。