特許第5953606号(P5953606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953606
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】タイミング制御
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20160707BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20160707BHJP
   H04W 74/08 20090101ALI20160707BHJP
【FI】
   H04W56/00 130
   H04W72/04 111
   H04W74/08
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-218233(P2013-218233)
(22)【出願日】2013年10月21日
(62)【分割の表示】特願2012-531245(P2012-531245)の分割
【原出願日】2009年10月2日
(65)【公開番号】特開2014-42333(P2014-42333A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2013年10月22日
【審判番号】不服2015-9706(P2015-9706/J1)
【審判請求日】2015年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】513311642
【氏名又は名称】ノキア ソリューションズ アンド ネットワークス オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】セビル ベノワ ピエール
【合議体】
【審判長】 水野 恵雄
【審判官】 佐藤 智康
【審判官】 古市 徹
(56)【参考文献】
【文献】 TSG−RAN WG4,Reply LS on RAN2 status on carrier aggregation,3GPP TSG RAN WG4 Meeting #52,2009年8月28日,R4−093322
【文献】 Panasonic,Further considerations on PHICH Linkage for carrier aggregation,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #58,3GPP,2009年8月28日,R1−093468
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数ブロックから成る第1グループの1つ以上の周波数ブロックにおいて第2装置から1つ以上の送信を受け取ると共に、複数の周波数ブロックから成る第2グループの1つ以上の周波数ブロックにおいて第2装置へ1つ以上の送信を行うように構成された第1装置において、前記第1グループの周波数ブロックのうちの複数の周波数ブロックの各々に対する各タイミングコマンドを、前記第2グループの周波数ブロックのうちの1つの周波数ブロックにおいて前記第2装置へ送信する段階を含む方法。
【請求項2】
複数の周波数ブロックから成る第2グループの1つ以上の周波数ブロックにおいて第1装置から1つ以上の送信を受け取ると共に、複数の周波数ブロックから成る第1グループの1つ以上の周波数ブロックにおいて第1装置へ1つ以上の送信を送出するよう構成された第2装置において、前記第2グループの周波数ブロックのうちの複数の周波数ブロックの各々に対する各タイミングコマンドを、前記第1グループの周波数ブロックのうちの1つの周波数ブロックにおいて前記第1装置へ送信する段階を含む方法。
【請求項3】
前記タイミングコマンドの1つ以上に基づき前記第1グループの周波数ブロックのうちの1つ以上の周波数ブロックにおいて1つ以上の送信のタイミングを制御する段階を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1グループの周波数ブロックは、アップリンク周波数ブロックであり、そして前記第2グループの周波数ブロックは、ダウンリンク周波数ブロックである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1グループの周波数ブロックのうちの複数の周波数ブロックに対するタイミングコマンドは、単一の制御データ単位に含まれる請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
複数の周波数ブロックに対する複数のタイミングコマンドを含む制御データ単位を発生する段階を含む請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記複数のタイミングコマンドは、前記制御データ単位において所定の周波数ブロック順序で配列される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
複数のタイミングコマンドが共通制御エレメントに含まれる、請求項5から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
複数のタイミングコマンドは、各々、タイミング進み値を含む、請求項5から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記タイミングコマンドは、各々、タイミング進み値と、そのタイミング進み値に関連した周波数ブロックの指示とを含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項1、4から10のいずれかに記載の方法を実行するように構成された第1装置。
【請求項12】
プロセッサと、コンピュータプログラムコードを含むメモリとを備えた第1装置において、前記メモリ及びコンピュータプログラムは、プロセッサと共に、第1装置に少なくとも請求項1、4から10のいずれかに記載の方法を遂行させるよう構成された、第1装置。
【請求項13】
請求項2から10のいずれかに記載の方法を実行するように構成された第2装置。
【請求項14】
プロセッサと、コンピュータプログラムコードを含むメモリとを備えた第2装置において、前記メモリ及びコンピュータプログラムは、プロセッサと共に、第2装置に少なくとも請求項2から10のいずれかに記載の方法を遂行させるよう構成された、第2装置。
【請求項15】
コンピュータにロードされたときに請求項1から10のいずれかに記載の方法を遂行するようにコンピュータを制御するプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラム。
【請求項16】
第1及び第2の装置を備え、前記第2装置は、複数の周波数ブロックから成る第1グループの1つ以上の周波数ブロックにおいて前記第1装置へ1つ以上の送信を送出するように構成され、そして前記第1装置は、前記第1グループの周波数ブロックのうちの複数の周波数ブロックの各々に対する各タイミングコマンドを、複数の周波数ブロックから成る第2グループの1つの周波数ブロックにおいて前記第2装置へ送出するよう構成された、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム内で無線送信のタイミングを制御することに係る。より詳細には、無線送信をするノードからタイミング制御データを受信し、そしてそのノードへ送信するのに必要なタイミング情報を装置が有するかどうか決定することに係る。
【背景技術】
【0002】
通信装置とは、それを使用して他の当事者と通信することのできる適当な通信及び制御能力が設けられた装置として理解することができる。通信は、例えば、音声、電子メール(e−メール)、テキストメッセージ、データ、マルチメディア、等の通信を含む。通信装置は、典型的に、装置のユーザが通信システムを経て通信を受信及び送信できるようにし、従って、種々のサービスアプリケーションへのアクセスに使用することができる。
【0003】
通信システムとは、通信装置、ネットワークエンティティ及び他のノードのような2つ以上のエンティティ間の通信を容易にするファシリティである。通信システムは、1つ以上の相互接続ネットワークにより形成される。システムの種々のネットワークを相互接続するため1つ以上のゲートウェイノードが設けられる。例えば、ゲートウェイノードは、典型的に、アクセスネットワークと、他の通信ネットワーク、例えば、コアネットワーク及び/又はデータネットワークとの間に設けられる。
【0004】
適当なアクセスシステムは、通信装置が、より広い通信システムにアクセスできるようにする。より広い通信システムへのアクセスは、固定ライン、又はワイヤレス通信インターフェイス、或いはそれらの組み合わせによって行われる。ワイヤレスアクセスを与える通信システムは、典型的に、そのユーザに対して少なくともある程度の移動性を可能にする。それらの例は、セルラーアクセスネットワークの構成によりアクセスが与えられるワイヤレス通信システムを含む。ワイヤレスアクセス技術の他の例は、異なるワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)及び衛星ベースの通信システムを含む。ワイヤレスアクセスシステムは、典型的に、システムの種々の要素は何を行うことが許されそしてそれをどのように達成すべきか規定するワイヤレス規格及び/又は1組の仕様に基づいて動作する。例えば、その規格又は仕様は、ユーザ、又はより正確にはユーザ装置に、回路交換ベアラ、又はパケット交換ベアラ、或いはその両方が設けられるかどうか規定する。接続に使用すべき通信プロトコル及び/又はパラメータも、典型的に、規定される。例えば、ユーザ装置とネットワークの要素との間で通信を実施すべき仕方、それらの機能及び役割は、典型的に、所定の通信プロトコルにより規定される。そのようなプロトコル及び/又はパラメータは、更に、通信システムの一部分により使用されるべき周波数スペクトル、使用されるべき送信電力、等を規定する。
【0005】
セルラーシステムにおいて、ベースステーション形態のネットワークエンティティは、1つ以上のセル又はセクタにおいて移動装置と通信するためのノードをなす。あるシステムでは、ベースステーションは、「ノードB」と称することに注意されたい。典型的に、通信に必要とされるアクセスシステムのベースステーション装置及び他の装置の動作は、特定の制御エンティティにより制御される。制御エンティティは、典型的に、特定の通信ネットワークの他の制御エンティティと相互接続される。セルラーアクセスシステムは、例えば、ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)、進化型UTRAN(EUTRAN)、及びGSM(移動用グローバルシステム)EDGE(GSM進化のためのエンハンストデータ)無線アクセスネットワーク(GERAN)を含む。
【0006】
共通のベースステーション(eNodeB)へのアップリンク送信を行う装置間の伝播遅延の変化を補償すると共に、アップリンク送信が所定時間にベースステーションに到着するように各装置がそのアップリンク送信を計時するよう保証するために、ベースステーションは、装置にタイミング進みコマンドを送信し、このコマンドは、現在のアップリンクタイミングに対して必要とされるアップリンクタイミングの変化を所定時間単位の倍数として指示する。タイミング進みコマンドは、それが受信される装置により、所定の最大期間中有効であると考えられる。装置は、タイミング進みコマンドを受信すると、それに応じてアップリンク送信タイミングを調整し、そして時間整列タイマーをスタート又は再スタートさせ、このタイマーは、それ以前に再スタートされない限り所定時間に時間切れするように構成される。時間整列タイマーが動作している限り、最も最近の(最新の、直近の)タイミング進みコマンドは、有効と考えられ、そして装置は、時間整列されたと考えられ、即ちアップリンク送信に対して有効なタイミング情報を有すると考えられる。時間整列タイマーが時間切れした場合には、装置がアップリンク送信を行う前にアップリンク同期が必要になると考えられる。通常の手順は、ランダムアクセス手順として知られているものを装置が開始して装置に必要なタイミング調整を新たに評価するようベースステーション(eNB)に要求することである。
【0007】
長期進化(LTE)システム、リリース8では、装置は、単一キャリア周波数分割多重アクセス技術に基づいてアップリンク送信を行う。各アップリンク送信は、直交サブキャリアのグループを使用して行われる。サブキャリアは、リソースブロックと称される単位にグループ化され、そして装置は、キャリアと称される所定周波数ブロック内の所定最大数のリソースブロックまでの範囲のリソースブロックのグループを使用してアップリンク送信を行うことができる。アップリンク送信に利用できる帯域巾は、一般的に、複数のキャリアより成り、そして装置は、選択された1つのキャリアにおいてアップリンク送信を行う。LTEリリース8の更なる開発(この開発は、LTE進歩型として知られている)は、キャリアの集合を与えるもので、単一キャリアによって画成されるものより広い送信帯域巾をサポートするために2つ以上のキャリアが集合される。概して言えば、LTEリリース8のもとで動作する装置は、単一のキャリアでサービスされるが、LTE進歩型のもとで動作される装置は、複数のキャリアにおいて同時に受信又は送信することができる。LTE進歩型では、ハイブリッド自動リピート要求(HARQ)手順のレイヤ2アスペクトをリリース8に準拠したままにするのが望ましいと考えられ、これは、上述した顕著な利得なしに達成される。リソースが複数のキャリアに及ぶように装置がケジュールされる場合には、スケジュールされたキャリア当たり、1つのトランスポートブロック(又は空間的マルチプレクシングも使用される場合には2つまでのトランスポートブロック)、及び1つの独立したHARQエンティティを有することが提案される。媒体アクセスコントロールレイヤ(MACレイヤ)は、スケジュールされたキャリアごとに各トランスポートブロックを発生し、そしてトランスポートブロックに対する考えられる全てのHARQリピート送信は、各トランスポートブロックがマップされた同じキャリアで行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、装置が送信を行う各周波数ブロック(例えば、上述したシステムのキャリア)に対して個別のタイミング情報の受信及び/又は維持を容易にするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の周波数ブロックの1つ以上において第2装置へ1つ以上の送信を行うように構成されると共に、前記複数の周波数ブロックの各々に対して各タイミングコマンドを受信するように構成された第1装置において、前記複数の周波数ブロックの1つに対して(前記複数の周波数ブロックのいずれかについて)最も最近のタイミングコマンドを受信して以来、所定の期間が満了しないとき、複数の周波数ブロックの各々に対して最も最近(直近に)受信したタイミングコマンドが全て有効であることを決定する段階を含む方法を提供する。
【0010】
本発明は、更に、第1のグループの周波数ブロックのうちの1つ以上の周波数ブロックにおいて第2装置から1つ以上の送信を受け取ると共に、第2グループの周波数ブロックのうちの1つ以上の周波数ブロックにおいて第2装置へ1つ以上の送信を行うように構成された第1装置において、前記第1グループの周波数ブロックのうちの複数の周波数ブロックに対するタイミングコマンドを、前記第2グループの周波数ブロックのうちの1つの周波数ブロックにおいて前記第2装置へ送信する段階を含む方法を提供する。
【0011】
本発明は、更に、第1のグループの周波数ブロックのうちの1つ以上の周波数ブロックにおいて第2装置へ1つ以上の送信を送出すると共に、第2グループの周波数ブロックのうちの1つ以上の周波数ブロックにおいて第2装置から1つ以上の送信受け取るように構成された第1装置において、前記第1グループの周波数ブロックのうちの複数の周波数ブロックに対する各タイミングコマンドを、前記第2グループの周波数ブロックのうちの1つの周波数ブロックにおいて前記第2装置から受信する段階を含む方法を提供する。
【0012】
一実施形態において、前記方法は、更に、前記タイミングコマンドの1つ以上に基づき前記第1グループの周波数ブロックのうちの1つ以上の周波数ブロックにおいて1つ以上の送信のタイミングを制御する段階を含む。
【0013】
一実施形態において、前記第1グループの周波数ブロックは、アップリンク周波数ブロックであり、そして前記第2グループの周波数ブロックは、ダウンリンク周波数ブロックである。
【0014】
一実施形態において、前記第1グループの周波数ブロックのうちの複数の周波数ブロックに対するタイミングコマンドは、単一の制御データ単位に含まれる。
【0015】
本発明は、更に、複数の周波数ブロックに対する複数のタイミングコマンドを含む制御データ単位を発生する段階を含む方法を提供する。
【0016】
一実施形態において、前記複数のタイミングコマンドは、前記制御データ単位において所定の周波数ブロック順序で配列される。
【0017】
一実施形態において、複数のタイミングコマンドが共通制御エレメントに含まれる。
【0018】
一実施形態において、複数のタイミングコマンドは、各々、タイミング進み値を含む。
【0019】
一実施形態において、前記タイミングコマンドは、各々、タイミング進み値と、そのタイミング進み値に関連した周波数ブロックの指示とを含む。
【0020】
本発明は、更に、前記方法のいずれかを実行するように構成された装置を提供する。
【0021】
本発明は、更に、プロセッサと、コンピュータプログラムコードを含むメモリとを備えた装置において、前記メモリ及びコンピュータプログラムは、プロセッサと共に、装置に少なくとも前記方法のいずれかを遂行させるよう構成された装置を提供する。
【0022】
本発明は、更に、コンピュータにロードされたときに前記方法のいずれかを遂行するようにコンピュータを制御するプログラムコード手段を備えたコンピュータプログラム製品を提供する。
【0023】
本発明は、更に、第1及び第2の装置を備え、前記第1装置は、第1グループの周波数ブロックのうちの1つ以上の周波数ブロックにおいて前記第2装置へ1つ以上の送信を送出するように構成され、そして前記第2装置は、前記第1グループの周波数ブロックのうちの複数の周波数ブロックに対するタイミングコマンドを第2グループの周波数ブロックのうちの1つの周波数ブロックにおいて前記第1装置へ送出するよう構成されたシステムを提供する。
【0024】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して、一例として以下に詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態が具現化される無線アクセスネットワークであって、各ベースステーション(eNodeB)により各々サービスされる多数のセルを含むアクセスネットワークを示す。
図2図1に示すユーザ装置を更に詳細に示す。
図3図1に示す無線ネットワークのアクセスノード又はベースステーションにおいて本発明の実施形態を具現化するのに適した装置を示す。
図4A】MAC PDU単位の構造を示す。
図4B】MAC PDU単位が物理的レイヤにおけるトランスポートブロックをどのように形成するか示す。
図5】本発明の一実施形態による方法に使用するためのMAC制御エレメントの一例を示す。
図6】本発明の一実施形態による装置の動作の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1、2及び3は、各々、通信システム又はネットワーク、ネットワーク内で通信する装置、及び通信ネットワークのアクセスノードを示す。図1は、第1カバレージエリア101をもつ第1アクセスノード2と、第2カバレージエリア103をもつ第2アクセスノード4と、第3カバレージエリア105をもつ第3アクセスノード6とを備えた通信システム又はネットワークを示す。更に、図1は、アクセスノード2、4、6の少なくとも1つと通信するように構成されたユーザ装置8を示す。これらのカバレージエリアは、アクセスネットワークがセルラー通信ネットワークである場合にはセルラーカバレージエリア又はセルとしても知られている。
【0027】
図2は、ワイヤレスインターフェイスを経てアクセスノード、従って、通信システムにアクセスするのに使用されるユーザ装置8の一例を示す部分断面概略図である。このユーザ装置(UE)8は、電話コールを発信及び受信し、データネットワークとデータをやり取りし、そして例えば、マルチメディア又は他のコンテンツを経験する、等の種々のタスクに使用される。
【0028】
UE8は、少なくとも無線信号を送信又は受信することのできる装置である。非限定例として、移動ステーション(MS)、ワイヤレスインターフェイスカード又は他のワイヤレスインターフェイスファシリティが設けられたポータブルコンピュータ、ワイヤレス通信能力が設けられたパーソナルデータアシスタント(PDA)、又はそれらの組み合わせが含まれる。UE8は、UE8の適当な無線インターフェイス構成体を経て通信する。インターフェイス構成体は、例えば、無線部7及びその関連アンテナ構成体によって設けられる。アンテナ構成体は、UE8の内部又は外部に配置される。
【0029】
UE8には、それが遂行することが望まれるタスクに使用するために少なくとも1つのデータ処理エンティティ3及び少なくとも1つのメモリ又はデータ記憶エンティティ7が設けられる。データプロセッサ3及びメモリ7は、適当な回路板9及び/又はチップセットに設けられる。
【0030】
ユーザは、キーパッド1、音声コマンド、タッチ感知スクリーン又はパッド、その組み合わせ、等の適当なユーザインターフェイスにより、UE8の動作を制御する。ディスプレイ5、スピーカ及びマイクロホンも設けられる。更に、UE8は、他の装置への適当なコネクタ(ワイヤード又はワイヤレス)であって、外部アクセサリ、例えば、ハンドフリー装置をそれに接続するコネクタも備えている。
【0031】
図1から明らかなように、UE8は、多数のアクセスノード2、4、6の少なくとも1つと通信するように構成され、例えば、第1アクセスノード2のカバレージエリア101にあるときは、装置が第1アクセスノード2と通信できるように構成され、第2ノード4のカバレージエリア103にあるときは、装置が第2アクセスノード4と通信することができ、そして第3アクセスノード6のカバレージエリア105にあるときは、装置が第3アクセスノード6と通信することができる。
【0032】
図3は、以下に述べる本発明の実施形態において、進化型ノードB(eNB)2により表された第1アクセスノードの一例を示す。eNB2は、高周波信号を受信及び送信するように構成された高周波アンテナ301と、アンテナ301によって受信及び送信される高周波信号をインターフェイスするように構成された高周波インターフェイス回路303と、データプロセッサ167とを備えている。高周波インターフェイス回路は、トランシーバとしても知られている。又、アクセスノード(進化型ノードB)2は、高周波インターフェイス回路303からの信号を処理し、ワイヤレス通信リンクを経てUE8へ情報を通信するのに適したRF信号を発生するように高周波インターフェイス回路303を制御するよう構成されたデータプロセッサも備えている。アクセスノードは、更に、データプロセッサ305により使用されるデータ、パラメータ及びインストラクションを記憶するためのメモリ307も備えている。
【0033】
図2及び3に各々示され上述されたUE8及びアクセスノード2の両方は、以下に述べる本発明の実施形態に直接関与しない更に別の要素を含むことが明らかであろう。本発明の実施形態は、一例として、UE8からアクセスノード2へのアップリンク送信に対して単一キャリア−周波数分割多重アクセス(SC−FDMA)を使用するLTE(長期進化)システムに関して以下に説明する。
【0034】
周波数スペクトルの一部分は、アクセスノード2へのアップリンク送信に対して予約され、そして周波数スペクトルの別の部分は、アクセスノード2からのダウンリンク送信に対して予約される。これらの部分は、各々、複数の周波数ブロック(キャリア)に分割される。UE8は、アップリンク送信に対して予約される部分を作り上げる複数のキャリアのうちの1つ以上において送信を行うことができ、そしてダウンリンク送信に対して予約される部分を作り上げる複数のキャリアのうちの1つ以上において送信を受け取ることができる。各キャリアは、そのグループ内の送信に対して無線リソースとして割り当てできる直交サブキャリアに分割される。無線リソース(1つ以上のキャリア内の直交サブキャリアのグループを定義するリソースブロック)は、UE8から送信されるべきデータが得られる場合にはUE8からのアップリンク送信に割り当てられる。UE8は、アップリンク共有チャンネル(UL−SCH)を経て送信されるべきUE8のデータの量を指示するバッファ状態レポート(BSR)をアクセスノード2へ送信する。UE8からのこれらBSR及びアクセスノード2によりサービスされる他の装置からのBSRにおける指示に基づいて、アクセスノード2は、送信リソースをUE8に割り当て、そして物理的ダウンリンク制御チャンネル(PDCCH)を経てUE8へアップリンク送信リソースグラントメッセージを信号する。
【0035】
UE8に割り当てられるリソースは、アップリンク送信に対して予約された複数のキャリア内のリソースを含む。UE8のMACレイヤは、UE8に割り当てられる各キャリアに対してMACプロトコルデータ単位(PDU)を発生し、このPDUは、物理的レイヤにおける各トランスポートブロックを形成する。各MAC PDUは、各キャリア内でUE8に割り当てられるリソースブロックの数に対応するサイズを有する。各MAC PDUは、MACヘッダ402及びMACペイロード404を含み、このペイロードは、0、1、又はそれより多い制御エレメント(CE)、及び/又は0、1又はそれより多いMACサービスデータ単位(SDU)を含む。MAC PDUの構造、及びそれがどのようにして物理的レイヤのトランスポートブロックになるかは、図4(A)及び4(B)に示されている。図4(B)において、CRCは、巡回冗長チェックである。
【0036】
各トランスポートブロックは、アクセスノード2からの各キャリアに対して受信されたタイミング情報に基づいて制御された時間にその各キャリアを経て送信される。全てのキャリアに対するタイミング情報が、アクセスノード2から、1つ以上のダウンリンクキャリアで送信される単一プロトコルデータ単位に含まれた単一MAC制御エレメントにおいて受信される。5つのアップリンクキャリアの一例に対してタイミング進みコマンド(TAC)を含むMAC制御エレメントの構造の一例が図5に示されている。これは、“0”にセットされた2予約ビットRセットと、アップリンクキャリアに対する5つの6ビットタイミング進みコマンド(値)を定義する30ビットとを含む4オクテットで構成される。6ビットタイミング進みコマンドが制御エレメントに含まれる順序は、所定のものであって、UE8及びアクセスノード2の両方に分かり、従って、制御エレメントは、どのタイミング進みコマンドがどのキャリアに対するものかの情報を含む必要がなく、ダウンリンクのオーバーヘッドが最小にされる。
【0037】
図5に示すタイミング進みコマンド制御エレメントは、図4AにUEについて示されたものと同様にアクセスノード2のMACレイヤにおいてMAC制御データ単位(PDU)のペイロードに合体される。又、MAC PDUのペイロードは、各論理的チャンネルからのデータを各々含む1つ以上の他の制御エレメント及び/又は1つ以上のMACサービスデータ単位も含む。MACヘッダ402は、ペイロードに含まれる各CE及び/又はSDUに対するサブヘッダを含む。各MACサブヘッダは、論理的チャンネルID(LCID)及び任意の長さ(L)フィールドより成る。LCIDは、MACペイロードの対応部分がMAC制御エレメントであるかどうか指示し、もしそうでなければ、関連SDUがどの論理的チャンネルに属するか指示する。Lフィールドは、関連MAC SDDのサイズを指示する。アップリンクキャリアの数は、UE8及びアクセスノード2の両方に分かり、それ故、UE8は、MACサブヘッダにLフィールドがなくても、タイミング進みコマンド制御エレメントの長さを決定できるので、LTEリリース8の3GPP36.321に規定された単一キャリアのタイミング進みコマンド制御エレメントに現在使用されているものと同じLCIDを、上述したマルチキャリアタイミング進みコマンド制御エレメントに使用することができる。そのLCIDは、UEにより、Lフィールドが使用されないことを示すものとして認識される。
【0038】
或いは又、1つの変形例によれば、タイミング進み制御エレメントは、新たなLCIDを有するMACサブヘッダ、及び制御エレメントの長さを示すLフィールドと共に使用される。新たなLCIDは、UEにより、Lフィールドが使用されることを示すものとして認識される。
【0039】
MAC PDUは、ダウンリンクキャリアの1つを経てトランスポートブロックとしてアクセスノード2からUE8へ送信される。
【0040】
複数の全てのアップリンクキャリアに対するタイミング進みコマンドを単一のトランスポートブロックに含ませる1つの効果は、各ダウンリンクキャリアを1つのそして1つのみのアップリンクキャリアに関連付ける必要がなく、それ故、キャリアの非対称的集合がある状況(即ち、ダウンリンク送信及びアップリンク送信が異なる数のキャリアを使用して行われる状況)に使用されることである。
【0041】
3GPP TS 36.213 B8.7.0(2009−05)に規定されたように、各6ビットタイミング進みコマンドは、各キャリアに対してUEが適用すべきタイミング調整量を制御するのに使用されるインデックス値TA(0、1、2、・・・63)を指示する。より詳細には、TAは、新たなNTA値、NTA,new、に対する現在TNA値、NTA,oldの調整を、TA=0、1、2、・・・63のインデックス値で示すものであり、ここで、NTA,new=NTA,old+(TA−31)×16である。ここで、正又は負の量によるNTAの調整は、各々、所与の量だけアップリンク送信タイミングを進ませ又は遅らせることを指示する。3GPP TS 36.211 V8.7.0(2009−05)に規定されたように、NTAは、UE8におけるアップリンク及びダウンリンク無線フレーム間のタイミングオフセットを基本的な時間単位Tsで表したものである。
【0042】
サブフレームnで受信したタイミング進みコマンドに対して、それに対応するタイミング調整が、サブフレームn+6の始めから適用されねばならない。サブフレームn及びサブフレームn+1におけるUEのアップリンク送信がタイミング調整により重畳されたときには、UEは、完全なサブフレームnを送信し、そしてサブフレームn+1の重畳部分を送信してはならない。
【0043】
タイミング進みコマンドは、所定の最大期間中に有効であり、その期間の満了の前に、新たなタイミング進みコマンドに置き換える必要がある。UE8がいずれかのアップリンクキャリアで送信するために整列されたアップリンク時間にどれほど長くあると考えられるかを制御するために単一の時間整列タイマーが使用される。この時間整列タイマーは、上述したマルチキャリアタイミング進み制御エレメントのようなタイミング進み制御エレメントをUEが受信するたびにスタート又は再スタートされる。時間整列タイマーが動作している限り、UE8は、全てのアップリンクキャリアに対して整列されたアップリンク時間であると考えられる。時間整列タイマーが時間切れすると、UE8は、次のことを実行する。即ち、(a)全てのHARQバッファをフラッシュする。(b)物理的アップリンク制御チャンネルを解除するように無線リソースコントロール(RRC)に通知する。(c)ダウンリンクリソースの構成された指定又はアップリンクリソースのグラントをクリアする。
【0044】
本発明の別の実施形態では、UE8は、個別の制御エレメントの各キャリアに対して、同じダウンリンクキャリアの同じトランスポートブロック又は異なるトランスポートブロックのいずれかでタイミング進みコマンドを受け取る。各タイミング進みコマンドの制御エレメントは、複数のアップリンクキャリアの1つのみに対してタイミング進みコマンドを含む。
【0045】
又、上述したインデックス値TAと同様に、制御エレメントは、そのインデックス値TAがどのアップリンクキャリアに関連するかUE8が識別できるようにする複数の所定値の1つも含む。複数の全てのアップリンクキャリアに対するタイミング進みコマンドを単一のダウンリンクキャリアに含ませるこの別の技術も、各ダウンリンクキャリアを1つのそして1つのみのアップリンクキャリアに関連させる必要がなく、それ故、キャリアの非対称的集合がある状況(即ち、ダウンリンク送信及びアップリンク送信が異なる数のキャリアを使用して行われる状況)に使用されるという効果を有する。
【0046】
この別の技術にも単一の時間整列タイマーが使用される。UE8がアップリンクキャリアの各々に対してタイミング進みコマンドを受信する場合には、UE8は、いずれかのアップリンクキャリアに対してアクセスノード2からタイミング進みコマンドを受信したときに単一の時間整列タイマーを再スタートさせる。単一の時間整列タイマーが動作している間(即ち、時間切れでない間)、UE8は、いずれかのアップリンクキャリアにおいてアクセスノード2へ送信を行うための有効なタイミング情報を有することを考慮するように構成される。この技術が図7のフローチャートに示されている。全てのアップリンクキャリアに対して単一の整列タイマーを使用することは、異なる時間に時間切れする個別の時間整列タイマー(即ち、非同期なTAタイマー時間切れ)を取り扱う必要性からMACレイヤに生じる複雑さを回避するという効果を有する。
【0047】
上述した実施形態では、キャリアサイズの一例が20MHzであり、そしてアップリンクキャリアの数の一例が5である。上述した動作は、種々のエンティティにおけるデータ処理を必要とする。データ処理は、1つ以上のデータプロセッサによって行われる。同様に、前記実施形態で述べた種々のエンティティは、単一又は複数のデータ処理エンティティ及び/又はデータプロセッサ内で具現化される。これら実施形態を具現化するために、適当に適応させたコンピュータプログラムコード製品が、コンピュータにロードされたときに使用される。動作を与えるためのプログラムコード製品は、キャリアディスク、カード又はテープのようなキャリア媒体に記憶されて、それらにより与えられる。データネットワークを経てプログラムコード製品をダウンロードすることができる。サーバー内の適当なソフトウェアで具現化がなされる。
【0048】
例えば、本発明の実施形態は、チップセットとして具現化され、換言すれば、互いに通信する一連の集積回路として具現化される。チップセットは、コードを実行するように構成されたマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は上述した動作を遂行するためのプログラム可能なデジタル信号プロセッサを含む。
【0049】
本発明の実施形態は、集積回路モジュールのような種々のコンポーネントで具現化される。集積回路の設計は、大体、高度に自動化されたプロセスである。論理レベル設計を、半導体基板上に形成されてエッチングされる準備のできた半導体回路設計へと変換するために、複雑で且つパワフルなソフトウェアツールを利用することができる。
【0050】
カリフォルニア州マウンテンビューのSynopsys社及びカリフォルニア州サンノセのCadence Design社により提供されるもののようなプログラムは、充分に確立された設計ルール及び予め記憶された設計モジュールのライブラリを使用して半導体チップ上に自動的に導体を引き回しそしてコンポーネントを配置する。半導体回路の設計が完了すると、それにより得られる標準電子フォーマットでの設計(例えば、Opus、GDSII、等)が、製造のために半導体製造施設又は“fab”へ伝送される。
【0051】
明確に上述した変更に加えて、当業者であれば、本発明の範囲内で、上述した実施形態の種々の他の変更がなされ得ることが明らかであろう。
【符号の説明】
【0052】
1:キーパッド
2:第1アクセスノード
4:第2アクセスノード
5:ディスプレイ
6:第3アクセスノード
7:無線部
8:ユーザ装置
9:回路板
101:第1カバレージエリア
103:第2カバレージエリア
105:第3カバレージエリア
301:高周波アンテナ
303:高周波インターフェイス回路
306:データプロセッサ
307:メモリ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6