特許第5953609号(P5953609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953609
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】警報音の発信方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   G08B17/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-135171(P2012-135171)
(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公開番号】特開2013-257847(P2013-257847A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】中野 誠也
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−49606(JP,A)
【文献】 特開2010−61423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経時的に周波数が変化するスイープ音フレーズを有する警報音の発信方法において、
周波数の変化範囲が異なる複数のスイープ音フレーズを有し、これら複数のスイープ音フレーズを所定順に並べたセットを繰り返すように設定し、
異なったスイープ音フレーズにおけるそれぞれのオン時間を一定とし、異なったスイープ音フレーズを一定のオフ時間を挟んで設定してある警報音の発信方法。
【請求項2】
各スイープ音フレーズにおいて、周波数の変化割合を一定とした請求項1に記載の警報音の発信方法。
【請求項3】
高音域である3.8〜4.2KHzの範囲で変化するスイープ音フレーズと、低音域から高音域まで含んだ1.0〜4.2KHzの範囲で変化するスイープ音フレーズを有する請求項1または2に記載の警報音の発信方法。
【請求項4】
前記オン時間を100〜250msとし、前記オフ時間を250〜400msとしてある請求項1〜3の何れか一項に記載の警報音の発信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経時的に周波数が変化するスイープ音フレーズを有する警報音の発信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス漏れや火災などの災害の危険があるとき、警報器が発した警報に従って避難する人は少ない傾向がある。この一因としては、警報が発せられても、緊張感や危機感を持たない人が多いことが考えられる。そこで避難率向上のためには、警報器が、より多くの人が緊張感や危機感を直感的に感じることができる警報音を発することが望ましい。
【0003】
警報器が発信する警報音としては、例えばスイープ音を含むものが使用されている(特許文献1,2)。
【0004】
スイープ音は経時的に周波数が変化する音であり、「騒音下で認識し易い」および「緊張感や危機感を伝える信号だと認知され易い」という、警報音として望ましい性質を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−003165号公報
【特許文献2】特開2010−049604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば高齢者と若年者とでは耳が感知しやすい音の周波数帯域が異なっている。上述したスイープ音を発信するに際し、より多くの人に警報を効率よく伝達できるように設定できれば、より望ましい。
【0007】
従って、本発明の目的は、より多くの人に警報を効率よく伝達できる警報音の発信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る警報音の発信方法は、経時的に周波数が変化するスイープ音フレーズを有する警報音の発信方法において、その第一特徴手段は、周波数の変化範囲が異なる複数のスイープ音フレーズを有し、これら複数のスイープ音フレーズを所定順に並べたセットを繰り返すように設定し、異なったスイープ音フレーズにおけるそれぞれのオン時間を一定とし、異なったスイープ音フレーズを一定のオフ時間を挟んで設定した点にある。
【0009】
本手段によれば、周波数の変化範囲が異なった音調の異なるスイープ音を複数有してこれらを繰り返し、異なったスイープ音フレーズにおけるそれぞれのオン時間を一定とすることで、注意を引き付け易くできる警報音を発信することができる。また、周波数の変化割合が異なる複数のスイープ音フレーズを有することで、例えば低音域から高音域まで含んだスイープ音フレーズを発信させることができる。これにより、高齢者および若年者といった年齢層などにかかわらず、多数の人に認識し易いスイープ音を発信させることができる。また、異なったスイープ音フレーズを一定のオフ時間を挟んで設定することで、緊張感を持たせたスイープ音を鳴動させることができるようになるため、警報音の認識程度がより向上する。
【0010】
本発明に係る警報音の発信方法の第二特徴手段は、各スイープ音フレーズにおいて、周波数の変化割合を一定とした点にある。
【0011】
本手段によれば、周波数の変化範囲において、低音域から高音域まで聞き取りやすくなり、より多数の人に認識し易いスイープ音を発信させることができる。
【0012】
本発明に係る警報音の発信方法の第三特徴手段は、高音域である3.8〜4.2KHzの範囲で変化するスイープ音フレーズと、低音域から高音域まで含んだ1.0〜4.2KHzの範囲で変化するスイープ音フレーズを有した点にある。
本手段によれば、高齢者および若年者といった年齢層などにかかわらず、多数の人に認識し易いスイープ音を発信させることができる。
【0013】
本発明に係る警報音の発信方法の第四特徴手段は、前記オン時間を100〜250msとし、前記オフ時間を250〜400msとした点にある。
本手段によれば、緊張感を持たせたスイープ音を認識できるオン時間およびオフ時間を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】スイープ音サイクルの例を示した図である(実施例1−1)。
図2】スイープ音サイクルの例を示した図である(実施例1−2)。
図3】スイープ音サイクルの例を示した図である(実施例1−3)。
図4】スイープ音サイクルの例を示した図である(実施例2−1)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の警報音の発信方法は、経時的に周波数が変化するスイープ音フレーズを有する警報音において、周波数の変化範囲が異なる複数のスイープ音フレーズを有し、これら複数のスイープ音フレーズを所定順に並べたセットを繰り返すように設定する。
【0016】
スイープ音は、所定の周波数の範囲内で経時的に周波数が変化する音である。
例えば高齢者と若年者とでは耳が感知しやすい音の周波数帯域が異なっている。警報音は、できるだけ多くの人に認識できる音を発信する必要がある。本手段のスイープ音フレーズは、周波数の変化範囲が異なるフレーズを複数有するように構成してある。これにより、音調の異なるスイープ音を発信させることができる。
例えば図1では、周波数が1.0〜4.2KHzおよび3.8〜4.2KHzの範囲で変化する、最低周波数を異ならせた二種類のスイープ音フレーズを有するスイープ音のデューティーサイクルを示している。この場合、相対的に、3.8〜4.2KHzの範囲で変化するスイープ音フレーズは高音域のみの発信であるが、1.0〜4.2KHzの範囲で変化するスイープ音フレーズは低音域から高音域まで含んだ発信となる。
【0017】
本手段のように、周波数の変化範囲が異なった音調の異なるスイープ音を複数有し、これらを繰り返すことで、注意を引き付け易くできる警報音を発信することができる。また、低音域から高音域まで含んだスイープ音フレーズを発信させることで、高齢者および若年者といった年齢層などにかかわらず、多数の人に認識し易いスイープ音を発信させることができる。
【0018】
また、各スイープ音フレーズは、周波数の変化割合を一定にするのがよい。「周波数の変化割合を一定にする」とは、周波数を変化させる際に、周波数の変化範囲(最低周波数〜最高周波数)において一定の変化割合(傾き)を有するようにすることをいう。
このように各スイープ音フレーズの周波数の変化割合を一定にすることで、周波数の変化範囲において、低音域から高音域まで聞き取りやすくなり、より多数の人に認識し易いスイープ音を発信させることができる。
【0019】
さらに、異なったスイープ音フレーズを、所定のオフ時間を挟んで設定するのがよい。これにより、緊張感を持たせたスイープ音を鳴動させることができるようになるため、警報音の認識程度がより向上する。本手段の場合、当該オフ時間の長さを変更してもよく、例えば、緊張感を増すために当該オフ時間の長さを短く設定してもよい。
【実施例】
【0020】
〔実施例1〕
周波数の変化範囲が異なる複数のスイープ音フレーズを有し、これら複数のスイープ音フレーズを所定順に並べたセットを繰り返す場合について、スイープ音サイクルの例を図1〜3に示した。警報機はXH−622G(新コスモス電機株式会社)を用いた。
図1(実施例1−1)では、二種類のスイープ音フレーズを設定し、第一スイープ音フレーズの周波数を3.8〜4.2KHzにスイープさせ、第二スイープ音フレーズの周波数を1.0〜4.2KHzにスイープさせた。スイープ音サイクルは、オン時間400ms、オフ時間100msに設定した。
【0021】
本実施例1−1では、それぞれのスイープ音フレーズにおいて、周波数の変化割合を一定にしてある。
これにより、周波数の変化範囲において、低音域から高音域まで聞き取りやすくなり、より多数の人に認識し易いスイープ音を発信させることができる。
【0022】
また、本実施例1−1では、異なったスイープ音フレーズを、所定のオフ時間を挟んで設定してある。
これにより、緊張感を持たせたスイープ音を鳴動させることができるようになるため、警報音の認識程度がより向上する。
【0023】
上述した実施例1−1のように二種類のスイープ音フレーズを設定した場合、例えば、スイープ音サイクルを、オン時間100ms、オフ時間400msに設定(実施例1−2:図2)、或いは、オン時間250ms、オフ時間250msに設定(実施例1−3:図3)してもよい。
【0024】
〔実施例2〕
上述した実施例では、二種類のスイープ音フレーズの間に所定のオフ時間を挟んで設定したが、二種類のスイープ音フレーズを、オフ時間を挟まないように設定してもよい(実施例2−1:図4)。実施例2−1では、各スイープ音フレーズを500msに設定した。
【0025】
〔実施例3〕
上述した実施例では、二種類のスイープ音フレーズを設定したが、これに限られるものではなく、三種類以上のスイープ音フレーズを設定してもよい。スイープ音フレーズを増やすことで、バラエティーに富んだ警報音を発信することができるため、警報音の認識程度がより向上する。また、スイープ音フレーズを増やすことで、人に与える危機感を段階的に分類し易くなり、災害の程度を認識させ易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、経時的に周波数が変化するスイープ音フレーズを有する警報音の発信方法に利用できる。
図1
図2
図3
図4