特許第5953630号(P5953630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5953630経路探索装置及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953630
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】経路探索装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20160707BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G01C21/26
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-114699(P2012-114699)
(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2013-242200(P2013-242200A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】504126112
【氏名又は名称】住友電工システムソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福永 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】棚田 昌一
(72)【発明者】
【氏名】中島 正浩
(72)【発明者】
【氏名】西村 茂樹
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−158322(JP,A)
【文献】 特開2006−275596(JP,A)
【文献】 特開2012−026768(JP,A)
【文献】 特開2011−227050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの電力を走行動力とする電気自動車が走行すべき出発地から目的地まで推奨経路を探索する経路探索装置であって、
前記出発地から前記目的地までの経路の候補の探索を行うと共に、当該目的地に到着した際の前記バッテリの残り電力量を推定する探索部と、
前記探索部によって推定された前記残り電力量に基づいて、前記目的地までの推奨経路を決定する決定部と、
を備え
前記決定部は、前記探索部によって推定された前記残り電力量が、前記バッテリを長期利用しない場合に性能確保の観点で好ましい推奨充電深度に最も近くなる経路を、推奨経路として決定することを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
バッテリの電力を走行動力とする電気自動車が走行すべき出発地から目的地まで推奨経路を探索する経路探索装置であって、
前記出発地から前記目的地までの経路の候補の探索を行うと共に、当該目的地に到着した際の前記バッテリの残り電力量を推定する探索部と、
前記探索部によって推定された前記残り電力量に基づいて、前記目的地までの推奨経路を決定する決定部と、
前記バッテリに対して充電を行う充電ステーションにおける充電量を指定する充電量設定部と、
を備え
前記探索部は、前記目的地までの経路の候補として、前記充電ステーションを経由地として含む経路を探索可能であり、
前記決定部は、前記探索部によって推定された残り電力量が、指定された指定電力量に最も近くなる経路を、推奨経路として決定可能であり、
前記出発地から前記目的地までの経路の候補が前記探索部によって複数求められ、どの経路の候補を走行したとしても、当該目的地に到着した際の前記バッテリの残り電力量が前記指定電力量に近くならない場合、当該目的地に到着する前に経由地として立ち寄る前記充電ステーションにおける前記バッテリへの充電量を、前記充電量設定部が指定することを特徴とする経路探索装置。
【請求項3】
前記指定電力量を変更可能として設定する電力量設定部を、更に備えている請求項2に記載の経路探索装置。
【請求項4】
前記探索部は、前記目的地までの経路の候補として、前記バッテリに対して充電を行う充電ステーションを経由地として含む経路を探索可能である請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項5】
前記充電ステーションにおける充電量を指定する充電量設定部を、更に備えている請求項4に記載の経路探索装置。
【請求項6】
前記探索部は、前記目的地までの経路の候補として、前記バッテリの残り電力量が既定の下限値未満となるために途中で充電ステーションを経由する経路と、前記バッテリの残り電力量が既定の下限値未満となってもバッテリ切れとならなければ充電ステーションを経由しない経路と、を探索可能である請求項1〜5のいずれか一項に記載の経路探索装置。
【請求項7】
バッテリの電力を走行動力とする電気自動車が走行すべき出発地から目的地まで推奨経路を探索する処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
前記出発地から前記目的地までの経路の候補の探索を行うと共に、当該目的地に到着した際の前記バッテリの残り電力量を推定する探索部
推定した前記残り電力量に基づいて、前記目的地までの推奨経路を決定する決定部
として機能させると共に、
前記決定部は、前記探索部によって推定された前記残り電力量が、前記バッテリを長期利用しない場合に性能確保の観点で好ましい推奨充電深度に最も近くなる経路を、推奨経路として決定するように機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
バッテリの電力を走行動力とする電気自動車が走行すべき出発地から目的地まで推奨経路を探索する処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
前記出発地から前記目的地までの経路の候補の探索を行うと共に、当該目的地に到着した際の前記バッテリの残り電力量を推定する探索部
推定した前記残り電力量に基づいて、前記目的地までの推奨経路を決定する決定部
前記バッテリに対して充電を行う充電ステーションにおける充電量を指定する充電量設定部、
として機能させると共に、
前記探索部は、前記目的地までの経路の候補として、前記充電ステーションを経由地として含む経路を探索可能であり、
前記決定部は、前記探索部によって推定された残り電力量が、指定された指定電力量に最も近くなる経路を、推奨経路として決定可能であり、
前記出発地から前記目的地までの経路の候補が前記探索部によって複数求められ、どの経路の候補を走行したとしても、当該目的地に到着した際の前記バッテリの残り電力量が前記指定電力量に近くならない場合、当該目的地に到着する前に経由地として立ち寄る前記充電ステーションにおける前記バッテリへの充電量を、前記充電量設定部が指定するように機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路を探索する経路探索装置及びコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の開発が進められているが、現時点では、その航続距離は短い(200km未満)。したがって、電気自動車は、日帰りのドライブであったとしても、その行く途中又は帰る途中で充電ステーションに立ち寄り、バッテリの充電を行わなければならないことがある。
【0003】
また、このような電気自動車を目的地へ向かって走行させるに際し、その目的地までの経路をコンピュータに探索させることが行われる。このような経路の探索技術として、特許文献1に記載のものがある。
例えば、自動車を運転するドライバが車載装置に目的地を入力すると、この目的地と出発地(現在地)との情報が通信によってサーバ装置に送信され、このサーバ装置が、データベースに蓄積している道路リンクのリンクコストを用いて、所定の探索アルゴリズムにより出発地から目的地までの経路を探索する処理を実行する。そして、推奨経路が決定されると、その推奨経路の情報は車載装置に送信され、この情報を受けた車載装置は推奨経路をドライバに通知し、推奨経路に沿った経路案内を開始することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−60019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような従来の経路探索では、例えば目的地に到着するまでに要する時間が最も少なくなる最小時間の経路や、目的地までの走行距離が最も短くなる最短距離の経路が、推奨経路として決定される。
しかし、このような最小時間や最短距離となる経路が推奨経路として決定され、この推奨経路にしたがって経路案内がされ、目的地に到着できたとしても、電気自動車の場合、その目的地から次に移動するために必要となるバッテリの残り電力が不足することがある。つまり、バッテリの電力不足により、次の目的地又は目的地の近傍の充電ステーションへ移動することが不可能になるおそれがある。このような問題点は、航続距離が短い電気自動車の場合に特に多く起こりえると考えられる。
【0006】
そこで、本発明は、目的地に到着したとしても、例えばバッテリの電力不足により、次に移動することが不可能になるというような、目的地に到着後の電気自動車における問題点の発生を防ぐことが可能となる経路探索装置、及び、このような問題点の発生を防ぐことが可能となる処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを提供する目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、バッテリの電力を走行動力とする電気自動車が走行すべき出発地から目的地まで推奨経路を探索する経路探索装置であって、前記出発地から前記目的地までの経路の候補の探索を行うと共に、当該目的地に到着した際の前記バッテリの残り電力量を推定する探索部と、前記探索部によって推定された前記残り電力量に基づいて、前記目的地までの推奨経路を決定する決定部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、目的地に到着した際のバッテリの残り電力量に基づいて、その目的地までの推奨経路が決定されるので、目的地に到着したとしても、例えばバッテリの電力不足により、次に移動することが不可能になるというような、目的地に到着後の電気自動車における問題点の発生を防止することが可能となる。
【0009】
(2)また、前記決定部は、前記推定された残り電力量が、指定された指定電力量に最も近くなる経路を、推奨経路として決定するのが好ましい。
この場合、目的地に到着した際のバッテリの残り電力量が、指定電力量に近くなる経路が、推奨経路として決定される。
【0010】
(3)また、前記(2)に記載の前記経路探索装置は、前記指定電力量を変更可能として設定する電力量設定部を、更に備えているのが好ましい。
この場合、指定電力量を変更することが可能となり、目的地に到着した際のバッテリの残り電力量に関して、ドライバ等の要求に応じることが可能となる。
【0011】
(4)また、前記探索部は、前記目的地までの経路の候補として、前記バッテリに対して充電を行う充電ステーションを経由地として含む経路を探索可能であるのが好ましい。
この場合、出発地から目的地までの走行距離が、電気自動車の航続可能距離よりも長くても、充電ステーションを経由してバッテリの充電を行うことで、目的地に到着することが可能となる。
【0012】
(5)そして、前記(4)に記載の経路探索装置は、前記充電ステーションにおける充電量を指定する充電量設定部を、更に備えているのが好ましい。
この場合、目的地に到着した際のバッテリの残り電力量を、できるだけ所定の値(例えば50%)に近づけたい場合に好適である。例えば、経由地である充電ステーションでの充電量をフル充電にすると、目的地に到着した際の残り電力量が70%になってしまうが、その充電ステーションでの充電量をフル充電とせずに、充電量設定部が、それよりも低い充電量(例えば80%)に指定し、その低い充電量まで充電を行うことで、目的地に到着した際のバッテリの残り電力量を、前記所定の値(50%)に近づけることが可能となる。
【0013】
(6)また、前記探索部は、前記目的地までの経路の候補として、前記バッテリの残り電力量が既定の下限値未満となるために途中で充電ステーションを経由する経路と、前記バッテリの残り電力量が既定の下限値未満となってもバッテリ切れとならなければ充電ステーションを経由しない経路と、を探索可能であるのが好ましい。
この場合、例えば、目的地に充電ステーションが設置されている場合、その目的地で充電が可能であることから、バッテリの残り電力量が既定の下限値(例えば20%)未満になっていてもバッテリ切れとならなければ、充電ステーションを経由しない経路を、推奨経路とすることができる。
【0014】
(7)また、本発明は、バッテリの電力を走行動力とする電気自動車が走行すべき出発地から目的地まで推奨経路を探索する処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記出発地から前記目的地までの経路の候補の探索を行うと共に、当該目的地に到着した際の前記バッテリの残り電力量を推定するステップと、推定した前記残り電力量に基づいて、前記目的地までの推奨経路を決定するステップとを含むことを特徴とする。
本発明によれば、前記(1)に記載の経路探索装置と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、目的地に到着した際のバッテリの残り電力量に基づいて、その目的地までの推奨経路が決定されるので、目的地に到着したとしても、例えばバッテリの電力不足により、次に移動することが不可能になるというような、目的地に到着後の電気自動車における不具合の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の経路探索装置を備えている交通情報システムの一例を示すブロック図である。
図2】経路探索方法を説明するフロー図である。
図3】経路探索の処理を順に説明する説明図である。
図4】経路探索の処理を順に説明する説明図である。
図5】経路探索の処理を順に説明する説明図である。
図6】経路探索の処理を順に説明する説明図である。
図7】充電ステーションそれぞれからの探索範囲のイメージを示す説明図である。
図8】充電ステーションそれぞれからの探索範囲のイメージを示す説明図である。
図9】決定処理の具体例1の説明図である。
図10】決定処理の具体例2の説明図である。
図11】決定処理の具体例3の説明図である。
図12】決定処理の具体例4の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〔交通情報システムについて〕
図1は、本発明の経路探索装置を備えている交通情報システムの一例を示すブロック図である。交通情報システムには、車両、車両に搭載されている車載装置3、車載装置3と無線通信する路側通信装置4、及び、路側通信装置4と通信可能であり各種情報を収集したり各種情報を生成したりするサーバ装置5が含まれている。
なお、車載装置3は、車両2に固定の装置以外に、例えばドライバ(搭乗者)が携帯しているスマートフォン等の携帯端末とすることができる。車載装置3が携帯端末の場合、路側通信装置4は、携帯端末と無線通信を行う基地局装置となる。
【0018】
本実施形態に係る車両は、充電可能なバッテリ7を有しており、このバッテリ7の電力を走行動力とする電気自動車2である。
車載装置3は、車載コンピュータからなり、この車載装置3を搭載している電気自動車2のプローブ情報(フローティングカー情報ともいう)を取得し、路側通信装置4を通じて、サーバ装置5へ送信する。さらに、サーバ装置5が生成した情報(後述する推奨経路の情報)は、路側通信装置4を通じて、車載装置3へ送信される。
【0019】
また、車載装置3は、ドライバ(搭乗者)の操作を受け付け各種の情報を入力する入力部3aと、現在位置の情報を取得可能な位置取得部3bとを有している。
入力部3aは、例えばドライバが操作するタッチパネルからなり、文字入力等により目的地が入力される。入力された目的地は目的地情報とされ、電気自動車2の識別情報(車両ID)と共に送信情報i1に含められ、サーバ装置5へ送信される。この送信情報i1は、サーバ装置5に対する推奨経路の探索要求信号となる。
位置取得部3bは、例えばGPS機能を有した装置からなり、現在位置の情報を取得する。取得した現在位置の情報は送信情報i1に含められ、サーバ装置5へ送信される。
また、車載装置3は、自車のバッテリ7における残り電力量の情報を取得可能であり、この情報も送信情報i1に含められる。
【0020】
路側通信装置4は各地域の道路等に多数設置されている。各路側通信装置4は、通信機及び通信制御機を備えており、車載装置3と無線通信可能であり、また、有線(又は無線)によりサーバ装置5と通信可能である。
【0021】
サーバ装置5は、サーバコンピュータからなり、コンピュータプログラム及び各種情報を記憶しているハードディスク等からなる記憶装置15と、路側通信装置4と通信を行うための通信インタフェースからなる通信装置16と、演算処理を行う機能を有する演算装置17とを備えている。さらに、サーバ装置5は、記憶装置15が有する後述のデータベースに情報を追加して記憶させるための情報入力部(インタフェース)18を備えている。
【0022】
記憶装置15は、各地域の道路地図の地図情報を記憶している道路ネットワークデータベース15a、道路リンク毎のリンクコストの情報を蓄積している交通情報データベース15b、及び、各地域に存在している(前記道路地図に含まれている)充電ステーションとその属性情報を蓄積している充電ステーション用データベース15cを有している。なお、本実施形態では、交通情報データベース15bのリンクコストを、旅行時間としており、また、このデータベース15bには、各道路リンクを走行するために要する電気自動車2のバッテリ7の消費電力の情報が、道路リンク毎に設定されている。
【0023】
前記地図情報は、例えば道路地図がメッシュ状に分割されており、ノードと道路リンクとの組み合わせからなる道路リンクの情報が含まれている。また、この地図情報には、各地域に設置されている電気自動車のバッテリを充電するための充電ステーション(充電設備)の情報が含まれており、この充電ステーション(充電設備)と、充電ステーション用データベース15cの後述する属性情報とは対応付けられている。
【0024】
交通情報データベース15b中のリンクコストの情報は、地図情報に設定されている道路リンクに対応付けられている。さらに、道路リンク毎のリンクコストは、時間帯毎にも区分されており、時間帯毎の旅行時間が反映されている。この旅行時間は、過去の実績値等の統計値に基づいて生成されている。この旅行時間は、道路リンクの渋滞の影響を受けることから、この旅行時間の情報を渋滞情報として利用できる。なお、渋滞情報は、この旅行時間以外の交通情報であってもよい。このように、記憶装置15には、時間帯毎の旅行時間のような、経時的に変化する動的情報が記憶されている。また、この交通情報データベース15bには、道路リンク毎の長さ、勾配についての情報も記憶されている。
【0025】
充電ステーション用データベース15cには、充電ステーションの所在位置、充電ステーションでの滞在必要時間、充電ステーションにおける急速充電機能の有無、及び、充電ステーションの使用可能時間帯(営業時間)等を示す属性情報が、充電ステーション毎に蓄積されている。なお、この充電ステーションの所在位置と、前記地図情報に設定されている道路リンクとが対応付けられている。充電ステーションでの滞在必要時間には、充電に要する時間、充電作業のためのセットアップ時間、及び、料金の支払い時間等の充電終了後の作業時間が含まれている。
【0026】
〔経路探索装置について〕
サーバ装置5は、様々な機能を奏する複数の機能部を有しており、これら機能部のうちの一つが経路探索装置1である。つまり、サーバ装置5が有する演算装置17は、CPU及び内部メモリ等を有するコンピュータからなり、このサーバ装置5を経路探索装置1として機能させるためのコンピュータプログラムが、記憶装置15にインストールされている。この経路探索装置1が備えている各機能(探索部10、決定部13、電力量設定部14及び充電量設定部20)は、前記コンピュータプログラムが演算装置17によって実行されることで発揮される。これらの各機能については、後に説明する。なお、探索部10には、第1探索部11と第2探索部12とが含まれる。
【0027】
前記のとおり、車載装置3から送信情報i1が送信され、経路探索装置1がこれを受信すると、経路探索装置1は、出発地から(経由地を経由して)目的地まで電気自動車2が走行すべき推奨経路を、道路リンクのリンクコストを用いて探索する処理を開始する。なお、出発地は、送信情報i1に含まれている現在位置の情報に基づき、目的地は、この送信情報i1に含まれている目的地情報に基づく。なお、経由地は、後に説明するが、推奨経路に含まれて経路探索装置1によって自動決定される。
そして、経路探索装置1は、推奨経路を決定すると、この推奨経路の情報を応答情報i2に含め、車載装置3へ送信する。車載装置3は、この応答情報i2を受けると、推奨経路をドライバに対して出力することができ、この推奨経路に沿った経路案内を実行することが可能となる。
経由地は、電気自動車2のバッテリ7に充電を行う充電ステーションであり、この経路探索装置1によれば、電気自動車2が充電ステーションを経由することにより目的地に到達することが可能となる推奨経路が得られる。
【0028】
〔経路探索装置の各機能について〕
探索部10は、第1探索部11及び第2探索部12からなり、これら第1探索部11及び第2探索部12それぞれは、ある地点(第1地点)から他の地点(第2地点)まで電気自動車2が走行すべき区間経路を、道路リンクのリンクコストを用いて所定の探索アルゴリズムにより探索する機能を有している。道路リンクのリンクコストは、交通情報データベース15bに蓄積されており、第1探索部11及び第2探索部12は、このデータベース15bを参照する。
【0029】
また、第1探索部11及び第2探索部12それぞれは、経由地となる充電ステーション及びこの充電ステーションまでの区間経路を、航続可能範囲(設定範囲)に基づいて求める。この航続可能範囲は、バッテリ7の残り電力量に基づく。つまり、航続可能範囲は、起点(出発地又は充電ステーション)におけるバッテリ7の電力量から、走行に伴って消費される電力量を差し引いた、残り電力量により決定される。つまり、例えば、残り電力量が所定の値(例えば20%)未満となるまでが航続可能範囲となる。前記のとおり、データベース15bには、各道路リンクを走行するために要する電気自動車2のバッテリ7の消費電力の情報が、道路リンク毎に設定されていることから、第1探索部11及び第2探索部12は、このデータベース15bを参照しながら経路探索の処理を実行することで、航続可能範囲内の一又は複数の充電ステーション、及び、この充電ステーションまでの区間経路を求めることができる。
【0030】
また、前記探索アルゴリズムは、様々なアルゴリズムを採用可能であるが、本実施形態はダイクストラ法であり、第1探索部11及び第2探索部12それぞれは、道路リンクのリンクコストの総和が小さくなる(最小となる)区間経路を探すシミュレーションを行う。また、本実施形態ではリンクコストを旅行時間としていることから、経路探索装置1は、出発地から目的地まで、できるだけ旅行時間が短くなる推奨経路を決定することが可能となる。
【0031】
そして、具体的には後で説明するが、探索部10によれば、充電ステーションまでの区間経路を求め、この区間経路に基づいて、出発地から出発し経由地を経由して到達することのできる目的地までの全経路を探索可能となり、探索部10(第2探索部12)の処理結果に基づいて決定部13が推奨経路を決定する。特に本実施形態のように、探索部10によれば、複数の全経路が探索される場合があり、この場合、これら全経路の中から最適な全経路が、決定部13によって一つ選択され、この一つの全経路が推奨経路として決定される。なお、前記全経路とは、出発地から目的地までの経路の候補である。
【0032】
また、探索部10のうちの第2探索部12は、目的地までの経路の候補の探索を行う他に、この目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量を推定する機能(推定機能)を有している。前記のとおり、交通情報データベース15bには、各道路リンクで消費されるバッテリ7の電力量が記憶されていることから、例えば、充電ステーションにおけるバッテリ7の電力量から、目的地までの走行に伴って消費される電力量を差し引いた残り電力量を、この目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量として、推定することが可能となる。
【0033】
そして、決定部13は、この推定された残り電力量に基づいて、目的地までの推奨経路を決定する。例えば、決定部13は、推定された残り電力量が、指定された指定電力量に最も近くなる経路を、推奨経路として決定する。
第2探索部12による前記推定機能、及び、決定部13による推奨経路の決定機能については、後の具体例で説明する。
【0034】
また、第1探索部11及び第2探索部12は、充電ステーション用データベース15cを参照することにより、充電ステーションの属性情報に基づいて区間経路を探索する。例えば、属性情報として、充電ステーションでの滞在必要時間を示す情報や、急速充電機能の有無を示す情報に基づいて区間経路を探索すれば、充電ステーションで費やされる滞在時間を、より厳密にリンクコストに反映させることができる。また、充電ステーションの使用可能時間帯を示す情報に基づいて区間経路を探索することにより、充電ステーションへの到着時刻が使用可能時間帯外(営業時間外)となるような場合には、その充電ステーションが経由地として設定されることはない。
【0035】
そして、前記情報入力部18は、この充電ステーション用データベース15cに、他の充電ステーションの属性情報を追加して記憶させることができる。例えば、現在では主に、充電ステーションは電気自動車の販売店に設置されていることが多い。このような充電ステーションは、一般に開放されている充電ステーションであり公的な充電ステーションであると言える。このような公的な充電ステーションについては、その属性情報(急速充電機能の有無を示す情報や、使用可能時間帯を示す情報)を収集しデータベース化することは、経路探索装置1にとって比較的容易である。しかし、私的に設置されている充電ステーション(充電設備)については、その属性情報を、追加的にデータベース15cに登録する必要がある。そこで、ドライバは、例えば車載装置3から、前記送信情報i1に、充電ステーションの属性情報及び登録要請する要請情報を含ませて送信し、この要請情報を経路探索装置1が受けると、情報入力部18によって、このような私的な充電ステーションの属性情報が、データベース15cに追加される。
【0036】
また、充電ステーションには、会員制や、事前登録制等の利用制限を設けている設備がある。そこで、このような利用制限についての情報も、充電ステーション用データベース15cには蓄積されており、第1探索部11及び第2探索部12は、このような情報を考慮して、経由地とする充電ステーションを求める。
【0037】
また、前記のとおり、第2探索部12によって推定された残り電力量が、指定された「指定電力量」に最も近くなる経路を、推奨経路として決定部13が決定するが、この「指定電力量」は前記電力量設定部14によって設定される。
電力量設定部14には初期値としての「指定電力量」が設定されているが、この「指定電力量」は変更可能である。例えば、ドライバは、車載装置3を通じて、つまり、前記送信情報i1に「指定電力量」の情報を含ませて送信し、この情報を経路探索装置1が受けると、この送信情報i1に含まれる「指定電力量」の情報は、決定部13が推奨経路を決定するための条件となる「指定電力量」として、電力量設定部14によって設定される。
【0038】
また、探索部10によれば、充電ステーションを経由地として含む全経路が探索され、決定部13によって推奨経路が決定されると、その推奨経路に含まれる充電ステーションにおけるバッテリ7への充電量を指定する機能を、充電量設定部20は有している。本実施形態では、特に、目的地に到着する前に、最後に経由する充電ステーションにおけるバッテリ7への充電量を指定する。例えば、充電ステーションに到着した際のバッテリ7の残り電力量が30%である場合に、その充電ステーションにおける充電量を80%充電とするために、その充電量(80%)が、充電量設定部20によって指定される。
【0039】
〔経路探索方法について〕
以上の構成を備えた経路探索装置1によって実行される経路探索方法について説明する。図2は、この経路探索方法を説明するフロー図である。図3図6は、経路探索を順に説明する説明図である。なお、図4図6において、経由地となり得る充電ステーションを、E1〜E8としている。
【0040】
前記のとおり、車載装置3から送信情報i1(図1参照)が送信され、経路探索装置1がこれを受信することにより、送信情報i1に含まれている電気自動車2のID情報の他、この電気自動車2の現在位置(出発地)の情報、目的地の情報及びバッテリ7の残り電力量の情報を取得する(図2のステップS1)。これにより、図3に示すように、出発地と目的地とが、道路ネットワークデータベース15a(図1参照)に基づく地図上に設定される。
【0041】
第1探索部11は、各データベースを参照し、ダイクストラ法に基づいて、出発地を起点とした航続可能範囲に含まれる充電ステーション、及び、出発地からその充電ステーションまでの区間経路を求める処理を行う(ステップS2)。第1探索部11は、起点(出発地)におけるバッテリ7の電力量から、道路リンクを進む毎に消費するバッテリ7の電力量を減算しながら、到達可能な充電ステーションを見つける。本実施形態では、図4に示すように、充電ステーションE1〜E5が求められ、出発地から充電ステーションE1〜E5それぞれまでの区間経路w1〜w5が求められる。これら充電ステーションE1〜E5は、最初に経由する充電ステーション(候補)である。
【0042】
このような、充電ステーションを求めるための処理は、個別に並列して進められる。つまり、充電ステーションE1〜E5を求めるための演算及び区間経路w1〜w5を求めるための演算は、個別に並列して実行される(同時に進められる)。
また、ステップS2では、経時的に変化する動的情報を用いて区間経路が求められる。経時的に変化する動的情報としては、例えば、道路の渋滞状況に関する交通情報がある。このような交通情報は、交通情報データベース15bに蓄積されており、このデータベース15bを参照することで、第1探索部11は動的情報を用いて区間経路のリンクコストを算出する。
【0043】
なお、出発地から目的地へと向かう方向には、地図情報によれば、図4の二点鎖線で示す他の充電ステーションE6〜E8も存在しているが、これら充電ステーションE6〜E8は、出発地を起点とした航続可能範囲に含まれない位置に存在している。このため、第1探索部11は、これら充電ステーションE6〜E8を最初の経由地として求めることができない。
つまり、電気自動車では、一回の航続により走行可能となる距離が制限されており、例えば、バッテリ7が満充電の状態で200キロメートルである。したがって、電気自動車の場合、出発地を中心として半径200キロメートルの範囲が、一回の航続可能範囲の最大となる。なお、この航続可能範囲は、途中の道路リンクの勾配等に応じて変化する。
【0044】
また、このステップS2では、一つの出発地から一つの充電ステーションまでの区間経路が複数存在していると、道路リンクのリンクコストの総和が最小となる区間経路を、最終的な推奨経路に含まれる区間経路の候補として残す。例えば、出発地から充電ステーションE2に到達する区間経路が複数存在している場合、このうち、リンクコストの総和が最小となる区間経路w2のみが候補として残される。そして、本実施形態では、候補として残された区間経路がw1〜w5であり、これら区間経路w1〜w5の情報、及び、経由する充電ステーションE1〜E5の情報が記憶装置15に記憶される(ステップS3)。
【0045】
第2探索部12は、各データベースを参照し、ダイクストラ法に基づいて、第1探索部11により求められた充電ステーションE1〜E5それぞれを起点とした航続可能範囲に含まれる別の充電ステーション、及び、これら起点(E1〜E5)それぞれから、別の充電ステーションまでの区間経路を求める区間経路探索処理(1回目)を行う(ステップS4)。第2探索部12は、起点(充電ステーションE1〜E5それぞれ)におけるバッテリ7の電力量から、道路リンクを進む毎に消費するバッテリ7の電力量を減算しながら、到達可能な充電ステーションを見つける。本実施形態では、図5に示すように、充電ステーションE6〜E8が求められ、充電ステーションE1〜E5それぞれから、充電ステーションE6〜E8それぞれまでの区間経路w6〜w14が求められる。この区間経路探索処理(1回目)によって求められる充電ステーションは、2回目に経由する充電ステーション(候補)である。
【0046】
この区間経路探索処理により求められる充電ステーションは、起点となっている充電ステーションE1〜E5とは異なる充電ステーションE6〜E8であり、さらに、今まで求められていない充電ステーションE6〜E8である。
また、このような充電ステーションを求めるための処理は、個別に並列して進められる。つまり、充電ステーションE6〜E8を求めるための演算及び区間経路w6〜w14を求めるための演算は、個別に並列して実行される(同時に進められる)。
【0047】
さらに、このステップS4では、経時的に変化する動的情報を用いて区間経路が求められる。経時的に変化する動的情報としては、例えば、道路の渋滞状況に関する交通情報がある。このような交通情報は、交通情報データベース15bに蓄積されており、このデータベース15bを参照することで、第2探索部12は動的情報を用いて区間経路のリンクコストを算出する。
【0048】
なお、図5に示すように、充電ステーションE1〜E5それぞれから、別の充電ステーションE6〜E8へと向かう方向のさらに遠方には、目的地が存在している。しかし、この目的地は、充電ステーションE1〜E5それぞれを起点とした航続可能範囲に含まれない位置に存在している。このため、第2探索部12は、区間経路探索処理(1回目)において、充電ステーションE1〜E5それぞれから目的地までの区間経路を検索することができない。
つまり、充電ステーションE1〜E5それぞれを起点とした一回の航続可能範囲内の範囲に、目的地が存在しておらず、充電ステーションE6〜E8が存在しているため、これら充電ステーションE6〜E8、及び、区間経路w6〜w14が、第2探索部12によって求められる。
【0049】
また、この区間経路探索処理(ステップS4)では、一つの充電ステーションから一つの別の充電ステーションまでの区間経路が複数存在していると、道路リンクのリンクコストの総和が最小となる区間経路を、最終的な推奨経路に含まれる区間経路の候補として残す。例えば、充電ステーションE3から充電ステーションE6に到達する区間経路が複数存在している場合、このうち、リンクコストの総和が最小となる区間経路w7のみが候補として残される。
【0050】
さらに、この区間経路探索処理(ステップS4)では、起点とした複数の充電ステーションそれぞれから一つの別の充電ステーションに到達する区間経路(候補)が複数存在していると、これら複数の候補のうち、道路リンクのリンクコストの総和が最小となる区間経路が、最終的な推奨経路に含まれる区間経路の候補として残される。例えば、図5において、充電ステーションE7に到達する区間経路として、充電ステーションE3を起点とする区間経路W8、充電ステーションE4を起点とする区間経路W10、及び、充電ステーションE5を起点とする区間経路W13が存在するが、このうち、リンクコストが最小となる区間経路(本実施形態ではW8)のみが、候補として残され、区間経路W10と区間経路W13とは、最終的な推奨経路に含まれる区間経路の候補として残されない。
以上より、ステップS4では、候補として残された区間経路は、区間経路w7,w8,w9,w14であり、これら区間経路w7,w8,w9,w14の情報、及び、経由する充電ステーションE6〜E8の情報が記憶装置15に記憶される(ステップS5)。
【0051】
このように、リンクコストの総和が最小とならない区間経路は候補から次々と削除され、リンクコストを比較すると優位となる区間経路w7,w8,w9,w14が候補として残されるため、区間経路の探索が冗長となる範囲が削減される。
これを図示して説明する。区間経路探索処理(1回目)では、充電ステーションE1〜E5それぞれを起点とした航続可能範囲に含まれる複数の充電ステーションが求められているが、充電ステーションE1〜E5それぞれからの探索範囲は、図7に示すとおりである。つまり、充電ステーションE1を起点とする探索範囲は符号Q1で示す円(楕円)の範囲内であり、他も同様に、充電ステーションE2〜E5の探索範囲は、それぞれ符号Q2〜Q5で示す円(楕円)の範囲内である。なお、探索範囲を楕円としているのは、本実施形態では、目的地の方向を優先とする探索範囲決定法を採用しているためである。
【0052】
そして、この区間経路探索処理(1回目)において、充電ステーションE1〜E5それぞれからの区間経路の探索を個別に並列して実行すると、図7に示すように、探索範囲が重なる領域が生じ、この領域での探索が冗長となる。しかし、本実施形態によれば、このように重なり合う領域の中間線上で、一方の充電ステーションを起点とする経路のリンクコスト(総和)が、他方の充電ステーションを起点とする経路のリンクコスト(総和)よりも優位になると、他方の経路が削除され一方の経路のみとなり、このため、冗長域が発生しない。このように冗長域が発生していない本実施形態における充電ステーションE1〜E5それぞれからの探索範囲のイメージは、図8に示すとおりとなる。
なお、区間経路の探索を行う処理時間は、探索する要素(道路・交差点)の数に比例しており、その要素の数は、一般的に、探索する延べ面積(探索範囲)に比例する。したがって、本実施形態では重なり合う探索範囲が削減されることにより、処理時間の短縮化に大きく貢献する。
【0053】
区間経路探索処理について更に説明する。図4に示すように、第1探索部11によって区間経路w1〜w5が求められていることから、区間経路w1〜w5それぞれを電気自動車2が走行した場合の消費電力、つまり充電ステーションE1〜E5に到着した際の残り電力量を算出(推定)することが可能である。そして、充電ステーションE1〜E5それぞれでは、区間経路w1〜w5それぞれを走行したことによる消費電力に応じた充電が行われることから、所定の充電量(例えば80%充電)に達するまでの充電時間が異なることが考えられる。
そこで、第2探索部12は、充電ステーションE1〜E5に到着した際のバッテリ残量から所定の充電量(例えば80%充電)に達するまでに要する充電時間を求め、この充電時間をリンクコストに含め、区間経路を求める処理を行う。
【0054】
例えば、充電ステーションE3に到達した電気自動車2では、バッテリ残量が40%であると算出されると、所定の充電量(例えば80%)に達するまでに要する充電時間が求められ、この充電時間がリンクコストに含められる。また、充電ステーションE4に到達した電気自動車2では、バッテリ残量が60%であると算出されると、所定の充電量(例えば80%)に達するまでに要する充電時間が求められ、この充電時間がリンクコストに含められる。なお、充電量と充電時間との関係はデータベース化されており、このデータベースは、記憶装置15に記憶されている。
そして、ステップS4では、前記のとおり、充電ステーション毎で充電時間が異なることに起因するリンクコストの相違を考慮して、リンクコストの総和が最小となる区間経路のみが、候補として残される。また、このように、充電時間をリンクコストに含めることで、最終的に、目的地の到着時刻の推定をより正確に行うことが可能となる。
なお、各充電ステーションにおける充電時間は、充電ステーション(充電設備)の供給電力(急速又は普通)に基づいて求められる。
【0055】
また、第2探索部12は、前記のとおり、充電ステーションE1〜E5で費やされる時間をリンクコストに含めると共に、経時的に変化する動的情報として、充電ステーションE1〜E5それぞれで費やされた時間経過後における交通情報を用いて、区間経路を求める。例えば、区間経路w3を走行し、充電ステーションE3で充電し、区間経路w8を走行する場合、充電ステーションE3に到着した時刻では、区間経路w8において渋滞しており、区間経路w8はリンクコストが最小とならないような場合であったとしても、この充電ステーションE3における充電時間が経過すると(例えば到着した時刻から1時間後の時刻であると)、区間経路w8の渋滞が解消されていることがある。この場合、区間経路w8はリンクコストが最小となり得る。なお、このように、時間帯毎(時刻毎)の道路リンクと渋滞等の交通情報との関係を示す情報は、データベース化されていることから(データベース15b)、第2探索部12は、このデータベースを参照することで、リンクコストの算出が可能となる。
【0056】
さらに、図2に示す推奨経路の探索処理(ステップS2)が開始された時刻では、例えば充電ステーションE6(図5参照)は営業時間(充電可能時間)であるが、交通情報データベース15bを参照すると、この充電ステーションE6へと向かう途中の道路では、通行予定時刻に渋滞が予想されており、この渋滞によってその充電ステーションE6への到着時刻が、営業時間外となるような場合には、その充電ステーションE6が経由地として設定されないようにする必要がある。そこで、第2探索部12は、経時的に変化する動的情報、つまり、充電ステーションE6へと向かう途中の道路リンクを通過する予定時間帯の渋滞情報を用いて、区間経路を求めることで、充電ステーションE6が経由地として設定されないようにすることが可能となる。充電ステーションE6の営業時間は、充電ステーション用データベース15cに蓄積されている使用可能時間帯に関する属性情報を参照することにより、判断可能である。
なお、以下の実施形態では、経由する充電ステーションとしてE6が含まれている場合を説明する。
【0057】
図2のステップS5に戻り、経由する充電ステーションE6〜E8の情報、及び、区間経路w7,w8,w9,w14の情報が記憶装置15に記憶されると、第2探索部12は、区間経路の探索が目的地に到達したか否かの判定を行う(ステップS6)。
本実施形態(図5)では、未だ到達していないことから(ステップS6で「No」)、ステップS4へと戻り、第2探索部12は、区間経路探索処理(2回目)を実行する。
【0058】
すなわち、第2探索部12は、各データベースを参照し、ダイクストラ法に基づいて、区間経路探索処理(1回目)により求められた充電ステーションE6〜E8それぞれを起点とした航続可能範囲に含まれる別の充電ステーション、及び、これら起点(E6〜E8)それぞれから、別の充電ステーションそれぞれまでの区間経路を求める区間経路探索処理(2回目)を行う(ステップS4)。1回目と同様に、この2回目においても、第2探索部12は、起点(充電ステーションE6〜E8それぞれ)におけるバッテリ7の電力量から、道路リンクを進む毎に消費するバッテリ7の電力量を減算しながら、航続可能範囲内の別の充電ステーションを見つけようとする。
【0059】
しかし、本実施形態では、充電ステーションE6〜E8それぞれを起点とした航続可能範囲に、目的地が含まれていることを先に検出することから、この区間経路探索処理(2回目)では、充電ステーション及びその区間経路の代わりに、充電ステーションE6〜E8それぞれから、航続可能範囲に含まれている目的地までの区間経路w15〜w17が求められる(図6参照)。
【0060】
この第2探索部12による探索処理では、一つの充電ステーションから一つの目的地までの区間経路が複数存在していると、道路リンクのリンクコストの総和が最小となる区間経路が、最終的な推奨経路に含まれる区間経路の候補として残される。例えば、充電ステーションE6から目的地に到達する区間経路が複数存在している場合、このうち、リンクコストの総和が最小となる区間経路w15のみが候補として残される。
そして、本実施形態では、候補として残された区間経路が、区間経路w15〜w17であり、これら区間経路w15〜w17の情報が記憶装置15に記憶される(ステップS5)。
【0061】
以上のように、第2探索部12は、第1探索部11又は第2探索部12により求められた複数の充電ステーションそれぞれを起点とした航続可能範囲内の複数の別の経由地、及び、これら別の経由地それぞれまでの区間経路を求める区間経路探索処理(ステップS4)を、目的地に到達するまで繰り返し行う。
【0062】
さらに、第2探索部12は、区間経路w15〜w17それぞれを走行した場合において、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量を推定する(算出する)。目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量については、第2探索部12は、交通情報データベース15bに記憶されている情報に基づいて、算出可能である。つまり、充電ステーションE6〜E8それぞれにおけるバッテリ7の電力量から、区間経路w15〜w17それぞれを走行するために要した電力消費量を減算することにより、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量を求めることが可能となる。
【0063】
そして、区間経路の探索において目的地に到達していると、ステップS6において「Yes」の判定がされる。すると、決定部13は、推奨経路を決定する処理を行い(ステップS7)、決定した推奨経路の情報を、応答情報i2に含めて、車載装置3へ送信する処理を行う(ステップS8)。
本実施形態では、図6に示すように、出発地から目的地に到達するまでの全経路として、充電ステーションE3及びE6を経由する第1の全経路G1と、充電ステーションE3及びE7を経由する第2の全経路G2と、充電ステーションE4及びE6を経由する第3の全経路G3と、充電ステーションE5及びE8を経由する第4の全経路G4とが取得されており、これら4つの全経路G1〜G4が記憶装置15に記憶されている。
さらに、全経路G1〜G4それぞれの場合に関して、第2探索部12によって、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が推定されていることから、これら残り電力量の情報についても、全経路G1〜G4それぞれと対応付けられて、記憶装置15に記憶されている。
【0064】
このように、第2探索部12による区間経路探索処理(ステップS4)が行われることで、出発地から目的地に到達するまでの全経路が4つ得られていることから、決定部13は、これら4つの全経路G1〜G4の中から、最適である一つの全経路を推奨経路として決定する。この決定は、経路探索装置1に初期設定されている条件に基づいて、又は、ドライバが設定した条件に基づいて行われる。ドライバが条件を設定する場合、前記送信情報i1に、決定部13が推奨経路を決定するための条件を示す設定情報が含まれる。
【0065】
〔推奨経路の決定処理について〕
本実施形態では「目的地に到着した際の電気自動車2が有するバッテリ7の残り電力量」を、複数の全経路G1〜G4から最適である推奨経路を一つ選択するための条件としている。前記のとおり、第2探索部12によって、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が推定されていることから、決定部13は、この推定された残り電力量に基づいて、複数の候補となる全経路G1〜G4の中から一つを、目的地までの推奨経路として決定する。以下、決定部13によって行われる推奨経路の決定処理の具体例について説明する。
【0066】
〔決定処理の具体例1〕
図6において、4つの候補となる全経路G1〜G4のうち、出発地から目的地までの走行距離が最短となるのは、全経路G1であると仮定する。そして、図9は、図6の全経路G1と全経路G2とを簡略化した説明図である。
全経路G1に含まれる区間経路w15を走行した場合、充電ステーションE6で充電を行ったが、区間経路w15が長くてバッテリ7の消費電力が多くなり、第2探索部12による推定機能によって、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が20%になると推定されているとする。
これに対して、全経路G2の場合、充電ステーションE7で充電を行い、区間経路w16を走行すると、区間経路w15と比較してバッテリ7の消費電力が少なく、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が50%になると推定されているとする。
そして、目的地に到着した後、その目的地から出発地へと反対に戻ることを考えた場合、この目的地に最も近い充電ステーションE7に到達するためには、目的地を出発する時点でバッテリ7の残り電力量が40%必要であるとする。
【0067】
この場合、出発地から目的地へと向かう往路では、走行距離が最短となる全経路G1が推奨経路と選択され、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が20%であると、その復路において、電気自動車2は目的地に最も近い充電ステーションE7に到達することができないおそれがある。
そこで、この具体例1では、出発地から目的地までの走行距離が最短ではないが、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が、次の充電ステーションE7に到着するために必要となる充電量40%を超える、全経路G2が推奨経路として、決定部13によって決定される。
【0068】
〔決定処理の具体例2〕
電気自動車2のバッテリ7は、長期利用しない場合、推奨充電深度で保管するのがバッテリ7の性能を確保する観点で好ましい。そこで、探索部10は、出発地から目的地までの全経路の探索を行うと共に、この目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量を推定することから、探索部10が推定した残り電力量が、指定された「指定電力量」に最も近くなる経路を、推奨経路として決定部13は決定する。そして、この「指定電力量」が、前記推奨充電深度に設定されていればよく、推奨充電深度は50%である。
【0069】
例えば、図10に示すように、充電ステーションE7で充電を行った後、全経路G2に含まれる区間経路w16を走行した場合、第2探索部12による推定機能によって、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が75%になると推定されているとする。
これに対して、全経路G4の場合、充電ステーションE8で充電を行った後、全経路G4に含まれる区間経路w17を走行すると、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が55%になると推定されているとする。
この場合、決定部13は、推定された残り電力量が、指定された指定電力量である50%に最も近くなる全経路G4を、推奨経路として決定する。これにより、電気自動車2は全経路G4を走行し、目的地に到着すると、バッテリ7の残り電力量は55%程度となっていることから、その状態で長期にわたって目的地で電気自動車2を保管することができ、バッテリ7の性能確保に好ましい状態が得られる。
【0070】
なお、この指定電力量の情報は、電力量設定部14によって設定され演算装置17の内部メモリに記憶されているが、「指定電力量」の値については、電力量設定部14が設定することができる。つまり、「指定電力量」を任意の値に変更することができる。
この「指定電力量」の情報は、例えば、ドライバが車載装置3に対して設定(入力)し、「指定電力量」の情報を前記送信情報i1に含ませればよい。この送信情報i1を受信した経路探索装置1において、電力量設定部14は、前記「指定電力量」の情報を新たに設定し、これに基づいて、決定部13による推奨経路の決定が行われる。
【0071】
〔決定処理の具体例3〕
前記具体例2では、全経路G4に含まれる区間経路w17を走行すると、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が55%(推定値)になることから、この全経路G4を推奨経路として決定することにより、長期保管する場合に、バッテリ7の性能確保に好ましい状態が得られる。
しかし、全経路が複数求められ、どの全経路を走行したとしても、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が「指定電力量(例えば50%)」に近くならないことが、当然に想定される。この場合、目的地に到着する前に経由地として立ち寄る充電ステーションにおけるバッテリ7への充電量を、充電量設定部20が指定する。
【0072】
すなわち、全経路G1〜G4において、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が、それぞれ70%、80%、75%、75%であったとする。なお、この値は、全経路G1〜G4それぞれにおいて、目的地到着前に立ち寄る充電ステーションではフル充電(100%充電)を行った場合である。
このように、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が、「指定電力量(50%)」と大きく隔たりがある場合、図11に示すように、例えば最小時間として全経路G1が決定部13によって決定されると、この全経路G1において目的地に到着する前に立ち寄る充電ステーションE6における充電量を、充電量設定部20が指定する。
具体的には、充電量設定部20は、充電ステーションE6においてフル充電を行うのではなく、目的地に到着した際にバッテリ7の残り電力量が指定電力量(50%)となるための充電量として、充電完了後のバッテリ7の電力量が80%となる充電量を指定する。
【0073】
このように80%充電で電気自動車2は充電ステーションE6を出発し、目的地に到着すると、その目的地ではバッテリ7の残り電力量が50%となる。
この具体例3のように、充電量設定部20によれば、目的地に到着した際のバッテリの残り電力量を、指定電力量(50%)に近づけることが可能となる。
【0074】
〔決定処理の具体例4〕
図12は、全経路G4を簡略化した説明図である。この具体例4では、充電ステーションE8においてバッテリ7に充電を行い、目的地へと向かって区間経路w17を走行するが、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が10%になると、探索部10の推定機能によって推定されるとする。
なお、この具体例4では、充電ステーションE8から目的地へと向かう途中に、他の充電ステーションE9が存在しており、また、目的地に充電設備(充電ステーション)E10が備えられているとする。さらに、この経路探索装置1では「通常設定」として、バッテリ7の残り電力量が20%未満となる場合に、充電を行う必要があると設定されている。このため、具体例4では、目的地へと到着する前の走行途中で、バッテリ7の残り電力量が20%未満となるので、「通常設定」では充電ステーションE9を経由する経路が、探索部10によって探索され、決定部13によって、この充電ステーションE9を経由する全経路G4−1が推奨経路として決定されると考えられる。
【0075】
ここで、充電ステーションE9を経由しない場合、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量が10%となり、これは既定の下限値(20%)未満となるが、バッテリ切れとならずに目的地に到着可能である。さらに、この目的地に充電設備E10が備えられていることから、「例外設定」として、充電ステーションE9を経由しない経路が、探索部10によって探索される。そして、決定部13は、「例外設定」を優先し、充電ステーションE9を経由しない区間経路w17を含む全経路G4−2を推奨経路として決定することができる。
【0076】
このように、探索部10は、目的地までの経路の候補として、バッテリ7の残り電力量が既定の下限値(20%)未満になるために途中で充電ステーションE9を経由する全経路G4−1を「通常設定」に基づいて探索可能であると共に、「例外設定」として、バッテリ7の残り電力量が既定の下限値(20%)未満となってもバッテリ切れとならなければ充電ステーションE9を経由しない全経路G4−2を探索可能である。
【0077】
〔本実施形態に係る経路探索装置1に関して〕
以上、本実施形態に係る経路探索装置1によれば、目的地に到着した際のバッテリ7の残り電力量に基づいて、その目的地までの推奨経路が決定されるので、目的地に到着したとしても、例えば次に移動するために必要となるバッテリの残り電力が足りなくなるというような、目的地に到着後の電気自動車2における問題点の発生を防止することが可能となる。
また、図12に示す具体例4のように、目的地に充電ステーションE10が設置されており、目的地で充電が可能である場合には、バッテリ7の残り電力量が既定の下限値(例えば20%)未満となっていてもバッテリ切れとならなければ、「通常設定」では経由するはずである充電ステーションE9を経由しない全経路G4−2を、推奨経路とすることができる。
【0078】
そして、本実施形態では、探索部10は、目的地までの全経路の候補として、バッテリ7に対して充電を行う充電ステーションを経由地として含む全経路を探索可能であることから、出発地から目的地までの走行距離が、電気自動車2の航続可能距離よりも長くても、充電ステーションを経由してバッテリ7の充電を行うことで、目的地に到着することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態に係る経路探索装置1によれば、図6に示すように、出発地を起点とした航続可能範囲内の複数の充電ステーションE1〜E5が求められ、さらに、第2探索部12による区間経路探索処理によれば、この充電ステーションE1〜E5それぞれを起点とした航続可能範囲内の複数の別の充電ステーションE6〜E8が求められる。そして、このような区間経路探索処理が、目的地に到達するまで繰り返し行われるため、出発地から充電ステーションを求めながら目的地までの全経路が自動的に探索される。しかも、充電ステーションを経由する回数が最も少ない全経路が探索され、さらに、充電ステーションとなり得る地点間の経路の組み合わせを総当たりで計算する必要がなくなり、処理時間の短縮化が可能となる。
そして、出発地から充電ステーションを求めながら目的地までの全経路が複数について得られると、その中から一つが推奨経路として決定される。
この結果、電気自動車2の航続可能距離が、出発地から目的地までの距離よりも短くても、充電ステーションを経由することにより、目的地に到達することが可能となる推奨経路が得られる。
【0080】
また、以上説明した各実施形態では、第1探索部11及び第2探索部12は、区間経路の探索のために、経時的に変化する動的情報として時間帯毎の旅行時間(交通情報)を用いることについて説明したが、動的情報はこれ以外であってもよい。例えば、道路(道路リンク)の通行止めや速度規制等の交通規制の情報、各充電ステーションにおける電力の情報、及び、電気自動車2のバッテリ7の消費電力に影響を与える因子の情報等がある。前記因子の情報としては、例えば、降雨時にはバッテリ7の電力によりワイパーを作動させるため、出発地から目的地までの地域の気象についての情報がある。また、日照の程度やトンネル内の走行に応じてバッテリ7の電力によりヘッドライトを点灯させることから、ヘッドライトの点灯・照度の情報等がある。
また、バッテリ7の消費電力に影響を与える因子の情報として、気象(温度)についての情報がある。周辺温度は、車載のエアコン(空調設備)の作動負荷に影響を与え、特に、電気自動車の場合、その影響が大きく、ガソリン車のように廃熱を利用したヒータを備えていないことから、周辺温度が低いと、暖房のためにエアコンを作動させる必要がある。このように、周辺温度が高温であっても低温であってもエアコンを作動させることから、バッテリ7の電力が大きく消費される。また、周辺温度が低くなると、バッテリ7の電力も低下することから、バッテリ7の消費電力に影響を与える因子の情報として、気象(温度)についての情報を含ませるのが好ましい。
このような動的情報は、記憶装置15にデータベース化されており、第1探索部11及び第2探索部12は、このデータベースを参照することで、各道路リンク及び各区間経路におけるバッテリ7の消費電力を、走行自体の消費電力とは別に、動的に算出することができ、これを区間経路の探索(航続可能範囲)に反映させることが可能となる。
【0081】
また、第1探索部11及び第2探索部12は、区間経路の探索のために、静的な情報を参照してもよい。静的な情報としては、例えば、各道路リンクの勾配(道路勾配)に関する情報がある。この道路勾配の情報は、各道路リンクを走行した場合のバッテリ7の消費電力を算出する際に重要である。例えば、上り勾配が大きい道路リンクの場合、バッテリ7の消費電力が多くなる。このような道路の勾配に関する静的な情報は、記憶装置15にデータベース化されており、第1探索部11及び第2探索部12は、このデータベースを参照する。これにより、静的な情報を、区間経路の探索(航続可能範囲)に反映させることが可能となる。
【0082】
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
探索部10による経路探索は、前記実施形態で説明した以外に、他の方法であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1:経路探索装置 2:電気自動車 7:バッテリ 10:探索部 13:決定部 14:電力量設定部 20:充電量設定部 15c:充電ステーション用データベース E1〜E8:充電ステーション
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