【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明において、撥水性保護膜とは、ウェハ表面に形成されることにより、該ウェハ表面の濡れ性を低くする膜、すなわち撥水性を付与する膜のことである。本発明において撥水性とは、物品表面の表面エネルギーを低減させて、水やその他の液体と該物品表面との間(界面)で相互作用、例えば、水素結合、分子間力などを低減させる意味である。特に水に対して相互作用を低減させる効果が大きいが、水と水以外の液体の混合液や、水以外の液体に対しても相互作用を低減させる効果を有する。該相互作用の低減により、物品表面に対する液体の接触角を大きくすることができる。以降、撥水性保護膜を単に「保護膜」と記載する場合がある。
【0012】
本発明の薬液を用いてウェハの処理を行うと、洗浄液がウェハの凹凸パターンの凹部から除去されるとき、すなわち、乾燥されるとき、少なくとも凹部表面に前記保護膜が形成されているので、該凹部表面の毛細管力が小さくなり、パターン倒れが生じにくくなる。
【0013】
本発明の第1の態様(以降「第1方法」と記載する場合がある)は、表面に凹凸パターンを有し該凹凸パターンの少なくとも一部がケイ素元素を含むウェハの洗浄時に、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成するための、非水有機溶媒と、シリル化剤と、酸又は塩基とを有する、撥水性保護膜形成用薬液(以降「保護膜形成用薬液」又は単に「薬液」と記載する場合がある)の調製方法であり、
非水有機溶媒中の水分濃度を200質量ppm以下にする、脱水工程、
脱水工程後の非水有機溶媒と、シリル化剤と、酸又は塩基とを混合する、混合工程
を有することを特徴とする、撥水性保護膜形成用薬液の調製方法である。
【0014】
前記脱水工程において、非水有機溶媒中の水分濃度を200質量ppm以下にすると、その後の混合工程で非水有機溶媒と、シリル化剤と、酸又は塩基とを混合した際に、加水分解等によるシリル化剤、及び酸又は塩基の活性低下が起こり難いため、得られる薬液を用いると、ウェハの凹部表面に優れた撥水性を付与することができる。さらには、薬液中のシリル化剤、及び酸又は塩基の経時的な劣化が低減されるため、該薬液のポットライフは優れたものとなる。また、前記非水有機溶媒中の水分濃度が100質量ppm以下であると、より好ましくは50質量ppm以下であると、薬液の撥水性付与効果、ポットライフがより優れたものとなるため好ましい。なお、前記脱水工程における、非水有機溶媒中の水分濃度は上記範囲内であれば、0.1質量ppm以上であってもよい。なお、本発明において水分濃度の測定は、例えば、カールフィッシャー式水分計による測定によって行うことができる。
【0015】
前記脱水工程は、非水有機溶媒を蒸留精製すること、非水有機溶媒に不溶性の水吸着剤を加えて該溶媒から水を除去すること、乾燥した不活性ガスによりばっ気置換すること、加熱若しくは真空加熱することからなる群から選ばれる少なくとも1つの方法であることが好ましい。
【0016】
また、前記非水有機溶媒に不溶性の水吸着剤は、ゼオライト、5酸化2リン、シリカゲル、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水塩化亜鉛、発煙硫酸、ソーダ石灰からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0017】
本発明の第1方法で用いる非水有機溶媒は、具体的には、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロシクロヘキサン、ヘキサフルオロベンゼンなどのパーフルオロカーボン、1、1、1、3、3−ペンタフルオロブタン、オクタフルオロシクロペンタン、2,3−ジハイドロデカフルオロペンタン、ゼオローラH(日本ゼオン製)などのハイドロフルオロカーボン、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、アサヒクリンAE−3000(旭硝子製)、Novec7100、Novec7200、Novec7300、Novec7600(いずれも3M製)などのハイドロフルオロエーテル、テトラクロロメタンなどのクロロカーボン、クロロホルムなどのハイドロクロロカーボン、ジクロロジフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどのハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテル等がある含ハロゲン溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ヘキサノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-ノナノラクトン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカノラクトン、γ-ドデカノラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-ノナノラクトン、δ-デカノラクトン、δ-ウンデカノラクトン、δ-ドデカノラクトン、ε-ヘキサノラクトン等のラクトン系溶媒、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールジアセテート、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラプロピレングリコールジアセテート、ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールジアセテート、グリセリントリアセテート等の多価アルコールの誘導体、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の窒素元素含有溶媒が挙げられる。
【0018】
前記非水有機溶媒は、炭化水素類、エステル類、エーテル類、ケトン類、含ハロゲン溶媒、スルホキシド系溶媒、ラクトン系溶媒、カーボネート系溶媒、OH基を持たない多価アルコールの誘導体、N−H基を持たない窒素元素含有溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。前記シリル化剤はOH基やN−H基を含有する非水有機溶媒と反応し易いことから、前記非水有機溶媒として、OH基やN−H基を含有する非水有機溶媒を用いると、前記シリル化剤の反応性が低減する恐れがあり、その結果、短時間で撥水性を発現し難い恐れがある。一方、前記シリル化剤はOH基やN−H基を含有しない非水有機溶媒と反応し難いことから、前記非水有機溶媒として、OH基やN−H基を含有しない非水有機溶媒を用いると、前記シリル化剤の反応性が低減し難く、その結果、短時間で撥水性を発現し易い。なお、OH基やN−H基を含有しない非水有機溶媒は、OH基やN−H基を含有しない非水極性溶媒とOH基やN−H基を含有しない非水非極性溶媒の両方のことである。
【0019】
また、前記非水有機溶媒の一部、又は、全てに不燃性のものを使うと、保護膜形成用薬液が不燃性になる、あるいは、引火点が高くなって、該薬液の危険性が低下するので好ましい。含ハロゲン溶媒は不燃性のものが多く、不燃性含ハロゲン溶媒は不燃性有機溶媒として好適に使用できる。
【0020】
また、前記非水有機溶媒として引火点が70℃を超える溶媒を用いると、消防法上の安全性の観点から好ましい。
【0021】
また、「化学品の分類および表示に関する国際的調和システム;GHS」によると、引火点が93℃以下の溶媒を「引火性液体」として定義している。そのため、不燃性溶媒でなくとも、前記非水有機溶媒として引火点が93℃を超える溶媒を用いると、前記保護膜形成用薬液の引火点は93℃超になりやすく、該薬液が「引火性液体」に該当し難くなるため、安全性の観点からさらに好ましい。
【0022】
ラクトン系溶媒や、カーボネート系溶媒や、多価アルコールの誘導体のうちOH基を持たないものは、引火点が高いものが多いので、前記保護膜形成用薬液の危険性を低くできるので好ましい。上記の安全性の観点から、具体的には引火点が70℃を超える、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ヘキサノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-ノナノラクトン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカノラクトン、γ-ドデカノラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-ノナノラクトン、δ-デカノラクトン、δ-ウンデカノラクトン、δ-ドデカノラクトン、ε-ヘキサノラクトン、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールジアセテート、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラプロピレングリコールジアセテート、ブチレングリコールジアセテート、グリセリントリアセテート等を前記非水有機溶媒として用いることがより好ましく、引火点が93℃を超える、γ-ブチロラクトン、γ-ヘキサノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-ノナノラクトン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカノラクトン、γ-ドデカノラクトン、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-ノナノラクトン、δ-デカノラクトン、δ-ウンデカノラクトン、δ-ドデカノラクトン、ε-ヘキサノラクトン、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールジアセテート、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラプロピレングリコールジアセテート、ブチレングリコールジアセテート、グリセリントリアセテート等を前記非水有機溶媒として用いることがさらに好ましい。
【0023】
また、前記シリル化剤は、下記一般式[1]で表されるケイ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
(R
1)
aSi(H)
bX
14−a−b [1]
[式1中、R
1は、それぞれ互いに独立して、一部または全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基を含む1価の有機基である。また、X
1は、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、ハロゲン基、ニトリル基、および、−CO−NH−Si(CH
3)
3からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を表す。aは1〜3の整数、bは0〜2の整数であり、aとbの合計は1〜3である。]
【0024】
前記一般式[1]のR
1は前記保護膜の表面エネルギーを低減させて、水やその他の液体と該保護膜表面との間(界面)で相互作用、例えば、水素結合、分子間力などを低減させる。特に水に対して相互作用を低減させる効果が大きいが、水と水以外の液体の混合液や、水以外の液体に対しても相互作用を低減させる効果を有する。これにより、物品表面に対する液体の接触角を大きくすることができる。
【0025】
前記一般式[1]のX
1は、シリコンウェハの反応サイトであるシラノール基に対して反応性を有する反応性部位であり、該反応性部位とウェハのシラノール基とが反応し、シリル化剤がシロキサン結合を介してシリコンウェハのケイ素元素と化学的に結合することによって前記保護膜が形成される。洗浄液を用いたシリコンウェハの洗浄に際して、ウェハの凹部から洗浄液が除去されるとき、すなわち、乾燥されるとき、前記凹部表面に前記保護膜が形成されていると、該凹部表面の毛細管力が小さくなり、パターン倒れが生じにくくなる。
【0026】
前記一般式[1]のX
1の一例であるケイ素元素に結合する元素が窒素の1価の官能基には、水素、炭素、窒素、酸素だけでなく、ケイ素、硫黄、ハロゲンなどの元素が含まれていても良い。該官能基の例としては、イソシアネート基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、イソチオシアネート基、アジド基、アセトアミド基、−N(CH
3)C(O)CH
3、−N(CH
3)C(O)CF
3、−N=C(CH
3)OSi(CH
3)
3、−N=C(CF
3)OSi(CH
3)
3、−NHC(O)−OSi(CH
3)
3、−NHC(O)−NH−Si(CH
3)
3、イミダゾール環(下式[7])、オキサゾリジノン環(下式[8])、モルホリン環(下式[9])、−NH−C(O)−Si(CH
3)
3、−N(H)
2−h(Si(H)
iR
93−i)
h(R
9は、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1〜18の1価の炭化水素基、hは1又は2、iは0〜2の整数)などがある。
【0027】
また、前記一般式[1]のX
1の一例であるケイ素元素に結合する元素が酸素の1価の官能基には、水素、炭素、窒素、酸素だけでなく、ケイ素、硫黄、ハロゲンなどの元素が含まれていても良い。該官能基の例としては、アルコキシ基、−OC(CH
3)=CHCOCH
3、−OC(CH
3)=N−Si(CH
3)
3、−OC(CF
3)=N−Si(CH
3)
3、−O−CO−R
10(R
10は、一部又は全ての水素元素がフッ素元素等で置換されていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基)、一部又は全ての水素元素がフッ素元素等で置換されていても良いアルキルスルホネート基などがある。
【0028】
また、前記一般式[1]のX
1の一例であるハロゲン基には、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などがある。
【0029】
前記一般式[1]で表されるシリル化剤としては、例えば、CH
3Si(OCH
3)
3、C
2H
5Si(OCH
3)
3、C
3H
7Si(OCH
3)
3、C
4H
9Si(OCH
3)
3、C
5H
11Si(OCH
3)
3、C
6H
13Si(OCH
3)
3、C
7H
15Si(OCH
3)
3、C
8H
17Si(OCH
3)
3、C
9H
19Si(OCH
3)
3、C
10H
21Si(OCH
3)
3、C
11H
23Si(OCH
3)
3、C
12H
25Si(OCH
3)
3、C
13H
27Si(OCH
3)
3、C
14H
29Si(OCH
3)
3、C
15H
31Si(OCH
3)
3、C
16H
33Si(OCH
3)
3、C
17H
35Si(OCH
3)
3、C
18H
37Si(OCH
3)
3、(CH
3)
2Si(OCH
3)
2、C
2H
5Si(CH
3)(OCH
3)
2、(C
2H
5)
2Si(OCH
3)
2、C
3H
7Si(CH
3)(OCH
3)
2、(C
3H
7)
2Si(OCH
3)
2、C
4H
9Si(CH
3)(OCH
3)
2、(C
4H
9)
2Si(OCH
3)
2、C
5H
11Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
6H
13Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
7H
15Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
8H
17Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
9H
19Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
10H
21Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
11H
23Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
12H
25Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
13H
27Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
14H
29Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
15H
31Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
16H
33Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
17H
35Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
18H
37Si(CH
3)(OCH
3)
2、(CH
3)
3SiOCH
3、C
2H
5Si(CH
3)
2OCH
3、(C
2H
5)
2Si(CH
3)OCH
3、(C
2H
5)
3SiOCH
3、C
3H
7Si(CH
3)
2OCH
3、(C
3H
7)
2Si(CH
3)OCH
3、(C
3H
7)
3SiOCH
3、C
4H
9Si(CH
3)
2OCH
3、(C
4H
9)
3SiOCH
3、C
5H
11Si(CH
3)
2OCH
3、C
6H
13Si(CH
3)
2OCH
3、C
7H
15Si(CH
3)
2OCH
3、C
8H
17Si(CH
3)
2OCH
3、C
9H
19Si(CH
3)
2OCH
3、C
10H
21Si(CH
3)
2OCH
3、C
11H
23Si(CH
3)
2OCH
3、C
12H
25Si(CH
3)
2OCH
3、C
13H
27Si(CH
3)
2OCH
3、C
14H
29Si(CH
3)
2OCH
3、C
15H
31Si(CH
3)
2OCH
3、C
16H
33Si(CH
3)
2OCH
3、C
17H
35Si(CH
3)
2OCH
3、C
18H
37Si(CH
3)
2OCH
3、(CH
3)
2Si(H)OCH
3、CH
3Si(H)
2OCH
3、(C
2H
5)
2Si(H)OCH
3、C
2H
5Si(H)
2OCH
3、C
2H
5Si(CH
3)(H)OCH
3、(C
3H
7)
2Si(H)OCH
3等のアルキルメトキシシラン、あるいは、CF
3CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、C
2F
5CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、C
3F
7CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、C
4F
9CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、C
5F
11CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、C
6F
13CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、C
7F
15CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、C
8F
17CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、CF
3CH
2CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
2F
5CH
2CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
3F
7CH
2CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
4F
9CH
2CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
5F
11CH
2CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
6F
13CH
2CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
7F
15CH
2CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2、C
8F
17CH
2CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2、CF
3CH
2CH
2Si(CH
3)
2OCH
3、C
2F
5CH
2CH
2Si(CH
3)
2OCH
3、C
3F
7CH
2CH
2Si(CH
3)
2OCH
3、C
4F
9CH
2CH
2Si(CH
3)
2OCH
3、C
5F
11CH
2CH
2Si(CH
3)
2OCH
3、C
6F
13CH
2CH
2Si(CH
3)
2OCH
3、C
7F
15CH
2CH
2Si(CH
3)
2OCH
3、C
8F
17CH
2CH
2Si(CH
3)
2OCH
3、CF
3CH
2CH
2Si(CH
3)(H)OCH
3等のフルオロアルキルメトキシシラン、あるいは、前記アルキルメトキシシランや前記フルオロアルキルメトキシシランのメトキシ基のメチル基部分を、炭素数が2〜18の1価の炭化水素基に置き換えたアルコキシシラン化合物、あるいは、前記メトキシ基を、−OC(CH
3)=CHCOCH
3、−OC(CH
3)=N−Si(CH
3)
3、−OC(CF
3)=N−Si(CH
3)
3、−O−CO−R
10(R
10は、一部又は全ての水素元素がフッ素元素等で置換されていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基)、一部又は全ての水素元素がフッ素元素等で置換されていても良いアルキルスルホネート基、イソシアネート基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、イソチオシアネート基、アジド基、アセトアミド基、−N(CH
3)C(O)CH
3、−N(CH
3)C(O)CF
3、−N=C(CH
3)OSi(CH
3)
3、−N=C(CF
3)OSi(CH
3)
3、−NHC(O)−OSi(CH
3)
3、−NHC(O)−NH−Si(CH
3)
3、イミダゾール環、オキサゾリジノン環、モルホリン環、−NH−C(O)−Si(CH
3)
3、−N(H)
2−h(Si(H)
iR
93−i)
h(R
9は一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1〜18の1価の炭化水素基、hは
1又は2、iは0〜2の整数)、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、ニトリル基、または、−CO−NH−Si(CH
3)
3に置き換えた化合物などが挙げられる。
【0030】
前記一般式[1]において4−a−bで表されるシリル化剤のX
1の数が1であると、前記保護膜を均質に形成できるのでより好ましい。
【0031】
また、前記一般式[1]におけるR
1は、それぞれ互いに独立して、一部または全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基から選ばれる少なくとも1つの基、より好ましくは、C
mH
2m+1(m=1〜18)、及び、C
nF
2n+1CH
2CH
2(n=1〜8)から選ばれる少なくとも1つの基であると、前記凹凸パターン表面に保護膜を形成した際に、該表面の濡れ性をより低くできる、すなわち、該表面により優れた撥水性を付与できるためより好ましい。また、mが1〜12、nが1〜8であると、前記凹凸パターン表面に保護膜を短時間に形成できるためより好ましい。
【0032】
また、前記酸は、塩化水素、硫酸、過塩素酸、下記一般式[2]で表されるスルホン酸およびその無水物、下記一般式[3]で表されるカルボン酸およびその無水物、アルキルホウ酸エステル、アリールホウ酸エステル、トリス(トリフルオロアセトキシ)ホウ素、トリアルコキシボロキシン、トリフルオロホウ素、下記一般式[4]で表されるシラン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
R
2S(O)
2OH [2]
[式2中、R
2は、一部または全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基である。]
R
3COOH [3]
[式3中、R
3は、一部または全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基である。]
(R
4)
cSi(H)
dX
24−c−d [4]
[式4中、R
4は、それぞれ互いに独立して、一部または全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基である。また、X
2は、それぞれ互いに独立して、クロロ基、−OCO−R
5(R
5は、一部または全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基)、および、−OS(O)
2−R
6(R
6は、一部または全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を表す。cは1〜3の整数、dは0〜2の整数であり、cとdの合計は1〜3である。]
【0033】
前記一般式[2]で表されるスルホン酸およびその無水物としては、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸などがあり、前記一般式[3]で表されるカルボン酸およびその無水物としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸などがあり、前記一般式[4]で表されるシラン化合物としては、クロロシラン、アルキルシリルアルキルスルホネート、アルキルシリルエステルが好ましく、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルシリルトリフルオロアセテート、ジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ブチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、オクチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、オクチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、デシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、デシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートなどがある。
【0034】
また、前記塩基は、アンモニア、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルアニリン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、ピリジン、ピペラジン、N−アルキルモルホリン、下記一般式[5]で示されるシラン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つが好ましい。
(R
7)
eSi(H)
fX
34−e−f [5]
[式5中、R
7は、それぞれ互いに独立して、一部または全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基である。また、X
3は、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素であり、フッ素元素やケイ素元素を含んでいても良い1価の官能基である。eは1〜3の整数、fは0〜2の整数であり、eとfの合計は1〜3である。]
【0035】
薬液中に含まれる上記の酸又は塩基によって、前記シリル化剤とシリコンウェハの凹凸パターン表面の反応サイトであるシラノール基との反応が促進されるため、該薬液による表面処理によりウェハ表面に優れた撥水性を付与することができる。なお、前記酸又は塩基は、保護膜の一部を形成してもよい。
【0036】
反応促進効果を考慮すると、前記薬液中には酸が含まれることが好ましく、中でも塩化水素や過塩素酸などの強酸のブレンステッド酸、トリフルオロメタンスルホン酸や無水トリフルオロメタンスルホン酸などの、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置換されたアルカンスルホン酸やその酸無水物、トリフルオロ酢酸や無水トリフルオロ酢酸やペンタフルオロプロピオン酸などの、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置換されたカルボン酸やその酸無水物、クロロシラン、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置換されたアルキルシリルアルキルスルホネート、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置換されたアルキルシリルエステルが特に好ましい。なお、アルキルシリルエステルは、ケイ素元素にアルキル基と−O−CO−R’基(R’は、アルキル基)が結合したものである。なお、薬液中に含まれる酸は、反応によって生成されるものであってもよく、例えば、アルキルクロロシランとアルコールを反応させて、生成したアルキルアルコキシシランをシリル化剤とし、生成した塩酸を酸とし、反応で消費されなかったアルコールを非水有機溶媒とする、保護膜形成用薬液を得てもよい。この場合は、アルキルクロロシランとアルコールの混合から前記薬液を得るまでを、「混合工程」とみなす。
【0037】
また、本発明は、上記のいずれかの撥水性保護膜形成用薬液の調製方法で調製した撥水性保護膜形成用薬液である。該薬液として、例えば、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、OH基を持たない多価アルコールの誘導体、および、ラクトン系溶媒からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の非水有機溶媒が76〜99.8999質量%、C
xH
2x+1基(x=1〜12)又はC
yF
2y+1CH
2CH
2基(y=1〜8)を持つアルコキシシラン、トリメチルジメチルアミノシラン、トリメチルジエチルアミノシラン、ブチルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、ブチルジメチル(ジエチルアミノ)シラン、ヘキシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、ヘキシルジメチル(ジエチルアミノ)シラン、オクチルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、オクチルジメチル(ジエチルアミノ)シラン、デシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、デシルジメチル(ジエチルアミノ)シラン、ドデシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、ドデシルジメチル(ジエチルアミノ)シランからなる群より選ばれた少なくとも1種以上のシリル化剤が0.1〜20質量%、トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルシリルトリフルオロアセテート、ジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ブチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、オクチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、オクチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、デシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、及び、デシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の酸が0.0001〜4質量%からなる混合物を含むもの、又は当該混合物だけからなるものを使用することが好ましい。
【0038】
また、例えば、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、および、OH基を持たない多価アルコールの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の非水有機溶媒が76〜99.8999質量%、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、1,3−ジブチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジヘキシルテトラメチルジシラザン、1,3−ジオクチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジデシルテトラメチルジシラザン、1,3−ジドデシルテトラメチルジシラザンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上のシリル化剤が0.1〜20質量%、トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルシリルトリフルオロアセテート、ジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ブチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、オクチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、オクチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、デシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、及び、デシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の酸が0.0001〜4質量%からなる混合物を含むもの、又は当該混合物だけからなるものを使用することが好ましい。
【0039】
本発明の第2の態様(以降「第2方法」と記載する場合がある)は、表面に凹凸パターンを有し該凹凸パターンの少なくとも一部がケイ素元素を含むウェハの洗浄時に、該凹凸パターンの少なくとも凹部表面に撥水性保護膜を形成するための、非水有機溶媒と、シリル化剤とを有する処理液Aと、非水有機溶媒と、酸又は塩基とを有する処理液Bからなる、撥水性保護膜形成用薬液キット(以降、単に「薬液キット」と記載する場合がある)の調製方法であり、
非水有機溶媒中の水分濃度を200質量ppm以下にする、脱水工程、
脱水工程後の非水有機溶媒と、シリル化剤とを混合する、処理液A作製工程、
脱水工程後の非水有機溶媒と、酸又は塩基とを混合する、処理液B作製工程
を有することを特徴とする、撥水性保護膜形成用薬液キットの調製方法である。
【0040】
前記脱水工程において、非水有機溶媒中の水分濃度を200質量ppm以下にすると、その後の処理液A作製工程と処理液B作製工程で得られた処理液Aと処理液Bを混合し、得られた薬液を使用している間に該薬液の活性低下が起こり難いため、該薬液キットから得られる薬液のポットライフは優れたものとなる。前記非水有機溶媒中の水分濃度が100質量ppm以下であると、より好ましくは50質量ppm以下であると、薬液キットを混合して作製した撥水性保護膜形成用薬液の撥水性付与効果、及び、該薬液のポットライフがより優れたものとなるため好ましい。なお、前記脱水工程における、非水有機溶媒中の水分濃度は上記範囲内であれば、0.1質量ppm以上であってもよい。
【0041】
前記脱水工程は、非水有機溶媒を蒸留精製すること、非水有機溶媒に不溶性の水吸着剤を加えて該溶媒から水を除去すること、乾燥した不活性ガスによりばっ気置換すること、加熱若しくは真空加熱することからなる群から選ばれる少なくとも1つの方法であることが好ましい。
【0042】
また、前記非水有機溶媒に不溶性の水吸着剤は、ゼオライト、5酸化2リン、シリカゲル、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水塩化亜鉛、発煙硫酸、ソーダ石灰からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0043】
本発明の第2方法で用いる非水有機溶媒は、第1方法で用いる非水有機溶媒と同様のものを用いることができる。
【0044】
本発明の第2方法で用いるシリル化剤は、前記一般式[1]で表されるケイ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0045】
さらに、前記シリル化剤は、下記一般式[6]で表されるケイ素化合物であることが好ましい。
R
8gSiX
44−g [6]
[式6中、R
8は、それぞれ互いに独立して、水素基、及び、一部または全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基から選ばれる少なくとも1つの基であり、ケイ素元素と結合する全ての前記炭化水素基に含まれる炭素数の合計は6以上である。また、X
4は、それぞれ互いに独立して、ケイ素元素と結合する元素が窒素である1価の官能基、ケイ素元素と結合する元素が酸素である1価の官能基、ハロゲン基、ニトリル基、および、−CO−NH−Si(CH
3)
3から選ばれる少なくとも1つの基であり、gは1〜3の整数である。]
【0046】
前記一般式[6]のR
8は前記保護膜の表面エネルギーを低減させて、水やその他の液体と該保護膜表面との間(界面)で相互作用、例えば、水素結合、分子間力などを低減させる。特に水に対して相互作用を低減させる効果が大きいが、水と水以外の液体の混合液や、水以外の液体に対しても相互作用を低減させる効果を有する。これにより、物品表面に対する液体の接触角を大きくすることができる。R
8は疎水性基であり、疎水性基が大きなもので保護膜を形成すると、処理した後のウェハ表面は良好な撥水性を示す。R
8としてケイ素元素と結合する全ての前記炭化水素基に含まれる炭素数の合計が、6以上であれば、ケイ素元素を含む凹凸パターンの単位面積あたりのOH基数量が少なくても、十分に撥水性能を生ぜせしめる撥水膜を形成することができる。
【0047】
前記一般式[6]のX
4は、シリコンウェハの反応サイトであるシラノール基に対して反応性を有する反応性部位であり、該反応性部位とウェハのシラノール基とが反応し、シリル化剤がシロキサン結合を介してシリコンウェハのケイ素元素と化学的に結合することによって前記保護膜が形成される。洗浄液を用いたシリコンウェハの洗浄に際して、ウェハの凹部から洗浄液が除去されるとき、すなわち、乾燥されるとき、前記凹部表面に前記保護膜が形成されていると、該凹部表面の毛細管力が小さくなり、パターン倒れが生じにくくなる。
【0048】
一般式[6]で示されるケイ素化合物としては、例えば、C
4H
9(CH
3)
2SiCl、C
5H
11(CH
3)
2SiCl、C
6H
13(CH
3)
2SiCl、C
7H
15(CH
3)
2SiCl、C
8H
17(CH
3)
2SiCl、C
9H
19(CH
3)
2SiCl、C
10H
21(CH
3)
2SiCl、C
11H
23(CH
3)
2SiCl、C
12H
25(CH
3)
2SiCl、C
13H
27(CH
3)
2SiCl、C
14H
29(CH
3)
2SiCl、C
15H
31(CH
3)
2SiCl、C
16H
33(CH
3)
2SiCl、C
17H
35(CH
3)
2SiCl、C
18H
37(CH
3)
2SiCl、C
5H
11(CH
3)HSiCl、C
6H
13(CH
3)HSiCl、C
7H
15(CH
3)HSiCl、C
8H
17(CH
3)HSiCl、C
9H
19(CH
3)HSiCl、C
10H
21(CH
3)HSiCl、C
11H
23(CH
3)HSiCl、C
12H
25(CH
3)HSiCl、C
13H
27(CH
3)HSiCl、C
14H
29(CH
3)HSiCl、C
15H
31(CH
3)HSiCl、C
16H
33(CH
3)HSiCl、C
17H
35(CH
3)HSiCl、C
18H
37(CH
3)HSiCl、C
2F
5C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
3F
7C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
4F
9C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
5F
11C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
6F
13C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
7F
15C
2H
4(CH
3)
2SiCl、C
8F
17C
2H
4(CH
3)
2SiCl、(C
2H
5)
3SiCl、C
3H
7(C
2H
5)
2SiCl、C
4H
9(C
2H
5)
2SiCl、C
5H
11(C
2H
5)
2SiCl、C
6H
13(C
2H
5)
2SiCl、C
7H
15(C
2H
5)
2SiCl、C
8H
17(C
2H
5)
2SiCl、C
9H
19(C
2H
5)
2SiCl、C
10H
21(C
2H
5)
2SiCl、C
11H
23(C
2H
5)
2SiCl、C
12H
25(C
2H
5)
2SiCl、C
13H
27(C
2H
5)
2SiCl、C
14H
29(C
2H
5)
2SiCl、C
15H
31(C
2H
5)
2SiCl、C
16H
33(C
2H
5)
2SiCl、C
17H
35(C
2H
5)
2SiCl、C
18H
37(C
2H
5)
2SiCl、(C
4H
9)
3SiCl、C
5H
11(C
4H
9)
2SiCl、C
6H
13(C
4H
9)
2SiCl、C
7H
15(C
4H
9)
2SiCl、C
8H
17(C
4H
9)
2SiCl、C
9H
19(C
4H
9)
2SiCl、C
10H
21(C
4H
9)
2SiCl、C
11H
23(C
4H
9)
2SiCl、C
12H
25(C
4H
9)
2SiCl、C
13H
27(C
4H
9)
2SiCl、C
14H
29(C
4H
9)
2SiCl、C
15H
31(C
4H
9)
2SiCl、C
16H
33(C
4H
9)
2SiCl、C
17H
35(C
4H
9)
2SiCl、C
18H
37(C
4H
9)
2SiCl、CF
3C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
2F
5C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
3F
7C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
4F
9C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
5F
11C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
6F
13C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
7F
15C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
8F
17C
2H
4(C
4H
9)
2SiCl、C
5H
11(CH
3)SiCl
2、C
6H
13(CH
3)SiCl
2、C
7H
15(CH
3)SiCl
2、C
8H
17(CH
3)SiCl
2、C
9H
19(CH
3)SiCl
2、C
10H
21(CH
3)SiCl
2、C
11H
23(CH
3)SiCl
2、C
12H
25(CH
3)SiCl
2、C
13H
27(CH
3)SiCl
2、C
14H
29(CH
3)SiCl
2、C
15H
31(CH
3)SiCl
2、C
16H
33(CH
3)SiCl
2、C
17H
35(CH
3)SiCl
2、C
18H
37(CH
3)SiCl
2、C
3F
7C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
4F
9C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
5F
11C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
6F
13C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
7F
15C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
8F
17C
2H
4(CH
3)SiCl
2、C
6H
13SiCl
3、C
7H
15SiCl
3、C
8H
17SiCl
3、C
9H
19SiCl
3、C
10H
21SiCl
3、C
11H
23SiCl
3、C
12H
25SiCl
3、C
13H
27SiCl
3、C
14H
29SiCl
3、C
15H
31SiCl
3、C
16H
33SiCl
3、C
17H
35SiCl
3、C
18H
37SiCl
3、C
4F
9C
2H
4SiCl
3、C
5F
11C
2H
4SiCl
3、C
6F
13C
2H
4SiCl
3、C
7F
15C
2H
4SiCl
3、C
8F
17C
2H
4SiCl
3などのクロロシラン系化合物、あるいは、前記クロロシランのクロロ(Cl)基をアルコキシ基、−OC(CH
3)=CHCOCH
3、−OC(CH
3)=N−Si(CH
3)
3、−OC(CF
3)=N−Si(CH
3)
3、−O−CO−R
10(R
10は、一部又は全ての水素元素がフッ素元素等で置換されていても良い炭素数が1乃至18の1価の炭化水素基)、一部又は全ての水素元素がフッ素元素等で置換されていても良いアルキルスルホネート基、イソシアネート基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、イソチオシアネート基、アジド基、アセトアミド基、−N(CH
3)C(O)CH
3、−N(CH
3)C(O)CF
3、−N=C(CH
3)O
Si(CH
3)
3、−N=C(CF
3)OSi(CH
3)
3、−NHC(O)−OSi(CH
3)
3、−NHC(O)−NH−Si(CH
3)
3、イミダゾール環、オキサゾリジノン環、モルホリン環、−NH−C(O)−Si(CH
3)
3、−N(H)
2−h(Si(H)
iR
93−i)
h(R
9は、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が1〜18の1価の炭化水素基、hは1又は2、iは0〜2の整数)、ブロモ基、ヨード基、ニトリル基、または、−CO−NH−Si(CH
3)
3に置き換えた化合物などが挙げられる。
【0049】
また、一般式[6]のgは1〜3の整数であればよいが、gが1又は2である場合、前記薬液キットから得られる薬液を長期保存すると、水分の混入などにより、ケイ素化合物の重合が発生し、保存可能期間が短くなる可能性がある。これを考慮すると、一般式[6]のgが3のものが好ましい。
【0050】
また、一般式[6]で表されるケイ素化合物において、R
8のうち1個が、
一部または全ての水素元素がフッ素元素に置き換えられていても良い炭素数が4乃至18の1価の炭化水素基であり、残りのR
8がメチル基2個からなるものは、凹凸パターン表面やウェハ表面のOH基との反応速度が速いので好ましい。これは、凹凸パターン表面やウェハ表面のOH基と前記ケイ素化合物との反応において、疎水性基による立体障害が反応速度に大きな影響を与えるためであり、ケイ素元素に結合するアルキル鎖は最も長い一つを除く残り二つは短い方が好ましいからである。
【0051】
また、本発明の第2方法で用いる酸は、第1方法で用いる酸と同様のものを用いることができる。
【0052】
また、本発明の第2方法で用いる塩基は、第1方法で用いる塩基と同様のものを用いることができる。
【0053】
処理液B中に含まれる上記の酸又は塩基によって、薬液キットを混合して作製した撥水性保護膜形成用薬液において、前記シリル化剤とシリコンウェハの凹凸パターン表面の反応サイトであるシラノール基との反応が促進されるため、該薬液による表面処理によりウェハ表面に優れた撥水性を付与することができる。なお、前記酸又は塩基は、保護膜の一部を形成してもよい。
【0054】
反応促進効果を考慮すると、前記処理液B中には酸が含まれることが好ましく、中でも塩化水素や過塩素酸などの強酸のブレンステッド酸、トリフルオロメタンスルホン酸や無水トリフルオロメタンスルホン酸などの、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置換されたアルカンスルホン酸やそ
の無水物、トリフルオロ酢酸や無水トリフルオロ酢酸やペンタフルオロプロピオン酸などの、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置換されたカルボン酸やそ
の無水物、クロロシラン、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置換されたアルキルシリルアルキルスルホネート、一部又は全ての水素元素がフッ素元素に置換されたアルキルシリルエステルが特に好ましい。
【0055】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の撥水性保護膜形成用薬液キットの調製方法で調製した撥水性保護膜形成用薬液キットである。該薬液キットの処理液Aとして、例えば、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、OH基を持たない多価アルコールの誘導体、および、ラクトン系溶媒からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の非水有機溶媒が60〜99.8質量%、C
xH
2x+1基(x=1〜10)又はC
yF
2y+1CH
2CH
2基(y=1〜8)を持つアルコキシシラン、トリメチルジメチルアミノシラン、トリメチルジエチルアミノシラン、ブチルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、ブチルジメチル(ジエチルアミノ)シラン、ヘキシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、ヘキシルジメチル(ジエチルアミノ)シラン、オクチルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、オクチルジメチル(ジエチルアミノ)シラン、デシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、デシルジメチル(ジエチルアミノ)シラン、ドデシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、ドデシルジメチル(ジエチルアミノ)シランからなる群より選ばれた少なくとも1種以上のシリル化剤が0.2〜40質量%からなる混合物を含むもの、又は当該混合物だけからなるものを使用することが好ましい。また、該薬液キットの処理液Bとして、例えば、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、OH基を持たない多価アルコールの誘導体、および、ラクトン系溶媒からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の非水有機溶媒が60〜99.9998質量%、トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルシリルトリフルオロアセテート、ジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ブチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、オクチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、オクチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、デシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、及び、デシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の酸が0.0002〜40質量%からなる混合物を含むもの、又は当該混合物だけからなるものを使用することが好ましい。なお、前記の処理液Aと処理液Bを混合して撥水性保護膜形成用薬液を調製する際は、調製後の薬液の総量100質量%に対して、前記の非水有機溶媒が76〜99.8999質量%、前記のシリル化剤が0.1〜20質量%、前記の酸が0.0001〜4質量%となるように混合することが好ましい。
【0056】
また、該薬液キットの処理液Aとして、例えば、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、および、OH基を持たない多価アルコールの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の非水有機溶媒が60〜99.8質量%、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、1,3−ジブチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジヘキシルテトラメチルジシラザン、1,3−ジオクチルテトラメチルジシラザン、1,3−ジデシルテトラメチルジシラザン、1,3−ジドデシルテトラメチルジシラザンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上のシリル化剤が0.2〜40質量%からなる混合物を含むもの、又は当該混合物だけからなるものを使用することが好ましい。また、該薬液キットの処理液Bとして、例えば、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、および、OH基を持たない多価アルコールの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の非水有機溶媒が60〜99.9998質量%、トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水トリフルオロメタンスルホン酸、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルシリルトリフルオロアセテート、ジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ブチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、ヘキシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、オクチルジメチルシリルトリフルオロアセテート、オクチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、デシルジメチルシリルトリフルオロアセテート、及び、デシルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の酸が0.0002〜40質量%からなる混合物を含むもの、又は当該混合物だけからなるものを使用することが好ましい。なお、前記の処理液Aと処理液Bを混合して撥水性保護膜形成用薬液を調製する際は、調製後の薬液の総量100質量%に対して、前記の非水有機溶媒が76〜99.8999質量%、前記のシリル化剤が0.1〜20質量%、前記の酸が0.0001〜4質量%となるように混合することが好ましい。