(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の加熱炉の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の構成要素には各図において同一の符号を付し、詳細な説明は繰返さない。
【0025】
[第1の実施の形態]
<システムの構成(1)>
図1は、本実施の形態の製造システムの構成の一例を概略的を示す図である。
【0026】
図1を参照して、製造システムは、リフロー炉700を含み、そして、当該リフロー炉700内の空気をヒータ702で加熱する。コントローラ100は、リフロー炉700内の温度を検出する温度センサ701の検出出力に基づいて、ヒータ702の制御内容を決定する。そして、コントローラ100は、操作器750を介して、ヒータ702の出力を制御する。
【0027】
なお、本実施の形態では、コントローラ100は、モニタ111に接続されており、温度センサ701から入力される検出温度等をモニタ111に表示させる。
【0028】
図2は、
図1の製造システムについて提示される情報の内容を説明するための図である。
【0029】
本実施の形態のコントローラ100は、製造システムにおけるエネルギー消費量における無駄の削減(以下、「省エネ」という)のための情報を提供する。
【0030】
図2には、画面801と画面802が示されている。
画面801には、省エネ対策前の製造システムにおけるエネルギー消費に関する情報が示されている。具体的には、画面801には、2つのグラフが示されている。上方のグラフは、ヒータ702による電力の使用量の時間変化が示されている。下方のグラフには、ヒータ702に関する状態データの時間変化が示されている。
【0031】
「状態データ」とは、製品の生産等のためのシステムにおいて、当該システムで製造される製品品質に影響する状態を示すデータとする。
図1に示された製造システムでは、基板の製造の一工程であるリフロー工程に対する制御において、リフロー炉700内の温度が、状態データの一例として採用されている。リフロー炉700内の温度は、製品の一例たる基板におけるハンダ接合の品質に影響を与えるパラメータである。
図1の製造システムでは、当該温度について上限値および下限値を定められ、当該温度がその範囲内に維持されるように、ヒータ702の動作が制御される。
【0032】
そして、
図2の画面801に示された例では、その上段に示されるようにヒータ702に適宜電力が供給されることにより、その下段に示されるように、リフロー炉700内の温度がその上限値と下限値の間の範囲(基準範囲)内で変化する。
【0033】
なお、画面801の下段では、実測値と下限値の差の積分値(領域)が、余分エネルギーとして、ハッチングを付されて示されている。以下、余分エネルギーについて、説明する。
【0034】
図1のシステムにおいて、基準範囲は、常温よりかなり高い温度範囲である。したがって、
図1のシステムでは、状態データを基準範囲内で維持するためには、ヒータ702によってリフロー炉700内の温度を上昇させる必要がある。
【0035】
ここで、ヒータ702に供給する電力量を最低限に抑えて状態データを基準範囲内に位置させるには、状態データが下限値に一致した状態で維持されるように、ヒータ702に電力が供給されれば良い。つまり、状態データが下限値より高い値を取った場合、状態データと下限値との差は、ヒータ702に余分に電力が供給されたことによる温度上昇であるということができる。このような観点の下、画面801の下段において、状態データと下限値との差の積分値が、余分エネルギーによる温度上昇として示されている。このような余分エネルギーによる温度上昇分は、本明細書では「余裕度」と呼ばれる場合もある。
【0036】
本実施の形態のシステム監視装置は、画面801として示されるように、状態データ(リフロー炉700の温度)を、当該状態データの値を調整するために用いられる機器(ヒータ702)の消費エネルギーとともに表示し、さらに、状態データにおいて基準範囲に対する余裕度が示される。これにより、システムの管理者は、当該システムの現状の制御態様において、状態データを最低限基準範囲内に維持できる状態からどの程度余裕があるのかを、視認することができる。これにより、システムの管理者は、状態データを基準範囲内に維持させたまま、上記機器に供給するエネルギーを削減するように、機器の制御態様を変更することができる。
【0037】
図2の画面802には、機器の制御態様を変更した場合の、
図1のシステムに関する情報が示されている。画面802では、その上段には、電力の消費量の時間変化が、その下段には、状態データの時間変化が示されている。なお、画面802の上段では、画面801で示されていた消費電力量の変化が破線で示されている。
【0038】
画面802の画面は、特に、画面801において特に電力の消費量が多かった時刻T1までの電力の消費量を抑えるように、機器の制御態様が変更されたことによる結果を示す。画面802の下段においても、画面801の下段において付されたのと同様の方法で、余分エネルギーに対応する部分がハッチングを付されて示されている。上記したような消費電力の削減によって、画面802の下段では、時刻T2までの温度が画面801の下段の対応する時間帯の結果と比較して低下している。このことは、時刻T2までの余分エネルギーとしてハッチングを付された部分の面積が減少していることによっても視認できる。ただし、画面802における時刻T2までの温度変化も、基準範囲内に位置している。
【0039】
したがって、画面802に示された情報によれば、時刻T1までの電力の消費量を抑えることにより、リフロー炉700内の温度を基準範囲内で維持しながら、省エネに成功したことを意味している。
【0040】
なお、画面802の上段では、時刻T1以降においても、画面801の上段での消費電力と比較して消費電力量が低下しているのに対し、画面802の下段に示されたリフロー炉700内の温度は、画面801の下段に示された対応する時間体の温度よりも上昇している。これは、リフロー炉700内に投入される基板の数の減少や、排熱ダクトのダンパーを閉じることや、排熱のためのファンの制御等、システムに対する外乱等の影響によるものと考えられる。
【0041】
換言すれば、製造システムにおいて、状態データに影響を与える可能性の或る事項が発生するタイミングをコントローラ100に登録しておき、当該事項を、画面801において電力消費量および/または状態データと合わせて表示することにより、システムの管理者は、提示された情報に基づき、より的確に、システムにおけるエネルギー消費量の低減のための施策を検討することができる。
【0042】
なお、画面801や画面802の下段では、状態データと下限値の差の積分値が、余分エネルギーとして示された。対象としたシステムでは、リフロー炉700内の温度を上昇させる方向に変化させるために機器(ヒータ702)にエネルギーが供給されるからである。
【0043】
一方、たとえば、システム内の空間を冷却して当該空間の温度を低下させるために機器(たとえば、冷却ファン)にエネルギーが供給される場合には、余分エネルギーは
図3の画面803のように示される。
図3の画面803の上段と下段には、
図2の画面801と同様に、機器のエネルギー消費量と状態データの時間変化が示されている。なお、画面803の下段では、上限値と状態データの差の積分値が、余分エネルギーとして示されている。
図3の例では、機器の電力消費を最低限に抑えつつ状態データを最低限基準範囲内に位置させるためには、状態データは、上限値に維持されれば良い。したがって、それよりも状態データの値を下げるために機器に与えられたエネルギーは、状態データを最低限基準範囲内に位置させるという観点からすると余剰であったと言える。これにより、
図3の例では、上限値と状態データの差の積分値が、余分エネルギーとして示されている。
【0044】
図3の画面803に基づいて、システム管理者は、どの期間、どの程度、機器に供給する電力量を低減させるかを認識できる。これにより、当該管理者は、余剰なエネルギー消費を低減させつつ、状態データが基準範囲内に位置するように、機器の制御態様を決定できる。
【0045】
<システムの構成(2)>
図4は、本実施の形態の製造システムの構成の他の例を概略的を示す図である。
【0046】
図4を参照して、製造システムは、製品の製造をするための空間であるクリーンブース500を含む。クリーンブース500には、当該クリーンブース500内の清浄度を検出するためのパーティクルセンサ200が設置されている。
図4では図示が省略されているが、クリーンブース500には、製品を製造するためのラインが設置され、当該ラインの管理等をする作業員が配置されている。
【0047】
クリーンブース500の天井部分には枠501が形成され、枠501のそれぞれには、クリーンブース500内の塵を当該クリーンブース500外に排出するためのファンを含むFFU(フィルタファンユニット)300が設置されている。
【0048】
図4において、破線の矢印は、空気の流れを示している。クリーンブース500では、FFU300のファン(以下、「FFU300」と記述することにより、FFU300に含まれる「ファン」を意味する場合もある)が運転することによって、クリーンブース500内に空気が導入され、これにより、クリーンブース500内の空気が、クリーンブース500の底面に設けられた通気孔を介してクリーンブース500外へ排出される。
【0049】
図4の製造システムは、パーティクルセンサ200の検出出力に基づいてFFU300の動作を制御するためのコントローラ100を含む。コントローラ100には、モニタ111が接続されている。モニタ111は、液晶表示装置等の汎用の表示装置によって実現される。
【0050】
図4の例では、パーティクルセンサ200によって検出されるクリーンブース500内の清浄度が、製造システムで製造される製品の製造品質に影響する状態を示す状態データの一例である。また、FFU300は、当該システムの状態を調整するために運転することによってエネルギを消費する機器の一例である。そして、コントローラ100は、上記状態データに基づいて、上記機器の動作を制御するシステム監視装置の一例である。
【0051】
図5は、
図4の製造システムについて提示される情報の内容を説明するための図である。
【0052】
図5には、画面804と画面805が示されている。
画面804には、省エネ対策前の製造システムにおけるエネルギー消費に関する情報が示されている。具体的には、画面804には、2つのグラフが示されている。上方のグラフは、FFU300による電力の使用量の時間変化が示されている。下方のグラフには、状態データの時間変化が示されている。
【0053】
図4のシステムにおいて、「状態データ」とは、パーティクルセンサ200によって計測される、クリーンブース500内の清浄度である。
図4の製造システムでは、当該清浄度(単位体積あたりに含まれる粉塵の数)についての上限値が定められ、そして、当該清浄度が当該上限値以下に維持されるように、FFU300の動作が制御される。
【0054】
そして、
図5の画面804に示された例では、その上段に示されるようにFFU300に適宜電力が供給されることにより、その下段に示されるように、クリーンブース500内の清浄度がその上限値以下で変化する。
【0055】
また、コントローラ100には、製造システムにおいてクリーンブース500の清浄度に影響を与える可能性の或るイベント(クリーンブース500への製品搬入)のタイミングが登録されている。画面804の下段では、当該イベントが、そのタイミングを認識できる態様で、状態データとともに示されている。
【0056】
画面804の下段では、実測値と上限値の差の積分値(領域)が、余分エネルギーとして、ハッチングを付されて示されている。以下、ここでの余分エネルギーについて、説明する。
【0057】
図4のシステムにおいて、FFU300は、クリーンブース500内の塵を当該クリーンブース500外へ排出するために、電力を供給される。つまり、FFU300は、クリーンブース500において清浄度として検出される値を下げるために、エネルギーを供給される。
【0058】
FFU300に供給する電力量を最低限に抑えて状態データを基準値以下に維持するには、状態データを上限値で維持するように、FFU300に電力が供給されれば良い。つまり、状態データが上限値より低い値を取った場合、上限値と状態データの差は、FFU300に余分に電力が供給されたことによる検出値の低下であるということができる。このような観点の下、画面804の下段において、上限値と状態データの差の積分値が、余分エネルギーによる検出値の低下として示されている。このような余分エネルギーによる検出値の低下は、本明細書では「余裕度」と呼ばれる場合もある。
【0059】
本実施の形態のシステム監視装置は、画面804として示されるように、状態データ(パーティクルセンサ200が検出する値)を、当該状態データの値を調整するために用いられる機器(FFU300)の消費エネルギーとともに表示し、さらに、状態データにおいて基準範囲(
図4のシステムでは上限値)に対する余裕度が示される。これにより、システムの管理者は、当該システムの現状の制御態様において、状態データを最低限基準範囲内に維持できる状態からどの程度余裕があるのかを、視認することができる。これにより、システムの管理者は、状態データを基準範囲内に維持させたまま、上記機器に供給するエネルギーを削減するように、機器の制御態様を変更することができる。
【0060】
図5の画面805には、機器の制御態様を変更した場合の、
図4のシステムに関する情報が示し、その上段には、電力の消費量の時間変化が示され、その下段には、状態データの時間変化が示されている。
【0061】
画面805には、特に、クリーンブース500への製品搬入までの電力の消費量を抑えるように、機器の制御態様が変更されたものである。
【0062】
画面805の上段では、画面804の上段と比較して、時刻T3までの消費電力が削減されている。このような消費電力の削減によって、画面805の下段に示されるように、時刻T4までのパーティクルセンサ200の検出値が、画面804の下段の対応する時間帯の結果と比較して上昇している。しかしながら、画面805の下段における検出値は、時刻T4までの期間でも、基準範囲内(上限値以下)に位置している。
【0063】
したがって、画面805に示された情報によれば、時刻T3までの電力の消費量を抑えることにより、クリーンブース500内の清浄度を基準範囲内で維持しながら、省エネに成功したことを意味している。
【0064】
<ハードウェア構成>
以下、「システムの構成(2)」として
図4等を参照して説明された、クリーンブース500内の塵の数を制御するシステムについて、説明を行なう。
【0065】
図6は、コントローラ100のハードウェア構成を模式的に示す図である。
図6を参照して、コントローラ100は、コントローラ100全体を制御するための演算装置であるCPU(Central Processing Unit)10と、CPU10で実行されるプログラムなどを記憶するためのROM(Read Only Memory)11と、CPU10でプログラムを実行する際の作業領域として機能するためのRAM(Random Access Memory)12と、パーティクルセンサ200からの検出出力の受信やFFU300に対する制御データの送信などの通信を行なうモデム等により実現される通信装置18と、モニタ111に画像データが送信される際のインターフェースである表示用インターフェース14と、コントローラ100に対する操作入力を受付けるための操作部15と、CPU10によって実行されるプログラム等を格納するための記憶装置16と、コントローラ100に対して着脱可能な記憶媒体900にアクセスしてそこからファイルを読み出したり書き込んだりするためのメディアコントローラ17とを含む。
【0066】
表示用インターフェース14は、モニタ111のドライバ用の基板によってハードウェア的に実現されてもよいし、ドライバ用のソフトウェアによってソフトウェア的に実現されても良い。操作部15は、たとえばキーボードやマウスなどの入力装置によって実現される。なお、本実施の形態では、操作部15は、タッチセンサによって実現され、モニタ111と一体的に、タッチパネルとして実現される。
【0067】
本実施の形態では、たとえば、CPU10が適切なプログラムを実行することにより、本明細書に記載されたコントローラ100の機能の少なくとも一部が実現される。
【0068】
CPU10が実行するプログラムの少なくとも一部は、上記記憶媒体900に記憶されていても良い。記憶媒体900としては、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。また、CPU10が実行されるプログラムは、ネットワークを介してダウンロードされ、記憶装置16にインストールされる場合も有り得る。
【0069】
<機能構成>
図7は、コントローラ100の機能構成を模式的に示す図である。
【0070】
図7を参照して、コントローラ100は、データ蓄積部101と、品質余裕度算出部102と、エネルギー削減余地算出部103と、表示制御部104とを含む。データ蓄積部101は、たとえば、RAM12および/または記憶装置16によって実現される。品質余裕度算出部102と、エネルギー削減余地算出部103と、表示制御部104は、たとえばCPU10が適切なプログラムを実行することによって、実現される。
【0071】
データ蓄積部101は、パーティクルセンサ200からの連続的な検出出力(状態データ)を、受信し、蓄積する。
【0072】
品質余裕度算出部102は、データ蓄積部101に蓄積された状態データと基準値(状態データについての上限値または下限値)に基づいて、上記した「余裕度」を算出する。
【0073】
エネルギー削減余地算出部103は、品質余裕度算出部102によって算出された余裕度の積算値を算出する。
【0074】
表示制御部104は、エネルギー削減余地算出部103が算出した余裕度の積算値を、
図2の画面801や
図5の画面804のように、モニタ111に表示する。
【0075】
なお、データ蓄積部101には、FFU300によって消費された電力量についても、導入される。表示制御部104は、上記した余裕度の積算値とともに、FFU300の消費電力量も合わせて、モニタ111に表示することができる。
【0076】
<制御フロー>
図8は、コントローラ100において、
図5の画面804に示されたような画面を表示するための処理のフローチャートである。この処理は、リアルタイムで得られるパーティクルセンサ200の検出結果やFFU300の消費電力量を用いて実行されても良いし、予め記憶装置16に格納された検出結果や消費電力量を用いて実行されても良い。
【0077】
図8を参照して、ステップS10では、CPU10は、状態データについての管理基準を設定して、ステップS20へ処理を進める。管理基準とは、状態データに対する、上限値、下限値、基準範囲である。つまり、管理基準の設定とは、状態データを管理するための基準値の設定である。CPU10は、操作部15に対する操作によって入力された情報や、予め記憶装置16および/または記憶媒体900に登録されていた情報などに基づいて、基準値を設定する。
【0078】
ステップS20では、CPU10は、予め設定された時間間隔(サンプリング時間)毎に、状態データを取得し、そして、取得した状態データに基づいて上記した余裕度を算出して、ステップS30へ処理を進める。
【0079】
ステップS30では、CPU10は、ステップS20で算出した余裕度が0を超えていたか否かを判断する。なお、余裕度は、状態データが基準範囲内であれば0を超えるが、状態データが基準範囲外であれば0を下回る。具体的には、たとえば、
図4に示された製造システムにおいて、余裕度は、上限値から状態データを差し引いた値として算出される。パーティクルセンサ200の検出値が上限値未満であれば、余裕度は正の値となる。一方、パーティクルセンサ200の検出値が上限値を超えていれば、余裕度は負の値となる。後者の場合、余裕度が0を超えていないとして、ステップS40へ処理を進める。
【0080】
ステップS40では、CPU10は、ステップS20で算出された余裕度の値を「0」に補正して、ステップS50へ処理を進める。
【0081】
ステップS50では、CPU10は、エネルギー削減余地を算出する単位期間を設定して、ステップS60へ処理を進める。CPU10は、たとえば操作部15を介して入力された情報に基づいて、当該設定を行なう。
【0082】
ステップS60では、CPU10は、ステップS50で設定した単位期間ごとのエネルギー削減余地を算出して、ステップS70へ処理を進める。なお、単位期間は、1時間、2時間、等のように、1日よりも短い期間であるとする。
【0083】
ステップS70では、CPU10は、一日分のエネルギー削減余地を算出して、ステップS80へ処理を進める。
【0084】
ステップS80では、CPU10は、ステップS60やステップS70で算出したエネルギー削減余地を含むグラフや表の画像データを作成して、ステップS90へ処理を進める。
【0085】
ステップS90では、CPU10は、ステップS80で生成した画像データを含む、
図5の画面804のようなエネルギー削減余地を示す画面をモニタ111に表示させて、処理を終了させる。
【0086】
<表示例(1)>
図9は、或る一日のクリーンブース500におけるパーティクルセンサ200の検出出力の結果の表示の一例を示す図である。CPU10は、パーティクルセンサ200から連続的な検出出力を受信し、予め設定された上限値を利用して、
図9に示されたような画面をモニタ111等に表示する。
【0087】
図9には、グラフ811と表812が示されている。グラフ811では、横軸に時刻が示され、縦軸にパーティクルセンサ200が検出したパーティクル数が示されている。
【0088】
図9に検出結果を示された製造システムでは、パーティクルセンサ200の検出対象となるクリーンブース500に対して、単位体積当たりのパーティクル数「10000」(p/cf)が管理基準(上限値)として設定されている。そして、グラフ811では、パーティクルセンサ200の検出出力とパーティクル数「10000」の地点との差の部分が、ハッチングを付され、「削減余地」として示されている。この部分が、
図2の画面801等において「余分エネルギー」として示された部分に相当する。CPU10は、「10000」以下の検出値と「10000」との差を求めることによって、グラフ811を表示するためのデータを生成する。
【0089】
表812は、グラフ811の削減余地として示された領域の大きさを数値で示すために表示される。表812中のData1は、グラフ811において、パーティクル数「10000」以下の部分全体に対するハッチングを付された部分の割合の百分率の値を示している。CPU10は、「10000」以下の検出値と「10000」との差を求め、これらの積算値を求めることによって、上記Data1の値を算出する。
【0090】
なお、表812において、最大削減余地は、基準値であるパーティクル数「10000」以下の部分全体に対する当該部分全体の割合(つまり、100(%))を示し、また、最小削減余地は、表示対象となる期間においてパーティクルセンサ200の検出値がパーティクル数「10000」で保たれた場合の削減余地の割合(つまり、0(%))を示す。
【0091】
<表示例(2)>
図10は、室内の装置のレイアウトとともに、当該室内の各装置についてのエネルギー削減の余地を表示する、表示の一例を示す図である。
【0092】
図10には、表821と、装置レイアウト822が示されている。表821には、室内に配置される装置のうち、エネルギー削減余地を表示する工程のリストが示されている。
【0093】
装置レイアウト822は、2つの作業室のそれぞれを示す領域8220,8225、ならびに、これらの隣接する更衣室およびエアーシャワーの配置が示されている。領域8220は、ダイボンダを示すアイコン8221と、プラズマ洗浄機を示すアイコン8222と、ワイヤボンダを示すアイコン8223とを含む。領域8225は、2つの成形機のそれぞれを示すアイコン8226,8227を含む。
【0094】
表821は、工程と品質管理値と削減余地を含む。工程は、装置レイアウト822内に含まれる工程のそれぞれを特定する。品質管理値は、各工程において設定されている、状態データについての基準値(上限値および/または下限値、等)である。削減余地は、各工程において、
図9を参照して説明した例において「Data1」として示されたような値であり、特定の期間全域において、最低限基準値を満たすように各工程の環境を維持する機器を制御した場合と比較して、より安全に環境を維持するために制御された量を表す値である。具体的には、当該と特定の期間における、基準範囲内に位置する検出値と基準値との差の積算値である。
【0095】
表821では、工程として、アイコン8221,8222,8223,8226,8227のそれぞれに対応する工程(順に、「ダイボンダ」「プラズマ洗浄」「ワイヤボンダ」「モールド1」「モールド2」)が示されている。また、表821では、各工程の品質管理値として、各工程におけるパーティクルセンサ200の検出値(状態データ)についての基準値(順に、「10000」「10000」「10000」「100000」「100000」)が示されている。そして、表821では、各工程についての、特定の期間(たとえば、1日)における削減余地の算出結果(順に、「98.8(%)」「74.2(%)」「98.6(%)」「99.4(%)」「91.2(%)」)が示されている。
【0096】
装置レイアウト822を表示するための情報は、予めコントローラ100に登録されている。そして、コントローラ100の記憶装置16には、装置レイアウト822内の少なくとも一つの工程と、当該工程の実行場所に配置されたパーティクルセンサ200の検出出力とを関連付ける情報が登録されている。また、コントローラ100の記憶装置16には、装置レイアウト822内の少なくとも一つの工程についてのパーティクルセンサ200の検出出力が蓄積されている。
【0097】
コントローラ100では、操作部15を介して(または、通信装置18を介して他の装置から)作業室等を指定する情報が入力されると、CPU10は、指定された作業室に含まれる各工程のパーティクルセンサ200の検出出力に基づいて削減余地を算出し、
図10に示されたような画面をモニタ111に表示する。
【0098】
<表示例(3)>
図11は、パーティクルセンサ200の検出出力についての、異なる2以上の態様を含む表示の一例を示す図である。
【0099】
図11は、グラフ831と、グラフ832と、表833とを含む。グラフ831は、パーティクルセンサ200の特定の期間における検出値の変化を示す。グラフ832は、グラフ831に示された検出結果と当該システムに対して設定された上限値とに基づいて算出された、一定時間ごと(たとえば、1時間ごと)の、削減余地の値が示されている。表833は、グラフ831における各時間帯の削減余地の値を示す。なお、表833中「0時」とあるのは、0時00分から0時59分までの時間帯を示す。また、他の欄に記載された時間帯についても同様に、記載された時刻からその次に記載された時刻の直前の時刻までの時間帯を意味する。
【0100】
CPU10は、パーティクルセンサ200から取得した或る工程についての検出値を用いて、基準値(上限値等)との差を算出し、それらの一定期間ごとの積算値を算出することによって、各時間帯の削減余地の値を得る。そして、CPU10は、各時間帯の削減余地の値を、グラフ832として表示し、また、表833として表示する。
【0101】
<表示例(4)>
図12〜
図14は、複数日の検出結果の表示の一例を説明するための図である。
【0102】
まず、
図12には、或る日(11月20日)のパーティクルセンサ200の検出値の時間変化が示されている。また、
図13には、他の日(11月27日)の検出値の時間変化が、また、
図14には、さらに他の日(11月28日)の検出値の時間変化が、それぞれ示されている。なお、各日の検出値には、当該システムに対して設定された基準値(各図中の「管理基準」。単位体積当たりのパーティクル数「10000」(p/cf))が、併せて示されている。
【0103】
図15には、
図12〜
図14の各日の検出値から求められた、各日のエネルギー削減余地の値が、表形式で示されている。
【0104】
コントローラ100では、複数の日のそれぞれについての検出結果を記憶装置16に登録され、CPU10は、それらを
図12〜
図14に示すようにモニタ111等に表示し、また、各日のエネルギー削減余地を算出して
図15に示すようにモニタ111等に表示する。なお、
図12〜
図14のグラフと、
図15の表は、同時に表示されても良い。これにより、システムの管理者は、複数の日の結果を同時に視認でき、システムの制御内容を、総合的にまたは長期的に、検討することができる。
【0105】
[第2の実施の形態]
<機能構成>
図16は、本発明のシステム監視装置の第2の実施の形態に係るコントローラ100の機能構成を模式的に示す図である。なお、本実施の形態のコントローラ100のハードウェア構成は、第1の実施の形態と同様とすることができるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
【0106】
図16を参照して、本実施の形態のコントローラ100は、
図7に示した第1の実施の形態のコントローラ100に加えて、品質リスク算出部105を含む。品質リスク算出部105は、特定の期間の状態データに基づいて、当該特定の期間における状態データの予測値を算出する。
【0107】
<予測値に基づいたエネルギー削減余地の算出>
(予測値)
本実施の形態では、CPU10は、パーティクルセンサ200の検出出力を連続的に取得し、そして、各時点について、予め定められた設定期間分の過去の状態データを利用して、清浄度が変化することが予測された範囲(予測範囲)を導出する。
【0108】
そして、本実施の形態では、CPU10は、予測範囲と基準値との関係に基づいて、エネルギー削減余地を算出する。これにより、システムの管理者は、より確実に状態データを基準範囲に属したものとしつつ、システムにおいて機器が消費するエネルギーの削減を図るための制御計画を立てることができる。
【0109】
図17は、製造システムにおける状態データと予測範囲の一例を模式的に示す図である。
【0110】
図17では、状態データの実測値(実測値RV)が実線で示され、予測範囲の上限値(上限予測値PH)と下限値(下限予測値PL)が破線で示され、また、予測範囲の平均値(平均値AV)が一点鎖線で示されている。
【0111】
各時点での予測範囲は、当該時点に対して設定期間における状態データの移動平均μと、当該設定期間における状態データの移動偏差σとを用いて、導出される。具体的には、予測範囲の上限値PHと下限値PLとは、次の式(1)および式(2)に従って、導出される。
【0112】
PH=μ+3σ …(1)
PL=μ−3σ …(2)
(上限予測値および下限予測値の説明)
図18は、
図17の時刻T1,T2,T3のそれぞれにおける、移動平均、上限予測値、および、下限予測値を模式的に示す図である。
【0113】
図18(A)では、時刻T1について、当該時刻T1より前の設定期間分の実測値の状態データの分布が、実線で示されている。また、
図18(A)では、移動平均がAV1で示され、そして、当該AV1に3σ(σは、当該設定期間分の実測値から求められた移動偏差)を加えられた値が上限予測値PH1として、また、当該AV1に3σを差し引かれた値が下限予測値PL1として、それぞれ示されている。
【0114】
図18(B)では、時刻T2についての、当該時刻T2より前の設定期間分の実測値の状態データの分布が実線で示されている。また、
図18(B)では、当該設定期間分の移動平均がAV2で、さらに、AV2に3σが加えられた値が上限予測値PH2として、AV2に3σが差し引かれた値が下限予測値PL2として、それぞれ示されている。
【0115】
さらに、
図18(C)では、時刻T3についての、当該時刻T3より前の設定期間分の実測値の状態データの分布が実線で示されている。また、
図18(C)では、当該設定期間分の移動平均がAV3で、さらに、AV3に3σが加えられた値が上限予測値PH3として、AV3に3σが差し引かれた値が下限予測値PL3として、それぞれ示されている。
【0116】
予測範囲は、時々刻々と導出される。つまり、時刻T1についての予測範囲は、当該時刻T1の直前の設定期間分の状態データに基づいて導出され、また、時刻T2,T3のそれぞれについての予測範囲は、当該時刻T2,T3のそれぞれの直前の設定期間分の状態データに基づいて導出される。これにより、時々刻々と変化するクリーンブース500の状況を、予測範囲に反映させることができる。
【0117】
(上限予測値および/または下限予測値の修正)
コントローラ100は、状態データの実測値が予測範囲の上限値または下限値を超えた場合、当該上限値を上方にまたは当該下限値を下方に、修正する。
図19には、状態データの実測値が、「異常感知」と示された時点において、予測範囲の上限値を超えたところが示されている。そして、
図19では、これに応じて、これ以降の上限予測値が、上方に修正されている。修正前の上限予測値PHが破線で、修正後の上限予測値PHXが点線で、それぞれ示されている。この場合の修正は、たとえば、各時刻に対する設定期間分の過去の実測値の状態データに基づいて、たとえば式(1)または式(2)に従って算出される上限値(または下限値)に、予め定められた値だけ加算(または減算)されることによって実現される。
【0118】
なお、このような予測範囲の上限値または下限値の修正は、たとえば、異常感知があってから予め定められた期間だけ行なわれる。
【0119】
(エネルギー削減余地の算出)
図20は、本実施の形態のCPU10がモニタ111等に表示する、エネルギー削減余地等の算出結果を示す図である。
【0120】
図20には、グラフ841と表842が示されている。
グラフ841には、状態データ(パーティクルセンサ200の検出値)が実線で示され、上記したように算出される予測値(上限予測値)が破線で示されている。なお、
図20の横軸は、時間の経過を示す。また、太線の破線で管理基準(状態データについての上限側の基準値)が示されている。
【0121】
本実施の形態では、予測値が基準値以下にある期間における、基準値と予測値の差を表す部分にハッチングが付され、この部分がエネルギー削減余地として示されている。本実施の形態では、予測値に基づいて、エネルギー削減余地が導出される。
【0122】
表842には、グラフ841に示されたた結果における品質リスクとエネルギー削減余地の値が示されている。エネルギー削減余地は、グラフ841においてハッチングを付された部分の、当該グラフ841の基準値(10000p/cf)以下の部分に対する割合である。
【0123】
品質リスクは、上記した予測値が、上記した基準値を超える度合いを表す値である。
図20に示された例では、上記の予測値が基準値を超えた部分のパーティクル数の積算値が示されている。CPU10は、上記のように予測値を算出し、そして、当該予測値が上記基準値を上回る部分についてのそれらの差の積算値を算出することにより、上記品質リスクを算出する。
【0124】
本実施の形態では、CPU10は、システムに対する外乱等の影響も含めた、時々刻々と変化するシステムの状況を加味して算出される予測値に基づき、システムの品質リスクが算出される。これにより、本実施の形態のシステム監視装置は、システムの状態データがその基準範囲を超えるリスクを数値化して提供することができる。
【0125】
なお、システム監視装置では、予測値として、状態データが到達する確率の異なる複数の予測値を算出しても良い。
【0126】
つまり、CPU10は、たとえば、上記した式(1)および式(2)に従って算出される予測値の他に、これらの予測値よりも状態データが到達する確率の低い予測値を算出する。具体的には、上記した式(1)および式(2)に従って算出される予測値を「上限予測値(1)」「下限予測値(1)」とした場合、CPU10は、さらに、「上限予測値(2)」「下限予測値(2)」,「上限予測値(3)」「下限予測値(3)」,「上限予測値(4)」「下限予測値(4)」を算出する。これらは、たとえば以下の式(3)〜式(8)に従って算出される。
【0127】
「上限予測値(2)」=μ+4σ …(3)
「下限予測値(2)」=μ−4σ …(4)
「上限予測値(3)」=μ+5σ …(5)
「下限予測値(3)」=μ−5σ …(6)
「上限予測値(4)」=μ+6σ …(7)
「下限予測値(4)」=μ−6σ …(8)
なお、これらのうち、状態データが到達する確率は、高い方から「上限予測値(1)」「上限予測値(2)」「上限予測値(3)」「上限予測値(4)」となる。つまり、「上限予測値(1)」が最も到達確率が高く、「上限予測値(4)」が最も到達確率が低い。また、下限値についても、状態データが到達する確率は、高い方から「下限予測値(1)」「下限予測値(2)」「下限予測値(3)」「下限予測値(4)」となる。つまり、「下限予測値(1)」が最も到達確率が高く、「下限予測値(4)」が最も到達確率が低い。
【0128】
このように複数の到達確率の予測値が算出された場合の、エネルギー削減余地等の表示態様を
図21に示す。
【0129】
図21には、グラフ843と表844が示されている。
グラフ843には、状態データの実測値が実線で示されている。また、状態データに基づいて算出された上限予測値(1)が破線で、上限予測値(2)が点線で、上限予測値(3)が一点鎖線で、そして、上限予測値(4)が二点鎖線で、それぞれ示されている。また、状態データに対する基準値(上限値)が太線の破線で示されている。
【0130】
表844には、グラフ843に示されたた結果における、上限予測値(1)〜上限予測値(4)のそれぞれについて算出された、品質リスクとエネルギー削減余地の値が示されている。エネルギー削減余地は、グラフ843において、各予測値が基準値以下にある期間における当該基準値と予測値の差を表す部分の、基準値以下の部分に対する割合である。品質リスクは、各予測値の、基準値を超える部分の積算値である。
【0131】
図21に示されたような表示がなされることにより、システム管理者は、各予測値に対応した品質リスクを視認することができ、これにより、当該システムにおける機器の制御において、どの程度、状態データを基準値以下に維持するために余裕を持たせた制御が可能かを、的確に認識することができる。
【0132】
[第3の実施の形態]
以上説明した第1または第2の実施の形態において、CPU10は、特定の期間についてのエネルギー削減余地を算出してきた。エネルギー削減余地は、たとえば、特定の期間について、状態データが最低限基準範囲に位置した場合の検出値の積算値を算出し、このような検出値と実際に検出された状態データ(またはそれに対する予測値)の差の積算値を算出し、そして、前者の積算値に対する後者の積算値の割合として、導出される。
【0133】
つまり、各実施の形態では、各システムにおいて、エネルギー削減余地は、割合として算出された。
【0134】
本実施の形態において、CPU10は、複数のシステムのそれぞれについて、エネルギー削減余地を算出し、それらを表示する。
【0135】
図22は、複数のシステムについてのエネルギー削減余地の算出結果の表示例を示す図である。
【0136】
図22には、グラフ851〜856と表示857が示されている。
グラフ851,853,855は、それぞれ、異なるシステム(対象A,対象B,対象C)における、システムの環境を維持するための機器(状態データの値を調整するために用いられる機器)の消費電力量の時間変化を示す。また、グラフ852,854,856は、それぞれ、上記の対象A,対象B,対象Cにおける状態データと、当該状態データに対する管理基準(上限側および下限側の制限値)を示す。なお、グラフ852,854,856では、画面801(
図2参照)や画面804(
図5参照)等を参照して説明したような余分エネルギーが、ハッチングを付されて示されている。
【0137】
CPU10は、各システムにおける状態データおよび管理基準を取得し、これに基づいて、各システムにおけるエネルギー削減余地を算出する。この算出結果が、表860に示されている。
【0138】
表860では、対象A,対象B,対象Cのそれぞれについてのエネルギー削減余地が、それぞれ「50%」「3%」「70%」として示されている。
【0139】
全システムについての管理者は、表860を参照することによって、各システムにおけるエネルギー削減余地を同時に視認できる。これにより、各システムにおけるエネルギー削減余地を比較できる。つまり、管理者は、複数のシステムのうち、エネルギー消費量が多いシステムよりも、エネルギー削減余地が高いシステムを、制御内容の改善の対象として選択することができる。
【0140】
図23は、改善後の各システムにおける情報の一例を示す図である。グラフ871,873,875は、それぞれ、上記した対象A,対象B,対象Cにおける機器の消費電力量の時間変化を示す。なお、グラフ875において破線で示されているのは、
図22のグラフ855において示された、改善前の機器の消費電力量である。
【0141】
また、グラフ872,874,876は、それぞれ、グラフ871,873,875に示されたように機器に電力が供給された場合の、上記の対象A,対象B,対象Cにおける状態データと、当該状態データに対する管理基準(上限側および下限側の制限値)を示す。
【0142】
図23には、
図22に示された例において最もエネルギー削減余地の値が高かった対象Cについてのみ、システムの改善が行なわれた場合の情報が示されている。具体的には、
図23のグラフ875に示されるように、グラフ855と比較して、機器に供給される電力量が低下している。これにより、
図23のグラフ876に示されるように、グラフ856と比較して、状態データは、基準値近傍に位置するまで変動している。ただし、状態データは、基準範囲内に収まっている。
【0143】
このように、本実施の形態によれば、システムの管理者は、複数のシステムのうち、エネルギー削減余地の高いシステムから、エネルギーの消費量の削減に取り組むことができ、これにより、効率良くエネルギー消費量の削減を実現できる。
【0144】
図24は、改善後の各システムにおける情報の他の例を示す図である。グラフ881,883,885は、それぞれ、上記した対象A,対象B,対象Cにおける機器の消費電力量の時間変化を示す。なお、グラフ881,885において破線で示されているのは、
図22のグラフ851,855において示された、改善前の機器の消費電力量である。
【0145】
また、グラフ882,884,886は、それぞれ、グラフ881,883,885に示されたように機器に電力が供給された場合の、上記の対象A,対象B,対象Cにおける状態データと、当該状態データに対する管理基準(上限側および下限側の制限値)を示す。
【0146】
図24には、
図22に示された例において最もエネルギー削減余地の値が高かった対象Cと、二番目にエネルギー削減余地の値が高かった対象Bについて、システムの改善が行なわれた場合の情報が示されている。
【0147】
図24のグラフ881に示されるように、グラフ851と比較して、機器に供給される電力量が低下している。これにより、
図24のグラフ882に示されるように、グラフ852と比較して、状態データは、基準値近傍に位置するまで変動している。ただし、状態データは、基準範囲内に収まっている。
【0148】
今回開示された各実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0149】
たとえば、余裕度を算出 するために、標準偏差を用いずに、状態データの度数分布から算出できる値や、平均値に係数を掛けた値など、統計手法を用いて導出できる値とすることができる。
【0150】
また、対象とするシステムは、製品の製造に関わるシステムであり、かつ、エネルギーを消費するシステムであり、そして、本実施の形態において説明された例の他に、窒素置換炉における状態データを酸素濃度とし、また、エネルギーを消費して製造された二次エネルギーとして定義できる窒素ガスを消費されるエネルギーとするようなシステムであってもよい。また、さらに他の例としては、エアアクチュエータや真空チャックのある製造装置における製造システムであって、状態データとして圧力が、製造に利用されるエネルギーとしてコンプレッサで製造される圧縮空気が採用されるシステムが挙げられる。さらに他の例としては、冷却水や熱水を必要とする製造装置を利用したシステムが挙げられる。このようなシステムの場合、状態データは温度であり、製造に利用されるエネルギーは冷却水や熱水を生成する装置において消費される熱エネルギーである。さらなる他の例としては、製造設備が設置された空調システムであって、状態データを温度とし、消費されるエネルギーを空調機の動力とするようなシステムが挙げられる。
【0151】
また、各実施の形態およびその変形例は、単独でも、また必要に応じて適宜組み合わされて、実施されることが意図される。