(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、省エネルギー化を図りつつ、乾燥効率を向上させることができる浴室衣類乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、浴室の衣類を乾燥させる浴室衣類乾燥装置であって、空気を吸い込む吸込口と前記空気を吹き出す吹出口とを連通し、前記吸込口から吸い込まれた空気を前記吹出口へ導く内部流路と、前記内部流路に設けられ、前記吸込口から吸い込まれた前記内部流路の空気に流れを発生させるファンと、前記内部流路から分岐し、前記吸込口から吸い込まれた前記内部流路の空気の少なくとも一部を前記浴室の外部へ排出する排出経路と、前記内部流路を流れる空気の温度を検出するセンサと、前記内部流路を流れる空気を加熱するヒータと、衣類乾燥運転において前記センサで検出された温度に基づいて衣類乾燥時間に対する前記ヒータの出力時間を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記衣類乾燥運転を開始し前記浴室の内部の空気を排出した後に、前記センサで検出された温度に基づいて前記ヒータの出力時間を決定し、その後、前記ヒータの出力時間を第1の温風乾燥時間と第2の温風乾燥時間とに分け、前記第1の温風乾燥時間と前記第2の温風乾燥時間とのあいだに前記ヒータの出力を行わず前記浴室の内部の空気を循環させる涼風乾燥時間を設け
、前記涼風乾燥時間のうちのいずれかにおいて、前記排出経路から前記浴室の外部へ排出される空気の排気量を前記第1の温風乾燥時間における前記排気量よりも増加させることを特徴とする浴室衣類乾燥装置である。
【0006】
本発明者は、衣類乾燥運転においてヒータの出力を継続して行うと、その出力時間の後半においては、その出力時間の前半と比較して、ヒータで発生した熱(浴室の内部に投入された温風の熱)が衣類の乾燥に使われず、浴室の壁を介した熱伝達により浴室の外部へ逃げやすくなるという知見を得た。言い換えれば、本発明者は、ヒータの出力を比較的長く継続して行う衣類乾燥運転の場合、ヒータの出力時間の後半では、浴室の壁と浴室の外部との温度差が大きくなりやすく、その温度差が大きくなった状態が続くため、浴室の壁に伝わった熱が浴室の外部に逃げやすくなるという知見を得た。
【0007】
この浴室衣類乾燥装置によれば、ヒータの出力時間を第1の温風乾燥時間と第2の温風乾燥時間とに分け、第1の温風乾燥時間と第2の温風乾燥時間とのあいだに涼風乾燥時間を設けることで、ヒータの出力時間の後半における浴室の壁から浴室の外部に逃げる熱を減らすことが可能になるとともに、ヒータの出力を行わない涼風乾燥運転の涼風の流れを利用して、涼風乾燥時間を設けずにヒータの出力を継続して行う衣類乾燥運転に比べてヒータの出力時間を全体的に短縮することが可能になる。そのため、省エネルギー化を図りつつ乾燥効率の向上を図ることができる。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記制御手段は、前記第1の温風乾燥時間を前記第2の温風乾燥時間よりも長い時間に設定することを特徴とする浴室衣類乾燥装置である。
【0009】
この浴室衣類乾燥装置によれば、使用者が衣類乾燥運転を途中で取りやめて別の運転に変更したい場合でも、大部分の衣類の乾燥は終了している。そのため、使用者は、別の運転に変更しやすい。これにより、衣類の乾燥を急ぐ使用者のニーズに対応することができる。
【0010】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記制御手段は、前記第2の温風乾燥時間の終了と同時に前記衣類乾燥運転を完了することを特徴とする浴室衣類乾燥装置である。
【0011】
この浴室衣類乾燥装置によれば、第2の温風乾燥時間の終了が、衣類乾燥運転の完了の時間と一致している。これにより、第2の温風乾燥運転により衣類が温められ、衣類をふっくらとした状態に仕上げることができる。
【0012】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記制御手段は、前記浴室の内部の空気の排出を完了した後に、前記内部流路を流れる空気の温度を前記センサにより検出することを特徴とする浴室衣類乾燥装置である。
【0013】
制御手段は、浴室の内部の空気の排出が十分に終わっていないときに浴室の内部の温度をセンサにより検出すると、外気温とは大きく異なる温度として誤検知するおそれがある。これに対して、この浴室衣類乾燥装置によれば、制御手段は、浴室の内部の空気を排出した後にセンサによる温度検出を行うことで、誤検知を抑制することができる。
【0014】
また、第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記制御手段は、前記涼風乾燥時間のうちのいずれかにおいて、前記排出経路から前記浴室の外部へ排出される空気の排気量を前記第1の温風乾燥時間における前記排気量よりも増加させることを特徴とする浴室衣類乾燥装置である。
【0015】
この浴室衣類乾燥装置によれば、浴室の壁に蓄積された熱が少なくなった後では熱の移動量がより少ないため、ファンの回転数を増加させて空気の排出量を増加させることで衣類乾燥の促進を図ることができる。
【0016】
また、第6の発明は、第5の発明において、前記制御手段は、前記第1の温風乾燥時間が経過した後の前記涼風乾燥時間における前記排気量を、所定時間の間、前記第1の温風乾燥時間における前記排気量に維持することを特徴とする浴室衣類乾燥装置である。
【0017】
この浴室衣類乾燥装置によれば、熱が浴室の壁に蓄積されている間において、排気量をより少量に維持することで浴室の壁に蓄積された熱が浴室の外部に排出される量をより少量に抑えることができる。
【0018】
また、第7の発明は、第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記センサは、前記吸込口と前記ファンとのあいだの前記内部流路のうちで前記ファンの側に配置されたことを特徴とする浴室衣類乾燥装置である。
【0019】
この浴室衣類乾燥装置によれば、センサは、吸込口から吸い込まれた空気の温度がより均一になりやすい部分の温度を検出する。これにより、センサは、空気の温度をより正確に検出することができ、ヒータの出力時間をより精度良く決定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の態様によれば、省エネルギー化を図りつつ、乾燥効率を向上させることができる浴室衣類乾燥装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる浴室衣類乾燥装置が設置された浴室を表す模式的断面図である。
また、
図2は、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置の要部構成を表すブロック図である。
また、
図3は、本実施形態にかかる他の浴室衣類乾燥装置の要部構成を表すブロック図である。
また、
図4は、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置の衣類乾燥運転を説明する模式的概念図である。
なお、
図2および
図3に表したブロック図は、風路系統と電気系統とを併せて表している。
【0023】
図1に表したように、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置100は、浴室10の天井11などに設置されている。本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置100は、例えば、ヒータの出力を行い浴室10の内部に温風を送る「温風乾燥運転」と、浴室10の内部の空気を換気する「換気運転」と、浴室10の内部の空気を暖める「暖房運転」と、ヒータの出力を行わず浴室10の内部に空気を送る「涼風乾燥運転」と、を実行することができる。
【0024】
本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置100は、例えば、浴室10のみの換気を行う「1ファンタイプ」などと呼ばれる浴室衣類乾燥装置100aと、浴室10と浴室10に隣接する洗面所やトイレなどとの換気を行う「2ファンタイプ」などと呼ばれる浴室衣類乾燥装置100bと、に分類される。
【0025】
図2に表したように、「1ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置100aは、内部流路125と、センサ131と、ファン133と、ダンパ135と、ヒータ137と、排出経路127と、制御手段110と、を備える。
【0026】
内部流路125は、空気を吸い込む吸込口121と空気を吹き出す吹出口123とを連通し、吸込口121から吸い込まれた空気を吹出口123へ導くことができる。ファン133は、内部流路125に設けられている。ファン133は、吸込口121から空気を吸い込み、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気に流れを発生させる。ダンパ135は、適宜駆動することにより、ファン133から送られてきた空気を吹出口123へ向かう内部流路125へ送る割合と、排出経路127へ送る割合と、を変更する。排出経路127は、ダンパ135において内部流路125から分岐し、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の少なくとも一部を浴室10の外部へ排出する。センサ131は、内部流路125を流れる空気の温度を検出することができる。制御手段110は、ファン133と、ダンパ135と、ヒータ137と、の動作を制御することができる。
【0027】
一方、「2ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置100bは、「1ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置100aが1つのファン133を備えるのに対して、2つのファンを備える。すなわち、
図3に表したように、「2ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置100bは、循環用ファン133aと、換気用ファン133bと、を備える。循環用ファン133aは、内部流路125に設けられ、「温風乾燥運転」、「暖房運転」、および「涼風乾燥運転」を実行する場合に用いられる。循環用ファン133aは、吸込口121から空気を吸い込み、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気に流れを発生させる。換気用ファン133bは、ダンパ135よりも下流側の排出経路127に設けられている。換気用ファン133bは、ダンパ135の開口部から空気を吸い込み、ダンパ135の開口部から吸い込まれた排出経路127の空気に流れを発生させる。その他の要部構成は、
図2に関して前述した「1ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置100aの要部構成と同様である。
【0028】
ここで、浴室衣類乾燥装置100は、「温風乾燥運転」を実行する場合には、
図1に表した矢印A1のように例えば浴室10の図示しないドアのガラリなどから空気を吸い込むとともに、吸込口121から内部流路125へ空気を吸い込む。そして、
図1に表した矢印A2のように、浴室衣類乾燥装置100は、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の一部をヒータ137により暖められた空気(温風)として浴室10の内部に送り込む。また、
図1に表した矢印A5のように、浴室衣類乾燥装置100は、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の他の一部を浴室10の外部へ排出し、浴室10の内部の空気を換気する。
【0029】
浴室10の内部に送り込まれた温風の熱は、
図1に表した矢印A3および矢印A4のように衣類21を乾燥させるために用いられたり、
図1に表した矢印A5のように浴室衣類乾燥装置100の換気運転により浴室10の外部へ排出されたり、浴室10の壁13を介した熱伝達により浴室10の外部へ排出される。
【0030】
ここで、本発明者は、衣類乾燥運転においてヒータ137の出力を継続して行うと、その出力時間の後半においては、その出力時間の前半と比較して、ヒータ137で発生した熱(浴室10の内部に投入された温風の熱)が衣類21の乾燥に使われず、浴室10の壁13を介した熱伝達により浴室10の外部へ逃げやすくなるという知見を得た。言い換えれば、本発明者は、ヒータ137の出力を比較的長く継続して行う衣類乾燥運転の場合、ヒータ137の出力時間の後半では、浴室10の壁13と浴室10の外部との温度差が大きくなりやすく、その温度差が大きくなった状態が続くため、浴室10の壁13に伝わった熱が浴室10の外部に逃げやすくなるという知見を得た。例えば、本発明者は、検討の結果、衣類乾燥運転においてヒータ137の出力を継続して行うと、その出力時間の後半においては、浴室10の内部に投入された温風の熱(矢印A2参照)のうちの50%以上の熱が浴室10の壁13を介した熱伝達(矢印A6参照)により浴室10の外部へ逃げているという知見を得た。
なお、本願明細書において「衣類乾燥運転」とは、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置100が浴室10の衣類21を乾燥させる一連の運転をいうものとし、「温風乾燥運転」および「涼風乾燥運転」の少なくともいずれかを含む運転をいうものとする。
【0031】
これに対して、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置100の制御手段110は、
図4に表したように、ヒータ137の出力時間(温風乾燥時間)を第1の温風乾燥時間と第2の温風乾燥時間とに分け、第1の温風乾燥時間と第2の温風乾燥時間との間に、ヒータ137の出力を行わず浴室10の空気を循環させる時間(涼風乾燥時間)を設ける。
【0032】
これによれば、ヒータ137の出力時間の後半における浴室10の壁13から浴室10の外部に逃げる熱を減らすことが可能になるとともに、ヒータ137の出力を行わない涼風乾燥運転の涼風の流れを利用して、涼風乾燥時間を設けずにヒータ137の出力を継続して行う衣類乾燥運転に比べてヒータ137の出力時間を全体的に短縮することが可能になる。そのため、省エネルギー化を図りつつ乾燥効率の向上を図ることができる。
【0033】
次に、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置100の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態の浴室衣類乾燥装置の具体例を例示する模式的断面図である。
また、
図6は、本具体例の暖房運転時におけるダンパの位置を表す模式的断面図である。
また、
図7は、本具体例の温風乾燥運転および涼風乾燥運転時のダンパの位置を表す模式的断面図である。
また、
図8は、本具体例の換気運転時のダンパの位置を表す模式的断面図である。
【0034】
本具体例の浴室衣類乾燥装置100aは、
図2に関して前述したいわゆる「1ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置である。
図5〜
図8に表したように、本具体例の浴室衣類乾燥装置100aは、筐体101と、内部流路125と、センサ131と、ファン133と、ダンパ135と、ヒータ137と、排出経路127と、を備える。内部流路125と、センサ131と、ファン133と、ダンパ135と、ヒータ137と、排出経路127と、は、筐体101の内部に設けられている。
図5に表した矢印A11のように、吸込口121から吸い込まれた空気は、内部流路125およびファン133により吹出口123へ導かれる。その他の構成および構造は、
図2に関して前述した如くである。
【0035】
ここで、浴室衣類乾燥装置100aが「暖房運転」を実行する場合には、
図6に表したように、ダンパ135は、排出経路127を塞いでいる。そのため、
図6に表した矢印A12のように、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の全てが吹出口123へ向かう内部流路125へ導かれる。そして、吹出口123へ向かう空気は、ヒータ137により暖められて温風として浴室10の内部に送り込まれる。つまり、浴室衣類乾燥装置100aが「暖房運転」を実行する場合には、浴室10の内部の空気の換気は行われない。
【0036】
また、浴室衣類乾燥装置100aが「温風乾燥運転」および「涼風乾燥運転」を実行する場合には、
図7に表したように、ダンパ135は、排出経路127の一部を開放している。そのため、
図7に表した矢印A13のように、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の一部は、排出経路127へ導かれ浴室10の外部へ排出される。また、
図7に表した矢印A14のように、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の他の一部は、吹出口123へ向かう内部流路125へ導かれる。つまり、浴室衣類乾燥装置100aが「温風乾燥運転」および「涼風乾燥運転」を実行する場合には、「温風乾燥運転」および「涼風乾燥運転」を実行するともに、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の一部を換気している。
【0037】
そして、「温風乾燥運転」の場合には、吹出口123へ向かう空気は、ヒータ137により暖められて温風として浴室10の内部に送り込まれる。一方で、「涼風乾燥運転」の場合には、制御手段110がヒータの出力を停止し、吹出口123へ向かう空気は、ヒータ137で暖められることなく涼風として浴室10の内部に送り込まれる。
【0038】
また、浴室衣類乾燥装置100aが「換気運転」を実行する場合には、
図8に表したように、ダンパ135は、排出経路127を全開とし、吹出口123へ向かう内部流路125を塞いでいる。そのため、
図8に表した矢印A15のように、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の全てが排出経路127へ導かれ浴室10の外部へ排出される。
【0039】
図9は、本実施形態の浴室衣類乾燥装置の具体例を例示する模式的断面図である。
本具体例の浴室衣類乾燥装置100bは、
図3に関して前述したいわゆる「2ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置である。
【0040】
図9に表したように、本具体例の浴室衣類乾燥装置100bは、第1の筐体101aと、第2の筐体101bと、内部流路125と、センサ131と、循環用ファン133aと、換気用ファン133bと、ダンパ135と、ヒータ137と、排出経路127と、を備える。内部流路125と、センサ131と、循環用ファン133aと、ヒータ137と、は、第1の筐体101aの内部に設けられている。また、換気用ファン133bと、排出経路127と、は、第2の筐体101bの内部に設けられている。また、ダンパ135は、第1の筐体101aと第2の筐体101bとの接続部に設けられている。
【0041】
第1の筐体101aと第2の筐体101bとは、図示しない接続口により互いに連通している。そのため、例えば、
図9に表したダンパ135bおよびダンパ135cのように、ダンパ135が開いている場合には、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の少なくとも一部は、排出経路127へ流れることができる。その他の構成および構造は、
図3に関して前述した如くである。
【0042】
ここで、浴室衣類乾燥装置100bが「暖房運転」を実行する場合には、
図9に表したダンパ135aのように、ダンパ135は、接続口および排出経路127を塞いでいる。そのため、
図9に表した矢印A21のように、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の全てが吹出口123へ向かう内部流路125へ導かれる。その他の空気の流れは、
図6に関して前述した「1ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置100aの「暖房運転」における空気の流れと同様である。
【0043】
また、浴室衣類乾燥装置100bが「温風乾燥運転」および「涼風乾燥運転」を実行する場合には、
図9に表したダンパ135bのように、ダンパ135は、接続口および排出経路127の一部を開放している。そのため、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の一部は、排出経路127へ導かれ、第2の筐体101bに設けられた排気用接続口129を通して浴室10の外部へ排出される。その他の空気の流れは、
図7に関して前述した「1ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置100aの「温風乾燥運転」および「涼風乾燥運転」における空気の流れと同様である。
【0044】
また、浴室衣類乾燥装置100bが「換気運転」を実行する場合には、
図9に表したダンパ135cのように、ダンパ135は、接続口および排出経路127を全開としている。そのため、吸込口121から吸い込まれた内部流路125の空気の全てが排出経路127へ導かれ、排気用接続口129を通して浴室10の外部へ排出される。
【0045】
なお、第2の筐体101bには、排気用接続口129と、吸気用接続口128と、が設けられている。前述したように、排出経路127へ導かれた空気は、排気用接続口129を通して浴室10の外部へ排出される。また、浴室10に隣接する洗面所やトイレなどから吸い込まれた空気は、吸気用接続口128を通して筐体101bの内部へ導かれ、換気用ファン133bおよび排出経路127により排気用接続口129を通して浴室10の外部へ排出される。
【0046】
次に、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置100の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図10は、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置の動作の具体例を表すフローチャート図である。
また、
図11は、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置の動作の具体例を表す模式的概略図である。
また、
図12は、衣類乾燥設定時間と外気温との関係におけるヒータ出力時間の一例を例示する表である。
なお、
図11は、衣類重量が2キログラム(kg)、外気温が15度(℃)、衣類乾燥時間(設定時間)が8時間である場合の動作を例示する模式的概略図である。
【0047】
まず、使用者は、衣類乾燥運転を実行する場合には、浴室10に吊した衣類21の重量を推測し、衣類乾燥時間を図示しないリモコンなどにより設定する(ステップS101)。
図12に表したように、例えば、使用者は、衣類21の重量が「2kg」と推測したときには、衣類乾燥時間を「8時間」に設定する。また、例えば、使用者は、衣類21の重量が「5kg」と推測したときには、衣類乾燥時間を「10時間」に設定する。また、例えば、使用者は、衣類21の重量が「7kg」と推測したときには、衣類乾燥時間を「12時間」に設定する。
【0048】
図11に表した具体例では、使用者は、衣類21の重量が「2kg」と推測し、
図12に表した表に基づいて衣類乾燥時間を「8時間(480分)」に設定している。
【0049】
続いて、使用者が衣類乾燥時間を設定すると、制御手段110は、運転を開始し、まず、涼風乾燥運転を実行する(ステップS103)。
図7に関して前述したように、浴室衣類乾燥装置100は、「涼風乾燥運転」を実行する場合には、浴室10の空気を循環させるとともに、浴室10の空気の一部を換気している。このように、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置100は、衣類乾燥運転の始めに浴室10の内部の空気を排出する。
【0050】
続いて、
図11に表したように、制御手段110は、所定時間(本具体例では30分)が経過すると(ステップS105:Yes)、このときの浴室10の気温(外気温)すなわち内部流路125を流れる空気の温度をセンサ131により検出する(ステップS107)。なお、ここでいう「所定時間」とは、涼風乾燥運転が開始されてから、浴室10の内部の空気が十分に入れ替わり、浴室10の気温が例えば洗面所や廊下などの気温(外気温)と同等となるまでの時間をいうものとする。そして、制御手段110は、センサ131により検出された温度に基づいてヒータ137の出力時間を決定する(ステップS109)。
【0051】
続いて、制御手段110は、ヒータ137の出力時間を第1の温風乾燥時間と第2の温風乾燥時間とに分ける。さらに、制御手段110は、第1の温風乾燥時間と第2の温風乾燥時間との間に涼風乾燥時間を設ける。
【0052】
図11に表した具体例では、外気温が15℃であるため、制御手段110は、
図12に表した表に基づいてヒータ出力時間を「90分」に決定している。続いて、制御手段110は、ヒータ出力時間の「90分」を第1の温風乾燥時間の「60分」と第2の温風乾燥時間の「30分」とに分けている。さらに、制御手段110は、第1の温風乾燥時間と第2の温風乾燥時間との間に涼風乾燥時間の「360分」を設けている。なお、第1の温風乾燥時間と第2の温風乾燥時間との間の涼風乾燥時間(360分)は、衣類乾燥時間(480分)から、運転開始時の涼風乾燥時間(30分)と、第1の温風乾燥時間(60分)と、第2の温風乾燥時間(30分)と、を差し引くことで算出される。
【0053】
続いて、制御手段110は、第1の温風乾燥運転を実行する(ステップS111)。続いて、制御手段110は、第1の温風乾燥時間(本具体例では60分)が経過すると(ステップS113:Yes)、第1の温風乾燥運転を終了し涼風乾燥運転を実行する(ステップS115)。これにより、ヒータ137の出力時間の後半における浴室10の壁13から浴室10の外部に逃げる熱を減らすことが可能になるとともに、涼風乾燥運転の涼風の流れを利用して、涼風乾燥時間を設けずにヒータ137の出力を継続して行う衣類乾燥運転に比べてヒータ137の出力時間を全体的に短縮することが可能になる。そのため、省エネルギー化を図りつつ乾燥効率の向上を図ることができる。
【0054】
続いて、制御手段110は、涼風乾燥時間(本具体例では360分)が経過すると(ステップS117:Yes)、涼風乾燥運転を終了し第2の温風乾燥運転を実行する(ステップS119)。続いて、制御手段110は、第2の温風乾燥時間(本具体例では30分)が経過すると(ステップS121:Yes)、第2の温風乾燥運転を終了し衣類乾燥運転を終了(停止)する(ステップS123)。
【0055】
本具体例によれば、第1の温風乾燥時間は、第2の温風乾燥時間よりも長い。そのため、使用者が衣類乾燥運転を途中で取りやめて別の運転に変更したい場合でも、大部分の衣類の乾燥は終了している。そのため、使用者は、別の運転に変更しやすい。これにより、衣類の乾燥を急ぐ使用者のニーズに対応することができる。
【0056】
また、本具体例の制御手段110は、第2の温風乾燥時間の終了と同時に衣類乾燥運転を終了(完了)する。つまり、第2の温風乾燥時間の終了が、衣類乾燥運転の完了の時間と一致している。これにより、第2の温風乾燥運転により衣類が温められ、衣類をふっくらとした状態に仕上げることができる。
【0057】
また、本具体例の制御手段110は、衣類乾燥運転の始めにおいて、浴室10の内部の空気を排出した後に内部流路125を流れる空気の温度をセンサ131により検出する。制御手段110は、浴室10の内部の空気の排出が十分に終わっていないときに浴室10の内部の温度をセンサ131により検出すると、外気温とは大きく異なる温度として誤検知するおそれがある。これに対して、本具体例では、制御手段110は、浴室10の内部の空気を排出した後にセンサ131による温度検出を行うことで、誤検知を抑制することができる。
【0058】
また、
図5および
図9に表したように、センサ131は、吸込口121とファン133(循環用ファン133a)との間の内部流路125のうちでファン133(循環用ファン133a)の側に配置されている。そのため、センサ131は、吸込口121から吸い込まれた空気の温度がより均一になりやすい部分の温度を検出する。これにより、センサ131は、空気の温度をより正確に検出することができ、ヒータの出力時間をより精度良く決定することができる。
【0059】
次に、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置100の動作の具体例について、図面を参照しつつさらに説明する。
図13は、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置の動作の具体例を表すタイミングチャート図である。
本具体例の浴室衣類乾燥装置100aは、
図2に関して前述したいわゆる「1ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置である。
【0060】
まず、使用者が衣類乾燥時間を設定すると、制御手段110は、ファン133の運転を開始し、ダンパ135の位置を「暖房運転」の位置(
図6参照)から「涼風乾燥運転・温風乾燥運転」の位置(
図7参照)へ変更する(タイミングt1)。このとき、制御手段110は、ヒータ137の出力を停止しているため、涼風乾燥運転が実行される(タイミングt1〜t2)。これにより、衣類乾燥運転の始めに浴室10の内部の空気が排出される。
【0061】
続いて、所定時間が経過すると、制御手段110は、ヒータ137の出力を行う(タイミングt2)。これにより、第1の温風乾燥運転が実行される(タイミングt2〜t3)。続いて、第1の温風乾燥時間が経過すると、制御手段110は、ヒータ137の出力を停止する(タイミングt3)。これにより、涼風乾燥運転が実行される(タイミングt3〜t4)。そして、涼風乾燥運転の涼風の流れを利用して、ヒータ137の出力時間の後半における浴室10の壁13から浴室10の外部に逃げる熱を減らし、衣類21の乾燥を継続することができる。
【0062】
続いて、涼風乾燥時間が経過すると、制御手段110は、ヒータ137の出力を再び行う(タイミングt4)。これにより、第2の温風乾燥運転が実行される(タイミングt4〜t5)。続いて、第2の温風乾燥時間が経過すると、制御手段110は、ヒータ137の出力を停止し、ファン133の運転を停止する。また、制御手段110は、ダンパ135の位置を「涼風乾燥運転・温風乾燥運転」の位置から「暖房運転」の位置へ変更する。これにより、衣類乾燥運転が終了する。
【0063】
図14は、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置の動作の他の具体例を表すタイミングチャート図である。
本具体例の浴室衣類乾燥装置100bは、
図3に関して前述したいわゆる「2ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置である。
【0064】
まず、使用者が衣類乾燥時間を設定すると、制御手段110は、循環用ファン133aおよび換気用ファン133bの運転を開始する(タイミングt11)。このとき、制御手段110は、ヒータ137の出力を停止しているため、涼風乾燥運転が実行される(タイミングt11〜t12)。これにより、衣類乾燥運転の始めに浴室10の内部の空気が排出される。
【0065】
続いて、タイミングt12〜t14における動作は、
図13に関して前述した具体例のタイミングt2〜t4における動作と同様である。
続いて、第2の温風乾燥時間が経過すると、制御手段110は、ヒータ137の出力を停止し、循環用ファン133aおよび換気用ファン133bの運転を停止する(タイミングt15)。これにより、衣類乾燥運転が終了する。
【0066】
図15は、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャート図である。
本具体例の浴室衣類乾燥装置100aは、
図2に関して前述したいわゆる「1ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置である。
【0067】
まず、タイミングt21〜t23における動作は、
図13に関して前述した具体例のタイミングt1〜t3における動作と同様である。
続いて、制御手段110は、第1の温風乾燥時間が経過した後の涼風乾燥運転においても、第1の温風乾燥運転におけるファン133の回転数を維持し、排出経路127から浴室10の外部に排出される空気の排出量(排気量)を維持する(タイミングt23〜t24)。これにより、熱が浴室10の壁13に蓄積されている間において、排気量をより少量に維持することで浴室10の壁13に蓄積された熱が浴室10の外部に排出される量をより少量に抑えることができる。
【0068】
続いて、所定時間が経過すると、制御手段110は、ファン133の回転数を増加させ、排出経路127から浴室10の外部に排出される空気の排出量を第1の温風乾燥時間における排気量よりも増加させる(タイミングt24)。言い換えれば、涼風乾燥運転における空気の排出量は、第1の温風乾燥運転における空気の排出量よりも多い部分を有する。これによれば、浴室10の壁13に蓄積された熱が少なくなった後では熱の移動量がより少ないため、ファン133の回転数を増加させて空気の排出量を増加させることで衣類乾燥の促進を図ることができる。
【0069】
続いて、涼風乾燥時間が経過すると、制御手段110は、ヒータ137の出力を再び行い、ファン133の回転数を第1の温風乾燥運転におけるファン133の回転数と同等とする(タイミングt25)。これにより、第2の温風乾燥運転が実行される(タイミングt25〜t26)。続いて、タイミングt26における動作は、
図13に関して前述した具体例のタイミングt5における動作と同様である。
【0070】
図16は、本実施形態にかかる浴室衣類乾燥装置の動作のさらに他の具体例を表すタイミングチャート図である。
本具体例の浴室衣類乾燥装置100bは、
図3に関して前述したいわゆる「2ファンタイプ」の浴室衣類乾燥装置である。
【0071】
まず、タイミングt31〜t33における動作は、
図14に関して前述した具体例のタイミングt11〜t13における動作と同様である。
続いて、制御手段110は、第1の温風乾燥時間が経過した後の涼風乾燥運転においても、第1の温風乾燥運転における換気用ファン133bの回転数を維持し、排出経路127から浴室10の外部に排出される空気の排出量を維持する(タイミングt33〜t34)。これにより、
図15に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0072】
続いて、所定時間が経過すると、制御手段110は、換気用ファン133bの回転数を増加させ、排出経路127から浴室10の外部に排出される空気の排出量を第1の温風乾燥時間における排気量よりも増加させる(タイミングt34)。言い換えれば、涼風乾燥運転における空気の排出量は、第1の温風乾燥運転における空気の排出量よりも多い部分を有する。これによれば、
図15に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0073】
続いて、涼風乾燥時間が経過すると、制御手段110は、ヒータ137の出力を再び行い、換気用ファン133bの回転数を第1の温風乾燥運転における換気用ファン133bの回転数と同等とする(タイミングt35)。これにより、第2の温風乾燥運転が実行される(タイミングt35〜t36)。続いて、タイミングt36における動作は、
図14に関して前述した具体例のタイミングt15における動作と同様である。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室衣類乾燥装置100、100a、100bなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などやファン、循環用ファン133a、換気用ファン133b、およびダンパ135の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。