(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2回転要素は、前記第1回転要素よりも上方に設けられ、かつ、前記脱穀部の扱胴に連結されて、前記第1回転要素から駆動力が伝達されることにより前記扱胴を回転駆動し、
前記第3回転要素は、前記第1回転要素の上方で、かつ、前記第2回転要素の下方に設けられるとともに前記刈取装置の搬送装置に連結されて、前記第2回転要素から駆動力が伝達されることにより前記搬送装置を駆動する
請求項1に記載のコンバイン。
前記第2テンションローラが前記第2ベルトに近づく方向に前記第2ローラ支持片を付勢する第2テンション受け部を、前記選別部の側部に設けられたフレームに取り付けた
請求項10に記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような特許文献1に記載の汎用コンバインの動力伝達装置は、上部脱穀室及び選別部の両側それぞれに複数のプーリを設けているために、プーリ同士を連結するベルトを上部脱穀室及び選別部の左右両側に配置したり、プーリ同士を連結する回転軸を上部脱穀室に駆動力を伝達するギヤボックスに貫通させる必要があった。このように、ベルトを上部脱穀室及び選別部の両側それぞれに配置したり、回転軸をギヤボックスに貫通させるために、動力伝達装置の占めるスペースが拡大して、コンバイン自体の大型化を招く点で、更なる改善の余地がある。また、特許文献1に記載の汎用コンバインの動力伝達装置では、ベルトを上部脱穀室及び選別部の両側それぞれに配置したり、回転軸を上部脱穀室に貫通させるために、耐久性向上、メンテナンスの容易化の点で、更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、エンジンの駆動力を刈取装置と脱穀装置に伝達する動力伝達装置を小型化するとともに、耐久性及びメンテナンス性を高めたコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコンバイン(1)は、例えば、機体フレーム(2)の前部に設けられた刈取装置(5)と、前記刈取装置(5)の後方でかつグレンタンク(8)の側方に設けられ、下部の選別部(6)と上部の脱穀部(7)を有する脱穀装置(10)と、前記脱穀装置(10)の前部における前記グレンタンク(8)に面する側面部に設けられ、かつエンジン(3)の駆動力を前記刈取装置(5)及び前記脱穀装置(10)に伝達する動力伝達装置(9)と
、前記脱穀装置(10)よりも前方に設けられ、かつ、前記脱穀装置(10)よりも幅が狭く形成されるとともに、前記脱穀装置(10)の前部の右端よりも左側に偏倚して配置される脱穀前フレーム(23)と、を備
え、前記動力伝達装置(9)は、
前記脱穀前フレーム(23)の後方に設けられ、前記エンジン(3)の駆動力により回転駆動されるとともに前記選別部(6)に駆動力を供給する第1回転要素(91)と、前記第1回転要素(91)から駆動力が伝達されることにより回転駆動されるとともに前記脱穀部(7)に駆動力を供給する第2回転要素(92)と、前記第2回転要素(92)から駆動力が伝達されることにより回転駆動されるとともに前記刈取装置(5)に駆動力を供給する第3回転要素(93)と、
前記脱穀前フレーム(23)の前方に設けられ、前記第3回転要素(93)を回転自在に支持する支持メタル(115)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記第2回転要素(92)は、前記第1回転要素(91)よりも上方に設けられかつ前記脱穀部(7)の扱胴(73)に連結されて、前記第1回転要素(91)から駆動力が伝達されることにより前記扱胴(73)を回転駆動し、前記第3回転要素(93)は、前記第1回転要素(91)の上方でかつ前記第2回転要素(92)の下方に設けられるとともに前記刈取装置(5)の搬送装置(56)に連結されて、前記第2回転要素(92)から駆動力が伝達されることにより前記搬送装置(56)を駆動するものとすることができる。
【0009】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記脱穀前フレーム(23)と前記グレンタンク(8)との間に形成される空間(K)に、前記第1回転要素(91)、前記第2回転要素(92)及び前記第3回転要素(92)を設けたものとすることができる。
【0010】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記エンジン(3)と前記第1回転要素(91)とを連結する第1ベルト(96)を、前記第1回転要素(91)と前記第2回転要素(92)とを連結する第2ベルト(107)よりも前記グレンタンク(8)寄りに設けたものとすることができる。
【0011】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記第2回転要素(92)と前記第3回転要素(93)とを連結する第3ベルト(116)を、前記第2ベルト(107)よりも前記グレンタンク(8)寄りに設けたものとすることができる。
【0012】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記脱穀前フレーム(23)は、前記機体フレーム(2)の前後方向に重ねられる2枚の板部材(26)を備え、前記第1回転要素(91)を回転自在に支持する支持部材(94)と、前記支持メタル(115)を前記板部材(26)に連結したものとすることができる。
【0013】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記エンジン(3)と前記第1回転要素(91)とを連結する第1ベルト(96)に張力を付与する第1テンションローラ(98)と、前記第1テンションローラ(98)を先端部に回転自在に支持し、かつ、前記脱穀前フレーム(23)に取り付けられた基端部を中心として回転自在な第1ローラ支持片(99)とを備えるものとすることができる。
【0014】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記第1ローラ支持片(99)の基端部を前記脱穀前フレーム(23)に回転自在に取り付ける第1テンション支持部(100)を、前記脱穀前フレーム(23)に着脱自在としたものとすることができる。
【0015】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記第1テンションローラ(98)が前記第1ベルト(96)に近づく方向に前記第1ローラ支持片(99)を付勢する第1テンション受け部(101)を、前記選別部(6)に取り付けたものとすることができる。
【0016】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記第1回転要素(91)と前記第2回転要素(92)とを連結する第2ベルト(107)に張力を付与する第2テンションローラ(109)と、前記第2テンションローラ(109)を先端部に回転自在に支持し、かつ、前記選別部(6)の側部に設けられたフレーム(21)に回動ピン(111)を中心として回転自在に取り付けられた第2ローラ支持片(110)と、を備えるものとすることができる。
【0017】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記第2テンションローラ(109)が前記第2ベルト(107)に近づく方向に前記第2ローラ支持片(110)を付勢する第2テンション受け部(112)を、前記選別部(6)の側部に設けられたフレーム(21)に取り付けたものとすることができる。
【0018】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記第2回転要素(92)と前記第3回転要素(93)とを連結する第3ベルト(116)に張力を付与する第3テンションローラ(118)と、前記第3テンションローラ(118)を先端部に回転自在に支持し、かつ、前記第2回転要素(92)と前記脱穀装置(10)とを連結するギヤボックス(105)に回動ピン(120)を中心として回転自在に取り付けられた第3ローラ支持片(119)とを備えるものとすることができる。
【0019】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記第3テンションローラ(118)が前記第3ベルト(116)に近づく方向に前記第3ローラ支持片(119)を付勢する第3テンション受け部(121)を、前記ギヤボックス(105)に取り付けたものとすることができる。
【0020】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記第3回転要素(93)の回転軸(114)に前記第2ベルト(107)に当接するルーズプーリ(123)を、回転自在に設けたものとすることができる。
【0021】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記ルーズプーリ(123)が、内張り式のルーズプーリであるものとすることができる。
【0022】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記第1回転要素(91)と前記第2回転要素(92)とを連結する第2ベルト(107)に張力を付与する第2テンションローラ(109)と、前記第2テンションローラ(109)を先端部に回転自在に支持し、かつ、前記選別部(6)の側部に設けられたフレーム(21)に回動ピン(111)を中心として回転自在に取り付けられた第2ローラ支持片(110)とを備え、該第2ローラ支持片(110)を回転させた時の前記第2テンションローラ(109)の外縁の軌跡(L)を、前記回動ピン(111)の軸心方向視において、前記ルーズプーリ(123)の外縁と重ならない軌跡としたものとすることができる。
【0023】
また、上記コンバイン(1)では、例えば、前記内張り式のルーズプーリ(123)を前記回転軸(114)に回転自在に支持するベアリング(124)を、前記ルーズプーリ(123)の前記回転軸(114)方向の両端部に設けたものとすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るコンバインは、エンジンの駆動力を刈取装置と脱穀装置と選別装置に伝達する動力伝達装置の小型化を図って、コンバイン自体の小型化を図ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0027】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るコンバインの概略構成を示す側面図、
図2は、実施形態に係るコンバインの概略構成を示す平面図、
図3は、実施形態に係るコンバインの動力伝達装置のグレンタンク側からみた側面図、
図4は、
図3中のa−b−c線に沿う断面図、
図5は、実施形態に係るコンバインの第2テンション支持部を拡大して示す側面図、
図6は、実施形態に係るコンバインの内張り式のルーズプーリの断面図、
図7は、実施形態に係るコンバインの伝動線図である。なお、以下の説明では、前後方向とは、コンバイン1の前後方向である。さらに言えば、前後方向とは、このコンバイン1が直進する際の進行方向であり、直進方向前方側を前側、後方側を後側という。また、車幅方向とは、当該前後方向に対して水平に直交する方向であり、直進方向前方側の右側を右側、直進方向前方側の左側を左側という。さらに、鉛直方向とは、前後方向と車幅方向とに直交する方向である。これら前後方向、車幅方向及び鉛直方向は、互いに直交する。
【0028】
図1に示す本実施形態のコンバイン1は、動力源としてのエンジン3が発生する動力によって、自走しながら稲の他、大豆、そば等の穀稈を刈り取り、脱穀可能である汎用コンバインである。コンバイン1は、
図1及び
図2に示すように、機体フレーム2と、動力源としてのエンジン3と、走行装置4と、刈取装置5と、脱穀装置10と、グレンタンク8と、動力伝達装置9とを備える。
【0029】
機体フレーム2は、コンバイン1の車体の枠状の構造部材をなしている。機体フレーム2は、
図1に示すように、脱穀装置10の後述する選別部6の側部に設けられた中央水平フレーム21(フレームに相当し、
図3に示す)と、脱穀装置7の上方に設けられた上方水平フレーム22(
図3に示す)と、脱穀前フレーム23と、扱室ガイドフレーム24とを備える。
【0030】
脱穀前フレーム23は、
図1に示すように、脱穀装置10よりも前方に鉛直方向に立設して設けられ、脱穀装置10の車幅方向の幅よりも幅が狭く形成される。また、脱穀前フレーム23の左端は、脱穀装置10の前部の左端に揃えられて(前後方向に重なる位置に配されて)、脱穀前フレーム23の右端は、脱穀装置10の前部の右端よりも左側に偏倚して配置される。脱穀前フレーム23は、
図3に示すように、車幅方向に間隔をあけて鉛直方向に立設した2本の鉛直フレーム25(
図3には、手前側の1本のみ示す)と、鉛直フレーム25同士を連結し機体フレーム2の前後方向に間隔をあけて重ねられる2枚の板部材26とを備える。
【0031】
扱室ガイドフレーム24は、
図3に示すように、上方水平フレーム22即ち脱穀装置7と脱穀前フレーム23との間に設けられて、上方水平フレーム22と脱穀前フレーム23とを連結している。また、脱穀前フレーム23とグレンタンク8の間、即ち、選別部6及び脱穀装置7と脱穀前フレーム23と刈取装置5の搬送装置56とキャビン28とグレンタンク8の間には、
図1に示すように、空間Kが形成されている。
【0032】
エンジン3は、機体フレーム2上の前後方向前側に搭載されている。エンジン3は、コンバイン1で用いる駆動力の発生源である。エンジン3は、内燃機関であり、燃焼室で燃料を燃焼させることにより燃料のエネルギを機械的仕事に変換して回転動力として出力する熱機関である。また、エンジン3は、機体フレーム2上の操作席27を設けたキャビン28の下方に設けられている。
【0033】
走行装置4は、機体フレーム2の鉛直方向下側に設けられる。走行装置4は、エンジン3からの駆動力によって、コンバイン1全体を走行させるものである。走行装置4は、クローラ41を有する。クローラ41は、機体フレーム2の鉛直方向下方において車幅方向に間隔をあけて一対で設けられる。走行装置4は、エンジン3から伝達される駆動力によってクローラ41が駆動することでコンバイン1全体を前後方向前側に走行させる。
【0034】
刈取装置5は、機体フレーム2の前部に設けられる。刈取装置5は、エンジン3からの駆動力によって駆動し穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を脱穀装置10などに搬送するものである。刈取装置5は、エンジン3からの駆動力によって駆動し穀稈を刈り取るものであって、刈取部55と、搬送装置56とを備える。刈取部55は、オーガーフレーム51と、オーガー52とを含んで構成される。オーガーフレーム51は、底板51aと、車幅方向左右一対の左右側板51bと、後板51cとからなる。オーガー52は、オーガーフレーム51内に車幅方向に沿って配置され、回転自在に支持される。さらに、刈取部55は、底板51aの前後方向前側縁部に刈刃53が設けられると共に、刈刃53の上方に穀稈を掻込む掻込リール54が設けられる。掻込リール54は、前後方向の位置、及び、鉛直方向の高さが調節自在に設けられる。刈取装置5は、エンジン3から伝達される動力によって走行しながらオーガー52等が駆動することで刈刃53によって穀稈を刈り取り取り込む。
【0035】
搬送装置56は、刈取部55の後側、より詳細には刈取部55と機体フレーム2との間に設けられる。搬送装置56は、エンジン3からの駆動力によって穀稈を脱穀装置10に搬送するものである。搬送装置56は、ケース57と、搬送機構58とを含んで構成される。ケース57は、断面四角形状に形成され、オーガーフレーム51の後板51cから前後方向後側の脱穀装置10に向って延設される。ケース57は、前後方向後側の端部が脱穀前フレーム23に取り付けられている。また、ケース57は、図示しない連結用筒により脱穀装置7に取り付けられる。搬送機構58は、ケース57内に設けられる。搬送装置56は、エンジン3から伝達される動力によって搬送機構58が駆動することで、穀稈を刈取部55から脱穀装置10に搬送する。
【0036】
脱穀装置10は、刈取装置5の後方でかつグレンタンク8の側方に設けられ、下部の選別部6と上部の脱穀部7を有する。選別部6は、機体フレーム2の上方でかつ刈取装置5の搬送装置56の後方に設けられる。また、選別部6は、グレンタンク8の側方でかつ機体フレーム2の左側に設けられる。選別部6は、エンジン3からの駆動力によって、脱穀部7により脱穀された穀稈の藁等の夾雑物と穀粒とを分離する装置である。選別部6は、中央水平フレーム21の側部に設けられ、選別室61と、選別室61内に設けられた揺動選別部62、送風唐箕63等を備える。選別室61は、エンジン3から伝達される駆動力によって駆動する送風唐箕63からの送風と、揺動選別部62の揺動とによって、脱穀部7で脱粒された穀粒を含む被処理物から夾雑物を除去して、穀粒を選別して回収する。被処理物とは、脱穀装置7の扱胴73が穀稈から脱粒したものである。
【0037】
脱穀部7は、機体フレーム2の上方でかつ刈取装置5の搬送装置56の後方に設けられる。また、脱穀部7は、グレンタンク8の側方でかつ機体フレーム2の左側に設けられる。脱穀部7は、エンジン3からの駆動力によって搬送された穀稈を脱穀するものである。すなわち、脱穀部7は、刈取装置5が刈り取った穀稈から穀粒を切離す装置である。
【0038】
脱穀部7は、選別部6の上方でかつ中央水平フレーム21と上方水平フレーム22との間に設けられる。脱穀部7は、扱室71と、扱室71内に設けられた扱胴73、扱胴軸74等を備える。扱胴73は、円筒状に形成され、外周面に複数の扱歯75が設けられる。扱胴軸74は、円柱状に形成され扱胴73の内側に挿入され、一体回転可能に結合される。扱胴軸74、扱胴73は、扱室71内に回転軸線を回転中心として一体回転自在に支持される。回転軸線は、コンバイン1の前後方向と平行である。扱胴73は、エンジン3からの駆動力によって扱胴軸74を回転中心として回転しながら穀稈を脱穀する。扱室71は、扱胴73の鉛直方向下方側が扱網76により包囲される。
【0039】
グレンタンク8は、脱穀装置10の側方に設けられる。グレンタンク8は、脱穀装置10が脱穀した穀粒を一時的に貯蔵するものである。グレンタンク8は、排出オーガー81が接続される。排出オーガー81は、エンジン3からの駆動力によってグレンタンク8内の穀粒を搬送し、グレンタンク8の外部へ排出させるものである。
【0040】
動力伝達装置9は、脱穀前フレーム23の右端に取り付けられて、脱穀装置10の前部におけるグレンタンク8に面する側面部に設けられている。動力伝達装置9は、少なくともエンジン3の駆動力を刈取装置5の搬送装置56、脱穀装置10の選別部6及び脱穀装置10の脱穀部7に伝達するものである。
【0041】
動力伝達装置9は、
図3、
図4及び
図7に示すように、第1プーリ91(第1回転要素に相当)と、第2プーリ92(第2回転要素に相当)と、第3プーリ93(第3回転要素に相当)などを備える。これらの第1プーリ91と第2プーリ92と第3プーリ93は、空間Kに設けられている。
【0042】
第1プーリ91は、エンジン3の駆動力により回転駆動されるとともに、選別部6に駆動力を供給するものである。第1プーリ91は、同軸に一体に設けられた小径プーリ91aと大径プーリ91bとを備え、大径プーリ91bが小径プーリ91aよりもグレンタンク8寄りに設けられて、脱穀前フレーム23の後方側の板部材26に連結された支持部材94により回転自在に支持されている。このために、第1プーリ91は、脱穀前フレーム23の後方でかつ扱室ガイドフレームの下方に設けられている。第1プーリ91には、選別部6に連結された駆動軸95が取り付けられている。
【0043】
第1プーリ91の大径プーリ91bと、エンジン3の出力軸に取付られたエンジンプーリ3aとには、エンジン3と第1プーリ91とを連結する第1ベルト96が掛け渡されている。第1ベルト96は、第1テンション付与部97により張力が付与されている。
【0044】
第1テンション付与部97は、
図3に示すように、第1テンションローラ98と、第1ローラ支持片99と、第1テンション支持部100と、第1テンション受け部101とを備える。第1テンションローラ98は、第1ベルト96の下方に設けられて、第1ベルト96に当接して、第1ベルト96に張力を付与するものである。第1ローラ支持片99は、先端部に第1テンションローラ98を回転自在に支持している。また、第1ローラ支持片99は、第1テンション支持部100を介して脱穀前フレーム23に取り付けられた基端部を中心として回転自在である。第1テンション支持部100は、第1ローラ支持片99の基端部を脱穀前フレーム23に回転自在に取り付けるものである。第1テンション支持部100は、ボルト102などにより脱穀前フレーム23に着脱自在である。第1テンション受け部101は、第1テンションローラ98が第1ベルト96に近づく方向に第1ローラ支持片99を付勢するものであり、選別部6の右側面に取り付けられている。第1テンション受け部101は、第1テンションローラ98が第1ベルト96に近づく方向に第1ローラ支持片99が付勢されるように、第1ローラ支持片99の基端部と選別部6とに取り付けられた引張りコイルばね103などを備える。また、前述した第1テンション付与部97は、脱穀装置10のクラッチであり、ワイヤ等により不図示の操縦部の操縦具と連繋されている。
【0045】
第2プーリ92は、第1プーリ91から駆動力が伝達されることにより回転駆動されるとともに、脱穀部7に駆動力を供給するものである。第2プーリ92は、第1プーリ91よりも上方に設けられ、かつ、脱穀部7の扱胴73に連結されて、第1プーリ91から駆動力が伝達されることにより扱胴73を回転駆動するものである。第2プーリ92は、同軸に一体に設けられた小径プーリ92aと大径プーリ92bとを備え、小径プーリ92aが大径プーリ92bよりもグレンタンク8寄りに設けられて、脱穀前フレーム23の前方側の板部材26に連結された支持部材104により回転自在に支持されている。第2プーリ92には、第2プーリ92と脱穀装置10の脱穀部7の扱胴73とを連結するギヤボックス105の駆動軸106が取り付けられている。
【0046】
第2プーリ92の大径プーリ92bと、第1プーリ91の小径プーリ91aとには、第1プーリ91と第2プーリ92とを連結する第2ベルト107が掛け渡されている。このように、第1ベルト96を第2ベルト107よりもグレンタンク8寄りに設けている。第2ベルト107は、第2テンション付与部108により張力が付与されている。
【0047】
第2テンション付与部108は、第2テンションローラ109と、第2ローラ支持片110と、回動ピン111と、第2テンション受け部112とを備える。第2テンションローラ109は、第2ベルト107の後方に設けられて、第2ベルト107に当接して、第2ベルト107に張力を付与するものである。第2ローラ支持片110は、先端部に第2テンションローラ109を回転自在に支持している。また、第2ローラ支持片110は、中央部に設けられた回動ピン111を中心として、中央水平フレーム21に回転自在に取り付けられている。第2テンション受け部112は、第2テンションローラ109が第2ベルト107に近づく方向に第2ローラ支持片110を付勢するものであり、中央水平フレーム21に取り付けられている。第2テンション受け部112は、第2テンションローラ109が第2ベルト107に近づく方向に第2ローラ支持片110が付勢されるように、
図5に示すように、第2ローラ支持片110の基端部と中央水平フレーム21とに取り付けられた引張りコイルばね113などを備える。また、第2ローラ支持片110を回動ピン111を中心として回転させた時の第2テンションローラ109の外縁の軌跡L(
図3中に一点鎖線で示す)を、回動ピン111の軸心方向視において、後述する内張り式のルーズプーリ123の外縁と重ならない軌跡している。本実施形態では、軌跡Lは、回動ピン111の軸心方向視において、内張り式のルーズプーリ123の外縁よりも下側を通る軌跡となっている。
【0048】
第3プーリ93は、第2プーリ92から駆動力が伝達されることにより回転駆動されるとともに、刈取装置5の搬送装置56に駆動力を供給するものである。第3プーリ93は、第1プーリ91の上方で、かつ、第2プーリ92の下方に設けられているとともに刈取装置5の搬送装置56に連結されて、第2プーリ92から駆動力が伝達されることにより搬送装置56を駆動するものである。第3プーリ93には、刈取装置5の搬送装置56に連結された回転軸114が取り付けられている。回転軸114は、脱穀前フレーム23の前方側の板部材26に連結された支持メタル115により回転自在に支持されている。第3プーリ93は、回転軸114が支持メタル115に回転自在に支持されることで、脱穀前フレーム23の前方に設けられた支持メタル115により回転自在に支持されている。
【0049】
第2プーリ92の小径プーリ92aと、第3プーリ93とには、第2プーリ92と第3プーリ93とを連結する第3ベルト116が掛け渡されている。このように、第3ベルト116を第2ベルト107よりもグレンタンク8寄りに設けている。第3ベルト116は、第3テンション付与部117により張力が付与されている。
【0050】
第3テンション付与部117は、第3テンションローラ118と、第3ローラ支持片119と、回動ピン120と、第3テンション受け部121とを備える。第3テンションローラ118は、第3ベルト116の前方に設けられて、第3ベルト116に当接して、第3ベルト116に張力を付与するものである。第3ローラ支持片119は、先端部に第3テンションローラ118を回転自在に支持している。また、第3ローラ支持片119は、中央部に設けられた回動ピン120を中心として、ギヤボックス105に回転自在に取り付けられている。第3テンション受け部121は、第3テンションローラ118が第3ベルト116に近づく方向に第3ローラ支持片119を付勢するものであり、ギヤボックス105に取り付けられている。第3テンション受け部121は、第3テンションローラ118が第3ベルト116に近づく方向に第3ローラ支持片119が付勢されるように、第3ローラ支持片119とギヤボックス105とに取り付けられた引張りコイルばね122などを備える。また、第3テンション付与部117は、刈取装置5のクラッチであり、ワイヤ等により不図示の操縦部の操縦具と連繋されている。
【0051】
また、第3プーリ93の回転軸114には、ルーズプーリとしての内張り式のルーズプーリ123が回転自在に設けられている。内張り式のルーズプーリ123は、第2ベルト107に当接するととともに、第2ベルト107の回転により連れ回りする。また、内張り式のルーズプーリ123は、
図6に示すように、二つのベアリング124により回転軸114に回転自在に支持されている。これら二つのベアリング124は、内輪と、外輪と、これら内輪と外輪との間に転動自在に設けられた複数の転動体とを備えた転がり軸受であって、内張り式のルーズプーリ123の回転軸114方向の両端部に設けられている。本実施形態では、二つのベアリング124は、
図6に示すように、内張り式のルーズプーリ123の最も外側のベルト溝125の底部125aよりも更に回転軸114方向の外側に設けられている。
【0052】
上記のように構成されるコンバイン1は、エンジン3が発生させる動力によって走行装置4が駆動して走行しながら刈取装置5によって穀稈を刈り取る。このとき、刈取装置5は、分草体により分草し、掻込リール54によりオーガーフレーム51内に穀稈を掻込んで刈刃53で刈り取る。そして、コンバイン1は、刈取装置5で刈り取った穀稈を搬送装置56によって脱穀装置10の脱穀部7の扱室71に搬送する。そして、コンバイン1は、扱室71にて、扱胴73がエンジン3から伝達される駆動力によって扱胴軸74を回転中心として回転して穀稈を脱穀する。脱穀された穀粒等は、扱網76を介して選別室61に落下する。そして、コンバイン1は、選別部6の選別室61にて送風唐箕63からの送風と揺動選別部62の揺動とによって穀粒を選別し、選別した穀粒をグレンタンク8に貯蔵する。
【0053】
また、上記の構成されるコンバイン1の動力伝達装置9は、エンジン3の駆動力により、第1ベルト96がエンジンプーリ3aと第1プーリ91の大径プーリ91bの回りを循環走行するとともに、第1プーリ91の大径プーリ91bを回転駆動させる。そして、第1プーリ91の大径プーリ91bの回転により、駆動軸95が第1プーリ91と一体に回転されて、エンジン3の駆動力が選別部6に伝達される。
【0054】
また、第1プーリ91の大径プーリ91bの回転により、大径プーリ91bと一体に小径プーリ91aが回転されて、第2ベルト107が第1プーリ91の小径プーリ91aと第2プーリ92の大径プーリ92bの回りを循環走行する。そして、第2ベルト107の循環走行により、第2プーリ92の大径プーリ92bを回転駆動させる。そして、第2プーリ92の大径プーリ92bの回転により、ギヤボックス105の駆動軸106が第2プーリ92と一体に回転されて、エンジン3の駆動力が脱穀部7に伝達される。
【0055】
さらに、第2プーリ92の大径プーリ92bの回転により、大径プーリ92bと一体に小径プーリ92aが回転されて、第3ベルト116が第2プーリ92の小径プーリ92aと第3プーリ93の回りを循環走行する。そして、第3ベルト116の循環走行により、第3プーリ93を回転駆動させる。そして、第3プーリ93の回転により、回転軸114が第3プーリ93と一体に回転されて、エンジン3の駆動力が刈取装置5に伝達される。こうして、動力伝達装置9は、エンジン3の駆動力を脱穀装置10の選別部6、脱穀装置10の脱穀部7及び刈取装置5に伝達する。
【0056】
また、回転軸114は、前記搬送装置56の搬送機構58を駆動する2つのスプロケットと、刈取部55を駆動する1つのスプロケットを備えている。搬送機構58は、後側の前記2つのスプロケット及び前側の2つの従動スプロケットに巻き掛けられた2つのチェンと、この2つのチェンに跨って取り付けられた複数の搬送プレートを有する。また、前記スプロケットと、前記刈刃53へ伝動するためのスプロケットと、前記オーガー52及び掻込リール54へ伝動するための軸のスプロケットには、チェンが巻きかけられている。すなわち、回転軸114に伝達された駆動力は、刈刃53と、オーガー52及び掻込リール54とに分岐して伝動される。スプロケットを一端に備える伝動軸の他端には、変換機構を備えている。この変換機構は、伝動軸に伝達された回転を、往復回動運動に変換して刈刃伝動軸に出力する機構である。そして、刈刃伝動軸の往復回動運動が不図示のアームによって、刈刃53及び刈取装置5の左側部に立設された分草刈刃が駆動される。
【0057】
以上で説明した実施形態に係るコンバイン1によれば、動力伝達装置9の第1プーリ91、第2プーリ92及び第3プーリ93を脱穀装置10の前部におけるグレンタンク8に面する側面部のみに設けているので、第1プーリ91、第2プーリ92及び第3プーリ93などを脱穀装置10の両側面に設ける必要が無い。このために、これらのプーリ91,92,93同士を連結するベルト96,107,116などを脱穀装置10のグレンタンク8に面する側面部のみに設けることができ、動力伝達装置9の小型化を図ることができ、コンバイン1自体の小型化を図ることができる。また、動力伝達装置9を構成するプーリ91,92,93やプーリ91,92,93同士を連結するベルト96,107,116などを脱穀装置10のグレンタンク8に面する側面部のみに設けることができるので、これらを両側面それぞれに設ける場合よりも、耐久性及びメンテナンス性を高めることができる。
【0058】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第2プーリ92が第1プーリ91よりも上方に設けられ、第3プーリ93が第1プーリ91の上方でかつ第2プーリ92の下方に設けられているので、これらのプーリ91,92,93を鉛直方向に並べることができる。したがって、動力伝達装置9の占めるスペースが拡大することをより確実に抑制でき、動力伝達装置9の小型化を図ることができ、コンバイン1自体の小型化を図ることができる。
【0059】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第1プーリ91を脱穀前フレーム23の後方に設け、第3プーリ93を回転自在に支持する支持メタル115を脱穀前フレーム23の前方に設けている。このために、少なくとも第1プーリ91及び第2プーリ92を扱室ガイドフレーム24の下方に設けることができ、これらのプーリ91,92を扱室ガイドフレーム24の下方に形成される空間K内に配置することができる。したがって、エンジン3と脱穀装置7との距離を詰めることができ、コンバイン1の更なる小型化を図ることができる。
【0060】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、脱穀前フレーム23とグレンタンク8の間に形成される空間Kに第1プーリ91、第2プーリ92及び第3プーリ93を設けているので、操作席27と脱穀装置7との距離を詰めることができ、コンバイン1の更なる小型化を図ることができる。
【0061】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第1ベルト96を第2ベルト107よりもグレンタンク8寄りに設けているので、メンテナンス時に第1ベルト96を外してから第2ベルト107を取り外すことができる。したがって、脱穀装置7を着脱する場合のベルト96,107の着脱回数を抑制でき、メンテナンス性を高めることができる。
【0062】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第3ベルト116を第2ベルト107よりもグレンタンク8寄りに設けているので、メンテナンス時に第3ベルト116を外してから第2ベルト107を取り外すことができる。したがって、刈取装置5を着脱する場合のベルト107,116の着脱回数を抑制でき、メンテナンス性を高めることができる。
【0063】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、脱穀前フレーム23が、鉛直フレーム25同士を連結し前後方向に重ねられる2枚の板部材26とを備え、支持部材94と支持メタル115を板部材26に連結しているので、脱穀前フレーム23の機械的な強度を向上できる。
【0064】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第1テンションローラ98を先端部に回転自在に支持した第1ローラ支持片99を脱穀前フレーム23に取り付けているので、第1ローラ支持片99を脱穀前フレーム23に取り付ける第1テンション支持部100の剛性を向上でき、第1テンションローラ98が第1ベルト96に確実に張力を付与することができる。
【0065】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第1テンション支持部100を着脱自在とすることで、第1テンションローラ98の傾き及びズレを容易に修正できる。
【0066】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第1ローラ支持片99を付勢する第1テンション受け部101を選別部6に取り付けているので、第1テンション受け部101の剛性を向上でき、第1テンションローラ98が第1ベルト96に確実に張力を付与することができる。
【0067】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第2テンションローラ109を先端部に回転自在に支持した第2ローラ支持片110の回転中心をなす回動ピン111を選別部6の側部の中央水平フレーム21に取り付けているので、第2ローラ支持片110を中央水平フレーム21に取り付ける箇所の剛性を向上でき、第2テンションローラ109が第2ベルト107に確実に張力を付与することができる。
【0068】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第2ローラ支持片110を付勢する第2テンション受け部112を選別部6の側部に設けられた中央水平フレーム21に取り付けているので、第2テンション受け部112の剛性を向上でき、第2テンションローラ109が第2ベルト107に確実に張力を付与することができる。
【0069】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第3テンションローラ118を先端部に回転自在に支持した第3ローラ支持片119の回転中心をなす回動ピン120をギヤボックス105に取り付けているので、第3テンションローラ118が第3ベルト116に確実に張力を付与することができる。
【0070】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第3ローラ支持片119を付勢する第3テンション受け部121をギヤボックス105に取り付けているので、第3テンション受け部121の剛性を向上でき、第3テンションローラ118が第3ベルト116に確実に張力を付与することができる。
【0071】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第3プーリ93の回転軸114に第2ベルトに当接するルーズプーリ123を設けているので、第2テンションローラ109の張代を確保することができる。
【0072】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、ルーズプーリ123が内張り式のルーズプーリ123であるので、第2ベルト107が延びて内張り式のルーズプーリ123に干渉しても、駆動が可能となる。
【0073】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、第2ローラ支持片110を回転させた時の第2テンションローラ109の軌跡Lを、内張り式のルーズプーリ123に重ならない軌跡としているので、第2テンションローラ109の張代を最大限に確保することができる。
【0074】
また、実施形態に係るコンバイン1によれば、内張り式のルーズプーリ123を回転自在に支持するベアリング124を内張り式のルーズプーリ123の回転軸114方向の両端部に設けているので、ベアリング124のサイズを小さくすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0075】
なお、上述した本発明の実施形態に係るコンバインは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。