(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1領域における前記下部電極、前記第1強誘電体膜並びに前記第1上部電極および第2上部電極により強誘電体メモリ用のキャパシタを形成することを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
前記第2領域における前記下部電極、前記第1強誘電体膜および第2上部電極により周辺回路用のキャパシタを形成することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、強誘電体キャパシタの製造方法による特性の違いについて説明する。
図1(a)から
図1(e)は、比較例1に係るキャパシタの製造方法を示す図である。
図2(a)から
図2(d)は、比較例2に係るキャパシタの製造方法を示す図である。
【0011】
図1(a)に示すように、シリコン基板等の半導体基板10上に酸化シリコン膜等の絶縁膜12を形成する。絶縁膜12上に白金(Pt)等の下部電極20を形成する。下部電極20上に、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:PbZr
xTi
1−xO
3)等のアモルファス状の強誘電体膜22を形成する。
図1(b)に示すように、強誘電体膜22上に酸化イリジウム(IrO
x)等の第1上部電極24を形成する。
図1(c)に示すように、酸素を含む雰囲気(例えば酸素とアルゴン)において例えばRTA(Rapid Thermal Anneal)法を用い熱処理する。これにより、強誘電体膜22が結晶化する。
図1(d)に示すように、第1上部電極24上に酸化イリジウム等の第2上部電極26を形成する。
【0012】
図1(e)に示すように、上部電極24、26、強誘電体膜22、下部電極20をエッチングする。酸化シリコン膜等の絶縁膜30を形成する。下部電極20と第2上部電極26とに電気的に接続し、絶縁膜30を貫通するするプラグ金属32を形成する。プラグ金属32に電気的に接続する配線34を形成する。このようにして、比較例1に係る強誘電体キャパシタを形成する。
【0013】
図2(a)に示すように、
図1(a)と同様に、半導体基板10上に絶縁膜12、下部電極20および強誘電体膜22を形成する。
図2(b)に示すように、強誘電体膜22を酸素を含む雰囲気(例えば酸素とアルゴン)において例えばRTA法を用い熱処理する。これにより、強誘電体膜22が結晶化する。
図2(c)に示すように、強誘電体膜22上に酸化イリジウム等の上部電極25を形成する。
図2(d)に示すように、
図1(e)と同様に、絶縁膜30、プラグ金属32および配線34を形成する。このようにして、比較例2に係る強誘電体キャパシタを形成する。
【0014】
比較例1に係る強誘電体キャパシタは、強誘電体膜22の結晶化の際に、強誘電体膜22と第1上部電極24とがともに熱処理される。このため、強誘電体膜22と第1上部電極24との界面がスムーズに結晶化される。これにより、リテンション特性およびインプリント特性に優れる。よって、強誘電体メモリ用のキャパシタとして用いることが好ましい。しかしながら、比較例1に係るキャパシタは、リーク電流が大きい。例えば、電源用の平滑キャパシタは高容量値なため、強誘電体キャパシタを高誘電体キャパシタとして用いることによりチップ面積の縮小化が可能となる。しかしながら、リーク電流の大きい強誘電体キャパシタは、絶縁破壊しやすい。よって、比較例1に係るキャパシタを平滑キャパシタに用いようとすると、強誘電体膜22を厚くし、リーク電流を抑制することとなる。強誘電体膜22を厚くすると、強誘電体メモリの微細化が難しくなる。
【0015】
比較例2に係る強誘電体キャパシタは、リーク電流が小さいが、リテンション特性およびインプリント特性は、比較例1より劣る。よって、比較例2のキャパシタは、平滑キャパシタ等の周辺回路のキャパシタとしては好ましいが、強誘電体メモリに用いることは好ましくない。
【0016】
強誘電体メモリのキャパシタと周辺回路のキャパシタを別々に形成することも考えられる。しかしながら、製造工程が長くなってしまう。以下の実施例においては、異なる特性が要求されるキャパシタの製造を簡略化する。
【実施例1】
【0017】
図3(a)から
図4(c)は、実施例1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図3(a)から
図7(d)においては、不揮発性メモリが形成される第1領域50と周辺回路が形成される第2領域52を並べて図示する。
図3(a)に示すように、半導体基板10上に例えば酸化シリコン膜である絶縁膜12を形成する。
図3(b)に示すように、絶縁膜12上に例えばPtを主に含む下部電極20を用い形成する。
図3(c)に示すように、下部電極20上に、PZTを主に含むアモルファス状の強誘電体膜22を用い形成する。
図3(d)に示すように、強誘電体膜22上に酸化イリジウム等を主に含む第1上部電極24を形成する。
【0018】
図4(a)に示すように、第1上部電極24のうち第2領域52の一部を除去する。
図4(b)に示すように、強誘電体膜22をRTA法を用い熱処理する。熱処理温度は、PZTの結晶化温度である550℃以上であることが好ましい。熱処理雰囲気は、強誘電体膜22の酸素欠損を抑制するため酸素を含むことが好ましい。第1領域においては、強誘電体膜22と第1上部電極24とを同時に熱処理する。これにより、強誘電体膜22と第1上部電極24との界面においてスムーズに結晶化される。第2領域においては、強誘電体膜22が熱処理の雰囲気に曝された状態で強誘電体膜22が結晶化される。
【0019】
図4(c)に示すように、第1上部電極24および強誘電体膜22上に酸化イリジウム等を主に含む第2上部電極26を形成する。
図4(d)に示すように、第2上部電極26および第1上部電極24、強誘電体膜22および下部電極20をそれぞれエッチングすることにより、キャパシタ60および62を形成する。キャパシタ60および62上に、絶縁膜30を形成する。絶縁膜30を貫通し、第2上部電極26および下部電極20にそれぞれ電気的に接続するプラグ金属32を形成する。プラグ金属32にそれぞれ電気的に接続する配線34を金属層を用い形成する。
【0020】
実施例1によれば、
図3(b)のように、半導体基板10の第1領域50および第2領域52の上方に下部電極20を形成する。
図3(c)に示すように、第1領域50および第2領域52における下部電極20上に少なくとも上面がアモルファス状の強誘電体膜22(第1誘電体膜)を同時に形成する。
図4(a)に示すように、第1領域50の強誘電体膜22上に第1上部電極24を形成し、第2領域52には第1上部電極24を形成しない。この状態で、
図4(b)に示すように、強誘電体膜22を熱処理することにより、強誘電体膜22を結晶化させる。
図4(c)に示すように、第1領域50の第1上部電極24上および第2領域52の強誘電体膜22上に第2上部電極26を同時に形成する。これにより、第1領域50には、比較例1のキャパシタが形成され、第2領域52には、比較例2のキャパシタが形成される。強誘電体膜を別々に形成しなくともよいため、製造工程を簡略化できる。
【0021】
このように、第1領域50における下部電極20、強誘電体膜22並びに第1上部電極24および第2上部電極26により形成されたキャパシタ60は、比較例1のように、強誘電体メモリ用のキャパシタとして用いることが好ましい。
【0022】
一方、第2領域52における下部電極20、強誘電体膜22および第2上部電極26により形成されたキャパシタ62は、比較例2のように、周辺回路のキャパシタとして用いることが好ましい。例えば、高い容量値が求められる平滑キャパシタに用いることが好ましい。
【実施例2】
【0023】
図5(a)から
図7(c)は、実施例2に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5(a)に示すように、例えばシリコン基板である半導体基板10にFET(Field Effect Transistor)を形成する。半導体基板10上にゲート絶縁膜を介しゲート電極40を形成する。ゲート電極40の両側の半導体基板10内にソース領域およびドレイン領域42を形成する。第1領域50内に形成されるFET44は、不揮発性メモリセルに用いられるFETである。第2領域52内に形成されるFET46は、周辺回路に用いられるFETである。半導体基板10上に酸化シリコン膜等の絶縁膜12を形成する。絶縁膜12は例えば層間絶縁膜であり、多層の絶縁膜を含んでもよい。絶縁膜12を貫通しFET44および46にそれぞれ電気的に接続するプラグ金属38を形成する。プラグ金属38としては、例えばタングステン(W)を用いる。
【0024】
図5(b)に示すように、絶縁膜12上に絶縁膜14を形成する。絶縁膜14としては、絶縁膜12側から例えば酸化窒化シリコン膜および酸化シリコン膜を例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い形成し、酸化アルミニウム膜をスパッタ法を用い形成する。酸化窒化シリコン膜および酸化シリコン膜は、酸素雰囲気における熱処理時のプラグ金属38の酸化防止膜である。酸化アルミニウム膜は、下部電極20と絶縁膜14との密着膜である。酸化アルミニウム膜の膜厚は例えば20nmであり、例えば10nmから30nmである。
図5(c)に示すように、絶縁膜14上にPtを主に含む下部電極20を例えばスパッタ法を用い形成する。下部電極20としては、Pt以外にイリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、酸化ルテニウム(RuO
2)および酸化ストロンチウムルテニウム(SrRuO
3)を用いることができる。下部電極20の膜厚は例えば150nmであり、例えば50nmから200nmである。
【0025】
図5(d)に示すように、下部電極20上に、PZTを主に含むアモルファス状の強誘電体膜21を例えばスパッタ法を用い形成する。強誘電体膜21の膜厚は、例えば130nmであり、例えば100nmから150nmである。
図6(a)に示すように、強誘電体膜21を例えばRTA法を用い熱処理する。熱処理温度は、550℃以上であることが好ましく、例えば600℃から700℃である。熱処理時間は、例えば30秒から2分である。熱処理雰囲気は例えば酸素とアルゴンの混合ガスである。これにより、強誘電体膜21が結晶化する。
【0026】
図6(b)に示すように、強誘電体膜21上にPZTを主に含むアモルファス状の強誘電体膜23を例えばスパッタ法を用い形成する。強誘電体膜23の膜厚は例えば10nmであり、例えば10nmから30nmである。強誘電体膜21および23は、例えばPZTに、カリウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ランタン(La)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、IrおよびWの少なくとも1つの元素が添加された膜でもよい。また、強誘電体膜21および23としては、例えば(Bi
1−xR
x)
4Ti
3O
12(Rは希土類元素、0<x<1)、SrBiTa
2O
9およびSiBi
4Ti
4O
15等のビスマス層状化合物を用いることもできる。強誘電体膜22は、ゾルゲル法等他の方法を用い形成してもよい。
【0027】
図6(c)に示すように、強誘電体膜23上にスパッタ法を用い酸化イリジウム等を主に含む第1上部電極24を形成する。第1上部電極24の膜厚は、例えば50nmであり、例えば30nmから100nmである。
図6(d)に示すように、第1上部電極24のうち第2領域52の一部を除去する。第1上部電極24の酸化イリジウムの除去には、例えばICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング装置を用い、例えばArとClの混合ガスをエッチャントとして用いる。
【0028】
図7(a)に示すように、強誘電体膜23を例えばRTA法を用い熱処理する。熱処理温度は、550℃以上であることが好ましく、例えば600℃から700℃である。熱処理時間は、例えば30秒から2分である。熱処理雰囲気は、例えば酸素とアルゴンとの混合ガスである。この熱処理により、強誘電体膜23が結晶化する。第1領域50においては、強誘電体膜23と第1上部電極24とを熱処理する。これにより、強誘電体膜23と第1上部電極24との界面においてスムーズに結晶化される。第2領域52においては、強誘電体膜23が熱処理の雰囲気に曝された状態で強誘電体膜22が結晶化される。
【0029】
図7(b)に示すように、第1上部電極24および強誘電体膜23上に例えばスパッタ法を用い酸化イリジウム等を主に含む第2上部電極26を形成する。第2上部電極26の膜厚は、例えば150nmであり、例えば100nmから200nmである。第1領域50において、強誘電体膜22の酸素欠損を抑制するため、第1上部電極24は第2上部電極26より薄いことが好ましい。第1上部電極24および第2上部電極は、酸化イリジウム以外にも、Ru、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスニウム(Os)およびパラジウム(Pd)の少なくとも1つの酸化物を用いることができる。
【0030】
図7(c)に示すように、第2上部電極26および第1上部電極24、強誘電体膜22および下部電極20をそれぞれエッチングすることにより、キャパシタ60および62を形成する。キャパシタ60および62上に、絶縁膜30を形成する。絶縁膜30は、TEOS(Tetra Ethoxy Silane)ガスを用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い成膜する。絶縁膜30の膜厚は、例えば720nmである。絶縁膜30の上面を例えばCMP(Chemical Mechanical Polish)法を用い平坦化する。絶縁膜30に第2上部電極26および下部電極20まで達するコンタクトホールを形成する。コンタクトホール内を例えばWで埋め込む。これにより、絶縁膜30を貫通し、第2上部電極26および下部電極20にそれぞれ電気的に接続するプラグ金属32に形成される。プラグ金属32にそれぞれ電気的に接続する配線34を金属層を用い形成する。
【0031】
実施例2によれば、
図5(d)のように、下部電極20上にアモルファス状の強誘電体膜21(第2強誘電体膜)を形成する。
図6(a)のように、強誘電体膜21を熱処理することにより強誘電体膜21を結晶化する。
図6(b)のように、強誘電体膜22上にアモルファス状の強誘電体膜23(第3強誘電体膜)を形成する。これにより、強誘電体膜21と強誘電体膜23とから、少なくとも上面がアモルファス状の強誘電体膜を形成する。このように、強誘電体膜を2層に分けて形成することにより、
図6(a)の熱処理において下部の強誘電体膜21を結晶化するため、
図7(a)の熱処理においては、上部の強誘電体膜23を結晶化すればよい。
【0032】
以上、発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0033】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)半導体基板の第1領域および第2領域の上方に下部電極を形成し、前記第1領域および前記第2領域における前記下部電極上に少なくとも上面がアモルファス状の第1強誘電体膜を同時に形成し、前記第1領域の少なくとも上面がアモルファス状の前記第1強誘電体膜上に第1上部電極を形成し、前記第2領域には前記第1上部電極を形成せず、前記第1上部電極が形成された状態において、前記第1強誘電体膜を熱処理することにより、前記第1強誘電体膜を結晶化させ、前記第1領域の前記第1上部電極上および前記第2領域の結晶化した前記第1強誘電体膜上に第2上部電極を同時に形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)前記下部電極上にアモルファス状の第2強誘電体膜を形成し、前記第2強誘電体膜を熱処理することにより前記第2強誘電体膜を結晶化し、前記第2強誘電体膜上にアモルファス状の第3強誘電体膜を形成することにより、前記第1強誘電体膜を形成することを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)前記第1領域における前記下部電極、前記第1強誘電体膜並びに前記第1上部電極および第2上部電極により強誘電体メモリ用のキャパシタを形成することを特徴とする付記1または2記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)前記第2領域における前記下部電極、前記第1強誘電体膜および第2上部電極により周辺回路用のキャパシタを形成することを特徴とする付記1から3のいずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記第1強誘電体膜はPZTを含むことを特徴とする付記1から4のいずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記第1強誘電体膜の熱処理は酸素を含む雰囲気中で行なうことを特徴とする付記1から5のいずれか一項記載の半導体装置の製造方法。