特許第5954042号(P5954042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954042
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/713 20130101AFI20160707BHJP
【FI】
   H04L12/713
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-180614(P2012-180614)
(22)【出願日】2012年8月16日
(65)【公開番号】特開2014-39173(P2014-39173A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090620
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 宣幸
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(72)【発明者】
【氏名】桝屋 謙
(72)【発明者】
【氏名】下村 武
【審査官】 菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−276214(JP,A)
【文献】 米国特許第05875190(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/713
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の内容のデータ列を出力するものであって、出力するデータのそれぞれに、当該データの宛先を示す宛先識別子と、当該データの処理に関して記述された処理情報とを挿入する複数のデータ列出力手段と、
上記データ列出力手段から出力されたデータを、当該データに設定された宛先識別子に従った宛先に転送するデータ転送手段と、
上記データ列出力手段から、上記データ転送手段を介して供給されたデータについて、当該データに挿入された処理情報に従って、他のデータ処理手段及び又はネットワーク上に出力する処理、又は廃棄する処理を行い、他のデータ処理手段から供給されたデータについては、当該データに挿入された処理情報に従って、廃棄又は上記ネットワーク上に出力する複数のデータ処理手段と
を有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
それぞれの上記データ処理手段は、データを上記ネットワーク上に出力する場合、当該データから少なくとも処理情報を削除することを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
それぞれの上記データ列出力手段に対して、出力するデータに設定する宛先識別子と、出力するデータに挿入する処理情報とを含む制御情報を供給する制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
上記データ列出力手段、上記データ転送手段、及び、上記データ処理手段の動作状態の組み合わせごとに、それぞれの上記データ列出力手段に供給する制御情報の内容を定義した定義情報を記憶する定義情報記憶手段をさらに有し、
上記制御手段は、上記データ列出力手段、上記データ転送手段、及び、上記データ処理手段の動作状態に対応する制御情報を上記定義情報記憶手段から取得して、それぞれの上記データ列出力手段に供給することを特徴とする請求項3に記載のネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークシステムに関し、例えば、冗長構成のネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信キャリアで用いられるサーバ(例えば、音声データや映像データ等のメディアパケットの処理を行うメディアサーバ)については、冗長構成が採用されることが多い。そして、冗長構成を採用されたサーバは、冗長構成を採用したネットワークに接続することにより、より高い可用性(アベイラビリティ)を確保することができる。
【0003】
また、メディアサーバ等のリアルタイム通信を行う装置を収容するネットワークでは、冗長構成を採用する場合に、系切替の際等に瞬断が発生しない構成とすることが望ましい。
【0004】
そこで、無瞬断で系切替を行うことが可能なネットワークシステムとして特許文献1の記載技術がある。特許文献1の記載技術では、冗長構成を採用したATM(Asynchronous Transfer Mode)スイッチにおいて、系切替が発生した場合に、2系統のスイッチ間で滞留しているセルの数等を調整する制御を行うことにより、無瞬断の系切替を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−83530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、固定長のセル単位でデータ処理を行うATMでは、特許文献1の記載技術のように、冗長構成の各系統で滞留(バッファ)するセルの数等を調整するだけで、無瞬断の系切替を実現することができるが、可変長のパケット単位でデータ処理を行うIPやイーサネット(登録商標)の環境下では特許文献1の技術を適用することができない。
【0007】
また、冗長構成を採用する従来のネットワークシステムでは、無瞬断での系切替を実現するために、実際の通信には使用されない予備系の通信パスについても現用系と同様のデータを流す必要があるが、予備系の通信パスが複数存在する場合には、ネットワークシステム全体の処理量が増大し、システムコスト、消費電力が増大することとなる。
【0008】
以上のような問題に鑑みて、無瞬断での冗長構成を実現しつつ、効率的なデータ通信を行うことができるネットワークシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のネットワークシステムは、(1)同一の内容のデータ列を出力するものであって、出力するデータのそれぞれに、当該データの宛先を示す宛先識別子と、当該データの処理に関して記述された処理情報とを挿入する複数のデータ列出力手段と、(2)上記データ列出力手段から出力されたデータを、当該データに設定された宛先識別子に従った宛先に転送するデータ転送手段と、(3)上記データ列出力手段から、上記データ転送手段を介して供給されたデータについて、当該データに挿入された処理情報に従って、他のデータ処理手段及び又はネットワーク上に出力する処理、又は廃棄する処理を行い、他のデータ処理手段から供給されたデータについては、当該データに挿入された処理情報に従って、廃棄又は上記ネットワーク上に出力する複数のデータ処理手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無瞬断での冗長構成を実現しつつ、効率的なデータ通信を行うことができるネットワークシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るネットワークシステムの全体構成について示したブロック図である。
図2】実施形態に係る制御部で記憶される制御信号定義テーブルの構成例について示した説明図である。
図3】実施形態に係るネットワークシステムの動作について示したシーケンス図である。
図4】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号1に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図5】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号2に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図6】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号3に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図7】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号4に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図8】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号5に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図9】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号6に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図10】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号7に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図11】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号8に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図12】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号9に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図13】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号10に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図14】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号11に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図15】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号12に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図16】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号13に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図17】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号14に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図18】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号15に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図19】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号16に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図20】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号17に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図21】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号18に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図22】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号19に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図23】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号20に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図24】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号21に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図25】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号22に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図26】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号23に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図27】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号24に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図28】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号25に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図29】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号26に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図30】実施形態に係るネットワークシステムの各ブレードの動作状態が、ケース番号27に該当する場合の通信パスの構成について示した説明図である。
図31】実施形態の変形例に係るネットワークシステムの全体構成について示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)主たる実施形態
以下、本発明によるネットワークシステムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0013】
(A−1)実施形態の構成
図1は、この実施形態のネットワークシステム1の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、ネットワークシステム1は、2つのIPブレード100(100−1、100−2)、2つのSWブレード200(200−1、200−2)、2つのNWブレード300(300−1、300−2)、及び制御部400を有している。すなわち、ネットワークシステム1では、IPブレード100、SWブレード200、及びNWブレード300のセットが2系統配置された冗長構成となっている。
【0015】
ネットワークシステム1は、いわゆるブレード型のネットワーク装置であり、例えば、1又は複数のシェルフ(シャーシ;筐体)に、複数のブレード(IPブレード100、SWブレード200、及びNWブレード300等)を挿入することにより構築されているものとするが、機能的(論理的)な構成は、図1のように示すことができる。制御部400についても、同様にネットワークシステム1のシェルフに挿入された制御用ブレード(CPUブレード)を用いて構成するようにしてもよい。
【0016】
IPブレード100(100−1、100−2)は、音声データや映像データ等のメディアデータの供給を受け、供給されたメディアデータを所定の符号化方式で符号化したパケット列を生成して出力するものである。
【0017】
そして、IPブレード100(100−1、100−2)は、パケット生成部101(101−1、101−2)及びフラグ付与部102(102−1、102−2)を有している。
【0018】
それぞれのパケット生成部101−1、101−2には、メディアデータの供給元(例えば、メディアデータを蓄積したストレージ等)から、同一のメディアデータが供給される。そして、パケット生成部101−1、101−2は、供給されたメディアデータを符号化したIPパケットのパケット列(データ列)を生成して、フラグ付与部102−1、102−2に供給する。例えば、パケット生成部101−1、101−2は、メディアデータに基づいて、図示しないSIPのシグナリングサーバの呼制御に基づいた宛先IPアドレスに送信するためのRTP/RTCP(Real-time Transport Protocol/RTP Control Protocol)に従ったIPパケット列を生成する。なお、パケット生成部101−1、101−2が対応する伝送プロトコルについては限定されないものである。
【0019】
なお、パケット生成部101−1、101−2には、同じタイミングで、同じ内容の同期したメディアデータが入力されているものとする。すなわち、パケット生成部101−1、101−2では、同一のパケット列が生成されることになる。そして、パケット生成部101−1、101−2の間には、同一のパケット(例えば、同一のシーケンス番号のパケット)を、同一のタイミングで送出するための同期用の通信路(以下、「パケット同期通信路」と呼ぶ)500が配設されているものとする。なお、パケット生成部101−1、101−2で、同期したパケット列を生成して送出する処理構成については、例えば、既存のメディアサーバと同様の処理を適用することができるため、詳しい説明については省略する。また、パケット生成部101−1、101−2間の接続構成についても限定されないものであるが、例えば、ネットワークシステム1を構成するシェルフにおけるブレード間通信バス(内部バス)により接続するようにしてもよい。
【0020】
フラグ付与部102(102−1、102−2)は、パケット生成部101(101−1、101−2)から供給されたIPパケットを挿入したイーサネットフレーム(データ)を生成して、SWブレード200(200−1、200−2)(レイヤ2のネットワーク)に供給する。フラグ付与部102(102−1、102−2)が生成するイーサネットフレームには、制御部400の制御に基づく宛先MACアドレスが設定されている。また、フラグ付与部102(102−1、102−2)が生成するイーサネットフレームには、当該イーサネットフレーム(IPパケット)の経路制御等の処理に関するフラグ形式の処理情報(以下、「装置内ルート選択フラグ」と呼ぶ)が挿入されている。ここでは、装置内ルート選択フラグは、3ビットのフラグ情報で表現されるものとする。フラグ付与部102(102−1、102−2)が生成するイーサネットフレームで、装置内ルート選択フラグを挿入する位置については限定されないものであるが、例えば、イーサネットフレームのヘッダ部で通信に支障の無い位置(例えば、タイプ値のフィールドの先頭3ビット等)や、データ部(コンテナ部)の所定位置としてもよい。なお、装置内ルート選択フラグ及び制御部400の詳細については後述する。イーサネットフレームのデータ部に装置内ルート選択フラグを挿入する場合には、例えば、データ部の先頭の3ビットや、データ部に格納されたIPパケットのヘッダ部(例えば、オプション部等の通信への影響の少ないフィールド)に挿入するようにしてもよい。
【0021】
なお、以下では、装置内ルート選択フラグを構成する3ビットのデータにおいて、先頭のビットを第1のビットB1、先頭から2番目のビットを第2のビットB2、先頭から3番目のビット(最後尾のビット)を第3のビットB3と呼ぶものとする。
【0022】
そして、フラグ付与部102(102−1、102−2)は、SWブレード200−1と接続するポート103A(103A−1、103A−2)と、SWブレード200−2と接続するポート103B(103B−1、103B−2)を有している。すなわち、ポート103A(103A−1、103A−2)は、直接または間接的にSWブレード200−1と接続している。また、ポート103B(103B−1、103B−2)は、直接または間接的にSWブレード200−2と接続している。
【0023】
SWブレード200(200−1、200−2)は、IPブレード100(100−1、100−2)から供給されたイーサネットフレームについて、宛先MACアドレスに応じた宛先(NWブレード300)に転送することができるスイッチ(レイヤ2スイッチ)である。すなわち、SWブレード200−1は、NWブレード300−1、300−2に接続している。また、SWブレード200−2も、NWブレード300−1、300−2に接続している。
【0024】
NWブレード300(300−1、300−2)は、SWブレード200(200−1、200−2)を介して、IPブレード100(100−1、100−2)から供給されたイーサネットフレームから、IPパケットを取出して、IPネットワークNに送出する機能(ルーティング機能等)等を担っている。
【0025】
NWブレード300(300−1、300−2)は、データ処理部SEL1(SEL1−1、SEL1−2)、データ処理部SEL2(SEL2−1、SEL2−2)、及びデータ処理部SEL3(SEL3−1、SEL3−2)を有している。
【0026】
NWブレード300(300−1、300−2)では、SWブレード200(200−1、200−2)から供給されたイーサネットフレームについて、データ処理部SEL1(SEL1−1、SEL1−2)、データ処理部SEL2(SEL2−1、SEL2−2)、及びデータ処理部SEL3(SEL3−1、SEL3−2)により廃棄又は後段への転送が行われる。具体的には、データ処理部SEL1(SEL1−1、SEL1−2)、データ処理部SEL2(SEL2−1、SEL2−2)、及びデータ処理部SEL3(SEL3−1、SEL3−2)では、装置内ルート選択フラグの内容に応じた処理が行われる。
【0027】
データ処理部SEL1(SEL1−1、SEL1−2)は、装置内ルート選択フラグの第1のビットB1が「0」のイーサネットフレームについては廃棄し、第1のビットB1が「1」のイーサネットフレームについては後段の構成要素に転送する処理を行う。データ処理部SEL2(SEL2−1、SEL2−2)は、装置内ルート選択フラグの第2のビットB2が「0」のイーサネットフレームについては廃棄し、第2のビットB2が「1」のイーサネットフレームについては後段の構成要素に転送する処理を行う。データ処理部SEL3(SEL3−1、SEL3−2)は、装置内ルート選択フラグの第3のビットB3が「0」のイーサネットフレームについては廃棄し、第3のビットB3が「1」のイーサネットフレームについては後段の構成要素に転送する処理を行う。
【0028】
NWブレード300−1のデータ処理部SEL1−1は、SWブレード200−1から供給されたイーサネットフレームの供給を受けるためのポート302−1と、SWブレード200−2から供給されたイーサネットフレームの供給を受けるためのポート302−2とを有する。NWブレード300−1では、ポート302−1、302−2に対して、それぞれ、MAC1、MAC2というMACアドレスが付与されているものとする。
【0029】
NWブレード300−2のデータ処理部SEL1−2は、SWブレード200−1から供給されたイーサネットフレームの供給を受けるためのポート302−3と、SWブレード200−2から供給されたイーサネットフレームの供給を受けるためのポート302−4とを有する。NWブレード300−2では、ポート302−3、302−4に対して、それぞれ、MAC3、MAC4というMACアドレスが付与されているものとする。
【0030】
NWブレード300−1のデータ処理部SEL1−1は、イーサネットフレームが供給されると、装置内ルート選択フラグを構成する第1のビットB1を参照する。そして、データ処理部SEL1−1は、第1のビットB1が0の場合、当該イーサネットフレームを廃棄する。また、データ処理部SEL1−1は、第1のビットB1が1の場合、当該イーサネットフレームを、データ処理部SEL2−1、及び、NWブレード300−2のデータ処理部SEL3−2に供給(転送)する。
【0031】
また、NWブレード300−2のデータ処理部SEL1−2は、イーサネットフレームが供給されると、装置内ルート選択フラグを構成する第1のビットB1を参照する。そして、データ処理部SEL1−2は、第1のビットB1が0の場合、当該イーサネットフレームを廃棄する。また、データ処理部SEL1−2は、第1のビットB1が1の場合、当該イーサネットフレームを、データ処理部SEL2−2、及び、NWブレード300−1のデータ処理部SEL3−1に供給(転送)する。
【0032】
データ処理部SEL1−1とデータ処理部SEL3−2との間の接続、及び、データ処理部SEL1−2とデータ処理部SEL3−1との間の接続構成については限定されないものであるが、例えば、ネットワークシステム1を構成するシェルフにおけるブレード間通信バス(内部バス)により接続するようにしてもよいし、イーサネットにより接続するようにしてもよい。
【0033】
NWブレード300−1のデータ処理部SEL2−1は、データ処理部SEL1−1からイーサネットフレームが供給されると、装置内ルート選択フラグを構成する第2のビットB2を参照する。そして、データ処理部SEL2−1は、第2のビットB2が0の場合、当該イーサネットフレームを廃棄する。また、データ処理部SEL2−1は、第2のビットB2が1の場合、当該イーサネットフレームを、フラグ削除部301−1に供給する。
【0034】
一方、NWブレード300−2のデータ処理部SEL2−2は、データ処理部SEL1−2からイーサネットフレームが供給されると、装置内ルート選択フラグを構成する第2のビットB2を参照する。そして、データ処理部SEL2−2は、第2のビットB2が0の場合、当該イーサネットフレームを廃棄する。また、データ処理部SEL2−2は、第2のビットB2が1の場合、当該イーサネットフレームを、フラグ削除部301−2に供給する。
【0035】
NWブレード300−1のデータ処理部SEL3−1は、NWブレード300−2のデータ処理部SEL1−2からイーサネットフレームが供給されると、装置内ルート選択フラグを構成する第3のビットB3を参照する。そして、データ処理部SEL3−1は、第3のビットB3が0の場合、当該イーサネットフレームを廃棄する。また、データ処理部SEL3−1は、第3のビットB3が1の場合、当該イーサネットフレームを、フラグ削除部301−1に供給する。
【0036】
NWブレード300−2のデータ処理部SEL3−2は、NWブレード300−1のデータ処理部SEL1−1からイーサネットフレームが供給されると、装置内ルート選択フラグを構成する第3のビットB3を参照する。そして、データ処理部SEL3−2は、第3のビットB3が0の場合、当該イーサネットフレームを廃棄する。また、データ処理部SEL3−2は、第3のビットB3が1の場合、当該イーサネットフレームを、フラグ削除部301−2に供給する。
【0037】
フラグ削除部301(301−1、301−2)は、データ処理部SEL2(SEL2−1、SEL2−2)、又は、データ処理部SEL3(SEL3−1、SEL3−2)から供給されたイーサネットフレーム(IPパケット)から、装置内ルート選択フラグの削除及びIPパケットの抽出(イーサネットフレームのデータ部の抽出)を行って、そのIPパケットをIPネットワークNに送出する。なお、IPブレード100(100−1、100−2)から供給されるイーサネットフレームにおいて、装置内ルート選択フラグが当該イーサネットフレームのヘッダ部に挿入されている場合には、フラグ削除部301(301−1、301−2)は、当該イーサネットフレームからIPパケット(データ部)を抽出するだけで、装置内ルート選択フラグの削除を行うことが可能である。
【0038】
以上のように、SWブレード200(200−1、200−2)は、IPブレード100(100−1、100−2)から供給されたイーサネットフレームについて、宛先MACアドレスに応じた宛先(NWブレード300−1又はNWブレード300−2)に転送する。また、NWブレード300(300−1、300−2)は、イーサネットフレームの装置内ルート選択フラグに応じた経路で当該イーサネットフレームの転送を行い、IPネットワークNへ送出する。すなわち、ネットワークシステム1では、イーサネットフレームの宛先MACアドレス及び装置内ルート選択フラグにより、当該イーサネットフレーム(IPパケット)の通信パスの経路が定まる。
【0039】
以下では、IPブレード100−1のポート103A−1、103B−1から出力されるイーサネットフレームの通信パス(通信経路)を、それぞれ通信パスPA−1、PB−1と表すものとする。また、IPブレード100−2のポート103A−2、103B−2から出力されるイーサネットフレームの通信パス(通信経路)を、それぞれ通信パスPA−2、PB−2と表すものとする。
【0040】
次に、制御部400の詳細について説明する。
【0041】
制御部400は、IPブレード100(100−1、100−2)のフラグ付与部102(102−1,102−2)に、制御信号S(S−1、S−2)を供給する。そして、フラグ付与部102(102−1,102−2)は、供給された制御信号S(S−1、S−2)に基づいて、次回以後にポート103A(103A−1、103A−2)及びポート103B(103B−1、103B−2)から送出するイーサネットフレームに設定する宛先MACアドレス及び装置内ルート選択フラグの内容を設定する。
【0042】
すなわち、ネットワークシステム1では、IPブレード100(100−1、100−2)から送出されるイーサネットフレームの経路(各通信パスの経路)が、制御部400により制御される。
【0043】
制御部400が、制御信号S(S−1、S−2)の内容を決定する方式や変更するタイミングについては限定されないものである。ここでは、制御部400は、ネットワークシステム1内の各ブレードの動作状態を監視し、エラー(障害)の発生状況や運転状況に応じて変更するものとする。具体的には、この実施形態において、制御部400は、制御信号定義テーブル401の内容にしたがって、制御信号S(S−1、S−2)の内容を決定する。例えば、制御部400は、ネットワークシステム1内の各ブレードの動作状態が変化した場合に、制御信号定義テーブル401を参照し、現在の各ブレードの動作状態に基づいた制御信号S(S−1、S−2)を決定して、フラグ付与部102(102−1、102−2)に供給する。そして、新たに制御信号S(S−1、S−2)の供給を受けたフラグ付与部102(102−1、102−2)は、送出するイーサネットフレームに設定する宛先MACアドレス及び装置内ルート選択フラグの内容を変更する。
【0044】
図2は、制御信号定義テーブル401の内容例について示した説明図である。
【0045】
制御信号定義テーブル401では、図2に示すようにネットワークシステム1を構成する各ブレード(IPブレード100−1、100−2、SWブレード200−1、200−2、NWブレード300−1、300−2)の動作状態の組み合わせごとに、制御信号S−1、S−2の内容が定義されている。
【0046】
図2に示す制御信号定義テーブル401では、動作状態の項目で、ネットワークシステム1を構成する各ブレードの動作状態の組み合わせを定義している。制御信号定義テーブル401の動作状態の項目では、ネットワークシステム1を構成する各ブレードについて、空欄(ブランク)又は「×」が設定されている。図2に示す制御信号定義テーブル401では、「×」が設定されているブレードは停止状態(故障状態の場合も含む)であることを表している。また、図2に示す制御信号定義テーブル401では、空欄となっているブレードは運用状態(動作している状態)であることを示している。
【0047】
図2に示す制御信号定義テーブル401では、説明を簡易にするために、ネットワークシステム1を構成する各ブレードの動作状態の組み合わせごとにケース番号が付与されている。例えば、ケース番号1の動作状態は、すべてのブレードについて空欄となっているので、すべてのブレードが運用状態となっていることを示している。また、例えば、ケース番号2の動作状態は、IPブレード100−1だけが停止状態で、その他のブレードは運用状態であることを示している。
【0048】
そして、図2に示す制御信号定義テーブル401では、制御信号の項目で、制御信号S−1、S−2の内容を記述している。具体的には、図2に示す制御信号定義テーブル401では、ケース番号ごとに、制御信号S−1に含まれるポート103A−1、103B−1に設定するデータ(MACアドレス/装置内ルート選択フラグ)、及び、制御信号S−2に含まれるポート103A−2、103B−2に設定するデータ(MACアドレス/装置内ルート選択フラグ)が記述されている。
【0049】
例えば、図2では、ケース番号1(すべてのブレードが運用状態の場合)に対する制御信号S−1の内容として、ポート103A−1について「MAC1/110」と設定されている。これは、動作状態がケース番号1に該当する場合には、IPブレード100−1に対して、ポート103A−1から送出するイーサネットフレームの宛先MACアドレスを「MAC1」とし、さらに、 ポート103A−1から送出するイーサネットフレームに設定する装置内ルート選択フラグを「110」とすることを示している。
【0050】
また、例えば、図2では、ケース番号2(IPブレード100−1のみが停止状態の場合)に対する制御信号S−1の内容として、ポート103A−1及びポート103B−1対して「送信不可」と設定されている。これは、動作状態が、ケース番号2に該当する場合には、ポート103A−1及びポート103B−1を有するIPブレード100−1自体が停止しているため、当該ポートからはイーサネットフレームの送出ができないことを示している。同様に、制御信号定義テーブル401において、IPブレード100−1又はIPブレード100−2が停止状態となる他のケース番号についても、停止状態のIPブレード100に対応するポート103について「送信不可」が設定されている。
【0051】
さらに、例えば、図2では、ケース番号4(SWブレード200−1のみが停止状態の場合)に対する制御信号S−1の内容として、ポート103A−1対して「送信停止」と設定されている。これは、動作状態が、ケース番号4に該当する場合には、ポート103A−1が接続されているSWブレード200−1が停止しているため、ポート103A−1からはイーサネットフレームの送出を停止することを示している。同様に、制御信号定義テーブル401において、SWブレード200−1及び又はSWブレード200−2が停止状態となる他のケース番号についても、停止状態のSWブレード200に接続されたポート103について「送信停止」が設定されている。
【0052】
そして、制御信号定義テーブル401では、停止状態のブレードが存在するケース番号(2〜27)について、停止状態のブレードを迂回し、運用中のブレードだけで、IPブレード100−1及び又はIPブレード100−2から送出されたイーサネットフレームに含まれるIPパケットが、少なくとも1系統(可能な限り2系統)についてIPネットワークNに到達するように、装置内ルート選択フラグが設定されている。また、図2に示す制御信号定義テーブル401では、デフォルト設定として、SWブレード200−1を現用系、SWブレード200−2を予備系として取り扱うことを前提とした内容になっている。
【0053】
なお、装置内ルート選択フラグの第1のビットB1が0のイーサネットフレーム(IPパケット)については、データ処理部SEL2(SEL2−1、SEL2−2)及びデータ処理部SEL3(SEL3−1、SEL3−2)に供給されない。選択フラグの第1のビットB1が0の装置内ルート選択フラグにおいて、第2のビットB2及び第3のビットB3には任意の内容を設定することができる。
【0054】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態のネットワークシステム1の動作を説明する。
【0055】
(A−2−1)ケース番号ごとの通信パスについて
まず、制御信号定義テーブル401について図2に示す内容とした場合の、ケース番号1〜27のそれぞれの通信パスの構成について説明する。
【0056】
図4図30は、それぞれケース番号1〜27に該当する場合の、制御信号S−1、S−2に基づく各通信パスP(PA−1、PB−1、PA−2、PB−2)の経路について示している。図4図30では、説明を簡易にするために、各構成要素の間の接続構成を示す線や、直接経路制御に関連しない構成要素(パケット生成部101、フラグ削除部301等)の図示を省略し、各通信パスPの経路を破線で示している。また、図4図30では、制御信号定義テーブル401で、送信停止又は送信不可となっているポート103に係る通信パスPについては、図示を省略している。
【0057】
まず、ケース番号1の場合(すべてのブレードが運用状態)の場合の各通信パスPの構成について、図4を用いて説明する。
【0058】
ケース番号1の場合は、すべてのブレードが運用状態であるので、すべての通信パスPA−1、PB−1、PA−2、PB−2が利用されることになる。
【0059】
図2に示すように、ケース番号1では、ポート103A−1に対応する宛先MACアドレスがMAC1、装置内ルート選択フラグが110に設定されている。したがって、図4に示すように、ケース番号1において、ポート103A−1から送出されるイーサネットフレーム(通信パスPA−1)は、SWブレード200−1、データ処理部SEL1−1、及びデータ処理部SEL2−1を経由してIPネットワークNに到達する経路となる。
【0060】
また、図2に示すように、ケース番号1では、ポート103B−1に対応する宛先MACアドレスがMAC2、装置内ルート選択フラグが010に設定されている。したがって、図4に示すように、ケース番号1において、ポート103B−1から送出されるイーサネットフレーム(通信パスPB−1)は、SWブレード200−2を経由してデータ処理部SEL1−1に到達するが、装置内ルート選択フラグの第1のビットB1が「0」であるため、データ処理部SEL1−1で廃棄されることになる。
【0061】
さらに、図2に示すように、ケース番号1では、ポート103A−2に対応する宛先MACアドレスがMAC3、装置内ルート選択フラグが110に設定されている。したがって、図4に示すように、ケース番号1において、ポート103A−2から送出されるイーサネットフレーム(通信パスPA−2)は、SWブレード200−1、データ処理部SEL1−2、及びデータ処理部SEL2−2を経由してIPネットワークNに到達する経路となる。
【0062】
さらにまた、図2に示すように、ケース番号1では、ポート103B−2に対応する宛先MACアドレスがMAC4、装置内ルート選択フラグが010に設定されている。したがって、図4に示すように、ケース番号1において、ポート103B−2から送出されるイーサネットフレーム(通信パスPB−2)は、SWブレード200−2を経由してデータ処理部SEL1−2に到達するが、装置内ルート選択フラグの第1のビットB1が「0」であるため、データ処理部SEL1−2で廃棄されることになる。
【0063】
次に、ケース番号2の場合(IPブレード100−1のみが停止状態)の場合の各通信パスPの構成について、図5を用いて説明する。
【0064】
ケース番号2の場合は、IPブレード100−1が停止状態であるので、通信パスPA−2、PB−2のみが利用されることになる。
【0065】
図2に示すように、ケース番号2では、ポート103A−2に対応する宛先MACアドレスがMAC3、装置内ルート選択フラグが111に設定されている。したがって、図5に示すように、ケース番号2において、ポート103A−2から送出されるイーサネットフレーム(通信パスPA−2)は、SWブレード200−1を経由してデータ処理部SEL1−2に到達する。そして、当該イーサネットフレーム(IPパケット)が通る通信パスPA−2は、データ処理部SEL1−2から、データ処理部SEL3−1及びデータ処理部SEL2−2に分岐して、それぞれの分岐がIPネットワークNに到達する通信パス構成となる。
【0066】
また、図2に示すように、ケース番号2では、ポート103B−2に対応する宛先MACアドレスがMAC4、装置内ルート選択フラグが011に設定されている。したがって、図5に示すように、ケース番号2において、ポート103B−2から送出されるイーサネットフレーム(通信パスPB−2)は、SWブレード200−2を経由してデータ処理部SEL1−2に到達するが、装置内ルート選択フラグの第1のビットB1が「0」であるため、データ処理部SEL1−2で廃棄されることになる。
【0067】
(A−2−2)制御部400による切替動作について
次に、制御部400により、制御信号S−1、S−2が切り替わる際の動作について、図3のシーケンス図を用いて説明する。
【0068】
図3では、ネットワークシステム1が起動して、動作状態がケース番号1に該当する状態(全てのブレードが運用状態)となり、その後、SWブレード200−1が故障等により停止状態となった場合の動作について説明している。
【0069】
まず、ネットワークシステム1が起動して、制御部400により各ブレードへの初期設定等が行われたものとする。そして、その起動の過程で、制御部400により、各ブレード(IPブレード100−1、100−2、SWブレード200−1、200−2、NWブレード300−1、300−2)の動作状態を確認が確認されたものとする。そして、制御部400は、制御信号定義テーブル401の内容を参照し、現在の各ブレードの動作状態がいずれのケース番号に該当するかを確認する(S101)。制御部400が、各ブレードの動作状態を確認する処理については、例えば、既存のブレード型のネットワーク装置と同様の処理を適用することができるため、詳しい説明については省略する。ここでは、制御部400は、各ブレードが正常に動作し運用状態となっているか否かを確認した結果、各ブレードは正常に動作していたものとする。したがって、ここでは、制御部400は、現在の各ブレードの動作状態について、ケース番号1に該当する状態であると判定することになる。
【0070】
そして、制御部400は、制御信号定義テーブル401の内容に基づいて、ケース番号1に対応する制御信号S−1、S−2を生成して、それぞれ、IPブレード100−1、100−2に供給する(S102、S103)、
そして、IPブレード100−1、100−2では供給された制御信号S−1、S−2に従って、各ポート103A−1、103B−1、103A−2、103B−2の設定(宛先MACアドレス、及び、装置内ルート選択フラグの設定)が行われる(S104、S105)。
【0071】
以後、ネットワークシステム1では、ケース番号1の動作状態に対応する設定(上述の図4の通信パス構成)で動作することになる。
【0072】

そして、その後、制御部400により、全てのブレードへの定期動作確認処理(ポーリング処理)が行われ、SWブレード200−1が停止状態であることを検知したものとする。そして、制御部400は、SWブレード200−1の動作状態に変化に伴って、制御信号定義テーブル401の内容を参照し、現在の各ブレードの動作状態がいずれのケース番号に該当するかを確認する(S107)。制御部400による各ブレードの監視処理の方式や監視タイミングについては限定されないものである。そして、ここでは、制御部400による各ブレードへのポーリング処理の結果、SWブレード200−1だけが停止状態となっていたものとする。したがって、ここでは、制御部400は、現在の各ブレードの動作状態について、ケース番号4に該当する状態であると判定することになる。
【0073】
そして、制御部400は、制御信号定義テーブル401の内容に基づいて、ケース番号4に対応する制御信号S−1、S−2を生成して、それぞれ、IPブレード100−1、100−2に供給する(S108、S109)。
【0074】
そして、IPブレード100−1、100−2では供給された制御信号S−1、S−2に従って、各ポート103A−1、103B−1、103A−2、103B−2の設定(宛先MACアドレス、及び、装置内ルート選択フラグの設定)が行われる(S110、S111)。
【0075】
そして、ネットワークシステム1では、ケース番号4の動作状態に対応する設定(上述の図7の通信パス構成)に遷移することになるが、IPブレード100−1、100−2では、SWブレード200−1に係る通信パスPA−1、PA−2の送信停止、及び、通信パスPB−1、PB−2に送出するイーサネットフレームに設定する装置内ルート選択フラグが変更になるだけである。したがって、ネットワークシステム1では、上述のような系切替が発生する場合でも、無瞬断で送信処理を継続することができる。
【0076】
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0077】
(A−3−1)ネットワークシステム1では、制御信号S(S−1、S−2)に従って、IPブレード100の個々のポート103から、いずれかのNWブレード300の特定のポート302宛に送信するイーサネットフレーム(IPパケット)に、装置内ルート選択フラグを挿入している。これにより、NWブレード300で、処理対象のイーサネットフレーム(IPパケット)を選択している。
【0078】
また、NWブレード300−1と、NWブレード300−2との間で、相互にイーサネットフレーム(IPパケット)を供給し、自系で受信したイーサネットフレーム(IPパケット)と、他系で受信したイーサネットフレーム(IPパケット)とのうちいずれかを選択して処理している。
【0079】
以上のように、ネットワークシステム1では、IPブレード100が送出するイーサネットフレーム(IPパケット)に設定する宛先MACアドレス、及び、装置内ルート選択フラグを制御することにより、無瞬断での系の切替を実現している。
【0080】
仮に、上記の実施形態のように宛先MACアドレス、及び、装置内ルート選択フラグの制御を用いずに、無瞬断での系の切替を実現しようとする場合、図31に示すように、SWブレード200に、上記の実施形態の倍の数の通信パスを伝送させる必要がある。
【0081】
図31は、上記の実施形態のネットワークシステム1において、上記の実施形態のように宛先MACアドレス、及び、装置内ルート選択フラグの制御を用いずに、無瞬断での系の切替を実現する変形例(ネットワークシステム1A)について示したブロック図である。なお、図31では、上述の図1と同一又は対応する部分には、同一又は対応する符号を付している。ネットワークシステム1AのIPブレード100A(100A−1、100A−2)は、パケット生成部101A(101A−1、101A−2)を有している。パケット生成部101A(101A−1、101A−2)の基本的な動作は上記の実施形態とほぼ同様であるが、図31に示すように、IPブレード100A(100A−1、100A−2)から、NWブレード300(300−1、300−2)に到達するすべての経路についてイーサネットフレーム(IPパケット)を出力する点で異なっている。そして、図31に示すNWブレード300A(300A−1、300A−2)では、複数の通信パスから受信したイーサネットフレーム(IPパケット)のうちのいずれかを選択してIPネットワークNに送出するパケット選択部304(304−1、304−2)を有している。
【0082】
そして、図31の変形例の場合、パケット生成部101A−1、101A−2は、それぞれ4本の通信パスにイーサネットフレーム(IPパケット)を出力する。したがって、この場合、図31に示すように、それぞれのSWブレード200−1、200−2にも4本の通信パスのイーサネットフレーム(IPパケット)が流れることになる。これは、上記の実施形態で、SWブレード200−1、200−2に流れる通信パスの倍の数である。
【0083】
すなわち、上記の実施形態では、IPブレード100が送出するイーサネットフレーム(IPパケット)に設定する宛先MACアドレス、及び、装置内ルート選択フラグを制御することにより、IPブレード100(100−1、100−2)からNWブレード300(300−1、300−2)に到達するすべての経路について、常時通信パスを維持する必要がない。これにより、上記の実施形態では、図31の例と比較して、SWブレード200−1、200−2で必要となる伝送帯域を半分とし、効率的なデータ通信を実現することができる。そして、上記の実施形態では、結果として、ネットワークシステム1に必要となるシステムコスト、消費電力を抑えた冗長構成をとることが可能となる。
【0084】
(A−3−2)制御部400では、各ブレードの動作状況に応じて、各IPブレード100に供給する制御信号Sの内容を変化させている。また、制御信号定義テーブル401では、停止状態の装置が存在するケース番号(2〜27)について、停止状態の装置を迂回し、運用中の装置だけで、IPブレード100−1及び又はIPブレード100−2から送出されたイーサネットフレームに含まれるIPパケットが、少なくとも1系統(可能な限り2系統)についてIPネットワークNに到達するように、装置内ルート選択フラグが設定されている。
【0085】
これにより、ネットワークシステム1では、ブレード構成が変わった場合でも、制御信号定義テーブル401を変更することで、容易に無瞬断での冗長構成を実現することができる。
【0086】
(A−3−3)ネットワークシステム1において、SWブレード200は、特別な機能に対応する必要がない。したがって、ネットワークシステム1のような構成を採用することにより、可用性の高いシステム構築が可能となる。
【0087】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0088】
(B−1)上記の実施形態のネットワークシステム1では、データ処理の単位として、IPパケット又はIPパケットを挿入したイーサネットフレームを用いているが、その他のデータ単位(例えば、MPLSのフレーム等)を処理するシステムとして構築するようにしてもよい。
【0089】
(B−2)上記の実施形態では、SWブレード200はレイヤ2スイッチ(レイヤ2のネットワーク)であるものとして説明したが、レイヤ3スイッチ(レイヤ3のネットワーク)としてもよい。その場合、制御信号定義テーブル401において定義する宛先MACアドレス(レイヤ2アドレス)は、IPアドレス(レイヤ3アドレス)とする必要がある。
【0090】
また、上記の実施形態では、フラグ削除部301(301−1、301−2)でイーサネットフレームからIPパケットを抽出する処理を行っているが、装置内ルート選択フラグが、当該イーサネットフレームに挿入されたIPパケット自体に設定されている場合には、データ処理部SEL1(SEL1−1、SEL1−2)で、IPパケットを抽出して、後段に引き渡すようにしてもよい。
【0091】
(B−3)上記の実施形態において、待機系のSWブレード200から送出されるイーサネットフレーム(IPパケット)は、NWブレード300で破棄されることになる。したがって、このような場合、送信側のIPブレード100からイーサネットフレーム(IPパケット)の送出自体を行わない動作とするようにしてもよい。
【0092】
ただし、待機系に係る通信パス(待機系のSWブレード200に係る通信パス)について、送信側のIPブレード100からイーサネットフレーム(IPパケット)の送出自体を行わない場合、SWブレード200等の系切替時において、待機系SWブレード200に関連する通信パスのサイレント障害(エラー発生等無くても正常に動作していない障害)により切替ができなくなる場合がある。また、系切替が発生した場合に、SWブレード200の切替処理(例えば、ARPテーブルの更新等)に時間がかかる場合もあり得る。そのため、常時IPブレード100からNWブレード300宛にイーサネットフレーム(IPパケット)を送信し、NWブレード300側でイーサネットフレーム(IPパケット)到着を監視することで、待機系に係る通信パスの正常性を確認するようにしてもよい。
【0093】
(B−4)上記の実施形態において、IPブレード100(100−1、100−2)とNW−ブレード300(300−1、300−2)との間のイーサネットフレーム転送(データ転送)については、SWブレード200(200−1、200−2)を用いている。しかし、イーサネットフレーム転送(データ転送)に用いるネットワーク構成は上記の構成に限定されないものであり、種々のネットワーク構成(冗長化されている必要がある)を適用することができる。その場合、イーサネットフレーム転送(データ転送)に用いるネットワークの各装置(ブレード)についても、制御信号定義テーブル401の動作状況の項目に記述する必要がある。
【符号の説明】
【0094】
1…ネットワークシステム、100、100−1、100−2…IPブレード、101、101−1、101−2…パケット生成部、102、102−1、102−2…フラグ付与部、102A、102A−1、102A−2、ポート102B、102B−1、102B−2…ポート、200、200−1、200−2…SWブレード、300、300−1、300−2…NWブレード、SEL1、SEL1−1、SEL1−2、SEL2、SEL2−1、SEL2−2、SEL3、SEL3−1、SEL3−2…データ処理部、301、301−1、301−2…フラグ削除部、400…制御部、401…制御信号定義テーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
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