【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、スライドシートに配線するワイヤハーネスを挿通するハーネスレールに摺動自在に嵌合すると共に前記ワイヤハーネスを貫通してスライドシート側に該ワイヤハーネスを引き出す樹脂成形品からなるスライダであって、
該スライダは、前記ハーネスレールの長さ方向に連続して形成される断面ボックス状のハーネス挿通部に嵌合させるワイヤハーネス挿入部を備え、
該ワイヤハーネス挿入部
の前側部分は、前記ハーネス挿通部に挿通するワイヤハーネス
に外装される断面矩形状の外装材の端部に内嵌
され、該前側部分の外側面には前記外装材の側面に穿設した被係止穴に係止する係止突起を突設している一方、前記前側部分を内嵌した前記外装材の端部より外部に露出させる前記ワイヤハーネス挿入部の後側部分には略直角方向に突出するワイヤハーネス引出部を設けていると共に、該後側部分の後端よりテープ巻き用舌片を長さ方向に突設し、前記外装材の一側面を開口端より長さ方向に延在させた突出片を前記テープ巻き用舌片に重ねてテープ巻き固定する構成としていることを特徴とするスライダを提供している。
【0009】
前記のように、本発明では、ハーネスレールの断面ボックス状のハーネス挿通部に嵌合させるスライダのワイヤハーネス挿入部を、該ハーネス挿通部に挿通するワイヤハーネスの外装材の端部に内嵌固定する構成としている。よって、ハーネス挿通部の高さ(ハーネス挿通部の上下面間の寸法)を、前記外装材の高さ+若干の隙間寸法とすることができる。同様に、ハーネス挿通部の幅(ハーネス挿通部の左右側面間の寸法)も、前記外装材の幅+若干の隙間寸法とすることができる。即ち、ハーネス挿通部の高さや幅を外装材の高さや幅に近づけて、挿通するワイヤハーネスの外装材の上下、左右に形成される隙間を小さくすることができるため、外装したワイヤハーネスのハーネス挿通部内での縦方向や横方向のバタつきを抑制することができる。よって、ハーネスレールにおける該ワイヤハーネスの直線的な経路規制を安定して行うことができ、ワイヤハーネスの屈曲性能を高めることができる。
【0011】
前記のように、断面矩形状の外装材の端部に内嵌する前記ワイヤハーネス挿入部の前側部分の外側面に係止突起を設け、該係止突起を前記外装材の側面に穿設した被係止穴に係止させることにより、ワイヤハーネス挿入部と外装材との固定力を高めることができる。特に、前記係止突起をワイヤハーネス挿入部の前側部分の両側外側面に1対設け、前記外装材の両側面にも前記被係止穴を1対設けていることが好ましい。
また、前記のように、外装材の端部より外部に露出させる前記ワイヤハーネス挿入部の後側部分の後端からテープ巻き用舌片を突出させ、前記外装材の一側面を長さ方向に延在させた突出片を前記テープ巻き用舌片に重ねてテープ巻き固定することにより、ワイヤハーネス挿入部と外装材との固定力を一層高めることができる。
さらに、前記突出片を沿わせる前記ワイヤハーネス挿入部の後側部分の側面にも係止突起を設け、前記突出片に穿設した被係止穴に係止する構造とすることが好ましい。
このように、前記係止突起と被係止穴とのロック結合と、前記テープ巻き用舌片と突出片とのテープ巻きで、前記外装材とワイヤハーネス挿入部との固定が完了するため、ワイヤハーネスの生産工場でも容易にスライダと外装材との嵌合固定作業が行える。
【0012】
また、前記ワイヤハーネス挿入部には前記ワイヤハーネスを挿通する横溝部を設けている一方、前記ワイヤハーネス挿入部の後側部分から略直角方向に突出させるワイヤハーネス引出部は前記横溝部に連続して前記ワイヤハーネスを挿通する縦溝部を設けていることが好ましい。
【0013】
前記のように、ワイヤハーネス挿入部の構造を、ワイヤハーネスを挿通する横溝部を設けた簡易構造としているため、ワイヤハーネス挿入部を小型化して外装材の端部に内嵌しやすくなる。また、横溝部に挿通されるワイヤハーネスの殆どの部分は外装材の内部に収容されて上面が露出されないため、ワイヤハーネスも適切に保護される。また、前記ワイヤハーネス引出部に、前記ワイヤハーネス挿入部の横溝部に連続する縦溝部を設けているため、ワイヤハーネス引出部へのワイヤハーネスの挿通が容易に行える。
しかし、前記縦溝部に代えて、ワイヤハーネス引出部にワイヤハーネスを挿通する中空部を設けてもよい。
【0014】
前記外装材はキャタピラ型のプロテクタであり、該プロテクタは、帯状の平板に長さ方向に延在すると共に幅方向に間隔をあけて設けた複数本の折り曲げラインを折り曲げて筒状とすると共に、長さ方向に間隔をあけて幅方向に切り込みを入れて一辺を連続させると共に他辺を分離し、一方側には屈曲するが他方側には屈曲しない状態で連結していることが好ましい。
【0015】
前記キャタピラ型のプロテクタは、四角筒状の本体に長さ方向に間隔をあけて切り込みを入れて、前記のように、一方側には屈曲するが他方側には屈曲しないキャタピラ型としていることが好ましい。
前記四角筒状のキャタピラ型のプロテクタは、帯状の平板に長さ方向に延在する4本の折り曲げラインを幅方向の中間部に間隔をあけて設け、かつ、該幅方向の両側縁の一方側に係止突片を突設すると共に他方側に前記係止突片を挿入係止する係止穴を設け、前記折り曲げラインに沿って折り曲げて四角筒形状とすると共に係止突片を係止穴に挿入係止して四角筒状を保持し、さらに前記4本の折り曲げラインを結ぶ幅方向の切り込みラインを長さ方向に間隔をあけて設けて四角筒の3辺を分離して折り曲げ自在に連結された形状としている。
【0016】
前記四角筒状のキャタピラ型のプロテクタは、押出成形した平板を打抜加工して形成し、これを折り曲げ組み立てて形成でき、従来のワイヤハーネス外装材のコルゲートチューブより安価に形成でき、かつ、運搬時は平板形状のままであるためかさばらない。しかも、閉鎖された筒状でないため、ワイヤハーネスに容易に外装することができる。
【0017】
前記のように本発明では、スライダのワイヤハーネス挿入部を前記キャタピラ型のプロテクタの端部に内嵌固定できる構造として、ハーネスレールのハーネス挿通部の高さおよび幅を、該ハーネス挿通部に挿通するワイヤハーネスの外装材である前記キャタピラ型のプロテクタの高さおよび幅に近づけることができる。したがって、スライドシートに連動してスライダがハーネスレールを前後方向に移動する際に、前記プロテクタが縦方向や横方向にバタつくことなくハーネス挿通部内を直線方向に滑らかに摺動することができる。
【0018】
前記ハーネスレールには前記ハーネス挿通部の上面の一側に長さ方向に連続して突出するスライダ摺動部を設け、前記スライダのワイヤハーネス引出部を前記スライダ摺動部に嵌合させると共に該スライダ摺動部の上面開口から該ワイヤハーネス引出部を突出させて前記スライドシートの脚部に連結していることが好ましい。
【0019】
前記ハーネス挿通部より細幅のスライダ摺動部に前記ワイヤハーネス引出部を嵌合させるために、前記外装材の端部から露出させるワイヤハーネス挿入部の後側部分の幅を漸減させ、スライダ摺動部に嵌合できる程度まで細幅となった後側部分の所定位置の上面全体から前記ワイヤハーネス引出部を突出させることが好ましい。
一方、前記ワイヤハーネス挿入部の後側部分は前側部分と略同一断面形状とし、前記後側部分の所定位置の上面より細幅のワイヤハーネス引出部を突出させてもよい。