(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954264
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネス付きカーペット及びワイヤーハーネス付きカーペットの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60N 3/04 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
B60N3/04 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-130445(P2013-130445)
(22)【出願日】2013年6月21日
(65)【公開番号】特開2015-3633(P2015-3633A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2015年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 光洋
【審査官】
永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−213172(JP,A)
【文献】
特開2010−173475(JP,A)
【文献】
特開平7−315102(JP,A)
【文献】
特開2004−122809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルに取り付けられるワイヤーハーネス付きカーペットであって、
カーペット本体部と、
カーペット本体部に配されたワイヤーハーネスと、
基端側の部分が前記カーペット本体部に連結しており、先端側の部分が折り返されることによって、前記カーペット本体部とともに前記ワイヤーハーネスを包んで保持する保持片部と、
前記保持片部における前記ワイヤーハーネスを覆う部分よりも先端側の部分、及び、前記カーペット本体部を挿通部が貫通することによって、前記保持片部を前記カーペット本体部に取り付ける取付部と、
を備え、
前記挿通部が前記車体パネルに挿通されることによって、前記カーペット本体部が前記車体パネルに取り付けられる、ワイヤーハーネス付きカーペット。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤーハーネス付きカーペットにおいて、
前記保持片部の基端側の部分が、前記カーペット本体部と一体である、ワイヤーハーネス付きカーペット。
【請求項3】
請求項1または2に記載のワイヤーハーネス付きカーペットおいて、
前記カーペット本体部には、貫通孔が形成されており、
前記保持片部には、少なくとも前記保持片部の基端側から先端側に向けて延びる細隙孔が形成されており、
前記挿通部が、前記貫通孔及び前記細隙孔に挿通される、ワイヤーハーネス付きカーペット。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか1項に記載のワイヤーハーネス付きカーペットにおいて、
前記取付部は、
前記挿通部の基端側に設けられている板状の頭部と、
前記挿通部に取り付けられ、前記頭部との間で前記カーペット本体部及び前記保持片部を挟持する挟持部と、
をさらに備えている、ワイヤーハーネス付きカーペット。
【請求項5】
請求項4に記載のワイヤーハーネス付きカーペットにおいて、
前記挟持部における、前記頭部に対向する面に、尖状突起部が設けられている、ワイヤーハーネス付きカーペット。
【請求項6】
請求項4または5に記載のワイヤーハーネス付きカーペットにおいて、
前記頭部が、前記カーペット本体部の表側に配されている、ワイヤーハーネス付きカーペット。
【請求項7】
ワイヤーハーネス付きカーペットの製造方法であって、
(a) カーペット本体部に配されたワイヤーハーネスを、前記カーペット本体部とともに、基端側の部分が該カーペット本体部に連結している保持片部で包む工程と、
(b) 前記保持片部における前記ワイヤーハーネスを覆う部分よりも先端側の部分、及び、前記カーペット本体部に、挿通部を貫通させることによって、前記保持片部を前記カーペット本体部に取り付ける工程と、
を含み、
前記挿通部が前記車体パネルに形成された孔に挿通されることによって、前記カーペット本体部が前記車体パネルに取り付けられる、ワイヤーハーネス付きカーペットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネス付きカーペットに関する。
【背景技術】
【0002】
ロッカパネルなどの車体パネルにワイヤーハーネス及びカーペットを固定する技術が、これまでにも提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、ロッカパネルにワイヤーハーネス及びカーペットを固定するカーペット留め具が開示されている。より詳細には、カーペット留め具は、ハーネス保持部と、差し込み口と、係止突起とが設けられている。そして、ハーネス保持部には、ワイヤーハーネスが固定される。また、差し込み部がロッカパネルの取付孔に差し込まれることによって、カーペット留め具がロッカパネルに固定される。これによって、ワイヤーハーネスもロッカパネルに固定されることとなる。さらに、係止突起がカーペットの係止孔に挿入されることによって、カーペットがロッカパネルに固定される。
【0004】
このように、特許文献1に記載のカーペット留め具によると、カーペットとワイヤーハーネスとを一体的にロッカパネルに固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−213172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のカーペット留め具は、カーペットを、2つの固定部分(差し込み部及び係止突起)を介してロッカパネルに固定するものであった。このため、従来のカーペット留め具の場合、カーペット及びロッカパネルのそれぞれに形成された孔に対応した複数の固定部分を設ける加工が必要であった。このため、加工コストの低減が求められていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、車体パネルに対するワイヤーハーネス及びカーペットの取り付けを、低コストで行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、車体パネルに取り付けられるワイヤーハーネス付きカーペットであって、カーペット本体部と、カーペット本体部に配されたワイヤーハーネスと、基端側の部分が前記カーペット本体部に連結しており、先端側の部分が折り返されることによって、前記カーペット本体部とともに前記ワイヤーハーネスを包んで保持する保持片部と、前記保持片部における前記ワイヤーハーネスを覆う部分よりも先端側の部分、及び、前記カーペット本体部を挿通部が貫通することによって、前記保持片部を前記カーペット本体部に取り付ける取付部とを備え、前記挿通部が前記車体パネルに挿通されることによって、前記カーペット本体部が前記車体パネルに取り付けられる。
【0009】
また、第2の態様は、第1の態様に係るワイヤーハーネス付きカーペットにおいて、前記保持片部の基端側の部分が、前記カーペット本体部と一体である。
【0010】
また、第3の態様は、第1または第2の態様に係るワイヤーハーネス付きカーペットおいて、前記カーペット本体部には、貫通孔が形成されており、前記保持片部には、少なくとも前記保持片部の基端側から先端側に向けて延びる細隙孔が形成されており、前記挿通部が、前記貫通孔及び前記細隙孔に挿通される。
【0011】
また、第4の態様は、第1から第3までの態様の何れか1態様に係るワイヤーハーネス付きカーペットにおいて、前記取付部は、前記挿通部の基端側に設けられている板状の頭部と、前記挿通部に取り付けられ、前記頭部との間で前記カーペット本体部及び前記保持片部を挟持する挟持部とをさらに備えている。
【0012】
また、第5の態様は、第4の態様に係るワイヤーハーネス付きカーペットにおいて、前記挟持部における、前記頭部に対向する面に、尖状突起部が設けられている。
【0013】
また、第6の態様は、第4または第5の態様に係るワイヤーハーネス付きカーペットにおいて、前記頭部が、前記カーペット本体部の表側に配されている。
【0014】
また、第7の態様は、ワイヤーハーネス付きカーペットの製造方法であって、(a)カーペット本体部に配されたワイヤーハーネスを、前記カーペット本体部とともに、基端側の部分が該カーペット本体部に連結している保持片部で包む工程と、(b)前記保持片部における前記ワイヤーハーネスを覆う部分よりも先端側の部分、及び、前記カーペット本体部に、挿通部を貫通させることによって、前記保持片部を前記カーペット本体部に取り付ける工程とを含み、前記挿通部が前記車体パネルに形成された孔に挿通されることによって、前記カーペット本体部が前記車体パネルに取り付けられる。
【発明の効果】
【0015】
第1から第7までの態様によると、ワイヤーハーネスの保持、及び、カーペット本体部の車体パネルへの固定を、同一の挿通部を介して行うことができる。このため、取付部品の加工コストを抑えることができる。
【0016】
第2の態様によると、保持片部の基端側の部分がカーペット本体部と一体とされていることによって、保持片部の基端側の部分をカーペット本体部に連結させる作業を省略することができる。
【0017】
また、第3の態様によると、貫通孔及び細隙孔が設けられていることによって、挿通部を、カーペット本体部及び保持片部に容易に挿通することができる。また、細隙孔が、保持片部の基端側から先端側に向けて延びていることによって、挿通部を挿通する位置を調整することができる。これによって、保持片部とカーペット本体とで形成される輪の大きさを調整することができる。これによって、様々な太さのワイヤーハーネスに対応することができる。
【0018】
また、第4の態様によると、カーペット本体部を車体パネルに取り付けるまでの間に、カーペット本体部・保持片部間の固定が解除されることを抑制することができる。
【0019】
また、第5の態様によると、尖状突起部が保持片部またはカーペット本体部にめり込みやすくなる。これによって、頭部及び挟持部間で、カーペット本体部及び保持片部を強固に挟持することができる。
【0020】
また、第6の態様に係るワイヤーハーネス付きカーペットによると、車体パネルに取り付けられたカーペット本体部が足で踏まれることによって、挿通部が車室側に飛び出ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係るワイヤーハーネス付きカーペットの縁部分を拡大して示す断面図である。
【
図2】カーペット本体部の裏面を示す斜視図である。
【
図3】ワイヤーハーネスが取り付けられたカーペット本体部の裏面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0023】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係るワイヤーハーネス付きカーペット1の縁部分を拡大して示す断面図である。また、
図2は、カーペット本体部3の裏面B1を示す斜視図である。さらに、
図3は、ワイヤーハーネス2が取り付けられたカーペット本体部3の裏面B1を示す斜視図である。
【0024】
ワイヤーハーネス付きカーペット1は、ワイヤーハーネス2とカーペット本体部3とが結合されることによって一体化されたものである。ワイヤーハーネス付きカーペット1は、自動車などの車両の室内側に設置されているロッカパネルなどの車体パネル9に取り付けられる。
【0025】
ワイヤーハーネス付きカーペット1は、ワイヤーハーネス2と、カーペット本体部3と、複数の保持片部4と、複数の取付部5とを備えている。
【0026】
カーペット本体部3は、図示を省略するが、車体パネル9の表面を覆う部材であって、車体パネル9に対応した形状を備えている。
【0027】
保持片部4は、基端側の部分がカーペット本体部3の縁部31に連結されている帯状部分であって、カーペット本体部3と一体とされている。複数の保持片部4は、カーペット本体部3に沿って配索されたワイヤーハーネス2に巻かれて、カーペット本体部3とともにワイヤーハーネス2を包んで保持する部分である。
【0028】
保持片部4には、保持片部4の基端側の部分から先端側の部分に向けて延びるスリット状の細隙孔41が形成されている。本実施形態では、細隙孔41は、帯状の保持片部4の長手方向に沿って一方向に延びている。この細隙孔41に、取付部5が差し込まれることによって、保持片部4がカーペット本体部3に取り付けられる。
【0029】
取付部5は、いわゆるブラッシュクリップであって、挿通部51と、頭部53と、挟持部材55とを備えている。取付部5は、樹脂製であってもよいし、あるいは、金属製であってもよい。挟持部材55は、挿通部51及び頭部53とは別部材とされている。
【0030】
挿通部51は、保持片部4及びカーペット本体部3を貫通する部分である。より詳細には、挿通部51は、保持片部4に形成された細隙孔41、カーペット本体部3に形成された貫通孔33に差し込まれる。挿通部51には、挿通部51の径方向外側に広がる複数の鍔部が、軸方向に沿って配されている。各鍔部の幅(挿通部51の軸方向に直交する方向の長さ)は、貫通孔33または細隙孔41の幅よりも若干大きくなっている。このため、挿通部51を貫通孔33または細隙孔41に挿通すると、貫通孔33または細隙孔41の裏側周縁部が鍔部に係止される。なお、この鍔部は可とう変形するように構成されていてもよい。これによって、挿通部51を、貫通孔33または細隙孔41に容易に挿通することができる。
【0031】
頭部53は、挿通部51の端部に設けられており、上面が緩やかに凸状に湾曲した傘形状を有している。
図1に示されるように、取付部5は、カーペット本体部3の表面F1の側から、カーペット本体部3の貫通孔33に差し込まれ、さらに、カーペット本体部3の裏面B1側に折り返されている保持片部4の細隙孔41に差し込まれる。これによって、カーペット本体部3の貫通孔33の表側周縁部が頭部53に係止される。
【0032】
挟持部材55は、挿通部51に取り付けられている。挟持部材55は、中央に孔が設けられた環状構造を有しており、当該孔に、挿通部51が挿通される。挟持部材55の中央に形成された孔の幅は、挿通部51の鍔部の幅よりも若干小さくなっている。このため、挟持部材55は、挿通部51の鍔部に係止される。挟持部材55は、頭部53との間でカーペット本体部3及び保持片部4を挟み込む。
【0033】
挟持部材55の頭部53に向く面には、先端の尖った尖状突起部551が複数設けられている。尖状突起部551は、挟持部材55が挿通部51に通された際に、カーペット本体部3側へ押されることによって保持片部4にめり込むことができる。これによって、頭部53・挟持部材55間で、カーペット本体部3及び保持片部4を強固に挟み込むことができる。これによって、車体パネル9に取付後のカーペット本体部3が足で踏まれたりした際に、カーペット本体部3または保持片部4の位置がずれることを抑制できる。
【0034】
また、
図1に示される様に、取付部5は、ワイヤーハーネス付きカーペット1を車体パネル9に取り付けるのに用いられる。詳細な図示は省略するが、車体パネル9に形成された取付孔91に挿通部51が差し込まれることによって、挿通部51の鍔部が取付孔91の裏面周縁部に係止され、ワイヤーハーネス付きカーペット1が車体パネル9に取り付けられる。
【0035】
次に、ワイヤーハーネス2をカーペット本体部3に固定する方法を詳細に説明する。まず、
図2に示されるように、ワイヤーハーネス2は、カーペット本体部3の裏面B1の側において、カーペット本体部3の縁部31に沿うように配置される。このワイヤーハーネス2に対して、複数の保持片部4が、カーペット本体部3側へ折り返されることによって、ワイヤーハーネス2に重ねられる。
【0036】
次に、保持片部4のワイヤーハーネス2を覆う部分よりも先端側の位置において、取付部5が細隙孔41に差し込まれる。さらに、該取付部5が、カーペット本体部3の貫通孔33に差し込まれる。そして、
図3に示されるように、挟持部材55が挿通部51に取り付けられることによって、ワイヤーハーネス2がカーペット本体部3に対して固定される。
【0037】
なお、本実施形態では、貫通孔33が、縁部31に沿う方向に関して、帯状の保持片部4の基端部(付け根部分)と同位置に設けられている。換言すると、貫通孔33は、保持片部4の基端部と、縁部31に沿う方向に直交する方向に隣接している。本実施形態では、保持片部4は、縁部31に沿う方向に直交する方向に延びているため、保持片部4の先端側の部分を折り返す方向は、保持片部4の長手方向と一致している。
【0038】
なお、貫通孔33を、縁部31に沿う方向に関して、保持片部4の基端部とは異なる位置に設けてもよい。この場合において、保持片部4がカーペット本体部3から延びる方向を、貫通孔33の保持片部4の基端部に対するずれに合わせて傾けてもよい。これによって、保持片部4を折り返して取付部5で固定した際に、保持片部4に捩れが生じることを抑制できる。
【0039】
本実施形態に係るワイヤーハーネス付きカーペット1によると、カーペット本体部3にワイヤーハーネス2が予め取り付けられている。このため、車両メーカーは、車体パネル9に、取付部5を差し込むだけで、カーペット本体部3及びワイヤーハーネス2を取り付けることができる。これによって、作業工程数を減らすことができるため、製造コストを低減することができる。また、同一の取付部5の挿通部51によって、ワイヤーハーネス2及びカーペット本体部3を車体パネル9に固定することができる。したがって、ワイヤーハーネス2及びカーペット本体部3を車体パネル9に固定する部品の加工コストを抑えることができる。
【0040】
また、車体パネル9に、ワイヤーハーネス2及びカーペット本体部3をそれぞれ個別に取り付ける場合、それぞれの取付部品のための孔を、車体パネル9に設ける必要がある。これに対して、本実施形態では、ワイヤーハーネス2及びカーペット本体部3を車体パネル9に固定する際、取付部5を挿通するための取付孔91は1つで済む。すなわち、車体パネル9の加工費用を抑えることができる。
【0041】
また、本実施形態では、カーペット本体部3の表面F1の側から裏面B1の側に向けて、取付部5の挿通部51が挿通され、表面F1の側には頭部53のみが露出することになる。このため、車両パネル9に取り付けられたカーペット本体部3に足で踏まれるなどの衝撃が加わったとしても、挿通部51が車室側に出てくることが抑制されるため、カーペット本体部3が破損することが抑制される。
【0042】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、1つの保持片部4に、1つの細隙孔41が形成されている。しかしながら、1つの保持片部4に、複数の貫通孔が形成されていてもよい。例えば、保持片部4の長手方向に沿って並ぶように複数の貫通孔を設けておけば、該複数の貫通孔のうち、ワイヤーハーネス2の太さに適した貫通孔に取付部5を挿入することで、太さの異なるワイヤーハーネスに対応することができる。
【0044】
また、上記実施形態では、保持片部4は帯状とされているが、保持片部4の形状はこのようなものに限定されない。例えば、保持片部4が、カーペット本体部3の縁部31に沿って長尺状となるように形成されていてもよい。このような長尺状の保持片部に、細隙孔41と同様の細隙孔を縁部31に沿って複数設けて、全部または一部の細隙孔に取付部5を挿通させてもよい。これによって、長尺状の保持片部を複数箇所で固定することができるため、ワイヤーハーネス2を適切に保持することができる。
【0045】
また、保持片部4は、カーペット本体部3と一体的に設けられているものとするが、別体であってもよい。例えば、保持片部4を別体とした場合、該保持片部4の基端側の部分にも挿通部51を貫通させることで、保持片部4の基端側の部分をカーペット本体部3に連結されるようにしてよい。ただし、上記実施形態のように、保持片部4をカーペット本体部3と一体に形成しておく方が、保持片部4の基端側の部分をカーペット本体部3に連結させる作業を省略できるという点で有利である。
【0046】
また、本実施形態では、保持片部4がカーペット本体部3の縁部31に設けられている。しかしながら、保持片部4カーペット本体部3の縁部31以外の位置に設けることも考えられる。例えば、保持片部4をカーペット本体部3とは別部材とすることで、カーペット本体部3の任意の位置に保持片部4を取り付けることが可能である。
【0047】
また、上記実施形態では、取付部5の挿通部51に挟持部材55を取り付けることによって、頭部53・挟持部材55間でカーペット本体部3及び保持片部4を挟持するようにしている。しかしながら、例えば、挿通部51に設けられた複数の鍔部によって、保持片部4を係止することが可能であれば、挟持部材55を省略することも可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、カーペット本体部3及び保持片部4に、取付部5の挿通部51を挿通するための孔(貫通孔33及び細隙孔41)が形成されている。しかしながら、孔を形成する代わりに、例えば、カーペット本体部3または保持片部4に切り込みを設け、この切り込みに取付部5を挿通することも考えられる。また、孔を形成する代わりに、挿通部51の先端部を鋭利にして、該先端部をカーペット本体部3及び保持片部4に突き刺して貫通させることも考えられる。この場合、保持片部4をカーペット本体部3に対して任意の位置に固定することができる。
【0049】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0050】
1 ワイヤーハーネス付きカーペット
2 ワイヤーハーネス
3 カーペット本体部
31 縁部
33 貫通孔
4 保持片部
41 細隙孔
5 取付部
51 挿通部
53 頭部
55 挟持部材
551 尖状突起部
9 車体パネル
91 孔
B1 裏面
F1 表面