【文献】
R.B. KALE et al.,Synthesis of stoichiometric flowerlike ZnO nanorods with hundred per cent morphological yield,Solid State Communications,英国,2007年 5月,Vol.142, No.5,p.302-305
【文献】
Tapas K. CHAUDHURI et al.,Microwave-Assisted Chemical Bath Deposition of Nanostructured ZnO Particles ,Journal of Nanoscience and Nanotechnology,米国,2009年 9月,Vol.9, No.9,p.5578-5585
【文献】
Jean-Franc-ois HOCHEPIED et al.,Zinc oxide pompom-like particles from temperature-drivenammonia decomplexation,J. Cryst. Growth,ND,2005年 9月15日,Vol.283, No.1-2,p.156-162
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
酢酸亜鉛とアンモニア水を混合して水酸化亜鉛を得る工程(1)と、工程(1)により得られた水酸化亜鉛をアンモニア水に溶解する工程(2)と、工程(2)により得られた亜鉛アンミン錯体水溶液を瞬間的に90℃以上に加熱した水または90℃以上に加熱した親水性溶媒に亜鉛アンミン錯体水溶液を添加して熱分解する工程(3)を有することを特徴とする放射状酸化亜鉛粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の放射状酸化亜鉛粒子は、
図14に示したように、粒子の中心に位置する六角柱部分とその周りに放射状に成長した部分とで構成された放射状酸化亜鉛粒子である。従来、このような形状に着目した放射状酸化亜鉛粒子はなかった。本発明は、特徴的な放射状形状に由来する優れた熱伝導性、使用感等を示す酸化亜鉛粒子を提供するものである。
【0014】
本発明の放射状酸化亜鉛粒子は、平均粒子径が1〜100μmであることが好ましい。本発明において、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5600、日本電子社製)写真の1000〜5000倍の視野での定方向径(粒子を挟む一定方向の二本の平行線の間隔;画像上のどのような形状の粒子についても、一定方向で測定した)で定義される粒子径(μm)であって、SEM写真内の粒子100個の定方向径を計測し、その累積分布の平均値を求めたものである。上記範囲内の粒子径のものとすることは、放熱材料として用いた場合に熱伝導率を充分に高めることができ、また、化粧料として肌に塗布した場合には滑らかな感触を得ることができるという観点から好ましいものである。
【0015】
本発明の放射状酸化亜鉛粒子は、X線回折装置により測定した酸化亜鉛の板状方向;(002)面の強度と酸化亜鉛の柱状方向;(100)面の強度の比;I(002)/I(100)が0.4〜1.0であることが好ましい。このようなパラメータは、酸化亜鉛粒子の板状方向あるいは柱状方向への配向性の程度を表わすものである。よって、この値が0.4〜1.0であることは、一定方向に配向しやすい酸化亜鉛粒子ではなく、どの向きに対しても等価に存在する酸化亜鉛粒子であることを意味する。このような酸化亜鉛粒子の中でも、特に本発明のような放射状酸化亜鉛粒子においては、例えば樹脂と混練して成型体を作成した場合、その成型体の内部で最小限の占有体積にて粒子同士が連結することになる。このように最小限の占有体積で粒子同士が連結することによって、球状、棒状、針状、板状等の形状を有する酸化亜鉛粒子よりも少ない配合量でも熱伝導のパーコレーションを形成し、より効率的に熱伝導を高めることができるという点において特に好ましいものである。
【0016】
上記I(002)/I(100)は、銅管球をもつX線回折装置UltimaIII(リガク社製)により分析した結果を示したものである。六方晶ウルツ型酸化亜鉛粒子のX線回折パターンにおける酸化亜鉛の(002)面の強度;I(002)の値を、酸化亜鉛の(100)面の強度;I(100)の値で除した値である。
【0017】
本発明の放射状酸化亜鉛粒子の製造方法としては特に限定されないが、例えば、酢酸亜鉛とアンモニア水を混合して水酸化亜鉛を得る工程(1)と、工程(1)により得られた水酸化亜鉛をアンモニア水に溶解する工程(2)と、工程(2)により得られた亜鉛アンミン錯体水溶液を瞬間的に90℃以上で熱分解する工程(3)を有する方法等を挙げることができる。このような工程によって、簡便に放射状酸化亜鉛粒子を得ることができる。このような放射状酸化亜鉛粒子の製造方法も本発明の一つである。
【0018】
本発明の放射状酸化亜鉛粒子の製造方法における工程(1)は、酢酸亜鉛とアンモニア水を混合して水酸化亜鉛を得る工程である。このような水酸化亜鉛の製造方法は当業者に公知の任意の方法によっても行うことができるが、例えば、酢酸亜鉛水溶液とアンモニア水とを混合する方法等を挙げることができる。反応温度は、5〜100℃で行うことができ、反応時間は0.5〜12時間で行うことができる。酢酸亜鉛とアンモニア水とを混合すると、水酸化亜鉛は水に不溶の沈殿として析出する。
【0019】
本発明においては、亜鉛源となる原料として酢酸亜鉛を使用するものである。これによって、本発明の酸化亜鉛粒子の前駆体となる斜方晶単相のε−水酸化亜鉛の粒子が得られ、水酸化亜鉛純度の高いε−水酸化亜鉛粒子が選択的に得られるという点で好ましい結果が得られる。
【0020】
上記工程(1)において、酢酸亜鉛水溶液を使用する場合の濃度は、0.1〜2mol/lであることが好ましく、0.3〜1.5mol/lであることが更に好ましい。アンモニア水の濃度としては特に限定されないが、0.1〜16mol/lであることが好ましく、0.5〜10mol/lであることが更に好ましい。上記工程(1)においては、酢酸亜鉛に対し当量以上のアンモニアを混合して反応させることが好ましい。
【0021】
得られた水酸化亜鉛は、水中に沈澱又は分散した状態で途中で反応を停止させることなくそのままアンモニア水を添加し続けることで工程(2)を行ってもよいし、工程(1)において略当量のアンモニア水を添加した後、必要に応じて濃縮、希釈等の処理を行った後で工程(2)に供してもよい。
【0022】
また、上記工程(1)によって得られた水酸化亜鉛は、濾過・水洗を行うことによって、不純物の除去を行った後に工程(2)に供してもよい。このようにすることで、工程(1)によって生じた不純物が得られた酸化亜鉛粒子中に残存することを抑制することができ、焼成工程を経ることなく、酸化亜鉛純度が高い放射状酸化亜鉛粒子を得ることができる点でより好ましい。上記濾過・水洗を行う方法は特に限定されず、通常の方法によって行うことができる。
【0023】
工程(2)は、上記工程(1)によって得られた水酸化亜鉛を、アンモニア水に溶解することによって、亜鉛アンミン錯体水溶液を得る工程である。水酸化亜鉛に更に、アンモニア水を添加すると、[Zn(NH
3)
42+]の一般式で表わされるテトラアンミン亜鉛イオン(すなわち、亜鉛アンミン錯体)の水溶液が得られる。
【0024】
このような工程(2)の反応は、例えば、水分を除去した水酸化亜鉛又は0.001〜500g/lの濃度で水中に分散させた水酸化亜鉛に対してアンモニア水を添加する方法によっても行うことができる。このような工程によって、水に不溶であった水酸化亜鉛が水に溶解し、[Zn(NH
3)
42+]が形成される。
【0025】
このような反応に際しては、5〜50℃において、0.1〜12時間攪拌することによって行うことができる。使用するアンモニア水の濃度は、0.1〜16mol/lであることが好ましく、0.5〜10mol/lであることが更に好ましい。また、アンモニアの添加量は、亜鉛量に対してモル数として5倍以上となる量であることが好ましい。
【0026】
上記工程(2)を行った後、必要に応じて希釈、濃縮等を行うことによって、亜鉛アンミン錯体の濃度を調整してもよい。また、限外濾過等の方法で系内に存在する不純物を除去する等してもよい。
【0027】
上記工程(3)は、上記工程(2)によって得られた亜鉛アンミン錯体[Zn(NH
3)
42+]を熱分解して、酸化亜鉛粒子を得る工程である。特許文献1等に記載されたテトラヒドロキシ亜鉛イオン[Zn(OH)
42-]からの酸化亜鉛の製造は、基材上にテトラヒドロキシ亜鉛イオン溶液を塗布して基材表面に酸化亜鉛を析出させるものであるが、このような方法は薄膜状の酸化亜鉛しか形成させることができない。更に、特許文献2、3に記載されたような放射状酸化亜鉛の製造方法は、亜鉛アンミン錯体からの熱分解によって酸化亜鉛粒子を得るものではないため、得られた酸化亜鉛粒子は本発明の方法によって得られた放射状酸化亜鉛粒子とは異なるものである。
【0028】
これらの従来の製造方法に比べて、本発明の放射状酸化亜鉛粒子の製造方法は、安価な原料を使用していることなどの点で好ましいものである。
【0029】
上記工程(3)においては、亜鉛アンミン錯体の濃度は水酸化亜鉛に換算した場合に0.1〜2mol/lであることが好ましく、0.2〜1mol/lであることが更に好ましい。
【0030】
また、上記工程(3)は、亜鉛アンミン錯体を瞬間的に90℃以上で熱分解する工程である。瞬間的に熱分解を進行させることにより、特徴的な形状を有する本発明の放射状酸化亜鉛粒子を選択的に得ることができる。また、熱分解温度を90℃以上とすることで、速やかに熱分解が進行し、目的とする放射状酸化亜鉛粒子を均一な状態で安定して得ることができる。瞬間的に熱分解するとは、1秒から10分という短い時間で亜鉛アンミン錯体の熱による分解を進行させることを指し、例えば、90℃以上に加熱した水、または90℃以上に加熱したエチレングリコール等の親水性溶媒に上記亜鉛アンミン錯体水溶液を添加する方法等を挙げることができる。このような方法においては、添加する亜鉛アンミン錯体水溶液の体積に対して2倍以上の体積の加熱した水、または添加する亜鉛アンミン錯体水溶液の体積に対して2倍以上の体積の加熱したエチレングリコール等の親水性溶媒に添加することで、溶液の温度低下を殆ど生じることなく、効率よく熱分解を行うことができる点で好ましい。
【0031】
これらの亜鉛アンミン錯体濃度、添加時間、熱分解温度等を調整することによって、得られる放射状酸化亜鉛粒子の粒子径、粒子形状等をコントロールすることができる。
【0032】
本発明は上述した工程(1)〜(3)からなる放射状酸化亜鉛粒子の製造方法によって得られた放射状酸化亜鉛粒子でもある。このような放射状酸化亜鉛粒子は、上述の物性を有することが好ましい。
【0033】
本発明の放射状酸化亜鉛粒子を放熱性フィラーとして使用する場合、単独で使用するものであっても、粒子径が異なる放熱性フィラーと組み合わせて使用するものであってもよい。組み合わせて使用することができる放熱性フィラーとしては特に限定されず、例えば、他の形状を有する酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属シリコン、ダイヤモンド等を挙げることができる。
【0034】
本発明の放射状酸化亜鉛粒子は、より粒子径が小さい酸化亜鉛粒子及び他の放熱性フィラーと組み合わせて使用することで、より優れた放熱性能を得ることができる。組み合わせて使用する粒子径が小さい酸化亜鉛粒子は、球状、針状、棒状、板状等の形状を有するものであることが好ましい。
【0035】
上記放射状酸化亜鉛粒子を放熱性フィラーとして使用する場合、樹脂と混合した放熱性樹脂組成物として使用することができる。この場合、使用する樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良く、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、液晶樹脂(LCP)、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を挙げることができる。
【0036】
本発明の放熱性樹脂組成物は、(a)熱可塑性樹脂と上記放射状酸化亜鉛粒子とを溶融状態で混練することによって得られた熱成型用の樹脂組成物、(b)熱硬化性樹脂と上記放射状酸化亜鉛粒子とを混練後、加熱硬化させることによって得られた樹脂組成物、(c)樹脂溶液又は分散液中に上記放射状酸化亜鉛粒子を分散させた塗料用の樹脂組成物であっても良い。
【0037】
本発明の放熱性樹脂組成物中の上記放射状酸化亜鉛粒子の配合量は、目的とする放熱性能や樹脂組成物の硬度等、樹脂組成物の性能に合わせて任意に決定することができる。上記放射状酸化亜鉛粒子の放熱性能を十分に発現させるためには、樹脂組成物中の固形分全量に対して10体積%以上、より好ましくは20体積%以上の放射状酸化亜鉛粒子を含有することが好ましい。
【0038】
本発明の放熱性樹脂組成物が熱成型用の樹脂組成物である場合、用途によって樹脂成分を自由に選択することができる。例えば、熱源と放熱板に接着し密着させる場合には、シリコーン樹脂やアクリル樹脂のような接着性が高く硬度の低い樹脂を選択すれば良い。
【0039】
本発明の放熱性樹脂組成物が塗料用の樹脂組成物である場合、樹脂は硬化性を有するものであっても、硬化性を有さないものであっても良い。塗料は、有機溶媒を含有する溶剤系のものであっても、水中に樹脂が溶解又は分散した水系のものであっても良い。このような放熱性塗料組成物も本発明の一つである。
【0040】
上記放射状酸化亜鉛粒子を放熱性フィラーとして使用する場合、鉱油又は合成油を含有する基油と混合した放熱性グリースとして使用することもできる。このような放熱性グリースとして使用する場合は、合成油としてα−オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、トリメリット酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル等が使用できる。また、シリコーンオイルと混合した放熱性グリースとして使用することもできる。
【0041】
上記放射状酸化亜鉛粒子は、化粧料の原料として使用してもよい。上記放射状酸化亜鉛粒子は、滑りが良く感触が滑らかであるため、使用感に優れた化粧料を得ることができる。上記化粧料としては、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ、頬紅、マスカラ、口紅、サンスクリーン剤等を挙げることができる。本発明の化粧料は、油性化粧料、水性化粧料、O/W型化粧料、W/O型化粧料の任意の形態とすることができる。なかでも、ファンデーションにおいて特に好適に使用することができる。
【0042】
本発明の化粧料は、上記混合物を構成する成分以外に、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線遮蔽剤、各種抽出液、無機及び有機顔料、無機及び有機粘土鉱物、金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等の成分を含有するものであってもよい。具体的には、以下に列挙した配合成分の1種又は2種以上を任意に配合して常法により目的の化粧料を製造することが可能である。これらの配合成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0043】
上記油分としては特に限定されず、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等を挙げることができる。
【0044】
上記親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0045】
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。
【0046】
その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、及び、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤を安定性及び皮膚刺激性に問題のない範囲で配合してもよい。
【0047】
上記保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イサイヨバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0048】
上記高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等を挙げることができる。
【0049】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1− ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を挙げることができる。
【0050】
上記天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
【0051】
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等を挙げることができる。
【0052】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等を挙げることができる。
【0053】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等を挙げることができる。
【0054】
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等を挙げることができる。
【0055】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アルコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等を挙げることができる。
【0056】
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグルマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等を挙げることができる
【0057】
上記各種粉体としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等を挙げることができる。好ましくは、官能特性向上、化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理して使用される。また、本発明に該当しない他の酸化亜鉛粒子を混合して使用するものであってもよい。
【0058】
本発明の放射状酸化亜鉛粒子は、上述した化粧料や放熱性フィラーの他に、ゴムの加硫促進剤、塗料・インキ用顔料、フェライトやバリスタ等の電子部品、医薬品等の分野においても使用することができる。
【実施例】
【0059】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業社製)110.86gを水に溶解して酢酸亜鉛二水和物としての濃度が1.0mol/lとなる酢酸亜鉛水溶液500mlを調製した。続いて、アンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)163.75gを水で希釈してアンモニアの濃度が1.0mol/lとなるアンモニア水溶液2500mlを調製した。続いて、上記アンモニア水溶液中に上記酢酸亜鉛水溶液を添加し、攪拌しながら25℃で2時間反応した。反応後、ろ過、水洗、乾燥することにより白色粉末を得た。得られた粒子のサイズ・形態を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5600、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を
図1に示した。また、得られた粒子の組成をX線回折装置UltimaIII(リガク社製)で分析した。得られた粒子のX線回折のスペクトルを
図2に示した。分析の結果、得られた粉末は斜方晶系のε−水酸化亜鉛粒子であることがわかった。続いて、得られたε−水酸化亜鉛粒子をアンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)に溶解し、水酸化亜鉛としての濃度が0.32mol/lとなる亜鉛アンミン錯体水溶液を調製した。続いて、容積1リットルのフラスコに水500mlを入れて密封し、還流、攪拌しながら100℃に加熱した後、上記亜鉛アンミン錯体水溶液100mlを上記の100℃に加熱した水中に10秒間で添加することで瞬間的に熱分解し、還流、攪拌しながら5分間熟成した。熟成後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、平均粒子径が3.4μmの放射状酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5600、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を
図3に示した。また、より高倍率で観察した電子顕微鏡写真を
図4に示した。また、得られた粒子の組成をX線回折装置UltimaIII(リガク社製)で分析した。得られた粒子のX線回折のスペクトルを
図5に示した。これらの分析の結果から、得られた粒子は粒子の中心に位置する六角柱部分とその周りに放射状に成長した部分とで構成された放射状酸化亜鉛粒子であることがわかった。また、得られた粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0061】
(実施例2)
酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業社製)110.86gを水に溶解して酢酸亜鉛二水和物としての濃度が1.0mol/lとなる酢酸亜鉛水溶液500mlを調製した。続いて、アンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)163.75gを水で希釈してアンモニアの濃度が1.0mol/lとなるアンモニア水溶液2500mlを調製した。続いて、上記アンモニア水溶液中に上記酢酸亜鉛水溶液を添加し、攪拌しながら25℃で2時間反応した。反応後、ろ過、水洗、乾燥することにより斜方晶系のε−水酸化亜鉛粒子を得た。続いて、得られたε−水酸化亜鉛粒子をアンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)に溶解し、水酸化亜鉛としての濃度が0.32mol/lとなる亜鉛アンミン錯体水溶液を調製した。続いて、容積1リットルのフラスコに水500mlを入れ、還流、攪拌しながら100℃に加熱した後、上記亜鉛アンミン錯体水溶液100mlを上記の100℃に加熱した水中に10秒間で添加することで瞬間的に熱分解し、還流、攪拌しながら0.1分間熟成した。熟成後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、平均粒子径が2.0μmの放射状酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5600、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を
図6に示した。また、より高倍率で観察した電子顕微鏡写真を
図7に示した。また、得られた粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0062】
(実施例3)
酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業社製)110.86gを水に溶解して酢酸亜鉛二水和物としての濃度が1.0mol/lとなる酢酸亜鉛水溶液500mlを調製した。続いて、アンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)163.75gを水で希釈してアンモニアの濃度が1.0mol/lとなるアンモニア水溶液2500mlを調製した。続いて、上記アンモニア水溶液中に上記酢酸亜鉛水溶液を添加し、攪拌しながら25℃で2時間反応した。反応後、ろ過、水洗、乾燥することにより斜方晶系のε−水酸化亜鉛粒子を得た。続いて、得られたε−水酸化亜鉛粒子をアンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)に溶解し、水酸化亜鉛としての濃度が0.32mol/lとなる亜鉛アンミン錯体水溶液を調製した。続いて、容積1リットルのフラスコに水500mlを入れ、還流、攪拌しながら100℃に加熱した後、上記亜鉛アンミン錯体水溶液100mlを上記の100℃に加熱した水中に10秒間で添加することで瞬間的に熱分解し、還流、攪拌しながら10分間熟成した。熟成後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、平均粒子径が5.0μmの放射状酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5600、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を
図8に示した。また、より高倍率で観察した電子顕微鏡写真を
図9に示した。また、得られた粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0063】
(比較例1)
酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業社製)110.86gを水に溶解して酢酸亜鉛二水和物としての濃度が1.0mol/lとなる酢酸亜鉛水溶液500mlを調製した。続いて、アンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)163.75gを水で希釈してアンモニアの濃度が1.0mol/lとなるアンモニア水溶液2500mlを調製した。続いて、上記アンモニア水溶液中に上記酢酸亜鉛水溶液を添加し、攪拌しながら25℃で2時間反応した。反応後、ろ過、水洗、乾燥することにより斜方晶系のε−水酸化亜鉛粒子を得た。続いて、得られたε−水酸化亜鉛粒子をアンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)に溶解し、水酸化亜鉛としての濃度が0.32mol/lとなる亜鉛アンミン錯体水溶液を調製した。続いて、容積1リットルのフラスコに上記アンミン錯体水溶液250mlを入れ、還流、攪拌しながら60分で100℃に昇温した後、100℃で180分間熟成した。熟成後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、平均粒子径が8.3μmの酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5600、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を
図10に示した。また、得られた粒子の組成をX線回折装置UltimaIII(リガク社製)で分析した。得られた粒子のX線回折のスペクトルを
図11に示した。電子顕微鏡写真から、得られた粒子は粒子が放射状に成長しているものの、粒子の中心に六角柱構造が形成されておらず、また、形状・サイズが不均一であることがわかった。また、X線回折のスペクトルから、不純物が混ざった酸化亜鉛の状態であり、かつ酸化亜鉛の板状面;(002)面のピーク強度;I(002)が大きく検出されI(002)/I(100)の値が大きくなっていることから、板状面方向への配向が生じていることがわかった。また、得られた粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0064】
(比較例2)
酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業社製)110.86gを水に溶解して酢酸亜鉛二水和物としての濃度が1.0mol/lとなる酢酸亜鉛水溶液500mlを調製した。続いて、アンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)163.75gを水で希釈してアンモニアの濃度が1.0mol/lとなるアンモニア水溶液2500mlを調製した。続いて、上記アンモニア水溶液中に上記酢酸亜鉛水溶液を添加し、攪拌しながら25℃で2時間反応した。反応後、ろ過、水洗、乾燥することにより斜方晶系のε−水酸化亜鉛粒子を得た。続いて、得られたε−水酸化亜鉛粒子をアンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)に溶解し、水酸化亜鉛としての濃度が0.32mol/lとなる亜鉛アンミン錯体水溶液を調製した。続いて、容積1リットルのフラスコに上記アンミン錯体水溶液250mlを入れ、還流、攪拌しながら36分で60℃に昇温した後、60℃で180分間熟成した。熟成後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、平均粒子径が27.6μmの粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5600、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を
図12に示した。また、得られた粒子の組をX線回折装置UltimaIII(リガク社製)で分析した。得られた粒子のX線回折のスペクトルを
図13に示した。電子顕微鏡写真から、得られた粒子は形状・サイズが不均一であることがわかった。また、X線回折のスペクトルから、前駆体であるε−水酸化亜鉛が残留している状態となっており、反応が充分に進行していないことがわかった。また、得られた粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0065】
(比較例3)
酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業社製)110.86gを水に溶解して酢酸亜鉛二水和物としての濃度が1.0mol/lとなる酢酸亜鉛水溶液500mlを調製した。続いて、アンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)163.75gを水で希釈してアンモニアの濃度が1.0mol/lとなるアンモニア水溶液2500mlを調製した。続いて、上記アンモニア水溶液中に上記酢酸亜鉛水溶液を添加し、攪拌しながら25℃で2時間反応した。反応後、ろ過、水洗、乾燥することにより斜方晶系のε−水酸化亜鉛粒子を得た。続いて、得られたε−水酸化亜鉛粒子をアンモニア水(和光純薬工業社製、アンモニア含有量:25.0〜27.9重量%)に溶解し、水酸化亜鉛としての濃度が0.32mol/lとなる亜鉛アンミン錯体水溶液を調製した。続いて、容積1リットルのフラスコに水500mlを入れ、還流、攪拌しながら75℃に加熱した後、上記亜鉛アンミン錯体水溶液100mlを上記の75℃に加熱した水中に10秒間で添加し、還流、攪拌しながら5分間熟成した。しかし、液中において結晶が析出することはなく、生成物を得ることはできなかった。
【0066】
【表1】
【0067】
(X線回折のスペクトル、得られた粒子の組成)
図2、
図5、
図11、
図13に示すX線回折のスペクトル、及び表1における得られた粒子の組成は、銅管球をもつX線回折装置UltimaIII(リガク社製)により分析した結果を示したものである。これらの結果から、実施例のものについては酸化亜鉛が得られていることが明らかである。
図11から比較例1の酸化亜鉛粒子は不純物が混ざった状態であり、かつ酸化亜鉛の板状面;(002)面のピーク強度;I(002)が大きく検出されI(002)/I(100)の値が大きくなっていることから、板状面方向への配向が生じていることが明らかである。また、
図13から、比較例2の酸化亜鉛粒子は、前駆体であるε−水酸化亜鉛が残留している状態となっており、熱分解が充分に進行していないことが明らかである。
【0068】
(平均摩擦係数)
表1の平均摩擦係数は、上記実施例、比較例で得られる酸化亜鉛粒子をKES−SE摩擦感テスター(カトーテック社製)で測定した値である。センサーとしては、シリコーン接触子(人間の指を想定した凹凸が施されたシリコーンゴム製の摩擦子)を用いた。平均摩擦係数の値が小さい程、滑りが良く感触が滑らかであることを意味する。
【0069】
図4、7及び9より、本発明の放射状酸化亜鉛粒子は、粒子の中心に位置する六角柱部分とその周りに放射状に成長した部分とで構成された形状を有することがわかった。また、平均摩擦係数が小さいことから、感触が滑らかな酸化亜鉛粒子であることも示された。