特許第5954370号(P5954370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954370
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】機器管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20160707BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20160707BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   H02J13/00 301A
   H02J3/00
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-156194(P2014-156194)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33732(P2016-33732A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2015年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 奈々恵
【審査官】 山本 雅士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−176276(JP,A)
【文献】 特開2008−077345(JP,A)
【文献】 特開2013−118727(JP,A)
【文献】 特開2013−038958(JP,A)
【文献】 特開2014−021555(JP,A)
【文献】 特開2000−092705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
H02J 3/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーの供給を受けてエネルギーを消費する少なくとも一つの設備機器の管理を行う機器管理装置であって、
前記少なくとも一つの設備機器の第1特定日のエネルギー消費量の実績値を、前記第1特定日の時間帯に関連付けて記憶する実績記憶部(35a)と、
前記少なくとも一つの設備機器についてのエネルギー調整制御の要求に関する情報及び/又はエネルギー価格に関する情報に基づくエネルギー調整制御が、前記第1特定日の各時間帯において行われたか否かを示す調整制御実施有無情報を記憶する調整制御実施有無記憶部(35b)と、
前記調整制御実施有無記憶部に記憶されている前記調整制御実施有無情報によって特定されるエネルギー調整制御が行われた時間帯又は当該時間帯から定められるエネルギー調整制御の影響を考慮すべき調整制御影響期間について、エネルギー調整制御が行われなかったとしたときの前記少なくとも一つの設備機器のエネルギー消費量の仮想値を前記第1特定日の実績値に関する情報を使って演算する仮想値演算部(36a)と、
前記実績記憶部に記憶されている前記少なくとも一つの設備機器の実績値と前記仮想値演算部が演算した前記少なくとも一つの設備機器の仮想値とを用いてエネルギー調整制御が行なわれなかったとしたときの第2特定日のベースラインを決めるベースライン決定部(36b)と
を備え、
前記少なくとも一つの設備機器は、第1設備機器(20b)を含み、
前記ベースライン決定部は、前記第2特定日のベースラインを決定するのに、エネルギー調整制御が行われた時間帯に前記第1設備機器の仮想値を使い、エネルギー調整制御が行われなかった時間帯に前記第1設備機器の実績値を使った前記第1特定日のデータを用いる、機器管理装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの設備機器は、第2設備機器(20a)を含み、
前記ベースライン決定部は、前記第2特定日のベースラインを決定するのに、エネルギー調整制御が行われた時間帯及びそれに続く回復期間の時間帯に前記第2設備機器の仮想値を使い、エネルギー調整制御が行われなかった時間帯のうち前記回復期間以外の前記第2設備機器の実績値を使った前記第1特定日のデータを用いる、
請求項1に記載の機器管理装置。
【請求項3】
エネルギーの供給を受けてエネルギーを消費する少なくとも一つの設備機器の管理を行う機器管理装置であって、
前記少なくとも一つの設備機器の第1特定日のエネルギー消費量の実績値を、前記第1特定日の時間帯に関連付けて記憶する実績記憶部(35a)と、
前記少なくとも一つの設備機器についてのエネルギー調整制御の要求に関する情報及び/又はエネルギー価格に関する情報に基づくエネルギー調整制御が、前記第1特定日の各時間帯において行われたか否かを示す調整制御実施有無情報を記憶する調整制御実施有無記憶部(35b)と、
前記調整制御実施有無記憶部に記憶されている前記調整制御実施有無情報によって特定されるエネルギー調整制御が行われた時間帯又は当該時間帯から定められるエネルギー調整制御の影響を考慮すべき調整制御影響期間について、エネルギー調整制御が行われなかったとしたときの前記少なくとも一つの設備機器のエネルギー消費量の仮想値を前記第1特定日の実績値に関する情報を使って演算する仮想値演算部(36a)と、
前記実績記憶部に記憶されている前記少なくとも一つの設備機器の実績値と前記仮想値演算部が演算した前記少なくとも一つの設備機器の仮想値とを用いてエネルギー調整制御が行なわれなかったとしたときの第2特定日のベースラインを決めるベースライン決定部(36b)と
を備え、
前記少なくとも一つの設備機器は、第2設備機器(20a)を含み、
前記ベースライン決定部は、前記第2特定日のベースラインを決定するのに、エネルギー調整制御が行われた時間帯及びそれに続く回復期間の時間帯に前記第2設備機器の仮想値を使い、エネルギー調整制御が行われなかった時間帯のうち前記回復期間以外の前記第2設備機器の実績値を使った前記第1特定日のデータを用いる機器管理装置。
【請求項4】
前記仮想値演算部は、前記第1特定日の実績値に関する情報を使った仮想値の演算として、エネルギー調整制御が行われた時間帯の前の時間帯の実績値を用いた補完を行なう、
請求項1から3のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項5】
前記仮想値演算部は、前記第1特定日の実績値に関する情報を使った仮想値の演算として、エネルギー調整制御が行われた時間帯の後の時間帯の実績値を用いた補完を行なう、
請求項1から4のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項6】
前記仮想値演算部は、予め準備した回帰式に前記第1特定日のパラメータを入力して仮想値を演算する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【請求項7】
前記仮想値演算部は、前記第1特定日の実績値に関する情報を使った仮想値の演算として、前記第1特定日のパラメータを入力して前記第1特定日のパラメータと類似のパラメータを持つ過去の実績値を仮想値とする抽出を行なう、
請求項1から6のいずれか一項に記載の機器管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器管理装置、特に、電気エネルギーなどのエネルギーの供給を受けてエネルギーを消費する少なくとも一つの設備機器の管理を行う機器管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界の様々な地域で、電力供給システムは、「垂直統合型」から、発電、送電、配電及び小売を分担する形態である「構造分離型」への転換が図られ、電力市場の自由化が進む傾向が見られる。このような「構造分離型」の電力供給システムでは、特に、電力の安定供給を要求される「送電系統運用会社」が、系統の需給調整(バランシング)のために、短期的な電力消費量の変化や発電所の事故や再生可能エネルギーの発電減少などに備えて電力供給能力の予備力を確保することが必要になる。そのために、「送電系統運用会社」などによってバランシング市場(実需給の前から開始される電力取引市場)が設けられ、バランシングのためにエネルギー消費を実際に削減したときのエネルギー量に対する金銭価値だけでなく、「送電系統運用会社」からの要請に応じて削減をコントロールするエネルギーコントロール能力(予備力)に対する金銭価値も生まれている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2013−230051号公報)に記載されているように、削減した電力や予備力に対して対価を支払うためには、特許文献1でネガワット基準値と呼ばれている、削減しなかった場合の使用電力(ベースライン電力)を適正に予測することが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載されているようにベースライン電力に過去の実績値を使用する場合、過去の実績値にデマンドレスポンス制御の影響が含まれていると適正なベースライン電力とみなすことができない。従って、デマンドレスポンス制御が行なわれたときの実績値を除いた上でベースライン電力を算出することが考えられるが、デマンドレスポンス制御が頻発している季節には母数として必要な数の実績値を確保するのが難しくなる。また、必要母数が揃うまで過去に遡ろうとすると、季節変化の影響を大きく受けるくらい過去に遡る可能性も考えられる。設備機器が空気調和装置などの気候変化の影響を受けるものである場合に、季節変化の影響を大きく受けるほど過去に遡ってベースライン電力算出のための実績値を確保する可能性があったのでは、推定されるベースラインが大きな気候変化の影響を受けているとの疑いを招くことになり、適性を欠くものではないかと疑われることになりかねない。
【0005】
そこで、本発明の課題は、エネルギーの取引市場で用いることのできる、信頼性の高いベースラインの得られる機器管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る機器管理装置は、エネルギーの供給を受けてエネルギーを消費する少なくとも一つの設備機器の管理を行う機器管理装置であって、少なくとも一つの設備機器の第1特定日のエネルギー消費量の実績値を、第1特定日の時間帯に関連付けて記憶する実績記憶部と、少なくとも一つの設備機器についてのエネルギー調整制御の要求に関する情報及び/又はエネルギー価格に関する情報に基づく少なくとも一つの設備機器のエネルギー調整制御が、第1特定日の各時間帯において行われたか否かを示す調整制御実施有無情報を記憶する調整制御実施有無記憶部と、調整制御実施有無記憶部に記憶されている調整制御実施有無情報によって特定されるエネルギー調整制御が行われた時間帯又は当該時間帯から定められるエネルギー調整制御の影響を考慮すべき調整制御影響期間について、エネルギー調整制御が行われなかったとしたときの少なくとも一つの設備機器のエネルギー消費量の仮想値を第1特定日の実績値に関する情報を使って演算する仮想値演算部と、実績記憶部に記憶されている少なくとも一つの設備機器の実績値と仮想値演算部が演算した少なくとも一つの設備機器の仮想値とを用いてエネルギー調整制御が行なわれなかったとしたときの第2特定日のベースラインを決めるベースライン決定部とを備え、少なくとも一つの設備機器は、第1設備機器を含み、ベースライン決定部は、第2特定日のベースラインを決定するのに、エネルギー調整制御が行われた時間帯に第1設備機器の仮想値を使い、エネルギー調整制御が行われなかった時間帯に第1設備機器の実績値を使った第1特定日のデータを用いる。
【0007】
第1観点に係る機器管理装置においては、設備機器のエネルギー消費量の仮想値が第1特定日の実績値を使って仮想値演算部により演算されるので、第1特定日以外の他の日の実績値を使う場合に比べて第1特定日の仮想値に、同日である第1特定日の状況を反映させ易くなる。
【0008】
また、仮想値演算部で演算された信頼性の高い仮想値を使ってベースライン決定部によるベースラインが決められるので、信頼性の高いベースラインの決定が可能になる。
【0009】
さらに、ベースライン決定部がベースラインを決定するのに用いる第1特定日のデータにおいて、エネルギー調整制御が行なわれなかった時間帯に仮想値が用いられないので、実績値がエネルギー調整制御の影響を受け難い場合に適用すると誤差を少なくすることができる。
【0010】
本発明の第2観点に係る機器管理装置は、第1観点に係る機器管理装置において、少なくとも一つの設備機器は、第2設備機器を含み、ベースライン決定部は、第2特定日のベースラインを決定するのに、エネルギー調整制御が行われた時間帯及びそれに続く回復期間の時間帯に第2設備機器の仮想値を使い、エネルギー調整制御が行われなかった時間帯のうち回復期間以外の第2設備機器の実績値を使った第1特定日のデータを用いる。
【0011】
第2観点に係る機器管理装置においては、ベースライン決定部がベースラインを決定するのに用いる第1特定日のデータにおいて、エネルギー調整制御が行なわれなかった時間帯の回復期間にも仮想値が用いられるので、実績値がエネルギー調整制御の影響を受けて回復期間に変動する場合に適用すると誤差を少なくすることができる。
【0012】
本発明の第3観点に係る機器管理装置は、エネルギーの供給を受けてエネルギーを消費する少なくとも一つの設備機器の管理を行う機器管理装置であって、少なくとも一つの設備機器の第1特定日のエネルギー消費量の実績値を、第1特定日の時間帯に関連付けて記憶する実績記憶部と、少なくとも一つの設備機器についてのエネルギー調整制御の要求に関する情報及び/又はエネルギー価格に関する情報に基づく少なくとも一つの設備機器のエネルギー調整制御が、第1特定日の各時間帯において行われたか否かを示す調整制御実施有無情報を記憶する調整制御実施有無記憶部と、調整制御実施有無記憶部に記憶されている調整制御実施有無情報によって特定されるエネルギー調整制御が行われた時間帯又は当該時間帯から定められるエネルギー調整制御の影響を考慮すべき調整制御影響期間について、エネルギー調整制御が行われなかったとしたときの少なくとも一つの設備機器のエネルギー消費量の仮想値を第1特定日の実績値に関する情報を使って演算する仮想値演算部と、実績記憶部に記憶されている少なくとも一つの設備機器の実績値と仮想値演算部が演算した少なくとも一つの設備機器の仮想値とを用いてエネルギー調整制御が行なわれなかったとしたときの第2特定日のベースラインを決めるベースライン決定部とを備え、少なくとも一つの設備機器は、第2設備機器を含み、ベースライン決定部は、第2特定日のベースラインを決定するのに、エネルギー調整制御が行われた時間帯及びそれに続く回復期間の時間帯に第2設備機器の仮想値を使い、エネルギー調整制御が行われなかった時間帯のうち回復期間以外の第2設備機器の実績値を使った第1特定日のデータを用いる。
【0013】
第3観点に係る機器管理装置においては、設備機器のエネルギー消費量の仮想値が第1特定日の実績値を使って仮想値演算部により演算されるので、第1特定日以外の他の日の実績値を使う場合に比べて第1特定日の仮想値に、同日である第1特定日の状況を反映させ易くなる。
【0014】
また、仮想値演算部で演算された信頼性の高い仮想値を使ってベースライン決定部によるベースラインが決められるので、信頼性の高いベースラインの決定が可能になる。
【0015】
さらに、ベースライン決定部がベースラインを決定するのに用いる第1特定日のデータにおいて、エネルギー調整制御が行なわれなかった時間帯の回復期間にも仮想値が用いられるので、実績値がエネルギー調整制御の影響を受けて回復期間に変動する場合に適用すると誤差を少なくすることができる。
【0016】
本発明の第4観点に係る機器管理装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る機器管理装置において、仮想値演算部は、第1特定日の実績値に関する情報を使った仮想値の演算として、エネルギー調整制御が行われた時間帯の前の時間帯の実績値を用いた補完を行なう。
【0017】
第4観点に係る機器管理装置においては、第1特定日のエネルギー調整制御が行なわれた時間帯の仮想値が、エネルギー調整制御が行なわれる前の第1特定日の実績値で補完されることで、仮想値演算部により行なわれる補完という簡単な処理で第1特定日の仮想値の演算をエネルギー調整制御から間も無く行なうことが可能になる。
【0018】
本発明の第5観点に係る機器管理装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係る機器管理装置において、仮想値演算部は、第1特定日の実績値に関する情報を使った仮想値の演算として、エネルギー調整制御が行われた時間帯の後の時間帯の実績値を用いた補完を行なう。
【0019】
第5観点に係る機器管理装置においては、第1特定日のエネルギー調整制御が行なわれた時間帯の仮想値が、エネルギー調整制御が行なわれた後の第1特定日の実績値で補完されることで、仮想値演算部により行なわれる補完という簡単な処理で第1特定日の仮想値の演算をエネルギー調整制御から間も無く行なうことが可能になる。
【0020】
本発明の第6観点に係る機器管理装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係る機器管理装置において、仮想値演算部は、予め準備した回帰式に第1特定日のパラメータを入力して仮想値を演算する。
【0021】
第6観点に係る機器管理装置においては、回帰式に第1特定日のパラメータを入力することで、第1特定日の設備機器の運転条件や環境条件などをパラメータにより仮想値に反映させられ、運転条件や環境条件が変化することによって生じる仮想値の演算における誤差を小さくすることができる。
【0022】
本発明の第7観点に係る機器管理装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る機器管理装置において、仮想値演算部は、第1特定日の実績値に関する情報を使った仮想値の演算として、第1特定日のパラメータを入力して第1特定日のパラメータと類似のパラメータを持つ過去の実績値を仮想値とする抽出を行なう。
【0023】
第7観点に係る機器管理装置においては、第1特定日のパラメータと類似のパラメータを持つ過去の実績値を仮想値として抽出することで、第1特定日の設備機器の運転条件や環境条件などをパラメータにより仮想値に反映させられ、例えば第1特定日の設備機器のエネルギー消費に特異な事情が生じた場合などに、第1特定日と異なる過去の実績値を仮想値とすることで演算における誤差を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1観点に係る機器管理装置では、日によって異なる環境の変化などを受け難くなり、設備機器のエネルギー消費量の仮想値の信頼性の向上が図れる。例えば、このような仮想値を用いてベースラインを推定すると、信頼性の高いベースラインを提供できる。また、エネルギーの取引市場で用いることのできる、信頼性の高いベースラインが得られる。さらに、例えば実績値がエネルギー調整制御の影響を受け難い場合に適用すると、ベースラインの信頼性を向上させることができる。
【0025】
本発明の第2観点に係る機器管理装置では、例えば実績値がエネルギー調整制御の影響を受けて回復期間に変動する場合に適用すると、ベースラインの信頼性を向上させることができる。
【0026】
本発明の第3観点に係る機器管理装置では、日によって異なる環境の変化などを受け難くなり、設備機器のエネルギー消費量の仮想値の信頼性の向上が図れる。例えば、このような仮想値を用いてベースラインを推定すると、信頼性の高いベースラインを提供できる。また、エネルギーの取引市場で用いることのできる、信頼性の高いベースラインが得られる。さらに、例えば実績値がエネルギー調整制御の影響を受けて回復期間に変動する場合に適用すると、ベースラインの信頼性を向上させることができる。
【0027】
本発明の第4観点に係る機器管理装置では、過去日に遡らずに、エネルギー調整制御の影響を受けない仮想値を簡単に得ることができる。
【0028】
本発明の第5観点に係る機器管理装置では、過去日に遡らずに、エネルギー調整制御の影響を受けない仮想値を簡単に得ることができる。
【0029】
本発明の第6観点に係る機器管理装置では、仮想値の信頼性の向上が図れる。
【0030】
本発明の第7観点の機器管理装置では、第1特定日とは異なる過去の実績値も用いることができるので、例えば第1特定日の実績値が特異なものとなったときに、仮想値の演算における誤差の増大を抑制し、仮想値の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】エネルギー供給事業者、エネルギー送配事業者、アグリゲータ及び需要者の関係を説明するための概念図。
図2】アグリゲータと需要者の関係を説明するための概念図。
図3】ベースラインと実績値との関係を説明するためのグラフ。
図4】エネルギー管理システムの全体構成の一例を示すブロック図。
図5】電力管理装置の一例を示すブロック図。
図6】一実施形態に係る機器管理装置の構成を示すブロック図。
図7】(a)一実施形態に係るベースライン電力の算出方法を説明するための図、(b)従来のベースライン電力の算出方法を説明するための図。
図8】DR制御の時間帯の実績値と補完値の関係を説明するためのグラフ。
図9】DR制御の時間帯及び回復期間の実績値と補完値の関係を説明するためのグラフ。
図10】従来のベースライン電力の算出方法の問題点を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(1)ベースラインの説明
エネルギー調整制御によって得られたとみなされる調整量は、ベースラインから実消費エネルギー量を差し引いた量として定義される。この定義で用いられるベースラインは、エネルギー調整制御が行なわれなかった場合に、エネルギーの需要者が実際に消費したエネルギー量又は消費されたと想定されるエネルギー量である。エネルギー調整制御は、例えばデマンドレスポンス制御である。
【0033】
エネルギー調整制御は、エネルギー調整制御の供給者側からのエネルギー調整制御の要求やエネルギー価格に関する情報に基づいて行なわれる。エネルギー調整制御の対象は、エネルギーの需要者が運転する設備機器である。エネルギー調整制御の要求に関する情報の授受は、例えば電力を供給する供給者の要求に応えた需要者に報酬や罰則を設ける需給電力契約方式の契約を結んでいる事業者と需要者の間で見られ、エネルギー価格に関する情報の授受は、例えば時間帯別の料金を設定する時間帯別料金方式の契約を結んでいる事業者と需要者との間で見られる。
【0034】
一般的に、エネルギーは、図1に示されているようにエネルギー供給事業者1からエネルギー送配事業者2を経てエネルギーの需要者C1、需要者C2及び需要者C3の施設3に送られる。エネルギー供給事業者1からエネルギー送配事業者2へのエネルギーの流れが矢印E1で示されており、エネルギー送配事業者2から需要者C1、需要者C2及び需要者C3それぞれへのエネルギーの流れが矢印E2,E3,E4で示されている。エネルギーを消費する設備機器20は、需要者C1、需要者C2及び需要者C3のそれぞれの施設3に設置されている。エネルギー供給事業者1は例えば発電事業者であり、エネルギー送配事業者2は例えば送電系統運用事業者である。
【0035】
エネルギー調整制御の契約は、図1に示されているように、例えば需要者C1とエネルギー供給事業者1との間で直接結ばれる契約AG1や需要者C3とエネルギー送配事業者2との間で直接結ばれる契約AG2のようなものもあるが、需要者C2のようにアグリゲータ4を介して間接的にエネルギー供給事業者1やエネルギー送配事業者2と結ぶ場合もある。契約AG3、AG4,AG5は、需要者C2、アグリゲータ4、エネルギー供給事業者1及びエネルギー送配事業者2の間で結ばれる可能性のある契約関係を示している。なお、図1に示されているエネルギー供給事業者1、エネルギー送配事業者2及びアグリゲータ4は、それぞれ単数の場合も複数の場合もある。また、図2に示されているように、メインアグリゲータ4aとサブアグリゲータ4bのように階層的に複数のアグリゲータ4が関わっている場合もある。需要者C21、需要者C22及び需要者C23は、図1の需要者C2と同様に直接メインアグリゲータ4aとエネルギー調整制御の契約を行なうが、需要者C41、需要者C42及び需要者C43は、サブアグリゲータ4bを介してメインアグリゲータ4aとエネルギー調整制御の契約を行なうことになる。
【0036】
図3には、ある特定の日の需要者C2のベースラインBLと実績値RVの例が示されている。図3の例においては、13時までベースラインBLと実績値RVが一致している。つまり、13時以前は、需要者Cがエネルギー調整制御を行っていないため、ベースラインBLと実績値RVがほぼ一致している。図3の例では、13時から15時までの区間で需要者C2がエネルギー調整制御を行っている。その結果、13時から15時までの区間では、ベースラインBLよりも実績値RVが小さくなっている。15時に需要者C2がエネルギー調整制御を停止したため、15時以降は再び実績値RVがベースラインBLにほぼ一致する。
【0037】
図3の例では、13時から15時までエネルギー調整制御が行なわれているので、図3に斜線で示されている部分の面積が、需要者C2により調整されたエネルギー消費量(エネルギー消費値×時間)、つまり需要者C2のある特定の日の調整量になる。このベースラインBLのうちの点線で示されている部分、つまり13時から15時までの区間の値は推定値である。通常は、この推定値の算出方法、及び調整量に基づいて需要者C2が受け取る報酬は、需要者C2とアグリゲータ4との間の契約AG3に基づいて定められる。そのため、もし、図3のベースラインBLの推定値が大きく算出されるものであれば、調整量が多く見積もられるので需要者C2の報酬が多くなるという点では需要者C2に利があるが、支出が多くなるアグリゲータ4にとって不利になる。逆に、図3のベースラインBLの推定値が小さく算出されるものであれば、調整量が少なく見積もられるので支出が少ないアグリゲータ4にとって有利になるが、需要者C2の報酬が減って需要者C2にとって不利になる。このようにベースラインBLの推定は、アグリゲータ4の事業にとって重要である。このようなベースラインBLの算出には、正確性、簡潔性及び誠実性が求められる。
【0038】
このようなベースラインBLの推定は、例えば図1のエネルギー供給事業者1と需要者C1の間の契約AG1に基づいても行なわれる場合があり、エネルギー送配事業者2と需要者C3との間の契約AG2に基づいても行なわれる場合がある。言い換えると、後述するベースラインBLの推定値の算出方法やそのような算出方法が組み込まれた機器管理装置が、図1に示されている様々な契約AG1〜AG5の遂行のために適用できるということになる。
【0039】
図1に示されているような場合、エネルギー調整制御の時間帯は、アグリゲータ4、エネルギー供給事業者1及びエネルギー送配事業者2のうちの少なくとも一つの事業者の要求に沿って誘導される。図1では、需要者C1が契約しているのはエネルギー供給事業者1だけであるが、内容によっては、例えば需要者C1がエネルギー料金ベースの契約(例えば時間帯別料金方式の契約など)をエネルギー供給事業者1と結ぶ一方で、需要者C1がアグリゲータ4とインセンティブベースの契約(例えば需給電力契約方式の契約など)を結ぶことも可能である。そのような場合、例えば、需要者C1が需給バランスに応じてリアルタイムにエネルギー料金の変更の通知を受けてエネルギー調整制御をする場合も、需要者C1がアグリゲータ4からエネルギー調整制御の要求を受けてエネルギー調整制御をする場合もあり得る。そのどちらの場合も、エネルギー調整制御をしなかった場合のベースラインBLからエネルギー調整制御によって実績値RVがずれる。そのため、本実施形態では、その特定の日のエネルギー消費値に基づいて他の特定の日のベースラインBLの推定をする場合には、後述するように、その特定の日のエネルギー調整制御を行った時間帯のエネルギー消費値は仮想値を使って補完する。
【0040】
(2)エネルギー管理システムの全体構成
以下においては説明を分かり易くするために、本発明の一実施形態に係る機器管理装置が消費するエネルギーは電気エネルギーであるものとして説明する。図4には、本発明の一実施形態に係るエネルギー管理システムが示されている。図4のエネルギー管理システム100では、電力会社1aから物件Aの施設3a及び物件Bの施設3bに電力が供給される。ここで、物件A,Bの施設3a,3bは、例えば、オフィスビル、テナントビル、工場および一般家庭等の、1又は複数の設備機器が設置される建物である。物件A,Bは、デマンドレスポンス制御に関する同じ内容の契約の対象となっている。なお、図3では、電力会社が電力を供給する物件として、物件A,Bや施設3a,3bがそれぞれ2つずつしか記載されていないが、物件の数や施設の数は2つに限られるものではなく、いずれか一方でもよく、また物件が3つ以上あってもよい。
【0041】
電力会社1aは、電力管理装置10を有する。物件Aは、設備機器20と、設備機器20に電力を供給する電源6と、電源6から設備機器20に供給される電力量を計測する電力メーター7と、設備機器20を制御する機器管理装置30とを有する。図3の設備機器20には、複数の種類があり、空調機20a、照明20b及び換気扇20cが含まれる。
【0042】
電力会社1aから物件A,Bの施設3a,3bには、電源ライン102aを通して電力が供給される。また、同一物件内の設備機器20には、屋内の電源ライン102bを介して電源6から電力の供給を受けている。電力管理装置10と機器管理装置30は、例えばインターネット101aで接続されている。また、同一物件内の機器管理装置30と設備機器20とは、専用の制御線101bで接続されている。なお、設備機器20の種類は、空調機20a、照明20b、換気扇20cに限られるものではない。
【0043】
(3)各装置の構成
以下、エネルギー管理システム100に含まれる、電力管理装置10および機器管理装置30について説明する。
【0044】
(3−1)電力管理装置10
図5には、電力管理装置10の概略構成が示されている。電力管理装置10は、通信部11、表示部12、入力部13、記憶部14、および制御部15を備える。
【0045】
通信部11は、電力管理装置10をインターネット101aに接続可能にするネットワークインターフェースである。表示部12は、ディスプレイを含んで構成されている。入力部13は、例えば、操作ボタン、キーボード及びマウスを含んで構成されている。記憶部14は、ハードディスクを含んで構成されている。記憶部14には、物件A,Bの機器管理装置30から送信されたエネルギー抑制可能量と抑制可能時間との組合せが、物件別に記憶される。制御部15は、CPU、ROM及びRAMから構成されている。制御部15は、上述の記憶部14に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、図5に示されている決定部15a、選択部15b、デマンドレスポンス制御送信部15c、送信要求部15dとして機能する。
【0046】
決定部15aは、電力の供給量と需要量の予測を行い、所定時間後に需要量が供給量を上回る可能性があると判断した場合には、物件A,Bに対して電力や電力量などのエネルギー消費量の抑制を要求することを決定する。あわせて、エネルギー管理システム100全体として、どれだけの時間、どれだけの電力の需要量を削減する必要があるかを決定する。選択部15bは、記憶部14に記憶された情報と、決定部15aで決定された時間および削減量とを基に、デマンドレスポンス制御を実施する時間帯と電力抑制量とを物件別に選択する。
【0047】
デマンドレスポンス制御送信部15cは、デマンドレスポンス制御を行う要求と共に、選択部15bで決定されたデマンドレスポンス制御を実施する時間帯と電力抑制量とを、通信部11から物件A,Bに出力させる。
【0048】
なお、ここでは、デマンドレスポンス制御の要求に電力抑制量を送信する場合について説明しているが、少なくともデマンドレスポンス制御の要求とデマンドレスポンス制御を実施する時間帯が電力管理装置10から機器管理装置30に通信されれば、機器管理装置30はベースライン電力を決定することができる。つまり、機器管理装置30がベースライン電力を決定するにはデマンドレスポンス制御の実施時間帯に関する情報が必須であるが、機器管理装置30がベースライン電力を決定するのに電力抑制量が電力会社1aから送られてくることは必須の要件ではなく、デマンドレスポンス制御を行なう際の電力抑制量が物件A,Bに任されていてもよく、あるいは予め契約で決められているものであってもよい。
【0049】
(3−2)機器管理装置30
図6には、機器管理装置30の概略構成が示されている。以下、物件Aに設置された機器管理装置30について説明するが、物件Bに設置された機器管理装置30についても同様の構成である。機器管理装置30は、通信部31、出力部32、入力部33、時間管理部34、記憶部35及び制御部36を備える。
【0050】
通信部31は、機器管理装置30をインターネット101aに接続可能にするネットワークインターフェースである。通信部31により、インターネット101aを介して、機器管理装置30と電力管理装置10との間で双方向通信が行われる。出力部32は、例えば、ディスプレイを含んで構成される。出力部32には、設備機器20の運転態様を示す画面が表示される。出力部32の画面に表示される情報は、例えば、設備機器のON/OFF、運転モード(例えば、空調機20aであれば冷房モード/暖房モードなど)、設定温度、照度、換気量、稼働時間、稼働率、および稼動時の運転能力に関するものである。また、現在の消費電力なども表示される。
【0051】
入力部33は、例えば、操作ボタン及び出力部32のディスプレイを覆うタッチパネルを含んで構成される。この入力部33を使って、設備機器20の発停信号、設定の変更及び運転モードの変更などの設備機器20に対する各種指令を入力することができる。時間管理部34は、電力会社1aの電力管理装置10と略同期する時計を有し、機器管理装置30の実行する各種制御の時間管理を行う。
【0052】
(3−2−1)記憶部35
記憶部35は、例えば通信部31や出力部32や入力部33で送受信される情報を記憶可能なハードディスクを含んで構成される。記憶部35には、後述する制御部36が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。また、記憶部35は、実績電力値記憶部35a及びDR(デマンドレスポンス)制御実施有無記憶部35bを有する。
【0053】
実績電力値記憶部35aは、設備機器20の時間帯毎の電力量を記憶する。つまり、実績電力値記憶部35aは、電力メーター7から各時間帯の電力使用量に関するデータを受信し、受信したデータを記憶する。
【0054】
ここでは、複数の設備機器20、つまり空調機20a、照明20b及び換気扇20cを一括して機器管理装置30が管理しているが、機器管理装置30が空調機20a、照明20b及び換気扇20cを個別に管理するように構成することもできる。個別管理の場合には、電力メーター7が、個別に管理する対象である空調機20a、照明20b及び換気扇20cに対してそれぞれ設けられる。そして、複数の電力メーター7から機器管理装置30に、空調機20a、照明20b及び換気扇20cの時間帯別の電力使用量が個別に送信されるように構成すればよい。
【0055】
ここでは、実績電力値記憶部35aは、時間帯別の電力使用量を記憶しているが、電力使用量を時間帯の長さで割れば各時間帯の平均消費電力になるので、各時間帯の平均消費電力を記憶していると見ることもできる。もちろん、実績電力値記憶部35aは、時々刻々と変化する消費電力を電力メーター7から受け取って記憶するように構成されてもよい。
【0056】
DR制御実施有無記憶部35b(調整制御実施有無記憶部の例)は、実績電力値記憶部35aに記憶されている時間帯別にDR制御を実施したか否かを特定するための実施有無に関するデータ(調整制御実施有無情報の例)を記憶する。この実施有無に関するデータは、例えばDR制御が実施された時間であってもよく、或いは時間帯別に付された実施有無を示すフラグであってもよい。図7(a)には、当日のベースライン電力を決定するに用いられる過去の特定の日の時間帯別のDR制御の実施の有無が示されている。DR制御実施有無記憶部35bに記憶されているDR制御の実施有無に関するデータを用いれば、機器管理装置30は、図7(a)に示されている内容を把握することができる。このようなDR制御の実施有無に関するデータは、機器管理装置30が自ら行なったDR制御の実施の有無を記憶部35に記録することによって作成できる。
【0057】
(3−2−2)制御部36
制御部36は、例えばCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部36は、上述の記憶部35に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、図6に示されている仮想電力値演算部36a及びベースライン電力決定部36bの機能を発揮することができる。
【0058】
仮想電力値演算部36aは、DR制御実施有無記憶部35bに記憶されているDR制御の実施有無に関するデータを用いて、DR制御が実施された時間帯について、設備機器20の電力使用量の補完値の演算を行なう。図7(a)に示されているように、当日のベースライン電力を決定するための過去の実績値として、1日前の13時から13時15分までの間の実績値が使用される。この1日前の13時から13時15分までの間の補完に使用される補完値が仮想電力値演算部36aで算出される。仮想電力値演算部36aで行なわれる補完値の演算については後ほど詳細に説明する。
【0059】
ベースライン電力決定部36bは、実績電力値記憶部35aに記憶されている実績値と仮想電力値演算部36aによって算出された補完値とを用いて当日のベースライン電力を決定する。ベースライン電力の算出方法には、従来からある一般的な算出方法を用いることができる。例えば、過去の同一時間帯の複数日のデータの平均値により算出する平均化法、負荷に影響する多くの変数(過去の負荷パターン、天候、曜日など)を用いて当日の負荷を予測する回帰分析法、過去データより当日と最も似ている一日を見つけベースラインとして採用する同等日採用法、及び当日に近いデータの重みを増すことによってベースラインとして算出する加重移動平均法が、ベースライン電力の算出方法として従来から知られている。
【0060】
このベースライン電力決定部36bは、ベースライン電力の決定する際に、補完値で補完されたDR制御の時間帯の電力使用量を、DR制御がなかった電力使用量と同じに取り扱う。このように取り扱うことで、ベースライン電力を決定する際に、図7(a)の場合に、4日前まで遡らずに、1日前の13時から13時15分のデータを参照することができる。もし、2つ以上参照することが必要であれば、2日前の補完値や3日前の補完値を参照することも可能になる。
【0061】
(4)仮想電力値演算部36aによる補完
仮想電力値演算部36aは、ベースライン電力の算出のために参照するデータの中にDR制御の影響を含むデータがある場合、DR制御の影響を含まない値でDR制御の影響を含むデータを補完する。以下、仮想電力値演算部36aによる補完の方法の具体例について説明する。
【0062】
(4−1)補完対象の特定方法
仮想電力値演算部36aは、DR制御実施有無記憶部35bに記憶されているDR制御の実施有無に関するデータを用いて、DR制御が実施された時間帯を特定することができるが、補完対象がDR制御の実施時間帯に限られるものではなく、DR制御の実施時間帯の周辺にまで補完対象を拡張することができる。
【0063】
(4−1−1)DR制御の実施時間帯のみを対象とする場合
図8に示されているグラフにおいては、13時から14時までの60分間だけDR制御が行なわれていることが分かる。図8の場合に補完の対象とされていのは、DR制御の実施時間帯である13時から14時までの時間帯のみである。
【0064】
(4−1−2)DR制御の実施時間帯及び回復期間を対象とする場合
図9に示されているグラフにおいては、13時から14時までの60分間だけDR制御が行なわれていることが分かる。図9の場合に補完の対象とされていのは、13時から14時までの時間帯及び14時から14時45分までの時間帯である。この14時から14時45分までの時間帯が回復期間である。空調機20aが設備機器20に含まれていると、DR制御によって13時から14時までの間だけ、空調機20aが停止され、あるいは空調機20aの設定温度が環境温度に近い値にシフトされることがある。このような場合、DR期間が終了すると、空調機20aが運転を始めて比較的大きな電力消費が生じる。このような回復期間に通常よりも消費電力が増大する電力リバウンドが生じる場合には、補完対象を回復期間まで延長すると、DR制御がなかったときの状態に更に近づけることができる。
【0065】
回復期間の設定の仕方としては、例えば、DR制御の終了後一定期間とする場合やDR制御の終了後に室温が快適な温度に戻るまでの期間とする場合がある。後者の場合の快適な温度とは、例えば、DR制御の開始直前の温度、空調機20aに設定されている設定温度、又は冷房運転なら28℃などの特定の設定値である。
【0066】
(4−2)補完値の算出方法
次に、仮想電力値演算部36aが行なう補完値の算出方法について、図8及び図9を用いて具体的に説明する。仮想電力値演算部36aは、設備機器20の電力使用量の補完値で補完される時間帯が含まれている特定日の実績値に関する情報を使って演算する。既に説明したように、補完対象は、DR制御が実施された期間だけでなく、DR制御の影響を受けた期間、ここでは回復期間の電力量である。
【0067】
(4−2−1)DR制御の時間帯の前の値での代用
ここでは、DR制御の実施時間帯の電力使用量を、DR制御の実施時間帯の前又は後の値で代用するという補完値の算出方法について説明する。図8に示されている場合も、図9に示されている場合も、13時よりも前の時間帯の電力使用量を用いて補完値が算出される。
【0068】
(4−2−1−1)DR制御期間直前の一つの値で代用する方法
補完対象がDR制御の実施時間帯の電力使用量である場合には、図8に示されているように、DR制御の実施時間帯の直前の12時45分から13時までの時間帯の電力使用量を、13時から13時15分までの時間帯、13時15分から13時30分までの時間帯、13時30分から13時45分までの時間帯、及び13時45分から14時までの時間帯のそれぞれの電力使用量とする。また、補完対象が回復期間も含む場合には、図9に示されているように、さらに14時から14時15分までの時間帯、14時15分から14時30分までの時間帯、及び14時30分から14時45分までの時間帯のそれぞれの電力使用量とする。
【0069】
(4−2−1−2)直前の複数の時間帯を用いる方法
直前の複数の時間帯の電力使用量から補完値を算出する方法は、例えば図8のDR制御の実施時間帯の直前の12時45分から13時までの時間帯の電力使用量を平均して補完値を求める。平均する時間帯の数は適宜設定され、ここでは15分間隔の2つの時間帯を用いたが、3つ以上であってもよい。なお、ここでは時間帯の長さが15分の場合について説明したが、時間帯の長さが15分以外のものであってもよい。時間帯の長さが15分よりも短い例えば1分又は30秒であってもよく、時間帯の長さが15分よりも長い例えば20分又は30分であってもよい。また、平均値を用いる以外の補完値を求める算出方法として、DR制御の実施時間帯の直前の複数の時間帯の電力使用量のうちの最小値を補完値とする方法を採用することもできる。また、平均値を用いる以外の補完値を求める算出方法として、DR制御の実施時間帯の直前の複数の時間帯の電力使用量のうちの最大値を補完値とする方法を採用することもできる。このようにして算出した補完値で補完される補完対象は上述の場合と同様である。
【0070】
(4−2−1−3)DR制御期間の前の特定期間を用いる方法
直前の時間帯ではなく、予め定めた特定期間の電力使用量を用いることもできる。図8に示されている場合、例えば、DR制御の実施時間帯の直前の12時50分から13時までの10分間の電力使用量X1を用いてもよい。つまり、電力使用量X1を1.5倍して得られる値(X1×1.5)を、13時から13時15分までの時間帯、13時15分から13時30分までの時間帯、13時30分から13時45分までの時間帯、及び13時45分から14時までの時間帯のそれぞれの電力使用量とする。
【0071】
また、例えば11時から12時までの期間の電力使用量を用いることもできる。12時から13時までに昼休み時間などで設備機器20の電力使用量が低下するなどの特殊な事情があるときに特殊事情の発生する時間帯を除いて期間を設定するなどすることができる。このように、特定期間を用いる場合にも、例えば最小値、平均値又は最大値を補完値とする方法を採用することができる。
【0072】
(4−2−2)DR制御の時間帯の後の値で代用する方法
上述のDR制御の実施時間帯の前の値での代用する考え方と同様の考え方で、DR制御の実施の影響を含まない後の時間帯で代用することもできる。ただし、DR制御の実施の後の場合には、図9に示した回復期間などに無視できない程度のDR制御の実施の影響が生じる場合がある。そのような場合には、回復期間の後の時間帯の電力使用量を用いて補完値を算出する。例えば、設備機器20に照明20bのみしか含まれていないような場合には、回復期間の電力使用量の変動は無視できるほど小さいと考えられる。このような場合には、回復期間を考慮せず、DR制御の実施の前の場合と同様に、直後の時間帯を用いることもできる。
【0073】
DR制御の実施時間帯の後の値での代用する場合も、上述の(4−2−1−1)DR制御期間直前の一つの値での代用、(4−2−1−2)直前の複数の時間帯を用いる方法、及び(4−2−1−3)DR制御期間の前の特定期間を用いる方法と類似の方法を用いることができ、DR制御期間及び/又は回復期間直後の一つの値で代用する方法、DR制御期間及び/又は回復期間直後の複数の時間帯を用いる方法、及びDR制御期間及び/又は回復期間の後の特定期間を用いる方法を採用することができる。
【0074】
(4−2−3)DR制御の時間帯の前後の値で代用する方法
前後の複数の時間帯の電力使用量から補完値を算出する方法は、例えば図8のDR制御の実施時間帯の直前の12時45分から13時までの時間帯の電力使用量と直後の14時45分から15時までの時間帯の電力使用量を平均して補完値を求める。平均する時間帯の数は適宜設定され、ここでは15分間隔の3つの時間帯を用いたが、例えば前後一つずつ、あるいは前後の時間帯の数を任意に組み合わせてもよい。なお、ここでは時間帯の長さが15分の場合について説明したが、時間帯の長さが15分以外のものであってもよい。また、平均値を用いる以外の補完値を求める算出方法として、DR制御の実施時間帯の前後の複数の時間帯の電力使用量のうちの最小値を補完値とする方法を採用することもできる。また、平均値を用いる以外の補完値を求める算出方法として、DR制御の実施時間帯の前後の複数の時間帯の電力使用量のうちの最大値を補完値とする方法を採用することもできる。このようにして算出した補完値で補完される補完対象は上述の場合と同様である。なお、回復期間の影響を考慮に入れる場合と考慮に入れない場合があるのは、上述の(4−2−2)DR制御の実施の影響を含まない後の時間帯で代用する方法と同様である。
【0075】
(4−2−4)DR制御の時間帯の前後の近い値で代用する方法
DR制御の実施時間帯の前後の近い値で代用する方法も、回復期間の影響を考慮に入れる場合と考慮に入れない場合があるのは、上述の(4−2−2)DR制御の実施の影響を含まない後の時間帯で代用する場合と同様である。ここでは、図9を用いて、回復期間の影響を考慮に入れる場合について説明する。
【0076】
直近の一つの値を使う場合は、例えば13時から13時15分の時間帯の補完値は、12時45分から13時の時間帯の電力使用量で代用される。同様に、13時15から13時30分の時間帯の補完値及び13時30から13時45分の補完値も、12時45分から13時の時間帯の電力使用量で代用される。
【0077】
一方、14時30分から14時45分の時間帯の補完値は、14時45分から15時の時間帯の電力使用量で代用される。同様に、14時15から13時30分の時間帯の補完値及び14時から14時15分の補完値も、14時45分から15時の時間帯の電力使用量で代用される。
【0078】
ところで、14時30分から14時45分の時間帯は、12時45分から13時の時間帯と14時45分から15時の時間帯のいずれにも同じように近い。このような場合には、前後どちらの時間帯の電力使用量を用いるかを予め決めておけばよい。
【0079】
直前直後の複数の時間帯の消費電力を用いる場合も、前述の考え方と同様に演算することができる。この場合、例えば、DR制御の実施前の複数の時間帯で、平均値、最小値又は最大値を求めておき、DR制御の実施前半の時間帯の補完値に用いる。また、例えば、DR制御の実施の影響を受ける時間帯の後の複数の時間帯で、平均値、最小値又は最大値を求めておき、DR制御の実施後半の時間帯の補完値に用いる。
【0080】
直前直後の特定期間の消費電力を用いる場合も、前述の考え方と同様に演算することができる。この場合、例えば、DR制御の実施前の特定時間帯で、平均値、最小値又は最大値を求めておき、DR制御の実施前半の時間帯の補完値に用いる。また、例えば、DR制御の実施の影響を受ける時間帯の後の特定期間で、平均値、最小値又は最大値を求めておき、DR制御の実施後半の時間帯の補完値に用いる。
【0081】
(4−2−5)運用条件からの回帰分析
予め過去の設備機器20の運転情報から、運転条件・環境条件からの消費電力を推定する回帰式を準備しておく。準備された回帰式は、機器管理装置30の記憶部35に記憶されている。そして、制御部36の仮想電力値演算部36aは、記憶部35から読み出された回帰式に当日の運転条件・環境条件を代入して、DR制御の実施された時間帯の設備機器20の消費電力を算出する。仮想電力値演算部36aは、算出された消費電力を使ってDR制御の実施の影響を受ける時間帯の補完値を計算する。回帰式に用いられる入力パラメータは、例えば、設定温度、外気温度、及び空調機20aの室内機の運転台数である。
【0082】
(4−2−6)同等日の電力使用量を採用
予め過去の設備機器20の運転情報を整理して記憶部35に記憶させておく。そして、仮想電力値演算部36aは、記憶部35に記憶されている過去の設備機器の運転情報を使って、補完値の計算対象の特定の日と同等の運転条件・環境条件のときの電力使用量を補完値として抽出する。この場合、計算対象の特定の日と一致する過去の運転条件・環境条件が記憶部35に記憶されている運転情報の中にない場合には、最も近い過去の運転条件・環境条件のときの電力使用量を補完値として抽出する。この抽出に用いられる入力パラメータは、例えば、設定温度、外気温度、運転時間、及び空調機20aの室内機の運転台数である。
【0083】
(5)特徴
(5−1)
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る機器管理装置30は、電力供給を受けて、電力を消費する設備機器20の管理を行なうものである。上述の機器管理装置30では、エネルギーとして電気を取り扱う場合について説明したが、取り扱うエネルギーは、電気以外のもの例えばガスであってもよい。
【0084】
機器管理装置30では、設備機器20の電力使用量(エネルギー消費量の例)の補完値(仮想値の例)、例えば図7(a)に示された1日前(第1特定日の例)の13時から13時15分の時間帯の電力使用量は、図8及び図9に示されているようにDR制御の影響を受けるので、例えば1日前の12時45分から13時の時間帯の電力使用量で補完される。このように1日前の補完値が1日前の実績値に置き換えられる(第1特定日の実績値に関する情報を使って演算される例)ので、過去の1日前以外の実績値を使う場合に比べて、1日前の13時から13時15分の補完値に、同日である1日前の状態を反映させ易くなる。その結果、このような補完値を用いてベースライン電力が推定されると、信頼性の高いベースライン電力を提供することができる。
【0085】
(5−2)
ベースライン電力決定部36b(ベースライン決定部の例)は、実績電力値記憶部35a(実績記憶部の例)に記憶されている設備機器20の実績値と仮想電力値演算部36aが演算した設備機器20の補完値とを用いてデマンドレスポンス制御(エネルギー調整制御の例)が行なわれなかったとしたときの当日(第2特定日の例)のベースライン電力(ベースラインの例)を決めている。このように、仮想電力値演算部36aで演算された信頼性の高い補完値(仮想値の例)を使ってベースライン電力決定部36bによるベースライン電力が決められるので、信頼性の高いベースライン電力の決定が可能になる。
【0086】
例えば、従来は図7(b)に示されているような従来のベースライン電力算出方法では、当日の13時から13時15分の時間帯のベースライン電力の算出のために、DR制御の影響を受けていない4日前の13時から13時15分の実績値を参照しなければならない。このような従来のベースライン電力の算出方法では、図10に示されているように、7月中旬にDR制御が行なわれた日が継続する場合に、参照されるデータは、7月上旬の過去日の13時から13時15分のデータにまで遡ることもあり得る。そうすると、空調機20aのように季節影響を受ける設備機器20では、本来もらえるべきインセンティブIN1に対して実際にはインセンティブIN2しか貰えず、インセンティブに大きな差(IN1−IN2)が生じることにもなりかねない。
【0087】
それに対して、図7(a)に示されているように、1日前の13時から13時15分の消費電力がDR制御の影響のない補完値に置き換えられて、1日前の補完値を使ってベースライン電力決定部36bがベース電力を決定するので、信頼性の高いベースライン電力の決定が可能になる。
【0088】
(5−3)
図8に示されているデータが図7(a)の一日前の参照されるべきデータであるとすると、ベースライン電力決定部36bは、当日(第2特定日の例)のベースライン電力を決定するのに、DR制御が行われた時間帯である13時から14時の時間帯の電力使用量には設備機器20の仮想値を使い、DR制御が行われなかった14時から14時45分の時間帯の電力使用量には設備機器20の実績値を用いることになる。例えば設備機器20が照明20bのみであれば、図8の回復期間に電力リバウンドなどの変動はほとんどないので、そのように実績値がDR制御の影響を受け難い場合に適用すると誤差を少なくすることができる。その結果、ベースライン電力の信頼性を向上させることができる。
【0089】
(5−4)
図9に示されているデータが図7(a)の一日前の参照されるべきデータであるとすると、ベースライン電力決定部36bは、当日(第2特定日の例)のベースライン電力を決定するのに、DR制御が行われた時間帯である13時から14時の時間帯の電力使用量には設備機器20の補完値を使い、DR制御が行われなかった回復期間の14時から14時45分の時間帯の電力使用量にも補完値を用いることになる。例えば設備機器20が空調機20aの影響を大きく受ける場合であれば、図9の回復期間に電力リバウンドなどの変動が大きくなるので、実績値がDR制御の影響を受けて回復期間に変動する場合に適用すると誤差を少なくすることができる。その結果、ベースライン電力の信頼性を向上させることができる。
【0090】
(5−5)
仮想電力値演算部36aは、図8及び図9を用いて説明したように、同日(第1特定日の例)の実績値に関する情報を使った補完値の演算として、例えば13時から14時までのDR制御が行われた時間帯の前の13時以前の時間帯の実績値を用いた補完を行なってもよい。このようにDR制御が行なわれる前の同日の実績値で補完されることで、仮想電力値演算部36aにより行なわれる補完という簡単な処理で同日の補完値の演算をDR制御から間も無く行なうことが可能になる。その結果、過去日に遡らずに、DR制御の影響を受けない補完値を簡単に得ることができる。
【0091】
(5−6)
仮想電力値演算部36aは、図8及び図9を用いて説明したように、同日(第1特定日の例)の実績値に関する情報を使った補完値の演算として、例えば13時から14時までのDR制御が行われた時間帯の後の14時以降の時間帯の実績値を用いた補完を行なってもよい。このようにDR制御が行なわれた後の同日の実績値で補完されることで、仮想電力値演算部36aにより行なわれる補完という簡単な処理で同日の補完値の演算をDR制御から間も無く行なうことが可能になる。その結果、過去日に遡らずに、DR制御の影響を受けない補完値を簡単に得ることができる。
【0092】
(5−7)
仮想電力値演算部36aは、図8及び図9を用いて説明したように、回帰式に補完対象の時間帯が属する日(第1特定日の例)のパラメータ(実績値に関する情報の例)を入力して補完値を算出してもよい。このように回帰式を用いれば、補完対象の時間帯が属する日の設備機器20の運転条件や環境条件などをパラメータにより補完値に反映させられ、運転条件や環境条件が変化することによって生じる補完値の演算における誤差を小さくすることができる。その結果、補完値の信頼性の向上が図れる。
【0093】
(5−8)
仮想電力値演算部36aは、図8及び図9を用いて説明したように、補完対象の時間帯が属する日(第1特定日の例)のパラメータ(実績値に関する情報の例)を入力して同日のパラメータと類似のパラメータを持つ過去の実績値を補完値とする抽出を行ってもよい。補完対象の時間帯が属する日の設備機器20の運転条件や環境条件などをパラメータにより補完値に反映させられ、例えばその日の設備機器20の電力使用量に特異な事情が生じた場合などに、その日と異なる過去の実績値を補完値とすることで演算における誤差を小さくすることができる。その結果、補完値の演算における誤差の増大を抑制し、補完値の信頼性の向上を図ることができる。
【0094】
(6)変形例
(6−1)変形例1A
上記実施形態では、電力会社1aからDR制御の要求を受ける機器管理装置30について説明したが、本発明に係る機器管理装置30は、エネルギー送配事業者2やアグリゲータ4からDR制御の要求やエネルギー価格に関する情報を受ける場合にも適用できる。
【0095】
(6−2)変形例1B
上記実施形態では、設備機器20が空調機20a、照明20b及び換気扇20cという複数の種類の設備機器を含む場合について説明したが、設備機器が一つの場合でもよく、単一の種類のものを複数含むものであってもよい。
【0096】
(6−2)変形例1C
上記実施形態において補完値を求める回帰分析や類似のパラメータを持つ過去の実績値の抽出の対象には、同一物件だけでなく、同等の他物件を用いてもよい。
【符号の説明】
【0097】
20 設備機器
20a 空調機
20b 照明
30 機器管理装置
35a 実績電力値記憶部 (実績記憶部)
35b DR制御実施有無記憶部 (調整制御実施有無記憶部)
36a 仮想電力値演算部 (仮想値演算部)
36b ベースライン電力決定部 (ベースライン決定部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】特開2013−230051号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10