(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成されるポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)0.05〜0.45重量部を含み、
前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上が、メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも一方に由来し、メタキシリレンジアミン由来の構成単位とパラキシリレンジアミン由来の構成単位のモル比が100:0〜40:60であり、
前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、セバシン酸に由来し、
前記ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度が10〜30μeq/gである、ポリアミド樹脂組成物。
前記オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)を構成するオレフィンと無水マレイン酸とのモル比が1:0.5〜1:1.5である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
前記メタキシリレンジアミン由来の構成単位とパラキシリレンジアミン由来の構成単位のモル比が100:0〜51:49である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも一方に由来する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0012】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成されるポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)0.05〜0.45重量部を含み、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上が、メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも一方に由来し、メタキシリレンジアミン由来の構成単位とパラキシリレンジアミン由来の構成単位のモル比が100:0〜40:60であり、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、セバシン酸に由来し、前記ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度が10〜30μeq/g(μ当量/g)であることを特徴とする。このような構成とすることにより、靱性が高く、高い破断歪を達成可能な、ポリアミド樹脂組成物を提供可能になる。
このメカニズムは定かではないが、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)の無水マレイン酸部位が、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基と反応し、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)とポリアミド樹脂(A)の間に架橋構造を形成し、ポリアミド樹脂(A)の分子量(溶融粘度)が増加し、高い弾性率と高い破断歪の両立を達成できると考えられる。
【0013】
<ポリアミド樹脂(A)>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上が、メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも一方に由来し、メタキシリレンジアミン由来の構成単位とパラキシリレンジアミン由来の構成単位のモル比が100:0〜40:60であり、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、セバシン酸に由来するポリアミド樹脂(A)を含む。
ポリアミド樹脂(A)は、1種類のみ用いても良いし、2種類以上用いても良い。2種類以上含む場合は、合計量をポリアミド樹脂(A)の量とする。以下、他の成分についても同様に考える。
前記ジアミン由来の構成単位を構成するジアミンは、その50モル%以上が、メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも一方に由来し、好ましくは70モル%以上が、より好ましくは90モル%以上が、メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも一方に由来する。
メタキシリレンジアミン由来の構成単位とパラキシリレンジアミン由来の構成単位のモル比(メタキシリレンジアミン由来の構成単位:パラキシリレンジアミン由来の構成単位)は100:0〜40:60であり、100:0〜51:49であることが好ましく、100:0〜60:40であることがより好ましく、80:20〜60:40であることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、靱性がより向上する傾向にある。さらに、破断歪もより向上する傾向にある。
メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
【0014】
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)は、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、セバシン酸に由来し、好ましくはモル70%、より好ましくは90モル%以上が、セバシン酸に由来する。
セバシン酸以外のジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等を例示することができ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
【0015】
さらに、本発明では、ジアミン成分、ジカルボン酸成分以外にも、ポリアミド樹脂(A)を構成する成分として、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類も共重合成分として使用できる。ジアミン成分、ジカルボン酸成分以外の成分は、例えば、ポリアミド樹脂(A)の5質量%以下とすることができる。
【0016】
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)は、末端アミノ基濃度が10〜30μeq/gである。ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度は、15〜25μeq/gであることが好ましく、15〜20μeq/gであることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、靱性がより向上する傾向にある。さらに、破断歪も向上する傾向にある。
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度は、後述する本願実施例に記載の方法で測定した値とする。但し、測定機器については、実施例に記載の機器が入手困難な場合には、他の同種の機器によって測定してもよい(以下、他の測定方法についても同じ)。
【0017】
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)の末端カルボキシル基濃度([COOH])は、好ましくは150μeq/g未満、より好ましくは10〜120μeq/g、さらに好ましくは10〜100μeq/gである。このような末端基濃度を満たすポリアミド樹脂を用いることにより、粘度がより安定しやすくなり、成形加工性がより向上する傾向にある。
末端カルボキシル基濃度は、ポリアミド樹脂0.3gを30mlのベンジルアルコールに窒素気流下160〜180℃で溶解し、窒素気流下80℃まで冷却し、撹拌しながらメタノール10mLを加え、N/100水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めることができる。
【0018】
また、本発明で用いるポリアミド樹脂(A)の末端カルボキシル基濃度に対する末端アミノ基濃度の比([NH
2]/[COOH])は、0.7以下であるものが好ましく、0.6以下であるものがより好ましく、特に好ましくは0.5以下である。このような範囲とすることにより、成形加工性がより向上する傾向にあり好ましい。
【0019】
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)は、数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であることが好ましい。数平均分子量(Mn)を6,000〜30,000の範囲内とすると、ポリアミド樹脂組成物(成形材料や成形品等)の強度がより向上する傾向にある。より好ましい数平均分子量(Mn)は8,000〜28,000であり、さらに好ましくは9,000〜26,000であり、よりさらに好ましくは10,000〜24,000であり、特に好ましくは11,000〜22,000であり、より特に好ましくは12,000〜20,000である。このような範囲であると、耐熱性、弾性率、寸法安定性、成形加工性がより良好となる。
【0020】
なお、ここでいう数平均分子量(Mn)とは、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度[NH
2](μeq/g)と末端カルボキシル基濃度[COOH](μeq/g)から、次式で算出される。
数平均分子量(Mn)=2,000,000/([COOH]+[NH
2])
【0021】
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)は、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))が、好ましくは1.8〜3.1である。分子量分布は、より好ましくは1.9〜3.0、さらに好ましくは2.0〜2.9である。分子量分布をこのような範囲とすることにより、機械特性に優れたポリアミド樹脂組成物(成形材料や成形品等)が得られやすい傾向にある。
【0022】
分子量分布は、GPC測定により求めることができ、具体的には、装置として東ソー社製「HLC−8320GPC」、カラムとして、東ソー社製「TSK gel Super HM−H」2本を使用し、溶離液トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、樹脂濃度0.02質量%、カラム温度40℃、流速0.3ml/分、屈折率検出器(RI)の条件で測定し、標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めることができる。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定し作成する。
【0023】
本発明においては、ポリアミド樹脂(A)の融点は、150〜310℃であることが好ましく、180〜300℃であることがより好ましい。
また、ポリアミド樹脂(A)のガラス転移点は、50〜100℃が好ましく、55〜100℃がより好ましく、特に好ましくは60〜100℃である。この範囲であると、耐熱性が良好となる傾向にある。
【0024】
なお、融点とは、DSC(示差走査熱量測定)法により観測される昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度である。また、ガラス転移点とは、試料を一度加熱溶融させ熱履歴による結晶性への影響をなくした後、再度昇温して測定されるガラス転移点をいう。測定には、例えば、島津製作所社(SHIMADZU CORPORATION)製「DSC−60」を用い、試料量は約5mgとし、雰囲気ガスとしては窒素を30ml/分で流し、昇温速度は10℃/分の条件で室温から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させた際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度から融点を求めることができる。次いで、溶融したポリアミド樹脂を、ドライアイスで急冷し、10℃/分の速度で融点以上の温度まで再度昇温し、ガラス転移点を求めることができる。
【0025】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)以外の他のポリアミド樹脂を含んでいてもよい。具体的には、ポリアミド6、11、12、46、66、610、612、6I、6/66、6T/6I、6/6T、66/6T、66/6T/6I、他のポリアミドMX、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド等が挙げられる。なお、上記「I」はイソフタル酸成分、「T」はテレフタル酸成分を示す。
本発明のポリアミド樹脂組成物における他のポリアミド樹脂の割合は、配合する場合、ポリアミド樹脂(A)の5〜30重量%の範囲内で配合することが好ましい。また、他のポリアミド樹脂を実質的に配合しない構成とすることもできる。実質的に配合しないとは、例えば、他のポリアミド樹脂の割合が、ポリアミド樹脂(A)の5重量%未満であることをいう。
【0026】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)、他のポリアミド樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。具体的には、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸系樹脂、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)以外のポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物における他の熱可塑性樹脂の割合は、配合する場合、他の熱可塑性樹脂の5〜20重量%の範囲内で配合することが好ましい。また、他の熱可塑性樹脂を実質的に配合しない構成とすることもできる。実質的に配合しないとは、例えば、他の熱可塑性樹脂の割合が、熱可塑性樹脂の5重量%未満であることをいう。
また、耐衝撃性を向上させるため、エラストマーを配合する場合もあるであろう。エラストマーについては、後述する。
【0027】
<オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)を含む。
オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)は、無水マレイン酸とオレフィンモノマーとを共重合して形成される。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の共重合成分が含まれることを排除するものではない。
このようなオレフィンの例として、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブテン−1、オクテン、ブタジエン、スチレン、イソプレン、ヘキセン、長鎖アルケン(ドデセン、ドデセン−1、テトラデセンなど)などが挙げられ、エチレン、プロピレンおよびイソブチレンが好ましく、エチレンがより好ましい。これらのオレフィンには、天然ガスおよび/または原油由来のものもあるが、天然物質由来のものや生合成によって得られるものもある。
このようなコポリマーの例として、エチレン−無水マレイン酸コポリマー、プロピレン−無水マレイン酸コポリマー、イソブチレン−無水マレイン酸コポリマーが例示される。また、2種類以上のオレフィンと無水マレイン酸のコポリマーであってもよく、この場合のオレフィンは、エチレン、プロピレンおよびイソブチレンから選択される2種以上が好ましい。具体例としては、エチレン−プロピレン−無水マレイン酸ターポリマーが挙げられる。
【0028】
オレフィンと無水マレイン酸のモル比は、1:0.5〜1:1.5であることが好ましく、1:0.8〜1:1.2であることがより好ましく、1:0.9〜1:1.1であることがさらに好ましく、実質的に1:1であることが特に好ましい。
別の実施形態では、オレフィンと無水マレイン酸とのモル比は、1:99〜70:30で用いてもよく、1:50〜50:1、1:20〜20:1、1:10〜10:1、1:5〜5:1、1:2〜2:1で用いても良い。
オレフィンと無水マレイン酸は、交互コポリマーであっても良いし、ランダムコポリマーであってもよいが、交互コポリマーが好ましい。
オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、オレフィンおよび無水マレイン酸以外のモノマーも共重合されていてもよいが、これらの割合は、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)全体の5質量%以下であることが好ましい。
【0029】
オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)は、重量平均分子量(Mw)が、300〜1000万、10,000〜100万、20,000〜800,000、40,000〜600,000、50,000〜500,000または60,000〜400,000の範囲である。
市販品としては、ヴァーテラススペシャリティーズ製のZeMac(登録商標)E−60(E60)、ZeMacE−400などが例示される。
【0030】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)0.05〜0.45重量部を含む。オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)の配合量の下限値については、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、0.05重量部以上配合されていれば、その効果を十分に発揮するが、例えば、0.08重量部以上とすることもでき、さらには、0.1重量部以上とすることもでき、特には、0.2重量部以上とすることもできる。上限値については、0.40重量部以下が好ましく、0.35重量部以下とすることもできる。
オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)は、1種類のみ含んでいても良いし、2種類以上含んでいても良い。
【0031】
<他の添加剤>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、上述の他、粉末状、繊維状、粒状及び板状等の各種有機または無機充填材、エラストマー、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、耐加水分解性改良剤、耐候安定剤、帯電防止剤、核剤、艶消剤、染顔料、着色防止剤、ゲル化防止剤等を配合することができる。
エラストマーの中には、無水マレイン酸変性オレフィン系エラストマーも含まれるが、このような無水マレイン酸変性オレフィン系エラストマーは、無水マレイン酸の変性率が低いものであり、上述のオレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)とは明確に区別される。具体的には、例えば、無水マレイン酸変性オレフィン系エラストマーとは、無水マレイン酸のモル比率が30%未満のものをいう。
本発明のポリアミド樹脂組成物の一実施形態として、ポリアミド樹脂と充填材の合計量が組成物の70重量%以上を占めるポリアミド樹脂組成物が挙げられる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物の他の実施形態として、ポリアミド樹脂が組成物の70重量%以上を占めるポリアミド樹脂組成物が挙げられる。
【0032】
<ポリアミド樹脂組成物の性能>
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)の250℃、保持時間6分、せん断速度121.6s
−1における溶融粘度が600〜1500Pa・sであることが好ましく、700〜1200Pa・sであることがより好ましい。このような構成とすることにより、成形加工時の安定性が良好となる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)の250℃、保持時間6分、せん断速度1216s
−1における溶融粘度が260〜500Pa・sであることが好ましく280〜400Pa・sであることがより好ましい。このような構成とすることにより、成形加工時の安定性が良好となる。
【0033】
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、ISO307に従った相対粘度が1.6以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、2.5以上であることがさらに好ましく、3.2以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.9以下であることがさらに好ましい。このような構成とすることにより、成形加工時の安定性が良好となる。
本発明における相対粘度は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【0034】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ISO179に準拠した、23℃の環境下におけるノッチ無しシャルピー衝撃強度を70kJ/m
2以上とすることができ、80kJ/m
2以上とすることもでき、さらには、150kJ/m
2以上とすることができ、特には、160kJ/m
2以上とすることができる。前記ノッチ無しシャルピー衝撃強度の上限値は特に定めるものではないが、用途等に応じ、例えば、250kJ/m
2以下とすることができる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、JIS K7161、JIS K7162に準拠した引張破壊応力を、50MPa以上とすることができ、58MPa以上とすることもできる。引張破壊応力の上限は特に定めるものではないが、用途等に応じ、例えば、80MPa以下とすることができる。
一方、ポリアミド樹脂組成物は、JIS K7161、JIS K7162に準拠した、引張破壊時呼びひずみを100%以上とすることができ、150%以上とすることができ、200%以上とすることもできる。引張破壊時呼びひずみの上限は特に定めるものではないが、用途等に応じ、例えば、300%以下とすることができる。
【0035】
<ポリアミド樹脂組成物の製造方法>
ポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、任意の方法を採用することができる。例えば、ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)と、必要に応じ配合される他の成分とをV型ブレンダー等の混合手段を用いて混合し、一括ブレンド品を調整した後、ベント付き押出機で溶融混練してペレット化する方法が挙げられる。あるいは、二段階練込法として、予め、ガラス繊維等の充填材以外の成分等を、十分混合後、ベント付き押出機で溶融混練りしてペレットを製造した後、そのペレットとガラス繊維等の充填材を混合後、ベント付き押出機で溶融混練りする方法が挙げられる。
【0036】
さらに、ガラス繊維等の充填材以外の成分等を、V型ブレンダー等で十分混合したものを予め調整しておき、この混合物をベント付き二軸押出機の第一シュートより供給し、ガラス繊維は押出機途中の第二シュートより供給して溶融混練、ペレット化する方法が挙げられる。
押出機の混練ゾーンのスクリュー構成は、混練を促進するエレメントを上流側に、昇圧能力のあるエレメントを下流側に配置されることが好ましい。
【0037】
混練を促進するエレメントとしては、順送りニーディングディスクエレメント、直交ニーディングディスクエレメント、幅広ニーディングディスクエレメント、および順送りミキシングスクリューエレメント等が挙げられる。
【0038】
溶融混練に際しての加熱温度は、融点に応じて230〜300℃の範囲から適宜選択することができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。そのため、剪断発熱等を考慮したスクリュー構成を選定することが望ましい。また、混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する観点から、酸化防止剤や熱安定剤を使用することが望ましい。
【0039】
<成形品>
本発明の成形品は、本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなる。成形方法としては、従来公知の成形方法が各種採用できる。具体的には、射出成形、ブロー成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、プレス成形、ダイレクトブロー成形、回転成形、サンドイッチ成形及び二色成形等の成形方法を例示することができる。
本発明の成形品の製造方法の一実施形態として、本発明のポリアミド樹脂組成物を射出成形することにより製造することが挙げられる。本発明では、高剛性、高い耐衝撃性という観点から、射出成形に優れている。
本発明の成形品は、繊維、糸、ロープ、チューブ、ホース、フィルム、シート、各種成形材料、各種部品、完成品に広く用いられる。成形材料の一例として、連続繊維に本発明のポリアミド樹脂組成物を含浸させた繊維強化樹脂材料(例えば、プリプレグ)が例示される。ここで用いる連続繊維としては、炭素繊維およびガラス繊維が例示される。また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、インサート成形用樹脂として用いることができる。具体的には、金型内に、樹脂フィルムやプリプレグ、その他のインサート部品を配した後、本発明の樹脂組成物を注入して、一体化することが好ましい。ここで、インサート部品を構成する樹脂は、ポリアミド樹脂であることが好ましく、本発明のポリアミド樹脂組成物であることが好ましい。尚、本発明の樹脂組成物をインサート部品として用いても良いことは言うまでもない。この場合、注入する樹脂はポリアミド樹脂であることが好ましい。
利用分野については特に定めるものではなく、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品、食品包装用フィルム等の日用品、防衛および航空宇宙製品等に広く用いられる。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
本願実施例は、特に述べない限り、25℃で行った。
【0041】
<ポリアミド樹脂(A)>
<<合成例1:MPXD10−1の合成>>
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、セバシン酸(伊藤製油(株)製TAグレード)10kg(49.4mol)及び酢酸ナトリウム/次亜リン酸ナトリウム・一水和物(モル比=1/1.5)11.66gを仕込み、十分に窒素置換した後、更に少量の窒素気流下で系内を撹搾しながら170℃まで加熱溶融した。
メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)とパラキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)の質量比が70/30である混合キシリレンジアミン6.647kg(メタキシリレンジアミン34.16mol、パラキシリレンジアミン14.64mol)を溶融したセバシン酸に攪拌下で滴下し、生成する縮合水を系外に排出しながら、内温を連続的に2.5時間かけて240℃まで昇温した。
滴下終了後、内温を上昇させ、250℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、更に内温を上昇させて255℃で20分間、溶融重縮合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、得られた重合物をストランドダイから取り出して、これをペレット化することにより、ポリアミド樹脂MPXD10−1を得た。
ポリアミド樹脂MPXD10−1の数平均分子量=17000であった。
【0042】
<<合成例2:MPXD10−2の合成(比較用樹脂)>>
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、セバシン酸(伊藤製油(株)製TAグレード)10kg(49.4mol)及び酢酸ナトリウム/次亜リン酸ナトリウム・一水和物(モル比=1/1.5)11.66gを仕込み、十分に窒素置換した後、更に少量の窒素気流下で系内を撹搾しながら170℃まで加熱溶融した。
メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)とパラキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)の質量比が70/30である混合キシリレンジアミン6.623kg(メタキシリレンジアミン34.04mol、パラキシリレンジアミン14.59mol)を溶融したセバシン酸に攪拌下で滴下し、生成する縮合水を系外に排出しながら、内温を連続的に2.5時間かけて240℃まで昇温した。
滴下終了後、内温を上昇させ、250℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、更に内温を上昇させて255℃で20分間、溶融重縮合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、得られた重合物をストランドダイから取り出して、これをペレット化することにより、ポリアミド樹脂MPXD10−2を得た。
ポリアミド樹脂MPXD10−2の数平均分子量=16000であった。
【0043】
<<合成例3:MPXD10−3の合成(比較用樹脂)>>
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、セバシン酸(伊藤製油(株)製TAグレード)10kg(49.4mol)及び酢酸ナトリウム/次亜リン酸ナトリウム・一水和物(モル比=1/1.5)11.66gを仕込み、十分に窒素置換した後、更に少量の窒素気流下で系内を撹搾しながら170℃まで加熱溶融した。
メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)とパラキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)の質量比が70/30である混合キシリレンジアミン6.683kg(メタキシリレンジアミン34.35mol、パラキシリレンジアミン14.72mol)を溶融したセバシン酸に攪拌下で滴下し、生成する縮合水を系外に排出しながら、内温を連続的に2.5時間かけて240℃まで昇温した。
滴下終了後、内温を上昇させ、250℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、更に内温を上昇させて255℃で20分間、溶融重縮合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、得られた重合物をストランドダイから取り出して、これをペレット化することにより、ポリアミド樹脂MPXD10−3を得た。
ポリアミド樹脂MPXD10−2の数平均分子量=17500であった。
【0044】
<<合成例4:MXD10の合成>>
合成例1において、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合キシリレンジアミン6.647kgを、メタキシリレンジアミン6.647kg(48.80mol)に変更したこと以外は、合成例1と同様の方法でポリアミド樹脂MXD10を得た。
ポリアミド樹脂MXD10の数平均分子量=14500であった。
【0045】
<<合成例5:PXD10の合成(比較用樹脂)>>
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、セバシン酸(伊藤製油(株)製TAグレード)10kg(49.4mol)及び酢酸ナトリウム/次亜リン酸カルシウム(モル比=1/1.5)1.35gを仕込み、十分に窒素置換した後、更に少量の窒素気流下で系内を撹搾しながら190℃まで加熱溶融した。
パラキシリレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製)6.647kg(48.80mol)を溶融したセバシン酸に攪拌下で滴下し、生成する縮合水を系外に排出しながら、内温を連続的に2.5時間かけて280℃まで昇温した。滴下終了後、内温を上昇させ、290℃に達した時点で反応容器内を減圧にし、更に内温を上昇させて295℃で20分間、溶融重縮合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、得られた重合物をストランドダイから取り出して、これをペレット化することにより、ポリアミド樹脂PXD10を得た。
ポリアミド樹脂PXD10の数平均分子量=17000であった。
【0046】
<<その他の比較用ポリアミド樹脂>>
MXD6:メタキシリレンアジパミド樹脂(三菱瓦斯化学製、グレードS6007)、数平均分子量25000
【0047】
<<末端アミノ基濃度の測定方法>>
試料(ポリアミド樹脂)0.5gを30mLのフェノール/エタノール=4/1(体積比)に溶解させ、メタノール5mL加え、滴定液として0.01規定の塩酸にて自動滴定装置(平沼製作所製、COM−2000)にて滴定した。試料を加えず滴定した同様の操作をブランクとし、下記式より末端アミノ基濃度を算出した。
末端アミノ基濃度(μeq/g)=(A−B)×f×10/C
(A:滴定量(mL)、B:ブランク滴定量(mL)、f:滴定液のファクター、C:試料量(g))。
本願実施例で用いた滴定液のファクターfは1.006である。
【0048】
<オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)>
ZeMac E−60:エチレン−無水マレイン交互コポリマー
ヴァーテラススペシャリティーズ製、重量平均分子量(Mw)約60,000
ZeMac E−400:エチレン−無水マレイン交互コポリマー
ヴァーテラススペシャリティーズ製、重量平均分子量(Mw)約400,000
【0049】
<実施例1>
後述する表に示す(A)樹脂100重量部に対し、(B)成分を下記表に示す量(重量部)となるように秤量し、タンブラーにてブレンドし、二軸押出機(東芝機械製、TEM37BS)の根元から投入し、溶融して押し出し、ペレットを作製した。押出機の温度設定は、下記表に示した。
【0050】
<<相対粘度(RV)>>
ISO307に従い、相対粘度を測定した。具体的には、得られたペレット0.2gを精秤し、96重量%硫酸20mlに、25℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96重量%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から下式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
【0051】
<<引張破壊応力>>
引張試験機((株)東洋精機製作所製、「STROGRAPH APIII」)を用い、JIS K7161、JIS K7162に準拠した引張破壊応力を測定した。
具体的には、上記で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業(株)製、型式「SE130DU−HP」)を用いて、下記表に示すシリンダー温度、金型温度30℃、成形サイクル45秒の条件で射出成形し、試験片(全長167mmの1A型)を成形した。得られた試験片を、熱風乾燥機を用いて150℃で1時間アニールした後に、測定温度23℃、湿度50%RH、チャック間距離115.0mm、引張速度5mm/minの条件で引張試験を実施した。試験片の数は5個とし、その結果の平均値を算出した。
【0052】
<<引張破壊時呼びひずみ>>
引張試験機((株)東洋精機製作所製、「STROGRAPH APIII」)を用い、JIS K7161、JIS K7162に準拠して、引張破壊時呼びひずみを測定した。
具体的には、上記で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業(株)製、型式「SE130DU−HP」)を用いて、下記表に示すシリンダー温度、金型温度30℃、成形サイクル45秒の条件で射出成形し、試験片(全長167mmの1A型)を成形した。得られた試験片を、熱風乾燥機を用いて150℃で1時間アニールした後に、測定温度23℃、湿度50%RH、チャック間距離115.0mm、引張速度5mm/minの条件で引張試験を実施した。試験片の数は5個とし、その結果の平均値を算出した。
【0053】
<<ノッチ無シャルピー衝撃強度の測定>>
上記で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業(株)製、型式「SE130DU−HP」)を用いて、下記表に示すシリンダー温度、金型温度30℃、成形サイクル45秒の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(厚み:4mm)を成形した。このISO多目的試験片を、熱風乾燥機を用いて150℃で1時間アニールした後に、23℃、湿度50%RHの環境下において、ノッチ無しシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m
2)を測定した。また、試験機容量5Jで破壊しない場合をNBと表した。
【0054】
<<溶融粘度>>
上記で得られたペレットについて、東洋精機製 Capirograph 1C(キャピログラフ)を用い、下記表に示す温度で、保持時間:6min、ノズル径:1mm、ノズル長:10mm、剪断速度:121.6(1/sec)または1216(1/sec)で、それぞれ、測定した。
【0055】
<<押出安定性>>
ポリアミド樹脂(A)とオレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)を二軸押出機で混練した際のストランドの状態を観察した。問題なく押出できたものは安定とし、ストランド上に粒状物が確認できたものはゲル化とした。
【0056】
<他の実施例および比較例>
実施例1と同様にして、但し、ポリアミド樹脂(A)の種類および添加剤(B)の種類および配合量、押出温度を下記表に示す通り変更し、実施例および比較例のペレットを製造した。また、下記表中、(B)の種類欄が、「−」となっているものは、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)を添加していないことを意味する。また、N66は、ポリアミド66(東レ株式会社製、アミランCM30001−N)を用いた。
以下に結果を示す。
【0057】
【表1】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
上記結果から明らかなとおり、本発明のポリアミド樹脂組成物は、靱性(ノッチ無シャルピー衝撃強度)が高く、破断歪(引張破壊時呼びひずみ)が高かった(実施例1〜4)。
これに対し、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)を配合しない場合(比較例1、6、7、9)、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)の配合量が多い場合(比較例4、5)、ポリアミド樹脂(A)が所定の組成のポリアミド樹脂でない場合(比較例7〜10)、ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度が所定の範囲でない場合(比較例2、3)は、いずれも、靱性と破断歪の少なくとも一方に劣る結果であった。
また、ポリアミド樹脂として、所定のポリアミド樹脂(A)を用いず、一般的なポリアミド樹脂であるポリアミド66を用いた場合、破断歪(引張破壊時呼びひずみ)については、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)を配合しない方がわずかに高い値となった。明らかに、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)が破断歪の向上に寄与していないことが分かる。また、靱性については、ポリアミド66は本来的に靭性の高い樹脂であり、本発明のポリアミド樹脂組成物のような、優れた改善効果は認められなかった。
以上の結果より、所定のポリアミド樹脂(A)と所定のオレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)の組み合わせにより、靱性(ノッチ無シャルピー衝撃強度)が高く、破断歪(引張破壊時呼びひずみ)が高いポリアミド樹脂組成物が得られることが分かった。
ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成されるポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、オレフィン−無水マレイン酸コポリマー(B)0.05〜0.45重量部を含み、前記ジアミン由来の構成単位の50モル%以上が、メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも一方に由来し、メタキシリレンジアミン由来の構成単位とパラキシリレンジアミン由来の構成単位のモル比が100:0〜40:60であり、前記ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%以上が、セバシン酸に由来し、前記ポリアミド樹脂(A)の末端アミノ基濃度が10〜30μeq/gである、ポリアミド樹脂組成物。