(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底板と該底板の周端より立設された側壁と該側壁で囲まれた領域を覆う上蓋とで構成される筐体と、ビーム光を外部の複数の感光体に出射すべく複数の光源からの光を誘導する複数の光学部材を前記筐体内部で固定する複数の固定部材と、を備え、前記筐体内部に内蔵させる前記光源と前記光学部材を選択することで、複数の感光体へビーム光を出射するカラー用走査光学装置及び単一の感光体へビーム光を出射するモノクロ用走査光学装置のいずれかを択一的に構成する走査光学装置であって、
前記モノクロ用走査光学装置として構成する場合において、前記固定部材のうち前記光学部材が固定されることのない固定部材の一部で固着される平板部材を有し、
当該平板部材が、その下面が前記底板と対向するとともに、前記底板と前記上蓋の間となる位置に配置されることを特徴とする走査光学装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像形成装置の生産効率を高めるべく、モノクロ画像のみを印字出力する画像形成装置に採用される走査光学装置(以下、「モノクロ用走査光学装置」と呼ぶ。)に、カラー画像用の画像形成装置に内蔵される走査光学装置(以下、「カラー用走査光学装置」と呼ぶ。)が転用されている。このカラー用走査光学装置より転用されるモノクロ用走査光学装置は、例えば、Y(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、K(Key tone)それぞれに対する光ビームを照射するカラー用走査光学装置からの転用の場合、カラー画像を形成するためのY、M、Cそれぞれの光ビームを誘導する光学系が省かれることによって構成される。
【0007】
即ち、
図15(a)に示すように、カラー用走査光学装置100は、ポリゴンミラー101で反射するY、M、C、K各色に対するレーザー光LY,LM,LC,LKそれぞれを、4つの感光体ドラム200Y,200M,200C,200Kそれぞれに誘導するべく、光学系102Y,102M,102C,102Kを具備する。そして、このカラー用走査光学装置100を転用したモノクロ用走査光学装置100Bは、1つの感光体ドラム200Kにのみ光ビームを照射する構成であればよく、
図15(b)に示すように、レーザー光LKのみを誘導させる光学系102Kのみを備えた構成とされる。従って、モノクロ用走査光学装置100Bは、
図15(a)に示すカラー用走査光学装置100から光学系102Y,102M,102Cを省いた構成となる。
【0008】
このとき、カラー用走査光学装置100は、ポリゴンミラー101を回転させるモーターの振動が筐体103の底板104に伝達されることで、この底板104における固体振動が空気振動を引き起こすことにより、固体振動音が発生する。しかしながら、この底板104の固体振動に基づく空気振動の多くは、筐体103内部に設置される光学部品102Y,102M,102C,102Kにより遮断される。そのため、筐体103の上蓋105に伝達される振動が抑制され、カラー用走査光学装置100による騒音は小さい。一方、このカラー用走査光学装置100から転用されたモノクロ用走査光学装置100Bは、底板104の固体振動による空気振動を遮断していた光学部品の多くが除かれるため、筐体103内部の空間を伝播して上蓋105も振動する。このため、モノクロ用走査光学装置100Bは、筐体103の固体振動音による騒音が大きくなるという問題がある。
【0009】
これに対して、上述の特許文献2の走査光学装置は、単一の感光体ドラムへ光ビーム(単一色の光ビーム)を出射するものであり、防振材の貼付によって筐体の固体振動音を減衰させる構成としているが、
図15(b)に示すモノクロ用走査光学装置100Bのように、筐体103をカラー用走査光学装置100と共用にするものではない。つまり、特許文献2の走査光学装置は、筐体の構成を単一色の光ビームを出射する仕様に合わせたものとすることで、騒音を防止するものとしている。従って、特許文献2の走査光学装置における騒音低減のための構成を採用した場合に、カラー用走査光学装置100で騒音が低減できる構成としたとしても、その筐体103を共用とするモノクロ用走査光学装置100Bにおいて、騒音が低減されるものではない。
【0010】
本発明は、複数の感光体に光ビームを出射する構成と単一の感光体に光ビームを出射する構成とを択一的に選択できる筐体を有するとともに単一の感光体に光ビームを出射する構成とした場合にも固体振動による騒音を抑制できる走査光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の走査光学装置は、底板と該底板の周端より立設された側壁と該側壁で囲まれた領域を覆う上蓋とで構成される筐体と、ビーム光を外部の複数の感光体に出射すべく複数の光源からの光を誘導する複数の光学部材を前記筐体内部で固定する複数の固定部材と、を備え、前記筐体内部に内蔵させる前記光源と前記光学部材を選択することで、複数の感光体へビーム光を出射するカラー用走査光学装置及び単一の感光体へビーム光を出射するモノクロ用走査光学装置のいずれかを択一的に構成する走査光学装置であって、前記モノクロ用走査光学装置として構成する場合において、前記固定部材のうち前記光学部材が固定されることのない固定部材の一部で固着される平板部材を有し、当該平板部材が、その下面が前記底板と対向するとともに、前記底板と前記上蓋の間となる位置に配置されることを特徴とする。
【0012】
このような走査光学装置において、前記平板部材が、前記ビーム光を透過させる開口部を備えるものとしてもよい。このとき、前記平板部材の前記開口部に前記ビーム光を走査させる走査レンズが設置されるものとしてもよい。
【0013】
又、上記の走査光学装置において、前記平板部材が、前記底板に向かって屈曲する屈曲部を、前記ビーム光を透過させる領域との境界部分に備えるものとしてもよい。
【0014】
更に、上述のいずれかの走査光学装置において、前記平板部材の面上に絞りが形成されるものとしてもよい。このとき、前記絞りの形状が前記平板部材の対角線に沿う形状であるものとしてもよい。
【0015】
上述のいずれかの走査光学装置において、前記平板部材が金属板金で構成されるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、カラー用走査光学装置を構成できる筐体を利用してモノクロ用走査光学装置を構成する際、不要となる光学部材が固定される固定部材を利用して、筐体の底板と上蓋との間に位置する平板部材が設置できる。この平板部材の設置により、光学部材の設置数が少ないモノクロ用走査光学装置を構成する場合においても、底板の固体振動に基づく筐体内部の空気振動が平板部材による反射又は吸収により遮断され、上蓋における固体振動を防ぐとともに、筐体の固体振動音による騒音を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<本発明の走査光学装置における基本構成>
本発明を実施するための形態として、その基本となる構成につき、以下に図面を参照して説明する。
図1は、本発明の走査光学装置における筐体の構成を示す平面図であり、
図2は、
図1による筐体の断面図である。又、
図3は、本発明の走査光学装置をカラー用走査光学装置として構成したときの筐体内部の構成を示す平面図であり、
図4は、
図3の走査光学装置の断面図である。尚、
図1及び
図3の平面図では、その内部構造を明らかにすべく、上蓋を取り除いて図示している。又、以下の説明において必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「左右」「上下」「前後」)を用いる場合は、
図2における紙面正面を前として、その前後方向を正面視とし、これを基準にしている。即ち、主走査方向が、
図2を基準とする「前後方向」に相当する。
【0019】
1.走査光学装置の筐体の構成
まず、走査光学装置の各部品を内蔵する筐体2について、
図1及び
図2を参照して説明する。筐体2は、略矩形状の底板21における前後左右の周端に側壁22f,22b,22l,22rが立設されるとともに、この側壁22f,22b,22l,22rの上側を上蓋23によって覆う構成とされる。この筐体2は、スキャナーユニット40(
図3参照)が設置される光源設置領域20aと、スキャナーユニット40から照射されるレーザー光を外部の感光体ドラム(不図示)へ照射させるための光学部材が設置される光学部材設置領域20bとを備える。光源設置領域20a及び光学部材設置領域20bはそれぞれ、底板21から上蓋23へ立設された内壁24によって仕切られた筐体2の左側及び右側それぞれに形成される。
【0020】
筐体2の光学部材設置領域20bには、fθレンズで構成される走査レンズ201,202(
図4参照)それぞれを固定するレンズ固定部材25a,25bと、Y、M、C、K各色に対するレーザー光LY,LM,LC,LK(
図4参照)それぞれを反射させる反射鏡203y,203m,203c,203k(
図4参照)が設置される下部台座26y,26m,26c,26kと、レーザー光LY,LM,LCを装置外部へ出射させる反射鏡204y,204m,204c(
図4参照)が設置される上部台座27y,27m,27cと、fθレンズで構成される走査レンズ205y,205m,205c,205k(
図4参照)を固定するレンズ固定部材28y,28m,28c,28kが、底板21より突設される。
【0021】
レンズ固定部材25a,25b、下部台座26y,26m,26c,26k、上部台座27y,27m,27c、及びレンズ固定部材28y,28m,28c,28kはそれぞれ、前後方向に配置された一対となる二つの部品で構成される。このとき、上部台座27y,27m,27cを構成する各部品は、例えば、本構成例のように、前後の側壁22f,22bそれぞれと一体に形成されるものとしてもよい。そして、レンズ固定部材25a,25b及び下部台座26y,26m,26c,26kは、前後方向において、上部台座27y,27m,27cよりも内側に設置されるものとしてもよい。
【0022】
又、光学部材設置領域20bの下側(底板21側)において、レンズ固定部材25a,25b及び下部台座26y,26m,26c,26kが、内壁24から右側側壁22rに向かって、25a,25b,26y,26m,26c,26kの順に設置される。一方、光学部材設置領域20bの上側(上蓋23側)において、上部台座27y,27m,27c及びレンズ固定部材28y,28m,28c,28kが、内壁24から右側側壁22rに向かって、27y,28y,27m,28m,28c,27c,28kの順に設置される。
【0023】
内壁24は、スキャナーユニット40(
図3参照)から出射されるレーザー光を通過させて光学部材設置領域20bの光学部品に照射するための、矩形状の切欠部241を有する。筐体2の前後方向において、内壁24の切欠部241よりも外側に、レンズ固定部材25a,25b及び下部台座26y,26m,26c,26kを構成する各部品が設置される。これにより、内壁24の切欠部241から拡散して走査されるレーザー光が、レンズ固定部材25a,25b及び下部台座26y,26m,26c,26kそれぞれに設置される光学部品に照射される。
【0024】
光源設置領域20aには、スキャナーユニット40(
図3参照)を固定するためのネジが螺入されるネジ穴29が設けられる。このネジ穴29が設けられたスキャナーユニット40(
図3参照)の設置領域よりも後側側壁22b側には、スキャナーユニット40(
図3参照)へレーザー光を照射する光源を備える光源ユニット30が設置される。この光源ユニット30は、
図1の構成例では、光源設置領域20aと光学部材設置領域20bを跨いだ構成となる。従って、
図1の構成例では、スキャナーユニット40(
図3参照)の上部に、上部台座27y及びレンズ固定部材28yが立設された構成となる。
【0025】
2.カラー用走査光学装置としたときの構成
上述のように構成される筐体2を採用するカラー用走査光学装置1Cは、光源ユニット30内部に、レーザー光LY,LM,LC,LKを出射する半導体レーザー素子を備えた複数の光源(不図示)と、各光源からのレーザー光LY,LM,LC,LKをスキャナーユニット40(
図3参照)に誘導する光学系が設置される。このカラー用走査光学装置1Cの構成について、
図3及び
図4を参照して、以下に説明する。
【0026】
カラー用走査光学装置1Cは、筐体2の光源設置領域20aにおいて、モーター41の回転軸により軸支されるポリゴンミラー42を備えるスキャナーユニット40が、ネジ穴29に螺入されるネジ(不図示)によって螺着される。このスキャナーユニット40は、光源ユニット30に対向する部分にスリット(不図示)が設けられる。従って、このスリットを通じて、光源ユニット30から照射されるレーザー光LY,LM,LC,LKが、スキャナーユニット40内部のポリゴンミラー42に照射される。更に、スキャナーユニット40は、内壁24の切欠部241に対向する部分が開口され、この開口部分から、回転するポリゴンミラー42を反射して走査されるレーザー光LY,LM,LC,LKが、内壁24の切欠部241を通って、光学部材設置領域20bに照射される。
【0027】
光学部材設置領域20bには、fθレンズで構成される長尺状の走査レンズ201,202が、内壁24の切欠部241を通過するレーザー光LY,LM,LC,LKを受ける位置に、レンズ固定部材25a,25bによって固設される。このとき、レンズ固定部材25a,25bはそれぞれ、レーザー光LY,LM,LC,LKの照射がない走査レンズ201,202の両端を把持する。走査レンズ202の設置位置より更に右側には、長尺状の反射鏡203y,203m,203c,203kが、下部台座26y,26m,26c,26kにより、レーザー光LY,LM,LC,LKそれぞれを受ける位置に設置される。即ち、反射鏡203y,203m,203c,203kそれぞれは、その両端が下部台座26y,26m,26c,26kそれぞれの斜面に接着剤又はネジなどにより固着され、その鏡面を所定の角度で傾斜して設置される。
【0028】
反射鏡203y,203m,203c,203kそれぞれの上側には、反射鏡203y,203m,203c,203kそれぞれを反射したレーザー光LY,LM,LC,LKを透過する走査レンズ205y,205m,205c,205kが、レンズ固定部材28y,28m,28c,28kによって固設される。即ち、長尺状の走査レンズ205y,205m,205c,205kはそれぞれ、その両端が接着剤又はネジなどによりレンズ固定部材28y,28m,28c,28kに固着されることで、反射鏡203y,203m,203c,203kそれぞれを反射するレーザー光LY,LM,LC,LKの光路上に設置される。更に、走査レンズ205y,205m,205cそれぞれよりも左上側には、長尺状の反射鏡204y,204m,204cが、上部台座27y,27m,27cにより、レーザー光LY,LM,LCそれぞれを受ける位置に設置される。即ち、反射鏡204y,204m,204cそれぞれは、その両端が上部台座27y,27m,27cそれぞれの斜面に接着剤又はネジなどにより固着され、その鏡面を所定の角度で傾斜して設置される。
【0029】
更に、筐体2の上側を覆う上蓋23には、反射鏡204y,204m,204cそれぞれを反射するレーザー光LY,LM,LCそれぞれを装置外部に出射させるための開口に嵌合させた防塵用のウィンドウガラス231y,231m,231cと、走査レンズ205kを透過するレーザー光LKを装置外部に出射させるための開口に嵌合させた防塵用のウィンドウガラス231kとが、具備される。このウィンドウガラス231y,231m,231c,231kはそれぞれ長尺状で構成されるとともに、反射鏡204y,204m,204c及び走査レンズ205kの上に配置される。
【0030】
このように構成されるカラー用走査光学装置1Cは、光源ユニット30から照射されるレーザー光LY,LM,LC,LKが、スキャナーユニット40内部のポリゴンミラー42の回転により走査される。このとき、ポリゴンミラー42より反射するレーザー光LY,LM,LC,LKの光束は、光学部材設置領域20bにおいて、筐体2の底板21から上蓋23に向かって、LY,LM,LC,LKの順に位置する。このレーザー光LY,LM,LC,LKがそれぞれ、走査レンズ201,202を順番に透過すると、反射鏡203y,203m,203c,203kによって反射される。
【0031】
反射鏡203y,203m,203cを反射したレーザー光LY,LM,LCはそれぞれ、反射鏡203y,203m,203cで左側上方に折り返すことで、fθレンズで構成される走査レンズ205y,205m,205cを透過した後、反射鏡204y,204m,204cで反射し、上蓋23のウィンドウガラス231y,231m,231cから外部に出射される。又、反射鏡203kを反射したレーザー光LKは、反射鏡203kで上方に折り返すことで、fθレンズで構成される走査レンズ205kを透過しし、上蓋23のウィンドウガラス231kから外部に出射される。これにより、レーザー光LY,LM,LC,LKが、感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kそれぞれに照射される光ビームとして、カラー用走査光学装置1Cから出射される。
【0032】
このカラー用走査光学装置1Cは、光学部材設置領域20bにおいて、底板21と上蓋23の間には、反射鏡204y,204m,204c及び走査レンズ205y,205m,205c,205kなどの複数の光学部材が設置される。そのため、スキャナーユニット40のモーター41が設置される底板21が、モーター41の回転に基づく固体振動が発生したとしても、この固体振動による空間振動が、これらの光学部材(反射鏡204y,204m,204c及び走査レンズ205y,205m,205c,205k)によって遮断される。そのため、底板21の固体振動の上蓋23への伝播を抑制でき、カラー用走査光学装置1Cによる騒音発生が低減される。
【0033】
このようにカラー用走査光学装置1Cを構成できる筐体2は、
図5及び
図6に示すように、光源ユニット30から照射するレーザー光をレーザー光LKのみとするとともに、光学部材設置領域20bに設置する光学部材を、走査レンズ201,202,205k及び反射鏡203kのみで構成することで、モノクロ用走査光学装置1Mを構成できる。このように構成されるモノクロ用走査光学装置1Mにより、スキャナーユニット40から照射されるレーザー光LKが、感光体ドラム3への光ビームとして出射される。モノクロ用走査光学装置1Mは、このモノクロ用走査光学装置1Mにおける振動抑制のための各構成について、以下の各実施形態で詳細を説明する。
【0034】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態の走査光学装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態の走査光学装置の筐体内部の構成を示す平面図であり、
図8は、
図7の走査光学装置の断面図である。尚、
図7及び
図8の構成において、
図5及び
図6の構成と同一の部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0035】
本実施形態のモノクロ用走査光学装置10Mは、
図7及び
図8に示すように、上述のモノクロ用走査光学装置1M(
図5及び
図6参照)に対して、反射鏡203kで反射して上蓋23のウィンドウガラス231kに向かうレーザー光LKの光路よりも左側を覆う平板部材210を追加した構成である。このとき、平板部材210は、例えば、金属板金で構成されるとともに、
図8に示すように、筐体2の上下方向において、底板21と上蓋23の間で配置されるとともに、
図7に示すように、その前後方向の幅が左右の側壁22l,22rとほぼ同等の幅とされる。
【0036】
この平板部材210が、光学部材設置領域20bにおける反射鏡203kよりも左側の領域のほぼ全面を覆うことで、底板21の固体振動による筐体2内部の空気振動を、平板部材210で反射又は吸収することで減衰するとともに、上蓋23への伝播を抑制する。これにより、モノクロ用走査光学装置10Mにおいて、モーター41の回転に基づく筐体2の固体振動が抑制されるため、筐体2の固体振動音による騒音が低減される。
【0037】
又、モノクロ用走査光学装置10Mにおいて、例えば、平板部材210の前後の端部において、
図8に示す構成のように、その下側面が、接着剤による接着又はネジによる螺着により、上部台座27y,27m,27cそれぞれに固着されて、平板部材210が筐体2に固定されるものとしてもよい。又、平板部材210の固定するための筐体2側の部材としては、上部台座27y,27m,27cに限らず、レンズ固定部材28y,28m,28cを採用することも可能である。尚、走査レンズ205kは、平板部材210の右側端部よりも更に右側に位置するよう、レンズ固定部材28kにより固定されている。
【0038】
このように、本実施形態では、カラー用走査光学装置1C(
図3及び
図4参照)にのみ必要な光学部材を固定させるためのレンズ固定部材28y,28m,28c及び上部台座27y,27m,27cを、平板部材210の固定にも共用できる構成とする。これにより、本実施形態では、低騒音性のモノクロ用光学装置10Mを、カラー用走査光学装置1Cを構成できる筐体2を共用して構成することができる。従って、走査光学装置1において、本実施形態の構成を採用することによって、カラー用及びモノクロ用それぞれの画像形成装置の生産効率を高めることができる。
【0039】
尚、本実施形態のモノクロ用光学装置10Mに用いられる平板部材210について、
図9に示すように、略矩形形状となる平板部材210の対角線上に沿って設けられた凹部により構成されるビード(絞り)211を備えるものとしても構わない。このように、平板部材210が、その対角線に沿ったビード211を有する構成とされることで、平板部材210の剛性を高めることができる。
【0040】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態の走査光学装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図10は、本実施形態の走査光学装置の筐体内部の構成を示す断面図である。尚、
図10の構成において、
図7及び
図8の構成と同一の部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0041】
本実施形態のモノクロ用走査光学装置11Mは、
図10に示すように、第1の実施形態のモノクロ用走査光学装置10M(
図7及び
図8参照)における平板部材210の代わりに、その右側端部を下側に屈曲させた屈曲部213を有する平板部材212が設置された構成となる。このとき、平板部材212は、第1の実施形態における平板部材210(
図7及び
図8参照)と同様、その下側面が接着又は螺着によりレンズ固定部材28y,28m,28c又は上部台座27y,27m,27cに固着され、光学部材設置領域20bにおける反射鏡203kよりも左側の領域のほぼ全面を覆うよう、筐体2内部で固定される。
【0042】
この平板部材212の右側端部に設けられた屈曲部213は、その下側面214が窪むように断面を略円弧状とされる。そして、屈曲部213の最下端215は、レーザー光LKの照射を遮断することがないよう、レーザー光LKの光束による走査レンズ202から反射鏡203kまでの光路よりも上に位置する。このように平板部材212を構成することで、本実施形態のモノクロ用走査光学装置11Mは、第1の実施形態のモノクロ用走査光学装置10Mと比べて、その騒音の発生をより低減させることができる。又、平板部材212は、屈曲部213が設けられるため、平板部材210と比べて、その剛性を高めることができる。尚、この平板部材212の剛性を更に高めるため、
図9に示す構成のように、平板部材212においてもビード211を設けるものとしても構わない。
【0043】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態の走査光学装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図11は、本実施形態の走査光学装置の筐体内部の構成を示す平面図であり、
図12は、
図11の走査光学装置の断面図である。尚、
図11及び
図12の構成において、
図7及び
図8の構成と同一の部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態のモノクロ用走査光学装置12Mは、
図11及び
図12に示すように、第1の実施形態のモノクロ用走査光学装置10M(
図7及び
図8参照)における平板部材210の代わりに、反射鏡203kで反射して上蓋23のウィンドウガラス231kに向かうレーザー光LKの光路上の領域に開口部215を有する平板部材214が設置された構成となる。このとき、平板部材214は、第1の実施形態における平板部材210(
図7及び
図8参照)と同様、その下側面が接着又は螺着によりレンズ固定部材28y,28m,28c又は上部台座27y,27m,27cに固着され、光学部材設置領域20bにおける反射鏡203kよりも左側の領域だけでなく右側の領域をも覆うよう、筐体2内部で固定される。
【0045】
この平板部材214は、光学部材設置領域20bのほぼ全域を覆う平板で構成されるとともに、レーザー光LKを通過させるべく、反射鏡203kとウィンドウガラス231kとを結ぶ面と交差する領域に開口部215が設けられる。又、走査レンズ205kは、平板部材214の開口部215の下側に位置するよう、レンズ固定部材28kにより固定されている。このように構成することで、本実施形態のモノクロ用走査光学装置12Mは、第1の実施形態のモノクロ用走査光学装置10Mと比べて、その騒音の発生をより低減させることができる。
【0046】
尚、
図13に示すように、本実施形態の平板部材214の代わりに、その開口部215に走査レンズ205が嵌合されて一体とされた平板部材216が設置されるものとし、平板部材216により光学部材設置領域20b全域を覆うようにしても構わない。この平板部材216を設置する構成とすることで、走査レンズ205kと平板部材214とを別体とした構成と比べて、光学部材設置領域20bを覆う領域が広がることで更なる低騒音化を実現できるだけでなく、その部品点数を削減できる。
【0047】
又、本実施形態の平板部材214において、
図14に示すように、第2の実施形態における屈曲部213と同様の断面を備える屈曲部217を、開口部215の右側に取り付けて、更なる低騒音化を実現するものとしても構わない。更に、上述の平板部材214,216それぞれについても、第1の実施形態と同様、その剛性を更に高めるため、
図9に示す構成のように、ビード211を設けるものとしても構わない。
【0048】
上述の各実施形態において、モノクロ用走査光学装置10M〜12Mを構成する際、平板部材210,212,214,216等による遮音部材を筐体2内部に設けることで、その低騒音性を維持するものとしたが、このような構成に更に、平板部材210,212,214,216に防振部材を貼付するものとして、更なる低騒音化を実現できるものとしても構わない。このような構成に更に、筐体2の底板21にも防振部材を貼付するものとして、底板21自体の固体振動を抑制させることで、騒音発生を更に抑制させるものとしても構わない。
【0049】
本発明の走査光学装置を、上記の各実施形態で説明したモノクロ用走査光学装置10M〜12Mのいずれかで構成した場合、モノクロ画像を形成する、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる。即ち、本発明の走査光学装置をモノクロ用走査光学装置として構成して画像形成装置に組み込んだ場合、この走査光学装置は、記録紙へ転写するためのトナー画像を把持する単一の感光体ドラムに静電潜像を形成するために、単一色の光ビームを出射する露光装置として機能させることができる。
【0050】
一方、本発明の走査光学装置をカラー用走査光学装置1Cで構成した場合、カラー画像を形成する、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる。即ち、本発明の走査光学装置をカラー用走査光学装置として構成して画像形成装置に組み込んだ場合、この走査光学装置は、Y,M,C,K各色のトナー画像を把持する各感光体ドラムに静電潜像を形成するために、Y,M,C,K各色の光ビームを出射する露光装置として機能させることができる。