【実施例】
【0036】
本発明の第1実施の形態となるクーラントガイド台金付き金網研削砥石2の構成と作用を
図1〜
図7により説明する。先ず、
図1は、クーラントガイド台金付き金網研削砥石2の断面構成をしめす。先ず、金網筒体3は、
図7に示すように中実線材3a叉は通孔hを開けた中空線材3bからなる金網材を
図1と
図2に示すように、円筒に形成し該先端面3cとこの周辺部3dに砥粒Dを固着させてなる。上記砥粒Dは、ダイヤ、CBN電着砥粒叉はWA、GC砥粒等である。更に、上記砥粒は、
図5に示すように、金網筒体3の網目を構成すべく交差させた線材3a叉3bの表面に固着され、上記網目の空間孔h1に研削液CO叉は冷却気体CEが流通可能としている。クーラントガイド台金(以下、クーラントガイドと言う)4は、
図1に示すように、円筒状で金網筒体の内周面に僅かな隙間で挿入される。更に、肉薄で先端に一対の切欠4aを凹設し、クーラントガイドの後端に中心に孔h2を開けた鍔体5の段部5aに嵌着されている。外筒体(カラー)6は、上記鍔体5に後端を一体保持した金網筒体3の外周を嵌合する。前記鍔体を軸芯方向Oに進退動することで外筒体内のクーラントガイド4と金網筒体3の先端とを外筒体6の先端からの突出量Xを加減させる構成とした。
図3に示すように、上記外筒体(カラー)6は、主軸に取り付けた工具ホルダに保持され、鍔体5の中心孔h2に主軸アーバーのセンター孔(共に図示なし)から研削液CO叉は冷却気体CEをクーラントガイド4の内壁(孔h3)に案内されつつ砥粒D及びワークWの加工点Pに供給する構成とした。
【0037】
上記クーラントガイド台金付き金網研削砥石2の作用を、
図3と図4に示す。加工内容は、一般の金属製の板材やコンクリートは勿論のこと、炭素繊維糸の線方向と直交する方向は強度が弱いCFRPに対する切断加工を含めた、芯残し加工である。
先ず、芯残し加工に先立ち、
図3に示すように、上記クーラントガイド台金付き金網研削砥石2は、加工機の主軸先端(アーバー)の工具ホルダに外筒体(カラー)6が装着され、主軸のセンタースルーにより研削液CO
又は冷却気体CE等がアーバーのセンター孔から金網研削砥石2の外筒体(カラー)6内に供給される。これで、
クーラントガイド4の鍔体5が金網筒体3の後端に当接して止められ、クーラントガイド4の先端が金網筒体3内を前進移動して両先端面3c,4aが揃えられる。続いて、図3と図4(a)に示すように、金網研削砥石2を降下させ
ると、外筒体6の先端
から突出するクーラントガイド4と金網筒体3の先端とをワークWの加工点Pに当てる。
ここで、クーラントガイド4の先端輪がワークWの加工点Pの内側を閉塞する。これで、外筒体(カラー)6内に供給される研削液CO
又は冷却気体CEは、クーラントガイド4の入口に嵌る鍔体5の孔h2から内孔h3に流入・通過して先端の切欠4aから金網筒体3の先端面3cとこの周辺部3dに固着させた砥粒Dに無駄なく供給されて冷却及び潤滑させるとともに、ワークWの加工点Pにも100%効率良く供給され、加工点から発生する研削屑の排出作用を促進する。
更に、上記クーラントガイド台金付き金網研削砥石2を下降させて金網筒体3の先端面3cの砥粒DがワークWを切り込むと、上記クーラントガイドの先端面が当接するワークWに押し返されるも、該先端面に設けた切欠4aから金網筒体3内にクーラント液となる研削液CO又は冷却気体CEを供給する。【0038】
更に、上記芯残し加工を進めると、
図4(b)のように、外筒体6の下降と連動して金網筒体3も降下してワークWの加工点Pを深く切り込んで行っても、クーラントガイド4内を先端の切欠4aから金網筒体3の先端面3cとこの周辺部3dに固着させた砥粒Dに無駄なく供給されて冷却及び潤滑させるとともに、ワークWの加工点Pにも100%効率良く供給され、加工点から発生する研削屑の排出作用を維持する。遂に、
図4(c)に見るように、外筒体6の下降と連動して金網筒体3も降下してワークWの加工点Pが裏面まで到達すると、金網筒体3の先端面3cが裏面から突出して残片W1を落下させ、芯残し加工を完了させる。この時、研削液CO叉は冷却気体CEは、クーラントガイド4内から一気に先端から孔内及び金網筒体3の先端面3cとこの周辺部3dに固着させた砥粒Dと網目空間h1にも無駄なく供給され、
図5に見るように網目や砥粒Dの洗浄と冷却及び潤滑、更に、ワークWの加工貫通孔W2内も洗浄されて研削屑の排出作用を促進する。
【0039】
上記金網筒体3の金網材3a
又は3bは、
図6に示すように、円筒芯材(薄肉の円筒体40)の内外周面の両面に二重に配置した多重網目構造の金網筒体(二重筒体)30としても良い。この二重構造の金網筒体30とすると、金網筒体30の剛性が高められるとともに、先端面3cとこの周辺部3dに固着する砥粒D等の幅が2倍以上に広められて研削能率も飛躍的に向上する。
【0040】
上記のように、第1実施の形態となるクーラントガイド台金付き金網研削砥石2によると、下記の効果が期待できる。
一般の金属製の板材やコンクリートは勿論のこと、炭素繊維糸の線方向と直交する方向は強度が弱いCFRPに対する切断加工を含めた、芯残し加工において、金網筒体3の先端面3cとこの周辺部3dに固着させた砥粒Dと網目空間h1にも無駄なく供給されて網目や砥粒Dの洗浄と冷却及び潤滑と、ワークWの加工貫通孔W2内も洗浄されて研削屑の排出作用を促進できる。また、通孔hを開けた中空線材3bからなる金網材を円筒に形成し該先端面3cとこの周辺部3dに砥粒Dを固着させると、金網筒体30の網目細部の潤滑及び冷却、研削屑が飛躍的に向上できる。更に、多重網目構造の金網筒体30とすることで、金網筒体30の剛性が高められ、砥粒D等の幅も2倍以上に広められて研削能率も飛躍的に向上できる。
【0041】
しかして、加工点・研削点へのクーラント液の供給が無駄なく効率アップされ、これにより研削屑の排出効率アップ、研削時間の短縮による研削効率が連鎖的に改善できる。特に、最少限の研削屑生成とこの研削屑が金網体の隙間からの排出効率アップを図るべく、クーラント液はクーラントガイド内を通過させて金網筒体の隙間を通過して砥粒や加工点に効率良く噴出できる。即ち、研削効率が改善されることで、加工効率のアップ、研削時間の短縮が図れる。
【0042】
続いて、
図8により、第2実施の態様となるクーラントガイド台金付き深穴内径用研削砥石7と、この金網筒体8とクーラントガイド9と外筒体10と、その作用を説明する。
金網筒体8の構成は、
図7に示すように、中実線材8a叉は通孔hを開けた中空線材8bからなる金網材を長身な円筒に形成し該先端面8cとこの周辺部8dに砥粒Dを固着させてなる。また、上記金網材は、内外周面の両面に配置した多重網目の構造としても良い。また、上記砥粒Dは、上記クーラントガイド台金付き金網研削砥石2と同様に、ダイヤ、CBN電着砥粒叉はWA、GC砥粒等である。更に、上記砥粒は、
図5に示すように、金網筒体8の網目を構成すべく交差させた線材8a叉8bの表面に固着され、上記網目の空間孔h1に研削液CO叉は冷却気体CEが流通可能としている。上記クーラントガイド9は、中心孔h2を貫通させた棒状であり、大径部9aと保持部9bと長身寸法の中腹部(クーラント噴射部)9cと先端押部9dとからなる。更に、上記クーラントガイド9にあけた中心孔h2には、金網筒体の中腹から先端側にわたりクーラントガイドの中腹部(クーラント噴射部)9cを包囲する金網筒体8の内周面に向けて多数の小孔h4を列設し、アーバーのセンター孔からの研削液叉は冷却気体を金網筒体の内周面と先端砥粒面Dとワークの加工点Pに供給する構成とした。上記外筒体10は、
図8の最下部に図示するように、パイプ状を呈していて、内孔10aは上記大径部9aと金網筒体8との外周を嵌合保持する。即ち、
図8の上記金網筒体の基端側内周面を固定する保持部と長身寸法の金網筒体の中腹から先端側にわたり僅かな隙間で金網筒体内を架絡する支持部と金網筒体の先端砥粒面を内側から保持する先端押部9dとからなり中心孔を貫通させた棒状のクーラントガイド9と、該クーラントガイド及び金網筒体8の後端部の外周を保持する外筒体10とで構成した。
【0043】
続いて、
図9において、クーラントガイド台金付き深穴内径用研削砥石7の作用を説明する。深穴内径用研削砥石7は、主軸の先端に取付けた工具ホルダに外筒体10が保持されている。先ず、主軸の回転Nと主軸内アーバーからの研削液CO叉は冷却気体CEは、クーラントガイド9にあけた中心孔h2に圧入され、金網筒体の中腹から先端側にわたり中腹部(クーラント噴射部)9cを包囲する金網筒体8の内周面に向けて小孔h4から研削液叉は冷却気体が噴射されるとともに、金網筒体の先端砥粒面Dからワークの加工点Pに供給される。これにより、長身なワークW3の深穴W4の加工及び研削加工に際し、高圧クーラント(研削液C○叉は冷却気体CE)により、小孔h4から均等に噴射される研削液叉は冷却気体が金網筒体80を外周方向へ膨らませて中高状態が維持されているから、精密な深穴W4の加工及び研削加工が実施される。
【0044】
上記第2実施の態様となるクーラントガイド台金付き深穴内径用研削砥石7によると、上記第1実施の形態となるクーラントガイド台金付き金網研削砥石2と同一の効果が得られる他、長身なワークW3の深穴W4の加工及び研削加工に際し、高圧クーラント(研削液CO叉は冷却気体CE)は、小孔h4から均等に噴射される研削液叉は冷却気体が金網筒体80を外周方向へ膨らませて中高状態を維持し、精密な深穴W4の加工及び研削加工が実施できる。
【0045】
更に、第3実施形態の円輪状の金網研削砥石11は、
図10(a)と
図12に示すように、金網材12を先ず円筒に形成後、ドーナツ状に巻き込んだ金網輪体13とする。続いて、
図10(b)に示すように、外周面に砥粒Dを固着(後工程で固着しても良い)させた金網輪体13とする。続いて、
図10(c)に示すように、クーラントガイド台金14は、上記金網輪体の内周面側を嵌合固定する凹状の嵌合部14a及び工具ホルダに保持される支持部14bを具備し、この嵌合部14aに、
図10(d)に示すように、金網輪体13を保持する。上記クーラントガイドの支持部にあけた通孔h5が上記嵌合部の外周面にあけた多数の放出口h6と連通されており、
図10(e)に示すように、金網輪体13の外周面に砥粒Dを固着させたクーラント台金付き金網研削砥石11を構成する。
【0046】
更に、第4実施形態のクーラント台金付き金網研削砥石15は、
図11(a)に示すように、クーラントガイド台金16は、支持部16fと上記金網輪体13の内周面側を嵌合固定する凹状の嵌合部16bと16cからなり、凹部の最小径部で左右の二つ割り嵌合部である。上記金網輪体13を上記二つ割り嵌合部16bと16c内に挟持する。そして、
図11(b)に示すように、ネジ棒16dに締結部材(ナット)16eにより締結固持させた構成である。
【0047】
更に、
図13に示す第5実施形態の金網研削砥石17は、上記、第3実施形態の円筒体研削砥石11叉は第4実施形態の円筒体研削砥石15において、上記金網輪体13を上記クーラントガイド16の嵌合部14a叉は16aに嵌合固定後に、上記金網輪体の外周面を平砥石面に二つ割りの治具Gで圧迫形成させ、該平砥石面に砥粒Dを電着装置EDにより形成させる構成とした。
【0048】
上記第5実施形態の金網研削砥石(平砥石面)17による各種加工例を、
図14により説明する。
図14(a)は、丸棒W11の外周面の研削加工。
図14(b)は、平板W12の表面の研削加工。
図14(c)は、丸棒W13の小径部Sの研削加工。
図14(d)は、平板W14の溝Mの研削加工。
図14(e)は、丸棒W15の内穴Hの研削加工。を各々示すが、これらの加工例に限定されず、各種の切削加工や研削加工が実施できる。これによる作用効果も、クーラントガイド台金付き金網研削砥石2の作用効果が期待できるから、その説明を省略する。
【0049】
また、
図15に示す第6実施形態の円錐研削砥石18は、円筒体研削砥石11及び円筒体研削砥石15において、
図13と同様に、上記金網輪体13を上記クーラントガイド14叉は16の嵌合部14a叉は16aに嵌合固定後に、上記金網輪体の外周面を円錐砥石面とすべく、治具Gで圧迫形成させ、該円錐砥石面13eに砥粒Dを電着形成させたクーラント台金付き金網研削砥石とした。
これにより、円筒ワークW5のテーパー面W6の切削加工や研削加工は、研削液CO叉は冷却気体CEを円錐砥石面13eの網目隙間や線内孔から噴出させて円滑にして効率良く実施される。
【0050】
また、
図16と
図17に示す第7実施形態の面取り砥石19となる金網研削砥石は、中実線材3a叉は通孔hを開けた中空線材3bからなる金網材を円錐金網体20とし、これをクーラントガイド台金22の嵌合部23に嵌め、円錐金網体20をキャップ21内に嵌め、該キャップ21をクーラントガイド台金22のネジ部24に螺着してなる。尚、上記円錐金網体20の造形は、
図17に示すように、平板状の金網材3は円錐凹部27を設けた金型26に乗せ、ハンマー25を油圧や空圧で円錐凹部27内に押圧して形成される。
上記面取り砥石19によると、前記円錐研削砥石18と同様に、円筒ワークW5のテーパー面W6の切削加工や研削加工が行える。上記加工は、前記第1実施形態のクーラントガイド台金付き金網研削砥石2他と同一の作用効果が得られる。
【0051】
また、
図18と
図19に示す第8実施形態の面取り円錐砥石36となる金網研削砥石は、平板状の金網材3を円筒部と円錐部とからなる金網体31にプレス成形し、これをクーラントガイド台金32の嵌合部34に嵌め、金網体31をキャップ35内に嵌め、該キャップ35をクーラントガイド台金32のネジ部33に螺着してなる。
上記面取り円錐砥石36によると、ワークW7のテーパー面W8の面取りと芯残し孔加工W9とが同時に切削加工と研削加工が行える。尚、W10は芯残し加工で切り抜かれた残片である。上記加工も、前記第1実施形態のクーラントガイド台金付き金網研削砥石2他と同一の作用効果が得られる。
【0052】
以上のように、本発明の各クーラントガイド台金付き金網研削砥石2、7、11、15、17、18、19、36等によると、下記の効果が得られる。先ず、薄板から厚板までの孔の貫通加工において、加工点・研削点へのクーラント液の供給が無駄なく効率アップされ、これにより研削屑の排出効率アップ、研削時間の短縮による研削効率が連鎖的に改善できる。特に、最少限の研削屑生成とこの研削屑が金網体の隙間からの排出効率アップを図るべく、クーラント液はクーラントガイド内を通過させて金網筒体の隙間を通過して砥粒や加工点に効率良く噴出される。しかして、研削効率が改善されることで、加工効率のアップ、研削時間の短縮が図れる。更に、一般の金属製の板材やコンクリートの孔加工の他、炭素繊維糸の線方向と直交する方向は強度が弱いCFRPに対する切断加工が向上できる。
【0053】
更に、第2実施態様のクーラントガイド台金付き金網円筒研削砥石によると、特に深穴研削加工や深い貫通孔加工において、加工点・研削点へのクーラント液の効率アップ、研削屑の排出効率アップ、研削時間の短縮による研削効率が改善できる。特に、最少限の研削屑生成とこの研削屑の排出効率アップを図るべく、クーラント液はクーラントガイド内を通過させて長身な金網筒体の砥粒や加工点に効率良く噴出し、研削効率が改善されることで、加工効率のアップ、研削時間の短縮が図れる。
【0054】
更に、各クーラントガイド台金付き金網円筒研削砥石によると、丸棒研削、平面研削、溝研削、内径研削、斜面研削等において、加工点・研削点へのクーラント液の効率アップ、研削屑の排出効率アップ、研削時間の短縮による研削効率が改善できる。特に、最少限の研削屑生成とこの研削屑の排出効率アップを図るべく、クーラント液はクーラントガイド内を通過させて金網輪体の砥粒や加工点に効率良く噴出し、研削効率が改善されることで、加工効率のアップ、研削時間の短縮が図れる。即ち、最少限の研削屑生成とこの研削屑の排出効率アップ、冷却気体及びクーラント液は砥石内を通過させて刃先へ効率良く噴出させ、研削効率を改善することで、加工効率のアップ、研削時間の短縮が図れる。
【0055】
更に、切削屑・研削屑となる粉塵を合理的に回収し、環境保全が図れる。
即ち、研削時に砥粒の剥奪が無く、研削液は刃先砥粒の表面を刃先内部から浸透(濡らす)できる。即ち、深穴を明けるとき、刃先に研削液を確実に到達できる。従って、砥石刃先(砥粒)は研削液、冷却気体及びを常に内部小孔から満たし、刃先の冷却効果、研削屑の排出効果、研削抵抗の低減効果による発熱低減効果、研削効率の向上効果等々が大きく期待できる。