特許第5954583号(P5954583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5954583金属化多孔性シートの製造方法、並びに金属化多孔性シートを含む積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954583
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】金属化多孔性シートの製造方法、並びに金属化多孔性シートを含む積層体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/36 20060101AFI20160707BHJP
   B32B 15/14 20060101ALI20160707BHJP
   B32B 15/12 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   C08J9/36CER
   C08J9/36CFF
   B32B15/14
   B32B15/12
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-253893(P2012-253893)
(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-101441(P2014-101441A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182785
【弁理士】
【氏名又は名称】一條 力
(72)【発明者】
【氏名】飯島 俊和
(72)【発明者】
【氏名】小野 雅章
(72)【発明者】
【氏名】田中 範夫
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−039960(JP,A)
【文献】 特開2011−201285(JP,A)
【文献】 特開平10−316944(JP,A)
【文献】 特開平03−130395(JP,A)
【文献】 特開2006−247636(JP,A)
【文献】 特開2006−312308(JP,A)
【文献】 特開2002−260449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/36
B32B 15/12
B32B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性シートの少なくとも片側表面に金属薄膜が形成された金属化多孔性シートの製造方法であって、多孔性シートに粘着性シートを貼合せ、該多孔性シートの粘着性シートが貼合されていない面上に金属薄膜をロール・ツー・ロール方式でドライコーティングにより形成し、その後粘着性シートを剥離することを特徴とする金属化多孔性シートの製造方法。
【請求項2】
前記粘着性シートは、基材および粘着層とからなり、基材が紙であることを特徴とする請求項1に記載の金属化多孔性シートの製造方法。
【請求項3】
前記粘着性シートは、基材および粘着層とからなり、粘着層がアクリル系樹脂からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属化多孔性シートの製造方法。
【請求項4】
前記多孔性シートが三次元網目状構造を有するウレタンフォームであり、前記粘着性シートが、基材および粘着層とからなり、基材が紙であり、粘着層がアクリル系樹脂からなり、その粘着力が1.0から2.0N/cmの範囲であることを特徴とする請求項1に載の金属化多孔性シートの製造方法。
【請求項5】
前記金属薄膜がアルミニウムを主体とする金属からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の金属化多孔性シートの製造方法。
【請求項6】
前記金属薄膜が銅を主体とする金属からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の金属化多孔性シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布や発泡体のような、抗張力が低く非常に伸ばされやすい多孔性シートの少なくとも片側表面に金属薄膜を形成した金属化多孔性シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元網目構造を有する金属多孔体は、各種濾過フィルタ、触媒担体、電池用電極など多方面に用いられている。
【0003】
これら三次元網目構造を有する金属多孔体の一例としてアルミニウム多孔体があり、この製造方法として、内部連通空間を有する三次元網状のプラスチック基体にアークイオンプレーティング法によりアルミニウムの蒸着処理を施して、該基体の表面部から最奥部に至る三次元網状の全格子の表面を覆って金属アルミニウム層を形成する方法の開示がある(特許文献1)。
【0004】
また、三次元網目状構造を有する発泡樹脂成形体の骨格に無電解めっき法によりアルミニウムの融点以下で共晶合金を形成する金属(銅等)皮膜を形成した後、アルミニウムペーストを塗布し、非酸化性雰囲気下で550℃以上750℃以下の温度で熱処理をすることで有機成分(発泡樹脂)の消失およびアルミニウム粉末の焼結を行い、金属多孔体を得る方法の開示がある(特許文献2)。
【0005】
樹脂フィルム支持層を多孔性となした後、これに真空蒸着により導電性を付与し、さらに、その表面に金属を電解析出させたことを特徴とするフィルム支持層を有するか、該層を除去した多孔性金属箔の製造法が開示されている(特許文献3)。
【0006】
また、ニッケル多孔体を得るために、連続気泡熱分解性フォーム構造物を、ニッケルカルボニルガスを含有する雰囲気中に装入し、このフォーム構造物を、ニッケルカルボニルガスが分解する温度に加熱し、ニッケルカルボニルガスをフォーム構造物上で分解させ、ニッケルメッキフォーム構造物を形成し、さらにフォーム構造物を熱分解し、連続気泡ニッケル網目を形成する方法が知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−10077号公報
【特許文献2】特開平8−170126号公報
【特許文献3】特開昭55−69285号公報
【特許文献4】特開平3−30259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これら多孔性シート上に蒸着あるいは化学気相蒸着法により金属薄膜を形成する際に、ロール・ツー・ロール方式で長尺シートを連続的に処理しようとすると、多孔性シートの抗張力が低いために、張力をかけながら長尺シートを搬送することが難しく、安定して連続的に金属薄膜を形成することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明に至った。すなわち、多孔性シートの少なくとも片側表面に金属薄膜が形成された金属化多孔性シートの製造方法であって、多孔性シートに粘着性シートを貼合せ、該多孔性シートの粘着性シートが貼合されていない面上に金属薄膜をロール・ツー・ロール方式でドライコーティングにより形成し、その後粘着性シートを剥離することを特徴とする金属化多孔性シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、少なくとも片側表面に金属薄膜が形成された金属化多孔性シートをロール・ツー・ロール方式で安定して作製できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、多孔性シートの少なくとも片側表面に金属薄膜が形成された金属化多孔性シートの製造方法であって、多孔性シートに粘着性シートを貼合せ、該多孔性シートの粘着性シートが貼合されていない面上に金属薄膜をロール・ツー・ロール方式でドライコーティングにより形成し、その後粘着性シートを剥離することを特徴とする金属化多孔性シートの製造方法である。
【0012】
本発明における多孔性シートとは、シート内に互いに連結する多数の孔を有するシートであって、具体的には不織布および発泡体を例示することができる。
【0013】
不織布とは、繊維を織ったり編んだりせず、ランダムに分散させた繊維をシート化したものをいい、公知のもの、例えば東レ(株)製“アクスター”(登録商標)M1020−8T等を使用することができる。
【0014】
発泡体としては、三次元網目状構造を有する連続気泡型が好ましい。金属薄膜が連続気泡の壁面に形成され、網目状構造の壁面全てに金属薄膜が形成されることが好ましい。軟質ポリウレタンフォーム、例えば、ソフトプレン工業株式会社の汎用ウレタンフォーム(ECT、ECS)、または、連続気泡ポリエチレンフォーム(三和化工(株)“オプセル”LC−150、“スーパーオプセル”LC−3000)等、公知の発泡体が使用できる。
【0015】
本発明における金属薄膜とは、例えば、クロム、金、銀、アルミニウム、銅、コバルトから選ばれる1種または2種以上の金属からなる薄膜であり、なかでもアルミニウムを主体とする金属、または銅を主体とする金属が実用性の点から好ましい。
【0016】
本発明における金属薄膜をアルミニウムとすると、多孔体はその主成分がアルミニウムであることから耐酸化性や耐腐食性に優れており、従来のニッケル多孔体では適用できなかった用途への使用が可能となる。
【0017】
本発明において、アルミニウムを主体とする金属薄膜としてアルミニウムに加えてアルミニウム以外の金属元素を含むことでその機械的な強度を確保し構造上の安定性をもたらすことを実現できるが、これらの金属元素としては、Bi、Co、Cu、Fe、Ge、In、La、Li、Mg、Mn、Ni、Si、Sn、Znのうちいずれか一つ以上の金属を用いた合金とすることが好ましい。蒸着薄膜の厚さはその効果及び実用的な観点から5μm以下であることが好ましい。
【0018】
次にこれら金属化多孔性シートの製造方法について以下に説明する。
【0019】
本発明の金属化多孔性シートの製造方法では、ポリウレタンフォームなどの三次元網目状構造を有する多孔性シートに、蒸着法、スパッタ法、化学気相蒸着法などのドライコーティングにより、アルミニウムや銅による金属薄膜を形成する。その際ロール・ツー・ロール方式で加工しようとすると、どうしても張力を掛けて搬送することになるため不織布、発泡体などの多孔性シートが伸びてしまい、安定して搬送できない。また、蒸着の際に蒸発源から飛んできた金属蒸気が多孔性シートをすり抜け背面の冷却ロールに付着してしまい、冷却ロールを汚染するという問題がある。
【0020】
これらの課題を解決するため、多孔性シートの蒸着する反対の面に粘着性シートを貼り合わせる。粘着性シートは上述の通り、搬送時の不織布、発泡体などの多孔性シートをすり抜けたアルミニウム等の金属が冷却ロールへ付着するのを防止する機能も有する。
【0021】
本発明における粘着性シートとは、文字通り粘着性を有するシートであって、基材シートに粘着剤が塗布されたものや、押出により単層または多層に積層されたオレフィン系のシートなどが知られており、マスキングテープ、保護フィルムなどとして使用されているものを指す。本発明における粘着性シートとして、塗装やシーリング、コーキング等の際に作業箇所以外を汚さないために貼る、いわゆるマスキングテープを好ましく用いることができる。
【0022】
本発明における粘着性シートとステンレス板との粘着力(180°剥離法)は、0.7〜3.1N/cm、より好ましくは、1.0〜2.0N/cmの範囲のものが望ましい。0.7N/cm以上とすることで、粘着性シートと不織布、発泡体などの多孔性シートがドライコーティング中で安定して密着した状態で搬送でき、好ましい。3.1N/cm以下であると金属薄膜が設けられた不織布、発泡体を粘着性シートから容易に分離することができ、好ましい。
【0023】
粘着性シートの基材としてはポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、クレープ紙、和紙、フラット紙、和紙等が用いられる。本発明において、ロール・ツー・ロール方式でドライコーティングで金属薄膜を形成する際には、100℃近い温度に粘着性シートが加熱されるが、意外なことにクレープ紙、和紙、フラット紙等の紙系の基材を用いたものが耐熱性の点からより好ましい。特に和紙、フラット紙がさらに好ましい。
【0024】
粘着性シートの粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等用いることができるが、ドライコーティングのための真空中での残留ガス発生の少ないアクリル系がより好ましい。
【0025】
本発明による金属化多孔性シートは必要に応じ、電解めっき等により金属をさらに厚く成膜することができる。
【0026】
本発明は、少なくとも片側表面に金属薄膜が形成された金属化多孔性シートであって、金属化多孔性シートを含む積層体から金属化多孔性シートのみを取り出す際は、次の通りである。
【0027】
粘着性シートが付いた金属化多孔性シートを、スリッターのアンワインダー側にセットし、ワインダー上軸に複数枚巻取り一旦止める。その後、複数枚巻き取った該金属化多孔性シートをほぐし、金属化多孔性シートから粘着性シートを剥がす。金属化多孔性シートは再びワインダー上軸にセットし、粘着性シートはワインダー下軸にセットし剥がしながら巻き取る。
【0028】
また、積層体としては、金属化多孔性シートの取り扱い性が格段に良好としたものである。すなわち、金属化多孔性シート単独ではロール状に巻き取る際、またロールから巻き出す際に張力を小さく、非常に精度良く制御しないと金属化多孔性シートが伸ばされて変形するのに対し、粘着性シートと共に巻き取り、巻き出すことで金属化多孔性シートの変形を抑えることができる。使用の直前で粘着性シートを剥離し、目的とする用途に適用することができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでない。なお、各種特性値は以下の方法で測定した。
【0030】
(1)粘着力(N/15mm)
粘着性シートをステンレス鋼板に貼り付け、23℃、65%RHの雰囲気に24時間保管後、180°の剥離方向に引っ張り剥がれるときの力を測定した(JIS Z0237:2009準拠)。
【0031】
(2)金属の付着量(g/m
サンプルサイズ幅300mm長さ500mmの未加工の多孔性シート、加工済みの金属化多孔性シートそれぞれ5枚ずつの重量を測定し、これらの平均値を用いて加工済み金属化多孔性シートの重量から未加工の多孔性シート重量を差し引き、金属の付着量をm換算した。
【0032】
(実施例1)
以下に示す方法によりに多孔性シートに金属薄膜を成膜した。
厚さ1mm、幅300mmの三次元網目状構造を有するウレタンフォーム((株)ブリヂストン製“エバーライト”SF HX80)をスリッター(東レエンジニアリング(株)製TS−SLITTER)の繰出し第1給紙にセットし、粘着性シートとしてマスキングテープ(ニチバン(株)製No.2311(基材:和紙、アクリル系粘着剤、粘着力:1.02N/cm))を第2給紙にセットして、ニップロール貼合線圧力1.2N/cm(ニップロール面長166.4cm、シリンダー径2.5cm、圧力0.2MPa、シリンダー本数2本)にてウレタンフォームの片面にマスキングテープを貼合せ、マスキングテープ面が外側になるように巻き取った。次に、ロール・ツー・ロール方式の巻取式コーティング装置(日本真空製EZ3544)の繰出し側に前述の貼合せ品をウレタンフォーム側が成膜される様にセットし、4.0×10−3Paまで排気した。その後、巻取式コーティング装置槽内の圧力が0.1〜0.2Paになるようにアルゴンガスを導入し、アルミニウムターゲットに単位面積当たり14W/cmの電力を投入し、加工速度0.05m/分でアルミニウムをスパッタリングにて4.3g/m付着させた後、巻き取った。一旦大気開放し片面アルミニウム成膜済みの貼合品を取り出し、再びスリッターの繰出し第1給紙に、アルミニウム成膜面にマスキングテープが貼り合わされる様にセットした。第2給紙には同じマスキングテープをセットし、アルミニウム成膜面へ貼り合わせると同時に、反対面のマスキングテープを剥がした。出来上がったウレタンフォーム・マスキングテープ貼合品を再び巻取式コーティング装置セットし、上記と同様の方法でアルミニウムを4.3g/m成膜した。大気開放しアルミニウム成膜済みのウレタンフォーム・マスキングテープ貼合品を取り出した。加工全般にウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープもウレタンフォームを破壊することなく、また糊残りなく剥がすことができた。
【0033】
(実施例2)
実施例1と同じウレタンフォームに同様の装置、方法で同様のマスキングテープを貼り合わせた物を、ロール・ツー・ロール方式の巻取式コーティング装置(日本真空製EZ3544)の繰出し側にウレタンフォーム側が成膜される様にセットし、4.0×10−3Paまで排気した。その後、巻取式コーティング装置槽内の真空度が0.1〜0.2Paになるようにアルゴンガスを投入し、銅ターゲットに単位面積当たり7W/cmの電力を投入し、加工速度0.21m/分で銅をスパッタリングにて2.7g/m付着させた。大気開放し銅成膜済みのウレタンフォーム・マスキングテープ貼合品を取り出し、マスキングテープを剥がしながら、ウレタンフォームを巻き取った。マスキングテープは、ウレタンフォームの破れ、伸び等を発生させずに、糊残りなく剥がす事ができた。
【0034】
(実施例3)
実施例2において、片面に銅をスパッタリングで成膜後、実施例1と同様にマスキングテープを剥がしながら、銅成膜面にマスキングテープを貼り合わせた。実施例1と同様にもう片面に銅を2.7g/mスパッタして成膜し両面金属化ウレタンフォームを作製した。
【0035】
ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0036】
(実施例4)
実施例1で使用したウレタンフォームの片面に、マスキングテープ(“テサ”テープ株式会社製4848、基材:ポリエチレン、アクリル系粘着剤、粘着力1.90N/cm)を貼合せた。実施例1と同様に、巻取式コーティング装置(日本真空製EZ3544)を使用し、マスキングテープを貼合せていない面に、真空度0.1〜0.2Paの圧力下でアルゴンガスを使用しスパッタリングでアルミニウムを、4.3g/m成膜した後、マスキングテープを剥がした。ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0037】
(実施例5)
実施例1で使用したウレタンフォームの片面に、マスキングテープ(住友3M株式会社製No.200、基材:クレープ紙、ゴム系粘着剤、粘着力3.0N/cm)を貼り合わせ、巻取式コーティング装置(日本真空製EZ3544)を使用し、マスキングテープを貼り合わせていない面に、真空度0.1〜0.2Paの圧力下でアルゴンガスを使用しスパッタリングでアルミニウムを、4.3g/m成膜した。ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0038】
(実施例6)
マスキングテープ(住友3M株式会社製No.217J、基材:クレープ紙、ゴム系粘着剤、粘着力3.53N/cm)を用いた。アルミニウム成膜後マスキングテープを剥がす際に、粘着力が強いためウレタンフォームの一部が破断してマスキングテープ側に移行したが実用上は問題のないレベルであった。
【0039】
(実施例7)
実施例1において、ウレタンフォームをポリエステル長繊維不織布(東レ株式会社製“アクスター”(登録商標)M1020−8T)としたこと以外は同様にして、不織布の両面にアルミニウム薄膜が成膜された不織布が作成でき、ポリエステル長繊維の破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0040】
(実施例8)
実施例1において、マスキングテープを株式会社寺岡製作所製マスキングテープ(No.609、基材:ポリエステルフィルム、アクリル系接着剤、0.78N/cm)としたこと以外は同様にして、ウレタンフォームの両面にアルミニウム薄膜が成膜されたウレタンフォームが作成できた。ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0041】
(実施例9)
実施例1において、マスキングテープを株式会社寺岡製作所製マスキングテープ(No.602、基材:ポリエステルフィルム、アクリル系接着剤、0.49N/cm)としたこと以外は同様にして、ウレタンフォームの両面にアルミニウム薄膜が成膜されたウレタンフォームを作成した。しかし、ウレタンフォームの面積の10%程度に熱負けが発生していたが実用上は問題のないレベルであった。
【0042】
(実施例10)
実施例1において、マスキングテープをニチバン株式会社製マスキングテープ(No.2312、基材:和紙、アクリル系接着剤、1.09N/cm)としたこと以外は同様にして、ウレタンフォームの両面にアルミニウム薄膜が成膜された金属化多孔性シートが得られた。ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0043】
(実施例11)
実施例1において、マスキングテープをニチバン株式会社製マスキングテープ(No.241、基材:和紙、ゴム系接着剤、1.18N/cm)としたこと以外は同様にして、ウレタンフォームの両面にアルミニウム薄膜が成膜されたウレタンフォームを作成した。ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0044】
(実施例12)
幅1000mmのウレタンフォーム(株式会社ブリヂストン社製“エバーライト”SF HX80)をスリッター(東レエンジニアリング(株)製TS−SLITTER)の繰出し第1給紙にセットし、マスキングテープ(ニチバン株式会社製No.2311、基材:和紙、アクリル系粘着剤、1.02N/cm)を第2給紙にセットして、ウレタンフォームの片面に、マスキングテープを貼り合わせ、マスキングテープ面が外側になるように巻き取った。次に、グラビアコーター(富士機械工業(株)C7−170)の繰出し軸に前述のウレタンフォーム・マスキングテープ貼り合わせ品をウレタンフォーム側が乾燥炉で上側になる様にセットし、乾燥炉温度最高130℃、搬送速度20m/分にて熱処理を行って、巻取り軸にてウレタンが内側になるように巻き取った。その後、熱処理済みのウレタンフォームとマスキングテープ貼り合わせ品を、連続真空蒸着機(日本真空製MF53−0016)の繰出し側にウレタンフォーム面に蒸着される様にセットし0.03Paまでアルミニウムを溶かしながら排気し、加工速度5.0m/分でアルミニウムを2.0g/m成膜した。マスキングテープは、ウレタンフォームの破れ、伸び等は起こすことなく剥がす事が出来た。
【0045】
(比較例1)
実施例1の厚さ1mm、幅300mmのウレタンフォームに、マスキングテープを貼り合わさずに巻取式コーティング装置(日本真空製EZ3544)を使用し、真空度0.1〜0.2Paの圧力下でアルゴンガスを使用しスパッタリング(アルミニウムを4.3g/m)しようとしたが、ウレタンフォームのみでは基材が伸びてしまい、搬送することが出来なかった。
【0046】
(比較例2)
実施例7において、マスキングテープを貼り合わせずにスパッタリング加工を行ったが、不織布が伸びてしまい、搬送することができなかった。