【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでない。なお、各種特性値は以下の方法で測定した。
【0030】
(1)粘着力(N/15mm)
粘着性シートをステンレス鋼板に貼り付け、23℃、65%RHの雰囲気に24時間保管後、180°の剥離方向に引っ張り剥がれるときの力を測定した(JIS Z0237:2009準拠)。
【0031】
(2)金属の付着量(g/m
2)
サンプルサイズ幅300mm長さ500mmの未加工の多孔性シート、加工済みの金属化多孔性シートそれぞれ5枚ずつの重量を測定し、これらの平均値を用いて加工済み金属化多孔性シートの重量から未加工の多孔性シート重量を差し引き、金属の付着量をm
2換算した。
【0032】
(実施例1)
以下に示す方法によりに多孔性シートに金属薄膜を成膜した。
厚さ1mm、幅300mmの三次元網目状構造を有するウレタンフォーム((株)ブリヂストン製“エバーライト”SF HX80)をスリッター(東レエンジニアリング(株)製TS−SLITTER)の繰出し第1給紙にセットし、粘着性シートとしてマスキングテープ(ニチバン(株)製No.2311(基材:和紙、アクリル系粘着剤、粘着力:1.02N/cm))を第2給紙にセットして、ニップロール貼合線圧力1.2N/cm(ニップロール面長166.4cm、シリンダー径2.5cm、圧力0.2MPa、シリンダー本数2本)にてウレタンフォームの片面にマスキングテープを貼合せ、マスキングテープ面が外側になるように巻き取った。次に、ロール・ツー・ロール方式の巻取式コーティング装置(日本真空製EZ3544)の繰出し側に前述の貼合せ品をウレタンフォーム側が成膜される様にセットし、4.0×10
−3Paまで排気した。その後、巻取式コーティング装置槽内の圧力が0.1〜0.2Paになるようにアルゴンガスを導入し、アルミニウムターゲットに単位面積当たり14W/cm
2の電力を投入し、加工速度0.05m/分でアルミニウムをスパッタリングにて4.3g/m
2付着させた後、巻き取った。一旦大気開放し片面アルミニウム成膜済みの貼合品を取り出し、再びスリッターの繰出し第1給紙に、アルミニウム成膜面にマスキングテープが貼り合わされる様にセットした。第2給紙には同じマスキングテープをセットし、アルミニウム成膜面へ貼り合わせると同時に、反対面のマスキングテープを剥がした。出来上がったウレタンフォーム・マスキングテープ貼合品を再び巻取式コーティング装置セットし、上記と同様の方法でアルミニウムを4.3g/m
2成膜した。大気開放しアルミニウム成膜済みのウレタンフォーム・マスキングテープ貼合品を取り出した。加工全般にウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープもウレタンフォームを破壊することなく、また糊残りなく剥がすことができた。
【0033】
(実施例2)
実施例1と同じウレタンフォームに同様の装置、方法で同様のマスキングテープを貼り合わせた物を、ロール・ツー・ロール方式の巻取式コーティング装置(日本真空製EZ3544)の繰出し側にウレタンフォーム側が成膜される様にセットし、4.0×10
−3Paまで排気した。その後、巻取式コーティング装置槽内の真空度が0.1〜0.2Paになるようにアルゴンガスを投入し、銅ターゲットに単位面積当たり7W/cm
2の電力を投入し、加工速度0.21m/分で銅をスパッタリングにて2.7g/m
2付着させた。大気開放し銅成膜済みのウレタンフォーム・マスキングテープ貼合品を取り出し、マスキングテープを剥がしながら、ウレタンフォームを巻き取った。マスキングテープは、ウレタンフォームの破れ、伸び等を発生させずに、糊残りなく剥がす事ができた。
【0034】
(実施例3)
実施例2において、片面に銅をスパッタリングで成膜後、実施例1と同様にマスキングテープを剥がしながら、銅成膜面にマスキングテープを貼り合わせた。実施例1と同様にもう片面に銅を2.7g/m
2スパッタして成膜し両面金属化ウレタンフォームを作製した。
【0035】
ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0036】
(実施例4)
実施例1で使用したウレタンフォームの片面に、マスキングテープ(“テサ”テープ株式会社製4848、基材:ポリエチレン、アクリル系粘着剤、粘着力1.90N/cm)を貼合せた。実施例1と同様に、巻取式コーティング装置(日本真空製EZ3544)を使用し、マスキングテープを貼合せていない面に、真空度0.1〜0.2Paの圧力下でアルゴンガスを使用しスパッタリングでアルミニウムを、4.3g/m
2成膜した後、マスキングテープを剥がした。ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0037】
(実施例5)
実施例1で使用したウレタンフォームの片面に、マスキングテープ(住友3M株式会社製No.200、基材:クレープ紙、ゴム系粘着剤、粘着力3.0N/cm)を貼り合わせ、巻取式コーティング装置(日本真空製EZ3544)を使用し、マスキングテープを貼り合わせていない面に、真空度0.1〜0.2Paの圧力下でアルゴンガスを使用しスパッタリングでアルミニウムを、4.3g/m
2成膜した。ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0038】
(実施例6)
マスキングテープ(住友3M株式会社製No.217J、基材:クレープ紙、ゴム系粘着剤、粘着力3.53N/cm)を用いた。アルミニウム成膜後マスキングテープを剥がす際に、粘着力が強いためウレタンフォームの一部が破断してマスキングテープ側に移行したが実用上は問題のないレベルであった。
【0039】
(実施例7)
実施例1において、ウレタンフォームをポリエステル長繊維不織布(東レ株式会社製“アクスター”(登録商標)M1020−8T)としたこと以外は同様にして、不織布の両面にアルミニウム薄膜が成膜された不織布が作成でき、ポリエステル長繊維の破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0040】
(実施例8)
実施例1において、マスキングテープを株式会社寺岡製作所製マスキングテープ(No.609、基材:ポリエステルフィルム、アクリル系接着剤、0.78N/cm)としたこと以外は同様にして、ウレタンフォームの両面にアルミニウム薄膜が成膜されたウレタンフォームが作成できた。ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0041】
(実施例9)
実施例1において、マスキングテープを株式会社寺岡製作所製マスキングテープ(No.602、基材:ポリエステルフィルム、アクリル系接着剤、0.49N/cm)としたこと以外は同様にして、ウレタンフォームの両面にアルミニウム薄膜が成膜されたウレタンフォームを作成した。しかし、ウレタンフォームの面積の10%程度に熱負けが発生していたが実用上は問題のないレベルであった。
【0042】
(実施例10)
実施例1において、マスキングテープをニチバン株式会社製マスキングテープ(No.2312、基材:和紙、アクリル系接着剤、1.09N/cm)としたこと以外は同様にして、ウレタンフォームの両面にアルミニウム薄膜が成膜された金属化多孔性シートが得られた。ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0043】
(実施例11)
実施例1において、マスキングテープをニチバン株式会社製マスキングテープ(No.241、基材:和紙、ゴム系接着剤、1.18N/cm)としたこと以外は同様にして、ウレタンフォームの両面にアルミニウム薄膜が成膜されたウレタンフォームを作成した。ウレタンフォームの破れ、伸び等は発生せず、マスキングテープは糊残りなく剥がすことができた。
【0044】
(実施例12)
幅1000mmのウレタンフォーム(株式会社ブリヂストン社製“エバーライト”SF HX80)をスリッター(東レエンジニアリング(株)製TS−SLITTER)の繰出し第1給紙にセットし、マスキングテープ(ニチバン株式会社製No.2311、基材:和紙、アクリル系粘着剤、1.02N/cm)を第2給紙にセットして、ウレタンフォームの片面に、マスキングテープを貼り合わせ、マスキングテープ面が外側になるように巻き取った。次に、グラビアコーター(富士機械工業(株)C7−170)の繰出し軸に前述のウレタンフォーム・マスキングテープ貼り合わせ品をウレタンフォーム側が乾燥炉で上側になる様にセットし、乾燥炉温度最高130℃、搬送速度20m/分にて熱処理を行って、巻取り軸にてウレタンが内側になるように巻き取った。その後、熱処理済みのウレタンフォームとマスキングテープ貼り合わせ品を、連続真空蒸着機(日本真空製MF53−0016)の繰出し側にウレタンフォーム面に蒸着される様にセットし0.03Paまでアルミニウムを溶かしながら排気し、加工速度5.0m/分でアルミニウムを2.0g/m
2成膜した。マスキングテープは、ウレタンフォームの破れ、伸び等は起こすことなく剥がす事が出来た。
【0045】
(比較例1)
実施例1の厚さ1mm、幅300mmのウレタンフォームに、マスキングテープを貼り合わさずに巻取式コーティング装置(日本真空製EZ3544)を使用し、真空度0.1〜0.2Paの圧力下でアルゴンガスを使用しスパッタリング(アルミニウムを4.3g/m
2)しようとしたが、ウレタンフォームのみでは基材が伸びてしまい、搬送することが出来なかった。
【0046】
(比較例2)
実施例7において、マスキングテープを貼り合わせずにスパッタリング加工を行ったが、不織布が伸びてしまい、搬送することができなかった。