特許第5954586号(P5954586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954586
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】樹脂組成物、プリプレグ及び積層板
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20160707BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20160707BHJP
   C08G 59/68 20060101ALI20160707BHJP
   C08L 79/04 20060101ALI20160707BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20160707BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20160707BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20160707BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   C08L63/00 C
   C08G59/40
   C08G59/68
   C08L79/04 Z
   C08J5/24CEZ
   C08K3/00
   C08K3/22
   C08K3/36
【請求項の数】27
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-518100(P2013-518100)
(86)(22)【出願日】2012年5月29日
(86)【国際出願番号】JP2012063740
(87)【国際公開番号】WO2012165423
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2011-121923(P2011-121923)
(32)【優先日】2011年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100118991
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 聡二郎
(72)【発明者】
【氏名】小柏 尊明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博史
(72)【発明者】
【氏名】宮平 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 禎啓
【審査官】 柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−024056(JP,A)
【文献】 特開2010−100803(JP,A)
【文献】 特表2003−502484(JP,A)
【文献】 特表2003−531941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00− 13/08
C08G 59/00− 59/72
C08J 5/24
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは平均値として1から10までの整数を示す。)
で表されるマレイミド化合物(A)と、
シアン酸エステル化合物(B)と、
非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)と、
無機充填材(D)と
一般式(3):
【化2】
(式中、Arはフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基、またはそれらの水酸基変性物、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、またはそれらの水酸基変性物)
で表されるイミダゾール化合物(F)と、
を含んでなる、樹脂組成物。
【請求項2】
前記マレイミド化合物(A)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)、前記シアン酸エステル化合物(B)、および前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、10〜50質量部である、請求項に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記シアン酸エステル化合物(B)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)、前記シアン酸エステル化合物(B)、および前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、10〜50質量部である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)、前記シアン酸エステル化合物(B)、および前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、5〜50質量部である、請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記無機充填材(D)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)、前記シアン酸エステル化合物(B)、および前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、50〜400質量部である、請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記イミダゾール化合物(F)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)、前記シアン酸エステル化合物(B)、および前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、0.01〜10質量部である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)と、
無機充填材(D)と、
一般式(1):
【化3】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは平均値として1から10までの整数を示す。)
で表されるマレイミド化合物(A)とシアン酸エステル化合物(B)がプレポリマー化されてなるBT樹脂(E)と、
一般式(3):
【化4】
(式中、Arはフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基、またはそれらの水酸基変性物、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、またはそれらの水酸基変性物)
で表されるイミダゾール化合物(F)と、
を含んでなる、樹脂組成物。
【請求項8】
前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の含有量が、前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)および前記BT樹脂(E)の合計100質量部に対し、5〜50質量部である、請求項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記無機充填材(D)の含有量が、前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)および前記BT樹脂(E)の合計100質量部に対し、50〜400質量部である、請求項7又は8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記BT樹脂(E)の含有量が、前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)および前記BT樹脂(E)の合計100質量部に対し、20〜80質量部である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記BT樹脂(E)を作製する際、前記マレイミド化合物(A)の含有量が、BT樹脂(E)100質量部に対し、5〜75質量部である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記イミダゾール化合物(F)の含有量が、前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)および前記BT樹脂(E)の合計100質量部に対し、0.01〜10質量部である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
前記イミダゾール化合物(F)が、2,4,5−トリフェニルイミダゾールである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
前記無機充填材(D)が、シリカ類、ベーマイト、水酸化マグネシウム、アルミナ、およびタルクからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
前記無機充填材(D)が、ベーマイト及び/またはシリカ類である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項16】
前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)が、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリオキシナフチレン型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、およびアントラセン型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項17】
前記シアン酸エステル化合物(B)が、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物および/またはノボラック型シアン酸エステル化合物である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項18】
前記シアン酸エステル化合物(B)が、一般式(2):
【化5】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、mは平均値として1から10までの整数を示す。)
で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項19】
260〜360℃のガラス転移温度を有する硬化物に用いられる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる、硬化物。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の樹脂組成物を基材に含浸または塗布してなる、プリプレグ。
【請求項22】
請求項21に記載のプリプレグを積層成形してなる、積層板。
【請求項23】
請求項21に記載のプリプレグと金属箔とを積層成形してなる、金属箔張積層板。
【請求項24】
請求項21に記載のプリプレグを積層して、温度100〜300℃で0.05〜5時間硬化して得られる、積層板。
【請求項25】
請求項21に記載のプリプレグと金属箔とを積層して、温度100〜300℃で0.05〜5時間硬化して得られる、金属箔張積層板。
【請求項26】
請求項21に記載のプリプレグを積層して、温度100〜300℃で0.05〜5時間加熱することを含んでなる、積層板の製造方法。
【請求項27】
請求項21に記載のプリプレグと金属箔とを積層して、温度100〜300℃で0.05〜5時間加熱することを含んでなる、金属箔張積層板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関し、より詳細には、プリント配線板において好適に用いることができる樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、その樹脂組成物を用いて作製される、プリプレグ、積層板及び金属箔張積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器や通信機、パーソナルコンピューター等に広く用いられている半導体パッケージの高機能化・小型化が進むに従い、高集積化や高密度実装化が近年益々加速している。それに伴い、半導体パッケージに使用されている積層板に対しての要求も多岐にわたり、環境問題への配慮からハロゲン・リンフリー、半田の鉛フリーの標準化による難燃性、低吸水性等の特性が求められている。
【0003】
また、積層板の面方向の熱膨張率はガラス転移点前後で異なり、ガラス転移点を越えた直後は熱膨張率が下がることが知られている。プラスチックパッケージの場合、製造工程で半田リフロー処理などによって260℃以上に加熱されるため、積層板のガラス転移温度が低いと前述した熱膨張率の下降により積層板と封止樹脂等との間で面方向の熱膨張率の差が大きくなり、反り等製造上の不具合が生じてしまう。よって、積層板には高いガラス転移温度が求められる。また、封止樹脂の熱膨張率による形状変化を抑制するため、高温時の高い弾性率も求められる。
【0004】
積層板のガラス転移温度を向上させる手法として、積層板用樹脂組成物にガラス転移温度が高い成分を用いる手法がある(例えば特許文献1参照)。特許文献1ではガラス転移温度を高くする樹脂成分として、ノボラック型のビスマレイミドを使用しているが、他の樹脂成分のガラス転移温度が低いため、ガラス転移温度260℃以上を達成することが難しい。ガラス転移温度260℃以上を達成するには、無機充填材の使用量を増やす必要があり、この場合成形性に劣る結果となることが容易に予測される。
【0005】
また別の手法としては、シアン酸エステル樹脂とビスマレイミドの配合が知られており、特にシアン酸エステル化合物として、ノボラック型シアン酸エステル樹脂を用いた事例が多く見受けられる(例えば特許文献2参照)。しかし、ノボラック型シアン酸エステル樹脂は、通常の硬化条件では、硬化不足になり易く、得られる硬化物は、吸水率が大きいなどの課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−100803号公報
【特許文献2】特開平11−124433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ハロゲン化化合物やリン化合物を使用せずに高度の難燃性を保持し、低吸水率、かつガラス転移温度が高く、高温時の弾性率が高いプリント配線板用樹脂組成物、および該樹脂組成物を用いたプリプレグ、ならびに該プリプレグを用いた積層板および金属箔張積層板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、プリント配線板用樹脂組成物として、特定構造のマレイミド化合物と、シアン酸エステル化合物と、エポキシ樹脂と、無機充填材とを配合することにより、あるいは特定構造のマレイミド化合物とシアン酸エステル化合物をプレポリマー化してなるBT樹脂と、エポキシ樹脂と、無機充填材とを配合することにより、得られた金属箔張積層板が、優れた難燃性、低吸水性、高いガラス転移温度及び高温時の弾性率が優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
一般式(1):
【化1】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは平均値として1から10までの整数を示す。)
で表されるマレイミド化合物(A)と、
シアン酸エステル化合物(B)と、
非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)と、
無機充填材(D)と、
一般式(3):
【化2】
(式中、Arはフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基、またはそれらの水酸基変性物、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、またはそれらの水酸基変性物)
で表されるイミダゾール化合物(F)と、
を含んでなる、樹脂組成物。
〔2〕
前記マレイミド化合物(A)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)、前記シアン酸エステル化合物(B)、および前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、10〜50質量部である、〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕
前記シアン酸エステル化合物(B)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)、前記シアン酸エステル化合物(B)、および前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、10〜50質量部である、〔1〕または〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕
前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)、前記シアン酸エステル化合物(B)、および前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、5〜50質量部である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔5〕
前記無機充填材(D)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)、前記シアン酸エステル化合物(B)、および前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、50〜400質量部である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔6〕
前記イミダゾール化合物(F)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)、前記シアン酸エステル化合物(B)、および前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、0.01〜10質量部である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔7〕
非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)と、
無機充填材(D)と、
一般式(1):
【化3】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは平均値として1から10までの整数を示す。)
で表されるマレイミド化合物(A)とシアン酸エステル化合物(B)がプレポリマー化されてなるBT樹脂(E)と、
一般式(3):
【化4】
(式中、Arはフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基、またはそれらの水酸基変性物、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、またはそれらの水酸基変性物)
で表されるイミダゾール化合物(F)と、
を含んでなる、樹脂組成物。
〔8〕
前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の含有量が、前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)および前記BT樹脂(E)の合計100質量部に対し、5〜50質量部である、〔7〕に記載の樹脂組成物。
〔9〕
前記無機充填材(D)の含有量が、前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)および前記BT樹脂(E)の合計100質量部に対し、50〜400質量部である、〔7〕又は〔8〕に記載の樹脂組成物。
〔10〕
前記BT樹脂(E)の含有量が、前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)および前記BT樹脂(E)の合計100質量部に対し、20〜80質量部である、〔7〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔11〕
前記BT樹脂(E)を作製する際、前記マレイミド化合物(A)の含有量が、BT樹脂(E)100質量部に対し、5〜75質量部である、〔7〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔12〕
前記イミダゾール化合物(F)の含有量が、前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)および前記BT樹脂(E)の合計100質量部に対し、0.01〜10質量部である、〔7〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔13〕
前記イミダゾール化合物(F)が、2,4,5−トリフェニルイミダゾールである、〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔14〕
前記無機充填材(D)が、シリカ類、ベーマイト、水酸化マグネシウム、アルミナ、およびタルクからなる群から選択される少なくとも1種である、〔1〕〜〔13〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔15〕
前記無機充填材(D)が、ベーマイト及び/またはシリカ類である、〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔16〕
前記非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)が、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリオキシナフチレン型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、およびアントラセン型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、〔1〕〜〔15〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔17〕
前記シアン酸エステル化合物(B)が、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物および/またはノボラック型シアン酸エステル化合物である、〔1〕〜〔16〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔18〕
前記シアン酸エステル化合物(B)が、一般式(2):
【化5】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、mは平均値として1から10までの整数を示す。)
で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物である、〔1〕〜〔17〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔19〕
260〜360℃のガラス転移温度を有する硬化物に用いられる、〔1〕〜〔18〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔20〕
〔1〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる、硬化物。
〔21〕
〔1〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物を基材に含浸または塗布してなる、プリプレグ。
〔22〕
〔21〕に記載のプリプレグを積層成形してなる、積層板。
〔23〕
〔21〕に記載のプリプレグと金属箔とを積層成形してなる、金属箔張積層板。
〔24〕
〔21〕に記載のプリプレグを積層して、温度100〜300℃で0.05〜5時間硬化して得られる、積層板。
〔25〕
〔21〕に記載のプリプレグと金属箔とを積層して、温度100〜300℃で0.05〜5時間硬化して得られる、金属箔張積層板。
〔26〕
〔21〕に記載のプリプレグを積層して、温度100〜300℃で0.05〜5時間加熱することを含んでなる、積層板の製造方法。
〔27〕
〔21〕に記載のプリプレグと金属箔とを積層して、温度100〜300℃で0.05〜5時間加熱することを含んでなる、金属箔張積層板の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明による金属箔張積層板は、優れた難燃性、低吸水性、高いガラス転移温度及び高温時の弾性率が優れ、高耐熱・高信頼性を要求されるプリント配線板用の材料に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
【0012】
樹脂組成物
本発明による樹脂組成物は、特定のマレイミド化合物(A)と、特定のシアン酸エステル化合物(B)と、非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)と、無機充填材(D)とを含んでなる。また、他の態様においては、樹脂組成物は、非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)と、無機充填材(D)と、特定のマレイミド化合物(A)と特定のシアン酸エステル化合物(B)をプレポリマー化してなるBT樹脂(E)とを含んでなる。樹脂組成物は、イミダゾール化合物(F)、およびシランカップリング剤や湿潤分散剤等の他の成分をさらに含んでもよい。本発明による樹脂組成物は、260〜360℃、好ましくは265〜320℃のガラス転移温度を有する硬化物に好適に用いられる。以下、樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
【0013】
マレイミド化合物(A)
本発明において用いられるマレイミド化合物(A)は、一般式(1):
【化6】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは平均値として1から10までの整数を示す。)
で表され、そのプレポリマー、アミン化合物とのプレポリマーなどを用いることができる。製品例としては大和化成工業株式会社製のBMI−2300がある。該化合物はノボラック構造を有するため架橋点が多く、硬化物のガラス転移温度を上昇させる効果がある。
【0014】
マレイミド化合物(A)の含有量は、特に限定されないが、ガラス転移温度と吸水率の観点から、マレイミド化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、および非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、10〜50質量部の範囲であることが好ましく、15〜40質量部の範囲であることがより好ましい。
【0015】
シアン酸エステル化合物(B)
本発明において用いられるシアン酸エステル化合物(B)としては、一般に公知のシアン酸エステル化合物を使用することができる。例えば、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、ノボラック型シアン酸エステル化合物、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、ビス(3,5−ジメチル4−シアナトフェニル)メタン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2、7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4、4’−ジシアナトビフェニル、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、2、2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(3、5−ジメチル、4−シアナトフェニル)メタン、フェノールノボラック型シアン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの中でも、難燃性の観点から、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物および/またはノボラック型シアン酸エステル化合物が好ましい。さらに、吸水率の観点から、下記一般式(2)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物がより好ましい。
【0016】
【化7】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、mは平均値として1から10までの整数を示す。)
【0017】
ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物は、α−ナフトールあるいはβ−ナフトール等のナフトール類とp−キシリレングリコール、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン、1,4−ジ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン等との反応により得られるナフトールアラルキル樹脂とシアン酸とを縮合させて得られるものから選択することができる。
【0018】
これらのシアン酸エステル化合物の製法は、特に限定されず、シアン酸エステル合成として現存するいかなる方法で製造してもよい。具体的に例示すると、一般式(4)で表されるナフトールアラルキル樹脂とハロゲン化シアンを不活性有機溶媒中で、塩基性化合物存在下反応させることにより得ることができる。また、同様なナフトールアラルキル樹脂と塩基性化合物による塩を、水を含有する溶液中にて形成させ、その後、ハロゲン化シアンと2相系界面反応を行い、合成する方法を採ることもできる。
【0019】
【化8】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、mは平均値として1から50までの整数を示す。)
【0020】
シアン酸エステル化合物(B)の含有量は、特に限定されないが、難燃性、ガラス転移温度、吸水率、および弾性率の観点から、マレイミド化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、および非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、10〜50質量部の範囲であることが好ましく、20〜40質量部の範囲であることがより好ましい。
【0021】
また、シアン酸エステル化合物(B)は、特に限定されないが、耐熱性、難燃性、吸水率の観点から、シアン酸エステル化合物のシアネート基数と樹脂組成物中のエポキシ樹脂のエポキシ基数の比(CN/Ep)が0.7〜2.5となるように含有させることが好ましい。
【0022】
非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)
本発明において用いられる非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)とは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、分子骨格内にハロゲン原子を有しない化合物であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ブタジエンなどの2重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコーン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物等が挙げられる。
【0023】
この中でも、特に難燃性を向上させるために、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリオキシナフチレン型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、およびアントラセン型エポキシ樹脂が好ましく、一般式(5)で表されるフェノールフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、一般式(6)で表されるフェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、一般式(7)で表されるナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、およびポリオキシナフチレン型エポキシ樹脂であることがより好ましい。これらの非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)は、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することが可能である。
【0024】
【化9】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、xは平均値として1から10までの整数を示す。)
【0025】
【化10】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、yは平均値として1から50までの整数を示す。)
【0026】
【化11】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、zは平均値として1から50までの整数を示す。)
【0027】
さらに特に難燃性を求められる場合等、用途によりリン含有エポキシ樹脂やブロム化エポキシ樹脂も併用することができる。ブロム化エポキシ樹脂とは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する臭素原子含有化合物を指し、具体的には、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが例示される。
【0028】
非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の含有量は、特に限定されないが、難燃性、ガラス転移温度、吸水率、および弾性率の観点から、マレイミド化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、および非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、5〜50質量部の範囲であることが好ましく、10〜40質量部の範囲であることがより好ましい。また、BT樹脂(E)を用いた場合、非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の含有量は、特に限定されないが、非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)およびBT樹脂(E)の合計100質量部に対し、5〜50質量部の範囲であることが好ましく、10〜40質量部の範囲であることがより好ましい。
【0029】
また、非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)は、特に限定されないが、難燃性、硬化性などの観点により、樹脂組成物中のシアン酸エステル化合物(B)のシアネート基数と非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)のエポキシ基数の比(CN/Ep)が0.7〜2.5となるように配合することが好ましい。
【0030】
無機充填材(D)
本発明において用いられる無機充填材(D)としては、電気配線板用樹脂組成物に通常用いられる無機充填材が用いられ、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等のシリカ類、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水和物、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維(EガラスやDガラスなどのガラス微粉末類)、中空ガラス、球状ガラスなどが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することが可能である。その中でも、熱膨張率、耐燃性の観点から、シリカ類、ベーマイト、水酸化マグネシウム、アルミナ、およびタルクが好ましく、ベーマイトおよびシリカ類がより好ましい。
【0031】
無機充填材(D)の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、分散性を考慮すると平均粒子径(D50)が0.2〜5μmであることが好ましい。ここでD50とはメジアン径(メディアン径)であり、測定した粉体の粒度分布を2つに分けたときの大きい側の個数又は質量と小さい側の個数又は質量が全粉体のそれの50%をしめるときの粒子径で、一般的には湿式レーザー回折・散乱法により測定される。
【0032】
無機充填材(D)の含有量は、特に限定されないが、マレイミド化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、非ハロゲン系エポキシ(C)の合計100質量部に対し、50〜400質量部が好ましく、さらに、80〜300質量部が特に好ましい。また、BT樹脂(E)を用いた場合、無機充填材(D)の含有量は、特に限定されないが、非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)およびBT樹脂(E)の合計100質量部に対し、50〜400質量部が好ましく、さらに、80〜300質量部が特に好ましい。無機充填材の含有量が50質量部以上であれば難燃性をより向上させることができ、含有量が400質量部以下であれば成形性やドリル加工性がより良好になるからである。
【0033】
BT樹脂(E)
本発明において用いられるBT樹脂(ビスマレイミドトリアジン樹脂)(E)とは一般式(1)で表されるマレイミド化合物(A)とシアン酸エステル化合物(B)を、無溶剤で加熱溶融混合、またはメチルエチルケトン、Nメチルピロドリン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン等の有機溶剤に溶解し加熱混合し、プレポリマー化したものである。
【0034】
BT樹脂(E)を作製する際、マレイミド化合物(A)の含有量は、特に限定されないが、ガラス転移温度、難燃性、硬化性の観点から、BT樹脂(E)100質量部に対し、5〜75質量部の範囲が好ましく、10〜70質量部の範囲が特に好ましい。また、BT樹脂(E)の分子量の範囲は、特に限定されるものではないが、ハンドリング性、ガラス転移温度、硬化性の観点から、数平均分子量で約100〜100000の範囲が好ましい。
【0035】
BT樹脂(E)の含有量は、特に限定されないが、耐熱性、吸水率の観点から、非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)およびBT樹脂(E)の合計100質量部に対し、20〜80質量部の範囲が好ましく、25〜75重量部の範囲がより好ましく、30〜70質量部が特に好ましい。
【0036】
イミダゾール化合物(F)
本発明において用いられるイミダゾール化合物(F)は、一般式(3):
【化12】
(式中、Arはフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基、またはそれらの水酸基変性物、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、またはそれらの水酸基変性物)
で表されるものである。樹脂組成物にイミダゾール化合物(F)を加えることで、硬化を促進させ、硬化物のガラス転移温度を上げることができる。また、硬化物の弾性率を上げることもできる。一般式(3)において、イミダゾール置換基Arは、フェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基、またはそれらの水酸基変性物等が好ましく、フェニル基がより好ましい。イミダゾール置換基Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、またはそれらの水酸基変性物が好ましく、フェニル基等のアリール基がより好ましい。さらに、Ar基およびR基ともに、フェニル基が特に好ましい。
【0037】
一般式(3)で表されるイミダゾール化合物(F)の含有量は、特に限定されないが、プリプレグの保存安定性、銅張積層板へ加工する時の成形性の観点から、マレイミド化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、および非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)の合計100質量部に対し、0.01〜10質量部の範囲が好ましく、0.1〜5質量部の範囲がより好ましい。また、BT樹脂(E)を用いた場合、イミダゾール化合物(F)の含有量は、特に限定されないが、非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)およびBT樹脂(E)の合計100質量部に対し、0.01〜10質量部の範囲が好ましく、0.1〜5質量部の範囲がより好ましい。
【0038】
他の成分
本発明による樹脂組成物は、シランカップリング剤や湿潤分散剤等の他の成分をさらに含んでもよい。無機充填材(D)に加えて、シランカップリング剤や湿潤分散剤を併用することで、無機充填材の分散性、樹脂と無機充填材やガラスクロスの接着強度を向上させることができる。
【0039】
これらのシランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン系、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシラン系、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などのカチオニックシラン系、フェニルシラン系などが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0040】
また湿潤分散剤としては、塗料用に使用されている分散安定剤であれば、特に限定されるものではない。例えばビッグケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk−110、111、180、161、BYK−W996、W9010、W903等の湿潤分散剤が挙げられる。
【0041】
本発明による樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、一般式(1)に表される構造を持つ以外のマレイミド化合物をさらに含んでもよい。用いられるマレイミド化合物としては、1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えばN−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、これらマレイミド化合物のプレポリマー、もしくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーなどが挙げられ、2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0042】
本発明による樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、一般式(2)に表される構造を持つ以外のシアン酸エステル化合物をさらに含んでもよい。用いられるシアン酸エステル化合物としては、一般に公知のシアン酸エステル樹脂を使用することができる。例えば、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、ビス(3,5−ジメチル4−シアナトフェニル)メタン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2、7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4、4’−ジシアナトビフェニル、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、2、2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(3、5−ジメチル、4−シアナトフェニル)メタン、フェノールノボラック型シアン酸エステル等が挙げられ、これらを2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0043】
本発明による樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、前記イミダゾール化合物(F)に加え、他の硬化促進剤をさらに含んでもよい。このような化合物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチル−ジ−パーフタレート等で例示される有機過酸化物;アゾビスニトリル当のアゾ化合物;N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、2−N−エチルアニリノエタノール、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N−メチルピペリジンなどの第3級アミン類;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどのフェノール類;ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫マレート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトン鉄などの有機金属塩;これら有機金属塩をフェノール、ビスフェノールなどの水酸基含有化合物に溶解してなるもの;塩化錫、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの無機金属塩;ジオクチル錫オキサイド、その他のアルキル錫、アルキル錫オキサイドなどの有機錫化合物などが挙げられる。
【0044】
本発明による樹脂組成物は、シリコーンパウダーをさらに含んでもよい。シリコーンパウダーは燃焼時間を遅らせ、難燃効果を高める難燃助剤としての作用がある。シリコーンパウダーは、シロキサン結合が三次元網目状に架橋したポリメチルシルセスキオキサンを微粉末化したもの、ビニル基含有ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの付加重合物を微粉末化したもの、ビニル基含有ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの付加重合物による微粉末の表面にシロキサン結合が三次元網目状に架橋したポリメチルシルセスキオキサンを被覆させたもの、無機担持体表面にシロキサン結合が三次元網目状に架橋したポリメチルシルセスキオキサンを被覆させたもの等である。
【0045】
シリコーンパウダーの平均粒子径(D50)は特に限定されないが、分散性を考慮すると平均粒子径(D50)が1〜15μmであることが好ましい。
【0046】
シリコーンパウダーの含有量は、特に限定されないが、成形性や分散性の観点から、マレイミド化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、非ハロゲン系エポキシ(C)の合計100質量部に対して、3〜120質量部の範囲が好ましく、3〜60質量部の範囲が特に好ましい。
【0047】
本発明による樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物、他の難燃性の化合物、ならびに添加剤等をさらに含んでもよい。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性の化合物では、メラミンやベンゾグアナミンなどの窒素含有化合物、オキサジン環含有化合物などが挙げられる。添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤等、所望に応じて適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0048】
プリプレグ
本発明によるプリプレグは、上記の樹脂組成物を基材に含浸または塗布してなるものである。本発明によるプリプレグの製造方法は、本発明における樹脂成分を含む樹脂組成物を基材に含浸または塗布するものであり、これを製造する方法であれば、特に限定されない。例えば、マレイミド化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)、および無機充填材(D)を含む樹脂組成物と有機溶剤からなる樹脂ワニスを基材に含浸または塗布させた後、100〜200℃の乾燥機中で、1〜60分加熱させる方法などにより半硬化させ、プリプレグを製造する方法などが挙げられる。基材(F)に対する樹脂組成物の付着量は、プリプレグの総量に対する樹脂組成物の割合で20〜90質量%の範囲が好ましい。
【0049】
本発明のプリプレグにおいて使用される基材には、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを使用することが出来る。例えば、Eガラス、Dガラス、Sガラス、NEガラス、Tガラス、Qガラス等のガラス繊維、ガラス以外の無機繊維、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどの有機繊維が挙げられ、目的とする用途や性能により適宜選択できる。形状としては織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、サーフェシングマットなどが挙げられる。厚みについては、特に制限はされないが、通常は0.01〜0.30mm程度を使用する。これらの基材の中でも面方向の膨張率とドリル加工性のバランスから、特にEガラスのガラス繊維を使用することが好ましく、形状については織布のものを用いることが好ましい。
【0050】
有機溶剤は樹脂組成物の粘度を下げ、ハンドリング性を向上させると共にガラスクロスとの含浸性を高めるために用いられる。有機溶剤としては、マレイミド化合物(A)、シアン酸エステル化合物(B)、及び、非ハロゲン系エポキシ樹脂(C)が溶解するものであれば、特に限定されるものではない。具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド類等が挙げられる。
【0051】
積層板
本発明による積層板は、上述のプリプレグを積層成形したものである。また、本発明による金属箔張積層板は、上述のプリプレグと金属箔とを積層成形したものである。具体的には前述のプリプレグを1枚あるいは複数枚以上を重ね、所望によりその片面もしくは両面に、銅やアルミニウムなどの金属箔を配置した構成で、積層成形することにより製造する。使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されない。成形条件としては、通常のプリント配線板用積層板及び多層板の手法が適用できる。例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機などを使用し、温度は100〜300℃、圧力は2〜100kgf/cm、加熱時間は0.05〜5時間の範囲が一般的である。積層板は、温度120〜280℃で0.1〜4時間硬化して成形することが好ましく、温度150〜250℃で0.5〜3時間硬化して成形することがより好ましい。また、本発明のプリプレグと、別途作成した内層用の配線板を組み合わせ、積層成形することにより、多層板とすることも可能である。
【0052】
以下に、合成例および例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0053】
合成例1 α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物の合成
温度計、攪拌器、滴下漏斗及び還流冷却器を取りつけた反応器を予めブラインにより0〜5℃に冷却しておき、そこへ塩化シアン7.47g(0.122mol)と、35%塩酸9.75g(0.0935mol)と、水76mlと、塩化メチレン44mlとを仕込んだ。この反応器内の温度を−5〜+5℃、pHを1以下を保ちながら、撹拌下、一般式(4)におけるRがすべて水素原子であるα−ナフトールアラルキル樹脂(SN485、OH基当量:214g/eq.軟化点:86℃、新日鐵化学(株)製)20g(0.0935mol)と、トリエチルアミン14.16g(0.14mol)とを塩化メチレン92mlに溶解した溶液を滴下漏斗により1時間かけて滴下し、滴下終了後、更にトリエチルアミン4.72g(0.047mol)を15分間かけて滴下した。
【0054】
滴下終了後、同温度で15分間撹拌後、反応液を分液し、有機層を分取した。得られた有機層を水100mlで2回洗浄した後、エバポレーターにより減圧下で塩化メチレンを留去し、最終的に80℃で1時間濃縮乾固させて、α−ナフトールアラルキル樹脂のシアン酸エステル化合物(α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂)が23.5g得られた。
【0055】
合成例2 BT樹脂の合成(1)
合成例1で作成したα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂(シアネート当量:261g/eq.)36質量部と一般式(1)におけるRがすべて水素原子であり、nが0〜1であるマレイミド化合物(BMI−2300、大和化成工業(株)製)24質量部をジメチルアセトアミドに溶解し、150℃で攪拌しながら反応させ、BT樹脂を得た。
【0056】
合成例3 BT樹脂の合成(2)
合成例1で作成したα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂(シアネート当量:261g/eq.)30質量部と合成例2で使用したマレイミド化合物(BMI−2300、大和化成工業(株)製)30質量部をジメチルアセトアミドに溶解し、150℃で攪拌しながら反応させ、BT樹脂を得た。
【0057】
例1
合成例1で作成したα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂(シアネート当量:261g/eq.)36質量部と、合成例2で使用したマレイミド化合物(BMI−2300、大和化成工業(株)製)24質量部と、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000−FH,エポキシ当量:321g/eq.、日本化薬(株)製)40質量部とをメチルエチルケトンで溶解混合し、湿潤分散剤(disperbyk−w903、ビッグケミージャパン(株)製)1質量部と、ベーマイト(APYRAL AOH60、Nabaltec製)120質量部と、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製)0.02質量部とをさらに混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0058】
例2
例1で作成したワニスに2,4,5−トリフェニルイミダゾール(和光純薬社製)1質量部を混合し、メチルエチルケトンで希釈後、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0059】
例3
フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を36質量部とし、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂(EPICLON EXA−4710、エポキシ当量:170g/eq.、DIC(株)製)を4質量部、シリコーンレジンで表面を被覆したシリコーンゴムパウダー(KMP−600、信越化学工業(株)製)を10質量部加えた以外は例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0060】
例4
例3で作成したワニスに例2で使用した2,4,5−トリフェニルイミダゾール1質量部を混合し、メチルエチルケトンで希釈後、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0061】
例5
オクチル酸亜鉛の代わりに、オクチル酸マンガン(ニッカオクチックスマンガン、日本化学産業株式会社製)0.02質量部を使用する以外は、例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0062】
例6
例5で作成したワニスに例2で使用した2,4,5−トリフェニルイミダゾール1質量部を混合し、メチルエチルケトンで希釈後、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0063】
例7
α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂を32質量部、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を36質量部、マレイミド化合物を32質量部とした以外は例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0064】
例8
例7で作成したワニスに例2で使用した2,4,5−トリフェニルイミダゾール1質量部を混合し、メチルエチルケトンで希釈後、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0065】
例9
α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂を39質量部、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を20質量部、マレイミド化合物を26質量部とし、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(N770、エポキシ当量:190g/eq.、DIC(株)製)を15質量部使用した以外は例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0066】
例10
例9で作成したワニスに例2で使用した2,4,5−トリフェニルイミダゾール1質量部を混合し、メチルエチルケトンで希釈後、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0067】
例11
α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂を39質量部、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を20質量部、マレイミド化合物を26質量部とし、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(N680、エポキシ当量:285g/eq.、DIC(株)製)を15質量部使用した以外は例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0068】
例12
例11で作成したワニスに例2で使用した2,4,5−トリフェニルイミダゾール1質量部を混合し、メチルエチルケトンで希釈後、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0069】
例13
フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を20質量部とし、ポリオキシナフチレン型エポキシ樹脂(EXA−7311,エポキシ当量:277g/eq.、DIC(株)製)を20質量部使用した以外は例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0070】
例14
例13で作成したワニスに例2で使用した2,4,5−トリフェニルイミダゾール1質量部を混合し、メチルエチルケトンで希釈後、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0071】
例15
フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を36質量部とし、例3で使用した4官能ナフタレン型エポキシ樹脂を4質量部使用した以外は例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0072】
例16
例15で作成したワニスに例2で使用した2,4,5−トリフェニルイミダゾール1質量部を混合し、メチルエチルケトンで希釈後、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0073】
例17
合成例2で得られたBT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)60質量部と、例1で使用したフェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂40質量部とをメチルエチルケトンで溶解混合し、例1で使用した湿潤分散剤1質量部と、ベーマイト120質量部と、オクチル酸亜鉛0.02質量部とをさらに混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0074】
例18
合成例3で作成したBT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)60質量部と、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂40質量部とをメチルエチルケトンで溶解混合し、例1で使用した湿潤分散剤1質量部と、ベーマイト120質量部と、オクチル酸亜鉛0.02質量部と、2,4,5−トリフェニルイミダゾール1質量部とをさらに混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0075】
例19
例16で作成したワニスに、シリコーンレジンパウダー(トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)10質量%を混合し、このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚さ0.1mmのEガラス織布に含浸塗工し、160℃で4分間加熱乾燥して、樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
【0076】
例20
ベーマイトの代わりに球状溶融シリカ(SC2500−SQ、アドマテックス(株)製)120質量部を使用した以外は、例2と同様にプリプレグを得た。
【0077】
例21
ベーマイトの代わり例20で使用した球状溶融シリカを120質量部使用した以外は、例9と同様にしてプリプレグを得た。
【0078】
例22
ベーマイトの代わりに例20で使用した球状溶融シリカを120質量部使用した以外は、例15と同様にしてプリプレグを得た。
【0079】
例23
フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の代わりに、ポリオキシナフチレン型エポキシ樹脂(EXA−7311,エポキシ当量:277g/eq.、DIC(株)製)を40質量部使用し、例3で使用したシリコーンゴムパウダーを10質量部加えた以外は例22と同様にしてプリプレグを得た。
【0080】
例24
球状溶融シリカ 120質量部を250質量部にした以外は例23と同様にしてプリプレグを得た。
【0081】
例25
球状溶融シリカ 120質量部を200質量部にし、例3で使用したシリコーンゴムパウダーを40質量部にした以外は例23と同様にしてプリプレグを得た。
【0082】
例26
マレイミド化合物の代わりにビス(3−エチル−5−メチル−4マレイミドフェニル)メタン(BMI−70、ケイアイ化成製)を24質量部使用した以外は例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0083】
例27
ベーマイトを使用しない以外は例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0084】
例28
α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂の代わりに2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210、シアネート当量139、三菱ガス化学(株)製)を36質量部使用した以外は、例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0085】
例29
α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂の代わりに例28で用いた2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパンのプレポリマーを使用した以外は例2と同様にしてプリプレグを得た。
【0086】
例30
2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパンのプレポリマーを24質量部とし、マレイミド化合物を36質量部とした以外は例28と同様にしてプリプレグを得た。
【0087】
例31
α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂の代わりにノボラック型シアン酸エステル樹脂(プリマセットPT−30、ロザンジャパン(株)製、シアネート当量:254g/eq.)を36質量部使用した以外は例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0088】
例32
例31で得たプリプレグを積層プレス後、恒温槽にて220℃で4時間加熱した。
【0089】
例33
α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂の代わりに例31で使用したノボラック型シアン酸エステル樹脂を30質量部使用し、マレイミド化合物を30質量部とした以外は例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0090】
例34
マレイミド化合物の代わりにビス(3−エチル−5−メチル−4マレイミドフェニル)メタン(BMI−70、ケイアイ化成製)を24質量部用い、ベーマイトの代わりに例20で使用した球状溶融シリカを120質量部使用した以外は、例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0091】
例35
α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂の代わりに例28で使用した2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパンのプレポリマーを36質量部用い、ベーマイトの代わりに例20で使用した球状溶融シリカを120質量部使用した以外は、例1と同様にしてプリプレグを得た。
【0092】
金属箔張積層板の作成
例1〜35で得られたプリプレグを、それぞれ4枚重ねて12μm厚の電解銅箔(3EC−III、三井金属鉱業(株)製)を上下に配置し、圧力30kgf/cm、温度220℃で120分間の積層成形を行い、絶縁層厚さ0.4mmの金属箔張積層板を得た。
【0093】
得られた金属箔張積層板を用いて、難燃性、ガラス転移温度、吸水率、弾性率の評価を行った結果を表1、表2に示す。
【0094】
金属箔張積層板の物性評価方法
難燃性、ガラス転移温度、吸水率、弾性率(250℃)は金属箔張積層板をエッチングにより銅箔を除去したのちに、下記方法にて行った。
難燃性:UL94垂直燃焼試験法に準拠して評価した。
ガラス転移温度:JIS C6481に従い、動的粘弾性分析装置(TAインスツルメント製)で測定した。
吸水率:あらかじめ125℃、2時間乾燥機で乾燥させた50×50mmのサンプルを、プレッシャー・クッカー試験装置(平山製作所(株)製)を用いて121℃、2atmの条件に5時間放置した後の重量変化を測定した。
曲げ弾性率(250℃):JIS C6481に従い、島津オートグラフ(型式:AG−5kNIS、島津製作所(株)製)を使用し、温度250℃で測定した。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】