特許第5954711号(P5954711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954711
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ステアリングコラム装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/16 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   B62D1/16
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-287174(P2012-287174)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-129013(P2014-129013A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000237307
【氏名又は名称】富士機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(72)【発明者】
【氏名】垣下 英之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 誠志
(72)【発明者】
【氏名】坂田 達
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−189237(JP,A)
【文献】 特開2002−316651(JP,A)
【文献】 特開2002−308112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/16 − 1/19
B60R 16/027
B60R 25/021−25/0215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のコラムジャケットと、
前記コラムジャケットに設けられたコンビネーションスイッチユニット取付用の第1取付穴と、
前記コラムジャケットに設けられたキーロックユニット取付用の第2取付穴と、を備え、
前記第1取付穴および前記第2取付穴の少なくとも一方は、前記第1取付穴および前記第2取付穴の他方に近い側の縁部に、前記コラムジャケットの内方へ突出する壁部を延設しているステアリングコラム装置。
【請求項2】
請求項1において、前記壁部は、前記他方に近い側の縁部を基端とする折り曲げ壁部を含むステアリングコラム装置。
【請求項3】
請求項2において、前記折り曲げ壁部は、前記第1取付穴の、前記第2取付穴に近い側の縁部に設けられているステアリングコラム装置。
【請求項4】
請求項2または3において、前記折り曲げ壁部は、前記基端から傾斜状に折り曲げられているステアリングコラム装置。
【請求項5】
請求項4において、前記コラムジャケットの周方向に関する、前記折り曲げ壁部の一対の縁部のそれぞれを、前記折り曲げ壁部が設けられた取付穴の対向する縁部に接続する一対の三角形状の接続壁部を備えるステアリングコラム装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項において、前記第1取付穴の少なくとも一部と前記第2取付穴の少なくとも一部とは、隣接して並んでいるステアリングコラム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステアリングコラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のステアリングコラム装置には、コンビネーションスイッチユニットやキーロックユニットが装備されている(例えば特許文献1,2を参照)。
一般に、コンビネーションスイッチユニットは、ヘッドライト、方向指示用のターンシグナル、ワイパーを動作させるワイパーモータ、ウォッシャー液を窓に噴出させるウォッシャーモータ等をそれぞれ動作させるための各種レバー型スイッチを含んでいる。また、キーロックユニットは、イグニッションキーの操作に応じて、手動または電動で作動してステアリングシャフトの回転をロックするロックキーを備えている。
【0003】
一方、ステアリングシャフトを回転可能に支持するコラムジャケットのアウターチューブに、コンビネーションスイッチユニットを取り付ける技術として、アウターチューブの外周に嵌合される取付筒を介して、コンビネーションスイッチユニットを取り付ける技術が提案されている(例えば特許文献3を参照)。
しかしながら、一般的には、コンビネーションスイッチユニットは、アウタチューブに直接取り付けられおり、アウタチューブには、コンビネーションスイッチユニット取付用の取付穴と、キーロックユニット取付用の取付穴とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−46624号公報
【特許文献2】実開平5−1654号公報
【特許文献3】特開2008−189237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば製造工程において、何れかの取付穴から侵入した異物が、例えばキーロックユニットの作動に影響を与えるおそれがある。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、取付穴を介するコラムジャケット内への異物の侵入を抑制することができるステアリングコラム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、筒状のコラムジャケット(4)と、前記コラムジャケットに設けられたコンビネーションスイッチユニット(5)取付用の第1取付穴(21)と、前記コラムジャケットに設けられたキーロックユニット(6)取付用の第2取付穴(22)と、を備え、前記第1取付穴および前記第2取付穴の少なくとも一方は、前記第1取付穴および前記第2取付穴の他方に近い側の縁部(21a;22a)に、前記コラムジャケットの内方へ突出する壁部(23)を延設しているステアリングコラム装置(1)を提供する。
【0007】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
また、請求項2のように、前記壁部は、前記他方に近い側の縁部を基端(23a)とする折り曲げ壁部(23)を含んでいてもよい。
【0008】
また、請求項3のように、前記折り曲げ壁部は、前記第1取付穴の、前記第2取付穴に近い側の縁部(21a)に設けられていてもよい。
また、請求項4のように、前記折り曲げ壁部は、前記基端から傾斜状に折り曲げられていてもよい。
また、請求項5のように、前記コラムジャケットの周方向(Y1)に関する、前記折り曲げ壁部の一対の縁部(23c,23d)のそれぞれを、前記折り曲げ壁部が設けられた取付穴の対向する縁部(21c,21d)に接続する一対の三角形状の接続壁部(24,25)を備えていてもよい。
【0009】
また、請求項6のように、前記第1取付穴の少なくとも一部と前記第2取付穴の少なくとも一部とは、隣接して並んでいてもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、第1取付穴および第2取付穴の少なくとも一方が、他方に近い側の縁部に壁部を設けているので、壁部によって、当該壁部が設けられた取付穴からコラムジャケット内への異物の侵入を抑制することができる。
また、請求項2の発明によれば、壁部が縁部を基端とする折り曲げ壁部により形成されているので、プレス成形によって取付穴を形成するときに壁部(折り曲げ壁部)を容易に形成することができる。
【0011】
また、請求項3の発明によれば、壁部(折り曲げ壁部)が、第1取付穴の、第2取付穴に近い側の縁部に設けられているので、第1取付穴から侵入した異物が、第2取付穴に取り付けられるキーロックユニットに影響を与えることを回避することができる。
また、請求項4の発明によれば、折り曲げ壁部は、基端から傾斜状に折り曲げられているので、製造し易い。
【0012】
また、請求項5の発明によれば、折り曲げ壁部と一対の三角形状の接続壁とで、コラムジャケット内への異物の侵入を確実に抑制することができる。
また、請求項6の発明によれば、第1取付穴と第2取付穴とが隣接して並んでいるので、壁部による異物侵入防止効果を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態のステアリングコラム装置の概略分解斜視図である。
図2】ステアリングコラム装置の要部の概略断面図である。
図3】コラムジャケットの第1取付穴周辺の概略拡大斜視図である。
図4】本発明の別の実施形態におけるコラムジャケットの第1取付穴周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態のステアリングコラム装置の分解斜視図である。図1を参照して、ステアリングコラム装置1は、一端に操舵部材2(ステアリングホイールに相当。図1では示さず。図2を参照)が取り付けられたステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3を回転可能に支持した筒状のコラムジャケット4と、コラムジャケット4に取り付けられるコンビネーションスイッチユニット5およびキーロックユニット6とを備えている。
【0015】
コンビネーションスイッチユニット5は、コラムジャケット4の外周に嵌合される筒状部7を含むユニット本体8と、ユニット本体8から左右に突出して配置されるレバー型スイッチ9,10とを備えている。レバー型スイッチ9は、例えばワイパーを動作させるワイパーモータ動作させる。レバー型スイッチ10は、例えばヘッドライト、方向指示用のターンシグナルを動作させる。
【0016】
ユニット本体8の筒状部7には、軸方向に延びる複数のスリット11が、筒状部7の周方向に等間隔で設けられている。筒状部7は、スリット11によって、複数の弾性片部12に分割されている。一部または全部の弾性片部12の内面には、係合突起13が設けられている。
本実施形態では、キーロックユニット6が電子式である場合に則して説明するが、機械式であってもよい。キーロックユニット6は、コラムジャケット4の外周4aに嵌合される筒状のホルダ14と、ホルダ14に一体に固定されたユニット本体15とを備えている。
【0017】
図2に示すように、ユニット本体15内には、イグニッションキー(図示せず)の操作に応じて、ロックキー16をステアリングシャフト3の径方向に進退させるアクチュエータ17(例えば電動モータ)と、アクチュエータ17の動作をロックキー16に伝達するギヤ機構その他の伝達機構18とが収容されている。
ロックキー16がステアリングシャフト3の外周3aに設けられたキーロック孔19に係合することにより、ステアリングロックが達成される。キーロック孔19は、図2に示すように、ステアリングシャフト3に直接設けられていてもよいし、ステアリングシャフト3の外周3aに嵌合されたキーロックカラー(図示せず)に設けられていてもよい。
【0018】
図1に示すように、ステアリングシャフト3は、コラムジャケット4の内周4bに保持された軸受20を介して回転可能に支持されている。図1および図2に示すように、コラムジャケット4には、コンビネーションスイッチユニット5取付用の第1取付穴21と、キーロックユニット6取付用の第2取付穴22とが設けられている。
図1では、単一の第1取付穴21のみを示してあるが、第1取付穴21は、コラムジャケット4の周方向Y1に並んで複数設けられている。何れか1つの第1取付穴21と第2取付穴22とが、隣接して並んでいる。具体的には、何れか1つの第1取付穴21の周方向Y1の少なくとも一部と第2取付穴22の周方向Y1の少なくとも一部とが、軸方向X1に隣接して並んで配置されている。
【0019】
第1取付穴21および第2取付穴22の少なくとも一方は、第1取付穴21および第2取付穴22の他方に近い側の縁部である第1縁部21a,22aに、コラムジャケット4の内方へ突出する壁部としての折り曲げ壁部23を延設している。本実施形態では、第1取付穴21の第1縁部21aに、折り曲げ壁部23を延設している。
図3に示すように、第1取付穴21は、略矩形をなし、第1縁部21aに対向する第2縁部21bと、第1縁部21aおよび第2縁部21bの対向方向(軸方向X1に相当)とは直交する方向(周方向Y1に相当)に対向する第3縁部21cおよび第4縁部21dを備えている。
【0020】
折り曲げ壁部23は、基端としての第1辺部23aから傾斜状に折り曲げられている。折り曲げ壁部23は、略矩形状をなしている。折り曲げ壁部23は、第1取付穴21の第1縁部21aに、基端を構成する第1辺部23aを設けている。また、折り曲げ壁部23は、基端としての第1辺部23aに対向する、先端としての第2辺部23bを備えている。また、折り曲げ壁部23は、第1辺部23aおよび第2辺部23bが対向する方向(軸方向X1)とは直交する方向(周方向Y1)に対向する第3辺部23cおよび第4辺部23dを備えている。
【0021】
第1取付穴21において、第2縁部21bと、折り曲げ壁部23の先端としての第2辺部23bとの間に、実質的な開口が形成されている。
その実質的な開口に、図2に示すように係合突起13が挿入されている。すなわち、コンビネーションスイッチユニット5の筒状部7の弾性片部12の内面に設けられた係合突起13は、第1取付穴21の第2縁部21bに係合されている。筒状部7の外周7aに嵌合される例えば線状の輪ばね30によって、筒状部7が締め付けられて、係合突起13と第2縁部21bとの係合が保持されている。
【0022】
本実施形態によれば、第1取付穴21が、第2取付穴22に近い側の第1縁部21aに壁部(折り曲げ壁部23)を設けているので、壁部(折り曲げ壁部23)によって、例えば製造工程において、第1取付穴21からコラムジャケット4内へ異物が侵入することを抑制することができる。したがって、異物によるキーロックユニット6への悪影響の発生を抑制することができる。
【0023】
また、壁部が第1縁部21aを基端(第1辺部23a)とする折り曲げ壁部23により形成されているので、プレス成形によって第1取付穴21を形成するときに壁部(折り曲げ壁部23)を容易に形成することができる。
また、壁部(折り曲げ壁部23)が、第1取付穴21の、第2取付穴22に近い側の第1縁部21aに設けられているので、第1取付穴21から侵入した異物が、第2取付穴22に取り付けられるキーロックユニット6に影響を与えることを確実に回避することができる。
【0024】
また、折り曲げ壁部23は、第1縁部21aを基端(第1辺部23a)として傾斜状に折り曲げられているので、製造し易い。
また、第1取付穴21の少なくとも一部と第2取付穴22の少なくとも一部とが隣接して並んでいるので、壁部(折り曲げ壁部23)による異物侵入防止効果を高くすることができる。
【0025】
図4は本発明の別の実施形態を示している。図4を参照して、本実施形態が図3の実施形態と異なるのは、下記である。すなわち、コラムジャケット4の周方向Y1に対向する、折り曲げ壁部23の第3辺部23cおよび第4辺部23dを、第1取付穴21の対向する第3縁部21cおよび第4縁部21dにそれぞれ接続する一対の三角形状の接続壁部24,25を設けている。
【0026】
本実施形態によれば、折り曲げ壁部23と一対の三角形状の接続壁部24,25とで、コラムジャケット4内への異物の侵入を確実に抑制することができる。また、折り曲げ壁部23の剛性が向上するので、不用意な異物の挿入を確実に防止することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、図示していないが、壁部(折り曲げ壁部)を第2取付穴22の、第1取付穴21に近い側の縁部(第1縁部22a)に設けてもよい。その他、本発明の請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0027】
1…ステアリングコラム装置、3…ステアリングシャフト、4…コラムジャケット、4a…外周、5…コンビネーションスイッチユニット、6…キーロックユニット、7…筒状部、8…ユニット本体、9,10…レバー型スイッチ、11…スリット、12…弾性片部、13…係合突起、14…ホルダ、15…ユニット本体、16…ロックキー、19…キーロック孔、21…第1取付穴、21a…第1縁部(他方に近い側の縁部)、21b…第2縁部、21c…第3縁部、21d…第4縁部、22…第2取付穴、22a…第1縁部(他方に近い側の縁部)、23…折り曲げ壁部、23a…第1辺部(基端)、23b…第2辺部(先端)、23c…第3辺部、23d…第4辺部、24,25…接続壁部、X1…軸方向、Y1…周方向
図1
図2
図3
図4