特許第5954715号(P5954715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5954715栽培契約マッチングシステム、サーバ、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954715
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】栽培契約マッチングシステム、サーバ、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20160707BHJP
   G06Q 50/02 20120101ALI20160707BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   G06Q30/06 312
   G06Q50/02
   A01G7/00 603
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-85091(P2014-85091)
(22)【出願日】2014年4月17日
(65)【公開番号】特開2014-225249(P2014-225249A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2015年8月12日
(31)【優先権主張番号】特願2013-90886(P2013-90886)
(32)【優先日】2013年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(72)【発明者】
【氏名】村上 幸一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏次朗
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−164445(JP,A)
【文献】 特開2002−062926(JP,A)
【文献】 特開2001−195513(JP,A)
【文献】 特開平7−73251(JP,A)
【文献】 特開2003−16150(JP,A)
【文献】 特開2002−203133(JP,A)
【文献】 特開2004−70667(JP,A)
【文献】 特開2013−41358(JP,A)
【文献】 特開2002−99679(JP,A)
【文献】 特開2006−244492(JP,A)
【文献】 特開2001−344457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクライアント端末のそれぞれとサーバとがネットワークを介して通信可能であり、
前記サーバが、各注文者ID、各生産者IDおよび各管理者IDに固有のクライアントページをネットワーク配信する手段と、
クライアント端末から受信した生産者IDと関連付けられた栽培条件、生産数量および価格を含む生産予定情報を記憶装置に記憶する生産予定情報入力手段と、
クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶する注文情報入力手段と、
生産予定情報および注文情報をマッチングし、記憶装置に記憶するマッチング手段と、
マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDで、マッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDの双方で承認が得られた場合に栽培契約を成立させ、記憶装置に記憶するマッチング結果承認手段と、
クライアント端末から管理者IDを用いて入札期間情報を含む入札開始要求を受信したとき、生産予定情報入力手段および注文情報入力手段を各生産者IDおよび各管理者IDに利用可能とし、入札期間の経過時に生産予定情報入力手段および注文情報入力手段を各生産者IDおよび各管理者IDに利用不可能とすると共にマッチング手段を実行する入札管理手段と、を備え、
前記マッチング手段が、
注文情報を最も価格が高いものまたは価格が最も安いものからマッチングが行われるようにソートし、記憶装置に記憶する工程、
マッチング対象となる注文情報と栽培条件が合致する生産予定情報を抽出する抽出工程、
抽出された生産予定情報が一つである場合には、当該生産予定情報をマッチング対象となる注文情報の注文数量と合致する範囲で割り付け、記憶装置に記憶し、抽出された生産予定情報が複数ある場合には、生産予定情報を提供する生産者の最低生産能力を基準に各生産者に注文数量を均等に割り付ける第一次割付工程、第一次割付工程後に注文数量に余剰が生じた場合には生産能力に余裕のある生産者に余剰となった注文数量を均等に割り付ける第二次割付工程、注文数量の余剰が無くなるまで第二次割付を繰り返すことでマッチングの対象となる各生産者の割付量を算出し、記憶装置に記憶する第三次割付工程を実行する割付工程、全ての注文情報に対して順次抽出工程および割付工程を実行する工程を実行することを特徴とする栽培契約マッチングシステム。
【請求項2】
前記生産予定情報入力手段が、生産者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格をクライアント端末から受信し、記憶装置に記憶すること、
前記マッチング手段が、生産者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格に対して生産予定情報および注文情報をマッチングすること、
前記マッチング結果承認手段が、複数のマッチングが成立した場合に、マッチングの対象となる生産者IDに全てのマッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる注文者IDに全てのマッチング結果を閲覧およびいずれかのマッチング結果を承認可能とすることを特徴とする請求項1の栽培契約マッチングシステム。
【請求項3】
前記注文情報入力手段が、注文者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格をクライアント端末から受信し、記憶装置に記憶すること、
前記マッチング手段が、注文者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格に対して生産予定情報および注文情報をマッチングすること、
前記マッチング結果承認手段が、複数のマッチングが成立した場合に、マッチングの対象となる生産者IDに全てのマッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる注文者IDに全てのマッチング結果を閲覧およびいずれかのマッチング結果を承認可能とすることを特徴とする請求項1の栽培契約マッチングシステム。
【請求項4】
前記生産予定情報入力手段が、生産者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格をクライアント端末から受信し、記憶装置に記憶すること、
前記注文情報入力手段が、注文者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格をクライアント端末から受信し、記憶装置に記憶すること、
前記マッチング手段が、生産者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格および注文者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格に対して生産予定情報および注文情報をマッチングすること、
前記マッチング結果承認手段が、複数のマッチングが成立した場合に、マッチングの対象となる生産者IDに全てのマッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる注文者IDに全てのマッチング結果を閲覧およびいずれかのマッチング結果を承認可能とすることを特徴とする請求項1の栽培契約マッチングシステム。
【請求項5】
前記サーバが、クライアント端末から管理者IDを用いて再入札期間情報を含む再入札要求を受信したとき、入札管理手段を実行する手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの栽培契約マッチングシステム。
【請求項6】
前記サーバが、公知の生産管理システムから受信した収穫量および/または収穫時期が予め設定した許容値の範囲を逸脱した場合には、管理者IDと関連付けられた固有のクライアントページに再マッチングを促す表示を付加し、または、管理者IDと関連付けられた電子メールアドレスに再マッチングを促す電子メールを配信する手段を備えることを特徴とする請求項5の栽培契約マッチングシステム。
【請求項7】
前記抽出工程において、注文情報に基づき設定された二次条件を用いて価格の高低より生じる割り付けのバラツキを是正することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの栽培契約マッチングシステム。
【請求項8】
前記サーバが、クライアント端末から注文者ID、生産者IDまたは管理者IDを用いて入札期間内に仮マッチング要求を受信したとき、前記割付工程を行うことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかの栽培契約マッチングシステム。
【請求項9】
前記サーバが、前記割付工程で記憶装置に記憶した割り付け履歴をクライアント端末に表示させる手段を備えることを特徴とする請求項8の栽培契約マッチングシステム。
【請求項10】
各注文者ID、各生産者IDおよび各管理者IDに固有のクライアントページをネットワーク配信する手段と、
クライアント端末から受信した生産者IDと関連付けられた栽培条件、生産数量および価格を含む生産予定情報を記憶装置に記憶する生産予定情報入力手段と、
クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶する注文情報入力手段と、
生産予定情報および注文情報をマッチングし、記憶装置に記憶するマッチング手段と、
マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDで、マッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDの双方で承認が得られた場合に栽培契約を成立させ、記憶装置に記憶するマッチング結果承認手段と、
クライアント端末から管理者IDを用いて入札期間情報を含む入札開始要求を受信したとき、生産予定情報入力手段および注文情報入力手段を各生産者IDおよび各管理者IDに利用可能とし、入札期間の経過時に生産予定情報入力手段および注文情報入力手段を各生産者IDおよび各管理者IDに利用不可能とすると共にマッチング手段を実行する入札管理手段と、を備え、
前記マッチング手段が、
注文情報を最も価格が高いものまたは価格が最も安いものからマッチングが行われるようにソートし、記憶装置に記憶する工程、
マッチング対象となる注文情報と栽培条件が合致する生産予定情報を抽出する抽出工程、
抽出された生産予定情報が一つである場合には、当該生産予定情報をマッチング対象となる注文情報の注文数量と合致する範囲で割り付け、記憶装置に記憶し、抽出された生産予定情報が複数ある場合には、生産予定情報を提供する生産者の最低生産能力を基準に各生産者に注文数量を均等に割り付ける第一次割付工程、第一次割付工程後に注文数量に余剰が生じた場合には生産能力に余裕のある生産者に余剰となった注文数量を均等に割り付ける第二次割付工程、注文数量の余剰が無くなるまで第二次割付を繰り返すことでマッチングの対象となる各生産者の割付量を算出し、記憶装置に記憶する第三次割付工程を実行する割付工程、全ての注文情報に対して順次抽出工程および割付工程を実行する工程を実行することを特徴とする栽培契約マッチング用サーバ。
【請求項11】
生産者、注文者および管理者が利用するクライアント端末のそれぞれとサーバとがネットワークを介して通信可能であり、生産者IDおよび注文者IDを用いて農作物の栽培契約のマッチングを行う方法であって、
サーバが、各生産者IDおよび各管理者IDに固有のクライアントページをネットワーク配信するステップと、
サーバが、クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶するステップと、
サーバが、クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶するステップと、
生産予定情報および注文情報をマッチングし、記憶装置に記憶するマッチングステップと、
サーバが、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDで、マッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDの双方で承認が得られた場合に栽培契約を成立させ、記憶装置に記憶するステップと、を有し、
前記マッチングステップが、
注文情報を最も価格が高いものまたは最も価格が安いものからマッチングが行われるようにソートし、記憶装置に記憶する工程、
マッチング対象となる注文情報と栽培条件が合致する生産予定情報を抽出する抽出工程、
抽出された生産予定情報が一つである場合には、当該生産予定情報をマッチング対象となる注文情報の注文数量と合致する範囲で割り付け、記憶装置に記憶し、抽出された生産予定情報が一つである場合には、当該生産予定情報をマッチング対象となる注文情報の注文数量と合致する範囲で割り付け、記憶装置に記憶し、抽出された生産予定情報が複数ある場合には、生産予定情報を提供する生産者の最低生産能力を基準に各生産者に注文数量を均等に割り付ける第一次割付工程、第一次割付工程後に注文数量に余剰が生じた場合には生産能力に余裕のある生産者に余剰となった注文数量を均等に割り付ける第二次割付工程、注文数量の余剰が無くなるまで第二次割付を繰り返すことでマッチングの対象となる各生産者の割付量を算出し、記憶装置に記憶する第三次割付工程を実行する割付工程、全ての注文情報に対して順次抽出工程および割付工程を実行する工程を含むことを特徴とする栽培契約マッチング方法。
【請求項12】
生産者、注文者および管理者が利用するクライアント端末のそれぞれとサーバとがネットワークを介して通信可能であり、生産者IDおよび注文者IDを用いて農作物の栽培契約のマッチング処理を行うためのステップをサーバに実行させるためのプログラムであって、
各生産者IDおよび各管理者IDに固有のクライアントページをネットワーク配信するステップと、
クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶するステップと、
クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶するステップと、
生産予定情報および注文情報をマッチングし、記憶装置に記憶するマッチングステップと、
マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDで、マッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDの双方で承認が得られた場合に栽培契約を成立させ、記憶装置に記憶するステップをサーバに実行させるプログラムであって、
前記マッチングステップが、
注文情報を最も価格が高いものまたは価格が最も安いものからマッチングが行われるようにソートし、記憶装置に記憶する工程、
マッチング対象となる注文情報と栽培条件が合致する生産予定情報を抽出する抽出工程、
抽出された生産予定情報が一つである場合には、当該生産予定情報をマッチング対象となる注文情報の注文数量と合致する範囲で割り付け、記憶装置に記憶し、抽出された生産予定情報が複数ある場合には、生産予定情報を提供する生産者の最低生産能力を基準に各生産者に注文数量を均等に割り付ける第一次割付工程、第一次割付工程後に注文数量に余剰が生じた場合には生産能力に余裕のある生産者に余剰となった注文数量を均等に割り付ける第二次割付工程、注文数量の余剰が無くなるまで第二次割付を繰り返すことでマッチングの対象となる各生産者の割付量を算出し、記憶装置に記憶する第三次割付工程を実行する割付工程、全ての注文情報に対して順次抽出工程および割付工程を実行する工程を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットを利用した栽培契約マッチングシステム、サーバ、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報通信技術を利用した業務の効率化があらゆる分野において行われている。農業においても例外では無く、農作物の生育管理から収穫した農作物の販売に至るまで様々な場面において情報通信技術が利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、転作作物等の一般に安定供給が困難とされる農作物の供給者と農作物需要者との間において需給バランスを保つ農作物需給管理システム、及び、注文主が希望する産地(農地)若しくは生産者により生産された農作物を使用した加工食品を注文主に提供するための加工食品受発注システムであって、各農作物の最低生産量の予測値を算出する最低生産量算出手段と、需要者への農作物の供給配分を農作物の種類、品種、供給可能時期毎に決定する供給配分決定手段とを有するシステムが提案されている。
【0004】
また、農業経営においても情報通信技術の利用が提案されており、営農計画を作成するための農業経営システムが提案されている。
例えば、特許文献2では、農業経営者の端末機と、農業機械・資材メーカの端末機と、農業技術・経営研究機関の端末機と、農業改良普及センター・農協を含む農業経営指導機関の端末機と、農産物の市場開設者の端末機と、金融機関の端末機とが利用者端末機としてインターネットを介して接続された農業経営支援装置とからなる農業経営支援システムであって、営農リスクを考慮した数理計画モデルを自動生成して最適生産計画を生成し、あるいは利用者の入力した生産計画に基づく営農指標算出を行い、さらにその生産計画データから損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を推計計算するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−151851号公報
【特許文献2】特開2003−30278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
農作物の多くは、農業協同組合(JA)に出荷される。JAとの取引は一括買い取りの上、その時期の相場で代金が支払われるが、価格交渉は行えず生産者の利益の最大化は図られていない。他方で、生産者が自ら販売ルートを開拓し、農作物を販売することは必ずしも容易ではない。農業経営の安定化のためには大口顧客との契約栽培を行うことが効果的であるが、個人事業主である生産者が資本の大きい大口顧客と有利な条件で栽培契約を行うことは難しいという課題がある。また、小口顧客においては、生産者と栽培契約を結びたくとも、供給量の観点から疎まれ、栽培契約を結ぶことが難しいという課題がある。
【0007】
以上の課題を鑑み、本発明は、注文者および生産者の最適なマッチングを図り、上記の課題を解決することを可能とする栽培契約マッチングシステム、サーバ、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]複数のクライアント端末のそれぞれとサーバとがネットワークを介して通信可能であり、前記サーバが、各注文者ID、各生産者IDおよび各管理者IDに固有のクライアントページをネットワーク配信する手段と、クライアント端末から受信した生産者IDと関連付けられた栽培条件、生産数量および価格を含む生産予定情報を記憶装置に記憶する生産予定情報入力手段と、クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶する注文情報入力手段と、生産予定情報および注文情報をマッチングし、記憶装置に記憶するマッチング手段と、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDで、マッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDの双方で承認が得られた場合に栽培契約を成立させ、記憶装置に記憶するマッチング結果承認手段と、クライアント端末から管理者IDを用いて入札期間情報を含む入札開始要求を受信したとき、生産予定情報入力手段および注文情報入力手段を各生産者IDおよび各管理者IDに利用可能とし、入札期間の経過時に生産予定情報入力手段および注文情報入力手段を各生産者IDおよび各管理者IDに利用不可能とすると共にマッチング手段を実行する入札管理手段と、を備え、前記マッチング手段が、注文情報を最も価格が高いものまたは価格が最も安いものからマッチングが行われるようにソートし、記憶装置に記憶する工程、マッチング対象となる注文情報と栽培条件が合致する生産予定情報を抽出する抽出工程、抽出された生産予定情報が一つである場合には、当該生産予定情報をマッチング対象となる注文情報の注文数量と合致する範囲で割り付け、記憶装置に記憶し、抽出された生産予定情報が複数ある場合には、生産予定情報を提供する生産者の最低生産能力を基準に各生産者に注文数量を均等に割り付ける第一次割付工程、第一次割付工程後に注文数量に余剰が生じた場合には生産能力に余裕のある生産者に余剰となった注文数量を均等に割り付ける第二次割付工程、注文数量の余剰が無くなるまで第二次割付を繰り返すことでマッチングの対象となる各生産者の割付量を算出し、記憶装置に記憶する第三次割付工程を実行する割付工程、全ての注文情報に対して順次抽出工程および割付工程を実行する工程を実行することを特徴とする栽培契約マッチングシステム。
[2]前記生産予定情報入力手段が、生産者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格をクライアント端末から受信し、記憶装置に記憶すること、前記マッチング手段が、生産者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格に対して生産予定情報および注文情報をマッチングすること、前記マッチング結果承認手段が、複数のマッチングが成立した場合に、マッチングの対象となる生産者IDに全てのマッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる注文者IDに全てのマッチング結果を閲覧およびいずれかのマッチング結果を承認可能とすることを特徴とする[1]の栽培契約マッチングシステム。
[3]前記注文情報入力手段が、注文者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格をクライアント端末から受信し、記憶装置に記憶すること、前記マッチング手段が、注文者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格に対して生産予定情報および注文情報をマッチングすること、前記マッチング結果承認手段が、複数のマッチングが成立した場合に、マッチングの対象となる生産者IDに全てのマッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる注文者IDに全てのマッチング結果を閲覧およびいずれかのマッチング結果を承認可能とすることを特徴とする[1]の栽培契約マッチングシステム。
【0009】
[4]前記生産予定情報入力手段が、生産者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格をクライアント端末から受信し、記憶装置に記憶すること、前記注文情報入力手段が、注文者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格をクライアント端末から受信し、記憶装置に記憶すること、前記マッチング手段が、生産者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格および注文者IDと関連付けられた栽培条件と連動した複数の価格に対して生産予定情報および注文情報をマッチングすること、前記マッチング結果承認手段が、複数のマッチングが成立した場合に、マッチングの対象となる生産者IDに全てのマッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる注文者IDに全てのマッチング結果を閲覧およびいずれかのマッチング結果を承認可能とすることを特徴とする[1]の栽培契約マッチングシステム。
[5]前記サーバが、クライアント端末から管理者IDを用いて再入札期間情報を含む再入札要求を受信したとき、入札管理手段を実行する手段を備えることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかの栽培契約マッチングシステム。
[6]前記サーバが、公知の生産管理システムから受信した収穫量および/または収穫時期が予め設定した許容値の範囲を逸脱した場合には、管理者IDと関連付けられた固有のクライアントページに再マッチングを促す表示を付加し、または、管理者IDと関連付けられた電子メールアドレスに再マッチングを促す電子メールを配信する手段を備えることを特徴とする[5]の栽培契約マッチングシステム。
[7]前記抽出工程において、注文情報に基づき設定された二次条件を用いて価格の高低より生じる割り付けのバラツキを是正することを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかの栽培契約マッチングシステム。
[8]前記サーバが、クライアント端末から注文者ID、生産者IDまたは管理者IDを用いて入札期間内に仮マッチング要求を受信したとき、前記割付工程を行うことを特徴とする[1]ないし[7]のいずれかの栽培契約マッチングシステム。
[9]前記サーバが、前記割付工程で記憶装置に記憶した割り付け履歴をクライアント端末に表示させる手段を備えることを特徴とする[8]の栽培契約マッチングシステム。
【0010】
[10]各注文者ID、各生産者IDおよび各管理者IDに固有のクライアントページをネットワーク配信する手段と、クライアント端末から受信した生産者IDと関連付けられた栽培条件、生産数量および価格を含む生産予定情報を記憶装置に記憶する生産予定情報入力手段と、クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶する注文情報入力手段と、生産予定情報および注文情報をマッチングし、記憶装置に記憶するマッチング手段と、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDで、マッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDの双方で承認が得られた場合に栽培契約を成立させ、記憶装置に記憶するマッチング結果承認手段と、クライアント端末から管理者IDを用いて入札期間情報を含む入札開始要求を受信したとき、生産予定情報入力手段および注文情報入力手段を各生産者IDおよび各管理者IDに利用可能とし、入札期間の経過時に生産予定情報入力手段および注文情報入力手段を各生産者IDおよび各管理者IDに利用不可能とすると共にマッチング手段を実行する入札管理手段と、を備え、前記マッチング手段が、注文情報を最も価格が高いものまたは価格が最も安いものからマッチングが行われるようにソートし、記憶装置に記憶する工程、マッチング対象となる注文情報と栽培条件が合致する生産予定情報を抽出する抽出工程、抽出された生産予定情報が一つである場合には、当該生産予定情報をマッチング対象となる注文情報の注文数量と合致する範囲で割り付け、記憶装置に記憶し、抽出された生産予定情報が複数ある場合には、生産予定情報を提供する生産者の最低生産能力を基準に各生産者に注文数量を均等に割り付ける第一次割付工程、第一次割付工程後に注文数量に余剰が生じた場合には生産能力に余裕のある生産者に余剰となった注文数量を均等に割り付ける第二次割付工程、注文数量の余剰が無くなるまで第二次割付を繰り返すことでマッチングの対象となる各生産者の割付量を算出し、記憶装置に記憶する第三次割付工程を実行する割付工程、全ての注文情報に対して順次抽出工程および割付工程を実行する工程を実行することを特徴とする栽培契約マッチング用サーバ。
【0011】
[11]生産者、注文者および管理者が利用するクライアント端末のそれぞれとサーバとがネットワークを介して通信可能であり、生産者IDおよび注文者IDを用いて農作物の栽培契約のマッチングを行う方法であって、サーバが、各生産者IDおよび各管理者IDに固有のクライアントページをネットワーク配信するステップと、サーバが、クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶するステップと、サーバが、クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶するステップと、生産予定情報および注文情報をマッチングし、記憶装置に記憶するマッチングステップと、サーバが、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDで、マッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDの双方で承認が得られた場合に栽培契約を成立させ、記憶装置に記憶するステップと、を有し、前記マッチングステップが、注文情報を最も価格が高いものまたは価格が最も安いものからマッチングが行われるようにソートし、記憶装置に記憶する工程、マッチング対象となる注文情報と栽培条件が合致する生産予定情報を抽出する抽出工程、抽出された生産予定情報が一つである場合には、当該生産予定情報をマッチング対象となる注文情報の注文数量と合致する範囲で割り付け、記憶装置に記憶し、抽出された生産予定情報が複数ある場合には、生産予定情報を提供する生産者の最低生産能力を基準に各生産者に注文数量を均等に割り付ける第一次割付工程、第一次割付工程後に注文数量に余剰が生じた場合には生産能力に余裕のある生産者に余剰となった注文数量を均等に割り付ける第二次割付工程、注文数量の余剰が無くなるまで第二次割付を繰り返すことでマッチングの対象となる各生産者の割付量を算出し、記憶装置に記憶する第三次割付工程を実行する割付工程、全ての注文情報に対して順次抽出工程および割付工程を実行する工程を含むことを特徴とする栽培契約マッチング方法。
【0012】
[12]生産者、注文者および管理者が利用するクライアント端末のそれぞれとサーバとがネットワークを介して通信可能であり、生産者IDおよび注文者IDを用いて農作物の栽培契約のマッチング処理を行うためのステップをサーバに実行させるためのプログラムであって、各生産者IDおよび各管理者IDに固有のクライアントページをネットワーク配信するステップと、クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶するステップと、クライアント端末から受信した注文者IDと関連付けられた栽培条件、注文数量および価格を含む注文情報を記憶装置に記憶するステップと、生産予定情報および注文情報をマッチングし、記憶装置に記憶するマッチングステップと、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDで、マッチング結果を閲覧および承認可能とし、マッチングの対象となる生産者IDおよび注文者IDの双方で承認が得られた場合に栽培契約を成立させ、記憶装置に記憶するステップをサーバに実行させるプログラムであって、前記マッチングステップが、注文情報を最も価格が高いものまたは価格が最も安いものからマッチングが行われるようにソートし、記憶装置に記憶する工程、マッチング対象となる注文情報と栽培条件が合致する生産予定情報を抽出する抽出工程、抽出された生産予定情報が一つである場合には、当該生産予定情報をマッチング対象となる注文情報の注文数量と合致する範囲で割り付け、記憶装置に記憶し、抽出された生産予定情報が複数ある場合には、生産予定情報を提供する生産者の最低生産能力を基準に各生産者に注文数量を均等に割り付ける第一次割付工程、第一次割付工程後に注文数量に余剰が生じた場合には生産能力に余裕のある生産者に余剰となった注文数量を均等に割り付ける第二次割付工程、注文数量の余剰が無くなるまで第二次割付を繰り返すことでマッチングの対象となる各生産者の割付量を算出し、記憶装置に記憶する第三次割付工程を実行する割付工程、全ての注文情報に対して順次抽出工程および割付工程を実行する工程を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、注文者側にも生産者側に最適な需給のマッチングを図るための場を提供することが可能となる。また、生産者は有利な条件で注文者と栽培契約を成立させることが可能となる。また、小口顧客は大口顧客と対等な立場で競争し、栽培契約を獲得することが可能となる。
さらに、栽培条件に応じて複数のマッチングを成立させる手段を備える構成においては、注文者の多様なニーズに応える複雑なマッチングを簡便に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態例に係る栽培契約マッチングシステムの構成図である。
図2】本発明の実施形態例に係る栽培契約成立の流れ図である。
図3】生産予定情報の入力パラメータおよび入力データ一覧表の一例を示す図である。
図4】注文情報の入力パラメータおよび入力データ一覧表の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態例に係るマッチング処理の流れ図である。
図6】マッチング結果の一例を示す図である。
図7】需給マッチング履歴一覧の画面イメージ図である。
図8】需給マッチング履歴詳細の画面イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明を実施するための形態例を説明する。
図1は、本発明の実施形態例に係る栽培契約マッチングシステム(以下、「本システム」という)の構成図である。
本システムは、インターネット2に接続されたマッチング用サーバ装置1と、インターネット2に接続された生産者端末3a〜3nと、注文者端末4と、管理者端末5とを主要な構成要素とする。また、後述するように、本システムは生産管理用サーバ装置6を備える生産管理システムと連携を図ることも可能である。なお、本明細書では、生産者端末3と注文者端末4と合わせてクライアント端末と呼ぶ場合がある。
【0016】
本システムの典型的な利用者は、小売店等の注文者、農家等の生産者および代理店である。本システムは、注文者が、主として代理店を介して生産者と栽培契約を締結する場面で利用される。すなわち、本システムは、注文者と生産者のマッチングを行うための手段を提供するものである。本システムの利用者である生産者および注文者は、本システムの提供者である代理店に所定の仲介手数料を支払う。仲介手数料は栽培契約の成立数や取引量に伴い増加する従量制としてもよいし、栽培契約の成立数や取引量とは関係なく一定の仲介手数料が発生する固定制としてもよい。仲介手数料の支払時期の設定も自由であり、例えば、栽培契約の成立時、農作物の納品時、入札期間終了後の翌月の指定日とすることが開示される。なお、代理店は、生産者および/または注文者が共同出資して設立した組合や法人格を有しない団体であってもよい。
【0017】
本システムの利用時期は、対象となる農作物の生産年度の開始前のみならず、生産年度開始後も想定している。すなわち、本システムは、天候等の影響により収穫量が少なくなることや所望の品質が得られないことが想定される場合の再マッチングの場面で利用されることも想定している。
本システムのマッチング用サーバ装置1は代理店が提供し、発注者および生産者はクライアント端末からマッチング用サーバ装置1にアクセスすることで本システムを利用する。以下では、最初に本システムの構成の詳細を説明し、続いて本システムの作動の詳細を説明する。
【0018】
<構成>
マッチング用サーバ装置1は、CPUと記憶装置とを備え、記憶装置には本システムの画面をHTML(Hyper Text Markup Language)やXHTML(Extensible Hyper Text Markup Language)等のマークアップ言語で記述されたWebページを通して配信可能とするHTTPサーバプログラムと、マッチング処理を行うマッチングプログラムと、注文者情報、生産者情報、農作物情報、マッチング情報等の管理データを格納するデータベースとが記憶されている。マッチング用サーバ装置1は1台で構成してもよいし、複数台で構成してもよい。本実施形態例ではマッチング用サーバ装置1をデータセンターに配置しているが、代理店にマッチング用サーバ装置1を配置してもよい。
好ましい形態の本実施形態例は、農業研究センターが提供している青果市況情報データベース(通称NAPASS)と連係が可能となるようなデータベースを構築する。例えば、NAPASSで用いられている品目コード、市場コードおよび産地コードを利用することにより、NAPASSから産地別・市場別の価格データを取得し、作成した営農指標をクライアント端末に提供することが可能となる。
【0019】
生産者端末3a〜3nは、通常はノートPC、デスクトップPCを用いるが、タブレット、携帯電話、スマートフォン、携帯用パソコン(ウルトラモバイルPC、ポケットPC)、PDA(Personal Data Assistance)等の携帯端末を用いてもよく、少なくともCPU、記憶装置およびWebブラウザを有していれば足りる。但し、圃場で利用するためには、タブレット、スマートフォン等の携帯性に優れた端末を利用することが好ましい場合もある。各生産者は、生産者端末3a〜3nから、Webブラウザによりマッチング用サーバ装置1の提供するWebページにアクセスして本システムを利用する。本システムを利用するにあたり、生産者端末3に特別なソフトウェアをインストールする必要は無い。生産者端末3a〜3nは、マッチング用サーバ装置1から受発注等の取引データ51をCSV等のファイル形式でダウンロードし、他のシステム(例えば、業務系システム)と連携することも可能である。
【0020】
注文者端末4a〜4nは、ノートPC、デスクトップPC、タブレット、携帯電話、スマートフォン、携帯用パソコン、PDA等の端末であり、少なくともCPU、記憶装置およびWebブラウザを有している。販売店の各担当者は、注文者端末4から、Webブラウザによりマッチング用サーバ装置1の提供するWebページにアクセスして本システムを利用する。本システムを利用するにあたり、注文者端末4a〜4nに特別なソフトウェアをインストールする必要は無い。注文者端末4a〜4nにおいても、マッチング用サーバ装置1から受発注等の取引データ51をCSV等のファイル形式でダウンロードし、他のシステム(例えば、業務系システム、生産管理システム)と連携することも可能である。
【0021】
管理者端末5は、ノートPC、デスクトップPC、タブレット、携帯電話、スマートフォン、携帯用パソコン、PDA等の端末であり、少なくともCPU、記憶装置およびWebブラウザを有している。本システムを提供する代理店の担当者は、管理者端末5から、Webブラウザによりマッチング用サーバ装置1の提供するWebページにアクセスして本システムの運用管理を行う。
【0022】
<作動>
図2は、本発明の実施形態例に係る栽培契約マッチングシステムにおける栽培契約成立の流れの一例を示す図である。
STEP1:生産者が、生産者端末3から自己のIDを用いてマッチング用サーバ装置1の提供するWebページにアクセスしログインすると、生産予定情報入力画面が表示装置に表示される。生産予定情報入力画面において、生産者は生産予定情報(例えば、作物名、ブランド名、品種名、有機栽培、無農薬、収穫時期、作付け面積、予定生産数、規格等級、価格)を入力する。図3に生産予定情報の入力パラメータおよび入力データ一覧表の一例を示す。図3(1)において、ブランド名をドロップリストから選択した場合(或いはテキスト入力した場合)、当該ブランド名に対応する品種および栽培方法(網掛け部分)がシステムにより自動入力される。
ここで、一つの農作物について条件に応じて異なる価格を入力可能としてもよい。例えば、ベース金額を1200円/kg、有機栽培の場合は+200円/kg、減農薬の場合+100円/kgとする栽培条件に応じたオプション価格を入力可能としてもよい。このように、一つの農作物について条件に応じて異なる価格を設定することにより、注文者の多様なニーズに応えた複雑なマッチングを簡便に行うことが可能となる。
生産予定情報の入力が完了し、確認ボタンをクリックすると、生産予定情報確認画面に遷移する。生産予定情報確認において、生産者が表示された生産予定情報を確認した後、送信ボタンをクリックすることで生産予定情報がマッチング用サーバ装置1に送信される。なお、入札期間中は、生産者は生産予定情報を修正することが可能である。
【0023】
STEP2:マッチング用サーバ装置1が生産者端末3から生産予定情報を受信すると、記憶装置に格納されたデータベースを更新する。この際、受信した生産予定情報には、生産者IDと関連付けられた一意の生産予定情報識別子が付与される。これにより、更新された生産予定情報を、設定権限の範囲で、注文者および他の生産者が閲覧することが可能となる。本システムでは、生産予定情報の開示範囲および閲覧者を自由に設定することができるが、本実施形態例においては、価格以外の生産予定情報を注文者および他の生産者が閲覧することを可能とする運用としている。
【0024】
STEP3:注文者が、注文者端末4から自己のIDを用いてマッチング用サーバ装置1の提供するWebページにアクセスしログインすると、注文情報入力画面が表示装置に表示される。注文情報入力画面において、注文者は注文情報(例えば、作物名、ブランド名、品種名、有機栽培、無農薬、減農薬、規格等級、鮮度保持、納品時期、価格、発注量)を入力する。図4に注文情報の入力画面の一例を示す。注文情報の入力においても、生産予定情報と同様に、一つの作物について条件に応じて異なる価格を入力可能としてもよい。
注文情報の入力が完了し、確認ボタンをクリックすると、注文情報確認画面に遷移する。注文情報確認において、注文者が表示された注文情報を確認した後、送信ボタンをクリックすることで注文情報がマッチング用サーバ装置1に送信される。なお、入札期間中は、注文者は注文情報を修正することが可能である。
【0025】
STEP4:マッチング用サーバ装置1が注文者端末4から注文情報を受信すると、記憶装置に格納されたデータベースを更新する。この際、受信した注文情報には、注文者IDと関連付けられた一意の注文情報識別子が付与される。これにより、更新された注文情報を、設定権限の範囲で、注文者および他の生産者が閲覧することが可能となる。本システムでは、注文情報の開示範囲および閲覧者を自由に設定することができるが、本実施形態例においては、生産者および他の注文者が閲覧することを不可とする運用としている。
【0026】
STEP5:入札期間の終了後、マッチング用サーバ装置1の記憶装置に格納されたマッチングプログラムにより、生産者と注文者のマッチング処理が行われる。生産者と注文者のマッチング処理は、多様なアルゴリズムの中から最適なアルゴリズムを選択して行うことができる。本実施形態例においては、生産者の利益を最大にするという観点のもと、マッチング処理のアルゴリズムを採用しているが、採用可能なアルゴリズムがこれに限定されないことは言うまでも無い。
本実施形態例では、入札期間の終了後にマッチング処理を行う仕様としているが、入札期間中に仮マッチング処理を生産者および/または注文者が任意のタイミングで行い、仮マッチング結果を閲覧することを可能としてもよい。このような仕様とすることで、注文者および/または生産者が、仮マッチング結果を確認し、注文情報および生産予定情報を入札期間中に修正することが可能となり、マッチングの満足度を向上させることが可能となる。仮マッチング結果の履歴は、需給マッチング履歴一覧として参照可能とすることが好ましい(後述する図7参照)。
【0027】
図5は、本実施形態例に係るマッチング処理の流れ図である。
まず、注文価格が高い注文情報からマッチングが行われるように、注文情報1〜nを価格をキーとして降順にソートする(STEP51)。例えば、注文者Aがレタス600kg 単価1200円/kg、注文者Bがレタス300kg 単価800円/kg、注文者Cがレタス200kg 単価1000円/kgを入力した場合(栽培方法等の条件は割愛)、A、C、Bの順にソートされる。なお、注文価格が同額の場合は発注量が多い方を優先し、発注量も同じ場合は注文情報の送信時間が早い方を優先する。
上記例示とは異なり、STEP51で、注文価格が安い注文情報からマッチングが行われるように、注文情報1〜nを価格をキーとして昇順にソートすることも可能である。但し、マッチング条件として価格だけを採用すると、価格競争力の低い小規模農家の経営を圧迫することが想定される。そのため、注文者に予めシステム側で用意した二次条件(例えば、有機栽培を優先させること、パッケージに生産者の顔写真を付けること)を一つ以上選択することを必須とすることにより割り付けのバラツキを是正し、小規模農家の経営を圧迫しないようにすることが好ましい。ここで、マッチングプログラムが、二次条件を用いない場合の割り付けのバラツキ度合いを予め設定した計算式に基づき計算し、バラツキ度合いが許容値を超える場合には、二次条件を動的に設定するようにしてもよい。
【0028】
次に、注文情報i(初期値はi=1)の条件に該当する生産予定情報を抽出する(STEP52)。例えば、注文情報が上記の入力例であり、生産者Aがレタス400kg 単価800円、生産者Bがレタス200kg 単価900円、生産者Cがレタス150kg 単価1000円、生産者Dがレタス200kg 単価1400円を入力した場合(栽培方法等の条件は割愛)、注文情報iの条件に合致する入力単価が1200円以下の生産者A、B、Cの生産予定情報が抽出される。
【0029】
次に該当生産予定情報が複数あるかを判定する(STEP53)。該当生産予定情報が一つである場合、マッチングプログラムは、注文情報の条件と当該生産予定情報が合致する範囲で、マッチングを成立させる(STEP54)。例えば、注文情報が上記の入力例であり、生産者Eがレタス500kg 単価800円を入力し、他に生産予定情報が無い場合、レタス500kg 単価1200円の条件で生産者Eと注文者Aにマッチングが成立する。マッチング用サーバ装置1は、成立したマッチング情報に基づきデータベースを更新する。
本実施形態例では、該当生産予定情報が複数ある場合、複数生産者に割り付けを行う(STEP55)。本実施形態例においては、複数生産者への割付は、第一次的には各生産者に均等に割り付けることを試み、割り付けに余剰が生じた場合には、第二次的には生産能力に余裕がある生産者間で均等に割り付けることを試みる。例えば、注文者A(レタス600kg 単価1200円/kg)に、生産者A(レタス400kg 単価800円)、生産者B(レタス200kg 単価900円)、生産者C(レタス150kg 単価1000円)を割り付ける場合、まずは生産者A、B、Cに各200kgを割り付けることを検討する。ここに挙げた例では、生産者Cの生産能力が150kgであるため、生産者Cには150kgまでしか割り付けができず、50kg分の余剰が生じる。そのため、余剰となった50kgを生産者A、Bに25kgずつ割り付ける。これにより、注文者Aと生産者Aとの間で225kgのマッチングが成立し、注文者Aと生産者Bとの間で225kgのマッチングが成立し、注文者Aと生産者Cとの間で150kgのマッチングが成立する。マッチング用サーバ装置1は、成立したマッチング情報に基づきデータベースを更新する。
【0030】
上記では、STEP55で均等割り付けを行う手順を開示したが、均等割り付けに代えて任意の条件で割付を行うことも可能である。例えば、余剰生産量が多い順、或いは、余剰生産量が少ない順に割り付けること、更には栽培方法等の二次条件を組み合わせて割付をすることが開示される。以下では、均等割り付けに代えて余剰生産量が少ない順に割り付ける場合の手順を例示する(二次条件は無いものとする。)。
【0031】
例えば、注文者A(レタス600kg 単価1200円/kg)に、生産者A(レタス400kg 単価800円)、生産者B(レタス200kg 単価900円)、生産者C(レタス150kg 単価1000円)を割り付ける場合、まずは余剰生産量が150kgの生産者Cに割り付けることを検討する。ここに挙げた例では、単価も注文条件の範囲で一致するので、注文者Aに生産者Cの全ての生産量(150kg)が割り付けられることとなる。次に、残りの450kgの注文について、余剰生産量が200kgの生産者Bに割り付けることを検討する。ここに挙げた例では、単価も注文条件の範囲で一致するので、注文者Aに生産者Bの全ての生産量(200kg)が割り付けられることとなる。最後に、残りの250kgの注文について、余剰生産量が600kgの生産者Aに割り付けることを検討する。ここに挙げた例では、単価も注文条件の範囲で一致するので、注文者Aに生産者Aの生産量の一部である150kgが割り付けられることとなる。
上記例示のように、余剰生産量が少ない順に割り付けることで、小規模農家の経営を安定させることが可能となる。他方で、規模が大きい農家の経営が圧迫されるという不合理が生じてはならないので、注文者に予めシステム側で用意した二次条件(例えば、単価が20%以上高い場合は単価を優先して割付を行うこと、有機栽培を優先させること、パッケージに生産者の顔写真を付けること)を一つ以上選択することを必須とすることで、割り付けのバラツキを是正することが好ましい。ここで、マッチングプログラムが、二次条件を用いない場合の割り付けのバラツキ度合いを予め設定した計算式に基づき計算し、バラツキ度合いが許容値を超える場合には、二次条件を動的に設定するようにしてもよい。
【0032】
注文情報iに対するマッチング処理が終了した場合において、他にマッチング処理を行っていない注文情報がない場合にはマッチング処理を終了し、他にマッチング処理を行っていない注文情報がある場合には、次の注文情報に対するマッチング処理を行う(STEP56)。すなわち、他にマッチング処理を行っていない注文情報がある場合には、iの値を1つ増やし、STEP52〜STEP55の処理を繰り返す(STEP57)。
例えば、注文者Aがレタス600kg 単価1200円/kg、注文者Bがレタス300kg 単価900円/kg、注文者Cがレタス300kg 単価1000円/kgを入力し、生産者Aがレタス500kg 単価800円、生産者Bがレタス300kg 単価900円、生産者Cがレタス800kg 単価1000円、生産者Dがレタス200kg 単価1400円を入力した場合(栽培方法等の条件は割愛)を考える。まず、最も入力単価が高い注文者Aに対するマッチングが行われる。この注文者Aに対するマッチングにおいては、生産者A、B、Cが抽出され、注文者Aと生産者A、B、Cとの間にそれぞれレタス200kgのマッチングが成立する。次に、2番目に入力単価が高い注文者Cに対するマッチングが行われる。この注文者Cに対するマッチングにおいては、生産者A、B、Cが抽出され、注文者Cと生産者A、B、Cとの間にそれぞれレタス100kgのマッチングが成立する。最後に、注文者Bに対するマッチングが行われる。この注文者Bに対するマッチングにおいては、生産者A、Bの生産予定情報が抽出されるが、Bは生産能力が無いので割り付けは行われず、注文者Bと生産者Aとの間にレタス200kgのマッチングが成立する。以上により、全ての注文情報(i=1〜3)についてのマッチング処理が終了したことになる。この例では、生産者A、B、Cの入力価格よりも高い価格を入力した生産者Dにはマッチングは成立せず、生産者Cもレタス500kg分についてはマッチングは成立しない。
【0033】
STEP6:全ての注文情報iについてのマッチング処理が終了すると、マッチング結果が生産者および注文者に提示される。すなわち、生産者および注文者が、マッチング用サーバ装置1の提供するWebページにアクセスしログインすると、クライアント端末の表示装置にマッチング結果が表示される。図6にマッチング結果の一例を示す。ここで、マッチング用サーバ装置1が、生産者および注文者に、マッチングが終了したこと或いはマッチング結果を知らせる電子メールを配信するようにしてもよい。
【0034】
STEP7−1:生産者は、マッチング結果を確認し、その内容が満足のいくものである場合は承認ボタンをクリックし、その内容が満足のいかないものである場合は拒否ボタンをクリックする。一つの農作物について栽培条件に応じて異なる複数のマッチングが成立している場合には、その全てに対して承認を行う。
STEP7−2:注文者は、マッチング結果を確認し、その内容が満足のいくものである場合は承認ボタンをクリックし、その内容が満足のいかないものである場合は拒否ボタンをクリックする。一つの農作物について栽培条件に応じて異なる複数のマッチングが成立している場合には、いずれかの条件を選択して承認を行う。
STEP8:マッチングされた生産者と注文者の双方がマッチング結果を承認した場合には、栽培契約が成立する。生産者または注文者のいずれかがマッチング結果を拒否した場合には、栽培契約は不成立となる。
【0035】
<再マッチング>
実施形態例においては、播種の開始前に第一次入札期間と第二次入札期間とを設定している。第一次入札期間でマッチングが成立しなかった生産者および注文者は、第二次入札期間において再度マッチングの機会を得ることができる。第二次入札期間におけるマッチングの手順は、第一次入札期間におけるマッチングの手順と同じである。例えば、レタスの栽培の場合、8月に播種が始まるので、6月下旬に2週間の第一次入札期間を設け、7月上旬に1週間の第二次入札期間を設けることが開示される。第三次以降の入札期間を設けるかは、システム管理者の運用による。例えば、収穫前に、天候不良により収穫量に不足が見込まれる場合、収穫時期が遅れる場合などには追加の入札期間を設けるようにしてもよい。追加の入札期間を設けるかどうかを判断するための情報(例えば、収穫量や収穫時期のズレ)を、生産管理システムから受信し、Web画面への警告文の表示、警告文の電子メール配信などのアラートをシステム管理者に発するようにしてもよい。
【0036】
<マッチング履歴の表示>
本システムは、マッチング結果の履歴をデータベースに保持しており、任意のタイミングで参照することが可能である。マッチング結果の履歴は、マッチング結果の場合もあれば、仮マッチング結果の場合もある。図7は需給マッチング履歴一覧の画面イメージ図であり、図8は需給マッチング履歴詳細の画面イメージ図である。
【0037】
マッチング履歴の表示は、「作物」、「農薬」、「対象期間」および「玉数」からなる検索条件フィールドに絞り込み条件を入力することでおこなされる。「作物」および「農薬」フィールドは、ドロップダウンリストに表示されるリストから選択することで入力する。「作物」フィールドに表示される作物の数が多い場合には、図示のように、「あかさたな・・・」により表示対象を絞る機能を設けることが好ましい。「入力後このボタンを押して下さい。」と表記されるボタンを押下することで、絞り込み条件に該当するマッチング履歴の一覧を検索日時順に表示するマッチング履歴一覧表が表示される(図7参照)。
【0038】
マッチング履歴一覧画面に表示されたマッチング履歴一覧表には、上下に並ぶ詳細ボタンが表示される。この詳細ボタンを押下すると、詳細ボタンに対応する行の詳細情報一覧表を表示するマッチング履歴詳細画面が表示される。詳細情報一覧表には、マッチング検索をした時点における「生産予定数」、「予約数」、「残数」(=余剰生産量)および「実績価格」が生産者名順に一覧表示される。また、割り付け処理における引き当ての有無が表示される。
このように、本システムでは、マッチング履歴を所定の条件で検索し、一覧表示することが可能である。マッチング履歴の検索は、設定権限の範囲で行うことが可能である。設定権限は、検索条件フィールドのフィールド単位、マッチング履歴一覧表の各列の単位および詳細情報一覧表の各列の単位で設定することが可能である。
【0039】
<生産管理システムとの連携>
本システムは、生産管理用サーバ装置を5備える生産管理システムとの連携が可能である。生産管理システムは、既に市場に提供されている公知のものを利用することが可能である。なお、生産管理システムとの連携は必須の構成では無く、付加的構成である。
生産管理システムは、過年度の生産実績情報を記憶装置に記憶し、次年度の生産予測を行うシステムである。より詳細には、生産管理システムは、センサーにより収集した気温情報、日照情報、降雨量情報および過年度の生産実績情報を記憶装置に記憶し、積算気温、積算日照時間、降雨量および過年度の生産実績との相関などから農作物の収穫量や収穫時期を予測することができる。
本システムは、生産管理システムの生産実績情報を吸い上げ、生産予定情報を自動生成することが可能である。また、本システムは、生産管理システムから農作物の収穫量や収穫時期の情報を吸い上げ、上記で述べたように、追加の入札期間を設けることを促すアラートを発することが可能である。
さらに本システムは、生産予定農作物情報と契約栽培の有無を関連づけた一覧表を生産者に提示することが可能である。これによれば、生産者は、買い手を探す必要がある自己の農作物がどの程度あるかを容易に把握することが可能である。
【0040】
マッチング用サーバ装置1への生産実績情報の入力は、例えば、生産管理用サーバ装置6から受発注等の生産実績データをCSV等のファイル形式でダウンロードし、マッチング用サーバ装置1へアップロードすることで行われる。この生産管理システムとのデータ連携は、生産実績データを予め定められたスケジュールで実行されるバッチプログラムにより自動連携を図ることがより好ましい。
【0041】
以上、本開示にて幾つかの実施形態を単に例示として詳細に説明したが、本発明の新規な教示及び有利な効果から実質的に逸脱しない範囲の改変例も本発明には含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 マッチング用サーバ装置
2 インターネット
3 生産者端末
4 注文者端末
5 管理者端末
6 生産管理用サーバ装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8