特許第5954729号(P5954729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954729
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   H02N2/18
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-16022(P2012-16022)
(22)【出願日】2012年1月30日
(65)【公開番号】特開2013-158117(P2013-158117A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年11月20日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(先端的低炭素化技術開発)「三軸振動発電による自動車用セルフパワード制御技術の開発」にかかる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(73)【特許権者】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 俊司
(72)【発明者】
【氏名】笠井 周
(72)【発明者】
【氏名】橋本 誠司
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/093179(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/147080(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/158473(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられる固定部材と、
第1、第2、第3の質量第1、第2、第3の圧電素子、および第1、第2、第3の変位部材備えた2つの振動部と、を備え、
前記2つの振動部は、互いに前記固定部材を中心に互いに直交する方向に配置されており、
前記2つの振動部のそれぞれにおいて、
前記第1の変位部材の一方の端部は、前記固定部材に固定されており、
前記第1の変位部材の他方の端部には、前記第1の質量が固定されており、
前記固定部材と前記第1の質量の間には、前記第1の圧電素子が設けられており、
前記第2の変位部材の一方の端部は、前記第1の質量に固定されており、
前記第2の変位部材の他方の端部には、前記第2の質量が固定されており、
前記第1の質量と前記第2の質量の間には、前記第2の圧電素子が設けられており、
前記第3の変位部材の一方の端部は、前記第2の質量に固定されており、
前記第3の変位部材の他方の端部には、前記第3の質量が固定されており、
前記第2の質量と前記第3の質量の間には、前記第3の圧電素子が設けられており、
前記第1、第2、第3の質量は、前記第1、第2、第3の変位部材によって直列に連成されていることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載された発電装置において、
前記複数の変位部材のそれぞれは梁状に形成されており、前記それぞれの変位部材は、互いに対向して配置されていることを特徴とする発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧電素子を用いた発電装置に関し、特に、自動車等の車両に取り付けられ、車両の振動により発電する発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に取り付けられ、車両の振動により発電することができる発電装置として、例えば、特許文献1に示される発電装置が提案されている。この発電装置は、圧電素子が一体的に固着された梁と、重り(質量)とを備え、梁の一端が固定されるとともに他端に重りが取り付けられた構造となっている。そして、この発電装置では、車両の振動により梁が屈曲振動を行い、この屈曲振動により梁に固着された圧電素子が発電する。
【0003】
しかしながら、上記の発電装置において圧電素子が取り付けられた梁は、1次モードの周波数帯においてのみ変位の大きな屈曲振動を行い、その他の周波数帯では変位の大きな屈曲振動を行わない。そのため、この発電装置は、車両においてこの1次モードの周波数帯の振動が形成されたときのみ、効率よく発電することができ、その他の周波数帯においては効率のよい発電を行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−57982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、多数の周波数帯において効率よく発電することができる発電装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載された発電装置は、車両に取り付けられる固定部材と、第1、第2、第3の質量第1、第2、第3の圧電素子、および第1、第2、第3の変位部材備えた2つの振動部と、を備え、前記2つの振動部は、互いに前記固定部材を中心に互いに直交する方向に配置されており、前記2つの振動部のそれぞれにおいて、前記第1の変位部材の一方の端部は、前記固定部材に固定されており、前記第1の変位部材の他方の端部には、前記第1の質量が固定されており、前記固定部材と前記第1の質量の間には、前記第1の圧電素子が設けられており、前記第2の変位部材の一方の端部は、前記第1の質量に固定されており、前記第2の変位部材の他方の端部には、前記第2の質量が固定されており、前記第1の質量と前記第2の質量の間には、前記第2の圧電素子が設けられており、前記第3の変位部材の一方の端部は、前記第2の質量に固定されており、前記第3の変位部材の他方の端部には、前記第3の質量が固定されており、前記第2の質量と前記第3の質量の間には、前記第3の圧電素子が設けられており、前記第1、第2、第3の質量は、前記第1、第2、第3の変位部材によって直列に連成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載された発電装置において、圧電素子が備えられた各変位部材は、複数個の振動モードにおいて、変位の大きな振動を行うことができる。そのため、請求項1に記載された発電装置は、多数の周波数帯において効率よく発電することができる。
【0008】
請求項2に記載された発電装置は、請求項1に記載された発電装置において、複数の変位部材のそれぞれは梁状に形成されており、これらそれぞれの変位部材は、互いに対向して配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された発電装置における固定部材、変位部材、質量、変位部材、質量、・・・の順に、直列に配置された配列構造において、この配列構造を形成する変位部材は梁状であるとともに、互いに対向して配置されている。このように変位部材が対向して、すなわち折り返されて配置されることにより、固定部材から各質量までの距離を短くすることができる。そのため、請求項2に記載された発電装置は、小型でコンパクトである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多数の周波数帯において効率よく発電することができる発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の参考例における発電装置の正面図である。
図2】本発明の参考例における発電装置の解析モデルである。
図3】等価質量の変位の周波数特性を説明する図である。
図4】共振モードにおける等価質量の振幅を説明する図である。
図5】走行中における自動車の振動の周波数特性を説明する図である。
図6】本発明の第施形態における発電装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、参考例の発電装置を図1に基づいて説明する。ここで、図1は、参考例における発電装置の正面図である。
【0013】
図1に示すように、発電装置1は、車両(図示せず)に取り付けられる固定部材5と、第1から第3の質量(31,32,33)と、複数の質量(31,32,33)と同数であり圧電素子(21b,22b,23b)が備えられた第1から第3の変位部材(21,22,23)と、を備える。
【0014】
第1の変位部材21は、板状の起歪体21aと、起歪体21aの一側面に一体的に固着された圧電素子21bとを備え、梁状に形成されている。同様に、第2の変位部材22は、板状の起歪体22aと、起歪体22aの一側面に一体的に固着された圧電素子22bとを備え、梁状に形成され、第3の変位部材23は、板状の起歪体23aと、起歪体23aの一側面に一体的に固着された圧電素子23bとを備え、梁状に形成されている。なお、第1から第3の変位部材(21,22,23)は、略同じ長さに形成されている。
【0015】
そして、第1の変位部材21は、一端部が固定部材5に固定されるとともに他端部には第1の質量31が取り付けられており、第1の変位部材21により、固定部材5と第1の質量31が連成される。また、第2の変位部材22は、一端部が第1の質量31に固定されるとともに他端部には第2の質量32が取り付けられており、第2の変位部材22により、第1および第2の質量(31,32)が連成される。また、第3の変位部材23は、一端部が第2の質量32に固定されるとともに他端部には第3の質量33が取り付けられており、第3の変位部材23により、第2および第3の質量(32,33)が連成される。
【0016】
上記のように、第1から第3の変位部材(21,22,23)により、第1から第3の質量(31,32,33)のそれぞれは直列に連成される。
【0017】
ここで、第1から第3の変位部材(21,22,23)は、互いに対向して、すなわち第1および第2の質量(31,32)を介して折り返して略平行に配置されている。
【0018】
次に、図2図3および図4に基づき、本参考例における発電装置1の振動について説明する。ここで、図2は、発電装置1の解析モデルを示す図であり、図3は、解析モデルにおける等価質量の変位の周波数特性を説明する図であり、図4は、共振モードにおける等価質量の振幅を説明する図である。
【0019】
図2に示すように、解析モデルでは、発電装置1の第1から第3の変位部材(21,22,23)は、それぞれ第1から第3の等価部材(21eq,22eq,23eq)に置
き換えられ、発電装置1の第1から第3の質量(31,32,33)は、それぞれ第1から第3の等価質量(31eq,32eq,33eq)に置き換えられている。そして、第1から第3の等価質量(31eq,32eq,33eq)の質量はそれぞれm1[kg],m2[kg],m3[kg]とされ、第1から第3の等価部材(21eq,22eq,23eq)の減衰係数はそれぞれc1[N・s/m],c2[N・s/m] ,c3[N・s/m]とされ、ばね定数はそれぞれκ1[N/m] ,κ2[N/m], κ3[N/m]とされる。
【0020】
そして、第1の等価部材21eqの固定部にX軸方向に所定の変位u(u=u0・sinωt)を与えたときの、各等価質量(31eq,32eq,33eq)のX軸方向の変位をそれぞれx1(x1=φ1・sin(ωt+θ1)),x2(x2=φ2・sin(ωt+θ2)),x3(x3=φ3・sin(ωt+θ3))とする。
【0021】
図3は、m1〜m3[kg],c1〜c3[N・s/m],およびκ1〜κ3[N/m]の値を所定の値に設定したときの、変位uの振幅u0に対する変位x1〜x3の振幅φ1〜φ3の周波数特性(ゲイン特性)を示したものである。図3に示すゲイン特性から、第1から第3の等価質量(31eq,32eq,33eq)は、ともに複数(多数)の周波数帯であるω1,ω2,ω3において、共振していることが確認できる。
【0022】
図4は、各共振周波数ω1,ω2,ω3における第1から第3の等価質量(31eq,32eq,33eq)の振幅を示すものである。同図では、第1の等価質量31eqの振幅値(φ11,φ12,φ13)を「1」(φ11=φ12=φ13=1)としたときの、第1から第3の等価質量(31eq,32eq,33eq)の振幅比を示すものであり、同図に示されるように、各共振周波数ω1,ω2,ω3において、第1から第3の等価質量(31eq,32eq,33eq)は所定以上の振幅比で振動していることが確認できる。
【0023】
参考として、各種の走行路(市街地,ワインディングロード,未舗装路)において自動車を走行させたときに検出される走行振動の周波数特性の実験例を図5に示す。同図に示すように数Hzの低周波数から数百Hzの高周波数における広範囲の周波数帯において、走行振動が検出され、本実験例においては、特に15Hz、43Hz、および94Hzにおいて高いレベルの走行振動が検出されている。そして、この傾向は、いずれの走行路(市街地,ワインディングロード,未舗装路)においても同様であることが確認できる。
【0024】
このように走行振動の実験例から複数の周波数帯において、高いレベルの走行振動の検出が確認されており、上記のように、複数の周波数帯において共振することができる本参考例の発電装置1によれば、多数の周波数帯において効率よく発電することができるといえる。
【0025】
次に、この発明の施形態の発電装置を図6に基づいて説明する。ここで、図6は、本発明の施形態における発電装置の正面図である。
【0026】
図6に示すように、発電装置100は、車両(図示せず)に取り付けられる固定部材105と、固定部材105に対し所定の方向(X軸方向)に配置される第1の振動部111と、固定部材105に対し第1の振動部111が配置される方向に直交する方向(Y軸方向)に配置される第2の振動部112とを備える。
【0027】
第1の振動部111は、第1から第3の質量(131,132,133)と、複数の質量(131,132,133)と同数であり圧電素子(121b,122b,123b)が備えられた第1から第3の変位部材(121,122,123)と、を備える。
【0028】
第1の変位部材121は、板状の起歪体121aと、起歪体121aの一側面に一体的に固着された圧電素子121bとを備え、梁状に形成されている。同様に、第2の変位部材122は、板状の起歪体122aと、起歪体122aの一側面に一体的に固着された圧電素子122bとを備え、梁状に形成され、第3の変位部材123は、板状の起歪体123aと、起歪体123aの一側面に一体的に固着された圧電素子123bとを備え、梁状に形成されている。なお、第1から第3の変位部材(121,122,123)は、略同じ長さに形成されている。
【0029】
そして、第1の変位部材121は、一端部が固定部材105に固定されるとともに他端部には第1の質量131が取り付けられており、第1の変位部材121により、固定部材105と第1の質量131が連成される。また、第2の変位部材122は、一端部が第1の質量131に固定されるとともに他端部には第2の質量132が取り付けられており、第2の変位部材122により、第1および第2の質量(131,132)が連成される。また、第3の変位部材123は、一端部が第2の質量132に固定されるとともに他端部には第3の質量133が取り付けられており、第3の変位部材123により、第2および第3の質量(132,133)が連成される。
【0030】
上記のように、第1から第3の変位部材(121,122,123)により、第1から第3の質量(131,132,133)のそれぞれは直列に連成される。
【0031】
ここで、第1から第3の変位部材(121,122,123)は、互いに対向して、すなわち第1および第2の質量(131,132)を介して折り返して略平行に配置されている。
【0032】
第2の振動部112は、第1から第3の質量(151,152,153)と、複数の質量(151,152,153)と同数であり圧電素子(141b,142b,143b)が備えられた第1から第3の変位部材(141,142,143)と、を備える。
【0033】
第1の変位部材141は、板状の起歪体141aと、起歪体141aの一側面に一体的に固着された圧電素子141bとを備え、梁状に形成されている。同様に、第2の変位部材142は、板状の起歪体142aと、起歪体142aの一側面に一体的に固着された圧電素子142bとを備え、梁状に形成され、第3の変位部材143は、板状の起歪体143aと、起歪体143aの一側面に一体的に固着された圧電素子143bとを備え、梁状に形成されている。なお、第1から第3の変位部材(141,142,143)は、略同じ長さに形成されている。
【0034】
そして、第1の変位部材141は、一端部が固定部材105に固定されるとともに他端部には第1の質量151が取り付けられており、第1の変位部材141により、固定部材105と第1の質量151が連成される。また、第2の変位部材142は、一端部が第1の質量151に固定されるとともに他端部には第2の質量152が取り付けられており、第2の変位部材142により、第1および第2の質量(151,152)が連成される。また、第3の変位部材143は、一端部が第2の質量152に固定されるとともに他端部には第3の質量153が取り付けられており、第3の変位部材143により、第2および第3の質量(152,153)が連成される。
【0035】
上記のように、第1から第3の変位部材(141,142,143)により、第1から第3の質量(151,152,153)のそれぞれは直列に連成される。
【0036】
ここで、第1から第3の変位部材(141,142,143)は、互いに対向して、すなわち第1および第2の質量(151,152)を介して折り返して略平行に配置されて
いる。
【0037】
前述のように、施形態における発電装置100は、固定部材105に対し所定の方向(X軸方向)に配置される第1の振動部111と、固定部材105に対し第1の振動部111が配置される方向に直交する方向(Y軸方向)に配置される第2の振動部112とを備えることを特徴とする。このように、互いに直交する方向に圧電素子(121b〜123b,141b〜143b)を備える振動部(111,112)を配置することにより、発電装置100は、上下左右に変位する車両の振動エネルギーをより効果的に電気エネルギーへと変換すること(発電すること)ができる。
【0038】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【符号の説明】
【0039】
1,100 発電装置
5,105 固定部材
21,121,141 第1の変部材
22,122,142 第2の変部材
23,123,143 第3の変部材
21a,22a,23a,121a,122a,123a,141a,142a,142a 起歪体
21b,22b,23b,121b,122b,123b,141b,142b,142b 圧電素子
21eq 第1の等価部材
22eq 第2の等価部材
23eq 第3の等価部材
31,131,151 第1の質量
32,132,152 第2の質量
33,133,153 第3の質量
31eq 第1の等価質量
32eq 第2の等価質量
33eq 第3の等価質量
111 第1の振動部
112 第2の振動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6