(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報選択部が、前記テキストデータに前記受信データが一致しないと前記新規性判断部が判断した場合、又は前記テキストデータに前記受信データが一致すると前記新規性判断部が判断し、前記第1送信端末識別子に前記第2送信端末識別子が一致しないと前記識別子判断部が判断した場合に、前記受信データの受信頻度に基づいて前記送信データを選択する請求項1に記載の情報通信端末。
前記情報選択機能が、前記テキストデータに前記受信データが一致しないと前記新規性判断機能が判断した場合、又は前記テキストデータに前記受信データが一致すると前記新規性判断機能が判断し、前記第1送信端末識別子に前記第2送信端末識別子が一致しないと前記識別子判断機能が判断した場合に、前記受信データの受信頻度又は予め定められたテキストデータ又は受信データの優先度に基づいて前記送信データを選択する請求項6に記載の情報通信端末用のプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されている防災ネットワークシステムにおいては、無線LANを用いても無線LAN設備が稼働していない場合、使用者にとって必要な情報を端末は取得できない。また、使用者が端末を操作する余裕がない状況や使用者が端末の操作に不慣れな場合において、使用者が端末に情報を入力することや端末から所定の情報を出力させることが困難な場合がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の提案では、単に受信データの伝播回数がデータに記録されその伝播回数を基に判断の対象とするだけあるため、単に通信可能圏内に多くの端末が集合した場合などデータの重要度に関係なく情報を送信してしまうため情報が錯そうしてしまう場合もあった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、インターネットや無線LAN等のネットワークを使用しない場合においても、他の情報通信端末から情報を取得でき、他の情報通信端末に送信する情報を自動的に選択できると共に、情報の重要度に応じて自動的に情報の送信非送信の区別選択が可能な情報通信端末及び情報通信端末用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、複数の情報通信端末間で通信する情報通信端末であって、
情報通信端末の近傍で発生した災害状況、情報通信端末のユーザーの状況、又は情報通信端末の近傍に存在している商店や観光スポットに関する状況を表
し、情報通信端末自体が取得、又は他の情報通信端末から直接、受信した本文データに本文データを作成した情報通信端末を識別する作成端末識別子を対応づけたテキストデータがテキストデータを送信した情報通信端末を識別する第1送信端末識別子に対応づけられて格納されるデータ格納部と、通信可能圏内に他の情報通信端末が入ったタイミングで、他の情報通信端末から他のテキストデータを受信データとして受信し、受信データをデータ格納部に格納するデータ受信部と、受信データとテキストデータとを比較し、受信データがテキストデータに一致するか否かを判断する新規性判断部と、受信データを送信した他の情報通信端末を識別する第2送信端末識別子とテキストデータに対応づけられている第1送信端末識別子とを比較し、第2送信端末識別子が第1送信端末識別子に一致するか否かを判断する識別子判断部と、新規性判断部の判断結果と識別子判断部の判断結果とに基づいて、テキストデータ又は受信データを外部に送信する送信データとして選択する情報選択部と、送信データを外部の情報通信端末に送信するデータ送信部とを備える情報通信端末が提供される。
【0010】
また、上記情報通信端末において、情報選択部が、テキストデータに受信データが一致しないと新規性判断部が判断した場合、又はテキストデータに受信データが一致すると新規性判断部が判断し、第1送信端末識別子に第2送信端末識別子が一致しないと識別子判断部が判断した場合に、受信データの受信頻度に基づいて送信データを選択することもできる。
【0011】
また、上記情報通信端末において、データ格納部が、本文データが作成された日時を示す日時データに更に対応づけてテキストデータを格納し、情報選択部が、日時データに基づいて送信データを選択することもできる。
【0012】
また、上記情報通信端末において、データ格納部が、データ受信部が受信した受信データを、第2送信端末識別子に対応づけて格納することもできる。
【0014】
また、上記情報通信端末において、情報選択部が、予め定められたテキストデータ又は受信データの優先度に基づいて送信データを選択することもできる。
【0015】
また、本発明は上記目的を達成するため、複数の情報通信端末間で通信する情報通信端末用のプログラムであって、情報通信端末に、
情報通信端末の近傍で発生した災害状況、情報通信端末のユーザーの状況、又は情報通信端末の近傍に存在している商店や観光スポットに関する状況を表
し、情報通信端末自体が取得、又は他の情報通信端末から直接、受信した本文データに本文データを作成した情報通信端末を識別する作成端末識別子を対応づけたテキストデータを、テキストデータを送信した情報通信端末を識別する第1送信端末識別子に対応づけてデータ格納部に格納するデータ格納機能と、通信可能圏内に他の情報通信端末が入ったタイミングで、他の情報通信端末から他のテキストデータを受信データとして受信し、受信データをデータ格納部に格納するデータ受信機能と、受信データとテキストデータとを比較し、受信データがテキストデータに一致するか否かを判断する新規性判断機能と、受信データを送信した他の情報通信端末を識別する第2送信端末識別子とテキストデータに対応づけられている第1送信端末識別子とを比較し、第2送信端末識別子が第1送信端末識別子に一致するか否かを判断する識別子判断機能と、新規性判断機能の判断結果と識別子判断機能の判断結果とに基づいて、テキストデータ又は受信データを外部に送信する送信データとして選択する情報選択機能と、送信データを外部の情報通信端末に送信するデータ送信機能とを実現させる情報通信端末用のプログラムが提供される。
【0016】
また、上記情報通信端末用のプログラムにおいて、情報選択機能が、テキストデータに受信データが一致しないと新規性判断機能が判断した場合、又はテキストデータに受信データが一致すると新規性判断機能が判断し、第1送信端末識別子に第2送信端末識別子が一致しないと識別子判断機能が判断した場合に、受信データの受信頻度又は予め定められたテキストデータ又は受信データの優先度に基づいて送信データを選択することもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る情報通信端末及び情報通信端末用のプログラムによれば、インターネットや無線LAN等のネットワークを使用しない場合においても、他の情報通信端末から情報を取得でき、他の情報通信端末に送信する情報を自動的に選択できる情報通信端末及び情報通信端末用のプログラムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施の形態]
図1及び
図2は、本発明の実施の形態に係る情報通信端末間における情報交換の概要を示す。
【0020】
(情報通信端末10の情報交換の概要)
本実施の形態に係る情報通信端末10及び情報通信端末10aは、電話網を介して他の情報通信端末と通話でき、インターネットやLAN等の通信ネットワーク上のサーバを介して他の情報通信端末とデータを送受信できると共に、近距離無線通信や赤外線通信等により他の情報通信端末と通信ネットワークを介さずにデータを送受信できる。例えば、情報通信端末10及び情報通信端末10aは、スマートフォン等の携帯電話、タブレットPC等のモバイルコンピューターである。
【0021】
図1(a)を参照する。本実施の形態に係る情報通信端末10は、他の情報通信端末と直接、データの送受信をすることができる領域である通信可能圏12を有する。すなわち、通信可能圏12は、情報通信端末10がサーバを介さずに他の情報通信端末と直接的にデータの送受信ができる領域である。また、情報通信端末10とは異なる情報通信端末である情報通信端末10aも、他の情報通信端末と直接、データの送受信をすることができる領域である通信可能圏12aを有する。通信可能圏12と通信可能圏12aとが重ならない状態においては、情報通信端末10は情報通信端末10aと直接、データの送受信は実行しない。
【0022】
次に、
図1(b)を参照する。通信可能圏12と通信可能圏12aとが重なったタイミングで情報通信端末10は、情報通信端末10aが自動的に作成した受信データ200若しくは情報通信端末10aに格納されている複数のテキストデータから情報通信端末10aが自動的に選択した受信データ200を情報通信端末10aから直接、受信する。また、通信可能圏12と通信可能圏12aとが重なったタイミングで情報通信端末10は、情報通信端末10が自動的に作成した送信データ210若しくは情報通信端末10に格納されている複数のテキストデータから情報通信端末10が自動的に選択した送信データ210を情報通信端末10aに直接、送信する。
【0023】
これにより
図2(a)に示すように、情報通信端末10と情報通信端末10aとの間で直接、送信データ210と受信データ200とが交換される。その後、情報通信端末10及び情報通信端末10aがそれぞれ異なる場所に移動した場合、更に他の情報通信端末と送信データ及び受信データの交換を実行する。例えば、
図2(b)に示すように、情報通信端末10の通信可能圏12に情報通信端末10bの通信可能圏12bが重なったタイミングで、情報通信端末10は情報通信端末10bに送信データ206を送信すると共に、情報通信端末10bから受信データ208を受信する。同様に
図2(c)に示すように、情報通信端末10aの通信可能圏12aが情報通信端末10cの通信可能圏12cに重なったタイミングで、情報通信端末10aは情報通信端末10cに送信データ204を送信すると共に、情報通信端末10cから受信データ202を受信する。
【0024】
このように本実施の形態においては、複数の情報通信端末同士でデータを直接、送受信することで、一の情報通信端末から他の情報通信端末に送信されたデータが、他の情報通信端末から更に別の情報通信端末へと次々に直接、送信されていく。すなわち、情報通信端末10は、他の情報通信端末から受信した受信データ又は情報通信端末10が作成したテキストデータを、通信可能圏12内に別の情報通信端末が侵入したタイミングで当該別の情報通信端末に送信データとして直接、送信する。そして、当該別の情報通信端末も、情報通信端末10から受信した受信データ又はテキストデータを更に別の情報通信端末に直接、送信する。つまり、本実施の形態に係る情報通信端末10は、データの供給元として機能し、通信可能圏12内に侵入した複数の他の情報通信端末それぞれとの間で、サーバを含む通信ネットワークを介さずにデータを直接、送受信する。
【0025】
本実施の形態に係る情報通信端末10は、情報通信端末10の通信可能圏12と他の情報通信端末の通信可能圏とが重なったタイミングで自動的にデータを送受信するので、通信ネットワークが不通の場合であってもデータを他の情報通信端末と交換できる。つまり、複数の情報通信端末で分散型ネットワークが構築されている。また、情報通信端末10は、外部の状況に関するデータを自動的に取得して送信データ210を作成できると共に、他の情報通信端末から受信した複数の受信データ200及び作成した送信データ210から他の情報通信端末に送信すべき送信データ210を自動的に選択するので、ユーザーが情報通信端末10を操作しなくても、情報通信端末10と他の情報通信端末との間で情報の送受信ができる。
【0026】
図3は、本発明の実施の形態に係る情報通信端末の機能構成の一例を示す。
【0027】
(情報通信端末10の機能構成の概要)
複数の情報通信端末間で通信する情報通信端末10は、データを格納するデータ格納部100と、外部からデータを受信するデータ受信部110と、データ格納部100に格納されているデータに対して受信したデータが新しいか否かを判断する新規性判断部120と、受信したデータがデータ格納部100に格納されているデータを送信した情報通信端末とは異なる情報通信端末から受信したデータであるか否かを判断する識別子判断部122と、新規性判断部120の判断結果及び識別子判断部122の判断結果に基づいて送信データを選択する情報選択部130と、情報選択部130が選択した送信データを通信可能圏12内に侵入した他の情報通信端末に送信するデータ送信部112とを備える。
【0028】
また、情報通信端末10は、外部の状況に関する情報を取得してテキストのデータである本文データに変換する情報取得変換ユニット140と、ユーザーからの情報の入力を受け付ける入力部150と、データ格納部100が格納しているデータの出力部162への出力を制御する出力制御部160とを更に備える。
【0029】
ここで、データ受信部110及びデータ送信部112は、情報通信端末10のユーザーが他の情報通信端末に対する通信接続操作をしなくても、通信可能圏12内に存在する他の情報通信端末とデータの送受信を自動的に実行する。例えば、データ受信部110及びデータ送信部112は、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Ultra Wide Band(UWB)、Near Field Communication(NFC)等の近距離無線通信を利用してデータの送受信を実行する。
【0030】
(データ格納部100)
データ格納部100は、外部の状況を表す本文データに、この本文データを作成した情報通信端末を一意に識別する作成端末識別子を対応づけてテキストデータとして格納する。情報通信端末10が本文データを作成した場合、この本文データには情報通信端末10に対応する作成端末識別子が対応づけられる。情報通信端末10とは異なる情報通信端末が本文データを作成した場合、本文データにはこの異なる情報通信端末に対応する作成端末識別子が対応づけられる。作成端末識別子は、例えば、携帯電話等の通信端末に採用されている個体識別番号である。
【0031】
また、データ格納部100は、テキストデータ(すなわち、情報通信端末10が受信した受信データ)を送信した情報通信端末を識別する第1送信端末識別子としての送信端末識別子を当該テキストデータに更に対応づけて格納する。送信端末識別子としては、作成端末識別子と同様に携帯電話等に採用されている個体識別番号を用いることができる。また、データ格納部100は、本文データが作成された日時を示す日時データ、及び/又は本文データが作成された位置を示す位置データに更に対応づけてテキストデータを格納する。
【0032】
ここで外部の状況とは、情報通信端末10の近傍において発生した状況若しくは情報通信端末10を携帯しているユーザーの状況である。例えば、外部の状況とは、情報通信端末10の近傍で発生した災害に関する状況(例えば、火災の発生、建物の倒壊、道路の寸断・不通、津波、救助を要する者の有無、避難所の存在等)、情報通信端末10のユーザーの状況(例えば、ユーザーの動作、姿勢、身体の状況等)、又は情報通信端末10の近傍に存在している商店や観光スポットに関する状況(例えば、キャンペーン等の販売状況、景色に関する状況等)である。したがって、本文データは、例えば、災害状況を示すデータ、ユーザーの状況を示すデータ、及び/又は商店や観光スポットに関する状況を示すデータである。
【0033】
データ格納部100は、これら外部の状況を表すテキストから主として構成される本文データを格納する。例えば、情報通信端末10の近傍において火災が発生した場合、「火災の発生」という単語や「火災が発生しました」という文章を表すテキストのデータを本文データとして格納する。データ格納部100は、新規性判断部120、識別子判断部122、情報選択部130、又は出力制御部160からの要求に応じ、所定のテキストデータを新規性判断部120、識別子判断部122、情報選択部130、及び/又は出力制御部160に供給する。
【0034】
(データ受信部110)
データ受信部110は、情報通信端末10の通信可能圏12内に他の情報通信端末(例えば、情報通信端末10a)が入ったタイミングで、他の情報通信端末から他のテキストデータを受信データとして直接、受信する。そして、データ受信部110は、受信データをデータ格納部100に供給する。データ格納部100は、この受信データに含まれる本文データに受信データを送信した他の情報通信端末を識別する第2送信端末識別子としての送信端末識別子、作成端末識別子、受信データが作成された日時を示す日時データ、受信データを受信した日時を示す受信日時データ、及び/又は位置データを対応づけて格納する。なお、データ格納部100は、受信データをデータ受信部110が受信した順に格納する。そして、受信データを格納する場合にデータ格納部100の容量が不足する場合、データ更新時期が最も古いデータから順に廃棄することができる。
【0035】
(新規性判断部120)
新規性判断部120は、データ受信部110がデータ格納部100に格納した受信データとデータ格納部100に格納されているテキストデータとを比較する。そして、新規性判断部120は、受信データがテキストデータに一致するか否かを判断する。例えば、新規性判断部120は、データ格納部100が格納しているテキストデータに含まれる作成端末識別子及び本文データと、データ受信部110がデータ格納部100に格納した受信データに含まれる作成端末識別子及び本文データとを比較する。
【0036】
新規性判断部120は、受信データに含まれる作成端末識別子及び本文データと、テキストデータに含まれる作成端末識別子及び本文データとが一致した場合にその受信データが古い受信データであると判断し、不一致の場合に新しい受信データであると判断する。新規性判断部120は、判断結果を示す情報を情報選択部130に供給する。
【0037】
(識別子判断部122)
識別子判断部122は、データ受信部110がデータ格納部100に格納した受信データに含まれる第2送信端末識別子としての送信端末識別子と、データ格納部100に格納されているテキストデータに含まれる第1送信端末識別子としての送信端末識別子とを比較する。識別子判断部122は、第2送信端末識別子が第1送信端末識別子に一致するか否かを判断する。そして、識別子判断部122は、第2送信端末識別子が第1送信端末識別子に一致した場合にその受信データを同一の情報通信端末から受信した受信データであると判断し、不一致の場合には異なる情報通信端末から受信した受信データであると判断する。識別子判断部122は、判断結果を示す情報を情報選択部130に供給する。
【0038】
(情報選択部130)
情報選択部130は、新規性判断部120の判断結果を示す情報と識別子判断部122の判断結果を示す情報とに基づいて、データ格納部100に格納されているテキストデータ又はデータ受信部110が受信し、データ格納部100に格納された受信データから外部の情報通信端末に送信する送信データを自動的に選択する。具体的に情報選択部130は、受信データが新しい受信データである旨を示す情報を新規性判断部120から受け取った場合、又は受信データが古い受信データである旨を示す情報を新規性判断部120から受け取り、かつ、異なる情報通信端末から受信した受信データである旨を示す情報を識別子判断部122から受け取った場合、受信データの受信頻度、又は予め定められたテキストデータ若しくは受信データの優先度に基づいて送信データを選択する。
【0039】
具体的に情報選択部130は、受信頻度が最大である受信データを送信データとして選択することができる。ここで受信頻度とは、複数の異なる情報通信端末のそれぞれから同一の受信データを受信した場合における、複数の異なる情報通信端末の台数に一致する数である。例えば、n個(ただし、nは2以上の正の整数)の受信データのそれぞれに含まれる本文データ、作成端末識別子、及び日時データがそれぞれ同一の場合、すなわちn個の受信データがそれぞれ同一であって、各受信データに対応する第2送信端末識別子がそれぞれ異なる場合に、その受信データをn回受信したと情報選択部130は計測する。そして、情報選択部130は、その受信データの受信頻度を「n」と判断する。
【0040】
情報選択部130は、データ受信部110が受信した複数の受信データのそれぞれに受信頻度を対応づける。そして、情報選択部130は、複数の異なる受信データのそれぞれに対応づけられた受信頻度を比較し、受信頻度が最大の受信データを送信データとして選択する。なお、情報選択部130は、受信データにその受信データの受信頻度を対応づけた受信頻度データベースを含むこともできる。
【0041】
また、情報選択部130は、受信頻度が最小である受信データを送信データとして選択することもできる。すなわち、情報選択部130は、複数の受信データのそれぞれに対応づけられた受信頻度を比較し、受信頻度が最小の受信データを送信データとして選択できる。ここで、情報選択部130は、受信頻度が最大若しくは最小である受信データが複数存在する場合、受信データに含まれる日時データに基づいて送信データを選択する。例えば、情報選択部130は、日時データが示す本文データの作成日時が最新の日時を示す受信データを送信データとして選択できる。
【0042】
更に、情報選択部130は、受信頻度が最大であるか最小であるかに関わらず、送信データをランダムに選択することもできる。情報選択部130が受信頻度を利用して送信データを選択する場合における選択方法は、例えば、情報通信端末10を使用する領域における人口密度や人口の分布等を勘案して決定できる。
【0043】
また、情報選択部130は、受信データ又はテキストデータに含まれる本文データが示す内容の優先度の高低に応じて送信データを選択することもできる。例えば、災害に関する内容に対応する情報を含む本文データを有する受信データ又はテキストデータの優先度を、他の内容に対応する情報を含む本文データを有する受信データ又はテキストデータの優先度より高く設定する。
【0044】
一例として、情報選択部130は、一の単語と、当該一の単語の優先度を示す優先順位とを対応づけた優先度データベースを含む。まず、情報選択部130は、受信データ又はテキストデータに含まれる本文データ内の単語と、優先度データベースが格納している単語とを比較する。次に、情報選択部130は、優先度データベースが格納している単語に対応づけられた優先順位を示す情報を、複数の受信データ又は複数のテキストデータのそれぞれに対応づける。そして、情報選択部130は、より高い優先順位を示す情報に対応づけられた受信データ又はテキストデータを送信データとして選択する。情報選択部130は、選択した送信データをデータ送信部112に供給する。
【0045】
要するに、本発明においては、データの内容を確認して同じ情報は他の情報端末に伝播しないこととすると共に、同じ情報であっても複数の情報端末から入手される情報は重要な情報であると判断してあえて伝播するようにするという2段階の情報送信に関する判断基準を設けている。この基準により、単に情報を伝播回数に応じて情報を送信する場合のように情報を不用意に伝播させて氾濫させるのではなく、新しい情報は伝播すると共に重要度の高いと推定される情報のみを選択して伝播することにより、上述の所望の目的を達成している。
【0046】
(データ送信部112)
データ送信部112は、情報通信端末10の通信可能圏12内に外部の情報通信端末が入ったタイミングで、情報選択部130が選択した送信データを外部の情報通信端末に送信する。ここで、データ受信部110が外部の情報通信端末から受信データを受信するタイミングとデータ送信部112が送信データを送信するタイミングとは異なるタイミングであってもよいが、本実施の形態においては実質的に同一のタイミングである。
【0047】
(情報取得変換ユニット140)
情報取得変換ユニット140は、外部の状況を表す情報を自動的に取得する情報取得部142と、情報取得部142から受け取った情報が予め定められた条件を満たすか否かを判断する判断部144と、判断部144の判断結果に応じて外部の状況を表す情報を外部の状況を表す本文データを含むテキストデータに変換する情報変換部146とを有する。
【0048】
情報取得部142は、情報通信端末10の周囲の画像、音声、周囲の物体の温度、気温、湿度、高度、気圧、情報通信端末10に加わる加速度、情報通信端末10の位置、情報通信端末10を用いるユーザー若しくは情報通信端末10の近傍に存在する人物の位置、動作、姿勢等の身体情報、及び/又は情報通信端末10の近傍に存在する商店や観光スポット等から発信される情報等を自動的に取得する。
【0049】
例えば、情報取得部142は、撮像部、音声取得部、赤外線センサー、温度センサー、3Dセンサー、深度センサー、GPS、無線通信部等を含んで構成される。一例として、情報取得部142は、撮像部が撮像した画像の画像情報を取得する。また、他の例として、情報取得部142は、赤外線センサー若しくは温度センサーにより計測された外部の温度を示す温度情報を取得する。情報取得部142は、取得した情報を判断部144に供給する。
【0050】
判断部144は、一例として、複数の予め定められた条件のそれぞれと情報取得部142から受け取った情報とを比較する。例えば、判断部144は、複数の予め定められた条件と複数の予め定められた条件のそれぞれを識別する条件識別子とを格納する条件データベースを含む。一例として、条件データベースは、所定の温度以上を示す温度情報に対応づけられた条件識別子を格納する。そして、判断部144は、複数の予め定められた条件のうちの一の条件と、情報取得部142から受け取った情報とが一致した場合、当該一の条件を識別する条件識別子を情報変換部146に供給する。
【0051】
また、判断部144は、情報取得部142から受け取った画像情報を解析する画像解析部を含む。画像解析部は情報取得部142から受け取った画像情報を解析し、解析結果が複数の予め定められた条件のいずれと一致するか判断する。例えば、画像解析部は、閾値処理機能、ラベリング処理機能、エッジ検出機能、画像マッチング機能等の複数の機能を含む。そして、画像解析部は、複数の予め定められた条件のうち、解析結果と一致した一の条件を識別する条件識別子を情報変換部146に供給する。なお、判断部144は、情報取得部142から受け取った情報が複数の予め定められた条件のいずれとも一致しない場合は、次に情報取得部142から情報を取得するまで待機する。
【0052】
情報変換部146は、一例として、条件識別子に対応づけて、当該条件識別子に対応する情報の内容を示すテキストのデータを格納する変換データベースを含む。例えば、変換データベースは、所定の温度以上を示す温度情報に対応する条件識別子に対応づけて、火災が発生した旨を示すテキストのデータを格納している。そして、情報変換部146は、判断部144から受け取った条件識別子に対応するテキストのデータを変換データベースから取得する。情報変換部146は、取得したテキストのデータを本文データとして含むテキストデータを作成し、作成したテキストデータをデータ格納部100に格納する。
【0053】
なお、情報変換部146がこのテキストデータをデータ格納部100に格納する場合、このテキストデータには情報通信端末10を識別する作成端末識別子、及び本文データを取得若しくは作成した日時を示す日時データが情報変換部146により対応づけられる。これにより情報変換部146は、外部の状況を表す情報をテキストデータに変換する。そして、このテキストデータは、情報選択部130に選択された場合に送信データになる。
【0054】
(入力部150)
入力部150は、情報通信端末10のユーザーからの情報の入力を受け付ける。例えば、入力部150は、複数の予め定められた状況を示す入力ボタン(例えば、「火災により道路が不通である」旨を示すボタン等)のいずれかをユーザーが押した場合、若しくは情報通信端末10が備える表示装置に表示される複数の予め定められた状況を示すアイコンのいずれかをユーザーがクリック若しくはタッチした場合に、複数の予め定められた状況のいずれかの状況に対応する本文データを含むテキストデータをデータ格納部100に格納する。また、入力部150は、ユーザーが情報通信端末10に直接、本文データを入力した場合に、その本文データを含むテキストデータをデータ格納部100に格納することもできる。
【0055】
なお、入力部150がこの本文データを含むテキストデータをデータ格納部100に格納する場合、このテキストデータには情報通信端末10を識別する作成端末識別子、及び本文データを取得若しくは作成した日時を示す日時データが含まれた状態で格納される。
【0056】
(出力制御部160、出力部162)
出力制御部160は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置、及び/又はスピーカー等の音声出力装置等の出力部162を制御して、データ格納部100が格納している本文データを出力部162に出力させる。例えば、出力制御部160は、入力部150に対するユーザーの操作に応じ、所定の本文データを出力部162にテキスト表示させる。
【0057】
例えば、出力制御部160は、データ格納部100が格納している受信データに含まれる特定の第2送信端末識別子に対応づけられている複数の本文データを抽出し、出力部162に表示させる。これにより、ユーザーは、特定の第2送信端末識別子で識別される情報通信端末から発せられた本文データだけを出力部162を介して参照できる。なお、特定の第2送信端末識別子は、入力部150からユーザーが入力できる。
【0058】
図4は、本発明の実施の形態に係る情報通信端末が送信データを選択する選択処理のフローチャートの一例を示す。
【0059】
まず、データ受信部110及び/又はデータ送信部112は、情報通信端末10の通信可能圏12内に他の情報通信端末が入ったか否かを監視する(ステップ10。以下ステップを「S」と表す)。データ受信部110及び/又はデータ送信部112が通信可能圏12内に他の情報通信端末が入ったと判断した場合(S10:Y)、データ送信部112は送信データを他の情報通信端末に送信すると共に、データ受信部110は他の情報通信端末から受信データを受信する(S20)。データ受信部110及び/又はデータ送信部112が通信可能圏12内に他の情報通信端末が存在していないと判断した場合(S10:N)、データ受信部110及び/又はデータ送信部112は通信可能圏12内に他の情報通信端末が入ったか否かの監視を続行する。
【0060】
次に、新規性判断部120は、データ受信部110が受信した受信データが新規の受信データであるか否かを判断する(S30)。新規性判断部120は、受信データが新規の受信データである場合、受信データが新規である旨の情報を情報選択部130に供給する(S30:Y)。一方、新規性判断部120は、受信データが新規でない場合、受信データが新規でない旨の情報を識別子判断部122に供給する(S30:N)。
【0061】
識別子判断部122は、受信データが新規でない旨の情報を受け取った場合、受信データに含まれる第2送信端末識別子が新規の第2送信端末識別子であるか否かを判断する(40)。識別子判断部122は、受信データに含まれる第2送信端末識別子が新規の第2送信端末識別子である場合、この受信データが、既に情報通信端末10が受信している受信データを送信した情報通信端末とは異なる情報通信端末から受信したと判断する(S40:Y)。そして、識別子判断部122は、その判断結果を情報選択部130に供給する。
【0062】
一方、識別子判断部122は、受信データに含まれる第2送信端末識別子が新規の第2送信端末識別子ではない場合、この受信データが、既に情報通信端末10が受信している受信データを送信した情報通信端末と同一の情報通信端末から送信されたと判断する(S40:N)。識別子判断部122のこの判断に応じ、データ受信部110及び/又はデータ送信部112は、通信可能圏12内に他の情報通信端末が入ったか否かの監視を続行する。
【0063】
情報選択部130は、新規性判断部120の判断結果、及び識別子判断部122の判断結果に基づいて、他の情報通信端末に送信する送信データを選択する処理を実行する(S50)。そして、情報選択部130は、選択した送信データをデータ送信部112に供給する。続いて、データ送信部112は、通信可能圏12内に他の情報通信端末が侵入したタイミングで情報選択部130が選択した送信データを当該他の情報通信端末に送信する。なお、データ送信部112は、通信可能圏12内に他の情報通信端末が侵入するまで送信データを一時的に格納するバッファを含むこともできる。
【0064】
図5は、本発明の実施の形態に係る情報通信端末における送信データの選択方法の一例を示す。具体的に
図5は、情報通信端末10が備える情報選択部130が、受信頻度が最大の受信データを送信データとして選択する例を示す。
【0065】
例えば、情報通信端末10が、情報通信端末10の通信可能圏12内に侵入した他の情報通信端末10a、情報通信端末10b、情報通信端末10c、及び情報通信端末10eから受信データ「X」を受信し、情報通信端末10d、情報通信端末10f、情報通信端末10gから受信データ「Y」を受信したとする。この場合、複数の受信データ「X」及び複数の受信データ「Y」のいずれも異なる情報通信端末から送信されているので情報選択部130は、識別子判断部122の判断結果に基づいて、受信データ「X」の受信頻度を「4」と判断し、受信データ「Y」の受信頻度を「3」と判断する。そして、情報選択部130は、受信頻度が最大である受信データ「X」を送信データとして選択する。
【0066】
続いて、データ送信部112は、情報選択部130が選択した受信データ「X」を送信データ212として、通信可能圏12内に侵入した他の情報通信端末10hに送信する。なお、この場合において、送信データ212は、受信データ「X」に含まれている本文データと、本文データを作成した情報通信端末の作成端末識別子と、本文データが作成された日時を示す日時データと、第2送信端末識別子としての情報通信端末10の送信端末識別子とを含んで構成されている。
【0067】
図6は、本発明の実施の形態に係る情報通信端末のハードウェア構成の一例を示す。
【0068】
本実施の形態に係る情報通信端末10は、CPU1500と、グラフィックコントローラ1520と、RandomAccessMemory(RAM)、Read−OnlyMemory(ROM)及び/又はフラッシュROM等のメモリ1530と、データを記憶する記憶装置1540と、記録媒体からデータを読み込み及び/又は記録媒体にデータを書き込む読込み/書込み装置1545と、データを入力する入力装置1560と、外部の通信機器とデータを送受信する通信インターフェース1550と、CPU1500とグラフィックコントローラ1520とメモリ1530と記憶装置1540と読込み/書込み装置1545と入力装置1560と通信インターフェース1550とを互いに通信可能に接続するチップセット1510とを備える。
【0069】
チップセット1510は、メモリ1530と、メモリ1530にアクセスして所定の処理を実行するCPU1500と、外部の表示装置の表示を制御するグラフィックコントローラ1520とを相互に接続することにより、各構成要素間のデータの受渡しを実行する。CPU1500は、メモリ1530に格納されたプログラムに基づいて動作して、各構成要素を制御する。グラフィックコントローラ1520は、メモリ1530内に設けられたバッファ上に一時的に蓄えられた画像データに基づいて、画像を所定の表示装置に表示させる。
【0070】
また、チップセット1510は、記憶装置1540と、読込み/書込み装置1545と、通信インターフェース1550とを接続する。記憶装置1540は、情報通信端末10のCPU1500が使用するプログラムとデータとを格納する。記憶装置1540は、例えば、フラッシュメモリである。読込み/書込み装置1545は、プログラム及び/又はデータを記憶している記憶媒体からプログラム及び/又はデータを読み取って、読み取ったプログラム及び/又はデータを記憶装置1540に格納する。読込み/書込み装置1545は、例えば、通信インターフェース1550を介し、インターネット上のサーバから所定のプログラムを取得して、取得したプログラムを記憶装置1540に格納する。
【0071】
通信インターフェース1550は、通信ネットワークを介して外部の装置とデータの送受信を実行する。また、通信インターフェース1550は、通信ネットワークが不通の場合、通信ネットワークを介さずに外部の装置とデータの送受信を実行することもできる。そして、タブレット、マイク等の入力装置1560は、所定のインターフェースを介してチップセット1510と接続する。
【0072】
記憶装置1540に格納される情報通信端末用のプログラムは、インターネット等の通信ネットワーク、又は磁気記録媒体、光学記録媒体等の記録媒体を介して記憶装置1540に提供される。そして、記憶装置1540に格納された情報通信端末用のプログラムは、CPU1500により実行される。
【0073】
情報通信端末10により実行される情報通信端末用のプログラムは、CPU1500に働きかけて、情報通信端末10を、
図1から
図5にかけて説明したデータ格納部100、データ受信部110、データ送信部112、新規性判断部120、識別子判断部122、情報選択部130、情報取得変換ユニット140、入力部150、出力制御部160、及び出力部162として機能させる。
【0074】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る情報通信端末10によれば、地震や火災等の災害発生時や停電により基地局装置が停止した場合、若しくは基地局装置が故障した場合や基地局装置へのアクセスが集中してインターネットや無線LAN等の通信ネットワークが利用できない状態になった場合であっても、他の情報通信端末に送信する送信データを自動的に取得及び/又は選択し、通信可能圏12内に他の情報通信端末が侵入したタイミングで選択した送信データを当該他の情報通信端末に送信すると共に当該他の情報通信端末から受信データを受信するので、避難や救助等に有用な情報を情報通信端末間で直接、自動的に共有できる。
【0075】
また、情報通信端末10は、ユーザーが情報通信端末10を操作しなくても情報選択部130が自動的に選択した送信データを通信可能圏12内の他の情報通信端末に自動的に送信し、他の情報通信端末も情報通信端末10と同様に他の情報通信端末の情報選択部130が自動的に選択した送信データを情報通信端末10に送信する。これにより、情報通信端末10によれば、ユーザーが情報通信端末10を操作する余裕がない緊急時やユーザーが情報通信端末10の操作に不慣れな場合であっても、ユーザーに有用な情報が自動的に情報通信端末10に蓄積される。
【0076】
また、情報通信端末10の情報変換部146は、情報取得部142が取得した情報を当該情報が示す状況を説明するテキストのデータに変換して送信データを作成する。これにより、情報通信端末10のデータ受信部110及びデータ送信部112は画像データ等の大容量データの送受信をすることを要さず、テキストデータの送受信だけをすることができるので、他の情報通信端末との間でのデータの送受信を素早く実行できる。
【0077】
更に、情報通信端末10の情報選択部130が、受信頻度が最大の受信データを送信データとして選択する場合、不確かな情報は一般的に受信頻度が小さくなる傾向があるので、ユーザーにとってより確からしい情報を他の情報通信端末に送信できる。
【0078】
なお、複数の情報通信端末間で送受信される送信データ及び受信データに含まれる本文データが表す内容は防災関連の内容に限られない。例えば、本文データが表す内容は、情報通信端末10のユーザーに異常が発生した情報(例えば、転倒した情報、うずくまった状態を示す情報等)、情報通信端末10のユーザーの行動に関する情報(例えば、室内におけるユーザーの姿勢や移動に関する情報)、ユーザーの趣味に関する情報、観光スポットに関する情報、商店におけるイベントやセールに関する情報、散歩ルートに関する情報等の多種多様な情報であってよい。
【0079】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せのすべてが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。