(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定手段は、前記取得手段により取得された前記一覧および前記端末情報に基づいて、前記対象ファイルと同一のファイルを取得する取得し易さの度合いを算出し、算出した当該取得し易さの度合いをもとに、前記見做しバックアップの処理を行うか否かを決定することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ。
前記決定手段は、コンピュータの使用者間の関連性を表す指標である社会的距離に基づき、自装置の使用者との間の当該社会的距離が一定の範囲内の使用者が使用する前記他のコンピュータから、前記対象ファイルと同一のファイルを取得するものとして、前記取得し易さの度合いを算出することを特徴とする請求項2に記載のコンピュータ。
前記社会的距離は、前記コンピュータの使用者が所属している組織の情報、当該コンピュータの使用者が所属しているコミュニティの情報、または当該コンピュータの使用者のメール送受信履歴の少なくともいずれかをもとに算出されることを特徴とする請求項3に記載のコンピュータ。
前記決定手段は、所定の基準に基づき前記対象ファイルと同一のファイルを所有している可能性が高いと判断されるコンピュータとして抽出された前記他のコンピュータから、当該対象ファイルと同一のファイルを取得するものとして、前記取得し易さの度合いを算出することを特徴とする請求項2に記載のコンピュータ。
前記取得手段により取得された前記一覧から前記他のコンピュータを選択し、選択した当該他のコンピュータに対して、バックアップによる前記対象ファイルの複製と見做したファイルを要求する要求手段と、
前記要求手段により要求されたバックアップによる前記対象ファイルの複製と見做したファイルを受信し、受信した当該ファイルにより当該対象ファイルを復元する復元手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンピュータ。
前記バックアップ先端末は、前記記憶手段により前記バックアップ実行端末と対応付けて記憶された前記対象ファイルと同一のファイルについて、編集または削除されるかどうかを監視し、当該対象ファイルと同一のファイルが編集または削除される場合、一定の条件のもとで、編集前または削除前の当該ファイルの複製を生成する生成手段をさらに備えたことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
前記バックアップ先端末の前記生成手段は、前記対象ファイルと同一のファイルが編集または削除される場合、前記バックアップ実行端末が前記対象ファイルと同一のファイルを取得する取得し易さの度合いが予め定められた閾値より小さければ、当該対象ファイルの複製を生成することを特徴とする請求項9に記載のシステム。
前記バックアップ実行端末の前記バックアップ実行手段は、前記対象ファイルについて前記見做しバックアップの処理を行った後、前記取得し易さの度合いが前記予め定められた閾値より小さくなった場合、当該対象ファイルについて前記実バックアップの処理を行うことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
前記バックアップ実行端末の前記バックアップ実行手段は、前記対象ファイルについて前記実バックアップの処理を行った後、前記取得し易さの度合いが前記予め定められた閾値より大きくなった場合、当該対象ファイルについて前記見做しバックアップの処理を行い、
前記サーバコンピュータの前記格納手段は、前記バックアップ実行端末から送信された前記対象ファイルを格納した後、当該バックアップ実行端末の前記バックアップ実行手段が当該対象ファイルについて前記見做しバックアップの処理を行った場合、格納した当該対象ファイルを削除することを特徴とする請求項11または12に記載のシステム。
サーバコンピュータと複数のクライアントコンピュータとが通信回線を介して接続され、当該複数のクライアントコンピュータのうち第1のコンピュータがバックアップを行う方法であって、
前記複数のクライアントコンピュータのうち、前記第1のコンピュータが所有するバックアップ対象のファイルである対象ファイルと同一のファイルを所有する第2のコンピュータについて、当該第2のコンピュータの一覧および当該第2のコンピュータに関する情報である端末情報を取得するステップと、
取得された前記一覧および前記端末情報に基づいて、前記第1のコンピュータが前記対象ファイルと同一のファイルを取得する取得し易さの度合いを算出し、算出した当該取得し易さの度合いが予め定められた閾値より大きい場合、前記第2のコンピュータが所有する当該対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる当該対象ファイルの複製と見做す見做しバックアップの処理を行い、当該取得し易さの度合いが当該予め定められた閾値より小さい場合、当該対象ファイルを前記サーバコンピュータに送信してバックアップを実行する実バックアップの処理を行うステップと、
前記第2のコンピュータが、前記第1のコンピュータから、前記対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる当該対象ファイルの複製と見做したことの通知を受信すると、当該第1のコンピュータと当該対象ファイルと同一のファイルとを対応付けて当該第2のコンピュータに記憶させるステップと、
前記実バックアップの処理が行われた場合に、前記第1のコンピュータから送信された前記対象ファイルを前記サーバコンピュータに格納させるステップと
を含む方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ハードディスクの大容量化に伴い、大量のファイルを装置内に保管することが可能になってきたが、それとともに装置の故障や紛失に伴う重要データの喪失リスクが高まっており、バックアップの重要性がますます向上している。その一方、従来のバックアップの方式では、同一のファイルを複数ユーザが所有していても、各ユーザが個別にバックアップの処理を行っていた。
そのため、個々のバックアップ処理が増加するのに伴って、必要な記憶容量も増加することとなる。また、通信経路を流れるトラフィック量も増加し、通信経路が逼迫する問題も生じる。本発明は、同一のファイルを複数人が所有する場合に効率良くバックアップの処理を行うことで、必要となる記憶容量やトラフィック量を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、次のようなコンピュータとして実現される。このコンピュータは、通信回線を介して他のコンピュータと接続されたコンピュータであって、自装置が所有するバックアップ対象のファイルである対象ファイルと同一のファイルを所有する他のコンピュータの一覧、および一覧に提示された他のコンピュータに関する情報である端末情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された一覧および端末情報に基づいて、他のコンピュータが所有する対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做す見做しバックアップの処理を行うか否かを決定する決定手段と、決定手段により見做しバックアップの処理を行うと決定された場合に、対象ファイルと同一のファイルを所有する他のコンピュータに対して、対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做したことを通知する通知手段とを備える。
【0007】
また、好ましくは、上記のコンピュータの決定手段は、取得手段により取得された一覧および端末情報に基づいて、対象ファイルと同一のファイルを取得する取得し易さの度合いを算出し、算出した取得し易さの度合いをもとに、見做しバックアップの処理を行うか否かを決定する。
より好ましくは、上記のコンピュータの決定手段は、コンピュータの使用者間の関連性を表す指標である社会的距離に基づき、自装置の使用者との間の社会的距離が一定の範囲内の使用者が使用する他のコンピュータから、対象ファイルと同一のファイルを取得するものとして、取得し易さの度合いを算出する。
さらに好ましくは、上記の社会的距離は、コンピュータの使用者が所属している組織の情報、コンピュータの使用者が所属しているコミュニティの情報、またはコンピュータの使用者のメール送受信履歴の少なくともいずれかをもとに算出される。
また、上記のコンピュータの決定手段は、所定の基準に基づき対象ファイルと同一のファイルを所有している可能性が高いと判断されるコンピュータとして抽出された他のコンピュータから、対象ファイルと同一のファイルを取得するものとして、取得し易さの度合いを算出する。
また、好ましくは、上記のコンピュータは、取得手段により取得された一覧から他のコンピュータを選択し、選択した他のコンピュータに対して、バックアップによる対象ファイルの複製と見做したファイルを要求する要求手段と、要求手段により要求されたバックアップによる対象ファイルの複製と見做したファイルを受信し、受信したファイルにより対象ファイルを復元する復元手段とをさらに備える。
【0008】
また、本発明は、次のようなシステムとして実現される。このシステムは、複数のコンピュータが通信回線を介して接続されたコンピュータシステムであって、複数のコンピュータのうちバックアップを実行するバックアップ実行端末が、複数のコンピュータのうち、自装置が所有するバックアップ対象のファイルである対象ファイルと同一のファイルを所有するバックアップ先端末について、バックアップ先端末の一覧およびバックアップ先端末に関する情報である端末情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された一覧および端末情報に基づいて、バックアップ先端末が所有する対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做す見做しバックアップの処理を行うか否かを決定する決定手段と、決定手段により見做しバックアップの処理を行うと決定された場合に、バックアップ先端末に対して、対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做したことを通知する通知手段とを備え、バックアップ先端末が、バックアップ実行端末から、対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做したことの通知を受信すると、バックアップ実行端末と対象ファイルと同一のファイルとを対応付けて記憶する記憶手段を備える。
【0009】
また、好ましくは、上記のバックアップ先端末は、記憶手段によりバックアップ実行端末と対応付けて記憶された対象ファイルと同一のファイルについて、編集または削除されるかどうかを監視し、対象ファイルと同一のファイルが編集または削除される場合、一定の条件のもとで、編集前または削除前のファイルの複製を生成する生成手段をさらに備える。
また、上記のバックアップ先端末の生成手段は、対象ファイルと同一のファイルが編集または削除される場合、バックアップ実行端末が対象ファイルと同一のファイルを取得する取得し易さの度合いが予め定められた閾値より小さければ、対象ファイルの複製を生成する。
【0010】
また、本発明は、次のようなシステムとして実現される。このシステムは、サーバコンピュータと複数のクライアントコンピュータとが通信回線を介して接続されたコンピュータシステムであって、複数のクライアントコンピュータのうちバックアップを実行するバックアップ実行端末が、複数のクライアントコンピュータのうち、自装置が所有するバックアップ対象のファイルである対象ファイルと同一のファイルを所有するバックアップ先端末について、バックアップ先端末の一覧およびバックアップ先端末に関する情報である端末情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された一覧および端末情報に基づいて、対象ファイルと同一のファイルを取得する取得し易さの度合いを算出し、算出した取得し易さの度合いが予め定められた閾値より大きい場合、バックアップ先端末が所有する対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做す見做しバックアップの処理を行い、取得し易さの度合いが予め定められた閾値より小さい場合、対象ファイルをサーバコンピュータに送信してバックアップを実行する実バックアップの処理を行うバックアップ実行手段とを備え、バックアップ先端末が、バックアップ実行端末から、対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做したことの通知を受信すると、バックアップ実行端末と対象ファイルと同一のファイルとを対応付けて記憶する記憶手段を備え、サーバコンピュータが、バックアップ実行手段により実バックアップの処理が行われた場合に、バックアップ実行端末から送信された対象ファイルを格納する格納手段を備える。
【0011】
また、好ましくは、上記のバックアップ実行端末のバックアップ実行手段は対象ファイルについて見做しバックアップの処理を行った後、取得し易さの度合いが予め定められた閾値より小さくなった場合、対象ファイルについて実バックアップの処理を行う。
また、上記のバックアップ実行端末のバックアップ実行手段は、対象ファイルについて実バックアップの処理を行った後、取得し易さの度合いが予め定められた閾値より大きくなった場合、対象ファイルについて見做しバックアップの処理を行い、上記のサーバコンピュータの格納手段は、バックアップ実行端末から送信された対象ファイルを格納した後、バックアップ実行端末のバックアップ実行手段が対象ファイルについて見做しバックアップの処理を行った場合、格納した対象ファイルを削除する。
【0012】
また、本発明は、通信回線を介して他のコンピュータと接続されたコンピュータがバックアップを行う方法としても実現される。この方法は、コンピュータが所有するバックアップ対象のファイルである対象ファイルと同一のファイルを所有する他のコンピュータの一覧、および一覧に提示された他のコンピュータに関する情報である端末情報を取得するステップと、取得された一覧および端末情報に基づいて、他のコンピュータが所有する対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做す見做しバックアップの処理を行うか否かを決定するステップと、見做しバックアップの処理を行うと決定された場合に、対象ファイルと同一のファイルを所有する他のコンピュータに対して、対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做したことを通知するステップとを含む。
【0013】
また、本発明は、サーバコンピュータと複数のクライアントコンピュータとが通信回線を介して接続され、複数のクライアントコンピュータのうち第1のコンピュータがバックアップを行う方法であって、複数のクライアントコンピュータのうち、第1のコンピュータが所有するバックアップ対象のファイルである対象ファイルと同一のファイルを所有する第2のコンピュータについて、第2のコンピュータの一覧および第2のコンピュータに関する情報である端末情報を取得するステップと、取得された一覧および端末情報に基づいて、第1のコンピュータが対象ファイルと同一のファイルを取得する取得し易さの度合いを算出し、算出した取得し易さの度合いが予め定められた閾値より大きい場合、第2のコンピュータが所有する対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做す見做しバックアップの処理を行い、取得し易さの度合いが予め定められた閾値より小さい場合、対象ファイルをサーバコンピュータに送信してバックアップを実行する実バックアップの処理を行うステップと、第2のコンピュータが、第1のコンピュータから、対象ファイルと同一のファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做したことの通知を受信すると、第1のコンピュータと対象ファイルと同一のファイルとを対応付けて第2のコンピュータに記憶させるステップと、実バックアップの処理が行われた場合に、第1のコンピュータから送信された対象ファイルをサーバコンピュータに格納させるステップとを含む。
【0014】
さらにまた、本発明は、コンピュータを制御して上述した装置の各機能を実現するプログラム、またはコンピュータに上記の方法における各ステップに対応する処理を実行させるプログラムとしても実現される。このプログラムは、磁気ディスクや光ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して配信したりすることにより、提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、同一のファイルを複数人が所有する場合に効率良くバックアップの処理を行うことで、必要となる記憶容量やトラフィック量を削減することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<システム構成>
図1は、本実施の形態に係るバックアップシステムの構成例を示した図である。
本実施の形態に係るバックアップシステムは、通信回線を介して相互に接続された、バックアップ実行端末1とバックアップ先端末2と管理サーバ3とを備える。このバックアップシステムは、1または複数のバックアップ実行端末1と1または複数のバックアップ先端末2とを備えるが、
図1に示すバックアップシステムでは、1台のバックアップ実行端末1と複数のバックアップ先端末2とを備えるものとする。また、
図1に示すバックアップシステムでは、バックアップ実行端末1とバックアップ先端末2とを異なる端末としているが、バックアップ実行端末1の機能およびバックアップ先端末2の機能の両方を実現する端末があっても良い。
【0018】
バックアップ実行端末1は、自装置が所有するファイルからバックアップをする対象のファイル(以下、対象ファイルと称する)を選択し、バックアップシステム内で対象ファイルと同一のファイル(以下、同一ファイルと称する)を所有する他の端末における取得し易さの度合いの一例としての復元容易性を算出する。そして、バックアップ実行端末1は、算出した復元容易性の値をもとに、見做しバックアップの処理または実バックアップの処理のいずれか一方を実行する。ここで、見做しバックアップとは、バックアップ実行端末1が対象ファイルを送信せずに、他の端末が所有する同一ファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做すことをいう。また、実バックアップとは、バックアップ実行端末1が管理サーバ3に実際に対象ファイルを送信して、管理サーバ3をバックアップ先とすることをいう。
【0019】
また、復元容易性とは、バックアップ実行端末1が、同一ファイルを取得して、対象ファイルを復元する復元のし易さの度合いを表したものであり、次に示す調達容易性と調達端末数とに基づいた値である。
調達容易性とは、バックアップ実行端末1が、同一ファイルを所有しているバックアップシステム内の他の端末から同一ファイルを調達する場合の調達のし易さを、調達先の端末ごとに表した値である。
例えば、バックアップ実行端末1と同一時間帯にオンライン状態である確率の高い端末は、バックアップ実行端末1が対象ファイルを復元する時にアクセスできる可能性が高い。そのため、そのような端末のバックアップ実行端末1に対する調達容易性は高くなる。この場合、例えば、ある期間における各端末の稼働時間をもとに、バックアップ実行端末1と同時にオンライン状態にある時間を端末ごとに測定し、測定した時間に基づいて予め定められた計算式により、端末ごとに数値が計算される。この計算された数値が、バックアップ実行端末1に対する各端末の調達容易性である。
他の例として、移動させることが少ない据え置き型の端末は、移動可能な端末よりも復元時にアクセスできる可能性が高いと考えられるため、そのような端末の調達容易性は高くなる。また、ディスクの空き容量が少ない端末は、同一ファイルを所有していてもユーザに削除される可能性が高いため、そのような端末の調達容易性は低くなる。
【0020】
次に、調達端末数とは、バックアップシステム内で、同一ファイルを所有しているバックアップ実行端末1以外の端末の数である。調達端末数が多ければ、バックアップ実行端末1が復元するためのファイルを要求できる要求先の数が多く、調達端末数が少なければ、バックアップ実行端末1が復元するためのファイルを要求できる要求先の数が少ないといえる。
【0021】
ここで、調達端末数が多く、さらに調達容易性の高い端末が多ければ、バックアップ実行端末1は対象ファイルを復元し易く、復元容易性は高い。
しかし、調達端末数が多かったとしても、調達容易性の低い端末ばかりであれば、バックアップ実行端末1は対象ファイルを復元し難い場合がある。例えば、同一ファイルを所有している端末が、バックアップ実行端末1と同時にオンライン状態にある時間が少ない端末ばかりであれば、端末数が多くても、バックアップ実行端末1は対象ファイルを復元するまで時間を要することが考えられる。このような場合の復元容易性は低い。
また、調達端末数が少なかったとしても、調達容易性の高い端末があれば、バックアップ実行端末1が対象ファイルを復元し易い場合がある。例えば、同一ファイルを所有している端末が、バックアップ実行端末1と常にオンライン状態にあれば、調達端末数が少なくてもバックアップ実行端末1はすぐに対象ファイルを復元できると考えられる。このような場合の復元容易性は高い。
以上のように、復元容易性は、各端末の調達容易性と調達端末数とに基づいて計算される値である。また、調達容易性が重視される場合もあれば、調達端末数が重視される場合もあり、両者の重要度に応じて、調達容易性と調達端末数とに対して重み付けを行い、復元容易性を計算することとしても良い。
【0022】
バックアップ先端末2は、同一ファイルを所有しているバックアップシステム内の端末であり、バックアップ実行端末1により対象ファイルのバックアップ先として見做された端末である。バックアップ実行端末1が対象ファイルの復元を行う場合、バックアップ実行端末1により選択されたバックアップ先端末2は、同一ファイルをバックアップ実行端末1へ送信する。
【0023】
管理サーバ3は、実バックアップ時、バックアップ実行端末1から対象ファイルを受信して、バックアップ実行端末1のバックアップ先として機能する。また、管理サーバ3は、バックアップシステム内の各端末から各端末が所有しているファイルのリストや端末情報等を受信して管理する。ここで、端末情報とは、調達容易性を算出するために必要な情報であり、上述した各端末の稼働時間やディスク容量等を指す。
【0024】
<バックアップ実行端末の機能構成>
図1に示すバックアップシステムにおいて、バックアップ実行端末1は、バックアップ実行端末1が所有するファイルを記憶する所有ファイル記憶部10と、バックアップ実行端末1が所有するファイルのリストや端末情報を記録して、管理サーバ3へ送信する第1統計情報管理部11と、対象ファイルを選択してバックアップを実行するバックアップ制御部12と、バックアップ時または復元時にファイルの送受信を行うファイル送受信部13と、算出された復元容易性に基づいてバックアップ方法を決定するバックアップ方法決定部14と、算出された復元容易性に基づいて復元方法を決定する復元方法決定部15と、同一ファイルを所有する各端末に対してバックアップ先として設定したことを通知するバックアップ実行情報管理部16とを備える。
【0025】
所有ファイル記憶部10は、バックアップ実行端末1が所有する各種ファイルを記憶する。
第1統計情報管理部11は、所有ファイル記憶部10に記憶されているファイルやバックアップ実行端末1の端末情報を記録し、記録したファイルリストや端末情報を管理サーバ3に送信する。
【0026】
バックアップ実行手段の一例としてのバックアップ制御部12は、所有ファイル記憶部10から対象ファイルを選択し、選択した対象ファイルのバックアップ方法を決定するように、バックアップ方法決定部14に対して指示を行う。そして、バックアップ制御部12は、バックアップ方法決定部14による決定に基づいて、見做しバックアップまたは実バックアップのいずれか一方を実行する。見做しバックアップでは、バックアップ制御部12は、同一ファイルを所有している各端末に対してバックアップ先端末2として設定したことを通知するように、バックアップ実行情報管理部16に指示を行う。実バックアップでは、バックアップ制御部12は、対象ファイルを管理サーバ3へ送信するように、ファイル送受信部13に指示を行う。
また、バックアップ制御部12は、選択した対象ファイルにすでにバックアップ先端末2の設定が存在している場合、その古い設定を新しい設定に切りかえるために、そのバックアップ先端末2に対して設定を削除したことを通知するように、バックアップ実行情報管理部16に指示を行う。
【0027】
また、復元手段の一例としてのバックアップ制御部12は、所有ファイル記憶部10から、バックアップを実行した対象ファイルのうち復元するファイル(以下、復元対象ファイルと称する)を選択し、選択した復元対象ファイルの復元方法を決定するように、復元方法決定部15に対して指示を行う。そして、バックアップ制御部12は、バックアップ方法決定部14による決定に基づいて、復元対象ファイルの復元を行う。ここで、バックアップ先端末2から復元する場合、バックアップ制御部12は、バックアップ先端末2に対して復元要求を送信するようにファイル送受信部13に指示を行い、復元対象ファイルと同一のファイル(以下、復元ファイルと称する)を受信する。また、管理サーバ3から復元する場合、バックアップ制御部12は、管理サーバ3に対して復元要求を送信するようにファイル送受信部13に指示を行い、管理サーバ3に送信されていた復元対象ファイルを受信する。
【0028】
ファイル送受信部13は、実バックアップ時、対象ファイルを管理サーバ3へ送信する。また、要求手段の一例としてのファイル送受信部13は、バックアップ先端末2から復元する場合、バックアップ先端末2に対して、バックアップによる復元対象ファイルの複製と見做した復元ファイルを要求する。また、ファイル送受信部13は、管理サーバ3から復元する場合、管理サーバ3に対して復元対象ファイルを要求する。
【0029】
取得手段、決定手段、バックアップ実行手段の一例としてのバックアップ方法決定部14は、調達端末数および各端末の調達容易性に基づいて、バックアップ方法を決定する。ここで、バックアップ方法決定部14は、まず、管理サーバ3から、バックアップシステム内で同一ファイルを所有している端末の一覧、および、一覧に提示された各端末に関する情報である端末情報を取得する。そして、バックアップ方法決定部14は、同一ファイルを所有している端末の一覧および端末情報に基づいて、復元容易性を算出し、算出した復元容易性の値をもとに、見做しバックアップまたは実バックアップのいずれか一方を実行する。
【0030】
即ち、バックアップ方法決定部14は、調達端末数が予め定められた端末数以上であるか否かを判断する。調達端末数が予め定められた端末数より少ない場合、バックアップ方法決定部14は実バックアップを行うことを決定する。一方、調達端末数が予め定められた端末数以上の場合、バックアップ方法決定部14は、同一ファイルを所有している各端末の端末情報をもとに、各端末の調達容易性を算出する。そして、バックアップ方法決定部14は、各端末の調達容易性を合計し、合計した調達容易性が予め定められた閾値以上であるか否かを判断する。合計した調達容易性が閾値以上の場合、バックアップ方法決定部14は見做しバックアップを行うことを決定する。一方、合計した調達容易性が閾値より小さい場合、バックアップ方法決定部14は実バックアップを行うことを決定する。
また、バックアップ方法決定部14は、復元容易性の値をもとにバックアップ方法を決定するため、見做しバックアップが行われた後に復元容易性が低くなれば、実バックアップを行うことを決定する場合がある。同様に、バックアップ方法決定部14は、実バックアップが行われた後に復元容易性が高くなれば、見做しバックアップを行うことを決定する場合もある。
【0031】
要求手段の一例としての復元方法決定部15は、復元ファイルを所有している各バックアップ先端末2の復元容易性に基づいて、復元方法を決定する。ここで、復元方法決定部15は、まず、管理サーバ3からバックアップシステム内で復元ファイルを所有しているバックアップ先端末2の一覧、および、各バックアップ先端末2の端末情報を取得する。復元ファイルを所有しているバックアップ先端末2が存在していれば、復元方法決定部15は、取得した各バックアップ先端末2の端末情報をもとに、各バックアップ先端末2の調達容易性を算出する。そして、復元方法決定部15は、復元ファイルを要求するバックアップ先端末2を1つ選択する。この選択では、例えば、復元方法決定部15は、オンライン状態にあり、バックアップ実行端末1からアクセス可能な端末を1つ選択する。一方、復元ファイルを所有しているバックアップ先端末2が存在していなければ、復元対象ファイルが管理サーバ3に存在しているので、復元方法決定部15は、管理サーバ3から復元することを決定する。
【0032】
通知手段の一例としてのバックアップ実行情報管理部16は、見做しバックアップ時、バックアップシステム内で同一ファイルを所有している各端末をバックアップ先端末2として設定する。そして、バックアップ実行情報管理部16は、設定した各バックアップ先端末2に対して、バックアップ先端末2として設定したこと、つまり、同一ファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做したことを通知する設定通知を行う。
また、バックアップ実行情報管理部16は、対象ファイルとして選択されたファイルにすでにバックアップ先端末2の設定が存在している場合、その古い設定を新しい設定に切りかえるため、そのバックアップ先端末2の設定を削除する。そして、バックアップ実行情報管理部16は、設定を削除した各バックアップ先端末2に対して、設定を削除したことを通知する削除通知を行う。
【0033】
<バックアップ先端末の機能構成>
図1に示すバックアップシステムにおいて、バックアップ先端末2は、バックアップ先端末2が所有するファイルのリストや端末情報を管理サーバ3へ送信する第2統計情報管理部20と、バックアップ実行端末1と同一ファイルとを対応付けて管理するバックアップ先情報管理部21と、復元時にバックアップ実行端末1に復元ファイルを送信するファイル送信部22と、同一ファイルに関する編集や削除の状況を監視するファイル監視部23と、同一ファイル(復元ファイル)や同一ファイルの複製を記憶する見做し対象ファイル記憶部24とを備える。
【0034】
第2統計情報管理部20は、バックアップ実行端末1の第1統計情報管理部11と同様に、バックアップ先端末2が所有している各種ファイルやバックアップ先端末2の端末情報を記録し、記録したファイルリストや端末情報を管理サーバ3に送信する。
【0035】
記憶手段の一例としてのバックアップ先情報管理部21は、バックアップ実行端末1のバックアップ実行情報管理部16からの通知が設定通知か削除通知かを判断し、その通知内容をもとに、同一ファイルとその同一ファイルをバックアップによる対象ファイルの複製と見做しているバックアップ実行端末1とを対応付けて記憶する。また、バックアップ先情報管理部21は、通知内容をファイル監視部23に送信する。
また、バックアップ先情報管理部21は、バックアップ実行端末1から復元ファイルを要求されると、見做し対象ファイル記憶部24に記憶された復元ファイルを確認する。そして、バックアップ先情報管理部21は、バックアップ実行端末1から設定通知を受信してから復元ファイルがユーザにより編集または削除されたか否かを判断する。復元ファイルが編集または削除されていない場合、バックアップ先情報管理部21は、復元ファイルをバックアップ実行端末1へ送信するようにファイル送信部22に指示を行う。一方、復元ファイルが編集または削除されている場合、バックアップ先情報管理部21は、編集前または削除前の復元ファイルの複製が存在しているか否かを判断する。編集前または削除前の復元ファイルの複製が存在していれば、バックアップ先情報管理部21は、編集前または削除前の復元ファイルの複製をバックアップ実行端末1へ送信するようにファイル送信部22に指示を行う。編集前または削除前の復元ファイルの複製が存在しなければ、バックアップ先情報管理部21は、エラーをバックアップ実行端末1へ送信するようにファイル送信部22に指示を行う。
さらに、ファイル監視部23に監視されていた同一ファイルがユーザにより編集または削除される場合、編集または削除の処理が確定する前に、バックアップ先情報管理部21は、ファイル監視部23からの要求を受けて、同一ファイルに対応する対象ファイルを所有するバックアップ実行端末1に対して、対象ファイルにおける調達端末数および調達容易性の最新情報の送信を要求する。
【0036】
ファイル送信部22は、バックアップ実行端末1からの復元ファイルの要求に応じ、復元ファイルをバックアップ実行端末1へ送信する。復元ファイルがユーザにより編集または削除されていれば、ファイル送信部22は、編集前または削除前の復元ファイルの複製をバックアップ実行端末1へ送信する。さらに、編集前または削除前の復元ファイルの複製が存在していなければ、ファイル送信部22は、復元ファイルを所有していない旨を通知するエラーをバックアップ実行端末1へ送信する。
【0037】
生成手段の一例としてのファイル監視部23は、同一ファイルについて、ユーザによる編集または削除の状況を監視する。ここで、ファイル監視部23は、バックアップ実行端末1からの設定通知に応じ、同一ファイルを監視リストへ追加し、同一ファイルの監視を行う。また、ファイル監視部23は、バックアップ実行端末1からの削除通知に応じ、同一ファイルを監視リストから削除する。
ここで、バックアップ実行端末1が複数ある場合、監視リストには、同一ファイルとその同一ファイルをバックアップ用と見做しているバックアップ実行端末1との対応関係も記録される。そのため、例えば、削除通知を受けた同一ファイルであっても、削除通知を送信していないバックアップ実行端末1のバックアップ用と見做されていれば、その同一ファイルの監視は継続される。
【0038】
また、同一ファイルがユーザにより編集または削除される場合、編集または削除の処理が確定する前に、ファイル監視部23は、対象ファイルにおける調達端末数および調達容易性の最新情報を、バックアップ先情報管理部21に要求する。そして、ファイル監視部23は、バックアップ実行端末1から送信された最新情報をもとに、編集前または削除前の同一ファイルの複製を生成する必要があるか否かを判断する。
ここで、ファイル監視部23は、同一ファイルが編集または削除されることで、対象ファイルの調達端末数が予め定められた端末数より小さくなるか否かを判断する。また、ファイル監視部23は、同一ファイルが編集または削除されることで、対象ファイルに関して、端末ごとの調達容易性の合計値が予め定められた閾値より小さくなるか否かを判断する。同一ファイルが削除されても、調達端末数が予め定められた端末数以上であり、さらに、調達容易性の合計値が予め定められた閾値以上であれば、バックアップ実行端末1が見做しバックアップを行うための条件が満たされているといえる。そのため、ファイル監視部23は、編集前または削除前の同一ファイルの複製を生成せずに、監視リストからバックアップ実行端末1と同一ファイルとの対応関係を削除する。そして、ファイル監視部23は、バックアップ実行端末1に対して、監視リストから同一ファイルを削除したことを通知する。
【0039】
一方、同一ファイルが編集または削除されることで、調達端末数が予め定められた端末数より小さくなる場合、または、調達容易性が予め定められた閾値より小さくなる場合、バックアップ実行端末1が見做しバックアップを行うための条件が満たされていないといえる。そのため、ファイル監視部23は、編集前または削除前の同一ファイルの複製を生成する。ファイル監視部23が同一ファイルの複製を生成した後、バックアップ実行端末1が対象ファイルを管理サーバ3へ送信完了した時点、または、同一ファイルを所有する別の端末が新たに見つかり、調達端末数が閾値以上になるとともに調達容易性の合計値が閾値以上になった時点で、ファイル監視部23は同一ファイルの複製を削除する。
【0040】
見做し対象ファイル記憶部24は、バックアップ実行端末1からバックアップ用と見做された同一ファイルと、ファイル監視部23により生成された同一ファイルの複製とを記憶する。
【0041】
<管理サーバの機能構成>
図1に示すバックアップシステムにおいて、管理サーバ3は、各端末が所有するファイルのリストおよび端末情報を管理する共有情報管理部30と、バックアップ実行端末1とファイルの送受信を行うバックアップ管理部31と、バックアップ実行端末1から送信された対象ファイルを記憶するバックアップファイル格納部32とを備える。
共有情報管理部30は、バックアップシステム内の各端末から送信された各端末が所有するファイルのリスト、および、各端末の端末情報を記憶する。そして、共有情報管理部30は、バックアップ実行端末1に対して、バックアップシステム内で同一ファイルを所有している端末の一覧、および、同一ファイルを所有している各端末の端末情報を送信する。また、共有情報管理部30は、バックアップ実行端末1に対して、バックアップシステム内で復元ファイルを所有している端末の一覧、および、復元ファイルを所有している各端末の端末情報を送信する。
【0042】
バックアップ管理部31は、実バックアップ時、バックアップ実行端末1から対象ファイルを受信する。また、バックアップ実行端末1からの復元対象ファイルの要求に応じ、復元対象ファイルをバックアップ実行端末1へ送信する。
格納手段の一例としてのバックアップファイル格納部32は、実バックアップ時にバックアップ実行端末1から送信された対象ファイルを格納する。
【0043】
<バックアップ実行端末1におけるバックアップ時の手順>
図2は、バックアップ実行端末1におけるバックアップ時の手順の一例を示したフローチャートである。
まず、バックアップ制御部12は、所有ファイル記憶部10から対象ファイルを1つ選択する(ステップ101)。次に、バックアップ制御部12は、選択した対象ファイルについて、バックアップ先端末2の設定がすでに存在しているか否かを判断する(ステップ102)。バックアップ先端末2の設定がすでに存在している場合、バックアップ実行情報管理部16は、そのバックアップ先端末2の設定を削除して、削除通知を行う(ステップ103)。
【0044】
次に、バックアップ方法決定部14は、管理サーバ3からバックアップシステム内で同一ファイルを所有している端末一覧、および、各端末の端末情報を取得する。そして、バックアップ方法決定部14は、調達端末数が予め定められた端末数以上であるか否かを判断する(ステップ104)。調達端末数が予め定められた端末数より少ない場合、バックアップ方法決定部14は、実バックアップを行うことを決定する。その決定により、ファイル送受信部13は対象ファイルを管理サーバ3へ送信する(ステップ105)。
【0045】
一方、ステップ104において、調達端末数が予め定められた端末数以上の場合、バックアップ方法決定部14は、各端末の端末情報をもとに各端末の調達容易性を算出する(ステップ106)。次に、バックアップ方法決定部14は、各端末の調達容易性を合計し、合計した調達容易性が予め定められた閾値以上であるか否かを判断する(ステップ107)。調達容易性が閾値より小さい場合、バックアップ方法決定部14はステップ105と同様に、実バックアップを行うことを決定する。一方、調達容易性が閾値以上の場合、バックアップ方法決定部14は、見做しバックアップを行うことを決定する。その決定により、バックアップ実行情報管理部16は、同一ファイルを所有している各端末をバックアップ先端末2として設定し、各端末に設定通知を行う(ステップ108)。
次に、バックアップ制御部12は、バックアップをする対象ファイルが他にも存在するか否かを判断する(ステップ109)。他にも対象ファイルが存在する場合、引き続きステップ101の処理が実行される。一方、対象ファイルが存在しない場合、処理は終了となる。
【0046】
<バックアップ先端末2におけるバックアップ時の手順>
図3は、バックアップ先端末2におけるバックアップ時の手順の一例を示したフローチャートである。
初期状態として、バックアップ先情報管理部21がバックアップ実行端末1からの通知を待ち受けているものとする(ステップ201)。そして、バックアップ先情報管理部21は、バックアップ実行端末1からの通知を受信すると、その通知が設定通知であるか否かを判断し、その通知内容をもとにバックアップ実行端末1と同一ファイルとの対応関係を記憶する(ステップ202)。また、通知が設定通知である場合、ファイル監視部23はバックアップ実行端末1と同一ファイルとを対応させて監視リストに追加し、同一ファイルの監視を行う(ステップ203)。
【0047】
一方、通知が設定通知ではない場合、削除通知であるため、ファイル監視部23は監視リストからバックアップ実行端末1と同一ファイルとの対応関係を削除する(ステップ204)。次に、ファイル監視部23は、同一ファイルが過去にユーザに編集または削除されたことにより、編集前または削除前の同一ファイルの複製が生成されているか否かを判断する(ステップ205)。同一ファイルの複製が生成されている場合、この同一ファイルの複製をバックアップ用と見做しているバックアップ実行端末1が存在しているか否かを判断する(ステップ206)。同一ファイルの複製をバックアップ用と見做しているバックアップ実行端末1が存在していれば、ファイル監視部23は同一ファイルの複製を削除しない。一方、同一ファイルの複製をバックアップ用と見做しているバックアップ実行端末1が存在していなければ、同一ファイルの複製は不要であるので、ファイル監視部23は同一ファイルの複製を削除する(ステップ207)。
そして、バックアップ先端末2がシャットダウンされない限り、バックアップ先情報管理部21はバックアップ実行端末1からの通知を待ち受け、ステップ201乃至ステップ207の処理が繰り返される(ステップ208)。
【0048】
<バックアップ実行端末1における復元時の手順>
図4は、バックアップ実行端末1における復元時の手順の一例を示したフローチャートである。
まず、バックアップ制御部12は、所有ファイル記憶部10から復元対象ファイルを1つ選択する(ステップ301)。次に、復元方法決定部15は、管理サーバ3からバックアップシステム内で復元ファイルを所有しているバックアップ先端末2の一覧、および、各端末の端末情報を取得する。そして、復元方法決定部15は、復元ファイルを所有しているバックアップ先端末2が存在しているか否かを判断する(ステップ302)。
【0049】
復元ファイルを所有しているバックアップ先端末2が存在している場合、復元方法決定部15は、管理サーバ3ではなく、いずれかのバックアップ先端末2から復元することを決定する。次に、復元方法決定部15は、各バックアップ先端末2の調達容易性を算出し、復元ファイルを要求するバックアップ先端末2を1つ選択する。そして、ファイル送受信部13は、選択されたバックアップ先端末2に復元ファイルを要求し、復元ファイルを受信する(ステップ303)。一方、復元ファイルを所有しているバックアップ先端末2が存在しない場合、復元方法決定部15は、管理サーバ3から復元することを決定する。その決定により、ファイル送受信部13は管理サーバ3に復元対象ファイルを要求し、復元対象ファイルを受信する(ステップ304)。
次に、バックアップ制御部12は、復元をする対象のファイルが他にも存在するか否かを判断する(ステップ305)。他にも復元対象ファイルが存在する場合、引き続きステップ301の処理が実行される。一方、復元対象ファイルが存在しない場合、処理は終了となる。
【0050】
<バックアップ先端末2における復元時の手順>
図5は、バックアップ先端末2における復元時の手順の一例を示したフローチャートである。
初期状態として、バックアップ先情報管理部21が、バックアップ実行端末1からの復元ファイルの要求を待ち受けているものとする(ステップ401)。そして、バックアップ先情報管理部21は、バックアップ実行端末1からの復元ファイルの要求を受信すると、要求された復元ファイルが、バックアップ実行端末1からの設定通知を受信してからユーザに編集または削除されたか否かを判断する(ステップ402)。復元ファイルが編集または削除されていない場合、ファイル送信部22はバックアップ実行端末1へ復元ファイルを返信する(ステップ403)。
【0051】
一方、復元ファイルがユーザにより編集または削除されている場合、バックアップ先情報管理部21は、編集前または削除前の復元ファイルの複製が存在しているか否かを判断する(ステップ404)。編集前または削除前の復元ファイルの複製が存在している場合、ファイル送信部22はバックアップ実行端末1へ編集前または削除前の復元ファイルの複製を返信する(ステップ405)。一方、編集前または削除前の復元ファイルの複製が存在していない場合、ファイル送信部22はバックアップ実行端末1へエラーを送信する(ステップ406)。
【0052】
<バックアップ先端末2における同一ファイルの監視手順>
図6は、バックアップ先端末2における同一ファイルの監視手順の一例を示したフローチャートである。
初期状態として、ファイル監視部23が、監視リストの同一ファイルを監視しているものとする(ステップ501)。そして、ファイル監視部23は、監視リストの同一ファイルがユーザにより編集または削除されるか否かを判断する(ステップ502)。同一ファイルがユーザにより編集または削除される場合、編集または削除の処理が確定する前に、ファイル監視部23は、対象ファイルに関する調達端末数および調達容易性の最新情報を、バックアップ先情報管理部21に要求する。バックアップ先情報管理部21は、ファイル監視部23からの要求を受けて、バックアップ実行端末1に対して、対象ファイルに関する調達端末数および調達容易性に関する最新情報の送信を要求する。
バックアップ実行端末1は、バックアップ先端末2からの要求を受信すると、管理サーバ3から、同一ファイルを所有している端末一覧、および、各端末の端末情報を取得する。そして、バックアップ実行端末1は、対象ファイルの調達端末数、および、各端末の調達容易性を算出し、算出した調達端末数および調達容易性をバックアップ先端末2に返信する。
【0053】
次に、ファイル監視部23は、バックアップ実行端末1から送信された調達端末数をもとに、同一ファイルが編集または削除されることで、対象ファイルの調達端末数が予め定められた端末数より小さくなるか否かを判断する(ステップ503)。同一ファイルが削除されても調達端末数が予め定められた端末数以上である場合、次に、ファイル監視部23は、バックアップ実行端末1から送信された調達容易性をもとに、同一ファイルが編集または削除されることで、対象ファイルの調達容易性が予め定められた閾値より小さくなるか否かを判断する(ステップ504)。同一ファイルが削除されても調達容易性が予め定められた閾値以上である場合、ファイル監視部23は、監視リストからバックアップ実行端末1と同一ファイルとの対応関係を削除する(ステップ505)。そして、ファイル監視部23は、バックアップ実行端末1に同一ファイルを監視リストから削除したことを通知する(ステップ506)。
【0054】
一方、ステップ503において、調達端末数が予め定められた端末数より小さくなる場合、ファイル監視部23は同一ファイルの複製を生成する(ステップ507)。同様に、ステップ504において、調達容易性が予め定められた閾値より小さくなる場合、ファイル監視部23は同一ファイルの複製を生成する。
次に、他にも監視リストの同一ファイルが存在する場合、ステップ501に戻り、引き続きファイル監視部23は同一ファイルの監視を行う。他には監視リストの同一ファイルが存在しない場合、処理は終了となる(ステップ508)。
【0055】
また、上述したフローでは、同一ファイルがユーザにより編集または削除される場合、編集または削除の処理が確定する前に、ファイル監視部23は、調達端末数および調達容易性の最新情報をバックアップ先情報管理部21に要求する。そして、ファイル監視部23は、バックアップ実行端末1から送信された情報をもとに、同一ファイルの複製を生成するか否かを決め、その後、同一ファイルの編集または削除の処理が確定される。ここで、バックアップ実行端末1からの情報の送信が遅れる等により、ユーザにより編集または削除の処理が入力されてからその処理が確定するまでに、時間を要する場合がある。そのため、ファイル監視部23は、同一ファイルの複製を生成するか否かを決める前に、一時的に同一ファイルの複製を生成しておいても良い。ファイル監視部23が一時的に同一ファイルの複製を生成することにより、同一ファイルの複製を生成するか否かが決まる前に、ユーザによる編集または削除の処理を確定することができる。ファイル監視部23は、後に、同一ファイルの複製を生成しないと決めた場合、一時的に生成した同一ファイルの複製を削除する。
【0056】
本実施の形態では、バックアップ実行端末1はバックアップ方法を決定する場合に、バックアップシステム内の全ての端末を対象として、管理サーバ3から同一ファイルを所有している端末の一覧、および、同一ファイルを所有している各端末の端末情報を取得したが、これに限られるものではない。例えば、バックアップシステム内の端末を複数のグループに分け、バックアップ実行端末1が自端末と同一のグループに属する端末の情報のみを管理サーバ3から取得するようにしても良い。バックアップ実行端末1が同一グループに属する端末の情報のみ取得するようにすれば、管理サーバ3は同一グループ内の端末のみを対象にして端末一覧および端末情報を返信すれば良いため、管理サーバ3の処理が軽減される。
【0057】
また、グループとしては、例えば、端末の使用者間の関連性を表す指標である社会的距離をもとに、バックアップ実行端末1の使用者との間の社会的距離が一定の範囲内のユーザが使用する端末を、バックアップ実行端末1と同一のグループとすれば良い。社会的距離は、例えば、端末の使用者が所属している組織の情報、コミュニティの情報、端末の使用者のメール送受信履歴等に基づいて算出されるものとする。バックアップ実行端末1の使用者との間の社会的距離が近いユーザは、バックアップ実行端末1の使用者との関連性が高いため、そのようなユーザの端末は同一ファイルを所有している可能性が高いと考えられる。
【0058】
例えば、バックアップ実行端末1の使用者と同一の組織や同一の部署に所属しているユーザや、バックアップ実行端末1の使用者の部署とは異なる部署ではあるが、業務上関わりが深い部署に所属しているユーザの端末は、同一ファイルを所有している可能性が高いと考えられる。また、入社年度が同じユーザが集められたコミュニティ等、バックアップ実行端末1の使用者と同一のコミュニティに所属しているユーザの端末も、同一ファイルを所有している可能性が高いと考えられる。このような場合、各ユーザが所属している組織やコミュニティの情報をもとに、バックアップ実行端末1の使用者と同一の組織や関わりがある組織、同一のコミュニティに所属しているユーザの端末等を、バックアップ実行端末1と同一のグループとする。
また、バックアップ実行端末1の使用者とメールやチャットのやり取りを頻繁に行うようなユーザも、社会的距離が近いと考えられ、同一ファイルを所有している可能性が高いといえる。さらに、ファイルが添付されたメールのやり取りが多いユーザは、同一ファイルを所有している可能性がより高まる。この場合、メールやチャットの送受信履歴をもとに、そのようなユーザの端末をバックアップ実行端末1と同一のグループとする。他に、SNS(Social Networking Service)等をもとに、交友関係のあるユーザ同士の端末を同一のグループとしても良い。
以上のように、バックアップ実行端末1は、バックアップ実行端末1の使用者との間の社会的距離が一定の範囲内のユーザが使用する複数の端末、つまり同一ファイルを所有している可能性が高いと判断される複数の端末を抽出して同一のグループとすることで、バックアップ実行端末1が対象ファイルを復元できる可能性を高めることができる。
【0059】
他のグループの例として、例えば、設置された場所の距離が互いに近い複数の端末ではなく、設置された場所が分散された複数の端末を1つのグループとしても良い。設置場所が分散されていれば、バックアップ用の同一ファイルが1箇所に集中することがなく、複数の箇所に分散される。そのため、災害等に伴う地理的リスクを軽減することができる。
また、バックアップ実行端末1は、バックアップ方法を決定する場合に限らず、復元方法を決定する場合等も同様に、同一グループの端末の情報のみを管理サーバ3から取得すれば良い。
【0060】
<バックアップシステムの第1の変形例>
本実施の形態のバックアップシステムでは、バックアップ実行端末1が復元容易性の値をもとに対象ファイルのバックアップを行う。一方、復元容易性の値をもとに、管理サーバ3が処理を行うシステムとして機能することもできる。
管理サーバ3は、バックアップシステム内の各端末から各端末が所有しているファイルのリストや端末情報等を受信する。ここで、例えば、リスト内のファイルについて、管理サーバ3もそのファイルを格納しており、また、そのファイルを所有している端末数が予め定められた端末数以上であるとする。この場合、バックアップ実行端末1がバックアップ先として見做すことができる十分な数の端末が存在するため、そのようなファイルを管理サーバ3が格納する必要性は低い。
【0061】
そのため、例えば、対象ファイルについてバックアップ実行端末1により実バックアップが行われた後、調達端末数が予め定められた端末数以上になり、バックアップ実行端末1により見做しバックアップが行われた場合、本変形例における管理サーバ3は、その対象ファイルを格納する必要性は低いとして削除する。このように、管理サーバ3は、復元容易性の値をもとに格納しておく必要があるか否かをファイルごとに判断して、格納する必要性は低いと判断できるファイルを削除することにより、空き容量を増やすことができる。また、管理サーバ3は、ファイルを削除するのではなく、格納する必要性は低いと判断できるファイルをリストアップしてユーザへ通知しても良い。
【0062】
さらに、例えば、各端末から送信されたリスト内のファイルで、そのファイルを所有している端末数が予め定められた端末数より少ないとする。この場合、そのファイルに関して、本変形例の管理サーバ3が、バックアップ実行端末1がバックアップ先として見做すことができる十分な数の端末が存在しないとして、実バックアップを行うようにユーザへ通知するような構成としても良い。
【0063】
<バックアップシステムの第2の変形例>
本実施の形態のバックアップシステムは、バックアップ実行端末1とバックアップ先端末2と管理サーバ3とを備えていたが、管理サーバ3を備えず、バックアップ実行端末1とバックアップ先端末2とを備えるシステムとして機能することもできる。本実施の形態に係るバックアップ実行端末1は、対象ファイルを選択して管理サーバ3から情報を取得する。一方、本変形例では、バックアップシステムは管理サーバ3を備えないため、バックアップ実行端末1やバックアップ先端末2の端末間で情報の送受信が行われる。各端末は端末間で定期的に情報を送受信することで、他端末が所有しているファイルのリストや他端末の端末情報を取得することができる。
【0064】
ここで、各端末はバックアップシステム内の他の全端末と情報の送受信を行うこととしても良いが、バックアップシステム内の端末数が多くなればなるほど送受信される情報量が多くなり、各端末での負荷も高くなる。そのため、送受信される情報量の削減、各端末での負荷軽減のために、各端末は同一グループ内の端末間で情報の送受信を行うこととしても良い。このグループは、上述したグループを採用すれば良く、例えば、同一ファイルを所有する可能性の高い端末を1つのグループとする。
そして、バックアップ実行端末1は、復元容易性の値をもとに対象ファイルの見做しバックアップまたは実バックアップのいずれか一方を実行する。ただし、実バックアップとしては、例えば、バックアップ実行端末1の外部に接続されたメディアにファイルを記録する等の構成が考えられる。