特許第5954741号(P5954741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954741
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】釣糸
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/00 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   A01K91/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-132998(P2013-132998)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-6149(P2015-6149A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2015年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】江島 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸川 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勝敏
【審査官】 本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−283933(JP,A)
【文献】 特開2011−010606(JP,A)
【文献】 特開2002−084942(JP,A)
【文献】 特開昭53−114947(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0154065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 91/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維から成る芯線と、
前記芯線の軸方向に並行して配置され、少なくとも1本の金属の素線から成る第1側線と、
前記第1側線及び前記芯線の外周に捲回され、少なくとも1本の金属の素線から成る第2側線と、から構成されている、釣糸。
【請求項2】
請求項1に記載の釣糸において、
前記第1側線の金属の素線の曲げ剛性は、前記第2側線の金属の素線の曲げ剛性より大きい、釣糸。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の釣糸において、
前記第1側線を形成する金属の素線及び前記第2側線を形成する金属の素線の内、少なくとも一方の横断面の形状は矩形断面であり、矩形断面を形成する長辺が釣糸の外周に対向している、釣糸。
【請求項4】
請求項3に記載の釣糸において、
前記第1側線を形成する金属の素線及び前記第2側線を形成する金属の素線の横断面の形状は矩形断面であり、矩形断面を形成する長辺が釣糸の外周に対向している、釣糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、釣糸のしなやかさと強度とを両立させる目的で、アラミド繊維のようなエンジニアリングプラスチックからなる繊維と、金属線とを備える釣糸が開発されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、アラミド繊維から形成した芯の外周にタングステン線を両方向から撚り合せて形成した釣糸の製造方法が記載されており、釣糸のしなやかさを確保しつつ、釣糸の引張強度を向上させる点が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、ステンレススチール線から形成した芯線の外周を複数のアラミド繊維で覆い、ステンレススチール線とアラミド繊維との間及びアラミド繊維同士の間が熱溶着性樹脂で接着された釣糸が記載されており、強度としなやかさとを確保しつつ、糸ふけ(潮の流れや風の流れによって釣糸が撓む現象をいい、釣糸の感度を低下させる原因となる)を生じにくくしている点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−89142
【特許文献2】特開2007−312670
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1に記載されている釣糸は、アラミド繊維から成る芯と、この芯の外周に両方向から撚り合せたタングステン線と、から構成されている為、釣糸に負荷をかけた場合に釣糸が長軸方向に伸びてしまい、釣糸が変形する虞があった。
【0007】
また、引用文献2に記載されている釣糸は、ステンレススチール線から成る芯線と、この芯線の外周を覆う複数のアラミド繊維と、芯線とアラミド繊維との間及びアラミド繊維同士の間が熱溶着性樹脂で接着されている構造の為、釣糸が釣り場の岩と接触することによって、アラミド繊維と熱溶着性樹脂とが摩耗によって消失し、釣糸の強度が低下してしまう虞があった。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、釣糸の伸びを防止し、且つ、釣糸の柔軟性と堅牢性とを両立させた釣糸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<1>本願請求項1に係る発明は、繊維から成る芯線と、前記芯線の軸方向に並行して配置され、少なくとも1本の金属の素線から成る第1側線と、前記第1側線及び前記芯線の外周に捲回され、少なくとも1本の金属の素線から成る第2側線と、から構成されている、釣糸を特徴とする。
【0010】
<2>請求項2に係る発明は、請求項1に記載の釣糸において、前記第1側線の金属の素線の曲げ剛性は、前記第2側線の金属の素線の曲げ剛性より大きい、釣糸を特徴とする。
【0011】
<3>請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の釣糸において、前記第1側線を形成する金属の素線及び前記第2側線を形成する金属の素線の内、少なくとも一方の横断面の形状は矩形断面であり、矩形断面を形成する長辺が釣糸の外周に対向している、釣糸を特徴とする。
【0012】
<4>請求項4に係る発明は、請求項3に記載の釣糸において、前記第1側線を形成する金属の素線及び前記第2側線を形成する金属の素線の横断面の形状は矩形断面であり、矩形断面を形成する長辺が釣糸の外周に対向している、釣糸を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
<1>請求項1に記載の釣糸は、繊維から成る芯線と、芯線の軸方向に並行して配置され、少なくとも1本の金属の素線から成る第1側線と、第1側線及び芯線の外周に捲回され、少なくとも1本の金属の素線から成る第2側線と、から構成されているので、柔軟な釣糸の真直性を確保して釣糸の伸びを防止すると共に、繊維から成る芯線の摩耗を防止し、延いては、釣糸の柔軟性と堅牢性とを両立させることができる。
【0014】
<2>請求項2に記載の釣糸は、第1側線を形成する金属の素線の曲げ剛性が、第2側線を形成する金属の素線の曲げ剛性より大きいので、第1側線の外周に位置する第2側線が釣場の岩場と擦れた場合であっても、第1側線の存在によって第2側線のカール変形を抑制することができ、釣糸の堅牢性を向上させると共に、釣糸の真直性を確保することができるので釣糸の感度の低下を防止することができる。
【0015】
<3>請求項3に記載の釣糸は、第1側線を形成する金属の素線及び第2側線を形成する金属素線の内、少なくとも一方の横断面の形状は矩形断面であり、矩形断面を形成する長辺は釣糸の外周に対向しているので、釣糸の堅牢性を確保しつつ、釣糸の糸ふけを防止することができる。
【0016】
<4>請求項4に記載の釣糸は、第1側線を形成する金属の素線及び第2側線を形成する金属素線の横断面の形状は矩形断面であり、矩形断面を形成する長辺は釣糸の外周に対向しているので、釣糸の糸ふけをさらに防止させると共に、芯線と第1側線及び第1側線と第2側線がそれぞれ面接触することから、釣糸に係る張力を芯線、第1側線、及び第2側に分散させることによって、釣糸の堅牢性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態を示す釣糸の説明図であり、(a)は釣糸の部分図であり、(b)は(a)のA−A断面における釣糸の横断面の拡大図であり、(c)は(a)のB−B断面における釣糸の断面図の拡大図であり、(d)及び(e)は第1実施形態の変形例における釣糸の横断面の拡大図である。
図2】本発明の第2実施形態を示す釣糸の説明図であり、(a)は第2実施形態の釣糸の横断面の拡大図であり、(b)及び(c)は、第2実施形態の変形例における釣糸の横断面の拡大図である。
図3】本発明の第3実施形態を示す釣糸の説明図であり、(a)は第3実施形態の釣糸の横断面の拡大図であり、(b)は第3実施形態の変形例における釣糸の横断面の拡大図である。
図4】本発明の第4実施形態を示す釣糸の説明図であり、(a)は釣糸の部分図であり、(b)は(a)のC−C断面における釣糸の横断面の拡大図であり、(c)は第4実施形態の変形例における釣糸の横断面の拡大図である。
図5】本発明の第5実施形態を示す釣糸の説明図であり、(a)及び(b)は第5実施形態を示す釣糸の横断面の拡大図である。
図6】本発明の第6実施形態を示す釣糸の説明図であり、(a)は第6実施形態を示す釣糸の横断面の拡大図であり、(b)及び(c)は第6実施形態の変形例における釣糸の横断面の拡大図である。
【0018】
以下、本発明の釣糸を図面に示す好適実施形態に基づいて説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態を示す釣糸の説明図であり、(a)は釣糸の部分図であり、(b)は(a)のA−A断面における釣糸の横断面の拡大図であり、(c)は(a)のB−B断面における釣糸の断面図の拡大図であり、(d)及び(e)は第1実施形態の変形例における釣糸の横断面の拡大図である。
【0020】
図1では、理解を容易にするため、釣糸を模式的に図示しているため、寸法比は実際とは異なる。
【0021】
図1(a)、(b)及び(c)において、釣糸1は、繊維からなる芯線2と、芯線2の軸方向に並行して配置され、1本の金属の素線から成る第1側線3と、第1側線3及び芯線2の外周に捲回され、4本の金属の素線(4a、4b、4c及び4d)から成る第2側線4と、を備えている。なお、第2側線4の金属の素線の断面形状は楕円として記載しているが、これは第2側線4が芯線2及び第1側線3の外周を螺旋状に捲回している為、図面表記上、楕円として記載しているものであり、第2側線4を形成する金属の素線の横断面は円形である。
【0022】
芯線2は後述する材料から形成された繊維から形成されている為、同断面積の金属線と比較して柔軟である。また、図1(b)及び(c)において、芯線2の外径は、釣糸としての柔軟性を得る為に第1側線3の金属の素線の外径や第2側線4の金属の素線(4a、4b、4c及び4d)の外径に対して十分に大きな外径を有している。また、釣糸1の横断面視(図1(b)及び(c))において、芯線2の断面積は、第1側線3の断面積と第2側線4の断面積の和よりも大きくすることが好ましい。
【0023】
また、図1(a)において、第2側線4は、第1側線3及び芯線2の外周に対してS巻きとなるように捲回されているが、S巻きに限定されることなく、第2側線4が第1側線3及び芯線2の外周に対してZ巻きとなるように捲回されていても良い。尚、S巻きとは、図1(a)において、第2側線4が左下から右下方向にかけて巻かれる形態を指し、Z巻きとは、第2側線4が右下から左上にかけて巻かれる形態を指す。
【0024】
図1(b)において、第1側線3及び第2側線4は、互いに芯線2の外周に位置しているが、図1(c)に記載されているように、第2側線4は、第1側線3の外周を覆うように捲回されている。また、図1(c)において、第2側線4の素線4aと素線4dとは、芯線2の外周に接していない状態を図示しているが、第2側線4の素線4aと素線4dとが、芯線2の外周に接触するように第2側線4の素線4aと素線4dとを配置しても良い。
【0025】
このように、釣糸1は、繊維からなる芯線2と、芯線2の軸方向に並行して配置され、1本の金属の素線から成る第1側線3と、第1側線3及び芯線2の外周に捲回され、4本の金属の素線(4a、4b、4c及び4d)から成る第2側線4と、を備えていることから、繊維から成る芯線2によって釣糸の柔軟性を確保し、第1側線3によって釣糸の真直性を確保することによって釣糸1の伸びを防止すると共に、第2側線4によって繊維から成る芯線2の摩耗を防止し、延いては、釣糸1の柔軟性と堅牢性とを両立することができる。
【0026】
芯線2を形成する材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリイミド繊維、炭素繊維が挙げられる。なお、本実施形態の芯線2は、前述した繊維を複数本束ねた1本の繊維芯によって構成されている。
【0027】
第1側線3を形成する金属の素線及び第2側線4を形成する金属の素線の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼(SUS304、SUS316等)、コバルトクロム合金、ニッケルコバルト合金、黄銅、チタン又はチタン合金、タングステン、レニウムタングステン合金等が挙げられる。
【0028】
第1側線3及び第2側線4を形成する金属の素線の材質は、同一の金属でも良く、異なる金属でも良い。また、第2側線4のように複数の金属の素線から形成する場合であっても、各素線の材質は同一の金属でも良く、異なる金属でも良い。
【0029】
第1側線3の金属の素線と第2側線4の金属の素線の好ましい組み合わせは、第1側線3を形成する金属の素線の曲げ剛性が、第2側線4を形成する金属の素線の曲げ剛性よりも大きい、組み合わせである。具体的な組み合わせの例としては、第1側線3を形成する金属の素線の材質をレニウムタングステン合金とし、第2側線4を形成する金属の素線の材質をSUS316のようなステンレス鋼とする組み合わせや、第1側線3を形成する金属の素線の材質を強加工(加工硬化により出現したマルテンサイト相を多く含む)したSUS316のようなステンレス鋼とし、第2側線4を形成する金属の素線の材質を通常加工(マルテンサイト相よりもオーステナイト相を多く含む)したSUS316のようなステンレス鋼とする組み合わせ等がある。また、これらの具体的な組み合わせに限定されることなく、第1側線3を形成する金属の素線の曲げ剛性が、第2側線4を形成する金属の素線の曲げ剛性よりも大きい組み合わせであれば良い。
【0030】
このように、第1側線3を形成する金属の素線の曲げ剛性が、第2側線4を形成する金属の素線の曲げ剛性より大きいので、第1側線3の外周に位置する第2側線4が釣場の岩場と擦れた場合であっても、第1側線3の存在によって第2側線4のカール変形を抑制することができ、釣糸1の堅牢性を向上させると共に、釣糸1の真直性を確保することができるので釣糸1の感度の低下を防止することができる。
【0031】
また、釣糸1の作製方法としては、第1側線3を芯線2の軸方向に並行するように配置した後、撚線機等を用いて第1側線3及び芯線2の外周に第2側線4を捲回させることによって釣糸1を作製することができる。また、これに限定されることなく公知技術を用いて釣糸1を作製しても良い。
【0032】
次に、第1実施形態の変形例について記載する。
図1(d)は第1実施形態の変形例を示した釣糸11の横断面視の図である。図1(b)では、第1側線3及び第2側線4の金属の素線の外径は同一であったが、これに限定されることなく、第1側線3及び第2側線4の金属の素線の外径を異ならせても良い。好ましくは、上述した第1側線3及び第2側線4の金属の素線の曲げ剛性の関係から、図1(b)に記載しているように第1側線3及び第2側線4の金属の素線の外径を同一とするか、又は、図1(d)に記載しているように第1側線13の金属の素線の外径が、第2側線14(14a、14b、14c及び14d)の金属の素線の外径よりも大きくする。
【0033】
第1側線13の金属の素線の外径が、第2側線14の金属の素線の外径よりも大きいことから、第1側線13の金属素線の曲げ剛性をさらに高め、上述した第2側線14のカール変形をさらに防止して、釣糸11の堅牢性や感度を向上させることができる。
【0034】
また、図1(b)では第2側線4を形成する4本の金属の素線が並列するように配置していたが、図1(d)に記載しているように第2側線14を形成する4本の金属の素線を2本ずつ(14aと14b及び14cと14d)並列するように配置しても良い。この場合、第2側線14の好ましい配置形態としては、図1(d)に記載しているように、芯線2の中心点Oに対して第2側線14の金属の素線が点対称に配置されることが好ましい。第2側線14を点対称に配置することによって、一方の第2側線を形成する金属の素線、例えば、14aと14bとが釣場の岩場で擦れた場合であっても、他方の第2側線14を形成する金属の素線14cと14d及び第1側線13が、第2側線14の金属の素線14aと14dによる釣糸11のカール変形を防止することができる。
【0035】
また、図1(d)に記載した、第2側線14を形成する金属の素線14aと14b及び14cと14dとは芯線2及び第1側線13の外周に対して同一の方向に巻かれているが、金属の素線14cと14dとを第3側線(図示せず)として、第2側線14の金属の素線14aと14bとは逆の方向に捲回することもできる。
【0036】
図1(e)は第1実施形態の別の変形例を示した釣糸21の横断面視の図である。
図1(b)では第2側線4を形成する4本の金属の素線同士が隙間を有することなく配置していたが、これに限定されることなく、図1(e)に記載しているように第2側線24を形成する4本の金属の各素線(24a、24b、24c及び24d)間に隙間Cを有するように配置しても良く、隙間Cの間隔は一定であってもよく、一定でなくても良い。
【0037】
このように、第2側線24を形成する金属の素線同士が間隙Cを有するように配置されている為、釣糸21が曲げられた場合であっても、第2側線24を形成する金属の素線同士が接触することが無くなる為、釣糸21の柔軟性を向上させることができる。
【0038】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の釣糸31について、図2(a)を用いて、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。第1実施形態と共通する部分については、図中では同じ符号を付すこととする。
なお、図2(a)は、理解を容易にするため、釣糸31を模式的に図示しているため、全体の寸法は実際とは異なる。
【0039】
図2(a)において、釣糸31は、芯線2の軸方向に対して並行に配置された第1側線23が2本の金属の素線(23aと23b)で形成されている点で第1実施形態とは異なる。
【0040】
このように、芯線2の軸方向に対して並行に配置された第1側線23が、2本の金属の素線で形成されているので、釣糸31の真直性をさらに向上させると共に、第2側線4が釣場の岩場と接触する際に発生するカール変形をさらに防止することができる。
【0041】
なお、第1側線23を形成する金属の素線を複数本配置する場合には、釣糸31の柔軟性に影響を与えない範囲で設定する必要があり、2〜4本が好ましい。
【0042】
次に、第2実施形態の変形例について記載する。
図2(b)は第2実施形態の変形例を示した釣糸41の横断面視の図である。図2(a)では、芯線2の外周に対して第1側線23が並列しているが、図2(b)に記載しているように、第1側線33を形成する金属の素線33aと33bとが、芯線2の中心点Oに対して点対称となるように配置することもできる。
【0043】
このように第1側線33が、芯線2の中心点Oに対して点対称に配置されることで、第1側線33が芯線2の両側に位置し、両側から芯線2を支える構成となる為、釣糸41の真直性を向上させることができる。
【0044】
また、第2実施形態の別の変形例である釣糸51を図2(c)に記載する。釣糸51は、第1側線43を形成する金属の素線が4本(43a、43b、43c及び43d)であり、第2側線34を形成する金属の素線が4本(34a、34b、34c及び34d)である、構成を有している。第1側線43の金属の素線4本は、それぞれ芯線2の中心点Oに対して点対称に配置され、また、第2側線34の金属の素線の内、一方の金属の素線群(34aと34b)と他方の金属の素線群(34cと34d)とが芯線2の中心点Oに対して点対称に配置されている。
【0045】
このように、第1側線43を形成する金属の素線と第2側線34を形成する金属の素線が、それぞれ芯線2の中心点Oに対して点対称となるように配置されているので、芯線2の四方向の側面に第1側線43が位置することから、釣糸51の真直性を向上させると共に、一方の第2側線34を形成する金属の素線(34aと34b)が釣場の岩場と接触した場合であっても、第1側線43と他方の第2側線34を形成する金属の素線(34cと34d)とが、一方の第2側線34のカール変形を防止することができ、延いては、釣糸51の堅牢性を向上させることができる。
【0046】
尚、図示はしていないが、第2側線34を形成する金属の素線の内、素線34bを第1側線43の金属の素線43bと素線43cとの間に配置し、また、素線34dを第1側線43の金属の素線43aと素線43dとの間に配置し、さらに、第2側線の金属の素線同士が、芯線2の中心点Oに対して点対称となるように配置することもできる。
【0047】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の釣糸61について、図3(a)を用いて、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。第1実施形態及び第2実施形態と共通する部分については、図中では同じ符号を付すこととする。
なお、図3(a)は、理解を容易にするため、釣糸61を模式的に図示しているため、全体の寸法は実際とは異なる。
【0048】
図3(a)において、釣糸61は、第1側線53を形成する金属の素線が3本(53a、53b及び53c)であり、釣糸61の第2側線44を形成する金属の素線が2本(44aと44b)である、構成を有している。図3(a)から明らかなように、釣糸61は、第1側線53を形成する金属の素線の本数が第2側線44を形成する金属の素線の本数よりも多いという点で第1実施形態とは異なる。
【0049】
このように本実施形態の釣糸61は、第1側線53を形成する素線の本数が第2側線44を形成する金属の素線の本数よりも多いので、釣糸61の真直性を確保しつつ、第2側線44が釣場の岩場と接触した場合であっても、第1側線53によって、第2側線44のカール変形を有効に防止することができる。
なお、本実施形態では、第2側線44を2本の金属の素線(44a及び44b)で形成しているが、第2側線44を1本の金属の素線で形成しても良い。
【0050】
また、第3実施形態の変形例である釣糸71を図3(b)に記載する。図3(b)に記載しているように、釣糸71の第1側線43を形成する金属の素線は4本(43a、43b、43c及び43d)であり、釣糸71の第2側線54を形成する金属の素線は2本(54a及び54b)である。さらに、第1側線43を形成する金属の素線4本と、第2側線54を形成する金属の素線2本とが、それぞれ芯線2の中心点Oに対して点対称に配置されている。
【0051】
このように、第1側線43を形成する金属の素線と第2側線54を形成する金属の素線が、それぞれ芯線2の中心点Oに対して点対称となるように配置されているので、芯線2の四方向の側面に第1側線43が位置することから、釣糸71の真直性を向上させると共に、一方の第2側線54を形成する金属の素線(54a)が釣場の岩場と接触した場合であっても、第1側線43と他方の第2側線54を形成する金属の素線(54d)とが、一方の第2側線54のカール変形を防止することができ、延いては、釣糸71の堅牢性を向上させることができる。
【0052】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態の釣糸81について、図4を用いて、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。第1実施形態及びその他の実施形態と共通する部分については、図中では同じ符号を付すこととする。
なお、図4(a)及び(b)は、理解を容易にするため、釣糸81を模式的に図示しているため、全体の寸法は実際とは異なる。
【0053】
図4(a)及び(b)において、釣糸81は、第1側線63を形成する金属の素線の横断面が矩形形状である点で第1実施形態とは異なる。また、第1側線63は、第1側線63を形成する金属の素線の矩形断面の内、矩形断面の長辺LS1の部分が釣糸の外周OCに対向するように配置されている。
【0054】
このように、第1側線63を形成する金属の素線の横断面の形状が矩形断面であり、矩形断面を形成する長辺LS1は釣糸の外周OCに対向しているので、釣糸81の堅牢性を確保しつつ、釣糸81の外径を減少させることになる為、釣糸81の糸ふけを防止させることができる。
【0055】
また、第1側線63が芯線2に対して面接触する形態を取るので、第1側線63と芯線2との間に摩擦力が発生し、第1側線63が芯線2の外表面上を滑らなくなる為、釣糸81がさらに伸びにくくなり、釣糸81の感度を向上させることができる。
【0056】
なお、糸ふけを有効に防止させる為には、第1側線63を形成する金属の素線の矩形断面の厚さが、第2側線4を形成する金属の素線の外径よりも小さくなるようすることが好ましい。このように第1側線63を形成する金属の素線の矩形断面の厚さが、第2側線4を形成する金属の素線の外径よりも小さいので、釣糸63の外径を減少させることができ、糸ふけをさらに防止することができる。
【0057】
また、第4実施形態の変形例として、釣糸91を図4(c)に記載する。図4(c)に記載しているように、釣糸91の第2側線64は、矩形形状の4本の金属の素線(64a、64b、64c及び64d)によって形成されており、矩形断面を形成する長辺LS2は釣糸91の外周OCに対向している。このように第2側線64を形成する金属の素線を矩形断面の素線とし、さらに、矩形断面を形成する長辺LS2が釣糸91の外周OCに対向することによっても、上述したように、釣糸91の堅牢性を確保しつつ、釣糸91の外径を減少させることになる為、釣糸91の糸ふけを防止させることができる。
【0058】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態の釣糸101について、図5を用いて、第4実施形態とは異なる点を中心に説明する。第4実施形態及びその他の実施形態と共通する部分については、図中では同じ符号を付すこととする。
なお、図5(a)及び(b)は、理解を容易にするため、釣糸101を模式的に図示しているため、全体の寸法は実際とは異なる。
【0059】
図5(a)及び(b)において、釣糸101は、第1側線63が、矩形断面の金属の素線1本から形成され、且つ、第2側線64が、矩形断面の金属の素線4本(64a、64b、64c及び64d)から形成されている点で第4実施形態と異なっている。また、第4実施形態及びその変形例と同様に、第1側線63の矩形断面の内、長辺LS1が釣糸101の外周OCに対抗し、さらに、第2側線64を形成する金属の疎遠の矩形断面の内、長辺LS2が釣糸101の外周OCに対抗している。
【0060】
また、第1側線63と第2側線64とが接触する場合においては、図5(b)に記載されているように、第1側線63の矩形断面の長辺が第2側線64を形成する金属の素線の内、素線64cの矩形断面の長辺と面接触するように配置されている。
【0061】
このように、釣糸101の第1側線63を形成する金属の素線及び第2側線64を形成する金属素線の横断面の形状が矩形断面であり、矩形断面を形成する長辺LS1及びLS2が釣糸101の外周OCに対向しているので、釣糸101の外径を減少させることによって糸ふけをさらに防止させると共に、芯線2と第1側線63及び第1側線63と第2側線64とがそれぞれ面接触することから、釣糸101に係る張力を芯線2、第1側線63、及び第2側線64に分散させることによって、さらに釣糸101の堅牢性を向上させることができる。
【0062】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態の釣糸111について、図6を用いて、第1実施形態及び第5実施形態とは異なる点を中心に説明する。第1実施形態及びその他の実施形態と共通する部分については、図中では同じ符号を付すこととする。
なお、図6(a)は、理解を容易にするため、釣糸111を模式的に図示しているため、全体の寸法は実際とは異なる。
【0063】
図6(a)において、釣糸111は、第1実施形態の釣糸1の外周に樹脂層5を被覆した点で、第1実施形態とは異なる。樹脂層5は、芯線2の外周を被覆すると同時に第1側線3及び第2側線4とを埋設し、釣糸111の横断面視が円形となる様に設けられている。
【0064】
このように釣糸111は、芯線2の外周を被覆し、第1側線3と第2側線4とが埋設するような樹脂層5を備えているので、第1側線3と第2側線4とが芯線2の外周に対して滑ることがなく、釣糸111の感度を向上させると共に、第2側線が釣場の岩場に対して直接接触することを防止するので、釣糸111の堅牢性をさらに向上させることができる。
【0065】
また、樹脂層5を形成する材料としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー等の各種エラストマー、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。
【0066】
釣糸111の樹脂層5を形成する方法としては、押出成型や、樹脂を溶媒に溶解し、樹脂の溶液を作製し、樹脂層5を有していない釣糸111(即ち、釣糸1)をこの樹脂の溶液に浸漬させ、その後、溶媒を乾燥除去することによって、釣糸111を得ることができる。また、これらの方法に限定されることなく、公知の技術を用いて釣糸111を作製しても良い。
【0067】
また、上述した通り、図6(a)に記載されている釣糸111は、第1側線3と第2側線4の外周が樹脂層5に埋設され、樹脂層5を含む釣糸111の全体の横断面視が円形であるが、図1(c)に記載しているように、第1側線3の外周を覆う第2側線4の外周を覆っている部分を考慮して、樹脂層5は第1側線3の外周を覆う第2側線4の外周を埋設し、さらに、樹脂層5を含む釣糸111の全体の横断面視が円形となるように設けることもできる(図示せず)。
【0068】
また、図6(b)に記載されている第6実施形態の変形例である釣糸121のように、樹脂層15は、芯線2、第1側線3及び第2側線4の輪郭が残るように設けられている。このように樹脂層15を芯線2、第1側線3及び第2側線4の輪郭が残るように塗布することによって、樹脂層15による釣糸121の外径の増加を抑制することができ、釣糸121の糸ふけをさらに防止することができる。
【0069】
また、図6(c)に記載されている第6実施形態の別の変形例である釣糸131のように、第5実施形態の釣糸101の外周に樹脂層25を設けても良い。第5実施形態の釣糸101に樹脂層25を設けることによって、釣糸131の堅牢性をさらに向上させることができる。
【0070】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想内において、当業者による種々の変更が可能である。
【0071】
例えば、第1実施形態の釣糸1の第2側線4を形成する4本の金属の素線の内、一部に矩形断面の素線を用いても良い。また、第1実施形態の釣糸1の第1側線3及び第2側線4を形成する金属の素線の断面形状が、楕円断面であっても良い。
【0072】
また、第5実施形態の釣糸101の第1側線63及び第2側線64を形成する金属の素線の横断面形状が、矩形断面の頂点がR面取り加工された素線であって良い。矩形断面の頂点がR面取り加工された素線を用いることによって、第1側線63と第2側線64とを形成する金属の素線の矩形断面の頂点が芯線2と接触した場合であっても、芯線2を傷つけることが無く、釣糸101の堅牢性を確保することができる。
【0073】
また、各実施形態において、芯線2は1本の繊維芯として記載したが、複数本の繊維芯を撚り合せた芯線2としても良い。芯線2を複数本の繊維芯を撚り合せることによって、芯線2の柔軟性を高めることができる。
【符号の説明】
【0074】
1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、
111、121、131 釣糸
2 芯線
3、13、23、33、43、53、63 第1側線
4、14、24、34、44、54、64 第2側線
5、15、25 樹脂層
図1
図2
図3
図4
図5
図6