【実施例】
【0018】
本発明の詳細を実施例および比較例で説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものでない。
表1の各評価項目の測定法、試験法などについて説明する。
(1)密度
理論密度は、各構成成分の理論密度の配合比率により算出したものである。なお、ジルコニアについては、結晶構造が立方晶、正方晶、単斜晶が混在するものであり、これらの比率は、X線回折装置を用いて回折ピーク強度の比率から解析し、理論密度の計算に用いた。かさ密度は、水を媒液としたアルキメデス法で測定し、理論密度に対するかさ密度の割合を相対密度とした。
(2)CO
2レーザー印字の判定
○、×、△の評価基準
印字された二次元バーコード読取の成否としては、CMOSカメラ(画素数1210万画素、対物距離5.0cm)を用いて撮影した場合に、1.0秒以内に読取可能であるかどうかを基準としている。表1中 ○は1.0秒以内に読取可能(実際は瞬時に認識)、△は1.0秒を超えて読取可能、×は読取不可である。
(3)体積固有抵抗
測定はJIS K6911に準じて行った。印可電圧は10V〜1000V、2重リング電極と金属板で試料を挟み込み 電圧を印可した際の電流値を測定し、 試料厚みから体積固有抵抗を算出した。
(4)曲げ強さ
約2×4×35mmの試験片をダイヤモンドカッターで切り出し、JISR1601に準じて、三点曲げにより測定した。
(5)色彩測定
色彩計を用いて、JIS Z8729に示されるL
*a
*b
*表色系により評価した。ここで、L
*は明度、a
* 、b
*は色度を示す。
(6)可視光透過率
自記分光光度計を用いて測定した。光源は、可視光域においては50Wハロゲンランプとし、スキャンスピード300nm/min、サンプリング間隔1/0nmとした。
【0019】
[実施例1〜16]
原料粉末として,高純度Al
2O
3粉末(純度99.99%,平均粒子径180nm)、3molY-ZrO
2粉末(平均粒子径60〜80nm)、TiO
2粉末(純度99.9%、平均粒子径50−130nm)、および焼結助剤として、Mg(OH)
2粉末(純度99.9%、平均粒子径50nm)
を用いた。配合例を表1に示す。いずれの実施例も、アルミナ20〜70質量%、イットリアで安定化あるいは部分安定化したジルコニア15〜70質量%、酸化チタン5〜15質量%の範囲内とした。
スラリーは,水を溶媒として、固形分濃度25〜27vol%とし、分散剤としてポリアクリル酸(PAA)を原料粉末に対して0.3〜1.5質量%使用して,ゼータポテンシャルの絶対値が十分高い条件になるようにpH調整(pH7〜8)して,各粉末を分散させた。この際,焼結助剤のMg(OH)
2を溶解し,ポリアクリル酸マグネシウム錯体(PAA-Mg)として添加した。
成形は多孔質Al
2O
3型(気孔率30%)を用いた排泥鋳込み成形法により行った。成形体を乾燥後、1000℃の大気雰囲気で脱脂し、カーボン存在下のアルゴン雰囲気中で焼成温度1400〜1450℃にて焼成した。焼成後、焼結体を600〜1000℃の酸化雰囲気でアニールして、所望の色調に調製した。
【0020】
いずれの実施例も、白色度の度合である明度L
*が70以上、可視光透過率が試料厚み1mmのとき最大0.05%以下、CO
2レーザー等による二次元バーコードの印字が鮮明で画像認識が良好であり、相対密度90%以上となっている。アニール温度をやや低くした実施例3および15については、体積固有抵抗10
9ΩcmオーダーのESD対策性能が付与されている。
【0021】
[比較例1〜3]
原料粉末として、高純度Al
2O
3粉末(純度99.99%、平均粒子径180nm)、3molY-ZrO
2粉末(平均粒子径60〜80nm)、TiO
2粉末(純度99.9%、平均粒子径50−130nm)を用いた。配合例を表1に示す。いずれの比較例も、アルミナ20〜70質量%、イットリアで安定化あるいは部分安定化したジルコニア15〜70質量%、酸化チタン5〜15質量%の範囲を外れている。比較例1はジルコニアを添加しておらず、比較例2はジルコニアが15質量%未満、比較例3は酸化チタンが5質量%未満である。
スラリーは、水を溶媒として、固形分濃度25〜27vol%とし、分散剤としてポリアクリル酸(PAA)を原料粉末に対して0.3〜1.5質量%使用して、ゼータポテンシャルの絶対値が十分高い条件になるようにpH調整(pH7〜8)して、各粉末を分散させた。
成形は多孔質Al
2O
3型(気孔率30%)を用いた排泥鋳込み成形法により行った。成形体を乾燥後、1000℃の大気雰囲気で脱脂し、カーボン存在下のアルゴン雰囲気中で焼成温度1400℃にて焼成した。焼成後、焼結体を1000℃の酸化雰囲気でアニールした。
【0022】
いずれの比較例も、白色度の度合である明度L
*が70以上であるが、配合比が本発明の範囲外であることから、CO
2レーザー等による二次元バーコードの印字が不明瞭であった。
【0023】
[比較例4〜6]
原料粉末として,高純度Al
2O
3粉末(純度99.99%,平均粒子径180nm)、3molY-ZrO
2粉末(平均粒子径60〜80nm)、TiO
2粉末(純度99.9%、平均粒子径50−130nm)、および焼結助剤として、Mg(OH)
2粉末(純度99.9%、平均粒子径50nm)を用いた。配合例を表1に示す。いずれの比較例も、アルミナ20〜70質量%、イットリアで安定化あるいは部分安定化したジルコニア15〜70質量%、酸化チタン5〜15質量%の範囲内とした。
スラリーは,水を溶媒として、固形分濃度25〜27vol%とし、分散剤としてポリアクリル酸(PAA)を原料粉末に対して0.3〜1.5質量%使用して、ゼータポテンシャルの絶対値が十分高い条件になるようにpH調整(pH7〜8)して,各粉末を分散させた。この際、焼結助剤のMg(OH)
2を溶解し、ポリアクリル酸マグネシウム錯体(PAA-Mg)として添加した。
成形は多孔質Al
2O
3型(気孔率30%)を用いた排泥鋳込み成形法により行った。成形体を乾燥後、1000℃の大気雰囲気で脱脂し、カーボン存在下のアルゴン雰囲気中で焼成温度1450℃にて焼成した。焼成後、焼結体を1100〜1200℃の酸化雰囲気でアニールして、所望の色調に調製した。
【0024】
いずれの比較例も、白色度の度合である明度L
*が70以上であり、CO
2レーザー等による二次元バーコードの印字が鮮明で画像認識が良好であり、相対密度90%以上となっている。しかしながら、可視光透過率が試料厚み1mmのとき最大0.1%以上であり、十分な可視光遮蔽効果が得られなかった。
【0025】
[比較例7〜10]
原料粉末として、高純度Al
2O
3粉末(純度99.99%、平均粒子径180nm),3molY-ZrO
2粉末(平均粒子径60〜80nm)、TiO
2粉末(純度99.9%、平均粒子径50−130nm)を用いた。配合例を表1に示す。いずれの比較例も、アルミナ20〜70質量%、イットリアで安定化あるいは部分安定化したジルコニア15〜70質量%、酸化チタン5〜15質量%の範囲を外れており、ジルコニア含有量が多いものであり、比較例8はアルミナを添加していない。
スラリーは,水を溶媒として、固形分濃度25〜27vol%とし、分散剤としてポリアクリル酸(PAA)を原料粉末に対して0.3〜1.5質量%使用して、ゼータポテンシャルの絶対値が十分高い条件になるようにpH調整(pH7〜8)して,各粉末を分散させた。
成形は多孔質Al
2O
3型(気孔率30%)を用いた排泥鋳込み成形法により行った。成形体を乾燥後、1000℃の大気雰囲気で脱脂し、カーボン存在下のアルゴン雰囲気中で焼成温度1400〜1450℃にて焼成した。焼成後、焼結体を1000℃の酸化雰囲気でアニールした。
【0026】
いずれの比較例も、白色度の度合である明度L
*が70以上であり、CO
2レーザー等による二次元バーコードの印字が鮮明で画像認識が良好であり、相対密度90%以上となっている。しかしながら、可視光透過率が試料厚み1mmのとき最大0.1%以上であり、十分な可視光遮蔽効果が得られなかった。
【0027】
[比較例11]
原料粉末として、高純度Al
2O
3粉末(純度99.99%、平均粒子径180nm)、3molY-ZrO
2粉末(平均粒子径60〜80nm)、TiO
2粉末(純度99.9%、平均粒子径50−130nm),および焼結助剤として,Mg(OH)
2粉末(純度99.9%、平均粒子径50nm)を用いた。配合例を表1に示すが、アルミナ20〜70質量%、イットリアで安定化あるいは部分安定化したジルコニア15〜70質量%、酸化チタン5〜15質量%の範囲内とした。
スラリーは、水を溶媒として、固形分濃度27vol%とし、分散剤としてポリアクリル酸(PAA)を原料粉末に対して1.0質量%使用して、ゼータポテンシャルの絶対値が十分高い条件になるようにpH調整(pH7〜8)して,各粉末を分散させた。この際,焼結助剤のMg(OH)
2を溶解し,ポリアクリル酸マグネシウム錯体(PAA-Mg)として添加した。
成形は多孔質Al
2O
3型(気孔率30%)を用いた排泥鋳込み成形法により行った。成形体を乾燥後、1000℃の大気雰囲気で脱脂し,カーボン存在下のアルゴン雰囲気中で焼成温度1450℃にて焼成した。焼成後、焼結体を500℃の酸化雰囲気でアニールした。
【0028】
白色度の度合である明度L
*が70未満であり、CO
2レーザー等による二次元バーコードの印字のコントラストが得られず、画像認識が困難となった。
【0029】
[比較例12〜13]
原料粉末として、高純度Al
2O
3粉末(純度99.99%、平均粒子径180nm)、3molY-ZrO
2粉末(平均粒子径60〜80nm)、TiO
2粉末(純度99.9%、平均粒子径50−130nm)、および焼結助剤として、Mg(OH)
2粉末(純度99.9%、平均粒子径50nm)を用いた。配合例を表1に示すが、アルミナ20〜70質量%、イットリアで安定化あるいは部分安定化したジルコニア15〜70質量%、酸化チタン5〜15質量%の範囲内とした。
スラリーは、水を溶媒として、固形分濃度27vol%とし、分散剤としてポリアクリル酸(PAA)を原料粉末に対して1.0質量%使用して、ゼータポテンシャルの絶対値が十分高い条件になるようにpH調整(pH7〜8)して、各粉末を分散させた。この際、焼結助剤のMg(OH)
2を溶解し、ポリアクリル酸マグネシウム錯体(PAA-Mg)として添加した。
成形は多孔質Al
2O
3型(気孔率30%)を用いた排泥鋳込み成形法により行った。成形体を乾燥後、焼成温度1400℃の大気雰囲気にて焼成した。
【0030】
いずれの比較例も、CO
2レーザー等による二次元バーコードの印字が鮮明で画像認識が良好であり、相対密度90%以上となっている。しかしながら、可視光透過率が試料厚み1mmのとき最大0.1%以上であり、十分な可視光遮蔽効果が得られなかった。
【0031】
本発明の実施例および比較例におけるCO
2レーザー等による二次元バーコードの印字の様子を
図1に示す。(a)は実施例1であり、印字が鮮明で画像認識が極めて良好である。一方、(b)は比較例3であり、印字が不明瞭であることがわかる。
本発明の用途の具体例として、半導体・電子部品等の製造現場において用いられる距離センサに対応した画像認識の向上がある。距離センサは、レーザー光を固体に照射し、その反射光を検知することで、非接触で高精度かつ高分解能な位置測定が可能となるものである。このとき、照射する対象物が光を透過してしまうと測定精度が低下する恐れがある。本発明品と一般的な白色セラミックスに、可視レーザー光(レーザー波長650〜660nm、レーザー出力1mW)を照射した様子を
図2に示す。前者(実施例2)はレーザー光を遮蔽しているが、後者(比較例4)はレーザー光が裏面まで透過している。これらのことから本発明は、可視光遮蔽特性を有する白色系セラミックスであることがわかる。
【0032】
【表1】