特許第5954748号(P5954748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954748
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   A61M25/00 532
   A61M25/00 550
   A61M25/00 620
   A61M25/00 624
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-90784(P2014-90784)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-208425(P2015-208425A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2015年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】八木 孝之
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−512956(JP,A)
【文献】 特開平08−308933(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0255507(US,A1)
【文献】 米国特許第7608085(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0209176(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層と、前記内層を覆い複数の金属素線を巻回して形成された補強体と、前記補強体を覆う外層とを有するチューブ体と、
前記チューブ体の先端に設けられ、表面にスリットが形成された金属からる管状の先端チップと
を備え、
前記先端チップは、前記補強体の先端に設けられた、前記複数の金属素線を溶融して一体的に形成された溶融部に溶接されており、
前記外層は、前記スリットに入り込むように、前記溶融部及び前記先端チップの外周面を覆っていることを特徴とするカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬い病変部などを通過可能なカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属製の先端チップを有するカテーテルが提案されている(例えば、特許文献1)。このようなカテーテルは、先端部が十分な硬さを有しているので、血管、胆管、膵管等の内部に形成された硬い病変部に挿入するカテーテルや、骨内に挿入して骨髄を吸引するカテーテルとして好適に用いられる。
また、樹脂性の先端チップに溝を設けることにより、先端チップに柔軟性を付与したカテーテルが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0003】
以上のような従来技術を用いて、金属製の先端チップにスリットを設けることにより、先端チップの硬さを維持しつつ、先端チップを曲がり易くすることができる。こうすることで、硬い病変部などに対する通過性に優れ、且つ、末梢血管のような曲がりくねった血管にも良好な追従性を示すカテーテルを実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−244492号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0255507号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、金属製の先端チップにスリットを設けた場合、先端チップの表面に凸凹が生ずるので、先端チップが病変部などに引っ掛かかり易くなってしまうという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、金属製の先端チップを有するカテーテルにおいて、先端チップを曲がり易くすると共に、先端チップが病変などに引っ掛かり難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のカテーテルは次の構成を採用した。すなわち、内層と、前記内層を覆い複数の金属素線を巻回して形成された補強体と、前記補強体を覆う外層とを有するチューブ体と、前記チューブ体の先端に設けられ、表面にスリットが形成された金属からる管状の先端チップとを備え、前記先端チップは、前記補強体の先端に設けられた、前記複数の金属素線を溶融して一体的に形成された溶融部に溶接されており、前記外層は、前記スリットに入り込むように、前記溶融部及び前記先端チップの外周面を覆っていることを特徴とする。
【0008】
このような本発明のカテーテルにおいては、金属から成る先端チップにスリットが設けられているので、先端チップを曲がり易くすることができる。また、先端チップの外周面が外側被覆で覆われているので、先端チップの表面を平滑化することができ、ひいては先端チップが病変などに引っ掛かり難くすることが可能となる。
特に、外側被覆がスリットの内部に入り込むことによって先端チップにしっかりと固定されるので(アンカー効果)、先端チップの平滑面を確実に維持することが可能となる。
【0009】
また、補強体と先端チップとを溶接によって接合しているので、先端チップとチューブ体との接続強度をより一層、向上させることが可能となる。
【0010】
さらに、先端チップは、複数の金属素線を溶融して一体的に形成された溶融部に溶接されているので、金属素線の動きを規制することができ先端チップと補強体の先端部との溶接を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態のカテーテルの構成を示した説明図である。
図2】本発明の第1実施形態のカテーテルの先端付近(図1に示す領域A)の拡大図である。(a)には、カテーテルの先端付近の断面図が示されており、(b)には、先端チップの外観図が示されている。
図3】本発明の第2実施形態のカテーテルの先端付近の拡大図である。
図4】本発明の第3実施形態のカテーテルの先端付近の拡大図である。
図5】本発明の第4実施形態のカテーテルの先端付近の拡大図である。
図6】本発明の第5実施形態のカテーテルの先端付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.第1実施形態 :
以下では、上述した本発明の内容を明確にするために、本発明のカテーテルの各種実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のカテーテル1の構成を示した説明図である。図示されているように、本実施形態のカテーテル1は、カテーテルシャフト10と、カテーテルシャフト10の基端部に設けられたコネクタ80と、カテーテルシャフトの先端部に設けられた先端チップ50とから構成されている。
尚、本明細書中の「カテーテルシャフト」は本発明の「チューブ体」に対応する。
【0013】
図2は、本発明の第1実施形態のカテーテル1の先端付近(図1に示す領域A)の拡大図である。図2(a)に示されているように、本実施形態のカテーテル1において、カテーテルシャフト10は管状の構造体であり、内層20aと、内層20aを覆うブレード層30aと、ブレード層30aを覆う外層40aとから構成されている。尚、本明細書中の「ブレード層」は本発明の「補強体」の一態様である。
【0014】
内層20aは樹脂で形成されている。内層20aを形成する樹脂材料は特に限定されないが、内部に挿入する器具(ガイドワイヤやカテーテルなど)との摺動性を考慮すると、PTFE(ポリテトラフルオロチレン)が好ましい。
【0015】
ブレード層30aは素線を編組することによって形成されている。ブレード層30aを形成する素線の材料は特に限定されず、例えばステンレス鋼(SUS304、SUS316等)、金、白金、タングステン、プラチナ、ニッケル、これらの元素からなる合金などを用いることができる。
【0016】
外層40aは樹脂で形成されている。外層40aを形成する樹脂材料は特に限定されず、例えばポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリエステル、ポリウレタン等を用いることができる。
【0017】
カテーテルシャフト10の先端部には、金属製の先端チップ50が設けられている。本実施形態の先端チップ50は、先端に向けて外径が小さくなるテーパー形状に形成されている。こうすることで、硬い病変部(例えば石灰化した病変部)に対する通過性を高めている。
尚、先端チップ50に用いる金属材料は特に限定されず、ステンレス鋼(SUS304、SUS316等)、金、白金、タングステン、プラチナ、ニッケル、これらの元素からなる合金などを用いることができる。但し、放射線透視画像下でカテーテル1の先端の位置を把握できるように、金属チップ50を放射線不透過性の金属材料で形成することが好ましい。
【0018】
また、本実施形態の先端チップ50にはスリット52が設けられている。スリット52は、金属製の先端チップ50を肉抜きすることによって、その柔軟性を向上させるために設けられている。
尚、図2(b)に示されているように、本実施形態のカテーテル1では、先端チップ50に対してスリット52がらせん状に形成されているので、先端チップ50が何れの方向に対しても同等の曲がり易さで曲がることができるようになっている。また、スリット52のピッチが先端に向かって小さくなるように形成されており、先端チップ50の先端領域が特に柔軟となっている。このため、先端チップ50によって血管を穿孔する危険性を低減させることが可能となっている。
【0019】
更に、図2(a)に示されているように、本実施形態の先端チップ50の外周面は、外側被覆60aで覆われている。ここで、本実施形態のカテーテル1では、外側被膜60aが先端チップ50のスリット52の内部に入り込んでいる。
【0020】
このような本実施形態のカテーテル1は、金属製の先端チップ50にスリット52が設けられているので、先端チップ50の硬さを維持しつつ、曲がり易くすることができる。また、先端チップ50の外周面が外側被覆60aで覆われているので、先端チップ50の表面を平滑化することができる。その結果、硬い病変部を通過させ易く、末梢血管のような曲がりくねった血管にも良好な追従性を示し、しかも先端チップ50が病変部などに引っ掛かり難いカテーテル1を実現することが可能となる。
【0021】
特に、本実施形態のカテーテル1では、先端チップ50を覆う外側被覆60aがスリット52の内部に入り込むことによって、先端チップ50にしっかりと固定される。従って、外部との摩擦によって外側被覆60aが先端チップ50から剥離することを防止することができる。その結果、例えば、石灰化した病変部に先端チップ50を通過させる場合でも、先端チップ50の平滑面を確実に維持することが可能となる。
【0022】
B.第2実施形態 :
図3は、本発明の第2実施形態のカテーテル2の先端付近の拡大図である。図示した第2実施形態のカテーテル2は、上述した第1実施形態のカテーテル1とは以下の点が異なっている。すなわち、先端チップ50の外周面に外側被覆60aが設けられているだけでなく、先端チップ50の内周面に、内側被覆70aが設けられている。そして、先端チップ50のスリット52の内部に入り込んだ外側被覆60aが内側被覆70aまで到達して、外側被覆60aと内側被覆70aとが密着している。
【0023】
上記以外の点については、第1実施形態のカテーテル1と第2実施形態のカテーテル2とは同様の構成となっている。すなわち、カテーテルシャフト10は、内層20aと、内層20aを覆うブレード層30aと、ブレード層30aを覆う外層40aとから構成されている。
【0024】
このような本実施形態のカテーテル2においても、上述した第1実施形態のカテーテル1と同様に、金属製の先端チップ50の曲がり易さを確保しつつ、先端チップ50が病変部などに引っ掛かることを防止することができる。
【0025】
また、本実施形態のカテーテル2では、先端チップ50が外側被覆60aと内側被覆70aとで覆われ、且つ、スリット52内に入り込んだ外側被覆60aと内側被覆70aとが密着しているので、外側被覆60a(および内側被覆70a)を先端チップ50に対してより強固に固定することが可能となる。
【0026】
更に、内側被覆70aによって先端チップ50の内周面も平滑化することができるので、カテーテル2の内腔を通過する医療器具(ガイドワイヤなど)が先端チップ50の内周面に引っ掛かることをも防止することが可能となる。
【0027】
C.第3実施形態 :
図4は、本発明の第3実施形態のカテーテル3の先端付近の拡大図である。第3実施形態のカテーテル3は、上述した第2実施形態のカテーテル2とは以下の点が異なっている。すなわち、第3実施形態のカテーテル3では、カテーテルシャフト12の外層40bと先端チップ50の外周面を覆う外側被覆60bとが一体に形成されており、且つ、カテーテルシャフト12の内層20bと先端チップ50の内周面を覆う内側被覆70bとが一体に形成されている。
【0028】
上記以外の点については、上述した第2実施形態のカテーテル2と同様の構成となっている。すなわち、カテーテルシャフト12には内層20bを覆うブレード層30bが設けられており、先端チップ50にはスリット52が設けられている。
【0029】
このような本実施形態のカテーテル3においても、上述した各種実施形態のカテーテルと同様に、金属製の先端チップ50の曲がり易さを確保しつつ、先端チップ50が病変部などに引っ掛かることを防止することができる。
【0030】
また、本実施形態のカテーテル3では、外側被覆60bと外層40bとが一体に形成され、且つ、内側被覆70bと内層20bとが一体に形成されることにより、先端チップ50とカテーテルシャフト12との接続箇所が継ぎ目なく被覆されている。このため、先端チップ50とカテーテルシャフト12との接続箇所において、外部(病変など)および内部(カテーテル内腔を通過するガイドワイヤなど)との引っ掛かりが生ずることを防止することができる。同時に、先端チップ50とカテーテルシャフト12との接続強度を向上させることも可能となる。
【0031】
D.第4実施形態 :
図5は、本発明の第4実施形態のカテーテル4の先端付近の拡大図である。第4実施形態のカテーテル4は、上述した第3実施形態のカテーテル3とは以下の点が異なっている。すなわち、第4実施形態のカテーテル4では、補強体として、金属の素線をらせん状に巻回することによって形成されたコイル体30cが設けられている。そして、コイル体30cの先端部に金属製の先端チップ50が溶接されている。図5には、コイル体30cと先端チップ50との溶接部wが、太い波線で示されている。
【0032】
尚、コイル体30cは、1本の素線をらせん状に巻回したもの(いわゆる単線コイル)でもよいし、複数の素線をらせん状に巻回した中空体(いわゆる撚線コイル)でもよい。もっとも、カテーテル4の回転力を考慮すると、撚線コイルをコイル体30cとして用いることが好ましい。また、コイル体30cの素線の金属材料は特に限定されず、ステンレス鋼(SUS304、SUS316等)、金、白金、タングステン、プラチナ、ニッケル、これらの元素からなる合金などを用いることができる。
【0033】
上記以外の点については、上述した第3実施形態のカテーテルと同様の構成となっている。すなわち、カテーテルシャフト14は、内層20cおよび外層40cを有している。また、先端チップ50にはスリット52が設けられており、先端チップ50の外周面が外側被覆60cで覆われ、内周面が内側被覆70cで覆われている。
【0034】
このような本実施形態のカテーテル4においても、上述した各種実施形態のカテーテルと同様に、金属製の先端チップ50の曲がり易さを確保しつつ、先端チップ50が病変部などに引っ掛かることを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態のカテーテル4では、補強体が金属製のコイル体30cで形成されており、コイル体30cと先端チップ50とが溶接されているので、先端チップ50とカテーテルシャフト10との接続強度をより一層、向上させることが可能となる。
【0036】
E.第5実施形態 :
図6は、本発明の第5実施形態のカテーテル5の先端付近の拡大図である。第5実施形態のカテーテル5は、上述した第4実施形態のカテーテル4とは以下の点が異なっている。すなわち、第5実施形態のカテーテル5では、コイル体30dの先端に、コイル体30dを構成する素線を互いに溶融させて一体に成形した部分(溶融部32d)が設けられており、溶融部32dに対して、先端チップ50が溶接されている。
【0037】
上記以外の点については、上述した各種実施形態のカテーテルと同様の構成となっている。すなわち、カテーテルシャフト16は、内層20dおよび外層40dを有している。また、先端チップ50にはスリット52が設けられており、先端チップ50の外周面が外側被覆60dで覆われ、内周面が内側被覆70dで覆われている。
【0038】
このような本実施形態のカテーテル5においても、上述した各種実施形態のカテーテルと同様に、金属製の先端チップ50の曲がり易さを確保しつつ、先端チップ50が病変部などに引っ掛かることを防止することができる。
【0039】
また、本実施形態のカテーテル5では、コイル体30dの先端部で素線が互いに溶融して一体となっているので、コイル体30dの先端部における素線の動きを規制することができる。例えば,コイル体30dとして撚線コイル(複数の素線をらせん状に巻回することによって形成した中空体)を用いた場合に、撚線コイルの端部がバラけてしまうことを防ぐことができる。その結果、先端チップ50とコイル体30dの先端部との接合を容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1,2,3,4,5・・・カテーテル
10,12,14,16・・・カテーテルシャフト
20a,20b,20c,20d・・・内層
30a,30b・・・ブレード層
30c,30d・・・コイル体
32d・・・(コイル体の)溶融部
40a,40b,40c,40d・・・外層
50・・・先端チップ
52・・・スリット
60a,60b,60c,60d・・外側被覆
70a,70b,70c,70d・・・内側被覆
図1
図2
図3
図4
図5
図6