(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
供給される被計量物を周囲へ搬送する分散フィーダと、該分散フィーダの周囲に配設されて前記分散フィーダからの被計量物をそれぞれ搬送して搬送終端から排出する複数のリニアフィーダと、各リニアフィーダの前記搬送終端から排出される被計量物を保持し、保持した被計量物を下方へ供給する複数の供給ホッパと、各供給ホッパから供給される被計量物を保持し、保持した被計量物を排出する複数の計量ホッパと、各計量ホッパの重量をそれぞれ検出する複数の重量センサと、各重量センサの各重量信号からそれぞれ取得した各重量値を、各計量ホッパに対応する各零点補正値によって補正して各計量ホッパに保持されている被計量物の各重量値をそれぞれ算出すると共に、算出した被計量物の各重量値に基づいて、組合せ演算を行う組合せ演算部と、前記組合せ演算の結果に基づいて、前記計量ホッパを制御すると共に、前記分散フィーダ、前記リニアフィーダ及び前記供給ホッパを制御する制御部とを備える組合せ秤であって、
前記被計量物を当該組合せ秤に供給しない状態で、当該組合せ秤を模擬的に運転するダミー運転モードが設定されるダミー運転モード設定部と、
前記各計量ホッパに前記被計量物が供給されない空の状態で、前記各計量ホッパに被計量物が仮想的に供給されているとしたときの前記被計量物の各仮想重量値が、設定される仮想重量値設定部とを備え、
前記組合せ演算部は、前記ダミー運転モードでは、前記各重量センサの各重量信号からそれぞれ取得した前記各重量値を、初期の前記各零点補正値を前記各仮想重量値でそれぞれ修正した各修正零点補正値によって補正して前記被計量物の各重量値を算出する、
組合せ秤。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成を示す模式図である。
【0027】
この実施形態の組合せ秤は、その上部の中央に、供給装置1から供給される被計量物を振動によって放射状に分散させる分散フィーダ2が設けられている。この分散フィーダ2は、被計量物が供給される円錐形のトップコーン3と、このトップコーン3を振動させる加振機構4とを備えている。
【0028】
供給装置1は、図示しないベルトコンベヤから供給される被計量物を振動によって搬送してトップコーン3の中央部へ供給する。トップコーン3では、供給装置1からトップコーン3の中央部に供給される被計量物を、振動によってトップコーン3の周縁部方向へ搬送する。
【0029】
トップコーン3の周囲には、トップコーン3から送られてきた被計量物を、振動によって外方に向けて直線的に搬送する複数のリニアフィーダ14が、放射状に配備されている。各リニアフィーダ14は、被計量物が供給される樋状のフィーダパン6と、このフィーダパン6を振動駆動する加振機構7とを備えている。
【0030】
各フィーダパン6の周縁部には、複数の供給ホッパ5及び計量ホッパ8がそれぞれ対応して設けられ、それぞれ円周状に配置されている。供給ホッパ5及び計量ホッパ8の下部開口には、それぞれ開閉可能な排出用のゲート5a,8aがそれぞれ設けられている。
【0031】
供給ホッパ5は、フィーダパン6から送り込まれた被計量物を一旦保持し、その下方に配置された計量ホッパ8が空になると、排出用のゲート5aを開いて計量ホッパ8へ被計量物を供給する。また、各計量ホッパ8は、計量ホッパ8内の被計量物の重量を計測するためのロードセル等の各重量センサ9にそれぞれ連結支持されている。各重量センサ9からの各重量信号は、制御装置10へ出力される。
【0032】
リニアフィーダ14、供給ホッパ5、計量ホッパ8及び重量センサ9は、1組の計量ヘッドを構成しており、組合せ秤は、複数の計量ヘッド、この例では、14個の計量ヘッドを備えている。
【0033】
制御装置10は、各重量センサ9からのアナログ重量信号を、所定の時間間隔でそれぞれA/D変換し、更にそれぞれフィルタ処理して各重量値を取得する。制御装置10は、取得した各重量値を、各計量ホッパ8が空の状態のときの重量値である零点補正値(風袋重量)によって補正して、各計量ホッパ8に供給されている被計量物の各重量値を算出する。
【0034】
制御装置10は、算出した被計量物の各重量値に基づいて、組合せ演算を行って、複数の計量ホッパ8の中から被計量物を排出すべき計量ホッパ8の適量組合せを選択する。そして、包装機13から排出要求信号の入力があると、その選択した適量組合せに該当する計量ホッパ8の排出用のゲート8aを開いて被計量物を集合シュート11へ排出し、排出された被計量物は、その下方の集合ファネル12を介して包装機13へ投入されて包装される。
【0035】
この実施形態の操作設定表示部15は、例えばタッチパネルによって構成され、組合せ秤の操作およびその動作パラメータ、例えば、フィルタ処理された重量信号から重量値を取得するタイミングを規定する安定時間やフィルタ定数等の各種の設定を行うための設定部としての機能を有している。この操作設定表示部15は、運転速度、組合せ重量値、各種の設定値等を画面に表示すると共に、後述のように、設定されている動作パラメータが適切でないと判定されたときにその旨を表示して報知する報知部としての機能を有している。
【0036】
制御装置10では、供給装置1の動作制御及び組合せ秤の全体の動作制御を行うと共に、上記のようにフィルタ処理及び組合せ演算を行う。この実施形態の組合せ演算では、複数の計量ホッパ8の中から、被計量物の重量値を種々に組合せた組合せ重量が、目標組合せ重量に等しいか、あるいは、目標組合せ重量よりも重く、かつ、目標組合せ重量に最も近い計量ホッパ8の組合せを、適量組合せとして1つ選択する。
【0037】
図2は、この実施形態の組合せ秤の制御系統の概略構成を示すブロック図であり、
図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0038】
制御装置10は、演算制御部30と、メモリ部31と、各計量ホッパ8を支持する各重量センサ9のアナログ重量信号が与えられるA/D変換回路部32と、各供給ホッパ5及び各計量ホッパ8の各排出用のゲート5a,8aを駆動するゲート駆動回路部33と、供給装置1及び各フィーダ2,14の振動を制御する振動制御回路部34と、包装機13に接続されたI/O回路部35とを備えている。
【0039】
演算制御部30は、CPUを備えており、各部を制御すると共に、組合せ演算やフィルタ処理のための演算を行うものであって、制御部36、組合せ演算部37及びフィルタ処理部38としての機能を有する。また、この実施形態では、演算制御部30は、後述のように、設定されている動作パラメータである安定時間が適切であるか否かを判定する安定時間判定部39としての機能を有する。メモリ部31は、組合せ秤の動作プログラム及び設定される動作パラメータ等を記憶しており、演算制御部30に対する演算などの作業領域となる。
【0040】
A/D変換回路部32は、各計量ホッパ8の被計量物の重量を検出する各重量センサ9からのアナログ重量信号を、所定の周期でサンプリングしてデジタル重量信号に変換して演算制御部30へ出力する。
【0041】
演算制御部30は、メモリ部31と共に、A/D変換回路32からの各デジタル重量信号をそれぞれフィルタ処理するフィルタ処理部38を構成する。このフィルタ処理部38は、デジタルフィルタであり、このデジタルフィルタは、例えば、多重移動平均処理を行う移動平均フィルタやFIRフィルタなどである。
【0042】
このフィルタ処理部38は、設定されるフィルタ定数に応じたフィルタ特性でデジタル重量信号をフィルタ処理する可変フィルタである。フィルタ定数は、フィルタ定数設定部40としての機能を有する操作設定表示部15を操作して設定することができる。このフィルタ定数は、フィルタ処理部38のフィルタ特性を決める定数であり、例えば、タップ数、フィルタ係数、あるいは、フィルタ次数などである。
【0043】
ゲート駆動回路部33は、演算制御部30からの制御信号に基づいて、各供給ホッパ5及び各計量ホッパ8の各排出用のゲート5a,8aの開閉を制御する。振動制御回路部34は、演算制御部30からの制御信号に基づいて、供給装置1、分散フィーダ2及び各リニアフィーダ14のそれぞれの振動動作を制御する。また、演算制御部30は、操作設定表示部15と相互に通信できるように接続されている。
【0044】
制御装置10は、演算制御部30がメモリ部31に記憶されている動作プログラムを実行することにより、組合せ秤全体の動作を制御する。
【0045】
組合せ秤では、多数の動作パラメータの設定が必要であり、その設定は作業者が、操作設定表示部15を操作することによって行う。設定された動作パラメータの値は、演算制御部30へ送られ、メモリ部31に記憶される。設定される動作パラメータには、フィルタ処理された重量信号から重量値を取得するタイミングを規定する安定時間、フィルタ処理部38のフィルタ定数、組合せ演算における目標値である目標組合せ重量及びそれに対する許容範囲、各フィーダ2,14の振動強度や駆動時間等がある。
【0046】
この実施形態では、当該組合せ秤を、例えば、現場に据付設置したような場合に、被計量物を当該組合せ秤に実際に供給しなくても、簡単な操作によって、組合せ秤を、模擬的に運転させることができるように、次のようにしている。
【0047】
すなわち、被計量物を組合せ秤に供給しない状態で、組合せ秤を模擬的に運転するモードであるダミー運転モードを、ダミー運転モード設定部41としての機能を有する操作設定表示部15を操作して設定する。更に、ダミー運転モードにおいて、各計量ホッパ8に仮想的に供給される被計量物の各重量値である各仮想重量値を、仮想重量値設定部42としての機能を有する操作設定表示部15を操作して設定する。この操作設定表示部15は、フィルタ処理された重量信号から重量値を取得するタイミングを規定する安定時間を設定する安定時間設定部43としての機能を有している。
【0048】
この実施形態では、後述のように、ダミー運転モードを実行して、予め設定されている安定時間が適切でないと判定されたときには、その旨を、操作設定表示部15に表示して作業者に報知するようにしている。すなわち、操作設定表示部15は、安定時間が適切でないときに、それを報知する安定時間報知部44としての機能を有する。なお、安定時間が適切でない旨の報知は、表示に限らず、音声出力、印字出力、その他であってもよい。
【0049】
図3は、このダミー運転モードの設定において、操作設定表示部15に表示される設定表示画面の一例を示す図である。
【0050】
ダミー運転モードは、被計量物を当該組合せ秤に実際に供給しなくても、組合せ秤を、模擬的に運転させるモードである。このダミー運転モードを実行する、すなわち、ダミー運転を行うためには、各計量ホッパ8に被計量物が供給されていない空の状態であっても、各計量ホッパ8に被計量物が仮想的に供給されているものとして、動作させる必要がある。このため、各計量ホッパ8に仮想的に供給されている被計量物の重量を、各仮想重量値として設定する。
【0051】
図3は、この仮想重量値の設定時における操作設定表示部15の設定表示画面例である。
【0052】
この
図3では、当該組合せ秤の14個の各計量ホッパ8に対応する各重量センサ9を示す「1」〜「14」の番号が、円周状に配置された円形の14個の番号表示領域16
1〜16
14に表示される。更に、各番号表示領域16
1〜16
14の外周側に、各番号表示領域16
1〜16
14にそれぞれ対応するようにブロック状の仮想重量値表示領域17
1〜17
14が表示され、これら仮想重量値表示領域17
1〜17
14に、設定された各仮想重量値がそれぞれ表示される。
【0053】
この例では、例えば、番号「1」の第1の計量ホッパ8には、仮想重量値として「25.4」gが設定され、番号「2」の第2の計量ホッパ8には、仮想重量値として「25.9」gが設定され、番号「3」の第3の計量ホッパ8には、仮想重量値として「26.0」gが設定され、以下同様に、番号「14」の第14の計量ホッパ8には、仮想重量値として「25.1」gが設定されている。
【0054】
この場合、例えば、番号「1」の第1の計量ホッパ8には、「25.4」gの被計量物が仮想的に供給されることになり、番号「2」の第2の計量ホッパ8には、「25.9」gの被計量物が仮想的に供給されることになり、番号「3」の第3の計量ホッパ8には、「26.0」gの被計量物が仮想的に供給されることになる。以下同様に、番号「14」の第14の計量ホッパ8には、「25.1」gの被計量物が仮想的に供給されることになる。
【0055】
この例の各仮想重量値の設定では、第1〜第14の各計量ホッパ8に供給すべき被計量物の重量値の平均値を、作業者が、操作設定表示部15を操作して設定する。これによって、演算制御部30では、自動的にその平均値をばらつかせて第1〜第14の各計量ホッパ8の各仮想重量値を算出して設定する。
【0056】
図4は、この仮想重量値の平均値の設定による各仮想重量値の自動設定を示す設定表示画面例である。
【0057】
この
図4では、第1〜第14の各計量ホッパ8に供給すべき被計量物の重量値の平均値として、作業者によって、例えば、「25.7」gが設定され、その値が、矩形の平均値表示領域18に表示される。演算制御部30では、設定された平均値をばらつかせて、第1〜第14の各計量ホッパ8に対応した各仮想重量値を自動的に算出する。算出した各仮想重量値を、各計量ホッパ8の番号「1」〜「14」と共に、14個の矩形の各表示領域19
1〜19
14にそれぞれ表示する。すなわち、この実施形態では、仮想重量値を直接設定するのではなく、各計量ホッパ8に供給すべき被計量物の重量値の平均値を設定することによって、間接的に各仮想重量値を設定することができる。
【0058】
なお、各計量ホッパ8に供給すべき被計量物の重量値の平均値、つまり、各計量ホッパ8へ供給すべき被計量物の目標重量値は、組合せ演算において、有効な組合せ数を多くして、組合せ精度を高めるために、次のようにして算出するのが好ましい。
【0059】
すなわち、計量ホッパ8の総数がn個の場合、nが奇数の時は、目標組合せ重量を、(n−1)/2、あるいは、(n+1)/2で割った重量値を、計量ホッパ8へ供給すべき被計量物の目標重量値とすればよい。nが偶数の時は、目標組合せ重量を、n/2で割った重量値を、計量ホッパ8へ供給すべき被計量物の目標重量値とすればよい。
【0060】
この実施形態では、計量ホッパ8の総数nが、14個であるので、目標組合せ重量を、7(=14/2)で除算した値を、各計量ホッパ8へ供給すべき目標重量値、つまり、各計量ホッパ8に供給すべき被計量物の重量値の平均値とすればよい。
【0061】
計量ホッパ8の総数nは、既知であるので、作業者が、ダミー運転モードを設定し、目標組合せ重量を設定することによって、演算制御部30では、その目標組合せ重量を、上記(n−1)/2、(n+1)/2、あるいは、n/2で除算して、各計量ホッパ8に供給すべき被計量物の重量値の平均値を算出し、この平均値を自動的にばらつかせて各仮想重量値を算出して設定するようにしてもよい。すなわち、仮想重量値は、直接設定しなくても、例えば、作業者が、ダミー運転モードを設定し、目標組合せ重量値を設定することによって、仮想重量値が自動的に算出されて、間接的に設定されるようにしてもよい。
【0062】
なお、この実施形態では、
図5の設定表示画面例に示すように、テンキーのウインドウ20を呼び出して各計量ホッパ8の仮想重量値を個別に直接設定することもできる。
【0063】
ダミー運転モードでは、各計量ホッパ8に被計量物が供給されていない空の状態であっても、上記のようにして設定された各仮想重量値の被計量物が各計量ホッパ8に供給されているとして模擬的な運転を行うものである。
【0064】
この実施形態では、ダミー運転モードでは、被計量物の重量値を、次のようにして算出している。
【0065】
すなわち、各計量ホッパ8に供給されている被計量物の重量値を算出する際に用いられる初期の各零点補正値(零点校正値)を、設定された各仮想重量値でそれぞれ修正し、修正した各修正零点補正値を用いて被計量物の重量値を算出するようにしている。
【0066】
通常、初期の零点調整では、計量ホッパ8に被計量物が供給されていない空の状態で、重量センサ9の重量信号から取得された重量値から、風袋重量(計量ホッパ8自体の重量と計量ホッパ8を支持する支持部材等の重量とを加算した重量)を差し引いた重量値が、零となるように風袋重量が決定され、この風袋重量が、初期の零点補正値(零点校正値)とされる。
【0067】
零点調整後の被計量物の計量の際には、重量センサ9の重量信号から取得される重量値から、風袋重量である初期の零点補正値を減算し、重量値を算出するための変換係数であるスパン係数Kを乗算することによって、計量ホッパ8に供給されている被計量物の重量値を算出する。
【0068】
したがって、計量ホッパ8に被計量物が供給されていない空の状態では、計量ホッパ8に対応する重量センサ9の重量信号から取得された重量値から、風袋重量である初期の零点補正値を減算することになるので、計量ホッパ8の被計量物の重量値として、「0」gが算出される。
【0069】
この実施形態では、ダミー運転モードでは、初期の零点補正値を、設定された仮想重量値で修正して修正零点補正値を算出する。この修正零点補正値は、計量ホッパ8に被計量物が供給されていない空の状態で、計量ホッパ8の被計量物の重量値として、仮想重量値が算出されるように、初期の零点補正値を修正した値である。
【0070】
例えば、初期の零点調整において、計量ホッパ8に被計量物が供給されていない空の状態で、計量ホッパ8に対応する重量センサ9の重量信号から取得される重量値が、100gであるとすると、この100gが、計量ホッパ8自体の重量と計量ホッパ8を支持する支持部材の重量等とを加えた風袋重量であり、この100gを初期の零点補正値(Wzi)として記憶する。
【0071】
零点調整後の被計量物の計量では、重量センサ9の重量信号から取得される重量値(Wm)から、初期の零点補正値(Wzi)を減算し、重量値を算出するための変換係数であるスパン係数Kを乗算して被計量物の重量値Wnを下記のように算出する。
【0072】
Wn=K・(Wm−Wzi)
ここで、理解を容易にするために、スパン係数K=1とし、例えば、重量センサ9の重量信号から取得される重量値(Wm)が、125gであれば、この125gから初期の零点補正値(Wzi)である100gを減算して被計量物の重量値(Wn)25gが下記のように算出される。
【0073】
Wn=Wm−Wzi=125−100=25
この実施形態では、計量ホッパ8に被計量物が供給されていない空の状態で、被計量物の重量値(Wn)として、仮想重量値(Ws)が算出されるように、初期の零点補正値(Wzi)を修正する。
【0074】
例えば、初期の零点補正値(Wzi)が上記のように100gであって、設定される仮想重量値(Ws)が25.5gであるとすると、修正零点補正値(Wzir)は、下記式が成立するように算出される。
【0075】
25.5=100−Wzir
したがって、修正零点補正値(Wzir)は、
Wzir=100−25.5=74.5
すなわち、修正零点補正値(Wzir)として、初期の零点補正値(Wzi)100gを修正した74.5gが算出される。
【0076】
したがって、計量ホッパ8の被計量物の重量値(Wn)は、重量センサ9の重量信号から取得された重量値(Wm)から、修正零点補正値Wzirを減算して下記のように算出する。
【0077】
Wn=Wm−Wzir
計量ホッパ8に被計量物が供給されていない空の状態で、計量ホッパ8に対応する重量センサ9の重量信号から取得される重量値(Wm)が、上記のように初期の零点補正値、すなわち、風袋重量である100gであるとする。この重量値(Wm)から修正零点補正値(Wzir)である74.5gを減算して、被計量物の重量値(Wn)を算出すると、下記のように仮想重量値(Ws)である25.5gが算出される。
【0078】
Wn=Wm−Wzir=100−74.5=25.5=Ws
このようにして、ダミー運転では、計量ホッパ8に被計量物が供給されていない空の状態であっても、計量ホッパ8の被計量物の重量として、仮想重量値が算出される。
【0079】
以上のように初期の零点補正値を、仮想重量値に応じて修正する、すなわち、重量値を算出する基準である零点を、仮想重量値に対応するようにずらすことで、計量ホッパ8に被計量物が供給されていない空の状態であっても、仮想重量値の被計量物が供給されているとして動作させることが可能となる。
【0080】
組合せ秤では、被計量物を実際に供給する稼働運転中に、計量ホッパ8に被計量物が付着したりして零点が変動し、同じ重量の被計量物が供給されても、計測される重量値は変化することになる。このため、組合せ秤には、稼働運転中に、定期的に零点補正値を更新する零点調整を自動的に行う機能があるが、仮想重量値を算出するダミー運転モードでは、かかる自動零点調整の機能は、無効とされる。したがって、ダミー運転モードでは、更新された零点補正値ではなく、稼働運転前の初期の零点補正値を、仮想重量値で修正した修正零点補正値のままとされ、更新されない。
【0081】
ダミー運転が開始されると、計量ホッパ8が空の状態であっても、計量ホッパ8に仮想重量値の被計量物が供給されているとして、動作することになる。
【0082】
具体的には、上記のように仮想重量値を設定した後、操作設定表示部15を操作してダミー運転の開始を指令すると、演算制御部30は、各計量ホッパ8に対応する各重量センサ9の重量信号から取得される各重量値を、修正零点補正値によって補正して被計量物の各重量値を算出し、算出した被計量物の各重量値を用いて組合せ演算を行い、適量組合せを選択する。
【0083】
演算制御部30は、ダミー運転においては、包装機13から排出要求信号の入力の有無に関らず、ダミー運転における一定時間間隔の被計量物の排出タイミングになると、適量組合せとして選択した計量ホッパ8から被計量物を排出するために排出用のゲート8aを開閉する。その後、演算制御部30は、ゲート8aを開閉した計量ホッパ8に被計量物を仮想的に供給するために、対応する供給ホッパ5の排出用のゲート5aを開閉する。更に、演算制御部30は、ゲート5aを開閉した供給ホッパ5に被計量物を仮想的に供給するために、対応するリニアフィーダ14を設定時間に亘って駆動し、更に、リニアフィーダ14に被計量物を仮想的に供給するために分散フィーダ2を設定時間に亘って駆動するという、計量サイクルを繰り返す。かかる計量サイクルは、被計量物が供給される通常の稼働運転時と基本的に同様である。
【0084】
なお、通常の稼働運転時には、適量組合せに選択されないために、被計量物が計量ホッパ8から排出されないで、長時間計量ホッパ8内に滞留する滞留ホッパが生じないように、滞留防止処理を行っているが、ダミー運転時においても、この滞留防止処理を行っている。
【0085】
この滞留防止処理では、所定回数連続して適量組合せに選択されない計量ホッパ8を検出した際には、当該計量ホッパ8を強制的に適量組合せに含める組合せ演算を行うものであり、これによって、全ての計量ホッパ8が適量組合せに選択される。
【0086】
以上のようにして、本実施形態によれば、組合せ秤の現場への据付設置時などにおいて、操作設定表示部15を操作して、ダミー運転モードを設定すると共に、各計量ホッパ8に対応する各仮想重量値を設定してダミー運転を実行することによって、被計量物を組合せ秤に供給しない状態で、模擬的な運転を行って各部が正常に動作するかを確認することが可能となる。
【0087】
なお、被計量物を組合せ秤に供給することなく、例えば、各計量ホッパ8に、被計量物の重量に相当する分銅等を、計量ホッパ8の排出ゲート8aが開いても排出されないようにそれぞれ取付けて、模擬的な運転を行うことが考えられる。
【0088】
しかしながら、各計量ホッパ8に対応する各分銅等を準備し、計量ホッパ8から排出されないように各計量ホッパ8に各分銅等をそれぞれ取付けて模擬的な運転を行い、運転終了後に、各分銅等を計量ホッパ8から取外して管理するのは面倒である。
【0089】
これに対して、本実施形態によれば、ダミー運転モード及び仮想重量値などの簡単な設定操作によって、組合せ秤に被計量物を供給することなく、模擬的な運転を行うことが可能となる。したがって、組合せ秤を模擬的に運転するために、複数の分銅等を準備して各計量ホッパに分銅等をそれぞれ取付けたり、模擬的な運転の終了後に、各分銅等を各計量ホッパから取外して管理するといった面倒な作業が不要となる。
【0090】
このダミー運転時に、予め設定されている動作パラメータが適切であるか否かを把握できれば、便利である。
【0091】
特に、据付設置した現場における床振動などの外部信号が、振動成分として重量信号に重畳されるので、重量信号から重量値を取得するタイミングを規定する安定時間などの動作パラメータは、現場に据付設置した時点でその適否を把握できるのが望ましい。
【0092】
そこで、この実施形態では、模擬的な運転であるダミー運転モードの実行中に、予め設定されている動作パラメータである、安定時間が適切であるか否かを判定できるようにしている。
【0093】
安定時間は、供給ホッパ5の排出用のゲート5aが開閉するタイミングを起点、例えば、供給ホッパ5の排出用のゲート5aが開くタイミングを起点として、計量ホッパ8に対応する重量センサ9からの重量信号が安定して重量値を取得できるタイミングまでの時間である。この重量信号は、A/D変換回路部32でA/D変換され、フィルタ処理部38でフィルタ処理された重量信号である。
【0094】
安定時間が経過した後、フィルタ処理された重量信号から重量値を取得し、上記のように修正零点補正値を用いて被計量物の重量値を算出する。
【0095】
ダミー運転では、被計量物が実際には計量ホッパ8に供給されないので、被計量物の供給に伴なう振動はないが、組合せ演算によって適量組合せに選択された計量ホッパ8の排出用のゲート8aなどが開閉することなどによる振動が生じる。
【0096】
図6は、安定時間を説明するためのダミー運転における動作の一例を示すタイミングチャートである。同図(a)はリニアフィーダ14の駆動状態を、同図(b)は供給ホッパ5の排出用のゲート5aの開閉状態を、同図(c)は計量ホッパ8の排出用のゲート8aの開閉状態を、同図(d)は重量センサ9からの重量信号を、それぞれ示している。
【0097】
この
図6(b)に示すように、供給ホッパ5の排出用のゲート5aの開き始めのタイミングt1を起点として、安定した重量値を取得できるタイミングまでの安定時間Tsが設定される。
【0098】
なお、この
図6に示すように、ダミー運転においては、上記のように、適量組合せとして選択した計量ホッパ8から被計量物を仮想的に排出するために排出用のゲート8aを、
図6(c)に示すように開閉し、その後、ゲート8aを開閉した計量ホッパ8に被計量物を仮想的に供給するために、対応する供給ホッパ5の排出用のゲート5aを、
図6(b)に示すように開閉し、更に、ゲート5aを開閉した供給ホッパ5に被計量物を仮想的に供給するために、対応するリニアフィーダ14を、
図6(a)に示すように、設定時間に亘って駆動する。
【0099】
この実施形態では、操作設定表示部15を操作して、安定時間の適否を判定するモードを指定することによって、安定時間判定部としての機能を有する演算制御部30は、ダミー運転の実行時に、予め設定されている安定時間Tsが適切であるか否かの判定を次のようにして行う。
【0100】
予め設定されている安定時間Tsが適切であれば、その安定時間Tsが経過した時点では、フィルタ処理された重量信号の振動は十分に減衰し、安定している。したがって、安定時間Tsが経過した時点で、フィルタ処理されて安定した状態の重量信号から取得され、修正零点補正値で補正されて算出される被計量物の重量値は、設定された仮想重量値と略一致することになる。
【0101】
予め設定されている安定時間Tsが適切でなければ、すなわち、短ければ、その安定時間Tsが経過した時点では、フィルタ処理された重量信号の振動は十分に減衰しておらず、変動している。したがって、安定時間Tsが経過した時点で、フィルタ処理された重量信号から取得され、修正零点補正値で補正されて算出される被計量物の重量値は、変動する。
【0102】
この実施形態では、フィルタ処理部38でフィルタ処理された重量信号を、予め設定されている安定時間Tsが経過した後に、所定のサンプリング間隔でサンプリングして取得された重量値を、修正零点補正値で補正して算出される被計量物の重量値と、対応する仮想重量値との差を算出する。算出した差が、許容重量範囲内にあれば、安定時間Tsが経過した時点の重量信号が安定している。したがって、予め設定されている安定時間Tsは、適切であると判定する。前記算出した差が、許容重量範囲外であるときには、安定時間Tsが経過した時点の重量信号は十分に減衰しておらず、変動している。したがって、予め設定されている安定時間Tsは、適切でないと判定する。予め設定されている安定時間Tsが、適切でないと判定されたときには、操作設定表示部15に、安定時間が適切でない旨表示されて作業者に報知される。
【0103】
床振動などの外部信号が振動成分として重量信号に重畳される組合せ秤の据付現場において、組合せ秤のダミー運転を行って、予め設定した安定時間が適切であるか否かを判定するので、現場における床振動などの状況を加味して安定時間が適切であるか否かを容易に判定することができる。
【0104】
また、予め設定されている安定時間が適切でない判定されたときには、操作設定表示部15に、その旨が表示されるので、作業者は、適切な安定時間となるように再設定することができる。安定時間の設定は、従来と同様に行われる。
【0105】
なお、安定時間Tsが適切であるか否かは、次のようにして判定してもよい。すなわち、フィルタ処理部38でフィルタ処理された重量信号を、予め設定されている安定時間Tsが経過した後に、所定のサンプリング間隔でサンプリングして複数の各重量値を取得する。取得した複数の各重量値を、修正零点補正値でそれぞれ補正して被計量物の複数の各重量値を算出し、更に、その平均値を算出する。算出した被計量物の重量値の平均値が、仮想重量値を中心とした所定の重量範囲内にあるか否かによって、安定時間Tsが適切であるか否かを判定する。
【0106】
ダミー運転においては、被計量物が実際には計量ホッパ8に供給されないので、被計量物の供給に伴なう振動は生じない。このため、予め設定されている安定時間Tsそのものの適否を判定するのではなく、予め設定されている安定時間Tsを、被計量物の供給に伴なう振動がない時間分だけ短くし、この短くした安定時間の適否を判定するようにしてもよい。この被計量物の供給に伴なう振動がない時間分は、操作設定表示部15を操作して設定すればよい。
【0107】
次に、本実施形態のダミー運転の動作を、フローチャートに基づいて説明する。
【0108】
図7は、ダミー運転モードの全体の処理の概略を示すフローチャートである。
【0109】
先ず、作業者による操作設定表示部15の操作に応じた初期設定が行われ(ステップS100)、操作設定表示部15の運転スイッチがONされると(ステップS101)、ダミー運転が開始される。制御装置10の演算制御部30は、分散フィーダ2及びリニアフィーダ14を含む分散部を制御する(ステップS102)。この分散部の制御では、排出用のゲート5aを開閉した空の供給ホッパ5に対応するリニアフィーダ14のフィーダパン6を振動させて、フィーダパン6上の仮想の被計量物を、当該空の供給ホッパ5に仮想的に供給する。更に、分散フィーダ2のトップコーン3を振動させて、トップコーン3上の仮想の被計量物を周囲へ分散させてフィーダパン6に仮想的に供給する。
【0110】
次に、演算制御部30は、供給ホッパ5の排出用のゲート5aを制御し、排出用のゲート8aを開閉した空の計量ホッパ8に対応する供給ホッパ5の排出用のゲート5aを開放して、仮想の被計量物を当該空の計量ホッパ8へ供給する(ステップS103)。
【0111】
次に、演算制御部30は、後述のように計量部の制御を行い、供給ホッパ5の排出用のゲート5aの開閉によって空の計量ホッパ8に仮想の被計量物が供給されたとして、対応する重量センサ9によって、前記計量ホッパ8に供給された仮想の被計量物の重量を計量する。すなわち、前記重量センサ9の重量信号から重量値を取得し、修正零点補正値で補正して被計量物の重量値を算出する(ステップS104)。
【0112】
次に、演算制御部30は、適量組合せの計量ホッパ8の被計量物を排出するダミー排出タイミングであるか否かを判断し(ステップS105)、ダミー排出タイミングでないときには、ダミー排出タイミングを計測するための内蔵のダミー排出タイミングタイマーの計測値を1つ減算してステップS108に移る(ステップS110)。
【0113】
ステップS105において、ダミー排出タイミングであるときには、演算制御部30は、後述のように計量ホッパ8に供給されている仮想の被計量物の重量に基づいて、組合せ演算を行う(ステップS106)。この組合せ演算では、仮想の被計量物の重量を種々組合せた合計重量である組合せ重量が、目標組合せ重量に等しいか、あるいは、目標組合せ重量よりも重く、かつ、目標組合せ重量に最も近い重量の計量ホッパ8の組合せである適量組合せを選択し、ステップS107に移る。
【0114】
ステップS107では、演算制御部30は、次回のダミー排出タイミングを計測するために、ダミー排出タイミングタイマーをセットして計測を開始し、ステップS108に移る。
【0115】
ステップS108では、演算制御部30は、後述のように計量ホッパ制御を行い、組合せ演算で選択された適量組合せの計量ホッパ8の排出用のゲート8aを開放して仮想の被計量物を排出し、ステップS109に移る。
【0116】
ステップS109では、運転スイッチがOFFされたか否かを判断し、OFFされていないときには、ステップS102に戻り、OFFされたときには、ダミー運転を終了する。
【0117】
図8は、
図7の上記ステップS100の初期設定プログラムの処理を示すフローチャートである。
【0118】
先ず、作業者が、操作設定表示部15を操作して安定時間を設定し(ステップS200)、更に、フィルタ定数を設定する(ステップS201)。この安定時間及びフィルタ定数の設定は、従来と同様に行われる。
【0119】
次に、各計量ホッパ8に各仮想重量値を設定し(ステップS202)、演算制御部30は、全計量ホッパ8について零点調整を行い、各計量ホッパ8の初期の零点補正値を求め(ステップS203)、更に、求めた初期の零点補正値と設定された仮想重量値とに基づいて、修正零点補正値を算出して記憶する(ステップS204)。
【0120】
図9は、
図7の上記ステップS102の分散部制御プログラムの処理を示すフローチャートである。
【0121】
先ず、演算制御部30は、複数のリニアフィーダ14の最初のリニアフィーダ14を特定するための番号kを、初期値「1」に設定し(ステップS300)、このリニアフィーダ14(k)について、駆動中であることを示す駆動中フラグが「ON」しているか否かを判断する(ステップS301)。駆動中フラグが「ON」しているときには、リニアフィーダ14(k)は駆動中であるので、演算制御部30は、リニアフィーダ14(k)の駆動時間を計測するためのリニアフィーダ14(k)に対応する内蔵の駆動時間計測タイマ−の計測値を1つ減算してステップS303に移る(ステップS302)。この
図9の処理は、一定時間毎に実行されるものであり、駆動時間計測タイマ−の計測値を一つ減算することによって、リニアフィーダ14(k)の駆動時間を計測する。
【0122】
ステップS303では、リニアフィーダ14(k)の駆動時間計測タイマ−が「0」になったか否か、すなわち、駆動時間計測タイマ−がタイムアップしてリニアフィーダ14(k)の駆動時間が終了したか否かを判断する。
【0123】
ステップS303において、リニアフィーダ14(k)の駆動時間計測タイマーが「0」になったときには、演算制御部30は、リニアフィーダ14(k)の駆動を停止し(ステップS304)、リニアフィーダ14(k)についての駆動中フラグを「OFF」してステップS306に移る(ステップS305)。ステップS303において、リニアフィーダ14(k)の駆動時間計測タイマーが「0」になっていないときには、ステップS306に移る。
【0124】
ステップS306では、リニアフィーダ14を特定する番号kに「1」を加算し、番号kが「n+1」になったか否か、すなわち、全てのリニアフィーダ14について処理したか否かを判断し(ステップS307)、「n+1」になっていないときには、ステップS301に戻って次のリニアフィーダ14について同様に処理する。ステップS307において、番号kが「n+1」になったときには、全てのリニアフィーダ14のうちのいずれかのリニアフィーダ14が駆動中であるか否かを判断し(ステップS308)、いずれかのリニアフィーダ14が駆動中であるときには、分散フィーダ2を「ON」して分散フィーダ2の駆動を開始し、あるいは、分散フィーダ2の駆動を継続し、終了する(ステップS309)。ステップS308において、いずれのリニアフィーダ14も駆動中でないときには、分散フィーダ2を「OFF」して分散フィーダ2の駆動を停止して終了する(ステップS310)。
【0125】
上記ステップS301において、リニアフィーダ14(k)についての駆動中フラグが「ON」でないときには、演算制御部30は、リニアフィーダ14(k)の駆動を開始するためのリニアフィーダ14(k)についての駆動命令フラグが「ON」であるか否かを判断する(ステップS311)。演算制御部30は、リニアフィーダ14(k)についての駆動命令フラグが「ON」であるときには、リニアフィーダ14(k)が駆動中であることを示すリニアフィーダ14(k)の駆動中フラグを「ON」し(ステップS312)、リニアフィーダ14(k)の駆動時間を計測するための駆動時間計測タイマーをセットして駆動時間の計測を開始し(ステップS313)、リニアフィーダ14(k)を「ON」してリニアフィーダ14(k)の駆動を開始する(ステップS314)。更に、リニアフィーダ14(k)の駆動命令フラグを「OFF」してステップS306に移る(ステップS315)。
【0126】
図10は、
図7の上記ステップS103の供給ホッパ制御プログラムの処理を示すフローチャートである。
【0127】
先ず、演算制御部30は、複数の供給ホッパ5の最初の供給ホッパ5を特定するための番号kを、初期値「1」に設定し(ステップS400)、供給ホッパ5(k)についての排出用のゲート5aの開閉動作を行うべきことを示す排出ゲート開閉フラグが「ON」しているか否かを判断し(ステップS401)、「ON」しているときには、供給ホッパ5(k)の排出用のゲート5aの開閉動作制御を行い(ステップS402)、供給ホッパ5(k)の排出用のゲート5aの開閉動作が完了したか否かを判断し(ステップS403)、開閉動作が完了したときには、供給ホッパ5(k)についての排出ゲート開閉フラグを「OFF」し(ステップS404)、ステップS405に移る。
【0128】
供給ホッパ5(k)は、排出用のゲート5a(k)を開閉して仮想の被計量物を排出したので、新たな被計量物が仮想的に供給されるように、ステップS405では、供給ホッパ5(k)に対応するリニアフィーダ14(k)の駆動命令フラグを「ON」し、計量ホッパ8(k)について、安定時間の計測を開始するための安定スタートフラグを「ON」して、ステップS407に移る(ステップS406)。ステップS403において、供給ホッパ5(k)の排出用ゲート5aの開閉動作が完了していないときには、ステップS407に移る。
【0129】
上記ステップS401において、供給ホッパ5(k)の排出ゲート開閉フラグが「ON」していないときには、演算制御部30は、供給ホッパ5(k)についての排出ゲート開閉命令フラグが「ON」であるか否かを判断する(ステップS409)。供給ホッパ5(k)についての排出ゲート開閉命令フラグが「ON」であるときには、供給ホッパ5(k)の排出用のゲート5aの開閉動作を行うべきことを示す排出ゲート開閉フラグを「ON」し(ステップS410)、供給ホッパ5(k)についての排出ゲート開閉命令フラグを「OFF」して、ステップS407に移る(ステップS411)。
【0130】
ステップS407では、供給ホッパ5を特定する番号kに「1」を加算し、番号kが「n+1」になったか否か、すなわち、全ての供給ホッパ5について処理したか否かを判断し(ステップS408)、「n+1」になっていないときには、ステップS401に戻って次の供給ホッパ5について同様に処理する。ステップS408において、番号kが「n+1」になったときには、終了する。
【0131】
図11は、
図7の上記ステップS104の計量部制御プログラムの処理を示すフローチャートであって、安定時間の適否を判定する処理を含むフローチャートである。
【0132】
先ず、演算制御部30は、複数の計量ホッパ8の最初の計量ホッパ8を特定するための番号kを、初期値「1」に設定し(ステップS500)、計量ホッパ8(k)に対応する重量センサ9の重量信号から重量値を読み込み(ステップS501)、計量ホッパ8(k)の重量センサ9からの重量信号のフィルタ処理を行う(ステップS502)。演算制御部30は、計量ホッパ8(k)について、安定時間の計測の開始を示す安定スタートフラグが「ON」しているか否かを判断する(ステップS503)。演算制御部30は、安定スタートフラグが「ON」しているときには、安定時間を計測するために、計量ホッパ8(k)に対応する内蔵の安定時間計測タイマーをセットして安定時間の計測を開始し(ステップS504)、計量ホッパ8(k)について安定時間の計測中であることを示す安定中フラグを「ON」し(ステップS505)、計量ホッパ8(k)の安定スタートフラグを「OFF」してステップS507に移る(ステップS506)。
【0133】
上記ステップS503において、計量ホッパ8(k)の安定スタートフラグが「ON」していないときには、安定時間の計測中であることを示す計量ホッパ8(k)の安定中フラグが「ON」しているか否かを判断し(ステップS509)、安定中フラグが「ON」しているときには、演算制御部30は、計量ホッパ8(k)に対応する安定時間計測タイマーの計測値を1つ減算し(ステップS510)、ステップS511に移る。この
図11の処理は、一定時間毎に実行されるものであり、安定時間計測タイマ−の計測値を一つ減算することによって、計量ホッパ8(k)の安定時間を計測する。
【0134】
ステップS511では、計量ホッパ8(k)の安定時間計測タイマーが「0」になったか否か、すなわち、安定時間計測タイマーがタイムアップし、安定時間が経過したか否かを判断する。
【0135】
ステップS511において、計量ホッパ8(k)の安定時間計測タイマーが「0」になったときには、安定時間が経過したので、計量ホッパ8(k)についての安定中フラグを「OFF」し(ステップS512)、フィルタ処理した重量信号から取得した計量ホッパ8(k)の重量値を、修正零点補正値によって補正して被計量物の重量を算出し(ステップS513)、計量ホッパ8(k)の計量完了フラグを「ON」し(ステップS514)、算出した計量ホッパ8(k)の被計量物の重量値から、計量ホッパ8(k)に対応する仮想重量値を減算して差εを算出し(ステップS515)、この差εが許容範囲内であるか否かを判断し(ステップS516)、許容範囲内であるときには、安定時間の設定は適切であるとして、ステップS507に移る。差εが許容範囲内でないときには、安定時間の設定は適切でないとして警報を、操作設定表示部15に表示してステップS507に移る(ステップS517)。
【0136】
ステップS507では、計量ホッパ8を特定する番号kに「1」を加算し、番号kが「n+1」になったか否か、すなわち、全ての計量ホッパ8について処理したか否かを判断し(ステップS508)、「n+1」になっていないときには、ステップS501に戻って次の計量ホッパ8について同様に処理する。ステップS508において、番号kが「n+1」になったときには、終了する。
【0137】
図12は、
図7の上記ステップS106の組合せ演算プログラムの処理を示すフローチャートである。
【0138】
先ず、計量完了の計量ホッパ8において、所定回数以上連続して適量組合せに選択されていない計量ホッパ8を優先して、目標組合せ重量に最も近い適量組合せを探し(ステップS600)、組合せに選ばれた計量ホッパ8について、被計量物を排出すべきことを示す組合せ排出フラグを「ON」にして終了する(ステップS601)。
【0139】
図13は、
図7の上記ステップS108の計量ホッパ制御プログラムの処理を示すフローチャートである。
【0140】
先ず、演算制御部30は、複数の計量ホッパ8の最初の計量ホッパ8を特定するための番号kを、初期値「1」に設定し(ステップS700)、計量ホッパ8(k)の排出用のゲート8aの開閉動作を行うべきことを示す排出ゲート開閉フラグが「ON」しているか否かを判断する(ステップS701)。ステップS701において、計量ホッパ8(k)の排出ゲート開閉フラグが「ON」しているときには、演算制御部30は、計量ホッパ8(k)の排出用のゲート8aの開閉動作制御を行い(ステップS702)、計量ホッパ8(k)の排出用のゲート8aの開閉動作が完了したか否かを判断し(ステップS703)、計量ホッパ8(k)の排出用のゲート8aの開閉動作が完了したときには、ステップS704に移り、排出ゲート8aの開閉動作が完了していないときには、ステップS706に移る。
【0141】
ステップS704では、演算制御部30は、計量ホッパ8(k)の排出ゲート開閉フラグを「OFF」し、計量ホッパ8(k)の排出ゲート8aを開閉して仮想の被計量物を排出したので、新たな被計量物が仮想的に供給されるように、計量ホッパ8(k)に対応する供給ホッパ5(k)の排出ゲート開閉命令フラグを「ON」してステップS706に移る(ステップS705)。
【0142】
上記ステップS701において、計量ホッパ8(k)の排出ゲート開閉フラグが「ON」していないときには、計量ホッパ8(k)の組合せ排出フラグが「ON」しているか否かを判断する(ステップS708)。組合せ排出フラグが「ON」しているときには、計量ホッパ8(k)の排出ゲート開閉フラグをONし(ステップS709)、計量ホッパ8(k)の組合せ排出フラグを「OFF」し(ステップS710)、計量ホッパ8(k)の計量完了フラグを「OFF」してステップS706に移る(ステップS711)。
【0143】
上記ステップS708で組合せ排出フラグが「ON」していないときには、ステップS706に移る。
【0144】
ステップS706では、計量ホッパ8を特定する番号kに「1」を加算し、番号kが「n+1」になったか否か、すなわち、全ての計量ホッパ8について処理したか否かを判断し(ステップS707)、「n+1」になっていないときには、ステップS701に戻って次の計量ホッパ8について同様に処理する。ステップS707において、番号kが「n+1」になったときには、終了する。
【0145】
上記実施形態では、予め設定されている安定時間が適切であるか否かを組合せ秤が自動的に判定したけれども、本発明の他の実施形態として、ダミー運転モードにおいて、フィルタ処理された重量信号の波形を、予め設定されている安定時間のタイミングを示すカーソル等と共に、操作設定表示部15に表示し、作業者が、この表示に基づいて、予め設定されている安定時間が経過するまでに、重量信号の振動が減衰しているか否かを目視で確認し、予め設定されている安定時間が適切であるか否かを判定してもよい。
【0146】
(第2の実施形態)
組合せ秤では、据付設置される現場の床振動などの外部振動が各重量信号に振動成分として重畳されるので、この振動成分をフィルタ処理部38で除去している。
【0147】
フィルタ処理部38は、そのフィルタ特性(カットオフ(しゃ断)周波数,減衰特性)が、フィルタ定数の設定によって決定され、重量信号に重畳される振動成分に応じたフィルタ特性のフィルタが要求される。
【0148】
しかし、重量信号の振動成分は、設置条件等によって変化するため、予め設定されているフィルタ定数が、組合せ秤を据付設置した現場に適したものであるか否かを判定する必要がある。
【0149】
そこで、本発明の他の実施形態では、ダミー運転モードにおいて、予め設定されているフィルタ定数が適切であるか否かを判定できるようにしている。
【0150】
図14は、予め設定されているフィルタ定数が適切であるか否かを判定する本発明の他の実施形態の
図2に対応するブロック図であり、
図2に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0151】
この実施形態では、演算制御部30aは、操作設定表部15aを操作して設定されたフィルタ処理部38のフィルタ定数を、後述のように変更するフィルタ定数変更部45としての機能を有すると共に、フィルタ処理部38でフィルタ処理された重量信号に基づいて、設定されたフィルタ定数が適切であるか否かを判定するフィルタ定数判定部46としての機能を有している。
【0152】
フィルタ定数が適切であれば、フィルタ処理された重量信号が安定するまでの経過時間が短くなる。この実施形態では、予め設定されているフィルタ定数に対応するフィルタ特性でフィルタ処理された重量信号が安定するまでの経過時間と、フィルタ定数を、応答時間が長くなる方向及び応答時間が短くなる方向にそれぞれ変更し、変更した各フィルタ定数に対応するフィルタ特性でそれぞれフィルタ処理された各重量信号が安定するまでの各経過時間とに基づいて、フィルタ定数が適切であるか否かを判定する。
【0153】
操作設定表示部15aは、演算制御部30aのフィルタ定数判定部46によって、設定されているフィルタ定数が適切でないと判定されたときに、その旨を表示して作業者に報知するフィルタ定数報知部47としての機能を有している。
【0154】
演算制御部30aは、次のようにして予め設定されているフィルタ定数が適切であるか否かを判定するようにしている。
【0155】
演算制御部30aのフィルタ処理部38は、フィルタ定数設定部としての操作設定表示部15によって設定されるフィルタ定数に応じたフィルタ特性に調整される可変フィルタである。このフィルタ処理部38は、操作設定表示部15を操作してフィルタ定数を複数段階で変更設定できるものであり、この設定に応じてフィルタ特性が自動的に調整される。
【0156】
演算制御部30aは、ダミー運転の実行中に、予め設定されているフィルタ定数のフィルタ特性に調整してフィルタ処理した重量信号が、安定するまでの第1の経過時間を計測する。次に、予め設定されているフィルタ定数を、応答時間が長くなる方向に1段階変更したフィルタ特性に自動的に調整し、このフィルタ特性でフィルタ処理した重量信号が安定するまでの第2の経過時間を計測する。更に、予め設定されているフィルタ定数を、応答時間が短くなる方向に1段階変更したフィルタ特性に自動的に調整し、このフィルタ特性でフィルタ処理した重量信号が安定するまでの第3の経過時間を計測する。
【0157】
これら第1〜第3の各経過時間は、例えば、上記の安定時間と同様に、供給ホッパ5の排出用のゲート5aが開いたタイミングを起点として計測する。
【0158】
重量信号が安定したか否かの判定は、例えば、重量信号を一定のサンプリング間隔でサンプリングした最新の複数のサンプリング信号のばらつき幅が、所定のばらつき幅内に収まったときに、重量信号が安定したと判定する。
【0159】
計測された予め設定されているフィルタ定数に対応する第1の経過時間が、予め設定されているフィルタ定数よりも応答時間が長くなる方向へフィルタ定数を1段階変更したフィルタ定数に対応する第2の経過時間以下であって、かつ、予め設定されているフィルタ定数よりも応答時間が短くなる方向へフィルタ定数を1段階変更したフィルタ定数に対応する第3の経過時間以下であるときには、予め設定されているフィルタ定数は、適切であると判定する。
【0160】
計測された予め設定されているフィルタ定数に対応する第1の経過時間が、予め設定されているフィルタ定数よりも応答時間が長くなる方向へフィルタ定数を1段階変更したフィルタ定数に対応する第2の経過時間より長い、あるいは、予め設定されているフィルタ定数よりも応答時間が短くなる方向へフィルタ定数を1段階変更したフィルタ定数に対応する第3の経過時間より長いときには、予め設定されているフィルタ定数は、適切でないと判定する。
【0161】
すなわち、予め設定されているフィルタ定数に対応するフィルタ特性でフィルタ処理された計量信号が安定するまでの第1の経過時間が、第2,第3の各経過時間以下と短いときに、予め設定されているフィルタ定数が適切であると判定するものである。
【0162】
予め設定されているフィルタ定数が、適切でないと判定されたときには、操作設定表示部15に、フィルタ定数が適切でない旨表示されて作業者に報知される。
【0163】
その他の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
【0164】
上記実施形態では、予め設定されているフィルタ定数が適切であるか否かを組合せ秤が自動的に判定したけれども、本発明の他の実施形態として、作業者が判定できるようにしてもよい。
【0165】
すなわち、作業者が、操作設定表示部15を操作して、フィルタ定数の適否を判定するモードを指定することによって、ダミー運転モードの実行時に、フィルタ処理された重量信号の信号波形を、安定時間が経過したタイミングと共に、操作設定表示部15に表示できるようにしてもよい。
【0166】
作業者は、操作設定表示部15に表示される重量信号の波形を見て、安定時間が経過する時点で、重量信号が、安定しているときには、設定されているフィルタ定数は適切であると判定し、重量信号が、安定してないときには、設定されているフィルタ定数は、適切でないと判定することができる。
【0167】
組合せ秤では、要求される計量速度を満足させるために、安定時間を長く設定できない場合があり、かかる場合には、フィルタ処理部38のフィルタ特性を可変して対応することが考えられる。
【0168】
この実施形態によれば、予め設定されている安定時間において、フィルタ処理部38のフィルタ定数が適切でないと判定されたときには、安定時間を変更することなく、フィルタ定数を変更設定することができる。
【0169】
以上のように本実施形態によれば、組合せ秤を、例えば、現場に据付設置した場合に、被計量物を当該組合せ秤に供給しない状態で、ダミー運転モードを実行することによって、予め設定したフィルタ定数が適切か否かを判定することができる。
【0170】
なお、ダミー運転モードは、組合せ秤の現場への据付設置時に限らず、例えば、稼働運転の開始前などに実行してもよい。
【解決手段】仮想重量値及びダミー運転モードを設定してダミー運転モードを実行することによって、各計量ホッパの被計量物の各重量値を算出する際の基準値である零点を、仮想重量値によって修正し、各計量ホッパに被計量物が供給されていない空の状態であっても、仮想重量値の被計量物が供給されているとして、組合せ秤を模擬的に運転する。