(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の部分データに属する超音波画像の少なくとも1つと、前記第2の部分データに属する超音波画像の少なくとも1つとを所定の表示部に表示するように制御する制御部、
を更に備える、請求項1に記載の超音波診断装置。
前記取得部は、前記被検体の関心領域における心壁の運動情報を定量化した定量化情報を前記第1の部分データ及び前記第2の部分データから算出し、各部分データから算出した定量化情報間の経時的な差異を前記差異情報として取得する、請求項5に記載の超音波診断装置。
前記選択部は、前記第1の部分データが選択される超音波画像群である第1のデータ群とは異なる時期に収集済みの前記被検体の超音波画像群である第2のデータ群から前記第2の部分データの選択処理を行なう、請求項1〜6のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記選択部は、前記第1の部分データが選択される超音波画像群である第1のデータ群とは異なる時期に収集される前記被検体の超音波画像群を第2のデータ群とし、第2のデータ群の収集中に検出された被検体の心拍数の検出結果から前記第2の部分データを選択して所定の記憶部に格納する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
前記選択部は、前記第2の部分データが選択されなかった場合、前記基準心拍数に最も近い心拍数を有する超音波画像群を、前記第2の部分データとして前記所定の記憶部に格納することを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を説明するための図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、出力装置2と、入力装置3と、心電計4と、装置本体10とを有する。
【0012】
超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。
【0013】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0014】
なお、第1の実施形態は、
図1に示す超音波プローブ1が、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである場合や、一列に配置された複数の圧電振動子が機械的に揺動される1次元超音波プローブである場合、複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである場合のいずれであっても適用可能である。2次元超音波プローブは、超音波を集束して送信することで、被検体Pを2次元で走査することが可能である。
【0015】
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボールなどを有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
【0016】
例えば、第1の実施形態に係る入力装置3は、心壁運動を解析するための超音波画像群の選択指定を操作者から受け付ける。また、第1の実施形態に係る入力装置3は、心壁運動を解析するために、超音波画像群から算出される心壁運動の定量化情報の種別の指定を操作者から受け付ける。なお、第1の実施形態に係る入力装置3が受け付ける各種指定内容については、後に詳述する。
【0017】
出力装置2は、モニタやスピーカなどを有する。出力装置2のモニタは、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像などを表示したりする。また、出力装置2のスピーカは、音声を出力する。例えば、出力装置2のスピーカは、装置本体10の処理状況を操作者に報知するために、ビープ音などの所定の音声を出力する。
【0018】
心電計4は、装置本体10と接続され、超音波走査が行なわれる被検体Pの心電図(ECG:Electrocardiogram)を取得する。心電計4は、取得した心電図を装置本体10に送信する。
【0019】
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、
図1に示すように、送受信部11と、Bモード処理部12と、ドプラ処理部13と、画像生成部14と、画像メモリ15と、内部記憶部16と、画像処理部17と、制御部18とを有する。
【0020】
送受信部11は、トリガ発生回路、送信遅延回路およびパルサ回路などを有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの送信遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0021】
なお、送受信部11は、後述する制御部18の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧などを瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0022】
また、送受信部11は、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、加算器などを有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路により受信遅延時間が与えられた反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0023】
このように、送受信部11は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。
【0024】
Bモード処理部12は、送受信部11から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0025】
ドプラ処理部13は、送受信部11から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0026】
画像生成部14は、Bモード処理部12及びドプラ処理部13が生成したデータから超音波画像を生成する。すなわち、画像生成部14は、Bモード処理部12が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像を生成する。また、画像生成部14は、ドプラ処理部13が生成したドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ画像を生成する。
【0027】
また、画像生成部14は、超音波画像に、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマークなどを合成した合成画像を生成することもできる。
【0028】
ここで、画像生成部14は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用画像としての超音波画像を生成する。また、画像生成部14は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)などを行なう。
【0029】
画像メモリ15は、画像生成部14が生成した超音波画像を記憶するメモリである。ここで、画像生成部14は、超音波画像と当該超音波画像を生成するために行なわれた超音波走査の時間とを、心電計4から送信された心電図に対応付けて画像メモリ15に格納する。すなわち、後述する画像処理部17は、画像メモリ15に格納されたデータを参照することで、超音波画像を生成するために行なわれた超音波走査時の心位相や心拍数(HR:Heart Rate)を取得することができる。
【0030】
また、画像メモリ15は、画像生成部14が生成した超音波画像に対応付けて、心電図の情報以外にも、患者ID、検査日、検査対象部位、ボディーマークなどといった種々の付帯情報も記憶する。また、画像メモリ15は、Bモード処理部12やドプラ処理部13が生成したデータを記憶することも可能である。なお、Bモード処理部12やドプラ処理部13が生成したデータは、生データとも呼ばれる。
【0031】
内部記憶部16は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルや各種ボディーマークなどの各種データを記憶する。また、内部記憶部16は、必要に応じて、画像メモリ15が記憶する画像の保管などにも使用される。また、内部記憶部16が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部の周辺装置へ転送することができる。
【0032】
画像処理部17は、画像メモリ15が記憶する超音波画像に対して各種画像処理を行なう処理部であり、
図1に示すように、選択部17a及び取得部17bを有する。なお、第1の実施形態に係る画像処理部17が行なう処理については、後に詳述する。
【0033】
制御部18は、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部18は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部16から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信部11、Bモード処理部12、ドプラ処理部13、画像生成部14及び画像処理部17の処理を制御する。また、制御部18は、画像メモリ15が記憶する超音波画像や、画像処理部17により行われる各種処理を指定するためのGUI、画像処理部17の処理結果などを出力装置2のモニタにて表示するように制御する。また、制御部18は、画像処理部17の処理結果に基づいて、出力装置2のスピーカが所定の音声を出力するように制御する。
【0034】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、操作者は、第1の実施形態に係る超音波診断装置を用いて、術前、術後などのように、異なる時期に画像収集が行なわれた超音波画像群間で、心機能の変化に関する評価を行なう。
【0035】
しかし、前述したように、心拍数(HR:Heart Rate)は、一般的に、健常者においても10%弱の生理的な揺らぎを有している。また、不整脈疾患では心房細動に代表されるように心拍数が安定しない症例も多い。更に、虚血性心疾患の診断で用いられるストレスエコー(stress-echo)では、負荷状態に応じて積極的に心拍数を変動させている。
【0036】
ここで、比較対象となる画像群間の心拍数が異なっている場合、各画像群から算出された心壁運動の定量化情報の経時的な差異情報は、本来期待される結果に対して異なる場合がある。これは、生理的な揺らぎにより心拍数が異なる場合でも、収縮期の時間は、あまり変わらず、拡張期の時間(拡張早期から心房収縮期の間の期間)が支配的に変わるという臨床的な現象があるためである。
図2は、心拍数の生理的な揺らぎを説明するための図である。
【0037】
すなわち、
図2に示すように、HRが低い場合とHRが高い場合とを比較すると、収縮期の時間は、略同一であるが、拡張期の時間は、HRが低い場合の方が、HRが高い場合より長い。このような心拍数の生理的な揺らぎがある場合に、R波を基準に定量化データが得られていると心房収縮期の時間が異なってしまう。例えば、従来では、R波の間隔(RR間隔)を100%とし、R波からの経過時間をRR間隔に対する相対値に変換したうえで、収集時期の異なる1心拍分の超音波画像群間を比較することが一般的に行なわれている。しかし、かかる場合、画像群間で心拍数が異なっていると、経時的な差異情報は、同一の心位相を比較したデータとはならない。
【0038】
また、ストレスエコーの場合には、積極的に心拍数を変えることから、同一の心位相であっても心拍数のばらつきは、生理的な揺らぎよりも一般に大きくなる。このような場合には、多数の心拍の動画データを収集しておいて、より心拍数の近しいデータ同士を選択して比較を行うのが好適であるが、多数の心拍を含むデータから似た心拍数のデータ同士を探す作業は困難であり、検査時間を要してしまう。かかる問題は、上述した心房細動のような不整脈疾患の場合についても同様である。
【0039】
このように、従来の方法では、異なる時期に収集された画像間で、単純にR波を基準にして定量化情報を比較した結果は、信頼性が低い場合があり、信頼性が高い比較結果を取得するには、操作者に負担がかかってしまっていた。
【0040】
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、異なる時期の間での心機能の変化を定量的に解析する際の信頼性を容易に向上させるため、
図1に示す画像処理部17を用いた処理が行なわれる。
【0041】
まず、入力装置3は、被検体Pの複数心拍分の超音波画像群から、少なくとも1心拍分の超音波画像群を第1の部分データとして受け付ける。ここで、第1の部分データが選択される超音波画像群を第1のデータ群とし、第1の部分データの選択が操作者により行なわれるとする。かかる場合、入力装置3は、被検体Pの複数心拍分の超音波画像群を含む第1のデータ群から、操作者が選択した少なくとも1心拍分の超音波画像群を第1の部分データとして受け付ける。
図3は、第1の部分データを説明するための図である。
【0042】
例えば、操作者は、
図3に示すように、心機能の変化を解析する対象となる被検体Pの「患者ID:A」及び「検査日:D1」を入力装置3に入力する。これにより、制御部18は、「検査日:D1」における被検体Pの複数心拍分の超音波画像群を含む第1のデータ群を画像メモリ15から取得し、例えば、出力装置2のモニタにて動画表示、又は、サムネール表示させる。そして、操作者は、モニタを参照して、単一心拍分、又は、複数心拍分の超音波画像群を、心機能の変化を解析するための一方の画像群である第1の部分データとして選択する。なお、モニタに表示される超音波画像には、心電計4から取得された心拍数も同時に表示される。
【0043】
そして、操作者は、例えば、
図3に示すように、連続する3心拍分の超音波画像群を第1の部分データとして選択する。入力装置3が受け付けた第1の部分データの情報は、制御部18を介して、
図1に示す画像処理部17の選択部17aに通知される。
【0044】
図1に示す選択部17aは、入力装置3が受け付けた第1の部分データの収集期間における被検体Pの心拍数を基準心拍数とする。ここで、第1の実施形態では、選択部17aは、基準心拍数から基準心拍期間を算出する。心拍数は、例えば、1秒間で心臓が拍動する回数であり、心拍期間は、例えば、心拍数の逆数である。すなわち、心拍期間は、心臓が1回拍動するために要する時間であり、例えば、RR間隔に相当する時間である。第1の部分データが複数心拍分である場合、選択部17aは、各心拍の心拍期間の平均値を基準心拍期間として算出する。
図4、
図5A及び
図5Bは、第1の実施形態に係る選択部を説明するための図である。
【0045】
例えば、選択部17aは、画像メモリ15から「患者ID:A、検査日:D1」の第1の部分データ(3心拍分)に対応付けられている心電図を用いて、各心拍の心拍期間(T1,T2,T3)を取得する。そして、選択部17aは、「T1,T2,T3」の平均値「(T1+T2+T3)/3」を基準心拍期間「T」として設定する。なお、第1の部分データが単一心拍分である場合、選択部17aは、第1の部分データの心拍数をそのまま基準心拍数として設定し、基準心拍期間を算出する。また、複数心拍分の第1の部分データから算出される基準心拍期間は、例えば、中央値など、平均値以外の統計学的に算出される代表値が用いられる場合であっても良い。
【0046】
そして、選択部17aは、第1の部分データとは異なる時期の被検体Pの超音波画像群から基準心拍数に対して所定の範囲内にある心拍数を有する超音波画像群を第2の部分データとして選択する。ここで、第2の部分データが選択される超音波画像群を第2データ群とする。また、第1の実施形態では、基準心拍数に対応する基準心拍期間を用いるとする。かかる場合、選択部17aは、第1のデータ群とは異なる時期の被検体Pの超音波画像群である第2のデータ群から基準心拍期間に対して所定の範囲内にある心拍期間を有する超音波画像群を第1の部分データの比較対象である第2の部分データとして選択する。なお、第1の実施形態は、基準心拍数を用いて第2部分データの選択が行なわれる場合であっても良い。
【0047】
ここで、第1の実施形態に係る選択部17aは、第1のデータ群とは異なる時期に収集済みの被検体Pの超音波画像群を第2のデータ群として選択処理を行なう。すなわち、操作者は、第1の部分データの比較対象となる第2の部分データを選択するための第2のデータ群を画像メモリ15に格納済みのデータ群から選択する。
【0048】
例えば、操作者は、
図5Aに示すように、第2のデータ群を指定するために、被検体Pの「患者ID:A」及び「検査日:D2」を入力装置3に入力する。なお、検査日「D2」は、検査日「D1」以降の日付であっても、検査日「D1」以前の日付であっても良い。また、検査日は、一つである場合に限定されるものではなく、例えば、D1以外の検査日が複数選択される場合であっても良い。
【0049】
そして、選択部17aは、例えば、
図5Aに示すように、「患者ID:A」及び「検査日:D2」が対応付けられた超音波画像群全てを第2のデータ群として、第2の部分データの選択処理を行なう。
【0050】
なお、第1の実施形態は、以下に説明するように、「患者ID:A」及び「検査日:D2」が対応付けられた超音波画像群から操作者が選択した画像群を第2のデータ群とする場合であっても良い。第2のデータ群の選択処理が行なわれる場合、例えば、操作者の表示要求に応じて、制御部18は、「検査日:D2」における被検体Pの第2のデータ群を画像メモリ15から取得し、例えば、出力装置2のモニタにて動画表示、又は、サムネール表示させる。そして、操作者は、モニタを参照して、単一心拍分、又は、複数心拍分の超音波画像群を第2のデータ群として選択する。例えば、操作者は、
図5Aに示す連続する6心拍分の超音波画像群を、第2のデータ群として選択する。
【0051】
そして、選択部17aは、第2のデータ群を1心拍分ごとの超音波画像群に分割し、分割した各超音波画像群を探索対象群として、選択処理を行なう。
【0052】
具体的には、選択部17aは、予め設定された所定の閾値「α」を用いて選択処理を行なう。例えば、選択部17aは、先頭の探索対象群から順に、「α」を用いて、
図5Aに示す各探索対象群の収集期間における心拍期間「T’1,T’2,T’3,T’4,T’5,T’6,・・・」と、基準心拍期間「T」との比較を行なう。
【0053】
すなわち、選択部17aは、
図5の(B)に示すように、基準心拍期間「T」と、探索対象群心拍期間「T’」との差分の絶対値「dT」を算出する。そして、選択部17aは、「dT」と「α」との比較を行なう。ここで、選択部17aは、「dT<α」である場合、探索対処群の心拍期間が基準心拍期間に概一致すると判定し、当該探索対象群を第2の部分データとして選択する。一方、選択部17aは、「dT」が「α」以上である場合、探索対処群の心拍期間が基準心拍期間に一致していないと判定し、当該探索対象群を第2の部分データとして選択しない。
【0054】
かかる選択部17aの選択処理が行なわれることで、操作者は、多数の心拍を含むデータから似た心拍数のデータ同士を探す作業を行なうことなく、次の解析処理に進むことが出来る。なお、選択部17aは、第1の部分データの収集期間と略同じ収集期間の超音波画像群を第2の部分データとして選択する場合であっても良い。かかる場合、例えば、第1の部分データが連続3心拍であるならば、選択部17aは、連続3心拍の超音波画像群を第2の部分データとして選択する。
【0055】
しかし、第1の部分データと心拍数が概一致する第2の部分データが自動選択されたとしても、部分データ同士の「画質や観察箇所」が異なっている場合、差異情報が本来期待される結果に対して異なる場合がある。
【0056】
かかる現象は、超音波診断装置の撮影において、多々発生する。それは、超音波診断装置では、超音波プローブ1などの位置調整が難しいことが原因にある。具体的には、患者によって心臓を描出する超音波プローブ1の向きや位置が異なったり、患者の体勢によっては患者に苦痛を与えてしまったりして、収集中に、何度も超音波プローブ1の位置や患者の体勢の調整を行うためである。
【0057】
このため、第1の実施形態では、第2の部分データが選択された後、以下の処理が行なわれる。すなわち、制御部18は、選択部17aにより第2の部分データとして選択された超音波画像群を第2の候補部分データとして出力装置2のモニタに表示するように制御する。そして、選択部17aは、制御部18の制御によりモニタに表示された第2の候補部分データを参照した操作者が第1の部分データの比較対象であると判断した場合に、当該第2の候補部分データを第2の部分データとして確定する。
【0058】
すなわち、操作者は、モニタを参照して、第2の候補部分データの画質及び観察箇所が、第1の部分データと同一であるか否かを判定する。例えば、第1の部分データが被検体Pの心臓を検査するために収集された画像群であり、かつ、第1の部分データが被検体Pの心臓における心尖部四腔像を撮影した画像群であるとする。この場合、操作者は、第2の候補部分データが被検体Pの肝臓を検査するために収集された画像群であった場合、撮影部位が異なることから、第2の部分データとして採用しないと判定する。
【0059】
また、操作者は、第2の候補部分データが被検体Pの心臓における心尖部二腔像や肋骨左縁長軸像、肋骨左縁短軸像などを撮影した画像群肝臓を検査するために収集された画像群であった場合、撮影断面が異なることから、第2の部分データとして採用しないと判定する。また、操作者は、第2の候補部分データが被検体Pの心臓における心尖部四腔像を撮影した画像群肝臓を検査するために収集された画像群であったとしても、例えば、コントラスト値など、画質が異なると判定した場合、第2の部分データとして採用しないと判定する。
【0060】
一方、操作者は、第2の候補部分データの撮影部位、撮影断面及び画質が、第1の部分データの撮影部位、撮影断面及び画質が同一である場合、例えば、入力装置3が有する「確定ボタン」を押下する。これにより、選択部17aは、操作者が第1の部分データの比較対象として採用すると判定した第2の候補部分データを第2の部分データとして確定する。例えば、選択部17aは、画像メモリ15において、第2の部分データとして確定された超音波画像群の付帯情報として「第2の部分データ」であることを示すフラグを付与する。
【0061】
図1に戻って、画像処理部17が有する取得部17bは、第1の部分データと第2の部分データとを用いて、部分データ間の経時的な差異情報を取得する。具体的には、取得部17bは、被検体Pの関心領域における心壁の運動情報を定量化した定量化情報を第1の部分データ及び第2の部分データから算出し、各部分データから算出した定量化情報間の経時的な差異を差異情報として取得する。そして、制御部18は、取得部17bにより取得された差異情報を出力装置2のモニタに表示するように制御する。
【0062】
より具体的には、取得部17bは、各部分データに描出された心筋組織に設定された追跡点をスペックルパターンに基づいて追跡することで、操作者が指定した関心領域にある心壁の運動情報を定量化した定量化情報を算出する。例えば、取得部17bは、各部分データに描出された心臓の内腔容積を心位相ごとに算出する。
【0063】
或いは、取得部17bは、心筋組織の歪み(心筋ストレイン)、心筋組織の歪み率(心筋ストレインレート)、心筋組織の心筋組織の変位(心筋変位)、又は、心筋組織の変位速度(心筋速度)を心位相ごとに算出する。例えば、取得部17bは、心筋組織全体における心位相ごとの内腔容積、心筋ストレイン、心筋ストレインレート、心筋速度を算出する。又は、取得部17bは、局所的な心筋組織(例えば、心室など)における心位相ごとの内腔容積、心筋ストレイン、心筋ストレインレート、心筋速度を算出する。ここで、第1の部分データ及び第2の部分データが複数心拍分のデータである場合、取得部17bは、心位相ごとの内腔容積、心筋ストレイン、心筋ストレインレート、心筋速度などの値の平均値を算出することも出来る。
【0064】
或いは、取得部17bは、第1の部分データ及び第2の部分データが複数心拍分のデータ群である場合、各心拍の心壁運動の定量化情報として、心筋容積を算出したり、心筋容積に平均的な心筋密度値を乗算することで心筋重量を算出したりする。また、取得部17bは、心筋重量を体表面積で規格化することでMass−Indexを算出する。
【0065】
そして、取得部17bは、第1の部分データにおける心壁運動の定量化情報と第2の部分データにおける心壁運動の定量化情報との差分値を差分情報として算出する。又は、取得部17bは、差異情報として、第1の部分データ及び第2の部分データにおける心壁運動の各定量化情報を操作者が容易に比較できるように、表や、グラフ、画像などを生成する。例えば、取得部17bは、第1の部分データ及び第2の部分データの心位相ごとの内腔容積をプロットしたグラフを生成する。
【0066】
或いは、取得部17bは、第1の部分データ及び第2の部分データの心位相ごとの局所的な心筋ストレインを、予め設定されたLUT(Look Up Table)に基づきカラーに変換したうえで、例えば、Polar-mapにマッピングした分布画像を時系列に沿って複数生成する。
【0067】
そして、制御部18の制御により、出力装置2のモニタは、取得部17bが取得した差異情報を表示する。
【0068】
次に、
図6及び
図7を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の選択処理を説明するためのフローチャートである。また、
図7は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の解析処理を説明するためのフローチャートである。
【0069】
図6に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、第1のデータ群から第1の部分データが選択されたか否かを判定する(ステップS101)。すなわち、制御部18は、操作者が入力装置3を介して、第1の部分データを選択したか否かを判定する。ここで、第1の部分データが選択されていない場合(ステップS101否定)、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、待機状態となる。
【0070】
一方、第1の部分データが選択された場合(ステップS101肯定)、制御部18から第1の部分データが選択されたことを通知された選択部17aは、基準心拍期間(T)を算出する(ステップS102)。そして、選択部17aは、第2のデータ群が選択されたか否かを判定する(ステップS103)。ここで、第2のデータ群が選択されていない場合(ステップS103否定)、選択部17aは、待機状態となる。
【0071】
一方、第2のデータ群が選択された場合(ステップS103肯定)、選択部17aは、第2のデータ群における探索対象群数「N」を取得する(ステップS104)。すなわち、選択部17aは、第2のデータ群が「N」心拍分のデータ群であることを取得する。そして、選択部17aは、「i=1」と設定し(ステップS105)、探索対象群「i」の心拍期間と基準心拍期間との差異の絶対値「dT(i)」を算出する(ステップS106)。
【0072】
そして、選択部17aは、「dT(i)」が予め設定された閾値「α」より小さいか否かを判定する(ステップS107)。ここで、「dT(i)」が閾値「α」より小さい場合(ステップS107肯定)、出力装置2のモニタは、制御部18の制御により、探索対象群「i」を第2の候補部分データとして表示する(ステップS108)。そして、選択部17aは、第2の部分データとして探索対象群「i」が操作者により採用されたか否かを判定する(ステップS109)。
【0073】
ここで、探索対象群「i」が操作者により採用された場合(ステップS109肯定)、選択部17aは、探索対象群「i」を第2の部分データとして確定する(ステップS110)。
【0074】
ここで、ステップS110の処理後、又は、「dT(i)」が閾値「α」以上である場合(ステップS107否定)、探索対象群「i」が操作者により採用されなかった場合(ステップS109否定)、選択部17aは、「i=N」であるか否かを判定する(ステップS111)。ここで、「i」が「N」より小さい場合(ステップS111否定)、選択部17aは、「i=i+1」と設定し(ステップS112)、ステップS106に戻って、次の探索対象群「i」の心拍期間と基準心拍期間との差異の絶対値「dT(i)」を算出する。
【0075】
一方、「i=N」である場合(ステップS111肯定)、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、選択処理を終了する。
【0076】
そして、
図7に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、第2の部分データが確定されたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、第2の部分データが確定されていない場合(ステップS201否定)、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、待機状態となる。
【0077】
一方、第2の部分データが確定された場合(ステップS201肯定)、取得部17bは、第1の部分データ及び第2の部分データそれぞれから、心壁運動の定量化情報を算出する(ステップS202)。
【0078】
そして、取得部17bは、第1の部分データ及び第2の部分データそれぞれの心壁運動の定量化情報の経時的な差異情報を取得する(ステップS203)。その後、制御部18の制御により、出力装置2のモニタは、経時的な差異情報を表示し(ステップS204)、処理を終了する。
【0079】
上述してきたように、第1の実施形態では、入力装置3は、被検体Pの複数心拍分の超音波画像群を含む第1のデータ群から、操作者が選択した少なくとも1心拍分の超音波画像群を第1の部分データとして受け付ける。そして、選択部17aは、入力装置3が受け付けた第1の部分データの収集期間における被検体Pの心拍数を基準心拍数とする。そして、選択部17aは、第1のデータ群とは異なる時期の被検体Pの超音波画像群である第2のデータ群から基準心拍期間に対して所定の範囲内にある心拍数を有する超音波画像群を第1の部分データの比較対象である第2の部分データとして選択する。具体的には、第1の実施形態では、選択部17aは、第1のデータ群とは異なる時期に収集済みの被検体Pの超音波画像群を第2のデータ群として選択処理を行なう。なお、本実施形態では、選択部17aは、基準心拍数から算出した基準心拍期間と、選択対象の第2のデータ群の心拍数から算出した心拍期間との比較により、第2の部分データを選択する。
【0080】
すなわち、第1の実施形態では、第1の部分データとは異なる時間で得られた第2のデータ群から、第1の部分データの心拍期間と概一致する心拍期間の第2の部分データを自動的に選択することが出来る。これにより、操作者は、多数の心拍を含むデータから似た心拍数のデータ同士を探す作業を行なうことなく、心拍数が似たデータ同士を用いて、心機能の解析に進むことが出来る。従って、第1の実施形態では、異なる時期の間での心機能の変化を定量的に解析する際の信頼性を容易に向上させることが可能となる。
【0081】
また、第1の実施形態では、制御部18は、選択部17aにより第2の部分データとして選択された超音波画像群を第2の候補部分データとして出力装置2のモニタに表示するように制御する。そして、選択部17aは、制御部18の制御によりモニタに表示された第2の候補部分データを参照した操作者が第1の部分データの比較対象であると判断した場合に、当該第2の候補部分データを第2の部分データとして確定する。
【0082】
すなわち、第1の実施形態では、第2の候補部分データの中から、第1の部分データと「画質や観察箇所」が同一となる超音波画像群を操作者が選択し、操作者が選択した第2の候補部分データを第2の部分データとして確定することが出来る。従って、第1の実施形態では、異なる時期の間での心機能の変化を定量的に解析する際の信頼性を確実に向上させることが可能となる。
【0083】
また、第1の実施形態では、取得部17bは、第1の部分データと第2の部分データとを用いて、部分データ間の経時的な差異情報を取得する。具体的には、取得部17bは、被検体Pの関心領域における心壁の運動情報を定量化した定量化情報を第1の部分データ及び第2の部分データから算出し、各部分データから算出した定量化情報間の経時的な差異を差異情報として取得する。そして、制御部18は、差異情報を出力装置2のモニタに表示するように制御する。すなわち、第1の実施形態では、異なる時期の間での心機能の変化の定量的解析処理及び解析結果の出力処理を、第2の部分データの選択が行なわれた同一の装置内で実行することが出来る。
【0084】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第2の部分データの確定が自動的に実行される場合について、
図8などを用いて説明する。
図8は、第2の実施形態に係る画像処理部を説明するための図である。
【0085】
図8に示すように、第2の実施形態に係る画像処理部17は、
図1に示す第1の実施形態に係る画像処理部17と比較して、特定部17cを更に有する点が異なる。以下、これを中心に説明する。なお、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、収集済みの第2のデータ群から、第1の部分データと心拍数が概一致する第2の部分データが選択部17aにより選択される。なお、第2の実施形態でも、選択部17aは、第1の部分データの収集期間と略同じ収集期間の超音波画像群を第2の部分データとして選択する場合であっても良い。また、第2の実施形態でも、心拍数を用いた選択処理が行なわれる場合であっても、心拍期間を用いた選択処理が行なわれる場合であっても良い。
【0086】
そして、特定部17cは、第1の部分データと撮影部位及び撮影断面の双方が同一となる超音波画像群を、第2の部分データから特定する。そして、第2の実施形態に係る選択部17aは、特定部17cにより特定された超音波画像群を第2の部分データとして確定する。
図9A及び
図9Bは、特定部を説明するための図である。
【0087】
例えば、特定部17cは、超音波画像に付与されている付帯情報である検査対象部位を参照する。そして、特定部17cは、
図9Aに示すように、第2の部分データとして選択された超音波画像群の中で、「検査対象部位:心臓」が付与されている超音波画像群を、第1の部分データと撮影部位が同一である超音波画像群として特定する。
【0088】
更に、特定部17cは、第1の部分データと撮影部位が同一である超音波画像群の中から、第1の部分データと撮影断面が同一である超音波画像群を特定する。具体的には、特定部17cは、第1の部分データと撮影部位が同一である超音波画像群において、各超音波画像の特徴量を画像処理により解析することで、第1の部分データと特徴量が略一致する超音波画像群を、第1の部分データと撮影断面が同一である超音波画像群として特定する。例えば、第1の部分データが心尖部四腔像である場合、特定部17cは、
図9Bに示すように、撮影部位が心臓である各超音波画像を閾値処理することで、2値化画像を生成する。そして、特定部17cは、
図9Bに示すように、2値化画像を解析することで、4つの心腔を特徴量として取得する。そして、特定部17cは、
図9Bに示すように、4つの心腔が特徴量として取得された超音波画像を、右心房(RA)、右心室(RV)、左心房(LA)および左心室(LV)が描出されている心尖部四腔像であると判定する。
【0089】
そして、第2の実施形態に係る取得部17bは、特定部により第1の部分データと撮影部位及び撮影断面が同一の超音波画像群が第2の部分データから特定された場合、当該超音波画像群を差異情報の取得対象とする。
【0090】
次に、
図10を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の選択処理を説明するためのフローチャートである。なお、第2の実施形態に係る超音波診断装置の解析処理は、
図7を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置の解析処理と同様であるので、説明を省略する。
【0091】
図10に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、第1のデータ群から第1の部分データが選択されたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、第1の部分データが選択されていない場合(ステップS201否定)、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、待機状態となる。
【0092】
一方、第1の部分データが選択された場合(ステップS201肯定)、選択部17aは、基準心拍期間(T)を算出する(ステップS202)。そして、選択部17aは、第2のデータ群が選択されたか否かを判定する(ステップS203)。ここで、第2のデータ群が選択されていない場合(ステップS203否定)、選択部17aは、待機状態となる。
【0093】
一方、第2の部分データが選択された場合(ステップS203肯定)、選択部17aは、第2のデータ群における探索対象群数「N」を取得する(ステップS204)。そして、選択部17aは、「i=1」と設定し(ステップS205)、探索対象群「i」の心拍期間と基準心拍期間との差異の絶対値「dT(i)」を算出する(ステップS206)。
【0094】
そして、選択部17aは、「dT(i)」が予め設定された閾値「α」より小さいか否かを判定する(ステップS207)。ここで、「dT(i)」が閾値「α」より小さい場合(ステップS207肯定)、出力装置2のモニタは、制御部18の制御により、探索対象群「i」を第2の候補部分データとして表示する(ステップS208)。そして、選択部17aは、特定部17cにより探索対象群「i」が第1の部分データの撮影部位及び撮影断面と同一であると特定されたか否かを判定する(ステップS209)。
【0095】
ここで、特定部17cにより探索対象群「i」が第1の部分データの撮影部位及び撮影断面と同一であると特定された場合(ステップS209肯定)、選択部17aは、探索対象群「i」を第2の部分データとして確定する(ステップS210)。
【0096】
ここで、ステップS210の処理後、又は、「dT(i)」が閾値「α」以上である場合(ステップS207否定)、探索対象群「i」が第1の部分データの撮影部位及び撮影断面と同一であると特定されなかった場合(ステップS209否定)、選択部17aは、「i=N」であるか否かを判定する(ステップS211)。ここで、「i」が「N」より小さい場合(ステップS211否定)、選択部17aは、「i=i+1」と設定し(ステップS212)、ステップS206に戻って、次の探索対象群「i」の心拍期間と基準心拍期間との差異の絶対値「dT(i)」を算出する。
【0097】
一方、「i=N」である場合(ステップS211肯定)、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、選択処理を終了する。なお、第2の実施形態は、ステップS208の表示処理が行なわれない場合であっても良い。
【0098】
上述してきたように、第2の実施形態では、特定部17cは、第1の部分データと撮影部位が同一である超音波画像群を、第2の部分データから特定する。更に、特定部17cは、第1の部分データと撮影断面が同一である超音波画像群を、第2の部分データから特定する。そして、取得部17bは、特定部17cにより第1の部分データと撮影部位及び撮影断面が同一の超音波画像群が第2の部分データから特定された場合、当該超音波画像群を差異情報の取得対象とする。
【0099】
すなわち、第2の実施形態では、第1の実施形態において操作者が行なっていた観察部位が同一であるか否かの判定も自動的に行なうことが出来る。従って、第2の実施形態では、操作者にかかる負担を更に軽減することが可能となる。
【0100】
なお、特定部17cは、以下に説明する変形例を行なう場合であっても良い。例えば、特定部17cは、超音波画像に付与されているボディーマークに基づいて、撮影部位が同一であること超音波画像群を第2の部分データから特定する場合であっても良い。また、特定部17cは、撮影部位及び撮影断面とともに、更に、各超音波画像のコントラスト値など、画質を評価可能なパラメータを算出することで、第2の部分データから第1の部分データと同一の画質を有する超音波画像を特定する場合であっても良い。
【0101】
また、特定部17cによる特定処理は、第2のデータ群を対象として行なわれる場合であっても良い。特定部17cにより第1の部分データと撮影部位及び撮影断面が同一の超音波画像群が第2のデータ群から特定された場合、選択部17aは、当該超音波画像群を第2の部分データの選択対象とする。
【0102】
また、第2の実施形態は、特定部17cにより第1の部分データと撮影部位が同一である超音波画像群が第2のデータ群、又は、第2の部分データから特定される場合であっても良い。特定部17cにより第1の部分データと撮影部位が同一の超音波画像群が第2のデータ群から特定された場合、選択部17aは、当該超音波画像群を第2の部分データの選択対象とする。また、特定部17cにより第1の部分データと撮影部位が同一の超音波画像群が第2の部分データから特定された場合、取得部17bは、当該超音波画像群を差異情報の取得対象とする。
【0103】
また、第2の実施形態は、特定部17cにより第1の部分データと画質が同一である超音波画像群が第2のデータ群から特定され、選択部17aが当該超音波画像群を第2の部分データの選択対象とする場合であっても良い。
【0104】
上記の変形例によっても、操作者にかかる負担を更に軽減することが可能となる。
【0105】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態では、第2の部分データの選択処理が、超音波画像の収集後に行なわれる場合について説明した。第3の実施形態では、第2の部分データの選択処理が、超音波画像の収集中に実行される場合について説明する。
【0106】
第3の実施形態に係る画像処理部17は、
図1に示す第1の実施形態に係る画像処理部17と同様に構成されるが、選択部17aの処理が第1の実施形態とは異なる。以下、これを中心にして説明する。
【0107】
まず、第3の実施形態においても、第1の実施形態で説明したように、操作者が選択した第1の部分データから基準心拍期間(T)が選択部17aにより算出される。なお、第3の実施形態でも、心拍数を用いた選択処理が行なわれる場合であっても良い。
【0108】
そして、第3の実施形態に係る選択部17aは、第1のデータ群とは異なる時期に収集される超音波画像群を第2のデータ群とし、第2のデータ群の収集中に検出された被検体Pの心拍数の検出結果から第2の部分データを選択して画像メモリ15に格納する。なお、第3の実施形態でも、選択部17aは、第1の部分データの収集期間と略同じ収集期間の超音波画像群を第2の部分データとして選択する場合であっても良い。
【0109】
例えば、第3の実施形態では、画像収集に先立ち、操作者により、第1の部分データと撮影部位及び撮影部位が同一となるように超音波プローブ1の位置調整が行なわれる。更に、第3の実施形態では、操作者により、第1の部分データの画質と同一になるように、画質調整が行なわれる。
【0110】
上記の調整が行なわれた後、例えば、心尖部四腔像の収集が開始され、第3の実施形態に係る選択部17aの処理が開始される。例えば、操作者は、入力装置3が有する保存データ収集モード用のスイッチを押下することで、第3の実施形態に係る選択部17aの処理を開始させる。まず、選択部17aは、1心拍分の超音波画像群が収集されるごとに、当該超音波画像群の収集期間における心拍数を心電計4から取得された心電図から検出する。そして、選択部17aは、第1の実施形態と同様に、検出した心拍数である心拍期間(T’)と、基準心拍期間(T)と、所定の閾値(α)とに基づいて、収集された1心拍分の超音波画像群が、第2の部分データであるか否かを判定する。
【0111】
そして、第3の実施形態に係る選択部17aは、第2の部分データとして選択した超音波画像群を画像メモリ15に格納する。
図11は、第3の実施形態に係る選択部を説明するための図である。
【0112】
例えば、選択部17aは、第2の部分データとして選択した超音波画像群を画像メモリ15内に設定された第2の部分データ記憶領域15a(
図11を参照)に格納する。
【0113】
そして、第3の実施形態に係る制御部18は、選択部17aの画像メモリ15に対する格納処理の有無を操作者に報知するための情報が出力装置2のスピーカから出力されるように制御する。例えば、制御部18は、選択部17aにより第2の部分データが格納された場合、ビープ音を出力装置2のスピーカから出力させる。或いは、制御部18は、選択部17aにより第2の部分データが格納された場合、「格納中」の文字列を出力装置2のモニタに表示させても良い。
【0114】
なお、第2のデータの収集期間は、操作者により入力装置3を介して設定される。すなわち、入力装置3は、第2のデータ群の収集期間を受け付け、選択部17aは、入力装置3が受け付けた収集期間中に第2の部分データの選択処理を実行する。また、選択部17aは、収集期間の残り時間を算出し、制御部18は、選択部17aが算出した残り時間をモニタに表示させても良い。
【0115】
ただし、第2のデータ群の収集期間は、例えば、操作者により入力装置3が有する「Freezeボタン」が押下された時点で終了する場合であっても良い。
【0116】
ここで、選択部17aは、第2の部分データが選択されなかった場合、基準心拍数に最も近い心拍数を有する超音波画像群を、第2の部分データとして第2の部分データ記憶領域15aに格納する。本実施形態では、選択部17aは、第2の部分データが選択されなかった場合、基準心拍期間に最も近い心拍期間を有する超音波画像群を、第2の部分データとして第2の部分データ記憶領域15aに格納する。かかる処理を行なうために、第3の実施形態では、例えば、
図11に示すように、画像メモリ15内に一時保存データ記憶領域15bが設定される。
【0117】
すなわち、選択部17aは、選択処理開始後に、最初に第2の部分データとして選択されなかった超音波画像群をそのまま破棄するのではなく、当該超音波画像群を一旦、一時保存データ記憶領域15bに格納する。そして、選択部17aは、新規に選択不可と判定した超音波画像群が出現した場合、当該超音波画像群の心拍期間と基準心拍期間との差異の絶対値(dT
new)と、一時保存データ記憶領域15bに格納済みの超音波画像群の心拍期間と基準心拍期間との差異の絶対値(dT
old)とを算出する。そして、「dT
new」が「dT
old」より小さい場合、新規に選択不可と判定した超音波画像群を一時保存データ記憶領域15bに上書きする。一方、「dT
new」が「dT
old」以上である場合、新規に選択不可と判定した超音波画像群を廃棄する。
【0118】
選択部17aは、上記の処理を収集期間中に実行する。そして、選択部17aは、収集期間が終了した時点で、第2の部分データが第2の部分データ記憶領域15aに格納されていない場合、一時保存データ記憶領域15bに格納されている一時保存データを第2の部分データとする。そして、選択部17aは、一時保存データを第2の部分データ記憶領域15aに移動させる。
【0119】
次に、
図12を用いて、第3の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。
図12は、第3の実施形態に係る超音波診断装置の選択処理を説明するためのフローチャートである。なお、第3の実施形態に係る超音波診断装置の解析処理は、
図7を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置の解析処理と同様であるので、説明を省略する。
【0120】
図12に示すように、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、第1のデータ群から第1の部分データが選択されたか否かを判定する(ステップS301)。ここで、第1の部分データが選択されていない場合(ステップS301否定)、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、待機状態となる。
【0121】
一方、第1の部分データが選択された場合(ステップS301肯定)、制御部18から第1の部分データが選択されたことを通知された選択部17aは、基準心拍期間(T)を算出する(ステップS302)。そして、選択部17aは、収集期間の設定とともに、画像収集の開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS303)。ここで、画像収集の開始要求を受け付けない場合(ステップS303否定)、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、待機状態となる。
【0122】
一方、画像収集の開始要求を受け付けた場合(ステップS303肯定)、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波画像の収集を開始する(ステップS304)。同時に、選択部17aは、収集開始からの経過時間の計測も開始する。
【0123】
そして、選択部17aは、例えば、心電図のR波を検出することで、1心拍分の超音波画像が収集されたか否かを判定する(ステップS305)。ここで、1心拍分の超音波画像が収集されていない場合(ステップS305否定)、選択部17aは、1心拍分の超音波画像が収集されるまで待機する。
【0124】
一方、1心拍分の超音波画像が収集された場合(ステップS305肯定)、選択部17aは、収集された超音波画像群の心拍期間と基準心拍期間との差異の絶対値「dT」を算出する(ステップS306)。そして、選択部17aは、「dT」が閾値「α」より小さいか否かを判定する(ステップS307)。
【0125】
ここで、「dT」が閾値「α」より小さい場合(ステップS307肯定)、収集された超音波画像群を第2の部分データとして第2の部分データ記憶領域15aに格納する(ステップS308)。そして、制御部18の制御により、出力装置2のスピーカは、ビープ音を出力する(ステップS309)。
【0126】
一方、「dT」が閾値「α」以上である場合(ステップS307否定)、選択部17aは、一時保存データ記憶領域15bに一時保存データが格納されているか否かを判定する(ステップS310)。ここで、一時保存データが格納されていない場合(ステップS310否定)、選択部17aは、収集された超音波画像群を一時保存データとして一時保存データ記憶領域15bに格納する(ステップS311)。
【0127】
一方、一時保存データが格納されている場合(ステップS310肯定)、選択部17aは、収集された超音波画像群の心拍期間と基準心拍期間との差異の絶対値「dT
new」が、格納済みの一時保存データの心拍期間と基準心拍期間との差異の絶対値「dT
old」より小さいか否かを判定する(ステップS312)。
【0128】
ここで、「dT
new」が「dT
old」より小さい場合(ステップS312肯定)、選択部17aは、収集された超音波画像群を一時保存データとして一時保存データ記憶領域15bに上書きする(ステップS313)。
【0129】
そして、ステップS309の処理後、又は、ステップS311の処理後、又は、ステップS313の処理後、又は、「dT
new」が「dT
old」以上である場合(ステップS312否定)、選択部17aは、収集期間が経過したか否かを判定する(ステップS314)。ここで、収集期間が経過していない場合(ステップS314否定)、選択部17aは、ステップS305に戻って、新規に1心拍分の超音波画像群が収集されたか否かを判定する。
【0130】
一方、収集期間が経過した場合(ステップS314肯定)、選択部17aは、第2の部分データ記憶領域15aに第2の部分データが1つ以上格納されているか否かを判定する(ステップS315)。ここで、第2の部分データ記憶領域15aに第2の部分データが格納されていない場合(ステップS315否定)、選択部17aは、一時保存データを第2の部分データとして第2の部分データ記憶領域15aに格納する(ステップS316)、処理を終了する。
【0131】
一方、第2の部分データ記憶領域15aに第2の部分データが1つ以上格納されている場合(ステップS315肯定)、選択部17aは、処理を終了する。
【0132】
上述してきたように、第3の実施形態では、選択部17aは、第1のデータ群とは異なる時期に収集される超音波画像群を第2のデータ群とし、第2のデータ群の収集中に検出された被検体Pの心拍数の検出結果から第2の部分データを選択して画像メモリ15の第2の部分データ記憶領域15aに格納する。
【0133】
すなわち、第3の実施形態では、操作者により、第1の部分データと撮影部位、撮影部位及び画質が同一になるよう調整が行なわれた後に、画像収集が実行され、選択部17aによる選択処理が画像収集中にリアルタイムで実行される。従って、第3の実施形態では、心拍数が概一致し、観察部位及び画質が同一である第2の部分データを自動的に選択することが出来、異なる時期の間での心機能の変化を定量的に解析する際の信頼性を容易に向上させることが可能となる。
【0134】
また、第3の実施形態では、制御部18は、選択部17aの第2の部分データ記憶領域15aに対する格納処理の有無を操作者に報知するための情報が出力装置2から出力されるように制御する。従って、第3の実施形態では、操作者がリアルタイムに第2の部分データが収集されたか否かを容易に認識することが可能となる。
【0135】
また、第3の実施形態では、入力装置3は、第2のデータ群の収集期間を受け付け、選択部17aは、入力装置3が受け付けた収集期間中に第2の部分データの選択処理を実行する。従って、第3の実施形態では、選択部17aの実行期間を操作者が任意に指定することが出来る。
【0136】
また、第3の実施形態では、選択部17aは、第2の部分データが選択されなかった場合、基準心拍数(基準心拍期間)に最も近い心拍数(心拍期間)を有する超音波画像群を、第2の部分データとして第2の部分データ記憶領域15aに格納する。すなわち、第3の実施形態では、第2の部分データの選択処理だけでなく、一時保存データの選択処理も実行する。従って、第3の実施形態では、心機能の変化を定量的に解析するためのデータ群を確保することが可能となる。
【0137】
なお、上述した第1〜第3の実施形態は、以下で説明する変形例が行なわれる場合であっても良い。すなわち、制御部18は、第1の部分データに属する超音波画像の少なくとも1つと、第2の部分データに属する超音波画像の少なくとも1つとを出力装置2のモニタに表示するように制御しても良い。例えば、制御部18は、第1の部分データのR波に対応する超音波画像と、第2の部分データのR波に対応する超音波画像とを並列表示させる。或いは、例えば、制御部18は、第1の部分データと第2の部分データとの心時相を合わせたうえで、動画表示させる。
【0138】
また、制御部18は、差異情報だけでなく、第1の部分データに基づいて求められた指標値と、第2の部分データに基づいて求められた指標値とをモニタに表示するように制御しても良い。例えば、制御部18は、差異情報の算出元となった第1の部分データの指標値と第2の部分データの指標値とを表示させても良い。
【0139】
また、第1の部分データは、例えば、操作者が指定した基準心拍数や撮像部位、撮像断面などの情報を用いて、上述した選択部17a及び特定部17cが第1のデータ群から選択する場合であっても良い。
【0140】
また、選択部17aは、
図13A、
図13B及び
図13Cに示す選択処理を行なっても良い。
図13A、
図13B及び
図13Cは、選択処理の変形例を説明するための図である。第2部分データの選択対象となるデータ群は、上述したように、第1の部分データとは異なる時期の被検体Pの超音波画像群である。従って、選択部17aは、
図13Aに示すように、第1のデータ群から選択された第1の部分データと心拍数が略一致する第2部分データを、第1のデータ群から選択しても良い。
【0141】
また、選択部17aは、第1のデータ群から複数の第1の部分データが選択された場合、第2のデータ群から複数の第1の部分データそれぞれに対応する第2の部分データを選択しても良い。例えば、
図13Bに示すように、第1のデータ群から第1の部分データA及び第2の部分データBが選択されたとする。かかる場合、選択部17aは、
図13Bに示すように、第2のデータ群から、第1の部分データAと心拍数が略一致する第2部分データAを選択し、第1の部分データBと心拍数が略一致する第2部分データBを選択する。
【0142】
また、選択部17aは、第1のデータ群から選択された第1の部分データと心拍数が略一致する第2部分データを、第2のデータ群から選択した後に、第2部分データと心拍数が略一致する部分データを、再度、第1のデータ群から選択する場合であっても良い。例えば、選択部17aは、
図13Cに示すように、第1の部分データAに対応する第2部分データAを第2のデータ群から選択する。
【0143】
しかし、第2部分データAの心拍数に近い心拍数となる部分データは、第1の部分データA以外にも第1のデータ群に存在する可能性がある。差異情報を用いて解析を行なう場合、心拍数がより近接した部分データ間で比較することが望ましい。そこで、選択部17aは、第2部分データAを第1の部分データとし、第1のデータ群を第2のデータ群として第2の部分データの選択処理を行なう。これにより、選択部17aは、例えば、
図13Cに示すように、第1の部分データAよりも、第2部分データAの心拍数に近い第1の部分データBを第1のデータ群から選択する。
【0144】
なお、上述した第1〜第3の実施形態及び変形例では、超音波診断装置において第1及び第2の部分データの選択処理と、指標値や差異情報の取得処理及び表示処理とが行なわれる場合について説明した。しかし、上述した第1〜第3の実施形態は、超音波診断装置において第1及び第2の部分データ群の選択処理が行なわれ、取得処理及び表示処理が超音波診断装置以外のワークステーションなどで実行される場合であっても良い。
【0145】
また、上述した第1〜第3の実施形態及び変形例に係る超音波診断装置による画像群の選択処理は、超音波診断装置とは独立に設置された画像処理装置により、実行される場合であっても良い。具体的には、
図1に示す入力装置3、画像処理部17及び制御部18の表示制御機能を有する画像処理装置が、超音波診断装置、又は、PACSのデータベースや、電子カルテシステムのデータベースから受信したデータ群を受信して上述した画像群選択処理を行なう場合であってもよい。
【0146】
また、上記の画像処理装置が実行する画像群選択処理の対象となる医用画像は、超音波画像である場合であっても、X線CT装置により撮影されたX線CT画像や、X線診断装置により撮影されたX線画像、MRI装置により撮影されたMRI画像である場合であっても良い。
【0147】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行される画像処理プログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0148】
また、上記で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0149】
以上、説明したとおり、第1の実施形態〜第3の実施形態及び変形例によれば、異なる時期の間での心機能の変化を定量的に解析する際の信頼性を容易に向上させることが可能となる。
【0150】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。