【文献】
緒方,「VOICEKARTE」ヴォイスカルテの開発,医療とコンピュータ,日本,株式会社日本電子出版,1998年 3月20日,第9巻 第3号,第127-133ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る医用情報処理システムについて
図1A及び
図1Bを参照しながら説明する。まず、
図1Aを参照する。
図1Aに示すように本実施形態に係る医用情報処理システムは、携帯端末M1と医用情報管理サーバーM2とが、ネットワークNを介して接続されている。携帯端末M1は、医用情報を入力するための入力装置である。また、医用情報管理サーバーM2は、入力された医用情報や、その医用情報を基に作成された電子カルテや読影レポートなどの診療録を管理・記憶するサーバーである。操作者U1は、医用情報を音声データD1として、携帯端末M1に入力する。携帯端末M1は、音声データD1を文字列データに変換し、これを医用情報として医用情報管理サーバーに管理・記憶させる。
【0010】
本実施形態に係る医用情報処理システムでは、医用情報を音声入力により音声データD1を受けたときに、携帯端末M1の物理的な向きに応じて、そのときに入力された医用情報の種別を認識する。例えば、携帯端末M1が上を向いている場合には、医用情報処理システムは、そのときに入力された音声データD1を、「主訴」を示す情報として認識する。このように、医用情報処理システムは、携帯端末M1の物理的な向きと、情報の種別(例えば、「主訴」、「所見」、「評価」、及び「計画」)とをあらかじめ関連付けておき、入力される音声データD1の種別を、そのときの携帯端末M1の物理的な向きに基づき認識する。以下に、このような動作を行うための具体的な構成について、
図1Bを参照しながら説明する。本実施形態に係る医用情報処理システムは、音声解析部11と、状態検知部12と、判定情報記憶部13と、関連付け処理部14と、医用情報更新部15と、医用情報記憶部30と、医用情報抽出部21と、表示制御部22と、U/I23とを含んで構成される。なお、これらの構成は、後述するそれぞれの機能を実行可能であれば、その場所は限定されず、携帯端末M1と医用情報管理サーバーM2とのいずれに配置してもよい。
【0011】
U/I23は、表示部231と、操作部232とを含んで構成されたユーザーインターフェース(User Interface)である。表示部231は、医用情報を入力するための操作画面や、選択された診療録を表示させる。操作部232は、表示させる診療録の選択や、医用情報の入力に係る操作を行うための操作部である。また、操作部232は、音声入力部233を含んで構成されている。音声入力部233は、医用情報を音声データとして入力する(即ち、音声入力する)ための入力部である。音声入力部233は、操作者により入力された音声データを音声解析部11に出力する。
【0012】
音声解析部11は、音声入力部233から音声データを受ける。音声解析部11は、この音声データを解析し文字列データに変換する。なお、音声解析部11は、この文字列データに対して構文解析(例えば、字句解析や意味解析)を施すことで、同音異義語などによる表現のゆれを補正してもよい。音声解析部11は、生成された文字列データに、生成元である音声データを受けたときのタイミングを示す情報を関連付ける。このように、文字列データにタイミングを示す情報を関連付けることで、その文字列情報を構成する各文字が、どのタイミングで入力されたかを、医用情報処理システム自身が認識することが可能となる。音声解析部11は、タイミングを示す情報が関連付けられた文字列データを関連付け処理部14に出力する。
【0013】
状態検知部12は、携帯端末M1の物理的な向きを検知する。具体的には、携帯端末M1には、ジャイロ、振動センサー、加速度センサー等が内蔵されている。そのため、状態検知部12は、これらのセンサーの出力を解析して、携帯端末M1の物理的な向きを検知する。状態検知部12は、検知された携帯端末M1の物理的な向き(即ち、携帯端末M1の状態)を示す情報(以降では、「状態情報」と呼ぶ)に、その物理的な向きを示す各センサーの出力を受けたときのタイミングを示す情報を関連付ける。これにより、例えば、タイミングに応じた携帯端末M1の物理的な向きの変化を、医用情報処理システム自身が認識することが可能となる。状態検知部12は、タイミングを示す情報が関連付けられた状態情報を関連付け処理部14に出力する。
【0014】
判定情報記憶部13は、状態情報(即ち、携帯端末M1の物理的な向きを示す情報)と、情報の種別(例えば、「主訴」、「所見」、「評価」、及び「計画」)を示す情報(以降では、「種別情報」と呼ぶ)とがあらかじめ関連付けられた判定情報をあらかじめ記憶している。
【0015】
関連付け処理部14は、音声解析部11から文字列データを受ける。また、関連付け処理部14は、状態検知部12から状態情報を受ける。関連付け処理部14は、状態情報と判定情報記憶部13に記憶された判定情報とを比較し、その状態情報に対応する種別情報を特定する。関連付け処理部14は、その文字列データに特定された種別情報を関連付ける。
【0016】
この関連付け処理部14の動作について、
図2を参照しながら具体的な例をあげて説明する。
図2は、本実施形態に係る医用情報処理システムの動作の一例を示した概念図である。
図2におけるD110〜D140は、音声データを示している。また、音声データD110〜D140それぞれが、音声解析部11により変換された文字列データを、それぞれ文字列データD111〜D141とする。また、D211〜D214は、それぞれが異なる情報の種別を示している。ここでは、種別情報D211は「主訴」、D212は「所見」、D213は「評価」、D214は「計画」にそれぞれ対応しているものとする。
【0017】
図2に示すように、関連付け処理部14は、携帯端末M1が上に向いているときに、この状態に対応する状態情報を状態検知部12から受ける。また、関連付け処理部14は、このときに入力された音声データD110から変換された文字列データD111を音声解析部11から受ける。判定情報記憶部13は、この状態情報と判定情報記憶部13に記憶された判定情報とを比較し、種別情報D211を特定する。判定情報記憶部13は、文字列データD111に特定された種別情報D211を関連付ける。この種別情報D211が関連付けられた文字列データD111を医用データD11とする。同様にして、関連付け処理部14は、携帯端末M1が下を向いている場合には「種別情報D212」、右を向いている場合には「種別情報D213」、左を向いている場合には「種別情報D214」をそれぞれ特定し、そのとき入力された文字列データD121〜D141にそれぞれ関連付ける。このようにして種別情報D212〜D214が関連付けられた文字列データD121〜D141を、それぞれ、医用データD12〜D14とする。
【0018】
なお、音声データの入力を行っている最中に携帯端末M1の向きが変更されて動作するように構成してもよい。このような場合には、関連付け処理部14は、まず、状態検知部12から受けた状態情報に関連付けられたタイミングを示す情報を基に、状態が変化した(携帯端末M1の向きが変わった)タイミングを特定する。次に、関連付け処理部14は、音声解析部11から受けた文字列データに関連付けられたタイミングを示す情報を参照し、特定されたタイミングに対応する部分で文字列データを分割する。以降は、前述の動作と同様に、関連付け処理部14は、分割後の文字列データそれぞれについて、そのタイミングに対応する状態情報を基に種別情報を特定し、特定された種別情報を対応する文字列データに関連付ける。このように動作させることで、音声入力中に携帯端末M1の向き(即ち、携帯端末M1の状態)を変更した場合においても、その状態ごとに医用データを生成することが可能となる。
【0019】
関連付け処理部14は、種別情報が関連付けられた文字列データ、即ち、医用データを医用情報更新部15に出力する。
【0020】
医用情報更新部15は、関連付け処理部14から医用データを受ける。また、医用情報更新部15は、複数の領域を有する診療録の雛型をあらかじめ記憶している。この雛型に含まれる各領域は、所定の種別情報にあらかじめ関連付けられている。医用情報更新部15は、関連付け処理部14から受けた医用データから文字列情報を抽出する。また、医用情報更新部15は、その医用データに含まれる種別情報を参照し、その種別情報に対応する領域に、抽出された文字列情報を書き込む。これにより、診療録のデータ(以降では、単に「診療録」と呼ぶ)が作成される。医用情報更新部15は、作成された診療録を医用情報記憶部30に記憶させる。医用情報記憶部30は、診療録(即ち、医用情報)を記憶するための記憶部である。
【0021】
なお、医用情報更新部15は、既に医用情報記憶部30に記憶されている診療録を更新するように動作させてもよい。その場合には、関連付け処理部14が、更新対象の診療録を特定するための識別情報(例えば、患者IDや検査IDなど)を、操作者から受けて、これを医用データに付帯させておけばよい。医用情報更新部15は、この識別情報を基に医用情報記憶部30を検索し、該当する診療録が存在すれば、それを抽出して更新すればよい。また、該当する診療録が存在しない場合には、医用情報更新部15は、新たに診療録を作成し、その識別情報を関連付けて医用情報記憶部30に記憶させればよい。以降では、医用情報更新部15は、各診療録に識別情報を付帯して医用情報記憶部30に記憶させるものして説明する。
【0022】
医用情報抽出部21は、操作部232を介して操作者から、診療録の指定(例えば、診療録の識別情報)を受ける。医用情報抽出部21は、医用情報記憶部30を検索して、指定された診療録を抽出する。医用情報抽出部21は、抽出された診療録を表示制御部22に出力する。
【0023】
表示制御部22は、医用情報抽出部21から診療録を受ける。表示制御部22は、この診療録を所定の表示態様で表示部231に表示させる。
【0024】
また、表示制御部22は、状態検知部12から状態情報を受けて、その状態情報に応じて、医用情報を入力するための入力画面を切り替えてもよい。具体的には、表示制御部22は、状態検知部12から状態情報を受けて、これを判定情報記憶部13に記憶された判定情報と比較して種別情報(例えば、「主訴」、「所見」、「評価」、及び「計画」)を特定する。表示制御部22は、種別情報ごとに入力画面をあらかじめ記憶しておき、特定された種別情報に対応する入力画面を表示部231に表示させる。
図3A及び
図3Bに入力画面の一例を示す。
【0025】
例えば、
図3Aは、検査機器M3をあわせて使用し、「所見」を入力するための入力画面V31の例を示している。入力画面V31は、携帯端末M1の外部機器の接続端子M11に、検査機器M3の接続端子M31を接続し、検査機器M3で取得したデータ(例えば、医用画像)に対する所見を入力する場合のものである。そのため、入力画面V31は、接続端子M11が上側に位置するときの状態情報に関連付けられている。入力画面V31は、例えば、検査機器M3を操作するための操作インタフェースV311と、取得したデータやそのデータを取得した検査の検査情報V312を含んで構成されている。
【0026】
また、
図3Bは、複数の医用画像を比較しながら「評価」を入力するための入力画面V32の例を示している。入力画面V32は、複数の医用画像を同時に表示させて、これらを比較しながら評価結果を入力する場合のものである。
図3Bの例では、入力画面V32上に、医用画像V321及びV322を横方向に並べて表示させている。このように、入力画面V32は、少なくとも2枚の医用画像を横方向に並べて表示できるように、画面の横幅が広くなる横向きとなるときの状態情報に関連付けられている。このように、各シーンにおける携帯端末M1の使用方法に応じて、入力画面と状態情報とをそれぞれ関連付けておけばよい。
【0027】
なお、前述したように、上記に示した各構成は、その機能を実行可能であれば、その場所は限定されず、携帯端末M1と医用情報管理サーバーM2とのいずれに配置してもよい。また、上記に示した全ての構成を携帯端末M1に含めてもよい。その場合には、携帯端末M1と医用情報管理サーバーM2との間で別途通信を確立し、携帯端末M1の医用情報記憶部30に記憶された診療録を、医用情報管理サーバーM2に転送するように動作させればよい。
【0028】
また、上記では医用データを基に診療録を作成し、これを医用情報記憶部30に記憶させる例について説明したが、医用データを医用情報記憶部30に記憶させるように動作させてもよい。この場合には、例えば、医用情報記憶部30に記憶させた医用データを基に診療録を作成する構成を別途設けてもよい。
【0029】
次に、本実施形態に係る医用情報処理システムにおいて、音声入力された医用情報を基に診療録を生成し、医用情報記憶部30に記憶させるまでの一連の処理の流れについて
図4を参照しながら説明する。
図4は、医用情報処理システムにおける、医用情報の入力に係る一連の動作を示したフローチャートである。
【0030】
(ステップS11)
状態検知部12は、携帯端末M1の物理的な向きを検知する。具体的には、携帯端末M1には、ジャイロ、振動センサー、加速度センサー等が内蔵されている。そのため、状態検知部12は、これらのセンサーの出力を解析して、携帯端末M1の物理的な向きを検知する。状態検知部12は、検知された携帯端末M1の物理的な向き(即ち、携帯端末M1の状態)を示す状態情報に、その物理的な向きを示す各センサーの出力を受けたときのタイミングを示す情報を関連付ける。状態検知部12は、タイミングを示す情報が関連付けられた状態情報を関連付け処理部14に出力する。
【0031】
(ステップS12)
関連付け処理部14は、状態検知部12から状態情報を受ける。関連付け処理部14は、状態情報と判定情報記憶部13に記憶された判定情報とを比較し、その状態情報に対応する種別情報を特定する。
【0032】
(ステップS13)
音声入力部233は、操作者により入力された音声データを音声解析部11に出力する。音声解析部11は、音声入力部233から音声データを受ける。
【0033】
(ステップS14)
音声解析部11は、この音声データを解析し文字列データに変換する。音声解析部11は、生成された文字列データに、生成元である音声データを受けたときのタイミングを示す情報を関連付ける。音声解析部11は、タイミングを示す情報が関連付けられた文字列データを関連付け処理部14に出力する。
【0034】
(ステップS15、ステップS17)
音声入力が終了したら(ステップS15、Y)、関連付け処理部14は、音声解析部11から文字列データを受ける。また、関連付け処理部14は、状態検知部12から状態情報を受ける。関連付け処理部14は、状態情報と判定情報記憶部13に記憶された判定情報とを比較し、その状態情報に対応する種別情報を特定する。関連付け処理部14は、その文字列データに特定された種別情報を関連付ける。関連付け処理部14は、種別情報が関連付けられた文字列データ、即ち、医用データを医用情報更新部15に出力する。
【0035】
(ステップS15、ステップS16)
音声入力が継続しており(ステップS15、N)、かつ、携帯端末M1の状態変更が検知されていない場合(ステップS16、N)、音声解析部11は、音声入力部233から音声データを受け、これを文字列データに変換する処理を継続する。医用情報更新部15は、関連付け処理部14から医用データを受ける。
【0036】
(ステップS15、ステップS16、ステップS17)
音声入力が継続している状態で(ステップS15、N)、かつ、携帯端末M1の状態変更が検知された場合(ステップS16、Y)、関連付け処理部14は、音声解析部11から文字列データを受ける。また、関連付け処理部14は、状態検知部12から状態情報を受ける。
【0037】
次に、関連付け処理部14は、まず、状態検知部12から受けた状態情報に関連付けられたタイミングを示す情報を基に、状態が変化した(携帯端末M1の向きが変わった)タイミングを特定する。関連付け処理部14は、まず、状態検知部12から受けた状態情報に関連付けられたタイミングを示す情報を基に、状態が変化した(携帯端末M1の向きが変わった)タイミングを特定する。以降は、前述の動作と同様に、関連付け処理部14は、分割後の文字列データそれぞれについて、そのタイミングに対応する状態情報を基に種別情報を特定し、特定された種別情報を対応する文字列データに関連付ける。関連付け処理部14は、種別情報が関連付けられた文字列データ、即ち、医用データを医用情報更新部15に出力する。医用情報更新部15は、関連付け処理部14から医用データを受ける。
【0038】
(ステップS18)
以上の処理を、操作者による入力操作が継続する限り(ステップS18、N)実行する。
【0039】
(ステップS19)
操作者による入力操作が終了したら、医用情報更新部15は、受けた医用データを基に診療録を作成する。具体的には、医用情報更新部15は、複数の領域を有する診療録の雛型をあらかじめ記憶している。この雛型に含まれる各領域は、所定の種別情報にあらかじめ関連付けられている。医用情報更新部15は、関連付け処理部14から受けた医用データから文字列情報を抽出する。また、医用情報更新部15は、その医用データに含まれる種別情報を参照し、その種別情報に対応する領域に、抽出された文字列情報を書き込む。これにより、診療録が作成される。医用情報更新部15は、作成された診療録を医用情報記憶部30に記憶させる。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る医用情報処理システムでは、携帯端末M1の向きに基づき医用情報の種別を特定し、音声入力により診療録に入力する医用情報を受ける。これにより、操作者は、音声入力により入力する医用情報の種別を、小さい画面を操作することなく指定すること可能となる。このように本実施形態に係る医用情報処理システムに依れば、小さい画面に対する画面操作のような煩雑な手順を踏むことなく、簡便な操作で、入力する医用情報の種別を指定することが可能となる。
【0041】
(変形例1)
次に、変形例1に係る医用情報処理システムについて説明する。上記の実施形態では、携帯端末M1の物理的な向きに応じて、そのときに入力された医用情報の種別を認識していた。しかしながら、携帯端末M1の複数の状態に応じて、医用情報の種別を認識可能であれば、必ずしも向きに基づく認識には限定されない。変形例1に係る医用情報処理システムでは、携帯端末M1と、携帯端末M1とは異なる外部機器との間の接続状態、即ち、携帯端末M1と外部機器との接続の有無、及び、接続された外部機器の種別に応じて医用情報の種別を認識する。以降では、変形例1に係る医用情報処理システムの具体的な構成について、上記実施形態とは異なる部分に着目して説明する。
【0042】
変形例1に係る状態検知部12は通信機能を備えており、この通信機能により携帯端末M1と外部機器との接続状態(例えば、接続が確立しているか否か)を検知する。そして、状態検知部12は、外部機器との接続が確立している場合には、接続されている外部機器の種別を検知する。外部機器の種別は、例えば、接続を確立したときに、その機器から種別を示す制御情報を受け取り、これを基に判別すればよい。外部機器としては、例えば、超音波診断装置などのような検査機器M3、患者の認証を行うための認証機器、問診やカンファレンスを撮影するための撮影機器等が挙げられる。状態検知部12は、検知された外部機器との接続状態を示す情報を、状態情報として関連付け処理部14に出力する。
【0043】
判定情報記憶部13は、判定情報として、状態情報(即ち、携帯端末M1と外部機器との接続状態を示す情報)と、情報の種別(例えば、「主訴」、「所見」、「評価」、及び「計画」)を示す種別情報とがあらかじめ関連付けて記憶している。
【0044】
この関連付けの一例としては、例えば、患者の訴えを聞く「主訴」の段階では、患者の認証を行う。そのため、携帯端末M1と認証機器とが接続されている状態を、「主訴」を示す種別情報に関連付けておくとよい。また、「所見」の段階では、検査機器M3等により取得された医用画像等の医用データに対する所見を入力する。そのため、携帯端末M1と検査機器M3とが接続されている状態を、「所見」に関連付けておくとよい。また、「計画」の段階では、患者に対して主治医が検査や治療の計画を説明するところをカメラなどにより撮影する場合がある。そのため、例えば、携帯端末M1とカメラなどの撮影機器とが接続されている状態を「計画」に関連付けておくとよい。また、「評価」の段階のように、外部機器を用いずに作業が可能な場合には、携帯端末M1に外部機器が接続されていない状態(即ち、接続が確立されていない状態)を関連付けておくとよい。
【0045】
関連付け処理部14は、音声解析部11から文字列データを受ける。また、関連付け処理部14は、状態検知部12から状態情報を受ける。関連付け処理部14は、状態情報と判定情報記憶部13に記憶された判定情報とを比較し、その状態情報に対応する種別情報を特定する。関連付け処理部14は、その文字列データに特定された種別情報を関連付ける。
【0046】
また、通信状態に限らず、例えば、接続している機器(ハードウェアあるいはソフトウェア)の操作の状態に応じて医用情報の種別を認識してもよい。超音波診断装置を例に具体的に説明すると、例えば、「スキャンを実行している状態」、「超音波画像を表示している状態」、「患者情報等の情報を入力している状態」等が挙げられる。「スキャンを実行している状態」は、例えば、スキャン時の設定情報の有無やスキャンを実行するモードを示す情報等により判別すればよい。また、「超音波画像を表示している状態」や「患者情報等の情報を入力している状態」について、これらの動作モード(例えば、患者情報の表示/入力モード、超音波画像の計測モード等)を示す情報に基づき判別すればよい。
【0047】
以上のように、変形例1に係る医用情報処理システムに依れば、外部機器との接続状態に応じて、そのときに入力される医用情報の種別を特定する。これにより、操作者は、音声入力により入力する医用情報の種別を、小さい画面を操作することなく指定すること可能となる。このように変形例1に係る医用情報処理システムにおいても、小さい画面に対する画面操作のような煩雑な手順を踏むことなく、簡便な操作で、入力する医用情報の種別を指定することが可能となる。
【0048】
(変形例2)
次に、変形例2に係る医用情報処理システムについて、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5は、変形例2に係る医用情報処理システムのブロック図である。また、
図6は、変形例2に係る医用情報処理システムの動作の一例を示した概念図である。変形例2に係る医用情報所利システムでは、医用情報記憶部30に記憶された診療録の少なくとも一部の記載の種別を、他の種別に変更する。これにより、診療録の作成時に、所望の領域に入力した医用情報の一部を、他の領域に移すことが可能となる。なお、診療録の作成に係る処理は、前述した実施形態及び変形例1と同様である。そこで、以降では、変形例2に係る医用情報処理システムの詳細な構成について、前述した実施形態とは異なる、医用情報の種別の変更に係る部分に着目して説明する。
【0049】
医用情報抽出部21は、操作部232を介して操作者から、診療録の指定(即ち、一部の記載の種別を変更する診療録の指定)を受ける。医用情報抽出部21は、医用情報記憶部30を検索して、指定された診療録を抽出する。医用情報抽出部21は、抽出された診療録を表示制御部22に出力する。
【0050】
表示制御部22は、医用情報抽出部21から診療録を受ける。表示制御部22は、この診療録を所定の表示態様で表示部231に表示させる。この診療録の表示に係る動作は、前述した実施形態と同様である。
【0051】
次に、操作部232は、表示された診療録のうち、種別を変更する記載の指定を受ける。このとき、操作部232は、例えば、診療録を構成する領域の指定を受け、その領域に記録された医療情報を指定された記載として認識してもよいし、ドラッグ操作等により該当箇所の指定をうけて、その部分を指定された記載として認識してもよい。操作部232は、この指定を基に該当箇所を示す情報(例えば、診療録中の該当箇所の位置情報)を医用情報抽出部21に通知する。
【0052】
医用情報抽出部21は、操作部232を介して操作者により指定された、該当箇所を示す情報を受ける。医用情報抽出部21は、表示制御部22を介して表示部231に表示させた診療録中から、該当箇所を示す情報に対応する診療録中の記載を文字列データとして抽出する。医用情報抽出部21は、抽出された文字列データを、抽出元の診療録を示す識別情報とあわせて医用情報分割部24に出力する。
【0053】
医用情報分割部24は、抽出された文字列データと診療録を示す識別情報とを医用情報抽出部21から受ける。医用情報分割部24は、この文字列データを解析し所定の単位(例えば、文節や段落など)に分割する。ここでは、医用情報分割部24は、文字列データを文単位の部分文字列データに分割するものとする。ここで、
図6を参照する。
図6のD15は、医用情報抽出部21により抽出された文字列データを示している。以降では、医用情報分割部24は、
図6に示すように、文字列データD15を、部分文字列データD151〜D154に分割したものとして説明する。医用情報分割部24は、部分文字列データD151〜D154を、診療録を示す識別情報とあわせて表示制御部22に出力する。
【0054】
表示制御部22は、医用情報分割部24から部分文字列データD151〜D154と診療録を示す識別情報とを受ける。表示制御部22は、これらの部分文字列データD151〜D154それぞれに対して、情報の種別を指定するための操作画面V4を生成する。操作画面V4は、
図6に示すように、部分文字列データを表示させるための領域V41と、情報の種別を指定するための領域V42とを含んで構成されている。領域V41は、複数の部分領域V411〜V414が設けられている。医用情報分割部24、受けた部分文字列データD151〜D154を、部分領域V411〜V414に表示させる。また、領域V42には、部分領域V421〜V424を含んで構成されている。また、部分領域V421は部分領域V411と、部分領域V422は部分領域V412と、部分領域V423は部分領域V413と、部分領域V424は部分領域V414とがそれぞれ関連付けられている。
【0055】
表示制御部22は、部分領域V421〜V424に種別情報を入力可能に表示させた操作画面V4を表示部231に表示させる。このとき、表示制御部22は、判定情報記憶部13を参照し、あらかじめ登録された種別情報のみを選択できるように、操作画面V4を生成するとよい。これにより操作者は、操作部232を介して、部分領域V411〜V414に表示された部分文字列データD151〜D154それぞれに対して、種別情報を指定することが可能となる。以降では、部分領域V421〜V424に入力された種別情報を、種別情報D221〜D224として説明する。なお、表示制御部22は、操作画面V4とあわせて、部分文字列データD151〜D154その抽出元である診療録の識別情報をU/I23に通知するとよい。これにより、U/I23は、操作画面V4に表示された部分文字列データD151〜D154の抽出元である診療録を認識することが可能となる。
【0056】
操作部232は、操作者による操作画面V4に対する操作を受けて、部分領域V421〜V424に入力された種別情報(即ち、種別情報D221〜D224)を、それぞれに対応する部分文字列データ(即ち、部分文字列データD151〜D154のいずれか)と関連付ける。具体的には、例えば、操作部232は、部分領域V221に入力された種別情報D221を、部分領域V221関連付けられた部分領域V411に表示された部分文字列データD151と関連付ける。種別情報D222〜D224及び部分文字列データD152〜D154についても同様である。操作部232は、指定された種別情報が関連付けられた部分文字列データそれぞれを、更新対象の診療録を示す識別情報(即ち、表示制御部22から通知された診療録を示す識別情報)とあわせて関連付け処理部14に出力する。なお、以降の動作は、種別情報D221が関連付けられた部分文字列データD151を例に説明する。
【0057】
関連付け処理部14は、操作部232から、種別情報D221が関連付けられた部分文字列データD151と更新対象の診療録を示す識別情報を受ける。関連付け処理部14は、この種別情報D221が関連付けられた部分文字列データD151を医用データD16として、診療録を示す識別情報とあわせて医用情報更新部15に出力する。
【0058】
医用情報更新部15は、関連付け処理部14から、医用データD16と診療録を示す識別情報とを受ける。医用情報更新部15は、受けた識別情報に対応する診療録を医用情報記憶部30から抽出する。医用情報更新部15は、医用データD16に含まれた種別情報D221を参照し、これに関連付けられた診療録中の領域を特定する。医用情報更新部15は、医用データD16から部分文字列データD151を抽出し、この部分文字列データD151で、特定された診療録中の領域に入力されている医用情報を更新する。このとき、医用情報更新部15は、その領域に既に入力されている医用情報に部分文字列データD151を追記してもよいし、部分文字列データD151で、その領域に既に入力されている医用情報を上書きしてもよい。また、操作画面V4を表示させる際に、あわせて既存の診療録を表示させ、部分文字列データD151を挿入する部分を指定可能に構成してもよい。この場合には、医用情報更新部15は、特定された領域中の指定された箇所に、部分文字列データD151を挿入すればよい。
【0059】
以上、変形例2に係る医用画像管理システムに依れば、前述した実施形態及び変形例1により生成及び更新された診療録を、簡便な操作により更新することが可能となる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載されたその均等の範囲に含まれる。