特許第5954776号(P5954776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954776
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20160707BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   H01L21/304 643A
   H01L21/306 R
   H01L21/304 648G
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-123433(P2012-123433)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-251335(P2013-251335A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170324
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 昌秀
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 彰夫
【審査官】 井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−308370(JP,A)
【文献】 特開2007−222755(JP,A)
【文献】 特開2005−183937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持して、基板の中央部を通る基板回転軸線まわりに基板を回転させる基板保持回転手段と、
基板の主面に近づくに従って基板の主面の中心に近づくように基板の主面に対して傾いた内向き吐出方向に処理液を吐出することにより、前記基板保持回転手段に保持されている基板の主面内の位置である中心側着液位置に処理液を着液させる中心側ノズルと、
前記中心側ノズルからの処理液の吐出と並行して、基板の主面の中心からの距離が前記中心側着液位置までの距離よりも長い基板の主面内の周縁側着液位置に向けて、基板の主面に近づくに従って基板の主面の中心から遠ざかるように基板の主面に対して傾いた外向き吐出方向に処理液を吐出することにより、前記基板保持回転手段に保持されている基板の主面内の前記周縁側着液位置に処理液を着液させる周縁側ノズルと、
前記中心側着液位置が、基板の主面の中心と基板と同軸の円形の中心領域の外周縁との間で移動し、前記周縁側着液位置が、前記中心領域を同軸的に取り囲む環状の周縁領域の内周縁と基板の主面の外周縁との間で移動するように、前記基板回転軸線に交差するノズル移動方向に前記中心側ノズルおよび周縁側ノズルを移動させるノズル移動手段とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記ノズル移動手段は、前記中心側着液位置が、基板の主面の中心と基板の主面を基板の径方向に二等分する円形の境界線との間で移動し、前記周縁側着液位置が、前記境界線と基板の主面の外周縁との間で移動するように、前記ノズル移動方向に前記中心側ノズルおよび周縁側ノズルを移動させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記中心側ノズルからの処理液の吐出流量と前記周縁側ノズルからの処理液の吐出流量との比を1:3(前記中心側ノズルからの処理液の吐出流量:前記周縁側ノズルからの処理液の吐出流量)に近づける流量制御手段をさらに含む、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板処理装置は、前記周縁側ノズルからの処理液の吐出方向を、前記外向き吐出方向と前記内向き吐出方向との間で変更する吐出角度変更手段をさらに含み、
前記吐出角度変更手段は、前記周縁側着液位置が基板の主面の外周縁に位置するときに、前記周縁側ノズルからの処理液の吐出方向を前記内向き吐出方向に維持する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理する基板処理装置が用いられる。
特許文献1に記載の枚葉式の基板処理装置は、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックに保持されている基板の下面(裏面)に向けて高温薬液を吐出する薬液吐出ノズルとを備えている。薬液吐出ノズルは、薬液が供給されるノズル孔と、このノズル孔に連続する3つの吐出口とを含む。ノズル孔内に供給された薬液は、回転状態の基板の下面に向けて3つの吐出口から斜めに吐出される。3つの吐出口から吐出された薬液は、それぞれ、基板の中心からの距離が異なる基板の下面内の3つの位置に供給される。基板の下面に当たった薬液は、基板の下面内を広がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−192875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板に供給された処理液は、主として基板への熱伝導によって温度が低下する。特許文献1では、吐出口から吐出された薬液が、基板の中心からの距離が一定の位置に供給される。吐出口から吐出された薬液が最初に当たる位置以外の位置には、基板との接触によって温度が低下した薬液が供給されることに加えて、その位置でも薬液の熱が基板に奪われるので、薬液が基板に当たる位置での薬液の温度は、それ以外の位置での薬液の温度よりも高い。したがって、エッチングレートなどの薬液の処理能力が温度に依存する場合には、処理の均一性が低下してしまう。処理の均一性は、基板に作り込まれるデバイスの微細化に伴い更なる改善が求められている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、処理液の温度の面内均一性を高めることができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を保持して、基板の中央部を通る基板回転軸線(A1)まわりに基板を回転させる基板保持回転手段(4)と、基板の主面に近づくに従って基板の主面の中心(C1)に近づくように基板の主面に対して傾いた内向き吐出方向(D1)に処理液を吐出することにより、前記基板保持回転手段に保持されている基板の主面内の位置である中心側着液位置(Pc)に処理液を着液させる中心側ノズル(6)と、前記中心側ノズルからの処理液の吐出と並行して、基板の主面の中心からの距離が前記中心側着液位置までの距離よりも長い基板の主面内の周縁側着液位置(Pe)に向けて、基板の主面に近づくに従って基板の主面の中心から遠ざかるように基板の主面に対して傾いた外向き吐出方向に処理液を吐出することにより、前記基板保持回転手段に保持されている基板の主面内の前記周縁側着液位置に処理液を着液させる周縁側ノズル(7)と、前記中心側着液位置が、基板の主面の中心と基板と同軸の円形の中心領域(Rc)の外周縁との間で移動し、前記周縁側着液位置が、前記中心領域を同軸的に取り囲む環状の周縁領域(Re)の内周縁と基板の主面の外周縁との間で移動するように、前記基板回転軸線に交差するノズル移動方向(D3)に前記中心側ノズルおよび周縁側ノズルを移動させるノズル移動手段(20)とを含む、基板処理装置(1、201)である。基板の主面は、デバイス形成面である基板の表面であってもよいし、非デバイス形成面である基板の裏面(表面とは反対側の面)であってもよい。
【0007】
この構成によれば、基板保持回転手段が基板回転軸線まわりに基板を回転させている状態で、中心側ノズルが、基板の主面内の中心側着液位置に向けて処理液を吐出する。これと並行して、周縁側ノズルが、基板の主面の中心からの距離が中心側着液位置までの距離よりも長い基板の主面内の周縁側着液位置に向けて処理液を吐出する。ノズル移動手段は、中心側着液位置を、基板の主面の中心と、基板と同軸の円形の中心領域の外周縁との間で移動させ、周縁側着液位置を、中心領域を同軸的に取り囲む環状の周縁領域の内周縁と、基板の主面の外周縁との間で移動させる。したがって、中心側ノズルから吐出された処理液は、中心領域だけに直接供給され、周縁側ノズルから吐出された処理液は、周縁領域だけに直接供給される。そのため、1つのノズルから吐出された処理液が、基板の主面全域に供給される場合よりも、基板上での処理液の温度を精度よくコントロールできる。これにより、処理液の温度の面内均一性を高めることができる。
【0008】
さらに、中心側ノズルは、基板の主面に近づくに従って基板の主面の中心に近づくように基板の主面に対して傾いた内向き吐出方向に処理液を吐出する。中心側ノズルから吐出された処理液は、基板上で遠心力を受けるものの、基板の中心に近づく方向の速度成分を有しているので、直ぐには基板上を外方に移動しない。中心側ノズルから吐出された処理液の熱は、基板に接触した瞬間に熱伝導により基板に移動する。中心側ノズルから吐出された処理液は、吐出されてから暫くの間、中心領域に留まるので、この処理液の熱は、中心領域に伝達される。そのため、中心領域での処理液の温度を精度よくコントロールできると共に、中心側ノズルから吐出された処理液の熱が、中心領域の周囲の領域に伝達されることを抑制または防止できる。これにより、処理液の温度の面内均一性をさらに高めることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記ノズル移動手段は、前記中心側着液位置が、基板の主面の中心と基板の主面を基板の径方向に二等分する円形の境界線(L1)との間で移動し、前記周縁側着液位置が、前記境界線と基板の主面の外周縁との間で移動するように、前記ノズル移動方向に前記中心側ノズルおよび周縁側ノズルを移動させる、請求項1に記載の基板処理装置である。
【0010】
この構成によれば、基板保持回転手段が基板回転軸線まわりに基板を回転させている状態で、ノズル移動手段が、基板の主面の中心と、基板の主面を基板の径方向に二等分する円形の境界線との間で、中心側着液位置を移動させる。さらに、ノズル移動手段は、基板保持回転手段が基板回転軸線まわりに基板を回転させている状態で、境界線と、基板の主面の外周縁との間で、周縁側着液位置を移動させる。これにより、基板の主面が中心側着液位置および周縁側着液位置によって過不足なくスキャン(走査)され、中心側ノズルおよび周縁側ノズルから吐出された処理液が、基板の主面全域に供給される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記中心側ノズルからの処理液の吐出流量と前記周縁側ノズルからの処理液の吐出流量との比を1:3(前記中心側ノズルからの処理液の吐出流量:前記周縁側ノズルからの処理液の吐出流量)に近づける流量制御手段(3、13、15)をさらに含む、請求項2に記載の基板処理装置である。
前述のように、基板の主面は、境界線によって中心領域と周縁領域とに二等分されている。中心領域の半径を「r(基板の半径の1/2に相当)」と定義すると、周縁領域の外周縁の半径は、2r(基板の半径に相当)である。中心領域の面積は、πrであり、周縁領域の面積は、3πr(=4πr−πr)である。したがって、中心領域と周縁領域との面積比は、1:3である。
【0012】
流量制御手段は、略1:3の流量比で中心側ノズルおよび周縁側ノズルから処理液を吐出させる。前述のように、中心側ノズルから吐出された処理液は、中心領域だけに直接供給され、周縁側ノズルから吐出された処理液は、周縁領域だけに直接供給される。したがって、中心領域と周縁領域との面積比に等しい流量比で中心領域と周縁領域とに処理液が供給される。そのため、基板の主面全域に均一な流量で処理液が供給される。これにより、処理液の温度の面内均一性をさらに高めることができる。
請求項4記載の発明のように、前記基板処理装置は、前記周縁側ノズルからの処理液の吐出方向を、前記外向き吐出方向と前記内向き吐出方向との間で変更する吐出角度変更手段をさらに含み、前記吐出角度変更手段は、前記周縁側着液位置が基板の主面の外周縁に位置するときに、前記周縁側ノズルからの処理液の吐出方向を前記内向き吐出方向に維持してもよい。
【0013】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置に備えられた処理ユニットの内部を水平方向から見た模式図である。
図2】処理ユニットの内部を上から見た模式図である。
図3】中心側ノズルおよび周縁側ノズルから基板への処理液の供給状態について説明するための模式図である。
図4】従来のスキャンノズルを用いて基板に処理液を供給したときと、中心側ノズルおよび周縁側ノズルを用いて基板に処理液を供給したときの基板上での処理液の温度分布を示すグラフである。
図5】本発明の第2実施形態に係る中心側ノズルおよび周縁側ノズルの拡大図である。
図6】中心側ノズルおよび周縁側ノズルから基板への処理液の供給状態について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1に備えられた処理ユニット2の内部を水平方向から見た模式図である。図2は、処理ユニット2の内部を上から見た模式図である。図3は、中心側ノズル6および周縁側ノズル7から基板Wへの処理液の供給状態について説明するための模式図である。
【0016】
図1に示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、複数の処理ユニット2と、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置3とを含む。
図1に示すように、処理ユニット2は、基板Wを水平に保持して基板Wの中心C1を通る鉛直な基板回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャック4と、スピンチャック4に保持されている基板Wに向けて処理液を吐出する複数の処理液ノズル(リンス液ノズル5、中心側ノズル6、周縁側ノズル7)とを含む。
【0017】
図1に示すように、スピンチャック4は、基板Wを水平に保持している状態で基板回転軸線A1まわりに回転可能な円盤状のスピンベース8と、スピンベース8を基板回転軸線A1まわりに回転させるスピンモータ9とを含む。スピンチャック4は、基板Wを水平方向に挟んで当該基板Wを水平に保持する挟持式のチャックであってもよいし、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)を吸着することにより当該基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。図1および図2では、スピンチャック4が挟持式のチャックである場合が示されている。制御装置3は、スピンモータ9を制御することにより、基板回転軸線A1まわりに基板Wを回転させる。
【0018】
図1に示すように、複数の処理液ノズルは、基板Wの上面に向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル5を含む。リンス液ノズル5は、固定された状態で基板Wの上面中央部に向けて処理液を吐出する固定ノズルである。リンス液ノズル5は、基板Wの上面に対する処理液の着液位置が基板Wの上面内で移動するように移動しながら処理液を吐出するスキャンノズルであってもよい。基板処理装置1は、リンス液ノズル5に接続されたリンス液配管10と、リンス液配管10に介装されたリンス液バルブ11とを含む。リンス液バルブ11が開かれると、リンス液供給源からのリンス液が、リンス液配管10からリンス液ノズル5に供給され、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル5から吐出される。リンス液ノズル5に供給されるリンス液は、純水(脱イオン水:Deionzied Water)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などであってもよい。
【0019】
図1に示すように、複数の処理液ノズルは、さらに、基板Wの中心C1(上面の中心)からの距離が異なる基板Wの上面内の複数の位置に向けて薬液を吐出する複数のスキャンノズルを含む。複数のスキャンノズルは、基板Wの上面内の中心側着液位置Pcに向けて薬液を吐出する中心側ノズル6と、基板Wの上面内の周縁側着液位置Peに向けて薬液を吐出する周縁側ノズル7とを含む。中心側ノズル6は、複数のスキャンノズルのうちで基板Wの中心C1からの距離が最も短い基板Wの上面内の位置(中心側着液位置Pc)に向けて薬液を吐出するノズルであり、周縁側ノズル7は、複数のスキャンノズルのうちで基板Wの中心C1からの距離が最も長い基板Wの上面内の位置(周縁側着液位置Pe)に向けて薬液を吐出するノズルである。したがって、中心側着液位置Pcは、周縁側着液位置Peよりも基板Wの中心C1側の位置であり、基板Wの中心C1から中心側着液位置Pcまでの距離は、基板Wの中心C1から周縁側着液位置Peまでの距離よりも短い。
【0020】
図1に示すように、基板処理装置1は、中心側ノズル6に接続された中心配管12と、中心配管12に介装された流量調整バルブ13と、周縁側ノズル7に接続された周縁配管14と、周縁配管14に介装された流量調整バルブ15とを含む。基板処理装置1は、さらに、中心配管12と周縁配管14とに接続された集合配管16と、集合配管16に介装された集合バルブ17と、集合配管16に接続された薬液供給装置18とを含む。
【0021】
図1に示すように、集合バルブ17が開かれると、薬液供給装置18内の薬液が、集合配管16を通じて中心配管12および周縁配管14に供給される。集合配管16から中心配管12に供給された薬液は、流量調整バルブ13の開度に対応する流量で、中心側ノズル6に供給される。同様に、集合配管16から周縁配管14に供給された薬液は、流量調整バルブ15の開度に対応する流量で、周縁側ノズル7に供給される。したがって、集合バルブ17が開かれると、共通の薬液供給源からの薬液、すなわち、種類が同じで、温度が同一の薬液が、中心側ノズル6および周縁側ノズル7に供給される。そして、集合バルブ17が閉じられると、中心側ノズル6および周縁側ノズル7からの薬液の吐出が停止される。
【0022】
図1に示すように、中心側ノズル6は、基板Wの上面に近づくに従って基板Wの中心C1に近づくように基板Wの上面に対して傾いており、中心側ノズル6の吐出口6aから中心側着液位置Pcに向かう内向き吐出方向D1に薬液を吐出する。周縁側ノズル7は、基板Wの上面に近づくに従って基板Wの中心C1から遠ざかるように基板Wの上面に対して傾いており、周縁側ノズル7の吐出口7aから周縁側着液位置Peに向かう外向き吐出方向D2に薬液を吐出する。したがって、中心側ノズル6および周縁側ノズル7は、互いに離間する方向に薬液を吐出する。内向き吐出方向D1は、基板Wの回転方向に直交する方向であってもよいし、基板Wの回転方向に対して傾いた方向であってもよい。外向き吐出方向D2についても同様である。
【0023】
薬液供給装置18から中心側ノズル6および周縁側ノズル7に供給される薬液は、洗浄液であってもよいし、エッチング液であってもよいし、洗浄液およびエッチング液以外の液体であってもよい。具体的には、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液が、中心側ノズル6および周縁側ノズル7に供給されてもよい。また、リンス液が、中心側ノズル6および周縁側ノズル7に供給されてもよい。
【0024】
中心側ノズル6および周縁側ノズル7に供給される薬液の温度範囲は、たとえば、20〜200℃である。すなわち、中心側ノズル6および周縁側ノズル7に供給される薬液の温度は、室温(20〜30℃)であってもよいし、室温よりも高温であってもよい。図1では、薬液供給装置18が、液温調整装置19を備えており、室温よりも高温(たとえば、60〜80℃)の薬液が、中心側ノズル6および周縁側ノズル7に供給される場合が示されている。
【0025】
図2に示すように、基板処理装置1は、基板回転軸線A1に交差するノズル移動方向D3に複数のスキャンノズルを移動させるノズル移動機構20を含む。ノズル移動機構20は、複数のスキャンノズルを個別に移動させる個別移動機構であってもよいし、複数のスキャンノズルを一体的に移動させる一体移動機構であってもよい。図1および図2では、ノズル移動機構20が、一体移動機構である場合が示されている。
【0026】
図2に示すように、ノズル移動機構20は、中心側ノズル6および周縁側ノズル7を保持するノズルアーム21と、スピンチャック4の周囲で鉛直に延びるノズル回転軸線まわりにノズルアーム21を回転させる駆動機構22とを含む。駆動機構22は、ノズルアーム21に連結された鉛直な支軸と、支軸と同軸のモータとを含む構成であってもよいし、ノズルアーム21に連結された鉛直な支軸と、支軸をその中心軸線まわりに回転させる動力を発生するモータと、支軸とモータとを連結する無端環状の伝動部材(たとえば、ベルト)と含む構成であってもよい。
【0027】
図2に示すように、ノズル移動機構20は、平面視において基板Wの上面中央部を通る円弧状の軌跡X1に沿って中心側ノズル6および周縁側ノズル7を水平に移動させる。ノズル移動方向D3は、軌跡X1に沿う水平な方向である。ノズル移動機構20は、中心側ノズル6および周縁側ノズル7が基板Wの上方に位置する処理位置(図2に示す位置)と、中心側ノズル6および周縁側ノズル7が基板Wの上方から離れた退避位置との間で、軌跡X1に沿って中心側ノズル6および周縁側ノズル7を水平に移動させる。中心側着液位置Pcおよび周縁側着液位置Peは、中心側ノズル6および周縁側ノズル7の移動に伴って基板Wの上面内を移動する。中心側着液位置Pcおよび周縁側着液位置Peは、軌跡X1上の位置である。
【0028】
図2に示すように、ノズル移動機構20は、中心側ノズル6を移動させることにより、基板Wの中心C1と、基板Wと同軸の円形の中心領域Rc(境界線L1の内側の領域)の外周縁との間で、中心側着液位置Pcを移動させる。また、ノズル移動機構20は、周縁側ノズル7を移動させることにより、中心領域Rcを同軸的に取り囲む円環状の周縁領域Re(境界線L1の外側の領域)の内周縁と、基板Wの外周縁(基板Wの上面の外周縁)との間で、周縁側着液位置Peを移動させる。中心領域Rcは、基板Wと同軸の円形の境界線L1によって取り囲まれた円形の領域であり、周縁領域Reは、境界線L1から基板Wの外周縁までの円環状の領域である。中心領域Rcおよび周縁領域Reは、境界線L1に接する互いに異なる領域である。したがって、ノズル移動機構20は、中心側着液位置Pcおよび周縁側着液位置Peを互いに異なる領域内で移動させる。
【0029】
図3に示すように、境界線L1は、基板Wの上面を基板Wの径方向に二等分している。したがって、中心領域Rc(円形の領域)の半径と周縁領域Re(円環状の領域)の幅(径方向への長さ)とは、互いに等しい。中心領域Rcの半径を「r(基板Wの半径の1/2に相当)」と定義すると、周縁領域Reの外周縁の半径は、2r(基板Wの半径に相当)である。中心領域Rcの面積は、πrであり、周縁領域Reの面積は、3πr(=4πr−πr)である。したがって、中心領域Rcと周縁領域Reとの面積比は、1:3である。
【0030】
図3に示すように、中心側着液位置Pcから周縁側着液位置Peまでの距離Dは、基板Wの半径よりも小さい。図3では、距離Dが、基板Wの中心C1から周縁領域Reの内周縁(境界線L1)までの距離に等しく、中心領域Rcの外周縁(境界線L1)から周縁領域Reの外周縁(基板Wの外周縁)までの距離に等しい場合が示されている。したがって、中心側着液位置Pcが基板Wの中心C1上に位置している状態では、周縁側着液位置Peは、周縁領域Reの内周縁上に位置している。また、中心側着液位置Pcが中心領域Rcの外周縁上に位置している状態では、周縁側着液位置Peは、周縁領域Reの外周縁(基板Wの外周縁)上に位置している。たとえば、ノズル移動機構20が、中心側着液位置Pcを基板Wの中心C1から中心領域Rcの外周縁に移動させると、周縁側着液位置Peは、周縁領域Reの内周縁から基板Wの外周縁に移動する。
【0031】
中心側着液位置Pcが基板Wの中心C1上に配置され、周縁側着液位置Peが周縁領域Reの内周縁上に配置される位置は、中心側ノズル6および周縁側ノズル7のセンター位置(図3において実線で示す位置)であり、中心側着液位置Pcが中心領域Rcの外周縁上に配置され、周縁側着液位置Peが基板Wの外周縁上に配置される位置は、中心側ノズル6および周縁側ノズル7のエッジ位置(図3において二点鎖線で示す位置)である。制御装置3は、ノズル移動機構20を制御することにより、中心側ノズル6および周縁側ノズル7をセンター位置とエッジ位置との間で移動させる。制御装置3が中心側ノズル6および周縁側ノズル7をセンター位置側に移動させると、中心側着液位置Pcおよび周縁側着液位置Peが、互いに等しい速度で基板Wの中心C1に近づき、制御装置3が中心側ノズル6および周縁側ノズル7をエッジ位置側に移動させると、中心側着液位置Pcおよび周縁側着液位置Peが、互いに等しい速度で基板Wの中心C1から遠ざかる。
【0032】
制御装置3は、スピンチャック4によって基板回転軸線A1まわりに基板Wを回転させながら、基板Wの上面に向けて中心側ノズル6および周縁側ノズル7から薬液を吐出させる。この状態で、制御装置3は、センター位置とエッジ位置との間で中心側ノズル6および周縁側ノズル7を複数回往復させる。これにより、中心領域Rcの全域が中心側着液位置Pcによってスキャン(走査)され、中心側ノズル6から吐出された薬液が中心領域Rcの全域に供給される。同様に、周縁領域Reの全域が周縁側着液位置Peによってスキャンされ、周縁側ノズル7から吐出された薬液が周縁領域Reの全域に供給される。これにより、基板Wの上面全域に薬液が供給される(薬液供給工程)。
【0033】
中心側ノズル6への薬液の供給流量を変更する流量調整バルブ13(図1参照)の開度と、周縁側ノズル7への薬液の供給流量を変更する流量調整バルブ15(図1参照)の開度とは、制御装置3によって制御される。制御装置3は、流量調整バルブ13の開度と流量調整バルブ15の開度とを変更することにより、中心側ノズル6からの薬液の吐出流量と周縁側ノズル7からの薬液の吐出流量との比を1:3(中心側ノズル6からの薬液の吐出流量:周縁側ノズル7からの薬液の吐出流量)に近づけている。したがって、略1:3の流量比で中心領域Rcと周縁領域Reとに薬液が供給される。前述のように、中心領域Rcと周縁領域Reとの面積比は、1:3である。したがって、基板Wの上面内の各位置には、等しい流量で薬液が供給され、基板Wの上面全域に均一な流量で薬液が供給される。
【0034】
中心側ノズル6から吐出された薬液は、中心側着液位置Pcに着液した後、基板Wの回転による遠心力を受ける。しかし、図3に示すように、中心側ノズル6は、基板Wの上面に近づくに従って基板Wの中心C1に近づくように、一定の角度で基板Wの上面に対して傾いた内向き吐出方向D1に薬液を吐出する。したがって、中心側ノズル6から吐出された薬液は、直ぐには基板W上を外方に移動しない。そのため、中心側着液位置Pcが中心領域Rcの外周縁に位置している状態でも、中心側ノズル6から吐出された薬液は、中心領域Rc内に一定時間滞在した後に周縁領域Reに移動する。中心側ノズル6から吐出された薬液の熱は、基板Wに接触した瞬間に熱伝導により基板Wに移動する。そのため、中心側ノズル6から吐出された薬液の熱は、中心領域Rcに移動する。さらに、中心側ノズル6からの薬液の吐出流量が、周縁側ノズル7からの薬液の吐出流量よりも少ないので、薬液から基板Wの中央部(中心領域Rc)に伝達される熱量は、薬液から基板Wの周縁部(周縁領域Re)に伝達される熱量よりも少ない。
【0035】
一方、図3に示すように、周縁側ノズル7は、基板Wの上面に近づくに従って基板Wの中心C1から遠ざかるように、一定の角度で基板Wの上面に対して傾いた外向き吐出方向D2に薬液を吐出する。したがって、周縁側ノズル7から吐出された薬液は、周縁側着液位置Peに着液した後、直ぐに周縁領域Re内を外方に移動する。そのため、周縁側ノズル7から吐出された薬液は、殆ど温度が低下していない状態、すなわち、薬液の全ての熱が基板Wに奪われていない状態で基板Wの外周縁に到達する。周縁側着液位置Peが周縁領域Reの内周縁に位置している状態で、周縁側ノズル7から基板Wの上面に垂直な方向に薬液を吐出すると、周縁側ノズル7から吐出された薬液が、中心領域Rcに進入してしまう場合がある。したがって、周縁側ノズル7から外向きに薬液を吐出することにより、周縁側ノズル7から吐出された薬液が、中心領域Rcに進入することを抑制または防止できる。そのため、周縁側ノズル7から吐出された薬液の熱は、周縁領域Reに伝達される。また、中心側ノズル6から中心領域Rcに供給された薬液が、周縁領域Reに流れるものの、中心領域Rcに供給される薬液の流量が少ないので、中心領域Rcからの薬液によって周縁領域Reにもたらされる熱的な影響は、無視できるほどに小さい。
【0036】
このように、中心側ノズル6が内向きに薬液を吐出するので、中心側ノズル6から吐出された薬液は、より長い時間、基板Wの中央部に滞在する。したがって、基板Wの中央部は、中心側ノズル6から吐出された薬液によって効率的に加熱される。そのため、基板Wの中央部に与えられる熱量を維持しつつ、中心側ノズル6からの薬液の吐出流量を低減できる。その一方で、周縁側ノズル7から吐出された薬液は、基板Wの中央部に接触しないで周縁部に供給されるので、基板Wの周縁部は、液温が低下していない薬液によって効果的に加熱される。さらに、基板Wの周縁部は、基板Wの中央部よりも面積が広いものの、周縁側ノズル7からの薬液の吐出流量が、中心側ノズル6からの薬液の吐出流量よりも多いので、基板Wの各位置に伝達される熱量が均一化される。これにより、基板Wの面内全域の温度が均一化されると共に、基板W上での薬液の温度が、基板Wの面内全域で均一化される。
【0037】
制御装置3は、中心側ノズル6および周縁側ノズル7からの薬液の吐出を開始させてから所定時間が経過した後、中心側ノズル6および周縁側ノズル7からの薬液の吐出を停止させる。その後、制御装置3は、リンス液バルブ11(図1参照)を開いて、基板Wの上面に向けてリンス液ノズル5からリンス液(たとえば、純水)を吐出させる。リンス液ノズル5から吐出されたリンス液は、基板Wの上面全域に供給される(リンス液供給工程)。これにより、基板W上の薬液が洗い流される。制御装置3は、リンス液ノズル5からのリンス液の吐出を停止させた後、スピンチャック4によって基板Wを高回転速度(たとえば、数千rpm)で回転させる(乾燥工程)。これにより、基板W上の液体が基板Wの周囲に振り切られ、基板Wが乾燥する。
【0038】
図4は、従来のスキャンノズルを用いて基板Wに処理液を供給したときと、中心側ノズル6および周縁側ノズル7を用いて基板Wに処理液を供給したときの基板W上での処理液の温度分布を示すグラフである。
図4の実線の温度分布は、直径300mmの円板状の基板Wをスピンチャック4によって300rpmで回転させながら、中心側ノズル6および周縁側ノズル7から基板Wの上面に向けて温水(室温よりも高温の純水)を吐出させ、この状態で、中心側ノズル6および周縁側ノズル7をセンター位置とエッジ位置との間で移動させたときの測定値である。図4の一点鎖線の温度分布は、直径300mmの円板状の基板Wをスピンチャック4によって300rpmで回転させながら、従来のスキャンノズルから基板Wの上面に向けて温水を吐出させ、この状態で、温水の着液位置を基板Wの中心C1と基板Wの外周縁との間で移動させたときの測定値である。2つの測定条件は、使用したノズルを除き、同一である。
【0039】
従来のスキャンノズルを用いた場合、基板Wの周縁部に供給される温水には、基板Wの中央部によって熱が奪われた温水が含まれている。そのため、図4を見ると分かるように、従来のスキャンノズルを用いた場合には、基板W上での処理液の温度は、基板Wの中央部で最も高く、基板Wの中央部から離れるに従って緩やかに減少している。これに対して、中心側ノズル6および周縁側ノズル7を用いた場合は、基板Wの周縁部に供給される温水の流量が、基板Wの中央部に供給される温水の流量よりも多い上に、周縁側ノズル7から吐出された温水が、基板Wの周縁部に直接供給されるので、基板W上での処理液の温度が、ほぼ一定であり、液温の最大値と液温の最小値との差が、従来のスキャンノズルを用いた場合よりも小さい。したがって、温水の熱が、基板Wの全域に効果的に伝達されており、基板W上での処理液の温度の面内均一性が、従来のスキャンノズルを用いた場合よりもが高い。そのため、中心側ノズル6および周縁側ノズル7を用いることにより、従来のスキャンノズルを用いた場合よりも処理の均一性を高めることができる。
【0040】
以上のように第1実施形態では、中心側ノズル6から吐出された処理液は、中心領域Rcだけに直接供給され、周縁側ノズル7から吐出された処理液は、周縁領域Reだけに直接供給される。さらに、中心側ノズル6は、基板Wの中心C1側に傾いた内向き吐出方向D1に処理液を吐出するので、中心側ノズル6から吐出された処理液は、吐出されてから暫くの間、中心領域Rcに留まる。さらに、周縁側ノズル7は、基板Wの外周縁側に傾いた外向き吐出方向D2に処理液を吐出するので、周縁側ノズル7から吐出された処理液は、周縁領域Reだけに供給される。中心側ノズル6および周縁側ノズル7から吐出された処理液の熱は、基板Wに接触した瞬間に熱伝導により基板Wに移動する。そのため、中心側ノズル6から吐出された処理液の熱は、中心領域Rcに移動し、周縁側ノズル7から吐出された処理液の熱は、周縁領域Reに移動する。さらに、中心領域Rcおよび周縁領域Reには、中心領域Rcおよび周縁領域Reの面積比に等しい流量比で処理液が供給される。そのため、等しい流量の処理液が、基板Wの上面内の各位置に供給され、基板Wによって奪われる処理液の熱量が、基板Wの面内全域で均一化される。これにより、処理液の温度の面内均一性を高めることができる。したがって、処理の均一性を高めることができる。
【0041】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る中心側ノズル6および周縁側ノズル7の拡大図である。図6は、中心側ノズル6および周縁側ノズル7から基板Wへの処理液の供給状態について説明するための模式図である。
図5に示すように、第2実施形態に係る基板処理装置201は、第1実施形態に係る基板処理装置1の構成に加えて、周縁側ノズル7からの処理液の吐出角度を変更する吐出角度変更機構223を備えている。
【0042】
図5に示すように、吐出角度変更機構223は、ノズルアーム21に設けられたスライド溝224と、このスライド溝224に沿って周縁側ノズル7が移動できるように周縁側ノズル7とノズルアーム21とを連結する連結ピン225と、周縁側ノズル7をスライド溝224に沿って移動させる回動機構226とを含む。連結ピン225および回動機構226は、ノズルアーム21に保持されており、中心側ノズル6および周縁側ノズル7と共に軌跡X1(図2参照)に沿って移動する。回動機構226は、エアシリンダやモータなどのアクチュエータであってもよいし、アクチュエータと、アクチュエータの動力を周縁側ノズル7に伝達する伝達部材とを備えていてもよい。
【0043】
図5に示すように、周縁側ノズル7は、ノズルアーム21に対して連結ピン225の中心軸線(水平軸線)まわりに回動可能である。回動機構226は、内向き姿勢(二点鎖線で示す姿勢)と外向き姿勢(実線で示す姿勢)との間で周縁側ノズル7をスライド溝224に沿って移動させる。図6に示すように、内向き姿勢は、周縁側ノズル7が、基板Wの上面に近づくに従って基板Wの中心C1に近づくように基板Wの上面に対して傾いた内向き吐出方向D1に薬液を吐出する姿勢である。外向き姿勢は、周縁側ノズル7が、基板Wの上面に近づくに従って基板Wの中心C1から遠ざかるように基板Wの上面に対して傾いた外向き吐出方向D2に薬液を吐出する姿勢である。
【0044】
図5に示すように、回動機構226は、制御装置3に制御される。図6に示すように、中心側着液位置Pcが基板Wの中心C1上に配置され、周縁側着液位置Peが周縁領域Reの内周縁上に配置されるセンター位置(実線で示す位置)では、制御装置3は、周縁側ノズル7を外向き姿勢に維持する。その一方で、中心側着液位置Pcが中心領域Rcの外周縁上に配置され、周縁側着液位置Peが基板Wの外周縁上に配置されるエッジ位置(二点鎖線で示す位置)では、制御装置3は、周縁側ノズル7を内向き姿勢に維持する。制御装置3は、さらに、周縁側ノズル7を回動機構226によって内向き姿勢と外向き姿勢との間で一定の回転角度で回転させながら、中心側ノズル6および周縁側ノズル7をノズル移動機構20によってセンター位置とエッジ位置との間で移動させる。
【0045】
周縁側着液位置Peが基板Wの外周縁付近に位置している状態で、周縁側ノズル7が、外向き吐出方向D2に処理液を吐出すると、周縁側ノズル7から吐出された処理液が、基板W上で遠心力を受けることに加えて、基板Wの中心C1から離れる方向の速度成分を有しているので、周縁側着液位置Peに着液した処理液は、直ぐに基板Wの周囲に振り切られる。そのため、処理液が基板Wの処理に殆ど寄与しない。その一方で、図6に示すように、周縁側着液位置Peが基板Wの外周縁付近に位置している状態で、周縁側ノズル7が、内向き吐出方向D1に処理液を吐出すると、周縁側ノズル7から吐出された処理液が、基板Wの中心C1に近づく方向の速度成分を有しているので、周縁側着液位置Peに着液した処理液は、直ぐには基板Wの周囲に排出されない。そのため、処理液を効率的に利用できる。さらに、基板Wの周縁部での処理液の滞在時間が増加するので、基板Wの周縁部を効率的に加熱できる。
【0046】
[他の実施形態]
本発明の第1および第2実施形態の説明は以上であるが、本発明は、前述の第1および第2実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、第1実施形態では、周縁側ノズルは、外向き吐出方向に処理液を吐出する場合について説明したが、周縁側ノズルは、内向き吐出方向に処理液を吐出してもよいし、基板の上面に垂直な垂直方向に処理液を吐出してもよい。
【0047】
また、第1および第2実施形態では、複数のスキャンノズルが、2つのスキャンノズル(中心側ノズルおよび周縁側ノズル)を備えている場合について説明したが、複数のスキャンノズルは、3つ以上のスキャンノズルを備えていてもよい。
具体的には、複数のスキャンノズルは、中心側ノズルおよび周縁側ノズルに加えて、基板の上面の中心からの距離が中心側着液位置までの距離よりも長く、周縁側着液位置までの距離よりも短い基板の上面内の中間着液位置に向けて、中心側ノズルおよび周縁側ノズルからの処理液の吐出と並行して処理液を吐出する中間ノズルを備えていてもよい。この場合、ノズル移動機構は、中間着液位置が、中心領域と周縁領域との間の環状の中間領域の内周縁と中間領域の外周縁との間で移動するように、中心側ノズル、周縁側ノズル、および中間ノズルを移動させる。中間ノズルからの処理液の吐出方向は、内向き吐出方向、外向き吐出方向、および垂直方向のいずれであってもよい。
【0048】
また、第1および第2実施形態では、中心側ノズルに処理液を供給する中心配管と、周縁側ノズルに処理液を供給する周縁配管とが、集合配管に接続されており、共通の処理液供給源からの処理液が、中心側ノズルおよび周縁側ノズルに供給される場合について説明した。しかし、中心配管および周縁配管が別々の配管に接続されており、別々の処理液供給源からの処理液が、中心側ノズルおよび周縁側ノズルに供給されてもよい。
【0049】
また、第1および第2実施形態では、ノズル移動機構が、平面視において基板の上面中央部を通る円弧状の軌跡に沿って複数のスキャンノズルを移動させる場合について説明したが、ノズル移動機構は、平面視において基板の上面中央部を通る直線状の軌跡に沿って複数のスキャンノズルを移動させてもよい。
また、第1および第2実施形態では、流量調整バルブの開度に対応する流量で、中心側ノズルおよび周縁側ノズルから処理液が吐出される場合について説明したが、基板の上面内の各位置に均一な流量で処理液が供給されるように、中心配管および周縁配管の流路面積が設定されてもよい。この場合、基板処理装置は、流量調整バルブを備えていなくてもよい。
【0050】
また、第1および第2実施形態では、中心領域の半径と周縁領域の幅とが等しく、ノズル移動機構が、中心側着液位置を基板の中心から中心領域の外周縁に移動させると、周縁側着液位置が周縁領域の内周縁から基板の外周縁に移動する場合について説明した。しかし、中心領域の半径と周縁領域の幅とは異なっていてもよい。この場合、基板処理装置は、中心側ノズルおよび周縁側ノズルの一方をノズルアームに対して水平方向にスライドさせるスライド機構をさらに備えていてもよい。
【0051】
また、第1および第2実施形態では、中心側ノズルが、基板(基板の上面)に対して傾いている場合について説明したが、中心側ノズルの吐出口(吐出方向)が基板に対して傾いていれば、中心側ノズル自体は、基板に対して垂直であってもよいし、基板に対して外向きに傾いていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 :基板処理装置
3 :制御装置(流量制御手段)
4 :スピンチャック(基板保持回転手段)
6 :中心側ノズル
7 :周縁側ノズル
13 :流量調整バルブ(流量制御手段)
15 :流量調整バルブ(流量制御手段)
20 :ノズル移動機構(ノズル移動手段)
201 :基板処理装置
A1 :基板回転軸線
C1 :基板の主面の中心
D1 :内向き吐出方向
D2 :外向き吐出方向
D3 :ノズル移動方向
L1 :境界線
Pc :中心側着液位置
Pe :周縁側着液位置
Rc :中心領域
Re :周縁領域
W :基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6