【実施例】
【0021】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
図中の1はアスファルト舗装廃材再生用のドライヤであって、内部に多数の掻き上げ羽根2を周設した円筒状のドラム3を機台4上に回転自在に傾斜支持し、駆動用モータ(図示せず)にて所定速度で回転駆動させている。前記ドラム3にはバーナ5を備え、該バーナ5を燃焼させてドラム3内に火炎を形成しながら熱風を供給する一方、ベルトコンベヤ6からドラム3内に廃材を供給し、掻き上げ羽根2によって廃材を掻き上げながらドラム3内を転動流下させる間に熱風に晒して所定温度まで加熱するようにしている。バーナ5側のドラム3の前半部には、掻き上げ羽根2を設けずに耐熱性の鋼材7を内張しており、ドラム3内に安定したバーナ火炎を形成する一方、バーナ火炎の高熱からドラム3の内壁面を保護するようにしている。
【0023】
また、
図2は
図1のA−A断面図であって、図面に示すように、ドラム3の後半部には、多数の掻き上げ羽根2を周設している。前記掻き上げ羽根2の本体は、表面が滑りやすくて廃材が付着しにくいように、例えば、外径が約90mm程度で、長さが約1700〜1800mm程度の鋼製の円筒体8より構成しており、その長手方向をドラム3長手方向と略平行に配置していると共に、円筒体8両端部をそれぞれドラム3内周壁に所定間隔にて立設した支持片9にて支持している。
【0024】
前記円筒体8と支持片9との支持構造としては、例えば、
図3に示すように、ドラム3内周壁に立設した一対の支持片9に、ドラム3の軸心方向に向かって円筒体8の外径よりも大径の長孔10(例えば、横幅が約100mm程度、長さが約300mm程度の長孔)を穿設しており、これら一対の長孔10に対して約90mm径程度の円筒体8の端部をそれぞれ遊嵌させ、円筒体8端部に固着した板体11にて円筒体8の抜け止めを図りつつ、長孔10に沿って摺動自在に支持している。
【0025】
また、長孔10のドラム3内周壁側(
図3中下部側)の端縁部とドラム3内周壁とは所定の隙間、例えば、約0〜30mm程度、好ましくは約20〜30mm程度の隙間が形成されるように構成している。なお、このような隙間を設けることにより、廃材掻き上げ時における円筒体8と廃材との接触面積を適当に抑えることができて廃材の付着保持を効果的に抑制できるが、例え隙間をほぼ0mm程度とした場合であっても、ドラム3の回転に伴って円筒体8が摺動することにより、廃材の付着保持をある程度抑制できる。
【0026】
そして、上記構成のドラム3にて廃材を加熱処理するときには、
図4に示すように、先ず、廃材掻き上げ部となるドラム3下方部においては、掻き上げ羽根2の円筒体8はドラム3内周壁に近接した状態(例えば、約20〜30mm程度)に保たれ(a)、ドラム3底部に滞留する廃材Rを円筒体8とドラム3内周壁との隙間からあまり通過、落下させることなく、効率よく掻き上げていく(b)。次いで、掻き上げ羽根2が約90°付近まで回転すると、一部の廃材Rは円筒体8からこぼれ落ちる一方、一部の廃材Rは円筒体8とドラム3内周壁との間等に挟まるなどして残留して保持される(c)。
【0027】
続いて、掻き上げ羽根2が更に回転して廃材落下部となるドラム3上方部側に至ると、支持片9の長孔10の傾斜方向が変わり、長孔10内に支持される円筒体8はその自重によって、図中の矢印で示すように、長孔10低位側となるドラム3軸心側端部へと摺動落下する(d)。このとき、円筒体8とドラム3内周壁とは広く離間した状態となり(例えば、約200〜250mm程度)、円筒体8とドラム3内周壁との間等に保持されていた廃材Rは支持力を失って、例えば円筒体8とドラム3内周壁との間に形成された隙間等から簡単に落下していく。また、円筒体8が長孔10の低位側に摺動落下したときの衝撃により、円筒体8表面や支持片9等に付着した廃材Rの一部も剥離除去される。そして、更に掻き上げ羽根2が回転して、再びドラム3下方部側へ戻ってきたときには、支持片9の長孔10の傾斜方向が再度変わり、円筒体8は自重によって長孔10低位側となるドラム3内周壁側端部へと摺動落下し、廃材Rの掻き上げに適した状態に復帰する(e)。
【0028】
このように、ドラム3の回転に伴い、掻き上げ羽根2である円筒体8とドラム3内周壁との隙間間隔が適当に変動し、廃材Rを掻き上げるときには比較的狭く調整されて廃材Rを効率よく掻き上げて良好な加熱処理を可能とする一方、廃材Rを落下させるときには比較的広く調整されて廃材Rの付着保持を効果的に抑制して維持管理性に優れたものとすることができる。
【0029】
なお、廃材Rが円筒体8表面等に付着成長して除去せざるを得ない状況となった場合には、作業員がドラム3内に入って円筒体8に付着した廃材Rをハンマー等で打撃して除去作業を行う。このとき、支持片9の長孔10に摺動自在に支持される円筒体8は作業員の手操作によっても容易に回転させることができるため、作業員は作業姿勢を変えることなく円筒体8を手で少しずつ回転させながら円筒体8の全周面に亘って打撃を行って付着物を剥離除去することができる。このように、作業員は狭いドラム3内での作業であるにもかかわらず、比較的容易にかつ効率よく廃材Rの除去作業を行うことができる。
【0030】
また、
図5〜
図6は、円筒体8と支持片9との支持構造の別の実施例を示すものであって、前記第1の実施例と同じ構成部分については同じ番号を付して説明を省略する。本実施例では、
図5に示すように、ドラム3内周壁に立設する支持片9を傾斜配置しており、該支持片9に穿設する長孔10の向きをドラム3軸心方向からドラム3回転方向へ若干(例えば、約30°程度)傾斜させた状態で設けている。
【0031】
そして、上記構成のドラム3にて廃材を加熱処理するときには、
図6に示すように、掻き上げ羽根2の円筒体8は、ドラム3下方部から上方部付近(図面上では約120°付近)に至るまでドラム3内周壁に近接した状態に保たれ、廃材Rの落下を抑えながら効率よく掻き上げていく(a〜c)。このとき、長孔10の向きをドラム3軸心方向からドラム3回転方向へ若干傾斜させていることにより、前記第1の実施例とは異なり、掻き上げ羽根2が90°付近を越えて約120°付近まで回転したときにあっても、長孔10の向きは依然としてドラム3内周壁側が低い状態に維持されており、円筒体8上の廃材Rの一部は落下することなく円筒体8上に保持される。
【0032】
次いで、掻き上げ羽根2がドラム3頂部付近(図面上では約150°付近)に至ると、ようやく長孔10の傾斜方向が変わり、長孔10内に支持される円筒体8はその自重によって、図中の矢印で示すように、長孔10低位側となるドラム3軸心側端部へと摺動落下し(d)、円筒体8とドラム3内周壁との間等に保持されていた廃材Rが落下していく。そして、掻き上げ羽根2がドラム3下方部側へ戻ってくると、円筒体8は自重にて長孔10低位側のドラム3内周壁側端部へと摺動落下し、廃材Rの掻き上げに適した状態に復帰する(e)。
【0033】
また、
図7〜
図8は、円筒体8と支持片9との支持構造の更に別の実施例を示すものであって、本実施例では、
図7に示すように、ドラム3の回転に伴って長孔10の傾斜方向が変わっても所定角度に傾斜するまで円筒体8の摺動落下を阻止する摺動落下阻止手段として、例えば、ドラム3内周壁に立設する支持片9に穿設する長孔10を略L字形状に形成し、長孔10のドラム3内周壁側端部には円筒体8を係止可能な凹部12を設けている。
【0034】
そして、上記構成のドラム3にて廃材を加熱処理するときには、
図8に示すように、掻き上げ羽根2の円筒体8は、ドラム3下方部から頂部手前付近(図面上では約160°付近)に至るまでドラム3内周壁に近接した状態に保たれ、廃材Rの落下を抑えながら効率よく掻き上げていく(a〜c)。このとき、長孔10を略L字形状に形成していることにより、掻き上げ羽根2が90°付近を越えて約160°付近まで回転したときにあっても、円筒体8は長孔10のドラム内周壁側端部の凹部12に留まり続け、円筒体8上の廃材Rの一部は落下することなく円筒体8上に保持される。
【0035】
次いで、掻き上げ羽根2がドラム3頂部付近(図面上では約180°付近)に至ると、ようやく円筒体8は長孔10の凹部12から外れ、その自重によって、図中の矢印で示すように、長孔10低位側となるドラム3軸心側端部へと摺動落下し(d)、円筒体8とドラム3内周壁との間等に保持されていた廃材Rが落下していく。そして、掻き上げ羽根2がドラム2下方部側へ戻れば、円筒体8は自重にて長孔10低位側のドラム3内周壁側端部へと摺動落下した後、やがて凹部12に嵌り込んで係止され、廃材Rの掻き上げに適した状態に復帰する(e)。
【0036】
このように、長孔10の向きをドラム3軸心方向からドラム3回転方向へ若干傾斜させたり、長孔10を略L字形状に形成することにより、廃材R掻き上げ時に円筒体8がドラム3内周壁側から離間するタイミングを適当に遅らせることができ、それによって掻き上げ羽根2上の廃材Rをドラム3上方部、好ましくは頂部付近から落下させることが可能となり、熱風との接触率を向上させて効率のよい加熱処理が実現できる。
【0037】
なお、上記実施例では長孔10の傾斜方向が変わっても所定角度に達するまで円筒体8の摺動落下を阻止する摺動落下阻止手段として、長孔10を略L字形状に形成するようにしたが、例えば、長孔10内縁部に所定高さの突起部を突設させるようにしても、円筒体8が摺動落下するタイミングを遅らせることができる。また、長孔10内の円筒体8がドラム3内周壁側から摺動落下して離間するタイミング、即ち、ドラム3上部へ掻き上げた廃材Rを落下させるタイミングは、傾斜配置する長孔10の傾斜角度や、略L字形状に形成する長孔10の折曲角度、長孔10内縁部に突設させる突起部の高さ等によって適当に調整することができ、処理する廃材Rの性状等に応じて適正なタイミングとなるように調整するとよい。
【0038】
また、
図9〜
図10は、更に別の実施例を示すものであって、本実施例では、
図9に示すように、支持片9に一対の長孔10a、10bを所定間隔(例えば、約20〜30mm程度)にて設け、これら各長孔10a、10bに対してそれぞれ円筒体8a、8bを摺動自在に支持させている。
【0039】
そして、上記構成のドラム3にて廃材を加熱処理するときには、
図10に示すように、掻き上げ羽根2の各円筒体8a、8bは、ドラム3下方部から上方部付近(図面上では約120°付近)に至るまでそれぞれドラム3内周壁側端部に位置した状態に保たれ、廃材Rは円筒体8aとドラム3内周壁との隙間だけでなく、各円筒体8a、8bの間等にも挟まるような状態で保持されて効率よく掻き上げられていく(a〜c)。
【0040】
次いで、掻き上げ羽根2がドラム3頂部付近(図面上では約150°付近)に至ると各長孔10a、10bの傾斜方向が変わり、各長孔10a、10b内に支持される円筒体8a、8bは自重によって、図中の矢印で示すように、長孔10a、10b低位側となるドラム3軸心側端部へとそれぞれ摺動落下し(d)、円筒体8aとドラム3内周壁との隙間や、各円筒体8a、8bの間等に保持されていた廃材Rが落下していく。
【0041】
このとき、例えば、図に示すように、ドラム3軸心側の長孔10bの長さをドラム3内周壁側の長孔10aよりも若干長く形成するようにすれば、廃材R掻き上げ時には各円筒体8a、8bの間隔を比較的狭くできて廃材Rの掻き上げに有利である一方、廃材R落下時には各円筒体8a、8bの間隔を比較的広くできて廃材Rの支持力を損なわせて簡単に落下させることが可能となる。また、各長孔10a、10bの向きを若干違えるようにして設けても、各長孔10a、10b内に支持される円筒体8a、8bの落下タイミングをずらすことができ、それによって廃材Rを簡単に落下させることが可能となる。そして、掻き上げ羽根2がドラム3下方部側へ戻ってくれば、各円筒体8a、8bは自重にて長孔10a、10b低位側のドラム3内周壁側端部へと摺動落下し、廃材Rの掻き上げに適した状態に復帰する(e)。
【0042】
また、
図11〜
図12は、更に別の実施例を示すものであって、本実施例では、
図11に示すように、支持片9に穿設した一つの長孔10に対して二本の円筒体8a、8bを遊嵌させて摺動自在に支持させている。
【0043】
そして、上記構成のドラム3にて廃材を加熱処理するときには、
図12に示すように、掻き上げ羽根2の各円筒体8a、8bは、ドラム3下方部から上方部付近(図面上では約120°付近)に至るまで、互いに当接して略一体化した状態でドラム3内周壁側端部に位置し続け、廃材Rは各円筒体8a、8bの上部等に載った状態で保持されてより効率よく掻き上げられていく(a〜c)。
【0044】
次いで、掻き上げ羽根2がドラム3頂部付近(図面上では約150°付近)に至ると長孔10の傾斜方向が変わり、長孔10内に支持される二本の円筒体8a、8bは自重によって、図中の矢印で示すように、長孔10低位側となるドラム3軸心側端部へとそれぞれ摺動落下し(d)、円筒体8aとドラム3内周壁との隙間や、各円筒体8a、8bの上部等に保持されていた廃材Rが落下していく。
【0045】
このとき、前記各円筒体8a、8bはそれぞれが独立して可動するため、例えば、落下のタイミングや、転がり方などにおいて多少のずれがあり、廃材Rの付着保持の抑制が期待できる。そして、掻き上げ羽根2がドラム3下方部側へ戻ってくれば、各円筒体8a、8bは自重にて長孔10低位側のドラム3内周壁側端部へと摺動落下して略一体化した状態となり、廃材Rの掻き上げに適した状態に復帰する(e)。
【0046】
このように、掻き上げ羽根2である円筒体8a、8bを複数設けるようにしたことにより、廃材Rの掻き上げ能力をより向上させることができ、廃材Rを効率よく加熱処理することが可能となる。