特許第5954781号(P5954781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954781
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】アスファルト舗装廃材再生用ドライヤ
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/10 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   E01C19/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-176783(P2012-176783)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-34815(P2014-34815A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 敏文
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−016139(JP,A)
【文献】 実開平04−001206(JP,U)
【文献】 実開平05−032410(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に傾斜支持したドラムの内周壁に多数の掻き上げ羽根を周設したアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記掻き上げ羽根を表面が滑りやすくて廃材の付着が発生しにくい円筒体にて構成し、該円筒体の長手方向をドラム長手方向とほぼ平行に、かつドラム内周壁との間に所定の隙間をもたせて、ドラム内周壁に立設した支持片にて支持する一方、該支持片には略ドラム軸心方向に円筒体の外径よりも大径の長孔を穿設し、該長孔に対して円筒体の端部を遊嵌させて円筒体を長孔に沿って摺動自在に支持し、ドラムの回転に伴って長孔の傾斜方向が変わったときには円筒体は自重によって長孔の低位側へ摺動落下するように構成したことを特徴とするアスファルト舗装廃材再生用ドライヤ。
【請求項2】
請求項1記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記長孔にはドラムの回転に伴ってその傾斜方向が変わっても所定角度に傾斜するまで円筒体の摺動落下を一時的に阻止する摺動落下阻止手段を備えたことを特徴とするアスファルト舗装廃材再生用ドライヤ。
【請求項3】
請求項1または2記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記支持片には一つ以上の長孔を穿設し、該長孔に対して複数の円筒体の端部を遊嵌させて各円筒体を長孔に沿って摺動自在に支持したことを特徴とするアスファルト舗装廃材再生用ドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事等により発生するアスファルト舗装廃材を加熱再生するアスファルト舗装廃材再生用ドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)を加熱再生するドライヤは、回転自在に傾斜支持したドラムを有し、ドラム内周面に周設した多数の掻き上げ羽根によって廃材の掻き上げ・落下を繰り返しながらドラム内を転動流下させる間に、バーナより送り込む熱風と接触させて廃材を所定温度にまで加熱している。ところで、ドラム内にて廃材を加熱すると、廃材に付着するアスファルトの粘着性が増していくために、廃材がドラム内の掻き上げ羽根等に徐々に付着成長していき、ついには掻き上げ羽根の機能を損なうほどになることがある。このため、掻き上げ羽根の機能を回復させるために、作業員がドラム内に入って掻き上げ羽根に付着した廃材を剥離除去する作業を定期的に行う必要があるなど、維持管理面において厄介な問題を有していた。
【0003】
上記問題に対して、例えば、特許文献1(特開2005−16139号公報)には、ドラム内周壁に周設する掻き上げ羽根を円筒体にて構成すると共に、該円筒体をドラム内周壁との間に適当な隙間をもたせた状態で取り付けたアスファルト舗装廃材再生用ドライヤが開示されている。上記特許文献1の発明によれば、掻き上げ羽根本体を円筒体で構成していることにより、表面が滑りやすくて廃材の付着が発生しにくく、また前記円筒体をドラム内周壁から若干離間させていることにより、ある程度の掻き上げ機能を有しながらも廃材を適当に落下させて羽根表面への付着保持を抑制可能としている。
【0004】
また、本発明者は、特許文献2(特願2011−179495号)に示されるように、前記掻き上げ羽根の円筒体を回動自在に支持するようにしたアスファルト舗装廃材再生用ドライヤを提案しており、円筒体を回動自在としたことによって廃材の付着成長をより効果的に抑制しつつ、仮に付着が生じたとしても作業員は円筒体を手で少しずつ回転させながらハンマー等で打撃することで効率よく剥離除去でき、維持管理性に優れたものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−16139号公報
【特許文献2】特願2011−179495号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記の通り、掻き上げ羽根の円筒体とドラム内周壁との隙間間隔は、廃材を付着保持させにくく、かつある程度の掻き上げ機能を発揮し得る適当な幅に調整する必要があるが、例えば、廃材の付着防止を優先するとすれば前記隙間間隔はできるだけ広い方がよく、一方掻き上げ機能を優先するとすれば前記隙間間隔はできるだけ狭く調整した方がよく、これら相反する要件が求められることとなる。
【0007】
そこで、本発明者は、例えば、ドラム下方部にて廃材を掻き上げるときには掻き上げ羽根である円筒体がドラム内周壁に近接する一方、ドラム上方部にて廃材を落下させるときには円筒体がドラム内周壁から離間するように構成すれば、掻き上げ能力を十分に維持しながらも掻き上げ羽根への廃材の付着を抑制することができるのではないかとの考えに至った。
【0008】
本発明は上記の点に鑑み、廃材の掻き上げ能力を十分に確保しながらも、掻き上げ羽根への廃材の付着を抑制できて維持管理性に優れたアスファルト舗装廃材再生用ドライヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤでは、回転自在に傾斜支持したドラムの内周壁に多数の掻き上げ羽根を周設したアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、前記掻き上げ羽根を表面が滑りやすくて廃材の付着が発生しにくい円筒体にて構成し、該円筒体の長手方向をドラム長手方向とほぼ平行に、かつドラム内周壁との間に所定の隙間をもたせて、ドラム内周壁に立設した支持片にて支持する一方、該支持片には略ドラム軸心方向に円筒体の外径よりも大径の長孔を穿設し、該長孔に対して円筒体の端部を遊嵌させて円筒体を長孔に沿って摺動自在に支持し、ドラムの回転に伴って長孔の傾斜方向が変わったときには円筒体は自重によって長孔の低位側へ摺動落下するように構成したことを特徴としている。
【0010】
また、請求項2記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤでは、前記長孔にはドラムの回転に伴ってその傾斜方向が変わっても所定角度に傾斜するまで円筒体の摺動落下を一時的に阻止する摺動落下阻止手段を備えたことを特徴としている。
【0011】
また、請求項3記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤでは、前記支持片には一つ以上の長孔を穿設し、該長孔に対して複数の円筒体の端部を遊嵌させて各円筒体を長孔に沿って摺動自在に支持したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤによれば、掻き上げ羽根を表面が滑りやすくて廃材の付着が発生しにくい円筒体にて構成し、ドラム内周壁に立設した支持片には略ドラム軸心方向に円筒体の外径よりも大径の長孔を穿設すると共に、該長孔に対して円筒体の端部を遊嵌させて長孔に沿って摺動自在に支持し、ドラムの回転に伴って長孔の傾斜方向が変わったときには円筒体はその自重によって長孔の低位側へ摺動落下するように構成したので、ドラム下方部にて廃材を掻き上げるときには掻き上げ羽根の円筒体はドラム内周壁に近接した状態に保たれて廃材を効率よく掻き上げることができる一方、ドラム上方部にて廃材を落下させるときには掻き上げ羽根の円筒体はドラム内周壁から離間した状態となり、羽根上の廃材は支持力を失って簡単に落下すると共に、円筒体が長孔低位側へ落下するときの衝撃によって円筒体表面に付着した廃材を剥離除去させることも期待でき、掻き上げ羽根への廃材の付着保持を効果的に抑制できる。
【0013】
また、請求項2記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤによれば、前記長孔にはドラムの回転に伴ってその傾斜方向が変わっても所定角度に傾斜するまで円筒体の摺動落下を一時的に阻止する摺動落下阻止手段を備えたので、廃材掻き上げ時に円筒体がドラム内周壁から離間するタイミングを適当に遅らせることができ、それによって廃材をドラム上方部付近から落下させることが可能となって効率よく加熱処理することができる。
【0014】
また、請求項3記載のアスファルト舗装廃材再生用ドライヤによれば、前記支持片には一つ以上の長孔を穿設し、該長孔に対して複数の円筒体の端部を遊嵌させて各円筒体を長孔に沿って摺動自在に支持したので、複数の円筒体から成る掻き上げ羽根によってより多くの廃材を支持しながら効率よく掻き上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るアスファルト舗装廃材再生用ドライヤの一実施例を示す一部切り欠き説明図である。
図2図1の一部省略したA−A断面図である。
図3】掻き上げ羽根の説明図であって、(x)一部切り欠き正面図、(y)断面図である。
図4】掻き上げ羽根によって廃材を掻き上げて落下させる様子を示す説明図である。
図5】第2の実施例の図3に相当する図である。
図6】第2の実施例の図4に相当する図である。
図7】第3の実施例の図3に相当する図である。
図8】第3の実施例の図4に相当する図である。
図9】第4の実施例の図3に相当する図である。
図10】第4の実施例の図4に相当する図である。
図11】第5の実施例の図3に相当する図である。
図12】第5の実施例の図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るアスファルト舗装廃材再生用ドライヤにあっては、ドラム内周壁に周設する掻き上げ羽根を表面が滑りやすくて廃材の付着が発生しにくい円筒体にて構成し、その長手方向をドラム長手方向と略平行に配すると共に、ドラム内周壁との間に所定の隙間をもたせて、円筒体の両端部をそれぞれドラム内周壁に立設した支持片にて支持するようにしている。また、前記支持片には略ドラム軸心方向に向かって円筒体の外径よりも大径の長孔を穿設し、該長孔に対して円筒体の端部を遊嵌させて円筒体を長孔に沿って摺動自在に支持している。
【0017】
そして、上記構成のドラムにて廃材を加熱処理するときには、先ず、廃材掻き上げ部であるドラム下方部では掻き上げ羽根の円筒体はドラム内周壁に近接した状態に保たれており、これによってドラム底部に滞留する廃材を効率よく掻き上げていく。一方、廃材落下部であるドラム上方部ではドラムの回転に伴って支持片の長孔の傾斜方向が変わり、円筒体は自重によって長孔の低位側となるドラム軸心側の端部へ向けて摺動落下する。このとき、円筒体とドラム内周壁とはある程度離間した状態となり、掻き上げられた羽根上の廃材は支持力を失って、例えば円筒体とドラム内周壁との間に形成される隙間等から簡単に落下していく。また、円筒体が長孔の低位側へ摺動落下したときの衝撃により、円筒体表面等に付着した廃材の一部も剥離して除去される。
【0018】
このように、掻き上げ羽根である円筒体とドラム内周壁との隙間間隔が、廃材を掻き上げるときと落下させるときとに応じてそれぞれ適当な広さに調整されるため、廃材を効率よく掻き上げて良好な加熱処理を可能としながら、掻き上げ羽根への廃材の付着保持を効果的に抑制して維持管理性に優れたものとすることができる。
【0019】
なお、前記支持片に設ける長孔に、例えば、所定高さの突起部を設けたり、長孔を略L字形状に形成するなど、円筒体の摺動落下を一時的に阻止する摺動落下阻止手段を備えれば、廃材掻き上げ時に円筒体がドラム内周壁から離間するタイミングを適当に遅らせることができ、それによって廃材をドラム頂部付近から落下させることが可能となってより効率よく加熱処理できるようになる。
【0020】
また、前記支持片に複数の長孔を穿設し、各長孔に対してそれぞれ円筒体を遊嵌させて、各円筒体をそれぞれ長孔に沿って摺動自在に支持させるようにしてもよく、その場合には、複数の円筒体から成る掻き上げ羽根によって一度により多くの廃材を掻き上げることが可能となる。なお、一つの長孔に対して複数の円筒体を遊嵌させるようにすれば、廃材掻き上げ時には各円筒体同士が近接、或いは当接して略一体化した状態となるため、廃材の掻き上げをより効率よく行える。このとき、各円筒体はそれぞれ独立して可動するため、羽根上の廃材の付着抑制が期待できる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
図中の1はアスファルト舗装廃材再生用のドライヤであって、内部に多数の掻き上げ羽根2を周設した円筒状のドラム3を機台4上に回転自在に傾斜支持し、駆動用モータ(図示せず)にて所定速度で回転駆動させている。前記ドラム3にはバーナ5を備え、該バーナ5を燃焼させてドラム3内に火炎を形成しながら熱風を供給する一方、ベルトコンベヤ6からドラム3内に廃材を供給し、掻き上げ羽根2によって廃材を掻き上げながらドラム3内を転動流下させる間に熱風に晒して所定温度まで加熱するようにしている。バーナ5側のドラム3の前半部には、掻き上げ羽根2を設けずに耐熱性の鋼材7を内張しており、ドラム3内に安定したバーナ火炎を形成する一方、バーナ火炎の高熱からドラム3の内壁面を保護するようにしている。
【0023】
また、図2図1のA−A断面図であって、図面に示すように、ドラム3の後半部には、多数の掻き上げ羽根2を周設している。前記掻き上げ羽根2の本体は、表面が滑りやすくて廃材が付着しにくいように、例えば、外径が約90mm程度で、長さが約1700〜1800mm程度の鋼製の円筒体8より構成しており、その長手方向をドラム3長手方向と略平行に配置していると共に、円筒体8両端部をそれぞれドラム3内周壁に所定間隔にて立設した支持片9にて支持している。
【0024】
前記円筒体8と支持片9との支持構造としては、例えば、図3に示すように、ドラム3内周壁に立設した一対の支持片9に、ドラム3の軸心方向に向かって円筒体8の外径よりも大径の長孔10(例えば、横幅が約100mm程度、長さが約300mm程度の長孔)を穿設しており、これら一対の長孔10に対して約90mm径程度の円筒体8の端部をそれぞれ遊嵌させ、円筒体8端部に固着した板体11にて円筒体8の抜け止めを図りつつ、長孔10に沿って摺動自在に支持している。
【0025】
また、長孔10のドラム3内周壁側(図3中下部側)の端縁部とドラム3内周壁とは所定の隙間、例えば、約0〜30mm程度、好ましくは約20〜30mm程度の隙間が形成されるように構成している。なお、このような隙間を設けることにより、廃材掻き上げ時における円筒体8と廃材との接触面積を適当に抑えることができて廃材の付着保持を効果的に抑制できるが、例え隙間をほぼ0mm程度とした場合であっても、ドラム3の回転に伴って円筒体8が摺動することにより、廃材の付着保持をある程度抑制できる。
【0026】
そして、上記構成のドラム3にて廃材を加熱処理するときには、図4に示すように、先ず、廃材掻き上げ部となるドラム3下方部においては、掻き上げ羽根2の円筒体8はドラム3内周壁に近接した状態(例えば、約20〜30mm程度)に保たれ(a)、ドラム3底部に滞留する廃材Rを円筒体8とドラム3内周壁との隙間からあまり通過、落下させることなく、効率よく掻き上げていく(b)。次いで、掻き上げ羽根2が約90°付近まで回転すると、一部の廃材Rは円筒体8からこぼれ落ちる一方、一部の廃材Rは円筒体8とドラム3内周壁との間等に挟まるなどして残留して保持される(c)。
【0027】
続いて、掻き上げ羽根2が更に回転して廃材落下部となるドラム3上方部側に至ると、支持片9の長孔10の傾斜方向が変わり、長孔10内に支持される円筒体8はその自重によって、図中の矢印で示すように、長孔10低位側となるドラム3軸心側端部へと摺動落下する(d)。このとき、円筒体8とドラム3内周壁とは広く離間した状態となり(例えば、約200〜250mm程度)、円筒体8とドラム3内周壁との間等に保持されていた廃材Rは支持力を失って、例えば円筒体8とドラム3内周壁との間に形成された隙間等から簡単に落下していく。また、円筒体8が長孔10の低位側に摺動落下したときの衝撃により、円筒体8表面や支持片9等に付着した廃材Rの一部も剥離除去される。そして、更に掻き上げ羽根2が回転して、再びドラム3下方部側へ戻ってきたときには、支持片9の長孔10の傾斜方向が再度変わり、円筒体8は自重によって長孔10低位側となるドラム3内周壁側端部へと摺動落下し、廃材Rの掻き上げに適した状態に復帰する(e)。
【0028】
このように、ドラム3の回転に伴い、掻き上げ羽根2である円筒体8とドラム3内周壁との隙間間隔が適当に変動し、廃材Rを掻き上げるときには比較的狭く調整されて廃材Rを効率よく掻き上げて良好な加熱処理を可能とする一方、廃材Rを落下させるときには比較的広く調整されて廃材Rの付着保持を効果的に抑制して維持管理性に優れたものとすることができる。
【0029】
なお、廃材Rが円筒体8表面等に付着成長して除去せざるを得ない状況となった場合には、作業員がドラム3内に入って円筒体8に付着した廃材Rをハンマー等で打撃して除去作業を行う。このとき、支持片9の長孔10に摺動自在に支持される円筒体8は作業員の手操作によっても容易に回転させることができるため、作業員は作業姿勢を変えることなく円筒体8を手で少しずつ回転させながら円筒体8の全周面に亘って打撃を行って付着物を剥離除去することができる。このように、作業員は狭いドラム3内での作業であるにもかかわらず、比較的容易にかつ効率よく廃材Rの除去作業を行うことができる。
【0030】
また、図5図6は、円筒体8と支持片9との支持構造の別の実施例を示すものであって、前記第1の実施例と同じ構成部分については同じ番号を付して説明を省略する。本実施例では、図5に示すように、ドラム3内周壁に立設する支持片9を傾斜配置しており、該支持片9に穿設する長孔10の向きをドラム3軸心方向からドラム3回転方向へ若干(例えば、約30°程度)傾斜させた状態で設けている。
【0031】
そして、上記構成のドラム3にて廃材を加熱処理するときには、図6に示すように、掻き上げ羽根2の円筒体8は、ドラム3下方部から上方部付近(図面上では約120°付近)に至るまでドラム3内周壁に近接した状態に保たれ、廃材Rの落下を抑えながら効率よく掻き上げていく(a〜c)。このとき、長孔10の向きをドラム3軸心方向からドラム3回転方向へ若干傾斜させていることにより、前記第1の実施例とは異なり、掻き上げ羽根2が90°付近を越えて約120°付近まで回転したときにあっても、長孔10の向きは依然としてドラム3内周壁側が低い状態に維持されており、円筒体8上の廃材Rの一部は落下することなく円筒体8上に保持される。
【0032】
次いで、掻き上げ羽根2がドラム3頂部付近(図面上では約150°付近)に至ると、ようやく長孔10の傾斜方向が変わり、長孔10内に支持される円筒体8はその自重によって、図中の矢印で示すように、長孔10低位側となるドラム3軸心側端部へと摺動落下し(d)、円筒体8とドラム3内周壁との間等に保持されていた廃材Rが落下していく。そして、掻き上げ羽根2がドラム3下方部側へ戻ってくると、円筒体8は自重にて長孔10低位側のドラム3内周壁側端部へと摺動落下し、廃材Rの掻き上げに適した状態に復帰する(e)。
【0033】
また、図7図8は、円筒体8と支持片9との支持構造の更に別の実施例を示すものであって、本実施例では、図7に示すように、ドラム3の回転に伴って長孔10の傾斜方向が変わっても所定角度に傾斜するまで円筒体8の摺動落下を阻止する摺動落下阻止手段として、例えば、ドラム3内周壁に立設する支持片9に穿設する長孔10を略L字形状に形成し、長孔10のドラム3内周壁側端部には円筒体8を係止可能な凹部12を設けている。
【0034】
そして、上記構成のドラム3にて廃材を加熱処理するときには、図8に示すように、掻き上げ羽根2の円筒体8は、ドラム3下方部から頂部手前付近(図面上では約160°付近)に至るまでドラム3内周壁に近接した状態に保たれ、廃材Rの落下を抑えながら効率よく掻き上げていく(a〜c)。このとき、長孔10を略L字形状に形成していることにより、掻き上げ羽根2が90°付近を越えて約160°付近まで回転したときにあっても、円筒体8は長孔10のドラム内周壁側端部の凹部12に留まり続け、円筒体8上の廃材Rの一部は落下することなく円筒体8上に保持される。
【0035】
次いで、掻き上げ羽根2がドラム3頂部付近(図面上では約180°付近)に至ると、ようやく円筒体8は長孔10の凹部12から外れ、その自重によって、図中の矢印で示すように、長孔10低位側となるドラム3軸心側端部へと摺動落下し(d)、円筒体8とドラム3内周壁との間等に保持されていた廃材Rが落下していく。そして、掻き上げ羽根2がドラム2下方部側へ戻れば、円筒体8は自重にて長孔10低位側のドラム3内周壁側端部へと摺動落下した後、やがて凹部12に嵌り込んで係止され、廃材Rの掻き上げに適した状態に復帰する(e)。
【0036】
このように、長孔10の向きをドラム3軸心方向からドラム3回転方向へ若干傾斜させたり、長孔10を略L字形状に形成することにより、廃材R掻き上げ時に円筒体8がドラム3内周壁側から離間するタイミングを適当に遅らせることができ、それによって掻き上げ羽根2上の廃材Rをドラム3上方部、好ましくは頂部付近から落下させることが可能となり、熱風との接触率を向上させて効率のよい加熱処理が実現できる。
【0037】
なお、上記実施例では長孔10の傾斜方向が変わっても所定角度に達するまで円筒体8の摺動落下を阻止する摺動落下阻止手段として、長孔10を略L字形状に形成するようにしたが、例えば、長孔10内縁部に所定高さの突起部を突設させるようにしても、円筒体8が摺動落下するタイミングを遅らせることができる。また、長孔10内の円筒体8がドラム3内周壁側から摺動落下して離間するタイミング、即ち、ドラム3上部へ掻き上げた廃材Rを落下させるタイミングは、傾斜配置する長孔10の傾斜角度や、略L字形状に形成する長孔10の折曲角度、長孔10内縁部に突設させる突起部の高さ等によって適当に調整することができ、処理する廃材Rの性状等に応じて適正なタイミングとなるように調整するとよい。
【0038】
また、図9図10は、更に別の実施例を示すものであって、本実施例では、図9に示すように、支持片9に一対の長孔10a、10bを所定間隔(例えば、約20〜30mm程度)にて設け、これら各長孔10a、10bに対してそれぞれ円筒体8a、8bを摺動自在に支持させている。
【0039】
そして、上記構成のドラム3にて廃材を加熱処理するときには、図10に示すように、掻き上げ羽根2の各円筒体8a、8bは、ドラム3下方部から上方部付近(図面上では約120°付近)に至るまでそれぞれドラム3内周壁側端部に位置した状態に保たれ、廃材Rは円筒体8aとドラム3内周壁との隙間だけでなく、各円筒体8a、8bの間等にも挟まるような状態で保持されて効率よく掻き上げられていく(a〜c)。
【0040】
次いで、掻き上げ羽根2がドラム3頂部付近(図面上では約150°付近)に至ると各長孔10a、10bの傾斜方向が変わり、各長孔10a、10b内に支持される円筒体8a、8bは自重によって、図中の矢印で示すように、長孔10a、10b低位側となるドラム3軸心側端部へとそれぞれ摺動落下し(d)、円筒体8aとドラム3内周壁との隙間や、各円筒体8a、8bの間等に保持されていた廃材Rが落下していく。
【0041】
このとき、例えば、図に示すように、ドラム3軸心側の長孔10bの長さをドラム3内周壁側の長孔10aよりも若干長く形成するようにすれば、廃材R掻き上げ時には各円筒体8a、8bの間隔を比較的狭くできて廃材Rの掻き上げに有利である一方、廃材R落下時には各円筒体8a、8bの間隔を比較的広くできて廃材Rの支持力を損なわせて簡単に落下させることが可能となる。また、各長孔10a、10bの向きを若干違えるようにして設けても、各長孔10a、10b内に支持される円筒体8a、8bの落下タイミングをずらすことができ、それによって廃材Rを簡単に落下させることが可能となる。そして、掻き上げ羽根2がドラム3下方部側へ戻ってくれば、各円筒体8a、8bは自重にて長孔10a、10b低位側のドラム3内周壁側端部へと摺動落下し、廃材Rの掻き上げに適した状態に復帰する(e)。
【0042】
また、図11図12は、更に別の実施例を示すものであって、本実施例では、図11に示すように、支持片9に穿設した一つの長孔10に対して二本の円筒体8a、8bを遊嵌させて摺動自在に支持させている。
【0043】
そして、上記構成のドラム3にて廃材を加熱処理するときには、図12に示すように、掻き上げ羽根2の各円筒体8a、8bは、ドラム3下方部から上方部付近(図面上では約120°付近)に至るまで、互いに当接して略一体化した状態でドラム3内周壁側端部に位置し続け、廃材Rは各円筒体8a、8bの上部等に載った状態で保持されてより効率よく掻き上げられていく(a〜c)。
【0044】
次いで、掻き上げ羽根2がドラム3頂部付近(図面上では約150°付近)に至ると長孔10の傾斜方向が変わり、長孔10内に支持される二本の円筒体8a、8bは自重によって、図中の矢印で示すように、長孔10低位側となるドラム3軸心側端部へとそれぞれ摺動落下し(d)、円筒体8aとドラム3内周壁との隙間や、各円筒体8a、8bの上部等に保持されていた廃材Rが落下していく。
【0045】
このとき、前記各円筒体8a、8bはそれぞれが独立して可動するため、例えば、落下のタイミングや、転がり方などにおいて多少のずれがあり、廃材Rの付着保持の抑制が期待できる。そして、掻き上げ羽根2がドラム3下方部側へ戻ってくれば、各円筒体8a、8bは自重にて長孔10低位側のドラム3内周壁側端部へと摺動落下して略一体化した状態となり、廃材Rの掻き上げに適した状態に復帰する(e)。
【0046】
このように、掻き上げ羽根2である円筒体8a、8bを複数設けるようにしたことにより、廃材Rの掻き上げ能力をより向上させることができ、廃材Rを効率よく加熱処理することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1…アスファルト舗装廃材再生用ドライヤ
2…掻き上げ羽根 3…ドラム
5…バーナ 8、8a、8b…円筒体
9…支持片 10、10a、10b…長孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12