(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記重畳部分の穿刺ガイドラインの表示態様を、前記非重畳部分に比較して視認性の低い表示態様で表示させることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
前記表示制御部は、前記設定部によって関心領域が設定されると、前記重畳部分の穿刺ガイドラインの表示態様を、前記非重畳部分とは異なる表示態様で表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
前記設定部は、一方が前記超音波プローブによって受信された反射波に基づいて生成された超音波画像データである2つの医用画像データにおいて、当該2つの医用画像データの位置合わせをするために設定された領域を、前記関心領域として設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置及び画像データの表示制御プログラムを説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成を説明するための図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波プローブ11と、穿刺針11aと、穿刺アダプタ11bと、入力装置12と、モニタ13と、装置本体100とを有し、ネットワークに接続されている。
【0011】
超音波プローブ11は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送受信部110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生し、さらに、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ11は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。
【0012】
超音波プローブ11から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ11が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0013】
そして、第1の実施形態に係る超音波プローブ11には、医師が超音波画像を参照しながら生体組織検査やラジオ波焼灼治療などの穿刺を行うために、穿刺針11aが取り付けられる。穿刺針11aは、超音波プローブ11に装着された穿刺アダプタ11bに取り付けられている。医師は、穿刺ガイドラインが重畳された超音波画像を参照しながら、穿刺アダプタ11bに取り付けられた穿刺針11aを被検体Pの関心領域(ROI:Region of Interest)まで挿入する。
【0014】
なお、本実施形態は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである超音波プローブ11により、被検体Pを2次元でスキャンする場合であっても、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブ11(メカ4Dプローブ)や複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである超音波プローブ11(2Dアレイプローブ)により、被検体Pを3次元でスキャンする場合であっても、適用可能である。
【0015】
入力装置12は、トラックボール、スイッチ、ボタン、タッチコマンドスクリーンなどを有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定指示を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定指示を転送する。例えば、入力装置12は、操作者からの各種指示、関心領域の設定指示、超音波画像における画質条件の設定指示などを装置本体100に取り込む。
【0016】
モニタ13は、超音波診断装置1の操作者が入力装置12を用いて各種設定指示を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像などを表示したりする。
【0017】
装置本体100は、超音波プローブ11が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体100は、
図1に示すように、送受信部110と、Bモード処理部120と、ドプラ処理部130と、画像生成部140と、画像メモリ150と、制御部160と、内部記憶部170と、インターフェース部180とを有する。
【0018】
送受信部110は、トリガ発生回路、遅延回路及びパルサ回路などを有し、超音波プローブ11に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、遅延回路は、超音波プローブ11から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0019】
また、送受信部110は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波プローブ11が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行い、A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行って反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0020】
このように、送受信部110は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、送受信部110は、後述する制御部160の制御により、遅延情報、送信周波数、送信駆動電圧、開口素子数などを瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更においては、瞬時に値を切り替えることが可能であるリニアアンプ型の発振回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。また、送受信部110は、1フレームもしくはレートごとに、異なる波形を送信して受信することも可能である。
【0021】
Bモード処理部120は、送受信部110からゲイン補正処理、A/D変換処理及び加算処理が行われた処理済み反射波信号である反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0022】
ドプラ処理部130は、送受信部110から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0023】
画像生成部140は、超音波画像生成部141と、生成部142とを有する。このうち、超音波画像生成部141は、Bモード処理部120が生成したBモードデータや、ドプラ処理部130が生成したドプラデータから、超音波画像データを生成する。具体的には、超音波画像生成部141は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)することで、Bモードデータやドプラデータから表示用の超音波画像データ(Bモード画像データやドプラ画像データ)を生成する。また、生成部142は、超音波画像生成部141により生成された超音波画像データに、後述する穿刺ガイドラインや種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディマークなどを合成した画像データを生成し、ビデオ信号としてモニタ13に出力する。
【0024】
画像メモリ150は、画像生成部140によって生成された造影像や組織像などの画像データを記憶する。また、画像メモリ150は、画像生成部140による処理結果を記憶する。さらに、画像メモリ150は、送受信部110を経た直後の出力信号や画像の輝度信号、種々の生データ、ネットワークを介して取得した画像データなどを必要に応じて記憶する。画像メモリ150が記憶する画像データのデータ形式は、後述する制御部160によりモニタ13に表示されるビデオフォーマット変換後のデータ形式であっても、Bモード処理部120及びドプラ処理部130によって生成されたRawデータである座標変換(ビデオフォーマット変換)前のデータ形式でもよい。
【0025】
制御部160は、超音波診断装置1における処理全体を制御する。具体的には、制御部160は、入力装置12を介して操作者から入力された各種設定指示や、内部記憶部170から読込んだ各種制御プログラム及び各種設定情報に基づき、送受信部110、Bモード処理部120、ドプラ処理部130及び画像生成部140の処理を制御したり、画像メモリ150が記憶する超音波画像などをモニタ13にて表示するように制御したりする。
【0026】
内部記憶部170は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルなどの各種データを記憶する。また、内部記憶部170は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像の保管などにも使用される。なお、内部記憶部17が記憶するデータは、図示しないインターフェース回路を経由して、外部の周辺装置へ転送することができる。
【0027】
また、内部記憶部170は、超音波プローブ11に取り付けられた穿刺アダプタ11bから被検体Pに対して挿入される穿刺針11aの穿刺角度を記憶している。例えば、内部記憶部170は、穿刺アダプタ11bが装着された超音波プローブ11が当接される被検体Pの生体表面に対する穿刺針11aの挿入角度「37度」を、穿刺アダプタ11bの穿刺角度として記憶する。また、内部記憶部17は、モニタ2の表示サイズを記憶している。この穿刺角度は、穿刺アダプタ11bの種類によって予め定められている。例えば、操作者は、超音波プローブ11へ穿刺アダプタ11bを取り付けると共に、インターフェース部180を介して、取り付けた穿刺アダプタ11bの識別番号などを入力する。制御部160は、入力された穿刺アダプタ11bの識別番号を受けて、識別番号と予め対応付けられている穿刺角度を内部記憶部170へと出力し、内部記憶部170が穿刺角度を記録する。また、穿刺アダプタ11bの種類によっては、複数(例えば3種類)の穿刺角度を切り替えて穿刺術を行えるものも存在する。このような穿刺アダプタ11bを用いる場合は、まず操作者はインターフェース部180を介して、取り付けた穿刺アダプタ11bの識別番号を入力する。制御部160は、入力された識別番号の穿刺アダプタ11bが複数の穿刺角度を切り替え可能であることを認識して、モニタ13へ穿刺角度の選択を促すメッセージを表示させる。操作者がインターフェース部180を介して複数の穿刺角度の中から穿刺術に用いる角度を選択すると、制御部160は穿刺角度を内部記憶部170へと出力し、内部記憶部170が穿刺角度を記憶する。
【0028】
インターフェース部180は、入力装置12、位置情報取得装置14、ネットワークと装置本体100との間での各種情報のやり取りを制御するインターフェースである。
【0029】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、以下、詳細に説明する画像生成部140及び制御部160の処理により、関心領域における穿刺針の視認性を向上させることが可能となるように構成されている。
【0030】
図2は、画像生成部の処理を説明するための図である。
図2に示すように、例えば、画像生成部140の生成部142は、内部記憶部170から穿刺アダプタ11aの穿刺角度「37度」を取得して、超音波画像データ21(例えば、Bモード画像)に点線の穿刺ガイドライン22を重畳した画像データを生成する。これにより、医師は、穿刺ガイドライン22が重畳された超音波画像を参照しながら超音波プローブを操作し、穿刺ガイドライン22が関心領域に重畳する位置で穿刺を行う。
【0031】
ところで、医師は、ROI内に穿刺針が到達した際に、穿刺針の針先がROIのどの位置にあるのかを正確に把握したい場合がある。しかしながら、穿刺ガイドライン22がROIに重畳していると、穿刺針の針先が穿刺ガイドライン22と重畳してしまい、医師が穿刺針の針先の正確な位置を把握しにくくなっていた。
【0032】
以下、第1の実施形態に係る制御部160の処理について、
図3を用いて説明する。
図3は、第1の実施形態に係る制御部160の構成の一例を説明するための図である。
図3に示すように、制御部160は、予測部161と、設定部162と、検知部163と、表示制御部164とを有する。
【0033】
予測部161は、超音波画像データの撮像領域へ刺入される穿刺針の穿刺経路を予測する。例えば、予測部161は、穿刺アダプタ11bの穿刺角度を内部記憶部170から取得する。予測部161は、取得した穿刺アダプタ11bの穿刺角度から、その穿刺アダプタ11bが装着された超音波プローブ11に対する穿刺針11aの穿刺経路を算出する。そして、予測部161は、算出した穿刺針11aの穿刺経路を示す情報を生成部142へ出力する。これにより、予測部161は、穿刺針11aの穿刺経路を示す穿刺ガイドラインを超音波画像データに重畳した画像データを、生成部142に生成させる。
【0034】
なお、ここでは、予測部161が穿刺アダプタ11bの穿刺角度を用いて穿刺経路を予測する場合を説明したが、実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば、予測部161は、フリー穿刺(穿刺アダプタを介さず穿刺針を手に持って穿刺する穿刺術)の場合でも、超音波画像データから穿刺針を検出することで、穿刺経路を予測しても良い。この場合、予測部161は、超音波画像データに対して画像処理を行って、高輝度で且つ略線分状に分布する画像領域を穿刺針領域として検知する。そして、予測部161は、検知した穿刺針領域を延長することで穿刺経路を予測する。また、例えば、予測部161は、後述するように、穿刺針に取り付けた磁気センサを用いて穿刺針の針先の位置を取得する。そして、予測部161は、穿刺針の針先の位置を2カ所以上取得すると、それらを結ぶ直線を穿刺経路として予測しても良い。
【0035】
ここで、生成部142は、予測部161により予測された穿刺経路を示す穿刺ガイドラインを、超音波画像データに重畳した画像データを生成する。例えば、生成部142は、超音波プローブ11に対する穿刺針11aの穿刺経路を示す情報を予測部161から取得して、超音波画像データに穿刺ガイドラインを合成する。
【0036】
設定部162は、超音波画像データにおいて、穿刺アダプタ11bから挿入される穿刺針11aの穿刺対象に対応するROIを設定する。例えば、設定部162は、操作者によって入力装置12を用いて入力されたROIの設定指示に基づいて、画像生成部140によって生成される超音波画像データにROIを設定する。なお、設定部162によって設定されるROIは、例えば、生体組織検査やラジオ波焼灼治療(RFA:Radio Frequency Ablation)など、穿刺のターゲットとなる部位である。
【0037】
図4は、設定部162の処理を説明するための図である。
図4に示すように、設定部162は、モニタ13に表示されている超音波画像21に対してROI23を設定する操作が行われた場合に、設定された領域にROI23を設定する。また、設定部162は、超音波画像上のROI23を移動させる操作が行われた場合には、移動後の領域にROI23を設定する。また、設定部162は、超音波画像上のROI23を拡大又は縮小させる操作が行われた場合には、拡大又は縮小後のROI23を設定する。設定部162は、設定したROIを画像生成部140に表示させる。なお、ここでは、設定されたROIが超音波画像上に表示されるものと説明したが、必ずしも表示されなくても良い。
【0038】
検知部163は、穿刺針の位置を検知する。例えば、検知部163は、超音波画像データに対して画像処理を行って、高輝度で且つ略線分状に分布する画像領域を穿刺針領域として検知する。そして、検知部163は、検知した穿刺針領域を用いて針画像データを生成するように生成部142を制御する。なお、画像処理による穿刺針領域の検知方法は上述したものに限定されない。例えば、超音波画像としてモニタ13へ表示する画像データと、穿刺針領域の検出に用いる画像データとが異なっていてもよい。具体的には、受信信号をその周波数成分によって高周波帯域と基本波帯域の2つに分離し、高周波帯域の受信信号からモニタ13へ表示する画像データを生成し、基本波帯域の受信信号から穿刺針領域の検出に用いる画像データを生成してもよい。また、例えば、後述する線分を検知する領域を、穿刺ガイドライン22の近傍に絞り込んだうえで検知を行っても構わない。
【0039】
図5は、検知部163の処理を説明するための図である。
図5に示すように、検知部163は、超音波画像生成部141によって生成された超音波画像データから略線分状に分布する画像領域を検知する。そして、検知部163は、検知した画像領域付近で高輝度の領域を探索する。そして、検知部163は、探索した高輝度領域以外の領域の輝度値を「0」にすることで、生成部142に針画像データを生成させる。このように、高輝度領域の探索を略線分状に分布する画像領域付近に限定することで、アーチファクトに起因する高輝度領域や、反射強度の強い生体組織に対応する高輝度領域の輝度値を「0」として、穿刺針11aのみが描出された針画像データを生成することができる。そして、生成部142は、生成した針画像データを穿刺針24としてモニタ13に表示する。このとき、
図5では、穿刺針24が穿刺ガイドライン22に重畳して表示される。なお、検知部163が穿刺針の位置を検知する方法は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、磁気センサを用いて穿刺針の位置を検知しても良い。
【0040】
表示制御部164は、超音波画像に重畳される穿刺ガイドラインのうち、関心領域と重畳する重畳部分を、関心領域と重畳しない非重畳部分とは異なる表示態様で表示させる。例えば、表示制御部164は、設定部162によって設定されたROI23の情報と、検知部163によって検知された穿刺針の位置とを取得する。表示制御部164は、穿刺針の位置がROI23に到達すると、穿刺ガイドラインのうちROI23の領域内に重なっている部分については、生成部142に消去させる。
【0041】
図6及び
図7は、表示制御部164の処理を説明するための図である。
図6に示すように、表示制御部164は、医師によって被検体Pの体内に穿刺された穿刺針がROI23に到達すると、ROI23に含まれる穿刺ガイドライン22を生成部142に消去させる。この結果、
図7に示すように、ROI23において穿刺針24が穿刺ガイドライン22と重畳せず、穿刺針24のみが表示されるので、医師が穿刺針の針先の正確な位置を把握しやすくなる。
【0042】
なお、表示制御部164が重畳部分の穿刺ガイドライン22を消去させるのは、針画像24がROI23に到達した場合に限定されるものではない。例えば、表示制御部164は、針画像24がROI23から所定距離以内、例えば、ROIから1cm手前の位置に到達した際に消去させても良い。また逆に、表示制御部164は、針画像24がROI23の内部に到達し所定距離を通過した場合、例えば、ROI23の輪郭から1cm内側の位置に到達した際に消去させてもよい。また更には、穿刺対象領域を指定するためのROI23とは別に、穿刺ガイドライン22を消去するためのROI23´を別途設定しても構わない。この場合、針画像24がROI23´に到達すると、表示制御部164は、穿刺ガイドライン22のうちROI23の領域内に重なっている部分を消去させる。また別の態様としては、ROI23の設定を省略し、針画像24の先端部分から所定の範囲だけに係る穿刺ガイドライン22を消去しても構わない。
【0043】
図8は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理手順を示すフローチャートである。
図8に示す処理は、例えば、図示した各装置に電源が投入されると、開始される。
【0044】
図8に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1において、超音波画像生成部141は、超音波画像データを生成する(ステップS101)。続いて、予測部161は、穿刺経路を予測する(ステップS102)。そして、生成部142は、穿刺ガイドラインが重畳した超音波画像を表示する(ステップS103)。設定部162は、操作者によって入力装置12を用いて入力されたROIの設定指示を受け付けると(ステップS104肯定)、ROIを設定する(ステップS105)。なお、設定部162は、ROIの設定指示を受け付けるまで(ステップS104否定)、待機状態である。
【0045】
ここで、例えば、医師が穿刺を開始すると、検知部163は、穿刺針の位置を検知する(ステップS106)。そして、検知部163によって検知された穿刺針の位置がROIに到達すると(ステップS107肯定)、表示制御部164は、穿刺ガイドラインのうちROIに重畳する重畳部分を生成部142に消去させ(ステップS108)、処理を終了する。なお、穿刺針の位置がROIに到達するまで(ステップS107否定)、ステップS106及びステップS107の処理が繰り返し実行される。
【0046】
上述したように、第1の実施形態によれば、超音波画像生成部141は、超音波プローブによって受信された反射波に基づいて超音波画像データを生成する。予測部161は、超音波画像データの撮像領域へ刺入される穿刺針の穿刺経路を予測する。生成部142は、予測部161により予測された穿刺経路を示す穿刺ガイドラインを、前記超音波画像データに重畳した画像データを生成する。設定部162は、超音波画像データにおいて、穿刺針の穿刺対象に対応する関心領域(ROI)を設定する。表示制御部164は、画像データに重畳される穿刺ガイドラインのうち、関心領域と重畳する重畳部分を、関心領域と重畳しない非重畳部分とは異なる表示態様で表示させる。このため、超音波診断装置1は、関心領域における穿刺針の視認性を向上させることができる。
【0047】
また、第1の実施形態によれば、表示制御部164は、重畳部分の穿刺ガイドラインを消去する。このため、病変部位において穿刺針が穿刺ガイドラインと重畳しなくなり、穿刺針のみが表示される。したがって、医師は、病変部位における穿刺針の位置を正確に把握することができる。
【0048】
また、第1の実施形態によれば、検知部163は、穿刺針の位置を検知する。そして、表示制御部164は、検知部163によって検知された穿刺針の位置が、関心領域又は関心領域から所定距離以内に到達すると、重畳部分の穿刺ガイドラインの表示態様を、非重畳部分とは異なる表示態様で表示させる。このため、超音波診断装置1は、穿刺針が病変部位に到達したタイミングで、病変部位における穿刺針の視認性を向上させることができる。すなわち、穿刺針が病変部位に到達するまでは、医師は、穿刺ガイドラインと病変部位との位置関係から穿刺針を刺す際の超音波プローブの位置を決定したり、穿刺針が病変部位に向かっているかどうかを確認したりすることができる。さらに、穿刺針が病変部位に到達すると、医師は、病変部位における穿刺針の位置を正確に把握することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
上記の第1の実施形態では、超音波画像単体を表示して、超音波画像上で設定されたROIと穿刺ガイドラインとの重畳部分を消去する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態は、超音波画像と他のモダリティ画像とを連動させて並列表示する並列表示機能においても適用することができる。
【0050】
ここで、並列表示機能を実現するためには、超音波画像と他のモダリティ画像との位置合わせが行われる。この位置合わせには、超音波画像と他のモダリティ画像とで共通して描出される特徴部分が用いられる。この特徴部分として、病変部分などの穿刺のターゲットとなる部位が用いられる場合には、特徴部分を上述したROIとして用いることができる。そこで、第2の実施形態では、超音波画像と他のモダリティ画像との位置合わせを行うために用いられた特徴部分を、ROIとして設定する場合を説明する。
【0051】
まず、第2の実施形態に係る超音波診断装置1の構成について説明する。第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、
図1の超音波診断装置1と同様の構成を有する。さらに、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波画像と他のモダリティ画像との位置合わせを行うために、位置情報取得装置を備える。具体的には、位置情報取得装置は、超音波プローブ11がどこに位置するかを示す位置情報を取得する。
【0052】
また、第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、図示しない外部記憶装置とネットワークを介して接続される。この外部記憶装置には、他のモダリティの画像として、例えば、X線CT装置によって収集されたボリュームデータが記憶されている。
【0053】
例えば、超音波プローブ11に磁気センサが設けられた場合、磁気センサは、位置情報取得装置のトランスミッタを原点として形成された3次元の磁場を検出し、検出した磁場の情報を信号に変換し、変換した信号を位置情報取得装置に出力する。位置情報取得装置は、磁気センサから受信した信号に基づいて、トランスミッタを原点とする3次元空間における磁気センサの位置座標及び向きを算出し、算出した位置座標及び向きを制御部160に送る。なお、磁気センサに替えて、赤外線センサや光学センサ、カメラなどを用いても良い。
【0054】
次に、超音波画像と他のモダリティ画像との位置合わせについて説明する。ここでは、CT画像を参照画像として診断を行う場合の画像の位置合わせについて、
図9及び
図10を用いて説明する。
図9は、第2の実施形態に係る画像の位置合わせの一例を説明するための図である。
図10は、第2の実施形態に係る位置合わせされた画像の並列表示の一例を示す図である。ここで、
図9及び
図10においては、他のモダリティの画像として、外部記憶装置に記憶されたボリュームデータから生成されたMPR(Multi Planar Reconstructions)画像(以下、CT画像と記す)を用いる場合について示す。例えば、CT画像を参照画像として診断や治療が行われる場合には、
図9に示すように、超音波プローブに取り付けた磁気センサを用いて、X線CT装置によって収集されたボリュームデータと超音波画像との位置合わせが行われる。
【0055】
例えば、磁気センサが取り付けられた超音波プローブ11を被検体に対して垂直にあて、その状態でセットボタンを押下することで、制御部160は、その時の磁気センサの向きを垂直としてセットし、その時の磁気センサの角度と、CT画像のボリュームデータにおける角度とを関連付ける。
【0056】
次に、CT画像に描出された特徴部分と同一の特徴部分が超音波画像上で描出されるように超音波プローブ11を移動させて、再度セットボタンを押下することで、制御部160は、その時の磁気センサの位置(座標)と、CT画像のボリュームデータにおける位置(座標)とを関連付ける。また、このとき、制御部160は、例えば、位置合わせを行う操作者から設定指示を受け付けることで、位置合わせに用いられる特徴部分に対してマーカーを設定する。マーカーは、CT画像側で設定されても超音波画像側で設定されても良い。このように、磁気センサの向き及び座標を他のモダリティにおけるボリュームデータの座標と関連付けることで、超音波プローブ11が現時点の走査面と略同一位置の2次元画像を他のモダリティのボリュームデータから生成することが可能となる。
【0057】
第2の実施形態に係る設定部162は、一方が超音波プローブによって受信された反射波に基づいて生成された超音波画像データである2つの医用画像データにおいて、2つの医用画像データの位置合わせをするために用いられた特徴部分をROIとして設定する。
図10に示す例では、設定部162は、2つの医用画像データの位置合わせをするために設定されたマーカー31又はマーカー32を、穿刺ターゲットとなるROIとして設定する。
【0058】
上述したように、第2の実施形態によれば、設定部162は、一方が超音波プローブによって受信された反射波に基づいて生成された超音波画像データである2つの医用画像データにおいて、2つの医用画像データの位置合わせをするために設定された病変部位をROIとして設定する。このため、超音波診断装置1は、予め設定された領域を用いて、病変部位における穿刺針の位置を正確に把握することができる。
【0059】
なお、第2の実施形態に係る検知部163は、磁気センサを用いて穿刺針の位置を検知しても良い。例えば、検知部163は、磁気センサの座標から穿刺針の座標及び向きを算出する。そして、検知部163は、算出した穿刺針の座標及び向きを用いて針画像データを生成するように画像生成部14を制御する。このように、磁気センサを用いて穿刺針の位置を検知するのは、第2の実施形態に限定されるものではなく、上述した第1の実施形態に適用されても良い。
【0060】
(第3の実施形態)
さて、これまで第1及び第2の実施形態について説明したが、上述した第1及び第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
【0061】
(1)表示態様
上述した第1及び第2の実施形態では、穿刺ガイドラインのうち、穿刺ガイドラインとROIとが重畳する重畳部分を消去する場合を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、表示制御部164は、重畳部分の穿刺ガイドラインの表示態様を、点滅表示又は半透明表示などの表示態様に変更させても良い。また、表示制御部164は、重畳部分ではなく、穿刺ガイドラインとROIとが重畳しない非重畳部分の表示態様を強調表示しても良い。すなわち、表示制御部164は、重畳部分の穿刺ガイドラインの表示態様を、非重畳部分に比較して視認性の低い表示態様で表示させる。
【0062】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、穿刺ガイドラインを点線により表示したが、例えば、点線の代わりに、超音波画像の映像色とは異なる緑色などに彩色された直線であっても構わない。また、あるいは、穿刺針11aのたわみ量を予め予測して、たわみ量を考慮した穿刺針11aの予測到達領域を2本の点線で挟まれた領域として示しても構わない。
【0063】
(2)穿刺ガイドライン表示の手動切り替え
上述した第1及び第2の実施形態では、穿刺針の位置が所定の位置に到達することで、自動的に重畳部分の穿刺ガイドラインが消去される場合を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、重畳部分の穿刺ガイドラインが手動的に消去されても良い。
【0064】
図11は、受付部165の処理を説明するための図である。
図11に示すように、超音波診断装置1の制御部160は、重畳部分の穿刺ガイドラインの表示態様を非重畳部分とは異なる表示態様で表示させる旨の指示を操作者から受け付ける受付部165を有する。
そして、表示制御部164は、受付部165が上記の指示を受け付けると、重畳部分の穿刺ガイドラインの表示態様を、非重畳部分とは異なる表示態様で表示させる。これによれば、超音波診断装置1は、医師の求めに応じて、病変部位における穿刺針の視認性を向上させることができる。
【0065】
(3)ROI設定に伴う穿刺ガイドライン表示の消去
また、例えば、超音波診断装置1は、ROI設定を受け付けた時点で、重畳部分の穿刺ガイドラインを消去しても良い。例えば、表示制御部164は、設定部162によってROIが設定されると、重畳部分の穿刺ガイドラインの表示態様を、非重畳部分とは異なる表示態様で表示させる。これによれば、超音波診断装置1は、関心領域の設定に伴って、病変部位における穿刺針の視認性を向上させることができる。
【0066】
(4)穿刺針の先端部分に基づくROI設定
また、例えば、超音波診断装置1は、穿刺針の先端部分に基づいてROIを設定し、針先の位置の動きに伴って関心領域が遷移する構成としても良い。例えば、検知部163は、穿刺針の位置を検知する。続いて、設定部162は、検知部163によって検知された穿刺針の針先部分から所定の範囲に対応する領域を関心領域として設定する。そして、表示制御部164は、超音波画像に重畳される穿刺ガイドラインのうち、関心領域と重畳する重畳部分を、関心領域と重畳しない非重畳部分とは異なる表示態様で表示させる。これによれば、超音波診断装置1は、穿刺針の針先が超音波画像上のどの位置にあっても、針先の視認性を向上させることができる。
【0067】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、関心領域における穿刺針の視認性を向上させることができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。