【実施例1】
【0016】
ミツバチ、マルハナバチ、ハリナシバチ等の送粉昆虫を栽培施設1へ導入するにあたり、その具体例を説明するが、送粉昆虫としてミツバチを採用し、栽培施設として縦10m横5mの縦長のビニールハウスが用いられ、対象作物として、イチゴが植えられている。ミツバチは1頭の女王バチと1万頭ほどの働きバチの集団で生活している。
【0017】
図1には送粉昆虫の栽培施設1への通常の導入の説明図が示されており、
図2乃至
図5には、送粉昆虫の栽培施設1への導入時の各段階時の説明図が示され、この各説明図と、
図8に示す送粉昆虫の栽培施設導入の手順とをリンクさせながら、以下に説明する。
【0018】
栽培施設1は、
図1に示すように縦長で、南北方向に設置されている。この栽培施設1内にミツバチの巣箱2が、栽培施設1の北側に搬入される。この巣箱2内のミツバチは出入口が開けられて、外役のミツバチ(以下ミツバチとは外役を示す。)栽培施設1内を飛行する。巣箱は北側に配置されることが好ましいが、栽培施設1によっては東側なり西側なりに設けられることもある。栽培施設1内を飛行のミツバチは、花を求めて施設2外へ出ようとし、主に栽培施設1の南西で天井に近い部分に集まり、
図1の示す送粉昆虫溜り3を作ることになる。しかし、送粉昆虫溜まり3には花は無くミツバチは吸蜜できずに餓死してしまう。
【0019】
そこで、ミツバチの導入前又は同時に人工給餌器4を、その送粉昆虫溜り3に多数個(12個)を
図2に示すように配置する(ステップ101)。人工給餌器4は、
図6に示すような造花6で、中心に蜜入りの吸蜜部7を有しており、栽培施設1の天井に近い部分に配置されている。人工給餌器はミツバチ等送粉昆虫が吸蜜できる構造であれば、特に造花である必要はない。また、蜜はハチ蜜、蔗糖水、ブドウ糖水、果糖水のいずれか又はそれらを混合したものである。なお、蜜には必要により香料例えばバニリンが添加される。
【0020】
人工給餌器4の設置と同時に、必要により長期給餌用人工給餌器8が設置される。この長期給餌用人工給餌器8は前記人工給餌器4の設置スペースの関係から容量が少ない場合にそれを補填するために設けられている。長期給餌用人工給餌器8を栽培施設1内の適所、好ましくは
図2に示すように、対象作物が植えられている地面に設置する(ステップ102)。この長期給餌用人工給餌器8の蜜には、必要により香料例えばバニリンが添加されていて、その際には、前記人工給餌器にも香料例えばバニリンが添加され、前記人工給餌器4と同じ匂いとなっている。この長期給餌用人工給餌器8は
図7に示すような構造を持ち、吸蜜部9と蜜を入れるタンク10とよりなっている。
【0021】
栽培施設1内に巣箱2が搬入され(ステップ103)、施設内の飛行を開始したミツバチ(ステップ104)は、花を求めて施設2外へ出ようとし、主に栽培施設1の南西で天井に近い部分に集まり、
図1および
図2の示すハチ溜り3を作ることになる(ステップ105)。しかし、花は無くミツバチは吸蜜できずに餓死してしまう恐れがあるが、今回は人工給餌器4が設置してある。
【0022】
その人工給餌器4は
図6に示すような造花6で、中心に蜜入りの吸蜜部7を有しており、栽培施設1の天井に近い部分に配置されている。そのため、ミツバチは人工給餌器4に集まり、必要により匂いを付けられた蜜を吸蜜するようになる(ステップ106)。これにより、ミツバチの餓死は免れると共に、その匂いと蜜とを結びつけて連合学習するようになる。
【0023】
人工給餌器4の蜜の容量が充分に入る容器が用いられるなら、この人工給餌器4から吸蜜を始め、その蜜を巣に運ぶ帰巣を開始する(ステップ108)、そして、再び巣から出る出巣(ステップ109)が行なわれ、人工給餌器4に飛来する。即ち、
図2に示すように、ミツバチは対象作物12の開花がないにもかかわらず、栽培施設に定着する。
【0024】
しかし、人工給餌器4の設置場所の関係から、蜜の容量が少ない場合がある。このような場合に蜜に匂いが付けられている。前記人工給餌器4の蜜がなくなると、同じ匂いの香料を添加した長期給餌用人工給餌器8を探索し、
図3に示すように移行する(ステップ107)。そこで吸蜜を始めて、その蜜を巣に運ぶ帰巣を開始する(ステップ108)。そして、再び巣から出る出巣(ステップ109)が行なわれ、長期給餌用人工給餌器8に飛来する。即ち、
図4に示すように、ミツバチは対象作物12の開花がないにもかかわらず栽培施設に定着する。
【0025】
表1は人工給餌器及び長期給餌用人工給餌器4,8を用いて放飼したミツバチの5分間あたりの出・帰巣数を表わし、表2は人工給餌器及び長期給餌用人工給餌器4,8を用いて放飼した翌日のミツバチの5分間あたりの出・帰巣数を表わしている。この表1,2から、ミツバチが巣から出て、又は巣へ帰ることが活発に行なわれていることを知ることができる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
ミツバチの往復吸蜜(吸蜜活動)が行なわれて、栽培施設1内を飛行中に、ミツバチの持つ本来的な性質から、飛行探索(ステップ110)が行なわれ、対象作物12の一部が開花すると、
図5に示すように、ただちに訪花し、採餌するようになる。即ち、対象作物に訪花し吸蜜・採餌するようになり、餌の持帰り動作が行なわれ、栽培施設のミツバチの導入が完了する。
【0029】
供試したイチゴ、ノースポール、セイタカアワダチソウ、セイヨウタンポポ、トマト、ナス、タバコ、キュウリ、ソラマメに、送粉昆虫は、開花後はその直後から訪花し、採餌が見られた。
【0030】
この実施例では、ミツバチを採用した例であるが、この発明が同じ送粉昆虫であるマルハナバチ、ハリナシバチにも利用できることは勿論である。