【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、改善された荷重容量を有する曲げ変換器を特定するという目的に基づくものである。この目的は、本発明によれば、圧電材料と圧電材料上に適用された(付けられた)電極層とで構成される圧電素子を備える層構成(層構造)を有する曲げ変換器であって、層構成は、外側に保護層を有する、曲げ変換器により達成される。保護層は、好適な方法で層構成上に、または適切であれば圧電材料上に、特に接着剤層を用いて積層体の形態で適用される(付けられる)。保護層は、特に電気的機能を有しない、つまり、好ましくは非導電性であるが、それ自体、導体トラックまたは導電性層のためのキャリア層(carrier layer)であることが可能である。「外側に」とは、この場合、通常は電極層により形成された層構成の最上層または最下層(外側の平坦な面)を意味する。
【0009】
この種の弾性保護層が設けられた曲げ変換器は、歪み荷重と圧力荷重との両方について、弾性保護層を伴わない変形実施形態と比較したときに10倍高い荷重容量を有することが、調査により示されている。
【0010】
これにより、全体として、曲げ変換器は、層構成と層構成の外側に適用された(付けられた)弾性保護層とで構成される積層体の形態で形成される。
【0011】
1つの好適な構成によれば、保護層は、プレストレス下で層構成上、つまり、層構成の最外層上に適用される(付けられる)。このため、保護層と層構成との間の接続は、ストレスフリーではない。むしろ、保護層は、層構成との接続面においてプレストレス、好ましくは圧力荷重を働かせる。これにより、(曲げ)荷重下における層構成の初期故障または破損が、いわば外側から働く前記プレストレスにより効果的に打ち消される。
【0012】
ここで、プレストレスは、特に何らの優先的な方向も有しない。しかし、プレストレスは、プレストレスが曲げの間に発生する圧縮荷重(圧縮応力)と同じ方向に配向されるように(向けられるように)、意図的に一方向、好ましくは曲げ変換器の長手方向に配向させることが可能である。
【0013】
プレストレスは、保護層が層構成上に適用される(付けられる)ときに発生する。保護層の種類によって、様々な可能性が開かれている。弾性保護層の場合、プレストレスは、例えば、弾性復元力がプレストレスを働かせるように、保護層を予め伸張させ、かかる保護層を予め伸張した状態で適用する(付ける)ことにより達成される。代替として、保護層は、硬化可能な物質を用いて、例えば所謂プリプレグの形態でまたはワニスとして、適用される(付けられる)。好ましくは、物質を適用する(付ける)ための(当該)物質および/またはプロセスパラメータは、プレストレスが硬化中、特に収縮プロセスにより発生するように選択される。選択された製造プロセスのために層構成の長さが変化する場合、適用された(付けられた)保護層の収縮は、層構成の収縮よりも大きい。プレストレスは、この場合、特に熱プロセス、つまり、加熱処理およびその後の冷却により製造される。例えば、保護層は、層構成に結合される前に加熱され、その後、例えば接着により層構成に結合され、結合状態において冷却される。
【0014】
1つの好適な実施形態によれば、熱的プレストレスを確実に発生させるために、保護層は、特にその最外層としての、層構成の熱膨張係数と異なる、好ましくはより大きい、熱膨張係数を有する。
【0015】
1つの好適な展開形態によれば、保護層は、プレストレスに加えてまたはその代替として、層構成、特に圧電材料よりも高い弾性および/またはより高い弾性率(圧電材料よりも高い弾性およびより高い弾性率のいずれか一方または双方)を有する。その結果、破損のリスクがさらに低減される。この場合、「より高い弾性」は、弾性保護層の材料が、特に明確により高い降伏強度または降伏応力を有することを意味する。「降伏応力」は、一般に、材料が弾性変形のみを示すが塑性変形を示さない応力−歪み曲線における最大の応力を意味するものと理解される。「弾性率E」は、一般に、応力と応力−歪み曲線における直線的弾性領域における伸長との間の商をいうものである。従って、弾性率は、上記曲線における直線的弾性領域における(一定の)勾配を与えるものである。
【0016】
保護層の厚さは、好ましくは50μmよりも大きく、好ましくは100μmよりも大きく、特に最大約1000μmの範囲である。保護層の厚さは、特に、それぞれの電極層の厚さよりも大きい。電極層の厚さは、例えば金電極を用いるとき、数100nmの領域であり、所謂炭素電極を用いるとき、厚さは例えば5〜50μmの範囲である。圧電材料自体の厚さは、例えば50〜400μmの範囲である。
【0017】
1つの好都合な構成によれば、保護層が層構成の両方の外側に適用されている(付けられている)。ここで、保護層は、一般に、それぞれ、圧電セラミックに接触(コンタクト)する電極層に直接接続される。
【0018】
ここで、曲げ変換器は、異なる層構成により特徴付けることが可能である。例えば、曲げ変換器は、例えば、さらなる機械的キャリア層を伴わずに、およびさらなる追加的な圧電素子を伴わずに、1つの圧電素子のみ、つまり、電極層がその両側に適用された(付けられた)1つの圧電材料を有することが可能である。保護層は、この単一の圧電素子の好ましくは両側に適用される(付けられる)。モノモルフまたはトライモルフ構成のためなど、機械的キャリア層を用いる構成において、機械的キャリアは、現在の場合(本場合)において、層構成の一部としてみなされる。モノモルフ構成において、機械的キャリアは、片側において層構成の終端をなしている。この変形実施形態において、機械的キャリアは、典型的には、十分に大きい安定化効果を働かせるため、保護層は、好ましくは、層構成の片側のみ、つまり、機械的キャリアから遠い側に適用される(付けられる)。
【0019】
トライモルフ構成、つまり、1つの圧電素子が機械的キャリアの各側に適用される(付けられる)ため、層構成が機械的キャリアと機械的キャリアの2つの対向する側に編成(配置)された2つの圧電素子とから構成される構成において、保護層は、層構成の2つの外側の外方、つまり、圧電素子の最外側に適用される(付けられる)。原則的に、複数の圧電素子がスタックの形態で機械的キャリアの両側または片側のいずれかに編成(配置)される場合も、同じことが当てはまる。
【0020】
層構成が機械的キャリアを伴わずに互いに結合された複数の圧電素子により形成されたバイモルフまたはマルチモルフ構成において、1つの電気的保護層は、好ましくは、やはり層構成の各対向する外側に編成(配置)される。
【0021】
曲げ変換器は、一般に、中立帯と称されるものを有し、かかる中立帯は、層構成の中央面により構成され、かかる中央面は、典型的には、層構成の各層に対して平行に延在する。1つの好適な構成によれば、層構成は、曲げ変換器の中立帯に対して非対称的に編成(配置)される、つまり、層構成の中央面は、曲げ変換器の中央面と一致しない。また、好ましくは、層構成は、中立帯が層構成の外側に隣接する(接する)か、または層構成の外側に編成(配置)されるように、中立帯の外に完全に移動されている。この構成は、かなりの量のエネルギーを生成することが可能であるために、特に曲げ変換器がエネルギーを生成するための発電機として用いられるときに、特に有益である。1つの好適な構成によれば、この場合、曲げ変換器は、曲げ変換器が一方向のみに荷重される(曲げられる)ように、具体的には、圧電セラミックは圧力荷重に対してより高い耐性を有するため、曲げ変換器の中立帯の外側に編成(配置)された層構成が圧力のみで荷重されるように、用いられ装着される。
【0022】
1つの好都合な構成によれば、これは、外側に適用された(付けられた)2つの保護層の非対称的な構成により達成される。従って、2つの保護層は、対称的な構成と比較して、層構成が中立帯に対してオフセットされているという点において、厚さが異なる。この場合、より厚い保護層の厚さは、好ましくは、層構成およびより薄い保護層の全厚以上である。
【0023】
1つの好適な構成によれば、積層プラスチック膜が特に弾性保護層として用いられる。これは、特に、例えばPVCまたは別の熱可塑性で形成された市販の積層膜を接着結合することによる取り付けを意味するものと理解される。この種のプラスチック膜が層構成上に積層される、つまり、層構成に接着結合される。市販の積層膜は、この目的のために、熱の作用により粘着性になって接着剤層を形成する特別な被覆を有する。
【0024】
1つの好適な代替によれば、保護層は、フレキシブルプリント回路基板材料、例えばFR3または特にFR4材料と称されるものから構成される。かかるプリント回路基板材料は、典型的には、硬化したエポキシ樹脂から構成されている。FR4材料は、ガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂である。プリント回路基板材料のかかる膜は、市場で容易に入手可能であり、多種多様な変形実施形態において利用可能である。このプリント回路基板材料の保護層も、好ましくは、層構成に接着結合される。
【0025】
いくつかの(複数の)導体トラックまたは導電性層が保護層上に直接適用される(付けられる)と好都合である。特に、保護層は、この場合、フレキシブルプリント回路基板のキャリア層である。この変形実施形態により、圧電セラミックの、または圧電セラミック上に適用された(付けられた)それぞれの電極層の、特に簡単で永続的に確実な電気的接触が可能になる。このため、外側に追加的に適用された(付けられた)この保護層を用いて接触が行われる。本変形実施形態において、導体トラックまたはキャリア層と層構成の電極層との間に導電性接続が確立されるように、特に導電性接着剤が層構成への接続のために用いられる。しかし、導電性接続は、いずれの場合においても、極めて薄い接着剤層を用いることにより確立することも可能である。
【0026】
特に、曲げ変換器が導体トラックがその上に編成(配置)されたフレキシブルプリント回路基板のキャリア層として構成されるとき、曲げ変換器の全体は、この目的が意図されるとともに特にプリント回路基板上に形成された接点において接触および接続されることのみを必要とする、プレハブ電気機械装置として構成される。原則的に、さらなる電子装置または回路をフレキシブルプリント回路基板上に直接編成(配置)することも可能である。保護層を形成するフレキシブルな特に膜タイプのプリント回路基板は、好ましくは、層構成に対して縁において突出し、突出する部分的な領域において、曲げ変換器を接続線に接触させるための接触面を有する。
【0027】
導体トラックまたは導電体層は、例えばスパッタリング、電気メッキ、接着結合、またはローラ塗布など、特にプリント回路基板技術からそれら自体既知の方法により、保護層上に形成される。
【0028】
1つの好適な展開形態によれば、保護層上に直接編成(配置)される導電体層は、同時に、圧電素子のための電極を形成する、すなわち、導電体層は、恐らくは導電性接着剤を用いて、圧電セラミックに直接接触する。
【0029】
好適な構成において、層構成は、一体化された導体トラックまたはその上に適用された(付けられた)導電性層を有する2つのかかるプリント回路基板膜の間の(に)サンドイッチの形態で編成(配置)される。特に、さらにその上、導体トラックは、接続面または接触面(コンタクト面)において終端し、かかる面には、接続状態において、接続ワイヤが好ましくは半田付けにより接触する。1つの好都合な展開形態によれば、保護層は、この場合、互い違いの側において層構成に対して突出し、突出する部分的な領域において、接触面が形成され、その結果、簡単な接触が可能になる。
【0030】
第3の代替の構成によれば、保護層は、ワニス層により形成されている。ワニス層は、現在の場合(本場合)において、例えばスプレー、ブラシ、ローラにより粘性状態の好適なワニス、例えば合成樹脂ワニスを層構成上に適用(塗布)することにより形成され、適用(塗布)後、溶剤の蒸発により硬化する層である。原則として、一般に、保護層に加え、機械的特性を改善するための好適なワニスで圧電セラミックを含浸させることが可能である。
【0031】
好適な構成において、曲げ変換器は、損傷することなく、圧力荷重下で少なくとも約10%まで圧縮され、および/または(いずれか一方または双方)、伸長荷重下で少なくとも約1%まで伸長されるように、保護層を編成(配置)することにより全体的に形成される。このため、保護層を有する曲げ変換器は、かかる保護層の使用を伴わない曲げ変換器よりも目立って強い可逆荷重容量を有する。
【0032】
曲げ変換器は、アクチュエータとして、センサとして、および特にエネルギー生成のために発電機として用いられると好都合である。曲げ変換器は、好ましくは、無線信号送信のためのエネルギーを提供するためのタイヤ圧力センサにおける発電機として用いられる。
【0033】
本発明の変形実施形態を、図面を参照して以下でより詳細に説明する。前記図面は、概略的かつ大幅に簡略化された、部分的に詳細なタイプの図を示すものである。