特許第5954798号(P5954798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5954798高純度パラスチレンスルホン酸(塩)、それを用いたポリスチレンスルホン酸(塩)、およびポリスチレンスルホン酸(塩)を用いた、分散剤、導電性ポリマードーパント、ナノカーボン材料水性分散体、導電性ポリマー水性分散体、ならびにポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法
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  • 特許5954798-高純度パラスチレンスルホン酸(塩)、それを用いたポリスチレンスルホン酸(塩)、およびポリスチレンスルホン酸(塩)を用いた、分散剤、導電性ポリマードーパント、ナノカーボン材料水性分散体、導電性ポリマー水性分散体、ならびにポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法 図000013
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954798
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】高純度パラスチレンスルホン酸(塩)、それを用いたポリスチレンスルホン酸(塩)、およびポリスチレンスルホン酸(塩)を用いた、分散剤、導電性ポリマードーパント、ナノカーボン材料水性分散体、導電性ポリマー水性分散体、ならびにポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 12/30 20060101AFI20160707BHJP
   C08F 297/00 20060101ALI20160707BHJP
   C08F 4/00 20060101ALI20160707BHJP
   C08L 25/18 20060101ALI20160707BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20160707BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20160707BHJP
   C01B 31/02 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   C08F12/30
   C08F297/00
   C08F4/00
   C08L25/18
   C08K3/04
   C09D17/00
   C01B31/02 101F
【請求項の数】12
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-544157(P2013-544157)
(86)(22)【出願日】2012年8月31日
(86)【国際出願番号】JP2012072119
(87)【国際公開番号】WO2013073259
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2015年3月10日
(31)【優先権主張番号】特願2011-251116(P2011-251116)
(32)【優先日】2011年11月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507119250
【氏名又は名称】東ソー有機化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085224
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 重隆
(74)【代理人】
【識別番号】100175075
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康子
(72)【発明者】
【氏名】尾添 真治
(72)【発明者】
【氏名】山野井 健一
(72)【発明者】
【氏名】松永 秀秋
【審査官】 井津 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−168239(JP,A)
【文献】 特表2009−539453(JP,A)
【文献】 特開2010−062059(JP,A)
【文献】 特開2011−213823(JP,A)
【文献】 特開平10−139816(JP,A)
【文献】 特開2005−263608(JP,A)
【文献】 特開2010−254546(JP,A)
【文献】 特表2006−525220(JP,A)
【文献】 特開2004−059666(JP,A)
【文献】 特開平10−152465(JP,A)
【文献】 特表2006−502249(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/058036(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−246/00
C08L 1/00−101/16
C08G 61/00−61/12
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラスチレンスルホン酸(塩)を、亜硝酸ナトリウムの存在下に、純水、あるいは水溶性溶媒と水との混合溶媒中で再結晶化し、当該パラスチレンスルホン酸(塩)に含まれることのある原料スチレン由来の主要不純物である、(a)オルソスチレンスルホン酸(塩)、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸(塩)、(c)メタスチレンスルホン酸(塩)、(d)ブロモスチレンスルホン酸(塩)、の高速液体クロマトグラフィーで求めたピーク面積基準の含有比率を、各々(a)≦0.20%、(b)≦0.50%、(c)≦3.00%、及び(d)≦0.10%(ただし、パラスチレンスルホン酸(塩)と(a)〜(d)ピーク面積の総和は100)となすことを特徴とする、高純度パラスチレンスルホン酸(塩)の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の高純度パラスチレンスルホン酸(塩)をモノマー成分として重合するか、あるいは当該モノマー成分と共重合可能な他のモノマー成分とを共重合し、下記繰り返し構造単位A、あるいは下記繰り返し構造単位Aおよび下記繰り返し構造単位Bを有する、ポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法。
【化1】
〔繰り返し構造単位A,B中、Mはナトリウムカチオン、リチウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン又はプロトンを、Qは他のラジカル重合性モノマー残基を表し、nは1以上の整数を、mは0以上の整数を表す。〕
【請求項3】
下記式(I)〜(III)の少なくともいずれかの構造を有する請求項2記載のポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法。
【化2】

〔式(I)〜(III)中、Mはナトリウムカチオン、リチウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン又はプロトンを、Qは他のラジカル重合性モノマー残基を表し、n及びn’は1以上の整数を、m及びm’は0以上の整数を表す。〕
【請求項4】
ゲル浸透クロマトグラフィーで求めた重量平均分子量が2千〜100万であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が2.0未満である請求項2または3に記載のポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法
【請求項5】
Qがスチレン残基、スチレン誘導体残基、メタクリル酸残基、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル残基、メタクリル酸グリシジル残基、(メタ)アクリルアミド残基、N−ビニルピロリドン残基、N−フェニルマレイミド残基及び無水マレイン酸残基からなる群より選ばれる1種以上のラジカル重合性モノマー残基である、請求項2または3に記載のポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法
【請求項6】
水性溶媒中でラジカル重合又はリビングラジカル重合する、請求項2〜5いずれかに記載のポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法。
【請求項7】
水性溶媒中でラジカル重合性モノマーをリビングラジカル重合後、請求項1記載の製造方法によって得られるパラスチレンスルホン酸(塩)を加え、更にリビングラジカル重合を継続、又は、水性溶媒中で当該パラスチレンスルホン酸(塩)をリビングラジカル重合後、ラジカル重合性モノマーを加え、更にリビングラジカル重合を継続する、請求項2〜5のいずれかに記載のポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法。
【請求項8】
リビングラジカル重合開始剤が、下記式(IV)で表され、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、および4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸の群から選ばれた少なくとも1種と、ホスフィンおよび二硫化炭素のコンプレックスである請求項6または7に記載のポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法。

【化3】
〔式(IV)中、R、R、Rは、各々独立して、置換されていても良い直鎖状又は分岐状のアルキル基又はフェニル基を表し、R及びRは、ラジカル発生剤から生じるラジカルに対応する一価の基を表し、互いに同一であっても異なっていても良い。〕
【請求項9】
請求項2〜8の何れか1項に記載の製造方法によって得られるポリスチレンスルホン酸(塩)を有効成分とする分散剤の製造方法。
【請求項10】
請求項2〜8の何れか1項に記載の製造方法によって得られるポリスチレンスルホン酸(塩)を有効成分とする導電性ポリマードーパントの製造方法。
【請求項11】
請求項2〜8の何れか1項に記載の製造方法によって得られるポリスチレンスルホン酸(塩)を分散剤として用いて製造するナノカーボン材料水性分散体の製造方法。
【請求項12】
請求項2〜8の何れか1項に記載の製造方法によって得られるポリスチレンスルホン酸(塩)をドーパントとして用いて製造する導電性ポリマー水性分散体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度パラスチレンスルホン酸(塩)、それを用いた構造制御されたポリスチレンスルホン酸(塩)及びその分散剤としての利用、並びにこれを用いて製造されるナノカーボン材料及び導電性ポリマーの水性分散体、さらにはこのポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(以下、CNTと略記する)は、軽量高強度、高耐摩耗性、高熱伝導性、高融点、高導電性、半導電性、高比表面積、中空構造、高ガス吸着性、生体適合性などの特性を有することから、高強度材料、高熱伝導性材料、導電性材料、LSI配線、マイクロマシン、二酸化炭素固定材料、水素ガス吸蔵材料、電磁波遮蔽材料、触媒担持材料、ナノフィルター、バイオセンサー、ドラッグデリバリーシステム、電気化学デバイス(燃料電池、二次電池、キャパシタ、トランジスタ、電界放出ディスプレイ、電子ペーパー、薄膜有機太陽電池、色素増感太陽電池、有機EL、タッチパネル、各種電極)等への利用が期待されている。
【0003】
しかし、CNTは、分子間力によって凝集し易く、この性質が上記分野での実用化の最大の妨げとなっている。従って、CNTを凝集させることなく、溶媒や各種ポリマーマトリックス中に安定にナノ分散させる技術が強く求められている。
例えば、インクジェットプリント方式による集積回路の微細配線の作製、スクリーン印刷方式による電界放出陰極源の製造及びフラットパネルディスプレイへの応用研究がなされており、そのために必要なCNT水性分散体の製造方法が多数提案されている。例えば、ステロイド骨格を有するノニオン性界面活性剤を用いたCNT水性分散体の製造法が開示されており(例えば、特許文献1参照)、また、ドデシルイタコン酸を分散剤に用いたCNT水性分散体の製造法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。更に、親水基を有するトリフェニレン誘導体を分散剤とし、高出力の超音波を照射しながら、CNT水分散体を製造する方法(例えば、特許文献3参照)や、特定の官能基を有するセルロース誘導体を用いた製造法(例えば、特許文献4参照)が開示されている。しかし、上記何れの方法も分散効果は必ずしも満足できるものではなく、比較的高価な分散剤を使用するなどの課題があった。
【0004】
一方、スチレンスルホン酸を利用した方法も知られている。例えば、ポリスチレンスルホン酸塩(単独重合体)を用いたCNT水分散体の製造法が開示されている(例えば、特許文献5及び特許文献6参照)。また、スチレンスルホン酸−マレイン酸共重合体塩を用いたCNT水分散体の製造法が開示されている(例えば、特許文献7参照)。これらポリスチレンスルホン酸重合体塩は、安全性が高く、比較的低コストで工業生産されているが、分散効果は十分と言えず、更なる分散効果の向上が求められていた。
【0005】
一方、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリフェニレン類などの有機導電性ポリマー(以下、導電性ポリマーと言う)は、導電性、柔軟性、軽量性の観点から、帯電防止コーティング、固体電解コンデンサ電極、電磁波シールド材、アクチュエーター、エネルギーハーベスティング(発電)材料のほか、リチウム二次電池、ナトリウム二次電池、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、タッチパネルなどの部材、ITO(インジウムスズオキサイド)透明電極の代替としてとして期待されている。しかし、上記の導電性ポリマーは、CNTと同様、不溶不融であるため、コーティング加工が困難である。そこで、導電性ポリマーを有機溶媒や水性溶媒中に微粒状に分散させたタイプが開発の主流となっており、既に市販されている。
【0006】
導電性ポリマーの水性分散体を製造するためには、導電性ポリマーを微粒子又はナノ粒子状で水中に安定化させるための分散剤が必要であるが、現在の主流はポリスチレンスルホン酸である(例えば、特許文献8、9参照)。ポリスチレンスルホン酸(以下、PSSと言う)は強電解質ポリマーであり、分散剤としての役割だけでなく、導電性ポリマーの導電性を発現させるためのドーパントとしての役割を果たす。
しかし、従来の導電性ポリマー水性分散体は、ITO透明電極代替や電磁波シールド材として用いるには、導電性が不十分であり、さらに、安定性、耐水性、及びアルミニウム、タンタル、ガラス、ポリエステルフィルムなど各種基材への密着性が劣るため、これらの改良が強く望まれている。これら低い導電率、安定性、耐水性及び密着性は、分散剤として機能している余剰のPSSによるところが大きいと言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−242126号公報
【特許文献2】特開2010−13312号公報
【特許文献3】特開2009−190940号公報
【特許文献4】特開2011−127041号公報
【特許文献5】特開2005−263608号公報
【特許文献6】特開2010−254546号公報
【特許文献7】特表2006−525220号公報
【特許文献8】特開平7−90060号公報
【特許文献9】特開2004−59666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、CNT、グラフェン、フラーレンなどのナノカーボン材料、及びポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリフェニレン類などの導電性ポリマーの水性分散体を製造するための分散剤として有用な構造制御されたPSSまたはその塩(以下「PSS(塩)」ともいう)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、構造制御されたPSS(塩)が、CNT、グラフェン、フラーレンなどのナノカーボン材料、及びポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリフェニレン類などの有機導電性ポリマーの水性分散体の物性向上に有用な分散剤になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、パラスチレンスルホン酸(塩)に含まれることのある原料スチレン由来の主要不純物である、(a)オルソスチレンスルホン酸(塩)、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸(塩)、(c)メタスチレンスルホン酸(塩)、(d)ブロモスチレンスルホン酸(塩)の、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと言う)で求めたピーク面積基準の含有比率が、各々(a)≦0.20%、(b)≦0.50%、(c)≦3.00%、及び(d)≦0.10%(ただし、パラスチレンスルホン酸(塩)と(a)〜(d)ピーク面積の総和は100)である高純度パラスチレンスルホン酸又は塩(以下「パラスチレンスルホン酸(塩)」ともいう)に関する。
次に、本発明は、上記高純度パラスチレンスルホン酸(塩)を用いて製造される、下記繰り返し構造単位A、あるいは下記繰り返し構造単位Aおよび下記繰り返し構造単位Bを有するポリスチレンスルホン酸またはその塩(以下「ポリスチレンスルホン酸(塩)」ともいう)に関する。


【0011】
【化1】
【0012】
〔繰り返し構造単位A,B中、Mはナトリウムカチオン、リチウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン又はプロトンを、Qはラジカル重合性モノマー残基を表し、nは1以上の整数を、mは0以上の整数を表す。〕
本発明のポリスチレンスルホン酸(塩)としては、下記式(I)〜(III)の少なくともいずれかの構造を有するポリスチレンスルホン酸(塩)が好ましい。











【0013】
【化2】
【0014】
〔式(I)〜(III)中、Mはナトリウムカチオン、リチウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、第4級アンモニウムカチオン又はプロトンを、Qはその他のラジカル重合性モノマー残基を表し、n及びn’は1以上の整数を、m及びm’は0以上の整数を表す。〕
ここで、本発明のポリスチレンスルホン酸(塩)のゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと言う)で求めた重量平均分子量は2千〜100万が好ましく、重量平均分子量と数平均分子量の比(=重量平均分子量/数平均分子量)は2.0未満が好ましい。
また、上記繰り返し構造単位Bおよび上記式(I)〜(III)中のQとしては、スチレン残基、スチレン誘導体残基、メタクリル酸残基、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル残基、メタクリル酸グリシジル残基、(メタ)アクリルアミド残基、N−ビニルピロリドン残基、N−フェニルマレイミド残基、無水マレイン酸残基からなる群より選ばれる1種以上のラジカル重合性モノマー残基であるのが好ましい。
次に、本発明は、上記のポリスチレンスルホン酸(塩)を有効成分とする分散剤、及び導電性ポリマードーパントに関する。
また、本発明は、上記のポリスチレンスルホン酸(塩)を分散剤として用いて製造されてなるナノカーボン材料水性分散体、及び上記のポリスチレンスルホン酸(塩)を分散剤かつドーパントとして用いて製造されてなる導電性ポリマー水性分散体に関する。
次に、本発明は、上記の高純度パラスチレンスルホン酸(塩)を、水性溶媒中でラジカル重合又はリビングラジカル重合する、上記ポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法に関する。
また、本発明は、水性溶媒中でラジカル重合性モノマーをリビングラジカル重合後、上記のパラスチレンスルホン酸(塩)を加え、更にリビングラジカル重合を継続、又は、水性溶媒中で当該パラスチレンスルホン酸(塩)をリビングラジカル重合後、ラジカル重合性モノマーを加え、更にリビングラジカル重合を継続する、上記のポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法に関する。
ここで、本発明で用いるリビングラジカル重合開始剤は、下記式(IV)で表される推定構造を有する化合物であるのが好ましい。
【0015】
【化3】
【0016】
〔式(IV)中、R、R、Rは、各々独立して、置換されていても良い直鎖状又は分岐状のアルキル基又はフェニル基を表し、R、R、Rは同一であっても異なっていても良い。R及びRはラジカル発生剤から生じるラジカルに対応する一価の基を表し、互いに同一であっても異なっていても良い。〕
【発明の効果】
【0017】
本発明の高純度パラスチレンスルホン酸(塩)を用いて製造されてなる構造制御されたPSS(塩)は、水性媒体中に、CNT、グラフェン、フラーレンなどのナノカーボン材料、及びポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリフェニレン類などの導電性ポリマーを水性媒体中に分散させる能力が極めて高く、かつ導電性ポリマー水性分散体の導電率、安定性及び耐水性を改良するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の高純度パラスチレンスルホン酸塩のHPLCクロマトグラフィーであり、図1中、縦軸はピーク強度(検出器の吸収強度であり、単位は任意)を示し、横軸は溶出時間(単位は分)を示す。図1中の(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ(a)オルソスチレンスルホン酸(塩)、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸(塩)、(c)メタスチレンスルホン酸塩、(d)ブロモスチレンスルホン酸塩の強度を示す。
図2】実施例2の高純度パラスチレンスルホン酸塩のHPLCクロマトグラフィーである。その他は、図1の説明と同様である。
図3】比較例1の低純度パラスチレンスルホン酸塩のHPLCクロマトグラフィーである。その他は、図1の説明と同様である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、パラスチレンスルホン酸(塩)に含まれることのある原料スチレン由来の主要不純物である、(a)オルソスチレンスルホン酸(塩)、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸(塩)、(c)メタスチレンスルホン酸(塩)、(d)ブロモスチレンスルホン酸(塩)の、HPLCで求めたピーク面積基準の含有比率が、各々(a)≦0.20%、(b)≦0.50%、(c)≦3.00%、及び(d)≦0.10%(すなわち、パラスチレンスルホン酸(塩)と(a)〜(d)ピーク面積の総和は100)である高純度パラスチレンスルホン酸(塩)、ならびにこれを用いて製造される上記繰り返し構造単位A,または上記繰り返し構造単位Aおよび(B)を有し、例えば上記式(I)〜(III)の少なくともいずれかの構造を有するPSSまたはその塩[PSS(塩)]である。
【0020】
本発明のPSS(塩)は、PSS(塩)ホモポリマーに限定される訳ではなく、すなわち上記繰り返し構造単位A、あるいは上記繰り返し構造単位AおよびBを有するものであれば特に限定されるものではなく、ランダム共重合体、又はブロック共重合体であっても良い。ここで言うブロック共重合体とは、PSS(塩)鎖(上記繰り返し構造単位A)とPSS(塩)とは異なるポリマー鎖(上記繰り返し構造単位B)とが、共有結合を介してお互いがブロック的に結合したものであり、ジブロック、トリブロック、マルチブロック型などのタイプが含まれる。本発明のかかるブロック共重合体の好ましい例示としては、上記式(I)〜(III)の構造を持つブロック共重合体が挙げられる。
なお、上記繰り返し構造単位A〜B、ならびに上記式(I)〜(III)において、n及びn’は1以上の整数、好ましくは10〜5,000の整数、m及びm’は0以上の整数、好ましくは0〜5,000の整数である。
【0021】
本発明の特徴は、PSS(塩)が構造制御された点にあり、さらに、ここで言う構造制御には三つの意味がある。
第一の意味は、PSS(塩)の製造に用いるモノマー[パラスチレンスルホン酸(塩)]を高純度化したことであり、以下に説明する。
パラスチレンスルホン酸(塩)は、一般に、下記の方法で製造されており、製法上、未反応ハロゲン化物、異性体、金属ハロゲン化物などの不純物の副生や混入が避けられない。






【0022】
【化4】
【0023】
パラスチレンスルホン酸(塩)を詳細に分析した結果、主な不純物として、原料スチレンに由来する(a)オルソスチレンスルホン酸(塩)、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸(塩)、(c)メタスチレンスルホン酸(塩)、(d)ブロモスチレンスルホン酸(塩)が含まれることが判明した。本発明者らは、上記不純物を含むパラスチレンスルホン酸(塩)を水性溶液から再結晶精製する方法、又は反応温度などの製造条件をコントロールすることにより、HPLCで求めたピーク面積基準のこれらの含有比率が、各々(a)≦0.20%、(b)≦0.50%、(c)≦3.00%、及び(d)≦0.10%である高純度パラスチレンスルホン酸(塩)を製造し、これを用い、従来のラジカル重合法によって高純度のPSS(塩)を製造した。これを分散剤に用いて、CNT水性分散体や代表的な導電性ポリマーであるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下、PEDOTと言う)の水性分散体を製造したところ、従来のPSSを用いた場合と比較して、分散体の安定性が向上することを見出した。さらに、PEDOT水性分散体から得られる塗膜の導電率が向上することを見出した。
【0024】
理由は明確ではないが、分散体の安定性向上については、メタ体などの異性体の低減によって、PSS(塩)の安定性が向上したためと考えられる。導電率の向上については、これまで、当該用途でPSS(塩)の規則性に言及した報告例はなかったが、おそらくPSS(塩)の規則性向上によってPEDOTへのドープ率が向上したためと考えられる。
また、本発明は、上記の高純度パラスチレンスルホン酸(塩)を、水性溶媒中でラジカル重合して得られる高純度のPSS又はその塩を含む溶液をも意味する。すなわち、上記不純物の中の(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸(塩)は、ラジカル重合性二重結合を含まないため、PSS(塩)骨格中に共重合されないが、水性媒体中で製造されたPSS(塩)溶液中には存在する。β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸(塩)のような不純物を含むPSS(塩)水溶液を、例えばアルミ電解コンデンサーなどの用途に使用すると、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸(塩)の分解でハロゲンが遊離し、このハロゲンによるアルミの電蝕反応が繰返されると、コンデンサの故障に至る。従って、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸(塩)も極力低減した方が良い。
【0025】
第二の意味は、PSS(塩)の分子量分布、いわゆる重量平均分子量/数平均分子量の値を2.0未満に狭くしたことである。本発明者らは、リビングラジカル重合法によって、分子量分布が2.0未満のPSS(塩)を合成し、これを分散剤に用いて、CNT水性分散体やPEDOT水性分散体を製造したところ、従来のPSSを用いた場合と比較して、分散体の安定性が向上し、かつ、PEDOT水性分散体塗膜の導電性が向上することを見出した。
PSS(塩)の狭分子量分布化によって、分散剤としての効率が向上したためと考えられる。すなわち、分散質の粒径に対して、PSS(塩)の長さが短すぎる場合は、分散質からPSS(塩)が脱着し易く、逆に長すぎる場合は、PSS(塩)が分散質同士を橋かけ凝集するためと考えられる。また、理由は明確ではないが、PEDOT水性分散体の製造後、PEDOT粒子表面からのPSS(塩)の脱着が起こり難くなったため、導電率が向上したと考えられる。
なお、本発明のPSS(塩)の分子量分布は2.0未満であることが好ましい。分子量分布は単分散を表す1.0に近いほど好ましいが、PSS(塩)の生産性、コストを考慮すると、1.0〜1.8がさらに好ましい。本発明において、PSS(塩)の分子量分布を2.0未満にするには、後記するように、本発明の高純度パラスチレンスルホン酸(塩)を、リビングラジカル重合したり、この際、後記する式(IV)で表されるラジカル重合開始剤を用いたり、あるいは通常の分子量分布を有するPSS(塩)から、カラムを用いて所望の分子量のPSS(塩)を分取すればよい。
【0026】
第三の意味は、PSS(塩)に、PSS(塩)とは異なるポリマーをブロック状に連結(いわゆるブロック共重合)したことである。本発明者らは、PSS(塩)とPSS(塩)よりも親水性の低いと考えられるポリマーを、リビングラジカル重合によってブロック状に連結させ、PSS(塩)ブロック共重合体を製造し、これを分散剤として用いてCNTやPEDOT水性分散体を製造したところ、分散体の安定性をさらに向上できることを見出した。親水性の低いブロックが、CNTやPEDOTなどの疎水性材料に効果的に吸着したため、あるいは反対に、従来は余剰のPSS(塩)によって分散安定性が保持されていたが、PSS(塩)よりも親水性が低い別のブロックによって分散安定化したためと考えられる。さらに、PSS(塩)とは異質なポリマーをブロック的に結合することにより、従来の課題であった、樹脂、ガラス、ITOなどの基材への密着性、他種ポリマーとの相溶性を改良できる可能性がある。
【0027】
本発明のPSS(塩)のGPCで求めた重量平均分子量に制限はないが、2千〜100万が好ましく、粘度など水性分散体の取扱い性、PSS(塩)製造時の重合開始剤量などを考慮すると、5千〜60万がさらに好ましい。
この重量平均分子量は、モノマーに対する重合開始剤や連鎖移動剤の添加量によって容易に調整することができる。
【0028】
本発明のPSS(塩)又はPSS(塩)ブロック共重合体に用いるパラスチレンスルホン酸(塩)以外の他のモノマーとしては、PSS(塩)ラジカルによってラジカル重合が進行するもの、又はパラスチレンスルホン酸(塩)に対してラジカル重合開始剤になり得るラジカルを生じるもの(換言すれば、パラスチレンスルホン酸(塩)とラジカル共重合できるもの)であれば特に制限はない。例えば、N−フェニルマレイミド、N-(クロロフェニル)マレイミド、N-(メチルフェニル)マレイミド、N-(イソプロピルフェニル)マレイミド、N-(スルフォフェニル)マレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ブロモフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−(ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−アセトキシ−1−ナフチル)マレイミド、N−(4−オキシ−1−ナフチル)マレイミド、N−(3−フルオランチル)マレイミド、N−(5−フルオレセイニル)マレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,3−キシリル)マレイミド、N−(2,4−キシリル)マレイミド、N−(2,6−キシリル)マレイミド、N−(アミノフェニル)マレイミド、N−(トリブロモフェニル)マレイミド、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、N−(3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のマレイミド類、フマル酸ジブチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジシクロヘキシルなどのフマル酸ジエステル類、フマル酸ブチル、フマル酸プロピル、フマル酸エチルなどのフマル酸モノエステル類、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸ジエステル類、マレイン酸ブチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸エチル、マレイン酸ジシクロヘキシルなどのマレイン酸モノエステル類、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などの酸無水物、マレイミド、N-(スルフォフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミドなどのマレイミド類、スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、フロロスチレン、トリフロロスチレン、ニトロスチレン、シアノスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−シアノスチレン、p−アセトキシスチレン、塩化p−スチレンスルホニル、エチルp−スチレンスルホニル、メチルp−スチレンスルホニル、プロピルp−スチレンスルホニル、p−ブトキシスチレン、4−ビニル安息香酸、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネートなどのスチレン類、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−フェニルビニルアルキルエーテル、ニトロフェニルビニルエーテル、シアノフェニルビニルエーテル、クロロフェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸メトキシエチレングリコール、アクリル酸エチルカルビトール、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、ポリエチレングリコールアクリレート、アクリル酸グリシジル、2−(アクリロイルオキシ)エチルフォスフェート、アクリル酸2,2,3,3−テトラフロロプロピル、アクリル酸2,2,2−トリフロロエチル、アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、アクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールメタクリレート、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸メトキシエチレングリコール、メタクリル酸エチルカルビトール、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、2−(メタクリロイルオキシ)エチルフォスフェート、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、メタクリル酸2−(イソシアナート)エチル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフロロプロピル、メタクリル酸2,2,2−トリフロロエチル、メタクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、メタクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチルなどのメタクリル酸エステル類、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2−(N−ピペリジルメチル)−1,3−ブタジエン、2−トリエトキシメチル−1,3−ブタジエン、2−(N,N−ジメチルアミノ)−1,3−ブタジエン、N−(2−メチレン−3−ブテノイル)モルホリン、2−メチレン−3−ブテニルホスホン酸ジエチルなどの1,3−ブタジエン類、その他、アクリルアミド、メタクリルアミド、スルフォフェニルアクリルアミド、スルフォフェニルイタコンイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−シアノエチルアクリレート、無水シトラコン酸、ビニル酢酸、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサミック酸ビニル、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルサクシネート、モノ2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ジアセトンメタクリレート、ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルピロリドン、デヒドロアラニン、二酸化イオウ、イソブテン、N−ビニルカルバゾール、ビニリデンジシアニド、パラキノジメタン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ノルボルネン、N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。これらの中で、パラスチレンスルホン酸又は塩との共重合性、入手性などを考慮すると、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、N−ビニルピロリドン、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸が好ましい。
【0029】
上記PSS(塩)ブロック共重合体中の非PSS(塩)成分の含量は特に制限はなく、目的に応じて含量を調整すれば良いが、98重量%を超えると共重合体の親水性が低すぎて分散剤としての機能が低下するため、60重量%以下が好ましい。
【0030】
次に、本発明の高純度パラスチレンスルホン酸(塩)の製造法について説明する。
高純度パラスチレンスルホン酸(塩)の製造法は、特に限定するものではないが、例えば、不純物を含むパラスチレンスルホン酸(塩)を純水、又はアセトンやイソプロパノールなどの水溶性溶媒と水の混合溶媒に投入し、40〜70℃で加熱、溶解した後、徐々に常温まで冷却し、パラスチレンスルホン酸(塩)を再結晶することによって製造できる。この操作を繰返すことにより、より純度を高めることができる。この再結晶化の操作は、1回以上、生産性やコストを考慮すると、好ましくは1〜3回である。
さらに具体的に本発明の高純度パラスチレンスルホン酸(塩)の製造例を示すと、例えば、スチレンスルホン酸ナトリウムを、5〜6重量%濃度でメタノールに加熱溶解し(通常、40〜50℃で、10〜60分程度)、ゆっくり常温〜10℃付近まで冷却することにより、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの結晶を析出させた後、濾過、乾燥することによって、高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムを得ることができる。
【0031】
次に、本発明のPSS(塩)の製造法について説明する。
PSS(塩)の製造法は、特に限定するものではないが、第1例として、一般的なラジカル重合による方法を例示する。例えば、反応容器に、水性溶媒ならびにパラスチレンスルホン酸又はその塩、及び必要に応じてパラスチレンスルホン酸又はその塩とラジカル共重合可能なコモノマー混合物の均一溶液を仕込み、必要に応じて分子量調節剤を加え、系内を脱酸素した後、所定温度に加熱し、ラジカル重合開始剤を添加しながら重合すれば良い。この際、急激な重合を避けるため、及び低分子量域での分子量制御性を考慮すると、最初に全てのモノマー混合物を反応容器に仕込むのではなく、各々のモノマーを、重合開始剤や分子量調節剤と共に、反応容器に少量ずつ連続添加するのが好ましい。
【0032】
反応溶媒は特に限定するものではないが、パラスチレンスルホン酸又はその塩及びコモノマーの溶解性、並びにCNTなどのナノカーボン材料及び導電性ポリマーの水性分散体の製造を考慮すると、水性溶媒、例えば水及び水溶性溶剤の混合物が好ましい。水溶性溶剤としては、パラスチレンスルホン酸(塩)とコモノマーの混合物が溶解する組成であれば制限はないが、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等があげられる。好ましくは、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、およびジメチルホルムアミドである。
反応溶媒である水性溶媒の使用量は、モノマー全量100重量部に対し、通常、150〜2,000重量部である。
【0033】
分子量調節剤は特に限定されるものではないが、例えば、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルチウラムジスルフィド、2,2’−ジチオジプロピオン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、4,4’−ジチオジブタン酸、2,2’−ジチオビス安息香酸などのジスルフィド類、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、チオマロン酸、ジチオコハク酸、チオマレイン酸、チオマレイン酸無水物、ジチオマレイン酸、チオグルタール酸、システイン、ホモシステイン、5−メルカプトテトラゾール酢酸、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール、メルカプトエタノール、1,2−ジメチルメルカプトエタン、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩、6−メルカプト−1−ヘキサノール、2−メルカプト−1−イミダゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、システイン、N−アシルシステイン、グルタチオン、N−ブチルアミノエタンチオール、N,N−ジエチルアミノエタンチオールなどのメルカプタン類、ヨードホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジフェニルエチレン、p−クロロジフェニルエチレン、p−シアノジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー、ベンジルジチオベンゾエート、2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾエート、有機テルル化合物、イオウ、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム等が挙げられる。
分子量調節剤の使用量は、モノマー全量100重量部に対し、通常、0.1〜10重量部である。
【0034】
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などのパーオキサイド類、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレートなどのアゾ化合物等があげられる。また、必要に応じて、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アニリン、三級アミンなどの有機系還元剤等を併用しても良い。
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマー全量100重量部に対し、通常、0.1〜10重量部である。
【0035】
重合条件は特に限定するものではないが、不活性ガス雰囲気下、40〜120℃で、4〜50時間加熱すれば良く、重合溶媒、モノマー組成、及び重合開始剤種によって適宜調整すれば良い。
【0036】
本発明のPSS(塩)は、上記の一般的なラジカル重合でも製造できるが、分子量分布を狭くしたり、ブロック共重合体を製造するためには、リビング重合法が好ましく、パラスチレンスルホン酸又はその塩のような極性モノマーに対しては、リビングラジカル重合法がより好ましい。また、パラスチレンスルホン酸(塩)の代わりに、各種溶剤に対する溶解性が極めて高いパラスチレンスルホン酸エステルを用いた場合には、イオン重合によっても製造できる。
【0037】
リビングラジカル重合法としては、例えば、原子移動重合法、安定ニトロキシル媒介重合法、可逆的付加解裂移動重合法、有機テルル媒介重合法(高分子論文集、vol.64、No.6、pp.329、2007年)、ヨウ素移動重合法(特開2007−92014号公報;高分子論文集、vol.59、No.10、798頁、2010年)、ホスフィンと二硫化炭素のコンプレックスを用いる重合法(特開2006−233012号公報)、トリアルキルボランを用いる方法(接着、50巻、4号、23頁、2006年)、α−メチルスチレンダイマーを用いる方法(特開2000−169531号公報)があげられ、これらの方法が本発明にも適用できる。
リビングラジカル重合の具体例としては、水性溶媒中で他のラジカル重合性モノマーをリビングラジカル重合後、本発明の高純度パラスチレンスルホン酸(塩)を加え、更にリビングラジカル重合を継続、又は、水性溶媒中で当該パラスチレンスルホン酸(塩)をリビングラジカル重合後、他のラジカル重合性モノマーを加え、更にリビングラジカル重合を継続する。例えば、このようなリビングラジカル重合することにより、上記式(I)〜(III)に具示されるような構造を有するポリスチレンスルホン酸(塩)が得られる。
ここで、水性溶媒の種類などは、上記のラジカル重合と同様である。
【0038】
イオン重合としては、例えば、アミン化合物を用いたアニオン重合法(Polymer Preprints、Japan、Vol.59、No.1、2010年、565頁;日本ゴム協会誌、74巻、7号、2001年、254頁)があげられ、パラスチレンスルホン酸エステルを使用すれば、本発明にも適用できる。
【0039】
なお、上記リビングラジカル重合法の中で、パラスチレンスルホン酸又はその塩への適用性と重合の簡便性を考慮すると、ホスフィンと二硫化炭素のコンプレックスを用いる重合法、すなわち、下式(IV)の推定構造をラジカル重合開始剤(制御剤)の使用が好ましい。

【0040】
【化5】
【0041】
〔式(IV)中、R、R、Rは、各々独立して、置換されていても良い直鎖状又は分岐状のアルキル基又はフェニル基を表し、R、R、Rは同一であっても異なっていても良い。R及びRはラジカル発生剤から生じるラジカルに対応する一価の基を表し、互いに同一であっても異なっていても良い。〕
【0042】
リビングラジカル重合条件は特に限定するものではないが、その具体例としては、反応容器にパラスチレンスルホン酸又はその塩、及び必要に応じてパラスチレンスルホン酸(塩)とラジカル共重合可能なコモノマーの均一溶液を仕込み、系内を脱酸素した後、上記ラジカル重合開始剤(開始剤兼分子量制御剤として作用)を添加し、所定温度に加熱し、重合することにより、分子量分布が狭いPSS(塩)が製造できる。ここで、PSS(塩)を製造した後、脱酸素の状態でパラスチレンスルホン酸(塩)とラジカル重合可能な他のモノマーを添加し、再び加熱重合することによって、PSS(塩)ブロック共重合体を製造することができる。あるいは、反応容器にパラスチレンスルホン酸(塩)とラジカル共重合可能なモノマーの溶液を仕込み、系内を脱酸素した後、上記ラジカル重合開始剤を添加し、所定温度に加熱し、重合することにより、分子量分布が狭いポリマーを製造した後、脱酸素状態でパラスチレンスルホン酸又はその塩を添加し、再び加熱重合することによっても、PSS(塩)ブロック共重合体を製造することができる。また、これらの操作を繰返すことによって、マルチブロック型のPSS(塩)共重合体を製造できる。
【0043】
上記式(IV)のR、R、Rは、各々独立して、置換されていても良い直鎖状又は分岐状のアルキル基又はフェニル基であるが、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、溶媒への溶解性を考慮すると、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基がさらに好ましい。
、Rは、ラジカル重合開始剤から発生する一価の基を示すが、重合開始剤の水性溶媒への溶解性を考慮すると、親水性の置換基を有するものが好ましい。例えば、そのようなラジカル重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などが挙げられる。
上記で得られたPSS(塩)は、例えば下記の推定構造(V)又は(VI)を有すると考えられる。



















【0044】
【化6】
【0045】
上記式(V)及び(VI)のR〜Rは式(IV)のそれと同一であり、n,mは上記繰り返し構造単位のA,Bあるいは一般式(I)〜(III)のそれと同一である。上記PSS(塩)中には、式(IV)の開始剤切片が含まれているが、開始剤切片を酸又はアルカリ水溶液で加水分解することにより、除去することができる。
【0046】
分子量分布が狭いPSS(塩)を製造する他の方法としては、リビング重合で製造した分子量分布が狭いポリスチレンを、エチレンジクロライドなどのハロゲン化溶媒中、無水硫酸などを用いてスルホン化する方法も考えられる。この場合、スルホン化反応におけるパラ位の選択性が十分高ければ、本発明でも使用できる。
【0047】
本発明のPSS(塩)は、必要に応じて、パラスチレンスルホン酸又は塩とラジカル共重合可能な他のモノマーをランダム共重合しても良い。特に制限はないが、例えば、PSS(塩)ブロック共重合体の説明で記載したモノマーがあげられる。より具体的に説明すれば、例えば、カーボンナノ材料への吸着性を高めたい場合、N−フェニルマレイミド、N-(クロロフェニル)マレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ブロモフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−(ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−アセトキシ−1−ナフチル)マレイミド、N−(4−オキシ−1−ナフチル)マレイミド、N−(3−フルオランチル)マレイミド、N−(5−フルオレセイニル)マレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,3−キシリル)マレイミド、N−(2,4−キシリル)マレイミド、N−(2,6−キシリル)マレイミド、N−(アミノフェニル)マレイミド、N−(トリブロモフェニル)マレイミド、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、N−(3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−(9−アクリジニル)マレイミド等の芳香族マレイミド類があげられる。
【0048】
さらに、本発明のPSS(塩)、又はPSS(塩)溶液は、使用したモノマー及び重合開始剤由来の不純物が含まれるため、イオン交換法、透析法、限外濾過法などによって、取り除いた後、カーボンナノチューブや導電性ポリマー分散体の製造に用いても良い。
【0049】
次に、CNT、グラフェン、フラーレンなどのナノカーボン材料の水性分散体の製造法について説明する。
ここで、本発明の対象となるCNT、グラフェン、フラーレンなどは、ナノカーボン材料として化学的に同義である。ナノカーボン材料は、炭素原子が集まって、ナノメートル(nm)単位で構造化したものを総称する。このうち、カーボンナノチューブ(Carbon nanotube、略称CNT)は、炭素によって作られる六員環ネットワーク(グラフェンシート)が単層あるいは多層の同軸管状になった物質である。炭素の同素体で、フラーレンの一種に分類されることもある。また、グラフェン (graphene) とは、1原子の厚さのsp2結合炭素原子のシートである。炭素原子とその結合からできた蜂の巣のような六角形格子構造をとっている。さらに、フラーレン(fullerene) は、最小の構造が多数の炭素原子で構成されるクラスターの総称である。構造の始まりが14個のダイヤモンドおよび6個のグラファイトと異なり、数十個の数の原子から始まる炭素元素同素体である。
かかるナノカーボン材料の水性分散体の製造法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が適用できる(例えば、特開2009−190940号公報、特開2010−13312号公報)。例えば、本発明のPSS(塩)を含む水性溶媒に、攪拌しながらCNTなどのナノカーボン材料を添加し、ビーズミル、ホモジナイザー及び又は超音波照射によってCNTを分散させる。この際、CNTなどのナノカーボン材料の水濡れ性を向上させるため、水に対して0.5〜30重量%の水溶性溶媒、及び又はアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤を添加しても良い。
【0050】
上記水溶性溶媒としては、特に限定されるものではないが、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エトキシエタノール、メトキシエタノール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブタンジオール、酢酸、プロピオン酸などが例示される。
【0051】
上記乳化剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン性乳化剤としては、例えば、ロジン酸塩、脂肪酸塩、アルケニルコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルサクシネートスルホン酸塩、ポリオキシエチレン多環式フェニルエーテル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、タウリン誘導体、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸メタクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸アクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸アクリル酸エステル共重合体、スチレンスルホン酸マレイン酸共重合体、スチレンスルホン酸アクリルアミド共重合体、スチレンスルホン酸メタクリルアミド共重合体、スチレンスルホン酸2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルホスホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、ポリイソプレンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸エステルアクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸エステルメタクリル酸共重合体、ポリアクリルアミドアクリル酸共重合体、ポリメタクリルアミドメタクリル酸共重合体、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩等があげられ、ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アミンオキシド系ノニオン乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン多環式フェニルエーテル、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコキシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルアクリレート、ポリジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリジエチルアミノエチルアクリレート、ポリt−ブチルエチルアミノエチルメタクリレート、ポリt−ブチルアミノエチルアクリレート、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、ポリジメチルアミノエチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体、ポリジメチルアミノエチルアクリレート/エチルアクリレート共重合体等があげられ、カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アルキル型四級アンモニウム塩、脂肪酸アミドアミン塩、アルキルアミノ酸塩等があげられ、両性乳化剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノスルホベタイン、アルキルスルホベタイン等があげられる。
【0052】
本発明のPSS(塩)は、構造制御された新規なPSS(塩)であり、産業上有用なCNT、グラフェン、フラーレンなどナノカーボン材料の水性分散体の製造において極めて有用な分散剤となる。また、本発明のCNTなどのナノカーボン材料の水性分散体は、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、粘度調節剤、キレート剤などを含んで良い。
【0053】
ここで、本発明のナノカーボン材料の水性分散体において、CNT、グラフェン、フラーレンなどのナノカーボン材料と水などの水性媒体の割合は、水性媒体中のナノカーボン材料の濃度が0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。0.05重量%未満では、水性分散体塗膜中のカーボンナノ材料ネットワーク形成が不十分となり、導電性が充分には得られない場合がある。一方、10重量%を超えると、CNTなどのナノカーボン材料が十分に分散しきれない場合があり、また使用するナノカーボン材料の量に見合った導電性が得られないことがある。
【0054】
また、本発明のナノカーボン材料の水性分散体において、CNTなどのナノカーボン材料と本発明のPSS(塩)との割合は、ナノカーボン材料/PSS(塩)の重量比が、1/10〜10/1倍、好ましくは3/10〜10/3倍である。1/10未満の場合、相対的にPSS(塩)量が多くなり、添加したPSS(塩)の量に見合った分散効果が得られない場合がある。一方、10/1を超えると、ナノカーボン材料に対するPSS(塩)の量が不十分であるため、ナノカーボン材料が水などの水性媒体中で充分に分散しきれない場合がある。
【0055】
その他、本発明のPSS(塩)は、カーボン顔料、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17などのアゾ顔料、銅フタロシアニンブルー又はその誘導体(C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4)、アルミニウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット42などのキナクリドン系顔料の他、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン、インダンスレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アニリンブラック顔料、複素環式イエロー系顔料等の分散剤としての利用も期待できる。
【0056】
次に、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリフェニレン類などの導電性ポリマーの水性分散体の製造法について説明する。これらの製造法については特に限定されるものではなく、公知の方法が適用できる(例えば、特開平7−90060号公報、特開2004−59666号公報、特開2010−40770号公報、特開2011−102376号公報)。
例えば、PSS(塩)を含む水性溶媒中に導電性ポリマーを与えるモノマーを分散させ、酸化剤を添加して酸化重合することにより、導電性ポリマーの水性分散体を製造することができる。この際、より微細な分散粒子を生成させるため、超音波を照射しながら酸化重合しても良い。その後さらに、酸化剤などの不純物を、イオン交換法、透析法、限外濾過膜法、及び再沈精製などによって除去しても良い。あるいは、PSS(塩)以外の上記したドーパントを含む水性溶媒中に導電性ポリマーを与えるモノマーを分散させ、酸化剤を添加して酸化重合した後、エタノール、メタノールなどの貧溶媒を加えて導電性ポリマーを析出させ、導電性ポリマーを溶解しない、水やアルコールで不純物を洗浄除去後、その後、PSS(塩)水溶液を加え、ホモジナイザーなどの乳化装置で再分散させることもできる。
【0057】
ここで、酸化剤としては、過硫酸、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸類、ベンゼンスルホン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、ドデシルベンゼンスルホン酸鉄どの有機酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、硫酸鉄アンモニウム(III)、過塩素酸鉄(III)、テトラフルオロホウ酸鉄(III)などの無機酸鉄(III)、酸素などが挙げられる。
【0058】
本発明の導電性ポリマーの水性分散体において、PEDOTなどの導電性ポリマーと水などの水性媒体の割合は、水性媒体中の導電性ポリマー材料の濃度が0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。0.1重量%未満では、水性分散体から得られる塗膜中の導電性ポリマーのネットワーク形成が不十分となり、導電性が充分には得られない場合がある。一方、10重量%を超えると、PEDOTなどの導電性ポリマーが十分に分散しきれない場合があり、また使用する導電性ポリマーの量に見合った導電性が得られないことがある。
また、本発明の導電性ポリマーの水性分散体において、PEDOTなどの導電性ポリマーと本発明のPSS(塩)との割合は、導電性ポリマー/PSS(塩)の重量比が、1/10〜10/1倍、好ましくは3/10〜10/3倍である。1/10未満の場合、相対的にPSS(塩)量が多くなり、余剰のPSS(塩)によって分散体から得られる塗膜の導電率が得られない場合がある。一方、10/1を超えると、導電性ポリマーに対するPSS(塩)の量が不十分であるため、導電性ポリマーが水などの水性媒体中で充分に分散しきれない場合がある。
【0059】
以上の水性溶媒(水性媒体)としては、水で良いが、水と水溶性溶媒の混合系でも良い。水溶性溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブタンジオール、酢酸、プロピオン酸、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどが挙げられる。
【0060】
また、導電性ポリマーの分散性を高めるため、補助的に少量の界面活性剤を添加しても良い。特に制限はないが、ナノカーボン材料水性分散体の製造例で挙げた界面活性剤を使用できる。
【0061】
さらに、ドーパントとなる酸化合物としては、本発明のPSS(塩)が好適だが、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、樟脳スルホン酸、2−アントラキノンスルホン酸、1,5−アントラキノンジスルホン酸、2,6−アントラキノンジスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸)、リグニンスルホン酸、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂、スルホン化ポリエステル、ポリビニルスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド、ポリアクリル酸メタンスルホン酸、などのスルホン酸化合物、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、ポリマレイン酸、ポリビニル安息香酸、酢酸、マレイン酸、カルボキシフェノール、フタル酸アルデヒド、カルボキシフェノール、カルボキシクレゾール、カルボキシナフタレン、ジカルボキシナフタレン等のカルボン酸化合物、ポリリン酸、などを併用しても良い。
【0062】
また、上記で製造された導電性ポリマーの水性分散体に、導電性ポリマー鎖の再配列を促進させて導電率を向上させるため、二次ドーパントとして、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホン、及びエリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの糖アルコールを添加しても良い。
【0063】
また、上記で製造された導電性ポリマーの水性分散体に、導電性ポリマーからなる塗膜の各種基材への密着性や力学物性を向上させる目的で、他のポリマーの水溶液や分散体を添加しても良い。例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテル樹脂、ゼラチン、カゼイン、デンプン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、セルロース類、ポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
【0064】
また、塗工機などの腐食、基材への悪影響が懸念される場合には、上記で製造された導電性ポリマーの水性分散体に、アンモニア、アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、燐酸ナトリウムなどのpH調整剤を添加しても良い。
【0065】
本発明で製造される構造制御されたPSS(塩)は、上記で説明したカーボンナノ材料や導電性ポリマー水性分散体などを製造するための分散剤として利用できるほか、固体電解コンデンサの層間密着性向上剤、リチウム二次電池やナトリウム二次電池の電極保護膜やセパレータ、固体電解質、レジスト酸発生剤、イオン交換樹脂、アレルゲン補足剤、水処理剤、半導体やハードディスク製造用の洗浄剤、エマルション塗料の改質剤、エマルション重合やサスペンジョン重合用の分散剤、帯電防止剤などへの利用が期待できる。
【実施例】
【0066】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
なお、以下の実施例において、パラスチレンスルホン酸塩、PSS塩、CNT及びPEDOT水性分散体の分析、調製及び評価は以下の条件で実施した。
【0067】
<HPLCによるパラスチレンスルホン酸塩中の不純物の測定>
パラスチレンスルホン酸塩試料を下記溶離液Aで溶解して濃度0.5mg/mlの溶液を調製し、HPLC分析を実施した。条件は下記の通りである。
機種=東ソー製LC−8020
(デガッサー:SD−8022、ポンプ:CCPM−II、カラムオーブン:CO−8020、紫外可視検出器:UV−8020)
カラム=TSKgel ODS-80TsQA(4.6mm×25cm)
溶離液=A液)水/アセトニトリル=95/5+0.1%トリフルオロ酢酸
B液)水/アセトニトリル=80/20+0.1%トリフルオロ酢酸
グラジエント条件=55分までA液100%、55分〜95分までB液100%
流量=0.8ml/min、UV検出条件=230nm、カラム温度=常温、注入量=20μl
なお、HPLCで検出される各ピークは、予め下記の方法で同定した。
HPLCで検出される各成分を分取し、カチオン交換樹脂で処理してパラスチレンスルホン酸塩をスルホン酸型へ変換した後、スルホン酸基をジアゾメタンでメチルエステル化し、ガスクロマトグラフ質量分析(日立製作所製M−80B)、フーリエ変換赤外分析(パーキンエルマー社製System2000)、有機元素分析(ヤナコ製CHNコーダーMT−3)、及び核磁気共鳴分析(バリアン社製VXR−300)を実施し、構造を決定した。
【0068】
<パラスチレンスルホン酸塩の重合転化率の測定>
下記GPC測定において、残存モノマーの吸収ピーク強度から算出した。
【0069】
<疎水性モノマーの重合転化率の測定>
重合溶液をメタノールで希釈後、上済み液中の疎水性モノマーをガスクロマトグラフィー(G−17A、島津製作所製)を用いて測定した(カラム=NEUTRA BOND−5、昇温プログラム=50〜200℃×10分ホールド後、5℃/分で300℃まで昇温、検量線=1−メチルナフタレンを内部標準として使用した)。
【0070】
<GPC分子量の測定>
PSS塩の分子量及び分子量分布は、下記の条件で測定した。
機種=東ソー製LC−8020
(デガッサー:SD−8022、ポンプ:DP−8020、カラムオーブン:CO−8020、紫外可視検出器:UV−8020)
カラム=TSK guardcolumn α+TSK gel α-6000+TSK gel α−3000、
溶離液=リン酸緩衝液(pH=7)とアセトニトリルの体積比9:1溶液
(上記リン酸緩衝液は、0.08モルのKH2POと0.12モルのNa2HPO4を純水に溶解し、全量1Lにして調製した。)
カラム温度40℃、流量=0.6ml/min
検出器=UV検出器(波長230nm)、注入量=100μl
検量線=創和科学の標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
PSS塩−ポリスチレンブロック共重合体の分子量は、上記条件の内、溶離液組成を下記の組成に変更して測定した。
溶離液=硫酸ナトリウム水溶液(0.05mol/L)とアセトニトリルの体積比65:35溶液
【0071】
<(共)重合体の元素分析>
炭素、水素、窒素については、乾燥試料〔(共)重合体溶液を100℃で3時間真空乾燥後、乾燥ポリマーをその重量の100倍量のアセトンに投入し、24時間、常温で攪拌し、未溶解物を濾過回収し、50℃で1時間真空乾燥したものであり、未反応の疎水性モノマーを除去したもの〕を粉砕後、パーキンエルマー製2400II元素分析計にて測定した。
元素分析において、イオウについては、上記乾燥、粉砕した試料を精秤し、酸素燃焼フラスコ法で燃焼吸収後、イオンクロマトグラフィーで測定した。
イオンクロマトグラフィーでの測定条件は以下の通りである。
カラム=TSK gel SuperIC−AP、溶離液=2.7mM炭酸水素ナトリウム+1.8mM炭酸ナトリウム、カラム温度=40℃、流量=0.8ml/min、検出器=電気伝導度
【0072】
<(共)重合体のFT−IR分析>
KBr錠剤法で試料を作製し、パーキンエルマー システム2000を用いて測定した。測定波長範囲は4,000〜400cm−1、測定回数は16回である。
【0073】
<CNT及びPEDOT水性分散体の粒径測定>
水性分散体の目視観察、及び動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA−UT151(日機装(株)製)による粒径測定により分散性と安定性を評価した。平均粒子径としてD50%粒子径(メジアン径)を用い、分散度の目安とした。
<沈殿>
水性分散体を(株)マイクロテック・ニチオン製の卓上遠心分離機NT−8を用い、3,500rpmで30分間遠心処理し、沈殿の有無を目視観察し、沈殿が全くないものを○、僅かに沈殿があるものを△、沈殿が多いものを×、とそれぞれ評価した。
【0074】
<導電性ポリマーの導電率測定>
導電性ポリマーの水性分散体をガラス板上に100μl滴下し、No.8バーコーターで塗布後、恒温槽中80℃で10分乾燥し、更に150℃で30分乾燥して導電性ポリマー薄膜を作製した。その後、デジタルマイクロメータ(ミツトヨ製MDC−25NJ)で膜厚を測定し、抵抗率計〔三菱化学製ロレスタ−GP(MCP−T600)〕を用いて、室温でJIS−K7194に準じて表面抵抗(Ω/□)と導電率を測定した。
【0075】
<導電性ポリマー水性分散体の安定性評価>
水性分散体を50℃の恒温槽中で7日間保存した後、上記の方法で粒径と導電率を測定し、安定性を評価した。
【0076】
製造例1〔ラジカル重合開始剤(ラジカル重合制御剤)の合成〕
窒素雰囲気下、耐圧ガラス製反応容器にメタノール24ml、二硫化炭素4.21g(55.31mmol)、アゾ開始剤V−50(和光純薬工業社製)1.00g(3.69mmol)及びトリn−ブチルホスフィン3.73g(18.44mmol)を仕込み、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃で72時間反応した。反応後、メタノールと未反応の二硫化炭素を減圧留去し、リビングラジカル重合制御剤を得た。
【0077】
実施例1(高純度PSSNaとCNT分散体の製造例)
(高純度PSSNaの製造)
市販のパラスチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学社製のスピノマーNaSS)1,000g、純水950g、水酸化ナトリウム40g、亜硝酸ナトリウム1gを2Lセパラブルフラスコに投入し、60℃で1時間加熱、攪拌しながら完全溶解させた。その後、1時間で10℃の速度で10℃まで冷却し、結晶を析出させ、遠心濾過によってパラスチレンスルホン酸ナトリウムを回収した。少量のサンプルを精秤し、50℃で6時間真空乾燥した後の重量から、水分を算出したところ、9.2重量%だった。イオンクロマトクラフィーで測定した臭化ナトリウムは0.19重量%、硫酸ナトリウムは0.04重量%だった。即ち、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムを加えたモノマー分は、90.57重量%だった。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムに含まれる異性体等の有機不純物をHPLCで分析した結果、(a)0.16%、(b)0.43%、(c)2.65%、(d)0.04%だった(図1にHPLCチャートを示した)。
次に、還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、純水100.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔上記で得た水分等を含む高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム223.00gを純水884.00に溶解したもの〕を104分、開始剤水溶液(過硫酸アンモニウム2.77gを純水121.00gに溶解したもの)を113分かけて滴下し、重合を行った。重合を開始して3時間後、オイルバス温度を90℃に昇温し、更に3時間重合を継続し、ポリスチレンスルホンナトリウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンナトリウムの数平均分子量Mnは57,000、重量平均分子量Mwは160,000だった(Mw/Mn=2.81)。当該ポリマーをPSS−1とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物0.1gを純水8mlとアセトン2mlの混合溶媒に溶解した(0.1重量%溶液)。ここへ多層CNT(東京化成工業社製、直径20〜40nm、長さ1〜2μm)を0.1g添加した後、超音波乳化器(日本精機製US−600T)にて、1時間分散処理し、CNT水性分散体を得た(CNT濃度1重量%、CNT/ポリスチレンスルホン酸塩重量比=1)。この際、液温は40℃以下に保持した。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。後記比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。
【0078】
実施例2(高純度PSSLiとCNT分散体の製造例)
(高純度PSSLiの製造)
実施例1において、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの代わりにパラスチレンスルホン酸リチウム(東ソー有機化学社製のLiSS)と水酸化リチウムを用い、実施例1と同様の再結晶精製を2回繰り返し、不純物含量(a)0.14%、(b)0.04%、(c)0.01%、(d)0.09%である高純度パラスチレンスルホン酸リチウムを得た。図2にこのもののHPLCチャートを示した。
次いで、当該パラスチレンスルホン酸リチウム205.00gを用いた他は、全て実施例1と同じ条件で重合を実施し、ポリスチレンスルホン酸リチウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンリチウムの数平均分子量Mnは59,000、重量平均分子量Mwは156,000だった(Mw/Mn=2.64)。当該ポリマーをPSS−2とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。
【0079】
実施例3(高純度かつ狭分子量分布PSSLiとCNT水性分散体の製造例)
(高純度かつ狭分子量分布PSSLiの製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、実施例2で得た高純度パラスチレンスルホン酸リチウム〔不純物含量(a)0.14%、(b)0.04%、(c)0.01%、(d)0.09%〕205.00g、純水800.00gを仕込み、窒素雰囲気下、40℃で5分加熱、攪拌して溶解させた。ここに、製造例1で得たリビングラジカル重合開始剤3.02gを添加し、オイルバス温度65℃で12時間重合し、ポリスチレンスルホンリチウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンリチウムの数平均分子量は127,000、重量平均分子量は165,000だった(Mw/Mn=1.30)。当該ポリマーをPSS−3とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。さらに、実施例1,2よりも分散性が優れることから、PSSの分子量分布を狭くしたことが影響していると考えられる。
【0080】
実施例4(高純度かつ狭分子量分布PSSLi(PSS−3の低分子量化)とCNT水性分散体の製造)
(高純度かつ狭分子量分布PSSLiの製造)
実施例3において、製造例1で得たリビングラジカル重合開始剤の添加量を5.00gへ変更した他は、全て実施例3と同じ条件で重合を実施し、ポリスチレンスルホンリチウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンリチウムの数平均分子量Mnは73,000、重量平均分子量Mwは94,000だった(Mw/Mn=1.29)。当該ポリマーをPSS−4とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。さらに、実施例1,2よりも分散性が優れることから、PSSの分子量分布を狭くしたことが影響していると考えられる。
【0081】
実施例5(N−フェニルマレイミドランダム共重合かつ狭分子量分布の製造とCNT水性分散体の製造例)
(ランダム共重合体の製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、実施例1で得られた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム〔不純物含量(a)0.16%、(b)0.43%、(c)2.65%、(d)0.04%〕35.00g、純水282.00gを仕込んで、窒素雰囲気下、40℃のオイルバスで5分加熱、攪拌して溶解させた。ここに、N−フェニルマレイミドのアセトン溶液(N−フェニルマレイミド7.00gをアセトン254.00に溶解)を加え、65℃のオイルバスで昇温後、製造例1で得たリビングラジカル重合開始剤4.00gを添加し、温度65℃で12時間重合した。
重合溶液は透明であり、溶液中の残存モノマー濃度を分析した結果、パラスチレンスルホン酸ナトリウム、N−フェニルマレイミド何れも<0.1重量%だった。
真空乾燥したポリマーの元素分析値は、炭素45.8重量%、水素3.20重量%、窒素1.3重量%、イオウ10.7重量%であり、仕込みモノマー組成とほぼ一致し、水に不溶なN−フェニルマレイミド成分を17重量%含有するにも関わらず、共重合体が水溶性であったこと、FT−IRスペクトルにおいて、N−フェニルマレイミドとパラスチレンスルホン酸ナトリウム由来の吸収ピーク(各々1,707cm−1と1,040cm−1)が見られたことから、当該ポリマーは、パラスチレンスルホン酸ナトリウム残基:N−フェニルマレイミド残基=80:20モル%の組成を有する共重合体と判断した。GPCで求めた共重合体の数平均分子量Mnは19,000、重量平均分子量Mwは26,000だった(Mw/Mn=1.37)。当該ポリマーをPSS−5とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。さらに、実施例1〜4よりも分散性が優れることから、CNTへの吸着性が強いN−フェニルマレイミドをPSS骨格に導入したことが影響していると考えられる。
【0082】
実施例6(メタクリル酸ブロック共重合体とCNT水性分散体の製造例)
(メタクリル酸ブロック共重合体の製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、窒素雰囲気下、実施例1で得られた高純度スチレンスルホン酸ナトリウム〔不純物含量(a)0.16%、(b)0.43%、(c)2.65%、(d)0.04%〕120.00gと純水546.00gを仕込み、40℃のオイルバスで加熱攪拌して、パラスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解させた。オイルバスを65℃まで昇温した後、製造例1で得たリビングラジカル重合開始剤2.00gを素早く添加し、10時間加熱重合した。
シリンジで重合溶液を0.5ml抜き出し、GPC測定した結果、パラスチレンスルホン酸濃度は<0.1重量%、数平均分子量Mnは109,000、重量平均分子量Mwは136,000だった(Mw/Mn=1.25)。
バス温を65℃に保ったまま、メタクリル酸ナトリウム水溶液69.04g(メタクリル酸13.00g、水酸化ナトリウム6.04g及び純水50.00gからなる溶液)を添加し、12時間重合を継続した。
GPCで求めた共重合体の数平均分子量Mnは121,000、重量平均分子量Mwは164,000であり(Mw/Mn=1.36)、最初に重合したポリスチレンスルホン酸ナトリウムのピークは高分子量側へシフトした。重合溶液中のメタクリル酸濃度は<0.1重量%だった。
真空乾燥したポリマーの元素分析値は、炭素48.1重量%、水素3.4重量%、イオウ13.2重量%であり、仕込みモノマー組成とほぼ一致したことから、当該ポリマーは、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:ポリメタクリル酸=79:21モル%の組成を有するブロック共重合体と判断した。当該ポリマーをPSS−6とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。さらに、実施例1〜4よりも分散性が優れることから、パラスチレンスルホン酸よりも親水性の低い成分をPSSに連結したことが影響していると考えられる。
【0083】
実施例7(スチレンブロック共重合体とCNT水性分散体の製造例)
(スチレンブロック共重合体の製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、実施例1で得られた高純度スチレンスルホン酸ナトリウム〔不純物含量(a)0.16%、(b)0.43%、(c)2.65%、(d)0.04%〕35.00gと純水280gを仕込んで、40℃オイルバスで加熱攪拌して、パラスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解させた。オイルバスを65℃まで昇温した後、製造例1で得たリビングラジカル重合開始剤0.88gを素早く添加し、12時間加熱重合した。
シリンジで重合溶液を0.5ml抜き出し、GPC測定した結果、パラスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は<0.1重量%、数平均分子量Mnは73,000、重量平均分子量Mwは91,000だった(Mw/Mn=1.25)。
バス温を65℃に保ったまま、スチレン溶液232g(スチレン2.00g及びアセトン230gからなる溶液)を添加し、24時間重合を継続した。
重合溶液は透明であり、溶液中のスチレン濃度は<0.1重量%だった。
真空乾燥したポリマーの元素分析値は、炭素44.3重量%、水素3.4重量%、イオウ13.8重量%であり、仕込みモノマー組成とほぼ一致し、水に不溶なスチレン成分を5重量%含有するにも関わらず、共重合体が水溶性であったこと、当該ポリマーは、パラスチレンスルホン酸ナトリウム残基:スチレン残基=90:10モル%の組成を有する共重合体と判断した。GPCで求めた共重合体の数平均分子量Mnは77,000、重量平均分子量Mwは116,000だった(Mw/Mn=1.51)。当該ポリマーをPSS−7とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。後記比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。さらに、実施例1〜4よりも分散性が優れることから、疎水性が高いポリスチレンをPSSに連結したことが影響していると考えられる。
【0084】
比較例1(低純度スチレンスルホン酸ナトリウムを使用した例)
(低純度PSSNaの製造)
市販の、不純物含量(a)0.38%、(b)3.87%、(c)7.77%、(d)0.06%である低純度のパラスチレンスルホン酸ナトリウム223.00gを用いた他は、全て実施例1と同じ条件で重合を実施し、ポリスチレンスルホンナトリウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンナトリウムの数平均分子量Mnは52,000、重量平均分子量Mwは161,000だった(Mw/Mn=3.10)。当該ポリマーをPSS−8とした。なお、図3に、上記の低純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムのHPLCチャートを示した。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。実施例と比較して、調製直後の粒径には顕著な差が見られないものの、明らかに経時での分散安定性低下やpH低下が見られた。
【0085】
【表1】
【0086】
実施例8〜13(導電性ポリマー分散体の製造と評価)
先ず、実施例1〜4、6、7で得たポリスチレンスルホン酸塩溶液に含まれる不要なイオンを、特開昭60−15408号公報の方法に従って除去した。即ち、ポリスチレンスルホン酸塩溶液を、アニオン交換樹脂〔アンバーライトIRA−410(水酸化ナトリウムで再生したもの)〕を充填したカラムで処理することにより、臭素や硫酸イオンなどのアニオンを除去した後、カチオン交換樹脂〔オルガノ社製アンバーライトRB−120(塩酸で再生したもの)〕を充填したカラムを通してナトリウムやリチウムなどのカチオンを除去した。その後、固形分(100℃で3時間真空乾燥して測定)を10.00重量%に調整した。
上記PSS塩水溶液20.00gと3,4−エチレンジオキシチオフェン(東京化成工業社製の試薬)1.00gとを、常温で純水100ml中に投入し、攪拌羽根で30分間激しく攪拌した。続いて、常温、攪拌下、酸化剤として20重量%過硫酸アンモニウム水溶液を1ml添加して酸化重合を開始した。以後、10分間隔で20重量%過硫酸アンモニウム水溶液を1mlずつ7回添加し(合計8ml)、常温で、60時間攪拌しながら重合した。
その後、上記で得られたPEDOT分散体粒子を小さくするために、常温で10分間超音波照射(日本精機製US−600T)した。
その後、カチオン交換樹脂〔オルガノ社製アンバーライトRB−120(塩酸で再生したもの)〕を5ml、アニオン交換樹脂〔アンバーライトIRA−410(水酸化ナトリウムで再生したもの)〕を7ml加え、常温でゆっくり2時間攪拌した。その後、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を濾別することにより、固形分1.9重量%のPEDOT水性分散体を得た。さらに、PEDOT水性分散体中のPEDOT分に対して5重量%のジメチルスルホキシドを添加し、分散体の物性を評価した。分散剤として用いたPSS塩の種類、及び分散体の性状(製造直後及び50℃×7日保存後の平均粒径と導電率)を表2に示した。
後記比較例2と比べて、何れも導電率と保存安定性が優れることが明らかである。さらに、スチレンスルホン酸塩ホモポリマーの中でも、分子量分布が狭いほど(PSS−3,4を用いた実施例10,11)、導電率が優れることが明らかである。
【0087】
比較例2
実施例8〜13において、実施例1〜4、6、7で得たポリスチレンスルホン酸塩溶液の代わりに、比較例1で得たポリスチレンスルホン酸塩溶液を用いた他は、全て実施例8〜13と同じ条件でPEDOT水性分散体を得た。
分散剤として用いたPSS塩の種類、及び分散体の性状(製造直後及び50℃×7日保存後の平均粒径と導電率)を表2に示した。調製直後の粒径には顕著な差が見られないものの、導電率が低く、明らかに経時で導電率と安定性の低下が見られた。















【0088】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の構造制御されたポリスチレンスルホン酸又はその塩を利用したナノカーボン材料及び導電性ポリマーの水性分散体は、導電性コーティング、LSI配線、電磁波遮蔽材料、電気化学デバイス(燃料電池、二次電池、キャパシタ、電界放出ディスプレイ、トランジスタ、太陽電池、各種電極)、帯電防止塗料、有機EL、タッチパネルの用途に有用であり、ナノカーボン材料や導電性ポリマーの産業化に貢献することができる。
【符号の説明】
【0090】
(a):オルソスチレンスルホン酸塩の吸収強度
(b):β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸塩の吸収強度
(c):メタスチレンスルホン酸塩の吸収強度
(d):ブロモスチレンスルホン酸塩の吸収強度
図1
図2
図3