【実施例】
【0066】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
なお、以下の実施例において、パラスチレンスルホン酸塩、PSS塩、CNT及びPEDOT水性分散体の分析、調製及び評価は以下の条件で実施した。
【0067】
<HPLCによるパラスチレンスルホン酸塩中の不純物の測定>
パラスチレンスルホン酸塩試料を下記溶離液Aで溶解して濃度0.5mg/mlの溶液を調製し、HPLC分析を実施した。条件は下記の通りである。
機種=東ソー製LC−8020
(デガッサー:SD−8022、ポンプ:CCPM−II、カラムオーブン:CO−8020、紫外可視検出器:UV−8020)
カラム=TSKgel ODS-80TsQA(4.6mm×25cm)
溶離液=A液)水/アセトニトリル=95/5+0.1%トリフルオロ酢酸
B液)水/アセトニトリル=80/20+0.1%トリフルオロ酢酸
グラジエント条件=55分までA液100%、55分〜95分までB液100%
流量=0.8ml/min、UV検出条件=230nm、カラム温度=常温、注入量=20μl
なお、HPLCで検出される各ピークは、予め下記の方法で同定した。
HPLCで検出される各成分を分取し、カチオン交換樹脂で処理してパラスチレンスルホン酸塩をスルホン酸型へ変換した後、スルホン酸基をジアゾメタンでメチルエステル化し、ガスクロマトグラフ質量分析(日立製作所製M−80B)、フーリエ変換赤外分析(パーキンエルマー社製System2000)、有機元素分析(ヤナコ製CHNコーダーMT−3)、及び核磁気共鳴分析(バリアン社製VXR−300)を実施し、構造を決定した。
【0068】
<パラスチレンスルホン酸塩の重合転化率の測定>
下記GPC測定において、残存モノマーの吸収ピーク強度から算出した。
【0069】
<疎水性モノマーの重合転化率の測定>
重合溶液をメタノールで希釈後、上済み液中の疎水性モノマーをガスクロマトグラフィー(G−17A、島津製作所製)を用いて測定した(カラム=NEUTRA BOND−5、昇温プログラム=50〜200℃×10分ホールド後、5℃/分で300℃まで昇温、検量線=1−メチルナフタレンを内部標準として使用した)。
【0070】
<GPC分子量の測定>
PSS塩の分子量及び分子量分布は、下記の条件で測定した。
機種=東ソー製LC−8020
(デガッサー:SD−8022、ポンプ:DP−8020、カラムオーブン:CO−8020、紫外可視検出器:UV−8020)
カラム=TSK guardcolumn α+TSK gel α-6000+TSK gel α−3000、
溶離液=リン酸緩衝液(pH=7)とアセトニトリルの体積比9:1溶液
(上記リン酸緩衝液は、0.08モルのKH
2PO
4と0.12モルのNa
2HPO
4を純水に溶解し、全量1Lにして調製した。)
カラム温度40℃、流量=0.6ml/min
検出器=UV検出器(波長230nm)、注入量=100μl
検量線=創和科学の標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
PSS塩−ポリスチレンブロック共重合体の分子量は、上記条件の内、溶離液組成を下記の組成に変更して測定した。
溶離液=硫酸ナトリウム水溶液(0.05mol/L)とアセトニトリルの体積比65:35溶液
【0071】
<(共)重合体の元素分析>
炭素、水素、窒素については、乾燥試料〔(共)重合体溶液を100℃で3時間真空乾燥後、乾燥ポリマーをその重量の100倍量のアセトンに投入し、24時間、常温で攪拌し、未溶解物を濾過回収し、50℃で1時間真空乾燥したものであり、未反応の疎水性モノマーを除去したもの〕を粉砕後、パーキンエルマー製2400II元素分析計にて測定した。
元素分析において、イオウについては、上記乾燥、粉砕した試料を精秤し、酸素燃焼フラスコ法で燃焼吸収後、イオンクロマトグラフィーで測定した。
イオンクロマトグラフィーでの測定条件は以下の通りである。
カラム=TSK gel SuperIC−AP、溶離液=2.7mM炭酸水素ナトリウム+1.8mM炭酸ナトリウム、カラム温度=40℃、流量=0.8ml/min、検出器=電気伝導度
【0072】
<(共)重合体のFT−IR分析>
KBr錠剤法で試料を作製し、パーキンエルマー システム2000を用いて測定した。測定波長範囲は4,000〜400cm
−1、測定回数は16回である。
【0073】
<CNT及びPEDOT水性分散体の粒径測定>
水性分散体の目視観察、及び動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA−UT151(日機装(株)製)による粒径測定により分散性と安定性を評価した。平均粒子径としてD50%粒子径(メジアン径)を用い、分散度の目安とした。
<沈殿>
水性分散体を(株)マイクロテック・ニチオン製の卓上遠心分離機NT−8を用い、3,500rpmで30分間遠心処理し、沈殿の有無を目視観察し、沈殿が全くないものを○、僅かに沈殿があるものを△、沈殿が多いものを×、とそれぞれ評価した。
【0074】
<導電性ポリマーの導電率測定>
導電性ポリマーの水性分散体をガラス板上に100μl滴下し、No.8バーコーターで塗布後、恒温槽中80℃で10分乾燥し、更に150℃で30分乾燥して導電性ポリマー薄膜を作製した。その後、デジタルマイクロメータ(ミツトヨ製MDC−25NJ)で膜厚を測定し、抵抗率計〔三菱化学製ロレスタ−GP(MCP−T600)〕を用いて、室温でJIS−K7194に準じて表面抵抗(Ω/□)と導電率を測定した。
【0075】
<導電性ポリマー水性分散体の安定性評価>
水性分散体を50℃の恒温槽中で7日間保存した後、上記の方法で粒径と導電率を測定し、安定性を評価した。
【0076】
製造例1〔ラジカル重合開始剤(ラジカル重合制御剤)の合成〕
窒素雰囲気下、耐圧ガラス製反応容器にメタノール24ml、二硫化炭素4.21g(55.31mmol)、アゾ開始剤V−50(和光純薬工業社製)1.00g(3.69mmol)及びトリn−ブチルホスフィン3.73g(18.44mmol)を仕込み、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃で72時間反応した。反応後、メタノールと未反応の二硫化炭素を減圧留去し、リビングラジカル重合制御剤を得た。
【0077】
実施例1(高純度PSSNaとCNT分散体の製造例)
(高純度PSSNaの製造)
市販のパラスチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学社製のスピノマーNaSS)1,000g、純水950g、水酸化ナトリウム40g、亜硝酸ナトリウム1gを2Lセパラブルフラスコに投入し、60℃で1時間加熱、攪拌しながら完全溶解させた。その後、1時間で10℃の速度で10℃まで冷却し、結晶を析出させ、遠心濾過によってパラスチレンスルホン酸ナトリウムを回収した。少量のサンプルを精秤し、50℃で6時間真空乾燥した後の重量から、水分を算出したところ、9.2重量%だった。イオンクロマトクラフィーで測定した臭化ナトリウムは0.19重量%、硫酸ナトリウムは0.04重量%だった。即ち、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムを加えたモノマー分は、90.57重量%だった。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムに含まれる異性体等の有機不純物をHPLCで分析した結果、(a)0.16%、(b)0.43%、(c)2.65%、(d)0.04%だった(
図1にHPLCチャートを示した)。
次に、還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、純水100.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔上記で得た水分等を含む高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム223.00gを純水884.00に溶解したもの〕を104分、開始剤水溶液(過硫酸アンモニウム2.77gを純水121.00gに溶解したもの)を113分かけて滴下し、重合を行った。重合を開始して3時間後、オイルバス温度を90℃に昇温し、更に3時間重合を継続し、ポリスチレンスルホンナトリウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンナトリウムの数平均分子量Mnは57,000、重量平均分子量Mwは160,000だった(Mw/Mn=2.81)。当該ポリマーをPSS−1とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物0.1gを純水8mlとアセトン2mlの混合溶媒に溶解した(0.1重量%溶液)。ここへ多層CNT(東京化成工業社製、直径20〜40nm、長さ1〜2μm)を0.1g添加した後、超音波乳化器(日本精機製US−600T)にて、1時間分散処理し、CNT水性分散体を得た(CNT濃度1重量%、CNT/ポリスチレンスルホン酸塩重量比=1)。この際、液温は40℃以下に保持した。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。後記比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。
【0078】
実施例2(高純度PSSLiとCNT分散体の製造例)
(高純度PSSLiの製造)
実施例1において、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの代わりにパラスチレンスルホン酸リチウム(東ソー有機化学社製のLiSS)と水酸化リチウムを用い、実施例1と同様の再結晶精製を2回繰り返し、不純物含量(a)0.14%、(b)0.04%、(c)0.01%、(d)0.09%である高純度パラスチレンスルホン酸リチウムを得た。
図2にこのもののHPLCチャートを示した。
次いで、当該パラスチレンスルホン酸リチウム205.00gを用いた他は、全て実施例1と同じ条件で重合を実施し、ポリスチレンスルホン酸リチウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンリチウムの数平均分子量Mnは59,000、重量平均分子量Mwは156,000だった(Mw/Mn=2.64)。当該ポリマーをPSS−2とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。
【0079】
実施例3(高純度かつ狭分子量分布PSSLiとCNT水性分散体の製造例)
(高純度かつ狭分子量分布PSSLiの製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、実施例2で得た高純度パラスチレンスルホン酸リチウム〔不純物含量(a)0.14%、(b)0.04%、(c)0.01%、(d)0.09%〕205.00g、純水800.00gを仕込み、窒素雰囲気下、40℃で5分加熱、攪拌して溶解させた。ここに、製造例1で得たリビングラジカル重合開始剤3.02gを添加し、オイルバス温度65℃で12時間重合し、ポリスチレンスルホンリチウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンリチウムの数平均分子量は127,000、重量平均分子量は165,000だった(Mw/Mn=1.30)。当該ポリマーをPSS−3とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。さらに、実施例1,2よりも分散性が優れることから、PSSの分子量分布を狭くしたことが影響していると考えられる。
【0080】
実施例4(高純度かつ狭分子量分布PSSLi(PSS−3の低分子量化)とCNT水性分散体の製造)
(高純度かつ狭分子量分布PSSLiの製造)
実施例3において、製造例1で得たリビングラジカル重合開始剤の添加量を5.00gへ変更した他は、全て実施例3と同じ条件で重合を実施し、ポリスチレンスルホンリチウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンリチウムの数平均分子量Mnは73,000、重量平均分子量Mwは94,000だった(Mw/Mn=1.29)。当該ポリマーをPSS−4とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。さらに、実施例1,2よりも分散性が優れることから、PSSの分子量分布を狭くしたことが影響していると考えられる。
【0081】
実施例5(N−フェニルマレイミドランダム共重合かつ狭分子量分布の製造とCNT水性分散体の製造例)
(ランダム共重合体の製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、実施例1で得られた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム〔不純物含量(a)0.16%、(b)0.43%、(c)2.65%、(d)0.04%〕35.00g、純水282.00gを仕込んで、窒素雰囲気下、40℃のオイルバスで5分加熱、攪拌して溶解させた。ここに、N−フェニルマレイミドのアセトン溶液(N−フェニルマレイミド7.00gをアセトン254.00に溶解)を加え、65℃のオイルバスで昇温後、製造例1で得たリビングラジカル重合開始剤4.00gを添加し、温度65℃で12時間重合した。
重合溶液は透明であり、溶液中の残存モノマー濃度を分析した結果、パラスチレンスルホン酸ナトリウム、N−フェニルマレイミド何れも<0.1重量%だった。
真空乾燥したポリマーの元素分析値は、炭素45.8重量%、水素3.20重量%、窒素1.3重量%、イオウ10.7重量%であり、仕込みモノマー組成とほぼ一致し、水に不溶なN−フェニルマレイミド成分を17重量%含有するにも関わらず、共重合体が水溶性であったこと、FT−IRスペクトルにおいて、N−フェニルマレイミドとパラスチレンスルホン酸ナトリウム由来の吸収ピーク(各々1,707cm
−1と1,040cm
−1)が見られたことから、当該ポリマーは、パラスチレンスルホン酸ナトリウム残基:N−フェニルマレイミド残基=80:20モル%の組成を有する共重合体と判断した。GPCで求めた共重合体の数平均分子量Mnは19,000、重量平均分子量Mwは26,000だった(Mw/Mn=1.37)。当該ポリマーをPSS−5とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。さらに、実施例1〜4よりも分散性が優れることから、CNTへの吸着性が強いN−フェニルマレイミドをPSS骨格に導入したことが影響していると考えられる。
【0082】
実施例6(メタクリル酸ブロック共重合体とCNT水性分散体の製造例)
(メタクリル酸ブロック共重合体の製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、窒素雰囲気下、実施例1で得られた高純度スチレンスルホン酸ナトリウム〔不純物含量(a)0.16%、(b)0.43%、(c)2.65%、(d)0.04%〕120.00gと純水546.00gを仕込み、40℃のオイルバスで加熱攪拌して、パラスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解させた。オイルバスを65℃まで昇温した後、製造例1で得たリビングラジカル重合開始剤2.00gを素早く添加し、10時間加熱重合した。
シリンジで重合溶液を0.5ml抜き出し、GPC測定した結果、パラスチレンスルホン酸濃度は<0.1重量%、数平均分子量Mnは109,000、重量平均分子量Mwは136,000だった(Mw/Mn=1.25)。
バス温を65℃に保ったまま、メタクリル酸ナトリウム水溶液69.04g(メタクリル酸13.00g、水酸化ナトリウム6.04g及び純水50.00gからなる溶液)を添加し、12時間重合を継続した。
GPCで求めた共重合体の数平均分子量Mnは121,000、重量平均分子量Mwは164,000であり(Mw/Mn=1.36)、最初に重合したポリスチレンスルホン酸ナトリウムのピークは高分子量側へシフトした。重合溶液中のメタクリル酸濃度は<0.1重量%だった。
真空乾燥したポリマーの元素分析値は、炭素48.1重量%、水素3.4重量%、イオウ13.2重量%であり、仕込みモノマー組成とほぼ一致したことから、当該ポリマーは、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:ポリメタクリル酸=79:21モル%の組成を有するブロック共重合体と判断した。当該ポリマーをPSS−6とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。さらに、実施例1〜4よりも分散性が優れることから、パラスチレンスルホン酸よりも親水性の低い成分をPSSに連結したことが影響していると考えられる。
【0083】
実施例7(スチレンブロック共重合体とCNT水性分散体の製造例)
(スチレンブロック共重合体の製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、実施例1で得られた高純度スチレンスルホン酸ナトリウム〔不純物含量(a)0.16%、(b)0.43%、(c)2.65%、(d)0.04%〕35.00gと純水280gを仕込んで、40℃オイルバスで加熱攪拌して、パラスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解させた。オイルバスを65℃まで昇温した後、製造例1で得たリビングラジカル重合開始剤0.88gを素早く添加し、12時間加熱重合した。
シリンジで重合溶液を0.5ml抜き出し、GPC測定した結果、パラスチレンスルホン酸ナトリウム濃度は<0.1重量%、数平均分子量Mnは73,000、重量平均分子量Mwは91,000だった(Mw/Mn=1.25)。
バス温を65℃に保ったまま、スチレン溶液232g(スチレン2.00g及びアセトン230gからなる溶液)を添加し、24時間重合を継続した。
重合溶液は透明であり、溶液中のスチレン濃度は<0.1重量%だった。
真空乾燥したポリマーの元素分析値は、炭素44.3重量%、水素3.4重量%、イオウ13.8重量%であり、仕込みモノマー組成とほぼ一致し、水に不溶なスチレン成分を5重量%含有するにも関わらず、共重合体が水溶性であったこと、当該ポリマーは、パラスチレンスルホン酸ナトリウム残基:スチレン残基=90:10モル%の組成を有する共重合体と判断した。GPCで求めた共重合体の数平均分子量Mnは77,000、重量平均分子量Mwは116,000だった(Mw/Mn=1.51)。当該ポリマーをPSS−7とした。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。後記比較例1と比べて、何れも優れた保存安定性を有することが明らかである。さらに、実施例1〜4よりも分散性が優れることから、疎水性が高いポリスチレンをPSSに連結したことが影響していると考えられる。
【0084】
比較例1(低純度スチレンスルホン酸ナトリウムを使用した例)
(低純度PSSNaの製造)
市販の、不純物含量(a)0.38%、(b)3.87%、(c)7.77%、(d)0.06%である低純度のパラスチレンスルホン酸ナトリウム223.00gを用いた他は、全て実施例1と同じ条件で重合を実施し、ポリスチレンスルホンナトリウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンナトリウムの数平均分子量Mnは52,000、重量平均分子量Mwは161,000だった(Mw/Mn=3.10)。当該ポリマーをPSS−8とした。なお、
図3に、上記の低純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムのHPLCチャートを示した。
(CNT水性分散体の製造)
上記で得たポリスチレンスルホン酸塩の真空乾燥物を用いた他は、全て実施例1と同じ条件でCNT水性分散体を得た。
CNT水性分散体の組成、及び評価結果(製造直後及び50℃×14日間保存時後の平均粒径とpH)を表1に示した。実施例と比較して、調製直後の粒径には顕著な差が見られないものの、明らかに経時での分散安定性低下やpH低下が見られた。
【0085】
【表1】
【0086】
実施例8〜13(導電性ポリマー分散体の製造と評価)
先ず、実施例1〜4、6、7で得たポリスチレンスルホン酸塩溶液に含まれる不要なイオンを、特開昭60−15408号公報の方法に従って除去した。即ち、ポリスチレンスルホン酸塩溶液を、アニオン交換樹脂〔アンバーライトIRA−410(水酸化ナトリウムで再生したもの)〕を充填したカラムで処理することにより、臭素や硫酸イオンなどのアニオンを除去した後、カチオン交換樹脂〔オルガノ社製アンバーライトRB−120(塩酸で再生したもの)〕を充填したカラムを通してナトリウムやリチウムなどのカチオンを除去した。その後、固形分(100℃で3時間真空乾燥して測定)を10.00重量%に調整した。
上記PSS塩水溶液20.00gと3,4−エチレンジオキシチオフェン(東京化成工業社製の試薬)1.00gとを、常温で純水100ml中に投入し、攪拌羽根で30分間激しく攪拌した。続いて、常温、攪拌下、酸化剤として20重量%過硫酸アンモニウム水溶液を1ml添加して酸化重合を開始した。以後、10分間隔で20重量%過硫酸アンモニウム水溶液を1mlずつ7回添加し(合計8ml)、常温で、60時間攪拌しながら重合した。
その後、上記で得られたPEDOT分散体粒子を小さくするために、常温で10分間超音波照射(日本精機製US−600T)した。
その後、カチオン交換樹脂〔オルガノ社製アンバーライトRB−120(塩酸で再生したもの)〕を5ml、アニオン交換樹脂〔アンバーライトIRA−410(水酸化ナトリウムで再生したもの)〕を7ml加え、常温でゆっくり2時間攪拌した。その後、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂を濾別することにより、固形分1.9重量%のPEDOT水性分散体を得た。さらに、PEDOT水性分散体中のPEDOT分に対して5重量%のジメチルスルホキシドを添加し、分散体の物性を評価した。分散剤として用いたPSS塩の種類、及び分散体の性状(製造直後及び50℃×7日保存後の平均粒径と導電率)を表2に示した。
後記比較例2と比べて、何れも導電率と保存安定性が優れることが明らかである。さらに、スチレンスルホン酸塩ホモポリマーの中でも、分子量分布が狭いほど(PSS−3,4を用いた実施例10,11)、導電率が優れることが明らかである。
【0087】
比較例2
実施例8〜13において、実施例1〜4、6、7で得たポリスチレンスルホン酸塩溶液の代わりに、比較例1で得たポリスチレンスルホン酸塩溶液を用いた他は、全て実施例8〜13と同じ条件でPEDOT水性分散体を得た。
分散剤として用いたPSS塩の種類、及び分散体の性状(製造直後及び50℃×7日保存後の平均粒径と導電率)を表2に示した。調製直後の粒径には顕著な差が見られないものの、導電率が低く、明らかに経時で導電率と安定性の低下が見られた。
【0088】
【表2】