特許第5954801号(P5954801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5954801ファブリペロー干渉計用のミラーおよびミラーを作製する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954801
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ファブリペロー干渉計用のミラーおよびミラーを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/00 20060101AFI20160707BHJP
   G01J 3/26 20060101ALI20160707BHJP
   G01B 9/02 20060101ALI20160707BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   G02B26/00
   G01J3/26
   G01B9/02
   G02B5/08 C
   G02B5/08 A
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-123908(P2014-123908)
(22)【出願日】2014年6月17日
(65)【公開番号】特開2015-18232(P2015-18232A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2014年7月28日
(31)【優先権主張番号】20135666
(32)【優先日】2013年6月18日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】513256033
【氏名又は名称】テクノロジャン テュトキムスケスクス ヴェーテーテー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】アナ リサネン
(72)【発明者】
【氏名】ヤルコ アンティラ
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−197362(JP,A)
【文献】 特開2012−155023(JP,A)
【文献】 特開2012−088419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/08,26/00,26/02
G01B 9/02
G01J 3/26
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファブリペロー干渉計(700)用のミラープレート(100)を作製する方法であって、
半透明の反射多層コーティング(60)で覆われた基板(50)を含むベーススラブ(51)を設けるステップと、
1つまたは複数の中間層(62)を前記ベーススラブ(51)上に形成するステップであり、前記最下中間層(62)がシリカ(SiO2)から実質的に構成され、前記多層コーティング(60)が前記最下中間層(62)によって少なくとも部分的に覆われるように、前記1つまたは複数の中間層(62)を形成するステップと、
前記1つまたは複数の中間層(62)の最上部に導電材料を成膜することによって、1つまたは複数の静電容量センサ電極(90a、90b)を形成するステップと、
エッチングによって少なくとも前記最下中間層(62)を除去することで、前記多層コーティング(60)の露出した開口部分(AP1)を形成するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記最下中間層(62)の前記材料は、第1のエッチング(ETCH1)によって除去され、前記多層コーティング(60)の最上層(61)の材料は、前記最上層(61)が前記第1のエッチング(ETCH1)に対して実質的に耐性を有するように選択されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最下中間層(62)の厚さ(d62)は、1μmから4μmの範囲である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記電極(90a、90b)は、前記最下中間層(62)の最上面(62S)に成膜される、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記最下中間層(62)に第2の基板(70’)を接合することによって第2の中間層(70)を形成するステップを含み、
前記1つまたは複数のセンサ電極(90a、90b)が、前記第2の中間層(70)の形成後に形成され、
前記露出した開口部分(AP1)が、前記1つまたは複数のセンサ電極(90a、90b)の形成後に、エッチングによって前記中間層の材料を除去することで形成される、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2の基板(70’)が前記最下中間層(62)に接合された後に、前記第2の基板(70’)の厚さ(d70')を薄くするステップを含み、
前記1つまたは複数のセンサ電極(90a、90b)が、前記第2の基板(70’)の前記厚さ(d70’)を薄くした後で形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第2のエッチング(ETCH2)によって前記第2の中間層(70)の材料を除去するステップを含み、前記第2のエッチング(ETCH)は、前記最下中間層(62)が前記第2のエッチング(ETCH2)に対して実質的に耐性を有するように選択されている、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の方法によって第1ミラープレート(100)を作成するステップと、
前記第1ミラープレート(100)と第2ミラープレート(200)を備えたファブリペロー干渉計(300)を組み立てるステップと、を備えたファブリペロー干渉計(300)の製造方法であって、
前記第2のミラープレート(200)が対向電極(290)を備え、前記干渉計(300)は調整可能なミラー間隔(dF)を有し、前記ミラープレート(100、200)の前記電極(90a、90b、290)はキャパシタを形成し、前記キャパシタの静電容量(Cd)は前記ミラー間隔(dF)に依存する、ファブリペロー干渉計(300)の製造方法
【請求項9】
前記ファブリペロー干渉計(300)が、前記キャパシタンス(Cd)を示すセンサ信号(Sd)を提供するように構成される静電容量モニタユニット(410)をさらに設ける、請求項8に記載の製造方法
【請求項10】
請求項8又は9に記載の製造方法で前記干渉計(300)を製造し、前記干渉計(300)を透過する光(LB2)を検出するように構成される画像センサ(600)に前記干渉計(300)を光学的に結合する、分光計(700)の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半透明のミラーを作製することに関し、本発明はファブリペロー干渉計用に好適である。
【背景技術】
【0002】
ファブリペロー干渉計は第1の半透明のミラーおよび第2の半透明のミラーを含み、第1の半透明のミラーおよび第2の半透明のミラーは光共振器を形成するように配置される。ファブリペロー干渉計は、1つまたは複数の透過ピークを提供することができる。ミラー間の距離を変化させることによって、透過ピークのスペクトル位置を変化させることができる。ミラー間の距離は、ミラーギャップまたはミラー間隔と呼ぶことができる。
【0003】
干渉計は、ミラー間隔を調整するために、例えば圧電アクチュエータを含むことができる。圧電アクチュエータは、駆動電圧をアクチュエータに印加することによって駆動することができ、駆動電圧の各電圧値は異なるミラー間隔と関係付けることができる。ミラー間隔の値は、例えば回帰関数を用いて駆動電圧の対応する値から決定することができる。回帰関数は、ミラー間隔を変化させ、干渉計を通るレーザー光線の透過をモニタすることによって、決定することができる。透過強度が最大に達する場合に、ミラー間隔の値はファブリペロー透過関数を用いてレーザー光線の波長から算出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ファブリペロー干渉計用のミラープレートを形成する方法を提供することである。本発明の目的は、ファブリペロー干渉計を提供することであり、該ファブリペロー干渉計はミラープレートを含む。本発明の目的は、分光計を提供することであり、該分光計はファブリペロー干渉計を含む。本発明の目的は、ファブリペロー干渉計用のミラープレートを提供することである。本発明の目的は、ファブリペロー干渉計を提供することである。本発明の目的は、分光計を提供することであり、該分光計はファブリペロー干渉計を含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、請求項1の方法が提供される。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、請求項8のミラープレートが提供される。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、請求項10のファブリペロー干渉計が提供される。
【0008】
本発明の第4の態様によれば、請求項12の分光計が提供される。
【0009】
ファブリペロー干渉計は、分光分析のために用いることができる。例えば、ガス分析器は、1つまたは複数の所定の波長における光吸収に基づくガスの濃度測定用のファブリペロー干渉計を含むことができる。例えば、イメージングスペクトロメータは、高いスペクトル分解能を有する対象物のカラー画像を提供するためのファブリペロー干渉計を含むことができる。
【0010】
ファブリペロー干渉計は、第1のミラープレートおよび第2のミラープレートを含む。干渉計のミラープレートによって、1つまたは複数の波長において強め合う干渉が生じる場合があり、強め合う干渉は干渉計の透過関数の透過ピークと一致する。干渉計のスペクトル分解能は、透過ピークのスペクトル幅に依存する。低い干渉次数では、透過ピークのスペクトルFWHM幅は、例えば数十ナノメートルになり得る。スペクトル分解能は、大きいミラー間隔を用いることにより改善することができ、スペクトル分解能は高い干渉次数での動作を可能にする。低い干渉次数で動作する場合には、一対のミラープレートによって提供される透過ピークのスペクトル幅は、例えば約10nmであり得るが、高い干渉次数で動作する場合には、同じ一対のミラープレートによって提供される透過ピークのスペクトル幅は、例えば1nm未満であり得る。例えば、ミラー間隔が2.25μmであり、波長が4500nmである場合には、一対のミラープレートの透過ピークのスペクトルFWHM幅は、例えば10nmに略等しくなり得る。また、ミラー間隔が45μmであり、波長が4500nmである場合には、例えば同じ一対のミラープレートの透過ピークのスペクトルFWHM幅は0.8nmに略等しくなり得る。FWHMは、半値幅を意味する。2.25μmのミラー間隔は、4500nmの波長で、1次の(強め合う)干渉をもたらすことができる。45μmのミラー間隔は、4500nmの波長で、20次の(強め合う)干渉をもたらすことができる。例えば、3μmのミラー間隔は、600nmの波長で、10次の干渉をもたらすことができ、300μmのミラー間隔は、600nmの波長で、1000次の干渉をもたらすことができる。
【0011】
透過ピークのスペクトル位置は、ミラー間隔を微調整することによって変化させることができる。透過ピークのスペクトル位置は、ミラー間隔をモニタすることによって決定することができる。ファブリペロー干渉計は、ミラー間隔をモニタするための静電容量電極を含むことができる。ファブリペロー干渉計のミラープレートは電極を含むことができ、該電極はセンサキャパシタを共に形成することができる。センサキャパシタの電極は、例えばセンサ電極と呼ぶことができる。センサ電極は、センサ電極間の距離がミラー間隔に依存するように、ミラープレートに実装することができる。センサ電極は、センサ電極がミラープレートと共に移動するように、ミラープレートに実装することができる。ミラー間隔の変化によって、電極間の距離を変化させることができる。電極間の距離は、電極ギャップと呼ぶことができる。センサキャパシタの静電容量は電極ギャップに依存し得るが、センサキャパシタの静電容量はまたミラー間隔にも依存する。従って、電極によって形成されるセンサキャパシタの静電容量をモニタすることによって、ミラー間隔を決定することができる。1次近似では、センサキャパシタの静電容量は、電極ギャップに反比例することができる。しかし、電極ギャップが大きい場合には、センサキャパシタの静電容量は非常に小さいので、高い精度で容量値を測定することが困難になるおそれがある。さらにまた、電極ギャップが大きくなる場合には、測定された容量値からミラー間隔を決定する精度が低下するおそれがある。さらに、電極ギャップが大きい場合には、センサキャパシタは電磁妨害(EMI)をより受けやすくなるおそれがある。大きいミラー間隔を用いる場合には、持ち上げられたセンサ電極を有するミラープレートを用いることによって、静電容量からミラー間隔を決定する精度を実質的に改善することができる。電極ギャップがミラー間隔より実質的に小さくなり得るように、ミラープレートの電極はミラープレートの反射多層コーティングに対して突出することができる。
【0012】
持ち上げられた電極は支持体上に実装することができ、支持体はシリカの最下層を含む。持ち上げられた電極は、以下のステップを含む方法によって実装することができる。すなわち、最下中間層がシリカから構成されるようにミラープレート上の1つまたは複数の中間層を成膜するステップ、前記1つまたは複数の中間層の最上部に導電材料の1つまたは複数の層を成膜するステップ、および、露出した開口部分を形成するためにエッチングによって中間層の材料を局所的に除去するステップを含む方法である。
【0013】
ファブリペロー干渉計700のミラープレート100を作製する方法は、以下のステップを含むことができる。すなわち、半透明の反射多層コーティング60で覆われた基板50を含むベーススラブ51を設けるステップ、最下中間層62がシリカ(SiO2)から実質的に構成され、多層コーティング60が最下中間層62によって少なくとも部分的に覆われるように、1つまたは複数の中間層62をベーススラブ51上に形成するステップ、中間層62の最上部に導電材料を成膜することによって、1つまたは複数の静電容量センサ電極90、90a、90bを形成するステップ、および、多層コーティング60の露出した開口部分AP1を形成するためにエッチングETCH1によって最下中間層62の材料を除去するステップを含むことができる。
【0014】
ミラープレート100は、以下を含むことができる。すなわち、半透明の反射多層コーティング60で覆われた基板50を有するベーススラブ51、最下中間層62がシリカ(SiO2)から実質的に構成されるように、ベーススラブ51に実装される1つまたは複数の中間層62、70、中間層62、70の最上部に実装される1つまたは複数の静電容量センサ電極90、90a、90b、および、光LB1を反射かつ透過するための多層コーティング60の露出した開口部分AP1を含むことができる。
【0015】
ここで、多層コーティング60の露出した開口部分AP1に対する容量電極90、90a、90bの高さd1は、1μmから1000μmの範囲である。
【0016】
容量測定によりミラー間隔を決定する精度は、ミラープレートを用いることにより改善することができ、そのミラープレートはシリカ層によって支持される1つまたは複数の持ち上げられた電極を有する。狭い透過ピークを提供するために、ミラー間隔は例えば3μmから1000μmの範囲とすることができる。
【0017】
シリカ層は、成膜された電極のために非常に安定で略平行な支持体を提供することができるが、除去可能なマスクとしてシリカ層を用いることもできる。そのマスクは、付加的な材料層をミラープレートに付加する間、反射多層コーティングの壊れやすい表面を保護する。
【0018】
一実施形態では、作製されたミラープレートは、例えば300°Cまで、あるいは400°Cまでの高い動作温度に耐えることができる。一実施形態では、動作温度のばらつきによって生じる幾何学的変形を低減するために、シリカ層の熱膨張率がミラープレートの基板の熱膨張率と略一致するように、ミラープレートの基板を選択することができる。
【0019】
シリカ層によって支持される1つまたは複数の持ち上げられたセンサ電極を用いることにより、低コストで、高速で、正確で、小型で、耐衝撃性があり、および/または軽量な干渉計を提供することができる。
【0020】
一実施形態では、いくつかの静電容量センサを用いることにより、例えば光学的開口の中心でのミラー間隔値を提供することに加えて、第1のミラープレートに対する第2のミラープレートの傾斜角に関する情報を提供することができる。
【0021】
ミラープレートの持ち上げられた電極は、第1のミラープレートの反射多層コーティングが第2のミラープレートの反射するコーティングと偶然に接触することを防止することができる。
【0022】
以下の実施例においては、下記の添付図面を参照して、実施形態についてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】例として、ファブリペロー干渉計を含む分光計、および画像センサの断面側面図を示す。
図2a】例として、ファブリペロー干渉計および画像センサの分光特性を示す。
図2b】例として、ファブリペロー干渉計および画像センサの組合せの検出器ピクセルのスペクトル感度を示す。
図3a】例として、センサ電極の静電容量の関数としてミラー間隔を示す。ここで、電極ギャップはミラー間隔に略等しい。
図3b】例として、センサ電極の静電容量の関数としてミラー間隔を示す。ここで、電極ギャップはミラー間隔より実質的に小さい。
図4a】例として、基板上に実装された反射多層コーティングを含むベーススラブの断面側面図を示す。
図4b】例として、ベーススラブ上にシリカを成膜することにより中間層を形成するステップの断面側面図を示す。
図4c】例として、中間層上に導電層を成膜するステップの断面側面図を示す。
図4d図4dは、例として、ミラープレートの開口領域からシリカを除去するステップの断面側面図を示す。
図4e】例として、ミラープレート上に持ち上げられたセンサ電極を実装するための方法ステップを示す。
図5a】例として、反射多層コーティングが基板の上表面の全体を覆わないベーススラブの断面側面図を示す。
図5b】例として、ベーススラブ上にシリカを成膜することにより中間層を形成するステップの断面側面図を示す。
図5c】例として、中間層の最上面を平坦化するステップの断面側面図を示す。
図5d】例として、作製途中のミラープレートの断面側面図を示す。ここで、中間層の最上面が平坦化されている。
図5e】例として、中間層上に導電層を成膜するステップの断面側面図を示す。
図5f】例として、ミラープレートの開口領域からシリカを除去するステップの断面側面図を示す。
図6a】例として、基板上に実装された反射多層コーティングを含むベーススラブの断面側面図を示す。
図6b】例として、ベーススラブ上にシリカを成膜することにより第1の中間層を形成するステップの断面側面図を示す。
図6c】例として、シリカ層上に第2の基板を配置するステップの断面側面図を示す。
図6d】例として、シリカ層上に第2の基板を接合するステップの断面側面図を示す。
図6e】例として、第2の基板の厚さを低減することにより第2の中間層を形成するステップの断面側面図を示す。
図6f】例として、第1の中間層および第2の中間層を含む作製途中のミラープレートの断面側面図を示す。
図6g】例として、第2の中間層上に導電層を成膜するステップの断面側面図を示す。
図6h】例として、ミラープレートの開口領域から第2の基板の材料を除去するステップの断面側面図を示す。
図6i】例として、ミラープレートの開口領域からシリカを除去するステップの断面側面図を示す。
図6j】例として、センサ電極をミラープレート上に実装するための方法ステップを示す。
図7a】例として、ファブリペロー干渉計の第1のミラープレートおよび第2のミラープレートの3次元分解図を示す。
図7b】例として、図7aのファブリペロー干渉計のセンサ電極の位置の3次元図を示す。
図8a】例として、第1のミラープレートが持ち上げられたセンサ電極を有するファブリペロー干渉計の断面側面図を示す。
図8b】例として、両方のミラープレートが持ち上げられたセンサ電極を有するファブリペロー干渉計の断面側面図を示す。
図8c】例として、第1のミラープレートの多層コーティングが電極の下に延長しないファブリペロー干渉計の断面側面図を示す。
図9a】例として、ミラー間隔を較正するための構成を示す。
図9b】例として、透過ピークのスペクトル位置を示す。
図10】例として、対象物のスペクトルを示す。
図11】例として、対象物の複数の点の強度値を決定するステップを示す。
図12a】例として、第1のピクセルおよび第2のピクセルを含む検出器アレイの端面図を示す。
図12b】例として、ピクセルがベイヤー(Bayer)行列に従って配列される検出器アレイの端面図を示す。
図12c】例として、2つの検出器アレイおよびスプリッタを含む画像センサの側面図を示す。
図12d】例として、積層した検出器アレイを含む画像センサの側面図を示す。
図13】例として、アクチュエータがフレームに取り付けられたファブリペロー干渉計の断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示すように、分光計700は、ファブリペロー干渉計300を含むことができる。対象物OBJ1は光LB1を反射、放射、および/または透過することができ、対象物OBJ1は光LB1のスペクトルをモニタするために干渉計300を介して結合することができる。対象物OBJ1の光LB1の反射、透過(吸収)、および/または放射を測定するために、例えば干渉計300を用いることができる。
【0025】
ファブリペロー干渉計300は、第1のミラープレート100および第2のミラープレート200を含む。第1のミラープレート100は、半透明の反射多層コーティングを含むことができ、その多層コーティングは外層61を有する。第1のミラープレート100は、光LB1を透過および/または反射するための開口部分AP1を有することができる。開口部分AP1は、半透明の反射多層コーティングの露出した部分であってもよく、該露出した部分は光LB1を透過および/または反射することができる。開口部分AP1に入射する光LB1は、開口部分AP1を通り透過することができる。および/または、開口部分AP1に入射する光LB1は、開口部分AP1によって反射することができる。所与の波長で強め合う干渉を透過光に与えて、開口部分AP1が光を透過できるように、ミラー間隔dFを調整することができる。一方、所与の波長で弱め合う干渉を透過光に与えて、開口部分AP1が光を反射できるように、ミラー間隔dFを選択することができる。
【0026】
例えば、開口部分AP1の幅は、0.5mmから2.0mmの範囲、2mmから20mmの範囲、20mm〜50mmの範囲、または50mmから100mmの範囲とすることができる。開口部分AP1の幅は、例えば0.5mmから50mmの範囲とすることができる。開口部分AP1の幅は、例えば2.0mmから50mmの範囲とすることができる。開口部分AP1は、例えば略円形の形状、または略矩形の形状を有することができる。
【0027】
第2のミラープレート200は、半透明の反射コーティングを含むことができ、その反射コーティングは外層261を有する。第2のミラープレートの露出層261は、第1のミラープレートの露出層61に対向することができる。
【0028】
少なくとも第1のミラープレート100は、1つまたは複数の持ち上げられたセンサ電極90を有することができる。持ち上げられたセンサ電極90は、中間層62によって支持することができる。第2のミラープレート200は、1つまたは複数の対向電極290を有することができる。電極90、290は、センサキャパシタを共に形成することができ、その容量値Cdはミラー間隔dFに依存する。本明細書では、記号Cdはキャパシタ(物理的デバイス)を示し、また静電容量(測定可能な物理量)も示す。電極90、290は、キャパシタ極板と呼ぶこともできる。
【0029】
ミラー間隔dFは、層61と層261との間の距離を示すことができる。電極ギャップdCは、電極90と電極290との間の距離を示すことができる。ミラー間隔dFは、1つまたは複数のアクチュエータ301によって調整することができる。
【0030】
1つまたは複数のアクチュエータ301は、第1のミラープレート100に対して第2のミラープレート200を移動させるように(または第2のミラープレート200に対して第1のミラープレート100を移動させるように)構成することができる。アクチュエータ301は、例えば、圧電アクチュエータ、電歪アクチュエータ、またはフレキソエレクトリックアクチュエータであってもよい。ミラープレート100、200の反射多層コーティングは、略平面で互いに略平行であってもよい。層61および層261は、略平面で互いに略平行であってもよい。
【0031】
ミラープレート100の開口部分AP1の平坦度は、好適なフィネス(すなわち、透過ピークのスペクトル幅に対する自由スペクトル領域の比)を提供するために、例えば、λN/20より良好であり、λN/50より良好であり、λN/100より良好であり、あるいはさらにλN/200より良好であり得る。λNは、所定の動作波長を示す。例えば、所定の動作波長λNは、500nm、550nm、1000nm、2000nm、または4000nmであってもよい。平坦度がλN/100より良好である場合には、これは、ピークから谷までの偏差のRMSがλN/100より小さいことを意味する。RMSは、2乗平均平方根を意味する。
【0032】
電極90、290は、センサキャパシタを共に形成することができ、その静電容量Cdはミラー間隔dFに依存する。センサキャパシタの電極90、290は、例えば導体110a、110bを用いて静電容量モニタユニット410に接続することができる。
【0033】
静電容量Cdの値は、ミラー間隔dFを示すことができる。静電容量モニタユニット410は、静電容量Cdを示すセンサ信号Sdを提供することができる。静電容量モニタユニット410は、電極ギャップdCを示すセンサ信号Sdを提供することができる。静電容量モニタユニット410は、ミラー間隔dFを示すセンサ信号Sdを提供することができる。静電容量モニタユニット410は、透過ピークPEAK1(図2aを参照)のスペクトル位置を示すセンサ信号Sdを提供することができる。センサ信号Sdは、フィードバック信号と呼ぶこともできる。
【0034】
静電容量モニタユニット410は、例えば、センサキャパシタに所定の電流を流して、センサキャパシタを所定の電圧に充電させるために必要な時間を測定することによって、静電容量Cdを測定するように構成することができる。静電容量モニタユニット410は、例えば、共振回路の一部としてセンサキャパシタを結合して、共振回路の共振周波数を測定することによって、静電容量Cdを測定するように構成することができる。静電容量モニタユニット410は、例えば、電荷を第2のタンクキャパシタへ反復して移すために静電容量Cdを用いて、所定のタンクキャパシタ電圧に達するために必要な電荷移送周期の数をカウントすることによって、静電容量Cdを測定するように構成することができる。
【0035】
分光計700は、制御ユニットCNT1を含むことができる。制御ユニットCNT1は、ミラー間隔dFを調整するために制御信号SETDを干渉計300に送信するように構成することができる。干渉計300は、ドライバユニット420を含むことができる。ドライバユニット420は、例えば、デジタル制御信号SETDを、アクチュエータ301、302、303を駆動するために好適なアナログ信号に変換することができる。ドライバユニット420は、圧電アクチュエータ301、302、303を駆動するために信号HV1を提供することができる。具体的には、ドライバユニット420は、例えば、高電圧信号HV1を、圧電アクチュエータ301、302、303を駆動するために提供することができる。
【0036】
真のミラー間隔dFをモニタするために、センサ信号Sdを用いることができる。分光計700のスペクトル応答は、例えばミラー間隔dFの関数として較正することができる。分光計700は、較正パラメータDPAR2を記憶するためのメモリMEM2を含むことができる。ミラー間隔dFは、例えば較正パラメータDPAR2を用いて、センサ信号Sdから決定することができる。
【0037】
分光計700は、光検出器600をさらに含むことができる。具体的には、検出器は画像センサ600であってもよい。画像センサ600は、1つまたは複数の検出器アレイ601を含むことができる。ファブリペロー干渉計300は、対象物OBJ1から得られる光LB1をフィルタリングすることによって、透過光LB2を形成することができる。干渉計300は、画像センサ600に光学的に結合することができる。透過光LB2は、画像センサ600に入射することができる。透過光LB2は、光学像IMG1を形成することができ、光学像IMG1は画像センサ600によって取り込むことができる。
【0038】
分光計700は、撮像光学系500を任意に含むことができる。撮像光学系500は、画像センサ600上に、対象物OBJ1の1つまたは複数の2次元光学像IMG1、IMG2を形成するように構成することができる。具体的には、撮像光学系500は、画像センサ600に光LB2の焦点を合わせるように構成することができる。撮像光学系500は、例えば、1つまたは複数の屈折レンズ、および/または1つまたは複数の反射面(例えば放物面反射器)を含むことができる。撮像光学系500は、例えば、干渉計300と画像センサ600との間、および/または対象物OBJ1と干渉計300との間に配置することができる。撮像光学系500の1つまたは複数の構成要素を干渉計300の前に配置してもよく、撮像光学系500の1つまたは複数の構成要素を干渉計300の後に配置してもよい。例えば分光計700が非結像分光分析に用いられる場合には、光学系500を省略することができる。非結像分光分析のためには、センサ600は非結像検出器であってもよい。
【0039】
画像センサ600は、1つまたは複数の光学像IMG1、IMG2をデジタル画像に変換することができる。画像センサ600は、対象物OBJ1のデジタル画像を取り込むように構成することができる。デジタル画像は、2次元の単色画像であってもよい。デジタル画像は、2次元のカラー画像であってもよい。画像センサ600は光に応答するピクセルP1、P2、P3を含むことができ、ピクセルP1、P2、P3は検出器信号SR、SG、SBを提供するように構成される。
【0040】
分光計700は、対象物OBJ1の画像IMG1を画像センサ600(図11を参照)上に形成するように構成することができる。そして、対象物OBJ1に対して分光計500の方向を変化させる必要なしに、対象物OBJ1の2つ以上の異なる部分について略同時にスペクトル強度を測定することができる。
【0041】
検出器アレイは、例えば、CMOS(相補型金属酸化物半導体)画像センサ、またはCCD(電荷結合素子)画像センサであってもよい。SX、SYおよびSZは、直交方向を示す。光LB2は、方向SZに実質的に伝搬することができる。画像センサ600は、方向SXおよび方向SYによって定義される平面に略平行であってもよい。
【0042】
画像センサ600は、例えば、紫外領域、可視領域、および/または赤外領域において感度が高くてもよい。分光計700は、例えば紫外領域、可視領域、および/または赤外領域のスペクトル強度を測定するように構成することができる。
【0043】
分光計700は、較正パラメータCALPAR1を記憶するためのメモリMEM1を含むことができる。分光計700は、画像センサ600から1つまたは複数の検出器信号値SR、SG、SBを取得し、較正パラメータCALPAR1を用いて、検出器信号値SR、SG、SBから1つまたは複数の強度値X(λ0)、X(λ1)、X(λ2)を決定するように構成することができる。各ミラー間隔dFにおいて、光LB1の1つまたは複数の強度値X(λ0)、X(λ1)、X(λ2)は、較正パラメータCALPAR1を用いて、検出器信号SR、SG、SBから決定することができる。較正パラメータCALPAR1は、例えば以下の方程式に現れる3×3行列の要素値を含むことができる。
【0044】
【数1】
【0045】
較正パラメータCALPAR1は、例えば、シミュレーションによって、および/または実験的な測定によって、決定することができる。方程式(1)に現れる記号−1は、逆行列演算を意味する。パラメータQRn、QGn、QBn、QRn+1、QGn+1、QBn+1、QRn+2、QGn+2、QBn+2の意味は、図2bの文脈で説明する。
【0046】
分光計700は、出力OUT1を記憶するためのメモリMEM3を任意に含むことができる。出力OUT1は、例えば、検出器信号SR、SG、SB、および/または検出器信号SR、SG、SBから決定される強度値を含むことができる。出力OUT1は、対象物OBJ1の1つまたは複数のデジタル画像を含むことができる。
【0047】
分光計700は、コンピュータプログラムPROG1を記憶するためのメモリMEM4を含むことができる。コンピュータプログラムPROG1は、1つまたは複数のデータプロセッサ(例えばCNT1)によって実行される場合に、光センサ600から1つまたは複数の検出器信号値SR、SG、SBを取得し、較正パラメータCALPAR1を用いて、検出器信号値SR、SG、SBから1つまたは複数の強度値X(λ0)、X(λ1)、X(λ2)を決定するように構成することができる。分光計700は、1つまたは複数の強度値X(λ0)、X(λ1)、X(λ2)を提供するように構成することができる。一実施形態では、分光計700は、測定された強度値X(λ0)を基準値と比較するように構成することができる。一実施形態では、分光計700は、測定された強度値の比率X(λ0)/X(λ1)を基準値と比較するように構成することができる。
【0048】
分光計500は、例えば、情報を表示するための、および/またはコマンドを受け取るためのユーザーインターフェースUSR1を任意に含むことができる。ユーザーインターフェースUSR1は、例えばディスプレイ、キーパッド、および/またはタッチスクリーンを含むことができる。
【0049】
分光計500は、通信ユニットRXTX1を任意に含むことができる。通信ユニットRXTX1は、例えば、コマンドを受信し、較正データを受信し、および/または、出力データOUT1を送信するために、信号COM1を送信および/または受信することができる。通信ユニットRXTX1は、例えば有線および/または無線の通信能力を有することができる。通信ユニットRXTX1は、例えばローカル無線ネットワーク(WLAN)、インターネット、および/またはモバイル電話ネットワークと通信するように構成することができる。
【0050】
分光計500は、単一の物理ユニットとして、または、別々のユニットの組合せとして実装することができる。
【0051】
分光計500は、光センサ600のスペクトル応答を制限するために、1つまたは複数の光学的カットオフフィルタ510、520を任意に含むことができる。フィルタ510、520は、分光計700のスペクトル領域を定義することができる。フィルタ510、520は、干渉計300の前に、および/またはその後に配置することができる。
【0052】
分光計700は、透過ピークPEAK1、PEAK2(図2a)を狭帯域幅にするために、例えば、レンズおよび/または開口を任意に含むことができ、レンズおよび/または開口は干渉計300を透過する光LB2の発散を制限するように構成される。例えば、光LB2の発散が5度以下になるように制限することができる。集束光学系500を用いる場合には、ミラープレート100、200によって形成される光共振器における光の発散を最小にするために、光学系500を干渉計300とセンサ600との間に配置することができる。
【0053】
図2aは、例として、ファブリペロー干渉計300のスペクトル透過率、検出器ピクセルP1、P2、P3のスペクトル感度、および任意の光学的フィルタ510の通過帯域を示す。
【0054】
図2aの最上部の曲線は、ファブリペロー干渉計300のスペクトル透過率TF(λ)を示す。スペクトル透過率TF(λ)は、ファブリペロー干渉計300の1つまたは複数の隣接する透過率ピークPEAK1、PEAK2、PEAK3を有することができる。例えば、第1の透過率ピークPEAK1は波長λ0であってもよく、第2の透過率ピークPEAK2は波長λ1であってもよく、第3の透過率ピークPEAK1は波長λ2であってもよい。透過ピークPEAK1、PEAK2、PEAK3のスペクトル位置λ0、λ1、λ2は、ファブリペロー透過関数に従ってミラー間隔dFに依存し得る。第1のピークPEAK1のスペクトル位置は、ミラー間隔dFの関数λ0(dF)であり得る。第2のピークPEAK2のスペクトル位置は、ミラー間隔dFの関数λ1(dF)であり得る。第3のピークPEAK3のスペクトル位置は、ミラー間隔dFの関数λ2(dF)であり得る。ミラー間隔dFを変化させることによって、透過ピークのスペクトル位置を変化させることができる。ミラー間隔dFを微調整することによって、透過ピークのスペクトル位置を変化させることができる。
【0055】
透過ピークPEAK1、PEAK2、PEAK3は、ファブリペロー干渉計の通過帯域と呼ぶこともできる。スペクトル位置λ0、λ1、λ2は、ミラー間隔dFを変化させることによってシフトさせることができる。隣接するピーク間の自由スペクトル領域FSRは、ミラー間隔dFに依存し得る。ファブリペロー干渉計は、少なくとも1つの透過ピークのスペクトル位置をモニタするための容量電極を含むことができる。
【0056】
ファブリペロー干渉計の各透過ピークPEAK1、PEAK2、PEAK3は、特定の干渉次数と関係付けることができる。例えば、第1の透過率ピークPEAK1は干渉次数mと関係付けることができ、第2の透過率ピークPEAK2は干渉次数m+1と関係付けることができ、第3の透過率ピークPEAK3は干渉次数m+2と関係付けることができる。干渉次数mは、例えば正の整数とすることができる。
【0057】
上から2番目の曲線は、例として、光検出器600の第1のピクセルP1のスペクトル感度ηR(λ)を示す。上から3番目の曲線は、画像センサ600の第2のピクセルP2のスペクトル感度ηG(λ)を示す。上から4番目の曲線は、画像センサ600の第3のピクセルP3のスペクトル感度ηB(λ)を示す。第1のピクセルP1は例えば赤のピクセルと呼ぶことができ、第2のピクセルP2は例えば緑のピクセルと呼ぶことができ、第3のピクセルP3は例えば青のピクセルと呼ぶことができる。
【0058】
分光計500は、分光計700のスペクトル応答を制限するために、1つまたは複数の光学的カットオフフィルタ510、520を任意に含むことができる。1つまたは複数のフィルタ510、520は、スペクトル透過率TS(λ)を共に提供することができる。フィルタ510、520は、カットオフ波長λminおよびλmaxによって定義される通過帯域を提供することができる。
【0059】
波長λminおよびλmaxによって定義されるスペクトル領域が1つのピークPEAK1だけを含む場合には、光センサ600から取得される単一の検出器信号SRから、強度値X(λ0)を決定することができる。
【0060】
波長λminおよびλmaxによって定義されるスペクトル領域が2つ以上のピークPEAK1、PEAK2を含む場合には、例えば行列方程式(1)を解くことによって、測定された検出器信号から強度値X(λ0)を求めることができる。
【0061】
センサ600が2つの(またはより多くの)異なる感度曲線ηR(λ)、ηG(λ)を有するピクセルP1、P2を含む場合には、波長λminおよびλmaxによって定義されるスペクトル領域が2つの透過ピークPEAK1、PEAK2だけを含むように、カットオフ波長λminおよびλmaxならびにミラー間隔dFを選択することができる。カットオフ波長λminとλmaxとの間にある透過ピークPEAK1、PEAK2、PEAK3の数が、光センサ600のピクセルP1、P2、P3の異なる感度曲線ηR(λ)、ηG(λ)、ηB(λ)の数以下になるように、ミラー間隔dFならびにカットオフ波長λminおよびλmaxを選択することができる。
【0062】
図2bは、例として、ピクセルP1、P2、P3に入射する光がファブリペロー干渉計300を透過する場合の、分光計700のスペクトル応答曲線hR(λ,dF)、hG(λ,dF)、hB(λ,dF)を示す。hR(λ,dF)は、干渉計300および第1のピクセルP1の組合せについてのスペクトル応答を示し、hG(λ,dF)は、干渉計300および第2のピクセルP2の組合せについてのスペクトル応答を示し、hB(λ,dF)は、干渉計300および第3のピクセルP3の組合せについてのスペクトル応答を示す。
【0063】
スペクトル応答関数hR(λ、dF)は、関数TF(λ、dF)、ηR(λ)およびTS(λ)の積として形成することができる。関数TF(λ,dF)、ηR(λ)およびTS(λ)の例は、例えば図2aに示した。スペクトル応答関数hR(λ,dF)は、関数TF(λ,dF)、ηR(λ)およびTS(λ)の積として形成することができる。スペクトル応答関数hG(λ,dF)は、関数TF(λ,dF)、ηG(λ)およびTS(λ)の積として形成することができる。スペクトル応答関数hB(λ,dF)は、関数TF(λ,dF)、ηB(λ)およびTS(λ)の積として形成することができる。パラメータQRn、QGn、QBn、QRn+1、QGn+1、QBn+1、QRn+2、QGn+2、QBn+2は、図2bに現れるピークの積分された領域を意味する。パラメータQRn、QGn、QBn、QRn+1、QGn+1、QBn+1、QRn+2、QGn+2、QBn+2は、方程式(1)に現れる3×3行列の要素として用いることができる。各パラメータQRn、QGn、QBn、QRn+1、QGn+1、QBn+1、QRn+2、QGn+2、QBn+2は、ミラー間隔dFの関数であるとみなすことができる。例えば、表記QRn(dF)は、パラメータQRnの値がミラー間隔dFに依存し得ることを意味する。方程式(1)に現れる記号−1は、逆行列演算を意味する。
【0064】
図3bは、持ち上げられたセンサ電極を用いて精度がどのように改善されるかについて示す。図3aは、干渉計が持ち上げられたセンサ電極を含まない比較例を示す。
【0065】
図3aの曲線CCRV2は、電極ギャップdCがミラー間隔dFに等しい状況において、ミラー間隔dFの関数としてセンサ静電容量Cdを示す。1次近似では、センサ静電容量Cdの値は、電極ギャップdCの値に反比例する。Cd,1は、ミラー間隔値dF,1におけるセンサ静電容量を示す。Cd,2は、ミラー間隔値dF,2におけるセンサ静電容量を示す。Cd,3は、ミラー間隔値dF,3におけるセンサ静電容量を示す。Cd,4は、ミラー間隔値dF,4におけるセンサ静電容量を示す。
【0066】
センサ静電容量が値Cd,1を有する場合には、静電容量モニタユニット410はセンサ信号値Sd,1を提供することができる。静電容量モニタユニット410はセンサ信号値Sd,2、Sd,3、Sd,4を提供することができ、センサ信号値Sd,2、Sd,3、Sd,4は容量値Cd,2、Cd,3、Cd,4にそれぞれ対応する。
【0067】
制御ユニットCNT1は、センサ静電容量Cdの測定値からミラー間隔dFの値を決定するように構成することができる。センサ容量値の変化ΔCdは、ミラー間隔の変化ΔdFに対応することができる。この比較例では、ミラー間隔dFが大きい場合には、勾配ΔCd/ΔdFは低い値を有する。これは、センサ静電容量Cdの測定値の小さい誤差ΔCdがミラー距離値dFの大きい誤差ΔdFをもたらすおそれがあることを意味する。そして、該誤差ΔCdはセンサ静電容量Cdの測定値から決定される。
【0068】
図3bは、ミラー100、200の少なくとも一方が持ち上げられたセンサ電極90を有する状況、すなわちミラー間隔dFが電極ギャップdCより実質的に大きい状況を示す。センサ電極90の高さd1は、差dF−dCに等しくてもよい。曲線CCRV1は、差dF−dCが実質的にゼロより大きい場合について、ミラー間隔dFの関数としてセンサ静電容量Cdを示す。所与のミラー間隔値dF,1において、曲線CCRV1の勾配ΔCd/ΔdFは、曲線CCRV2の勾配より実質的に小さくなり得る。これは、センサ静電容量Cdからミラー間隔値dFを決定する際の誤差を実質的に低減することができることを意味する。言い換えれば、持ち上げられたセンサ電極90を用いる場合には、センサ静電容量Cdからミラー間隔値dFを決定する際の精度を実質的に改善することができる。
【0069】
図4a〜図4eは、ミラープレート100を作製するステップを示し、ここで電極90の高さd1は1μmから6μmの範囲とすることができる。
【0070】
図4aに示すように、ベーススラブ51は基板50を含むことができ、基板50は多層コーティング60でコーティングされる。ベーススラブ51は、ベースプレート51と呼ぶことができる。ファブリペロー干渉計300用のミラープレート100を作製するステップは、基板50を提供するステップを含むことができ、基板50は多層コーティング60でコーティングされる。多層コーティング60は、基板50の略平らな最上面に実装することができる。コーティング60は、完全に(図4a)または部分的に(図5a)基板50の最上面を覆うことができる。ベーススラブ51は、例えば、ベースボディ、ベースプレート、またはプライマリプレートと呼ぶこともできる。符号61は、多層コーティング60の最上層を示す。
【0071】
基板50の材料は、例えば、シリコン(Si)または溶融シリカ(SiO2)とすることができる。多層コーティング60は、誘電体層から構成することができる。コーティング60は、誘電体の半透明の反射多層コーティングであってもよい。コーティング60の材料は、例えば、シリコン、窒化シリコン、シリカSiO2、および/または酸化アルミニウムAl23であってもよい。コーティング60の材料および各層の厚さは、多層コーティング60の反射率が所定の公称動作波長λNで例えば80%から99.5%の範囲となるように、選択することができる。コーティング60の材料および各層の厚さは、多層コーティング60の反射率が波長λNで例えば80%から99.5%の範囲となるように選択することができる。公称動作波長λNは、例えば、500nm、550nm、1000nm、2000nm、または4000nmであってもよい。
【0072】
図4bに示すように、第1の成膜プロセスDEPO1を用いことにより、ベーススラブ51をシリカSiO2の層62でさらに覆うことができる。多層コーティング60がシリカ層62で覆われるように、ベーススラブ51をシリカ層62で覆うことができる。多層コーティング60がシリカ層62で少なくとも部分的に覆われるように、ベーススラブ51をシリカ層62で覆うことができる。一実施形態では、多層コーティング60をシリカ層62によって略完全に覆うことができる。
【0073】
シリカ層62は、例えば、低圧化学気相成長法(LPCVD)、プラズマ強化化学気相成長法(PECVD)、または原子層成長法(ALD)を用いて形成することができる。シリカ層62は、例えば、中間層、最下中間層、または、第1の中間層と呼ぶことができる。
【0074】
符号100は、作製途中のミラープレートを示す。
【0075】
図4cに示すように、例えば第2の成膜プロセスDEPO2を用いることによって、1つまたは複数の電極90をシリカ層62の最上部に形成することができる。電極は、例えば最下中間層62の最上面62Sに成膜することができる。電極は、例えば物理的気相成長法(PVD)、特にスパッタリングによって形成することができる。電極90の材料は、例えば金、銀、銅、またはアルミニウムであってもよい。
【0076】
シリカ層62は、略平坦な多層コーティング60の最上面に、および/または基板50の最上面50Sに形成することができる。コーティング60および基板50は、極めて平坦であってもよい。例えば基板50の最上面50Sの平坦度は、例えば、λN/20より良好であり、λN/50より良好であり、λN/100より良好であり、あるいはさらにλN/200より良好であり得る。例えば多層コーティング60の平坦度は、例えば、λN/20より良好であり、λN/50より良好であり、λN/100より良好であり、あるいはさらにλN/200より良好であり得る。
【0077】
一実施形態では、シリカ層62および電極層90は、成膜プロセスDEPO1、DEPO2によって作製することができ、シリカ層62および電極層90は高い程度に空間的に均一であって、そのために成膜された層は空間的に均一な厚さを有することができる。従って、成膜プロセスDEPO1、DEPO2を用いて形成された電極90は、多層コーティングに対して非常に平行であり得る。
【0078】
一実施形態では、成膜されたシリカ層62から材料を除去することによってシリカ層62の最上面が平坦化されない場合であっても、成膜プロセスDEPO1、DEPO2を用いて形成される電極90は多層コーティング60に対して十分に平行であり得る。
【0079】
図4dに示すように、コーティング60の最上層61が露出する開口部分AP1を形成するために、シリカ層62の材料を局所的に除去することができる。固体−ガス界面(または固体−真空界面)が層61の表面上に形成されるように、コーティング60を露出することができる。シリカ層62は、エッチングプロセスETCH1を用いて除去することができる。例えば、エッチングETCH1は、フッ化水素蒸気(HF)を用いること、または、フッ化水素(例えば緩衝酸化物エッチング、BHF)を含む液体を用いることを含むことができる。エッチングETCH1によって開口部分AP1からSiO2を除去して、層61の滑らかな表面を露出させることができる。エッチングETCH1によって、開口部分AP1からSiO2を穏やかに除去することができる。
【0080】
多層コーティング60の一番上の層61の材料は、該材料がエッチングETCH1に対して実質的に耐性をもつように、選択することができる。
【0081】
例えばミラープレート100の露出した開口部分AP1の平坦度は、例えば、λN/20より良好であり、λN/50より良好であり、λN/100より良好であり、あるいはさらにλN/200より良好であり得る。
【0082】
中間のシリカ層62の厚さd62は、例えば1μmから4μmの範囲にすることができる。電極90の厚さd90は、例えば0.1μmから2μmの範囲にすることができる。高さd1は、和d62+d90に等しくすることができる。電極90の上表面の高さd1は、コーティング60の固体−ガス界面に対して、例えば1μmから6μmの範囲にすることができる。例えば、厚さd62は2μmに略等しくすることができ、厚さd90は1μmに略等しくすることができ、そのようにして高さd1を3μmに略等しくすることができる。
【0083】
多層コーティング60は電極90の下に延長することができる。すなわち、垂直線VLIN1は多層コーティング60および電極90を横切ることができ、前記垂直線VLIN1は層61に垂直である。
【0084】
図4eは、ミラープレート100を作製する方法ステップを示し、ミラープレート100の高さd1は例えば1μmから6μmの範囲である。
【0085】
ステップ810では、シリカの中間層62をベーススラブ51上に成膜することができる。シリカの中間層62を多層コーティング60上に成膜することができる。
【0086】
ステップ850では、中間層62の最上部に導電材料を成膜することによって、1つまたは複数の電極を形成することができる。
【0087】
ステップ870では、露出した開口部分を形成するために、中間層62の材料を局所的に除去することができる。
【0088】
任意のステップ910では、ミラープレート100および第2のミラープレート200を含むファブリペロー干渉計300を後の段階で組み立てることができる。
【0089】
任意のステップ920では、容量値Cdおよび/または容量値Cdを示すセンサ信号値Sdは、少なくとも1つの既知のミラー間隔値dFについて実験的に測定することができる。ミラー間隔値dFは、例えば光学的に測定することができる(図9aおよび図9bを参照)。
【0090】
静電容量Cdの測定では、ミラープレート100、200の電極が互いに接触していないことが必要となり得る。すなわち、静電容量Cdを形成する電極が互いに直流的に接触していない場合のみ、静電容量Cdは測定可能な値を有することができる。
【0091】
任意のステップ1000では、対象物OBJ1の(未知の)スペクトルOSPEC1をモニタするために、ミラープレート100を含む分光計700を用いることができる。
【0092】
図5aに示すように、多層コーティング60は、基板50の最上面50Sの全体を覆う必要はない。基板50の最上面50Sの全体を覆わない反射多層コーティング60をベーススラブ51が有するように、ベーススラブ51を提供することができる。最上面50Sの第1の部分RG1を、多層コーティング60で覆うことができる。最上面50Sの第2部分RG2は、覆わないか、または多層コーティング60と異なるコーティングで覆うことができる。例えば、多層コーティング60の幅w60が最上面50Sの幅w50より小さくなるように、多層コーティング60を最初に形成することができる。例えば、多層コーティング60は中間段階で最上面50Sの略全体を覆うことができるが、1つまたは複数の露出表面部分RG2を形成するためにコーティング60を局所的に除去することができる。
【0093】
領域RG1の基板50の最上面50Sの平坦度は、例えば、λN/20より良好であり、λN/50より良好であり、λN/100より良好であり、あるいはさらにλN/200より良好であり得る。多層コーティング60がセンサ電極の下に位置するように、センサ電極を1つまたは複数の中間層の最上部に実装することができる。多層コーティング60がセンサ電極の下に位置するように、1つまたは複数のセンサ電極を1つまたは複数の中間層の最上部に実装することができる。
【0094】
一実施形態では、領域RG1および領域RG2の組合せにおける基板50の最上面50Sの平坦度は、λN/20より良好であり、λN/50より良好であり、λN/100より良好であり、あるいはさらにλN/200より良好であり得る。これは、領域RG2が電極の下に位置するように、電極が1つまたは複数の中間層の最上部に実装される場合に、ミラープレート100のセンサ電極が多層コーティング60に対して略平行となり得ることを確実にすることができる。
【0095】
図5bに示すように、シリカ層62が多層コーティング60を少なくとも部分的に覆うように、ベーススラブ51上の成膜プロセスDEPO1によってシリカ層62を成膜することができる。シリカ層62が第1の領域RG1を少なくとも部分的に覆うように、シリカ層62をベーススラブ51上に成膜することができる。シリカ層62が多層コーティング60の全体を覆うように、シリカ層62をベーススラブ51に成膜することができる。
【0096】
また、シリカ層62は第2の領域RG2を任意に覆うことができる。シリカ層62は多層コーティング60を越えて延長することができる。第2の領域RG2において、シリカ層62は基板50と接触してもよい。シリカ層62は、第2の領域RG2を、部分的に、または完全に覆ってもよい。
【0097】
成膜DEPO1の後、シリカ層62は、平坦でない最上面を有することがあり得る。シリカ層62の最上面の第1の部分RG1’は、シリカ層62の最上面の第2部分RG2’と比較してより高くなることがあり得る。高さの違いは、多層コーティング60の厚さに略等しくなり得る。
【0098】
図5cに示すように、シリカ層62の最上面は、例えば機械的研削および/または研磨によって任意に平坦化することができる。シリカ層62は、例えば研削または研磨装置GTOOL1を用いて平坦化することができる。装置GTOOL1は、例えば回転する装置であってもよく、装置GTOOL1は例えば方向SYに移動することができる。
【0099】
例えば、電極90が部分RG1’だけに、または部分RG2’だけに実装される場合には、平坦化を省略することができる。
【0100】
図5dに示すように、シリカ層62の最上面62Sが平坦になるように、シリカ層62を任意に平坦化することができる。シリカ層62の最上面62Sが単一平面にあるように、シリカ層62を平坦化することができる。この後に、例えば図5eまたは図4cに示すように、電極90を成膜することができる。電極を、例えば最下中間層62の最上面62S上に成膜することができる。
【0101】
露出した開口部分AP1を形成するために、例えば図5fまたは図4dに示すように、シリカ層62を局所的にエッチングすることができる。
【0102】
図6a〜図6jは、ミラープレート100を作製するステップを示し、電極90の高さは例えば4μmより大きくなり得る。
【0103】
図6aに示すように、ファブリペロー干渉計300のミラープレート100を作製するステップは、ベーススラブ51を提供するステップを含むことができ、ベーススラブ51は多層コーティング60で覆われる基板50を含む。
【0104】
基板50は、例えばシリコン(Si)または溶融シリカ(SiO2)であってもよい。多層コーティング60は、誘電体層から構成することができる。コーティング60の材料は、例えば、シリコン、窒化シリコン、シリカSiO2、および/または酸化アルミニウムAl23であってもよい。コーティング60の材料および各層の厚さは、多層コーティング60の反射率が公称動作波長λNで例えば80%から99.5%の範囲となるように、選択することができる。
【0105】
図6bに示すように、ベーススラブ51をシリカSiO2の層62によって覆うことができる。シリカ層62は、成膜プロセスDEPO1によって形成することができる。シリカ層62は、例えば、低圧化学気相成長法(LPCVD)、プラズマ強化化学気相成長法(PECVD)、または原子層成長法(ALD)を用いて形成することができる。層62は、例えば、最下中間層または第1の中間層と呼ぶことができる。
【0106】
例えば、図5a〜図5dに示す方法ステップの1つまたは複数を用いて、第1の中間層62を形成することもできる。具体的には、図6cに示すように、シリカ層62が付加的な基板70’に接合される前に、シリカ層62の最上面を平坦化することができる。
【0107】
図6cに示すように、付加的な基板70’を第1の中間層62上に配置することができる。付加的な基板70’は、例えばシリコンウエハであってもよい。
【0108】
図6dに示すように、付加的な基板70’を第1の中間層62に接合することができる。接合するステップは、作製途中のミラープレート100’を加熱するステップ(HEAT1)を含むことができる。付加的な基板70’は、予備的な厚さd70'を有することができる。一実施形態では、接合方法は、第1の中間層62および付加的な基板70’を例えば200°Cより高い温度に加熱するステップを含むことができる。一実施形態では、接合方法は、第1の中間層62および付加的な基板70’を例えば300°Cより高い温度に加熱するステップを含むことができる。一実施形態では、接合方法は、第1の中間層62および付加的な基板70’を例えば400°Cより高い温度に加熱するステップを含むことができる。
【0109】
図6eに示すように、例えば機械的研削、ミリング、またはソーイングによって、付加的な基板70’の厚さを任意に薄くすることができる。例えば機械的ツールGTOOL1によって厚さを薄くすることができ、機械的ツールGTOOL1は例えば研削ホイールまたは鋸刃であってもよい。第2の中間層70の上表面は、任意に研磨することができる。
【0110】
図6fに示すように、接合および任意の機械加工によって形成された作製途中のミラープレート100’は第2の中間層70を含むことができ、第2の中間層70は厚さd70を有する。
【0111】
図6gに示すように、1つまたは複数の電極90を第2の中間層70の最上部に形成することができる。例えば、特にスパッタリングによって、電極は、物理蒸着(PVD)によって形成されることができる。電極は、例えば物理的気相成長法(PVD)、特にスパッタリングによって形成することができる。電極90の材料は、例えば、金、銀、銅、またはアルミニウムであってもよい。
【0112】
図6hに示すように、第2の中間層70の材料は、エッチングプロセスETCH2によって開口部分AP1から局所的に除去することができる。エッチングETCH2は、例えば反応性イオンエッチング(RIE)を用いることを含むことができる。エッチングプロセスETCH2は、第1の中間シリカ層62を露出させることができる。
【0113】
図6iに示すように、エッチングETCH1によって、第1の中間層62を開口部分AP1から局所的に除去することができる。エッチングETCH1は、コーティング60の最上層61を露出させることができる。固体−ガス界面(または固体−真空界面)が層61の表面上に形成されるように、コーティング60を露出させることができる。例えば、エッチングETCH1は、フッ化水素蒸気(HF)を用いること、または、フッ化水素(例えば緩衝酸化物エッチング、BHF)を含む液体を用いることを含むことができる。エッチングETCH1によって、開口部分AP1からSiO2を穏やかに除去することができ、そのようにしてコーティング60の層61の最上面を露出させる。
【0114】
エッチングETCH1は、第1の中間層62を除去するために用いられ、例えば第1のエッチングと呼ぶことができる。また、エッチングETCH2は、第2の中間層70を除去するために用いられ、例えば第2のエッチングと呼ぶことができる。第1のエッチングETCH1は、第2のエッチングETCH2の後に実行することができる。
【0115】
層61が第1のエッチングETCH1に対して実質的に耐性をもつように、第1のエッチングETCH1およびコーティング60の最上層61の材料を選択することができる。
【0116】
第1の中間層62が第2のエッチングETCH2に対して実質的に耐性をもつように、第2のエッチングETCH2を選択することができる。第2のエッチングETCH2の間にコーティング60の最上層61が露出しないように、第2のエッチングETCH2を選択することができる。第2のエッチングETCH2の間に第1の中間層62が浸透されないように、第2のエッチングETCH2を選択することができる。
【0117】
第1の中間シリカ層62の厚さd62は、例えば0.1μmから4μmの範囲とすることができる。第1の中間シリカ層62の厚さd62は、例えば1μmから4μmの範囲とすることができる。第2の中間層70の厚さd70は、例えば4μmから1000μmの範囲とすることができる。例えば、電極90の厚さd90は、例えば0.1μmから100μmの範囲とすることができる。高さd1は、和d62+d70+d90に等しくすることができる。
【0118】
高さd1は、中間層62、70の厚さの合計(d62+d70)に依存し得る。コーティング60の固体−ガス界面に対する電極90の上表面の高さd1が、例えば1μmから1000μmの範囲、3μmから1000μmの範囲、または4μmから1000μmの範囲となるように、中間層62、70の厚さの合計(d62+d70)を選択することができる。
【0119】
図6jは、ミラープレート100を作製する方法ステップを示し、ミラープレート100の高さd1は例えば4μmより大きくてもよい。
【0120】
ステップ810では、シリカSiO2から構成される第1の中間層62をベーススラブ51上に形成することができる。シリカSiO2から構成される第1の中間層62を多層コーティング60上に形成することができる。
【0121】
ステップ820では、第2の中間層70を形成するために、付加的な基板70’を第1の中間層62に接合することができる。
【0122】
ステップ830では、付加的な基板70’の厚さを例えば機械的研削によって任意に薄くすることができる。
【0123】
ステップ850では、1つまたは複数の電極90を第2の中間層70の最上部に成膜することができる。
【0124】
ステップ860では、第1の中間層62を露出させるために、第2の中間層70の材料を局所的に除去することができる。
【0125】
ステップ870では、反射多層コーティング60を露出させるために、第1の中間層62の材料を開口部分AP1から局所的に除去することができる。
【0126】
任意のステップ910では、ミラープレート100および第2のミラープレート200を含むファブリペロー干渉計300を後の段階で組み立てることができる。
【0127】
任意のステップ920では、容量値Cdおよび/または容量値Cdを示すセンサ信号値Sdは、少なくとも1つの既知のミラー間隔値dFについて実験的に測定することができる。ミラー間隔値dFは、例えば光学的に測定することができる(図9aおよび図9bを参照)。
【0128】
静電容量Cdの測定では、ミラープレート100、200の電極が互いに接触していないことが必要となり得る。すなわち、静電容量Cdを形成する電極が互いに直流的に接触していない場合のみ、静電容量Cdは測定可能な値を有することができる。
【0129】
任意のステップ1000では、対象物OBJ1の(未知の)スペクトルOSPEC1をモニタするために、ミラープレート100を含む分光計700を用いることができる。
【0130】
図7aは、例として、ファブリペロー干渉計300の3次元分解図を示す。干渉計300は、第1のミラープレート100、第2のミラープレート200、および1つまたは複数のアクチュエータ301、302、303を含むことができる。
【0131】
第1のミラープレート100の露出した開口部分AP1は、露出した最上層61を有する。開口部分AP1に入射する光LB1は、開口部分AP1を透過することができ、および/または、光LB1は、開口部分AP1によって反射することができる。開口部分AP1の露出したコーティング60に入射する光LB1は、開口部分AP1の露出したコーティング60および基板50を部分的に透過することができ、また、開口部分AP1の露出したコーティング60に入射する光LB1は、開口部分AP1の露出したコーティング60によって、部分的に反射することもできる。
【0132】
第1のミラープレート100は、1つまたは複数の持ち上げられた電極90a、90b、91a、91b、92a、92b、93a、93bを有することができる。電極90a、90b、91a、91b、92a、92b、93a、93bは、互いに直流的に分離することができる。電極90aは端子部分T1を有することができ、電極90bは端子部分T2を有することができる。静電容量モニタユニット410は、例えば導体110a、110b(図1)によって端子部分T1、T2に接続することができる。導体110a、110bは端子部分T1、T2に接合されている。
【0133】
第2のミラープレート200は反射コーティングを含むことができ、反射コーティングは露出層261を有することができる。第2のミラープレート200は、1つまたは複数の電極290、291、292、293を有することができる。電極290、291、292、293は、例えば対向電極と呼ぶことができる。干渉計300が組み立てられるときに、電極90aが対向電極290に少なくとも部分的に重なるように、電極90aの寸法および位置を選択することができる。
【0134】
ミラープレート100は、アクチュエータ301に空間を提供するために、くぼんだ部分81を任意に含むことができる。
【0135】
図7bは、電極90a、90b、91a、91b、92a、92b、93a、93bに対する、対向電極290、291、292、293の位置の3次元図を示す。
【0136】
電極90a、90bおよび290は第1のセンサキャパシタを形成するように構成することができ、第1のセンサキャパシタはミラー間隔dCを示す静電容量Cdを有する。電極90aおよび290は、第1のサブキャパシタを共に形成することができる。電極290および90bは第2のサブキャパシタを共に形成することができ、第2のサブキャパシタは第1のサブキャパシタと直列に接続される。従って、センサワイヤ110a、110b(図1)は、1つのミラープレート100または200だけに接合することを必要とする。センサワイヤ110a、110bは、可動部分に接合する必要はない。センサワイヤ110a、110bはミラープレート100(または200)に取り付けることができ、センサワイヤ110a、110bは静電容量モニタユニット410に対して動かない。
【0137】
電極91a、91bおよび291は、第2のセンサキャパシタを形成することができる。電極92a、92bおよび292は、第3のセンサキャパシタを形成することができる。電極93a、93bおよび293は、第4のセンサキャパシタを形成することができる。各センサキャパシタは、端子部分T1、T2を有することができる。
【0138】
第2のプレート100の反射コーティングが第1のプレート200の反射コーティングに略平行であるように、ファブリペロー干渉計は典型的に動作する。第2のセンサキャパシタの静電容量を第1のセンサ静電容量の静電容量と比較することによって、プレート100、200の相互の平行性をモニタすることができる。例えば、第1のセンサキャパシタの静電容量と第2のセンサキャパシタの静電容量とのゼロでない差は、第2のプレート200が軸SXに関して傾いていることを示すことができる。例えば、第2のセンサキャパシタの静電容量と第3のセンサキャパシタの静電容量とのゼロでない差は、第2のプレート200が軸SYに関して傾いていることを示すことができる。
【0139】
プレート200の反射コーティング60がプレート100の反射コーティングに対して略平行に保たれるように、制御ユニットCNT1はアクチュエータ301、302、303を駆動するように構成することができる。ミラー間隔dFが変化する間にプレート200の反射コーティング60がプレート100の反射コーティングに対して略平行に保たれるように、制御ユニットCNT1はアクチュエータ301、302、303を駆動するように構成することができる。
【0140】
一実施形態では、電極90、290がセンサキャパシタを共に形成し得るように、第1のミラープレート100は1つの電極90だけを有し、第2のミラープレートは1つの電極290だけを有する。第1のセンサワイヤ110aを電極90に接合することができ、第2のセンサワイヤ110bを対向電極290に接合することができる。
【0141】
一実施形態では、干渉計300は、軸SXに関するプレート200の傾斜角をモニタするための、軸SYに関するプレート200の傾斜角をモニタするための、および、ミラー間隔dFの空間平均値をモニタするための3つのセンサキャパシタを含むことができる。例えば、第1のセンサキャパシタの容量値を第2のセンサキャパシタの容量値と比較することによって、軸SXに関する第1の傾斜角をモニタすることができる。例えば、第2のセンサキャパシタの容量値を第3のセンサキャパシタの容量値と比較することによって、軸SYに関する第2の傾斜角をモニタすることができる。第1のセンサキャパシタは、例えばプレート90a、290、90bによって形成することができる。第2のセンサキャパシタは、例えばプレート91a、291、91bによって形成することができる。第3のセンサキャパシタは、例えばプレート92a、292、92bによって形成することができる。
【0142】
図8aは、第1のミラープレート100および第1のプレート100の近くに配置される第2のミラープレート200を含む干渉計300を示す。電極ギャップdCがボンディングワイヤ110aの厚さより小さくなり得るように、電極90aの端子部分T1は第2のプレート200の端を越えて延長することができる。具体的には、第2のプレート200の幅w200は、第1のプレート100の幅w100より小さくすることができる。
【0143】
第1のプレート100は、例えば、図4a〜図4eを参照して、図5a〜図5fを参照して、および/または図6a〜図6jを参照して説明した方法に従って形成することができる。プレート100の電極90a、93aの高さd1は、例えば2μmから1000μmの範囲とすることができる。第2のプレート200の電極290、293の高さは、例えば1μmより小さくすることができる。
【0144】
第2のミラープレート200は、基板250に実装される反射コーティング260を含むことができる。第2のミラープレート200は、反射コーティング260または基板250に実装される1つまたは複数の電極を含むことができる。反射コーティング260は、例えば誘電体の多層コーティングであってもよい。
【0145】
ボンディングワイヤ110a、110bの両方は、第1のプレート100上の電極90a、90bに接続することができる。ボンディングワイヤ110a、110bの両方は、第2のプレート100上の電極に接続することができる。第1のボンディングワイヤ110aは第1のプレート100上の電極90、90aに接続することができ、第2のボンディングワイヤ110bは第2のプレート200上の電極290に接続することができる。
【0146】
第1のプレート100は静電容量モニタユニット410に対して実質的に不動であってもよく、アクチュエータ301、302、303は第1のプレート100に対して第2のプレート200を動かすように構成することができる。第2のプレート200は静電容量モニタユニット410に対して実質的に不動であってもよく、アクチュエータ301、302、303は第2のプレート200に対して第1のプレート200を動かすように構成することができる。
【0147】
図8bに示すように、また、第2のミラープレート200は、持ち上げられた電極290、293を有することができる。また、第2のプレート200は、例えば、図4a〜図4e、図5a〜図5f、または図6a〜図6jに示される方法に従って形成することができる。プレート200の電極290、293の高さd2は、例えば2μmから1000μmの範囲とすることができる。
【0148】
多層コーティング60は、図8aおよび図8bに示すように、電極90a、90b、91a、91b、92a、92b、93a、93bの下に延長することができる。中間層62の部分RG1’は電極を支持することができ、前記部分RG1’は多層コーティング60によって支持されることができる。
【0149】
例えば図4dに示すように、多層コーティング60は電極の下に延長することができる。すなわち、垂直線VLIN1は多層コーティング60および電極を横切ることができ、前記垂直線VLIN1は層61に垂直である。
【0150】
図8cに示すように、多層コーティング60が電極の下に延長しないように、電極90a、90b、91a、91b、92a、92b、93a、93bの1つまたは複数を実装することもできる。言い換えれば、最下中間層62の部分RG2’は電極を支持することができ、前記部分RG2’は基板50とも直接接触してもよい。
【0151】
図9aは、ミラー間隔dFと関係するセンサ静電容量Cdの値を測定するためのシステムCAL1を示す。システムCAL1は、各関連するミラー間隔dFと関係するセンサ容量値Cdを提供するように構成することができる。システムCAL1は、ミラー間隔dFと関係するセンサ信号値Sdを提供することができる。システムCAL1は、各関連するミラー間隔dFと関係するセンサ信号値Sdを提供することができる。
【0152】
システムCAL1は、狭帯域較正光LB11を提供するように構成することができる。較正光LB11は、実質的に単色であってもよい。較正光LB11は、波長λMを有する。波長λMは、固定されてもよく、または調整可能であってもよい。較正光LB11は、例えば、モノクロメータFIL1を有する広帯域光源SRC1のフィルタ光LB10によって提供することができる。干渉計300は、較正光LB11をフィルタリングすることによって、透過光LB2を提供することができる。ファブリペロー干渉計300を透過する光の強さLB2をモニタするように、光検出器DET1を構成することができる。検出器DET1は、透過強度を示す検出器信号SDET1を提供することができる。
【0153】
静電容量モニタユニット410はセンサ信号Sdを提供するように構成することができ、センサ信号Sdはセンサ静電容量Cdの値を示す。システムCAL1は制御ユニットCNT2を含むことができ、制御ユニットCNT2は較正光LB11の波長λMおよび/またはミラー間隔dFを変化させるように、ならびに、パラメータλMおよびSdの関数として検出器信号SDET1をモニタするように構成することができる。
【0154】
システムCAL1はコンピュータプログラムコードPROG2を記憶するためのメモリMEM5を含むことができ、コンピュータプログラムコードPROG2は、1つまたは複数のデータプロセッサによって実行される場合に、システムCAL1にミラー間隔較正を実行させることができる。
【0155】
センサ信号Sdの各値と対応するミラー間隔dFとの関係は、1つまたは複数の較正パラメータDPAR2としてメモリMEM2に記憶することができる。較正パラメータDPAR2は、例えば表を含むことができ、該表はそれぞれのミラー間隔値dFと関係するセンサ信号値Sdのリストを含む。較正パラメータDPAR2は、例えば回帰関数を含むことができ、該回帰関数はセンサ信号Sdの関数としてミラー間隔dFの実際の値の推定値を算出することを可能にし得る。ミラー間隔dFの実際の値の推定値は、前記回帰関数を用いてセンサ信号Sdから決定することができる。較正パラメータDPAR2は、例えば回帰関数を含むことができ、該回帰関数はセンサ信号Sdの関数として透過率ピークPEAK1のスペクトル位置λ0の算出を可能にすることができる。
【0156】
図9bに示すように、ファブリペロー干渉計は、1つまたは複数の透過ピークPEAK1、PEAK2、PEAK3を有することができる。第1のピークPEAK1のスペクトル位置λ0は、ミラー間隔dFに依存し得る。ピークPEAK1、PEAK2、PEAK3のスペクトル位置λ0は、ミラー間隔dFに依存し得る。
【0157】
システムCAL1の制御ユニットCNT2は、狭帯域較正光LB11が所望の(既知の)波長λMを有するように、モノクロメータFIL1を調整することができる。符号MPEAKは、較正光LB11のスペクトルピークを意味する。制御ユニットCNT2は、ミラー間隔dFを変化させることによって、透過ピークPEAK1のスペクトル位置λ0を変化させることができる。較正は、ミラー間隔dFを変化させること、および/または波長λMを変化させることを含むことができる。例えば、波長λMを一定に保ちながら、ミラー間隔dFを変化させることができる。例えば、ミラー間隔dFを一定に保ちながら、波長λMを変化させることができる。例えば、波長λMおよびミラー間隔dFを変化させることができる。
【0158】
透過ピークPEAK1のスペクトル位置λ0が狭帯域較正光LB11の波長λMと略一致する場合に、干渉計300を透過する強度は最大に達することができる。制御ユニットCNT2は、ミラー間隔dFをスキャンし、いつ透過強度が最大に達するかをモニタすることによって、λ0=λMである場合の既知の波長λMと関係するセンサ信号値Sdを決定するように構成することができる。
【0159】
本方法は、ミラー間隔dFを変化させること、ならびに容量値Cdおよび/またはセンサ信号値Sdを記録することを含むことができ、センサ信号値Sdは最大透過強度と関係付けられる。透過強度が(局所的な)最大に達する場合には、ミラー間隔値dFは、ファブリペロー透過関数を用いて、そして干渉次数についての知識を用いて、波長λMから決定することができる。決定されたミラー間隔値dFは、記録された容量値Cdと関係付けることができる。決定されたミラー間隔値dFは、記録されたセンサ信号値Sdと関係付けることができる。波長λMは、記録された容量値Cdと関係付けることができる。波長λMは、記録されたセンサ信号値Sdと関係付けることができる。
【0160】
関係付けられた1対の値(Cd,dF)は回帰関数を提供するために用いることができ、該回帰関数はセンサキャパシタの静電容量の関数としてミラー間隔を決定することを可能にする。関係付けられた1対の値(Sd,dF)は回帰関数を提供するために用いることができ、該回帰関数はセンサ信号の関数としてミラー間隔を決定することを可能にする。関係付けられた1対の値(Cd、λM)は回帰関数を提供するために用いることができ、該回帰関数はセンサキャパシタの静電容量の関数として、透過ピークの波長を決定することを可能にする。関係付けられた1対の値(Sd、λM)は回帰関数を提供するために用いることができ、該回帰関数はセンサ信号の関数として透過ピークの波長を決定することを可能にする。いくつかの対の値(Cd,dF)を測定することができる。回帰関数は、いくつかの対の値(Cd,dF)に基づいて決定することができる。
【0161】
制御ユニットCNT2は波長λMをスキャンするように構成することができ、その場合にミラー間隔dFは一定に保たれる。制御ユニットCNT2は、いつ透過強度が最大に達するかをモニタすることによって、λ0=λMである場合の既知の波長λMと関係するセンサ信号値Sdを決定するように構成することができる。
【0162】
本方法は、以下のステップを含むことができる。すなわち、
第1のミラープレート100および第2のミラープレート200を含むファブリペロー干渉計300を組み立てるステップであり、ミラープレートは電極90a、90b、290を含み、電極は静電容量Cdがミラー間隔dFに依存するセンサキャパシタを形成するステップ、
ファブリペロー干渉計300を通る狭帯域光LB11を検出器DET1に結合するステップ、
狭帯域光LB11の波長λMを変化させる、および/またはミラー間隔dFを変化させるステップ、および
ファブリペロー干渉計300を透過する光の強さをモニタするステップを含むことができる。
【0163】
狭帯域較正光LB11は、例えばレーザービームであってもよい。較正光LB11は、例えばヘリウムネオンレーザーにより提供することができる。
【0164】
図10は、例として、対象物OBJ1から受け取った光LB1のスペクトル強度I(λ)を示す。具体的には、曲線OSPEC1は、対象物OBJ1のある点から受け取った光LB1のスペクトル強度I(λ)を表すことができる。
【0165】
スペクトル強度I(λ)は、波長λ0における値X(λ0)、波長λ1における値X(λ1)、および波長λ2における値X(λ2)を有することができる。光センサ600から取得される検出器信号SR、SG、SBから、値X(λ0)、X(λ1)、および/またはX(λ2)を決定することができる。波長λ0、λ1、λ2は、検出器信号SR、SG、SBが検出器600から取得される前にミラー間隔dFを調整することによって選択することができる。
【0166】
対象物OBJ1のスペクトルOSPEC1のスペクトル領域を測定するために、測定の間、ミラー間隔dFをスキャンすることができる。対象物OBJ1のより広いスペクトルを測定するために、測定の間、ミラー間隔dFをスキャンすることができる。
【0167】
一実施形態では、速い応答を提供するために、測定の間、ミラー間隔dFを略一定に保つことができる。言い換えれば、ミラー間隔dをスキャンする必要はない。例えば、測定の間、ミラー間隔dFを略一定に保つことによって、略同時に2つ以上の強度値X(λ0)、X(λ1)を測定することができる。ミラー間隔dFを略一定に保つことによって、例えば光LB1が急速に変動する強度を有する場合に、強度値X(λ0)、X(λ1)は略同時に測定することができる。急速に変動する強度を有する光LB1について強度値の比X(λ0)/X(λ1)を決定するために、ミラー間隔dFを略一定に保つことができる。
【0168】
対象物OBJ1は、例えば現実の対象物または仮想的な対象物であってもよい。現実の対象物OBJ1は、例えば、固体、液体、または気体の形であってもよい。現実の対象物OBJ1は、気体で満たされたキュベットであってもよい。例えば、現実の対象物OBJ1は、例えば、植物(例えば木または花)、燃焼フレーム、または水に浮かぶオイルスピルであってもよい。現実の対象物OBJ1は、例えば吸収気体の層を介して観測される太陽または星であってもよい。現実の対象物は、例えば紙に印刷された画像であってもよい。例えば、仮想的な対象物OBJ1は、例えば別の光学装置によって形成される光学像であってもよい。
【0169】
図11は、画像センサ600上に形成される光学像IMG1を示す。センサ600の画像領域は、2つ以上のセンサ部分SUB1,1、・・・SUBi,j、・・・SUBMAXi,MAXjに分割することができる。センサ部分は、例えば2つ以上の行および2つ以上の列に配置することができる。列の数はMAXiに等しくすることができ、行の数はMAXjに等しくすることができる。例えば、81個のセンサ部分は、9列および9行に配置することができる。センサ部分は、重なりがないか、または部分的に重なってもよい。
【0170】
第1のセンサ部分SUB1,1の検出器ピクセルP1、P2、P3は、検出器信号SR,1,1、SG,1,1、SB,1,1を提供することができる。第2のセンサ部分SUBi,jの検出器ピクセルP1、P2、P3は、検出器信号SR,i,j、SG,i,j、SB,i,jを提供することができる。第3のセンサ部分SUBMAXiMAXjの検出器ピクセルP1、P2、P3は、検出器信号SR,MAXiMAXj、SG,MAXiMAXj、SB,MAXiMAXjを提供することができる。
【0171】
1つのグループの強度値X(λ0)、X(λ1)、X(λ2)を、各空間的に異なる部分SUB1,1、・・・SUBi,j、・・・SUBMAXi,MAXjについて測定することができる。このように、対象物OBJ1の異なる部分から生じる光LB1を、別々に分析することができる。
【0172】
第1のグループの強度値X1,1(λ0)、X1,1(λ1)、X1,1(λ2)は、検出器信号SR,1,1、SG,1,1、SB,1,1から決定することができる。第2のグループの強度値Xi,j(λ0)、Xi,j(λ1)、Xi,j(λ2)は、検出器信号SR,i,j、SG,i,j、SB,i,jから決定することができる。第3のグループの強度値XMAXi,MAXj(λ0)、XMAXi,MAXj(λ1)、XMAXi,MAXj(λ2)は、検出器信号SR,MAXi,MAXj、SG,MAXi,MAXj、SB,MAXi,MAXjから決定することができる。
【0173】
画像センサ600は、1つまたは複数の検出器アレイ601、602を含むことができる。各センサ部分SUBi,jのピクセルP1、P2、P3は、同じ検出器アレイ601上に、または異なる検出器アレイ601、602上に位置することができる。
【0174】
一実施形態では、分光計700は撮像デバイスであってもよく、撮像デバイスは画像センサ600を含む。図12a〜図12dは、画像センサ600を実装する様々な方法を示す。画像センサ600は、1つまたは複数の2次元検出器アレイ601、602を含むことができる。検出器アレイ601、602は、複数の光検出ピクセルP1、P2を含むことができる。2次元画像IMG1の異なる位置で光スペクトルの空間的変動を解析するために、検出器アレイ上に形成された光学像IMG1は、複数の検出器ピクセルP1、P2を同時に覆うことができる。画像IMG1は、例えば、SX方向の4つ以上の隣接ピクセルP1,P2、およびSY方向の4つ以上の隣接ピクセルを覆うことができる。
【0175】
図12aに示すように、検出器アレイ601は、複数の光検出ピクセルP1、P2を含むことができる。画像センサ600は、例えば、2種類のピクセルP1、P2を含むことができる。第1のピクセルP1は第1のスペクトル感度ηR(λ)を有することができ、第2のピクセルP2は第2の異なるスペクトル感度ηG(λ)を有することができる。第1のピクセルP1および第2のピクセルP2は、異なる色に対して感度を有してもよい。例えば、ミニチュア光学フィルタのアレイを光検出器のアレイ上に配置することによって、スペクトル感度ηR(λ)、ηG(λ)を実現することができる。ピクセルP1、P2は、例えばチェッカーボードパターンに従って配置することができる。
【0176】
図12bに示すように、画像センサ600は、例えばベイヤー(Bayer)行列に配置される複数の光検出ピクセルP1、P2、P3を含むことができる。ピクセルP1は赤色光を感じ、ピクセルP2は緑色光を感じ、ピクセルP3は青色光を感じることができる。このタイプの画像センサは、例えばデジタルカメラで一般的に用いられる。
【0177】
図12cに示すように、画像センサ600は、第1の検出器アレイ601および第2の検出器アレイ602を含むことができる。第1の検出器アレイ601は検出器ピクセルP1を含むことができ、第2の検出器アレイ602は検出器ピクセルP2を含むことができる。光LB2は、ビームスプリッタ603によって検出器アレイ601、602に分配することができる。ビームスプリッタ603は、例えばダイクロイックミラーまたは色分解プリズムであってもよい。画像センサ600は、第1の検出器ピクセルP1が第1のスペクトル感度ηR(λ)を有し、第2の検出器ピクセルP2は第2の異なるスペクトル感度ηG(λ)を有するように動作するように構成することができる。例えば、ピクセルP1は赤色光に最も高い感度を有することができ、ピクセルP2は緑色光に最も高い感度を有することができる。画像センサ600は、検出器ピクセルP3を実装するために、第2のビームスプリッタ203および第3の検出器アレイを任意に含むことができる。ピクセルP3は、例えば青色光に最も高い感度を有することができる。
【0178】
図12dに示すように、画像センサ600は、互いに積層した2つ以上の検出器アレイ601、602を含むことができる。第1の検出器アレイ601はピクセルP1を含むことができ、第2の検出器アレイ602はピクセルP2を含むことができる。第1の検出器アレイ601はあるスペクトル領域で少なくとも部分的に透明であり得るが、該あるスペクトル領域はピクセルP2のスペクトル感度と一致する。第1の検出器アレイ601は、第2の検出器アレイ602のピクセルP2に光を透過するように構成することができる。画像センサ600のピクセルP1は、検出器信号値SRを提供することができる。画像センサ600のピクセルP2は、検出器信号値SGを提供することができる。画像センサ600は、互いに積層した3つ以上の検出器アレイを含むことができる。第3の検出器アレイは、ピクセルP3を含むことができる。画像センサ600のピクセルP3は、検出器信号値SBを提供することができる。
【0179】
図13に示すように、ミラープレート100、200の一方はフレーム350に取り付けることができ、ミラープレート200、100の他方はアクチュエータ301によって動くことができる。
【0180】
ベーススラブ51は、例えば、シリコンウエハから、またはシリカのシートから基板を切り出すことによって、取得することができる。多層コーティング60は、例えば切り出した後に実装することができる。ベーススラブ51は、例えば、シリコンロッドから、またはシリカロッドから基板を切り出すことによって、取得することができる。ベーススラブ51は、より複雑な形状を有することもできる。例えば、スラブ51の形状は、例えば円錐台または立方体に似ていてもよい。プレートおよびスラブは、1つまたは複数のくぼんだ部分および/または突出した部分(例えば図7aのくぼんだ部分81を参照)を任意に含むことができる。
【0181】
「スラブ」という用語はボディを示すことができ、該ボディは1つまたは複数の略平面の部分を有する。前記平面の部分によって透過および/または反射した光の波面歪みを最小化するように、スラブは第1の略平面の部分を有することができる。第1の略平面の部分および第2の略平面の部分を透過した光の波面歪みを最小化するように、スラブは第2の略平面の部分を任意に有することができる。第1の平面の部分はスラブの最上面全体を覆うことができる、あるいは、第1の平面の部分はスラブの最上面の100%より小さい部分を覆うことができる。第2の平面の部分はスラブの底面全体を覆うことができる、あるいは、第2の平面の部分はスラブの底面の100%より小さい部分を覆うことができる。スラブは、例えば1つまたは複数の突出した部分および/またはくぼんだ部分を任意に有することができる。一実施形態では、第1の平面の部分は、第2の平面の部分に略平行であってもよい。一実施形態では、第1の平面の部分および第2の平面の部分は、例えば望ましくない反射を減らすために、ゼロでないウェッジ角を規定することができる。
【0182】
「プレート」という用語はボディを示すことができ、該ボディは1つまたは複数の略平面の部分を有する。前記平面の部分によって透過および/または反射した光の波面歪みを最小化するように、プレートは第1の略平面の部分を有することができる。第1の略平面の部分および第2の略平面の部分を透過した光の波面歪みを最小化するように、プレートは第2の略平面の部分を任意に有することができる。第1の平面の部分はプレートの最上面全体を覆うことができる、あるいは、第1の平面の部分はプレートの最上面の100%より小さい部分を覆うことができる。第2の平面の部分はプレートの底面全体を覆うことができる、あるいは、第2の平面の部分はプレートの底面の100%より小さい部分を覆うことができる。プレートは、例えば1つまたは複数の突出した部分および/またはくぼんだ部分を任意に有することができる。一実施形態では、第1の平面の部分は、第2の平面の部分に略平行であってもよい。一実施形態では、第1の平面の部分および第2の平面の部分は、例えば望ましくない反射を減らすために、ゼロでないウェッジ角を規定することができる。
【0183】
「光」という用語は、紫外領域(200nm〜380nm)、可視領域(380nm〜760nm)、近赤外領域(760nm〜1.4μm)、中間赤外領域(1.4μm〜8μm)、および/または熱赤外領域(8μm〜12μm)の電磁放射を示すことができる。ミラープレート100を含むファブリペロー干渉計300が、例えば紫外領域(200nm〜380nm)、可視領域(380nm〜760nm)、近赤外領域(760nm〜1.4μm)、中間赤外領域(1.4μm〜8μm)、および/または熱赤外領域(8μm〜12μm)のスペクトル分析に適用できるように、ミラープレート100の材料および寸法を選択することができる。
【0184】
例えば、ミラープレート100を含む分光計700は、赤外領域の光吸収をモニタすることによってCO2の濃度を測定するように構成することができる。例えば、ミラープレート100を含む分光計700は、赤外領域の光吸収をモニタすることによって麻酔ガスの濃度を測定するように構成することができる。例えば、ミラープレート100を含む分光計700は、例えば癌または別の異常状態を検出するために、ヒトの組織または動物の組織からスペクトルデータを決定するように構成することができる。
【0185】
当業者にとっては、本発明によるデバイスおよび方法の修正および変更が知覚できることは明白である。図は模式的なものである。添付した図面を参照して上述した具体的な実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図6h
図6i
図6j
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図12d
図13