(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端末が第1の中継装置に接続した場合に、前記端末から前記第1の中継装置固有の識別情報を取得し、前記端末が前記第1の中継装置から取り外され、第2の中継装置に接続した場合には、前記端末から前記第2の中継装置固有の識別情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のサービス提供装置。
前記中継装置固有の識別情報と群とを対応付けておき、前記端末が接続されている中継装置固有の識別情報と前記対応付けを照らし合わせることにより、前記端末が所属する群を特定し、前記対応付けは任意に変更可能なことを特徴とする請求項1又は2に記載のサービス提供装置。
前記中継装置は前記端末を接続するための接続部を複数含んでおり、前記中継装置固有の識別情報及び前記接続部の識別情報と、群とを対応付けておき、前記端末が接続されている中継装置固有の識別情報及び前記端末が接続されている前記接続部の識別情報と前記対応付けを照らし合わせることにより、前記端末が所属する群を特定し、前記対応付けは任意に変更可能なことを特徴とする請求項1又は2に記載のサービス提供装置。
複数の前記端末それぞれと接続している中継装置を介して、複数の端末と自サービス提供装置とを接続することにより複数の伝送路を確立し、前記複数の伝送路間の接続を切り替えることにより、前記端末間の音声通信を実現することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のサービス提供装置。
【背景技術】
【0002】
VoIP(Voice over Internet Protocol)等のプロトコルに準拠して音声通信を行なうIP電話端末を、交換機に接続することによってボタン電話システムを構築することが一般的に行われている。そして、このように構築されたボタン電話システムでは、例えば、社内に設けられたLAN(Local Area Network)や、インターネットやイントラネット等のTCP(Transmission Control Protocol)/IPネットワークを介して、IP電話端末間で音声データを送受信することが可能となる。
【0003】
このような、ボタン電話システムでは、単に音声データを送受信するのみならず、各IP電話端末の使い勝手を向上させる等の目的で、各IP電話端末に所定の電話機能サービスを提供することがある。ここで、所定の電話機能サービスとは、例えば、電話帳を参照させるサービスや、マルチファンクションボタンに所定の機能を割り当て、マルチファンクションボタンの押下があった際に割り当てられた所定の機能を利用させるサービスである。ここで、所定の機能としては、よく通信する相手先の電話番号をマルチファンクションボタンに割り当てておき、このマルチファンクションボタンを押下するだけで発呼を行わせる機能であるワンタッチダイヤル等が例として挙げられる。
【0004】
ところで、例えば社内でボタン電話システムを利用する際には、電話帳の内容や、マルチファンクションボタンに割り当てる機能の内容を、社内の部署毎やユーザ毎に異ならせることが望ましい場合が多い。
【0005】
例えば、第1の部署のユーザが頻繁に通話する通話相手と、第2の部署のユーザが頻繁に通話する通話相手とが全く異なるような場合には、電話帳の内容を各部署で異ならせることが好ましい。なぜならば、自部署では通話しない通話相手の連絡先を電話帳にて参照する必要はないからである。また、同様の理由で、ワンタッチダイヤルに登録する通話先も部署毎に異ならせることが好ましい。なぜならば、自部署では通話しない通話相手の連絡先をワンタッチダイヤルに登録する必要はないからである。
【0006】
このように、例えば部署等の所定の単位ごとに異なる電話機能サービスを提供するためには、ボタン電話システムにおいて電話機能サービスの提供条件を内線番号やIP電話端末の識別子に紐付けて設定することが一般的である。このような技術の一例が特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【0007】
まず、特許文献1には、複数のIP電話機を収容し、これらに電話交換サービスを提供するIP電話交換機が記載されている。
【0008】
そして、特許文献1に記載のIP電話交換機は、IP電話機の内線番号の各々に対応付けて、電話交換サービスの態様を設定する設定情報片を保持する。また、該IP電話機のうちの1から発せられる、参照内線番号を伴う更新要求信号に応じて、該参照内線番号に一致する内線番号に対応する設定情報片を参照設定情報片として抽出する。更に、該1のIP電話機の内線番号に対応する設定情報片の内容を、該参照設定情報片の内容で置換することにより更新することにより、部署毎に異なる電話機能サービスを提供する。このように、情報特許文献1では、内線電話番号と提供する電話機能サービスとを紐付けることによって、端末毎に異なるサービスを提供している。
【0009】
また、特許文献2には、電話端末毎に異なる設定情報をサーバに登録してデータベースを作成しておくことが記載されている。そして、特許文献2に記載の技術では、IP電話端末の端末識別子をキーとしてデータベースを検索し、そのIP電話端末に対応した設定情報を、サーバから電話端末に個々にダウンロードする。また、各IP電話端末がダウンロードした設定情報を自IP電話端末に設定することにより、端末毎に異なる電話機能サービスの提供を受ける。このように、情報特許文献2では、端末識別子と提供する電話機能サービスとを紐付けることによって、端末毎に異なるサービスを提供している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、本発明の実施形態の概略を説明する。本発明の実施形態は位置情報に応じたサービスを提供する電話システムである。具体的には、所属部署等のグループ毎にスイッチングハブを設置する。そして、IP電話機が所定のプロトコルに準拠した通信によってスイッチングハブから、そのスイッチングハブの識別IDを入手する。そして、この入手した識別IDを、構内交換機に登録する(ログインする)ことで、所属部署毎に異なる電話サービスの提供を、構内交換機から受ける。
【0024】
以上が本発明の実施形態の概略である。
【0025】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1を参照すると本実施形態であるボタン電話システム100は、交換機10、複数のIP電話機20及び複数のスイッチングハブ30を含む。そして、これらの各機器は、LAN回線50を介して相互に通信可能に接続されている。
【0027】
より具体的には、本実施形態では、第1のエリア40−1、第2のエリア40−2及び第3のエリア40−3の3つのエリアが存在する。
【0028】
そして、第1のエリア40−1には、第1−1のIP電話機20−1−1及び第1のスイッチングハブ30−1が設置される。また、第2のエリア40−2には、第2−1のIP電話機20−2−1、第2−nのIP電話機20−2−n(nは任意の正の整数)及び第2のスイッチングハブ30−2が設置される。更に、第3のエリア40−3には、第3−1のIP電話機20−3−1、第3−mのIP電話機20−3−m(mは任意の正の整数)及び第3のスイッチングハブ30−3が設置される。
【0029】
そして、各IP電話機20は、自身が存在するエリアに設置されているスイッチングハブ30を中継装置として、LAN回線50に接続する。
【0030】
また、各IP電話機20は、起動時に自身が接続されているスイッチングハブ30から収容位置情報を取得する。また、IP電話機20は、交換機10への登録要求処理において、自身が接続されているスイッチングハブ30から取得した収容位置情報を交換機10に通知する。更に、交換機10は、IP電話機20から通知された収容位置情報からIP電話機20が所属しているグループを識別して、グループに応じた電話機能サービスを提供する。
【0031】
なお、収容位置情報が具体的にどのような情報であるのかについては後述する。また、図中及び以下の説明において、第1のエリア40−1は会議室に設けられ、第2のエリア40−2は部署Aのユーザーが使用する部屋に設けられ、第3のエリア40−3は部署Bのユーザーが使用する部屋に設けられていると想定する。
【0032】
次に、
図2を参照して交換機10についてより詳細に説明する。ここで、
図2は交換機10に含まれる機能ブロックを表すブロック図である。
【0033】
図2を参照すると、交換機10は、中央制御部11、記憶部12及び通信インタフェース13を含む。
【0034】
中央制御部11は、交換機10全体を制御する部分である。中央制御部11は、例えば、予め設定された制御プログラムの命令の読み出し、解読及び実行を行うCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納するROM(read only memory)、CPUの演算に伴い生成される制御データを格納するRAM(random access memory)、及びタイマ等により実現される。
【0035】
また、中央制御部11には、交換機能実現部14及びサービス提供判定処理部15が含まれる。
【0036】
交換機能実現部14は、交換機としての機能を実現する部分である。具体的には、交換機能実現部14は、通信インタフェース13を介した通信を行なうことによって、ボタン電話システム100におけるVoIPに準拠した音声通信を実現する。なお、音声通信を実現するための交換機の機能は当業者にとってよく知られているので、詳細な説明を省略する。
【0037】
サービス提供判定処理部15は、各IP電話機20に対してサービスを提供する部分である。サービス提供判定処理部15は、記憶部12に格納されているデータを参照して、IP電話機20が収容されている位置を確認する。更に、サービス提供判定処理部15は、確認したIP電話機20が収容されている位置に応じた電話機能サービスをIP電話機20に対して提供する。ここで、電話機能サービスとは、例えばIP電話機20に電話帳を参照させるサービスや、IP電話機20のマルチファンクションボタンに所定の機能を割り当て、マルチファンクションボタンの押下があった際に割り当てられた所定の機能をIP電話機20に利用させるサービスである。
【0038】
記憶部12は、中央制御部11が利用するデータを格納する記憶部であり、HDD(Hard disk drive)やSSD(solid state drive)といった装置により実現される。ここで、記憶部12に格納される情報について
図3及び
図4を参照して説明する。
【0039】
まず、
図3には、記憶部12に格納されている情報である、「収容位置情報とグループとの対応付けを表すテーブル」が表されている。これは、どの収容位置に接続されると、どのグループに所属したことになるのかを表す情報である。
【0040】
ここで、収容位置情報とは、IP電話機20が収容されている位置を一意に特定するための情報である。具体的には、収容位置情報は、IP電話機20が接続されるネットワーク機器の収容位置を表す情報により実現される。本実施形態では、IP電話機20が接続されるネットワーク機器はスイッチングハブ30であるので、各スイッチングハブ30を識別するための識別子である「スイッチングハブ識別ID」と、IP電話機20が接続されているポートの「ポート番号」との組み合わせにより収容位置情報が実現される。
【0041】
例えば
図3に表されるように、スイッチングハブ識別IDが「X」であるスイッチングハブ30の、ポート番号1のポートには第1のグループが対応付けられている。これは、スイッチングハブ識別IDが「X」であるスイッチングハブ30の、ポート番号1のポート、という収容位置に接続されたIP電話機20は、第1のグループに所属したものとして扱うことを意味している。
【0042】
図3の例では、同様に、スイッチングハブ識別IDが「X」であるスイッチングハブ30の、ポート番号1のポート以外の他のポートに接続されたIP電話機20も、第1のグループに所属したものとして扱う。このように、スイッチングハブ識別IDが「X」であるスイッチングハブ30では、何れのポートも第1のグループに対応付けられている。つまり、実質的には、スイッチングハブ識別IDとグループとが1対1で一致するように対応付けられている。
【0043】
しかし、このようにするのではなくポートによって対応付けられているグループを異ならせるようにしてもよい。例えば、スイッチングハブ識別IDが「Y」であるスイッチングハブ30の、ポート番号1のポートには第2のグループが対応付けられている。しかし、スイッチングハブ識別IDが「Y」であるスイッチングハブ30の、ポート番号2のポートには第3のグループが対応付けられている。このように、同じスイッチングハブ30であっても、ポートによって対応付けられているグループを異ならせるようにしてもよい。
【0044】
なお、
図3に表される例では、スイッチングハブ30毎に異なるグループが対応付けられている。しかしながら、複数のスイッチングハブ30に或る一つの同一のグループを対応付けるようにしてもよい。すなわち、一つの部署にて複数のスイッチングハブ30を使用しているような場合には、これら複数のスイッチングハブ30全てに、この一つの部署に対応するグループを対応付けるようにしてもよい。例えば、スイッチングハブ識別IDが「X」であるスイッチングハブ30の各ポート及びスイッチングハブ識別IDが「Y」であるスイッチングハブ30の各ポートの全てに第1のグループを対応づけるようにしてもよい。
【0045】
次に、
図4には、記憶部12に格納されている情報である、「グループとサービスの対応付けを表すテーブル」が表されている。これは、どのグループに所属するIP電話機20に、どの電話機能サービスを提供するのかを表す情報である。
【0046】
例えば
図4に表されるように、第1のグループには、第1のサービス(本例では電話帳サービスとする)として、第1のグループ用の電話帳データが対応付けられている。そのため、第1のグループに所属するIP電話機20に対しては、サービス提供判定処理部15によって、第1のグループ用の電話帳データを利用可能とするサービスが提供される。同様に、第2のグループには、第1のサービスとして、第2のグループ用の電話帳データが対応付けられている。そのため、第2のグループに所属するIP電話機20に対しては、サービス提供判定処理部15によって、第2のグループ用の電話帳データを利用可能とするサービスが提供される。
【0047】
なお、サービスは、この第1のサービスのようにグループそれぞれ毎に内容の異なる、各グループ特有のサービスを提供するものであってもよい。但し、このようなサービスではなく、同一の内容のものを提供する、或いはしない、というものであってもよい。
図3の例で言えば、第2のサービスや第3のサービスは、同一の内容のものを提供する、或いはしない、というものである。つまり、サービスの提供が「許可」されているグループにはサービスを提供する。ただし、各グループに提供するサービスの内容は同一である。一方で、サービスの提供が「拒否」されているグループにはサービスを提供しない。
【0048】
なお、第1のサービスのような対応付けと、第2のサービスや第3のサービスのような対応付けとを混在させるようにしてもよい。例えば、第1のグループには「許可:第1のグループ用の・・・データ」、第2のグループには「許可:第2のグループ用の・・・データ」、第3のグループには「拒否」、というように対応付けるサービスがあってもよい。この場合には、第1のグループに所属するIP電話機20に対しては、第1のグループ用の・・・データが利用可能とされ、第2のグループに所属するIP電話機20に対しては、第2のグループ用の・・・データが利用可能とされ、第3のグループに所属するIP電話機20に対しては、このサービスに関しては利用不可とされる。
【0049】
次に、
図2を参照した機能ブロックの説明に戻る。通信インタフェース13は、LAN回線50を利用した通信を行なうためのインタフェースである。中央制御部11に含まれる各部は、通信インタフェース13を介して、LAN回線50に接続されている各機器と通信を行なう。
【0050】
以上、交換機10に含まれる各部について説明した。なお、上述の説明では、制御プログラムが中央制御部11に格納されているものとして説明したが、制御プログラムの一部又は全部が記憶部12に格納されていてもよい。また、上述の説明では、
図3及び
図4を参照して説明した各情報が記憶部12に格納されているものとして説明したが、これら各情報の一部又は全部が記憶部12ではなく中央制御部11に格納されていてもよい。
【0051】
次に、
図5を参照してIP電話機20についてより詳細に説明する。ここで、
図5は第1−1のIP電話機20−1−1に含まれる機能ブロックを表すブロック図である。なお、今回は第1−1のIP電話機20−1−1を例に取って説明を行なうが、他のIP電話機20も第1−1のIP電話機20−1−1と同様の機能ブロックを含むものとする。
【0052】
図5を参照すると、第1−1のIP電話機20−1−1は、中央制御部21及び通信インタフェース22を含む。
【0053】
中央制御部21は、第1−1のIP電話機20−1−1全体を制御する部分である。中央制御部21は、例えば、予め設定された制御プログラムの命令の読み出し、解読及び実行を行うCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納するROM(read only memory)、CPUの演算に伴い生成される制御データを格納するRAM(random access memory)、及びタイマ等により実現される。
【0054】
また、中央制御部21には、電話機能実現部23及び収容位置情報取得・通知部24が含まれる。
【0055】
電話機能実現部23は、IP電話機としての機能を実現する部分である。具体的には、電話機能実現部23は、通信インタフェース22を介して音声パケットの送受信を行なうことによって、ボタン電話システム100におけるVoIPに準拠した音声通信を実現する。なお、音声通信を実現するためのIP電話機の機能は当業者にとってよく知られているので、詳細な説明を省略する。
【0056】
収容位置情報取得・通知部24は、サービスの提供を受けるための前提となる、収容位置情報の取得処理及び収容位置情報の通知処理をおこなうための部分である。
【0057】
具体的には、収容位置情報取得・通知部24は、第1−1のIP電話機20−1−1の起動時に第1−1のIP電話機20−1−1が接続されているスイッングハブ30から収容位置情報を取得する。
【0058】
また、収容位置情報取得・通知部24は、交換機10への登録処理に際して、第1−1のIP電話機20−1−1が接続されているスイッチングハブ30から取得した収容位置情報を交換機10に通知する。なお、収容位置情報は、
図3を参照して上述したように、IP電話機20が接続されているスイッチングハブ30を識別するための識別子である「スイッチングハブ識別ID」と、IP電話機20が接続されているポートの「ポート番号」とを含む。
【0059】
また、収容位置情報取得・通知部24による収容位置情報の取得は任意の方法で実現することが可能であるが、例えば、IEEE 802.1ABとして標準化された「Station and Media Access Control Connectivity Discovery」に準拠した方法にて収容位置情報を取得することが考えられる。なお、一般的にIEEE 802.1ABは、LLDP(Link Layer Discovery Protocol)と呼ばれるので、以下の説明においても、IEEE 802.1ABを、「LLDP」と呼ぶ。LLDPはネットワーク機器や端末の種類、接続されているポートのポート番号及び設定情報などを近隣のノードに通知するためのプロトコルであって、OSI参照モデルにおける第2層のプロトコルである。
【0060】
通信インタフェース22は、LAN回線50を利用した通信を行なうためのインタフェースである。中央制御部21に含まれる各部は、通信インタフェース22を介して、LAN回線50に接続されている各機器と通信を行なう。
【0061】
以上、第1−1のIP電話機20−1−1に含まれる機能ブロックについて説明した。
【0062】
次に、スイッチングハブ30について説明する。
【0063】
スイッチングハブ30は、スイッチングハブとしての一般的な機能に加えて、自身に接続されているIP電話機20に対して、上述した収容位置情報(スイッチングハブ30自身のスイッチングハブ識別IDと、通知先となるIP電話機20が接続されているポートのポート番号)を通知する機能を含んでいる。
【0064】
ここで、スイッチングハブとしての一般的な機能や、LLDP等のプロトコルに準拠してスイッチングハブ識別ID及びポート番号を通知する機能は当業者にとってよく知られているので、説明を省略する。また、これらの機能を含んだスイッチングハブは汎用の装置により実現可能であるので、ブロック図を参照した機能ブロックの説明についても省略する。
【0065】
次に、
図6を参照して本実施形態の基本的な動作について説明をする。ここで、
図6はIP電話機の収容位置情報に応じたサービス提供時の動作を表すシーケンス図である。
【0066】
まず、第1−1のIP電話機20−1−1の起動時の動作について説明する。第1−1のIP電話機20−1−1の電源が投入され、且つ、第1−1のIP電話機20−1−1が第1のスイッチングハブ30−1に接続されたことを契機として、第1−1のIP電話機20−1−1の中央制御部21が、第1−1のIP電話機20−1−1の起動処理を開始する(ステップS1)。
【0067】
次に、第1−1のIP電話機20−1−1の収容位置情報取得・通知部24が、起動時に第1−1のIP電話機20−1−1に接続されている第1のスイッチングハブ30−1から収容位置情報(第1のスイッチングハブ30−1のスイッチングハブ識別ID、及び第1−1のIP電話機20−1−1が接続されているポートのポート番号)を取得する。かかる収容位置情報の取得は、上述したように、例えばLLDP等に準拠して行われる。例えば、第1のスイッチングハブ30−1は収容位置情報を所定間隔(例えば30秒毎)にマルチキャスト・アドレス宛てに送信する(ステップS2−1)。そして、起動後の第1−1のIP電話機20−1−1の収容位置情報取得・通知部24は、このマルチキャスト・アドレス宛てに送信された収容位置情報を受信することにより、収容位置情報を取得する(ステップS2−2)。
【0068】
次に、ステップS2−2にて収容位置情報を取得した第1−1のIP電話機20−1−1の収容位置情報取得・通知部24は、交換機10への第1−1のIP電話機20−1−1の登録要求において、交換機10に対してステップS2−2にて取得した収容位置情報を通知する(ステップS3)。
【0069】
第1−1のIP電話機20−1−1からの登録要求を受けた交換機10の交換機能実現部14は、第1−1のIP電話機20−1−1の登録処理を行なう。これにより、第1−1のIP電話機20−1−1は音声通信を行なうことが可能となる。また、これに伴い、交換機10のサービス提供判定処理部15は、IP電話機から通知された収容位置情報を検索キーとして、
図3に表されるような収容位置情報及びグループの対応付けテーブルを検索することにより、第1−1のIP電話機20−1−1が所属するグループを特定する。そして、サービス提供判定処理部15は、特定したグループと第1−1のIP電話機20−1−1とを紐付けた情報を作成し、作成した情報を、中央制御部11内のメモリにて又は記憶部12にて保持する(ステップS4)。
【0070】
その後、交換機10のサービス提供判定処理部15は、第1−1のIP電話機20−1−1へのサービス提供時、ステップS4にて保持した情報を参照することにより、第1−1のIP電話機20−1−1が所属するグループを特定する。また、サービス提供判定処理部15は、特定したグループを検索キーとして、
図6に表されるようなグループとサービスの対応付けテーブルを検索することにより、第1のグループに所属している第1−1のIP電話機20−1−1に提供するサービスを確認する。そして、サービス提供判定処理部15は、確認結果に応じて第1のグループに所属している第1−1のIP電話機20−1−1に対して、電話帳データなど所属するグループ特有の情報を提供したり、サービス提供に制限をかけたり、といったようにしてグループに応じたサービスを提供する。
【0071】
他方、上述の第1−1のIP電話機20−1−1の起動時の処理及びサービスの提供と別途、第2のスイッチングハブ30−2に第2−1のIP電話機20−2−1が接続されたとする。すると、第2のスイッチングハブ30−2、第2−1のIP電話機20−2−1及び交換機10は上述のステップS1乃至ステップS5と同様の動作を行なう(ステップS6乃至ステップS10)。
【0072】
これにより、第2−1のIP電話機20−2−1に対しても、電話帳データなど所属するグループ特有の情報を提供したり、サービス提供に制限をかけたり、といったようにしてグループに応じたサービスを提供することが可能となる。
【0073】
なお、第1−1のIP電話機20−1−1と第2−1のIP電話機20−2−1が同一のIP電話機である場合も考えられる。つまり、或る1つのIP電話機20が第1−1のIP電話機20−1−1として第1のスイッチングハブ30−1に接続されると、上述のステップS1乃至ステップS5の動作が行われる。これにより、例えば、この或る1つのIP電話機20は、例えば第1のグループに対応するサービスの提供を受ける。
【0074】
その後、例えば部署異動等の理由により、この或る1つのIP電話機が、第1のスイッチングハブ30−1から取り外され、新たに第2−1のIP電話機20−2−1として第2のスイッチングハブ30−2に接続されたとする。すると、上述のステップS6乃至ステップS10の動作が行われる。これにより、例えば、この或る1つのIP電話機は、例えば第2のグループに対応するサービスの提供を受ける。
【0075】
このように、本実施形態では、IP電話機20が何れかのスイッチングハブ30に接続された場合や、接続されたスイッチングハブ30から取り外され、新たに他のスイッチングハブ30に接続されたような場合に、ユーザが電話機能サービスの煩雑な設定を行なうことなく、電話機能サービスの設定を容易に行なうことが可能となる。
【0076】
以上説明した本発明の実施形態は、以下に示すような多くの効果を奏する。
【0077】
第1の効果は内線番号毎や、IP電話機毎ではなく、グループ毎に電話機能サービスの提供条件を設定することができることである。
【0078】
その理由は、IP電話機から通知される収容位置情報をもとにグループ分けを行うことで、IP電話機をネットワークに接続するだけで、どの部署に属しているかが自動的に判別でき、構内交換機への登録が容易であり、部署毎に異なる電話サービスを容易に提供できるからである。
【0079】
第2の効果は人事異動等により部署が変更となった場合も、交換機の設定変更が不要となることである。
【0080】
その理由は、人事異動等により所属部署を代わる場合も、使用中の自電話機を持って異動し、新部署のネットワーク機器に接続するだけで、新所属への変更登録が完了するからである。
【0081】
第3の効果は、部署等のグループ単位で電話機能サービスの提供条件を変更したい場合に端末単位での設定の変更を行なう必要がなくなり、設定が容易となることである。
【0082】
その理由は、部署等のグループ単位で電話機能サービスの提供条件を変更したい場合には、テーブルにおける、その部署に設置されているスイッチングハブの識別IDやポート番号とグループの対応付け、又は、グループとサービスの対応付けの何れかを変更するのみで足りるからである。
【0083】
また、例えば、レイアウト変更等が行われ、1つの部署にて使用していた1台のスイッチングハブを二つの部署で共用するようなことも考えられる。このような場合には、この1台のスイッチングハブのポートそれぞれに、二つの部署(グループ)を紐付けるのみで、1つの部署にて使用していた1台のスイッチングハブを二つの部署で共用するようなことが可能となる。
【0084】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0085】
例えば、
図1に表したボタン電話システム100の構成は、一例に過ぎない。これを変形して、交換機10を介して、複数のIP電話機20が更に外線に接続されるようにしても良い。また、スイッチングハブ30やIP電話機20の台数及び組み合わせ方に特に制限はない。
【0086】
また、上述の説明では、会社内の部署という単位でグループとしていたが、本実施形態は、必ずしも会社内に設置される必要はなく、他の施設等に設置されてもよい。
【0087】
また、仮に、
図3に表される、「スイッチングハブ識別ID:X」のスイッチングハブ30のように全てのポートを、同一のグループに対応付けるのであれば、テーブル内からポート番号の項目を削除しても良い。そして、各機器間で送受信される収容位置情報に、スイッチングハブ識別IDを含ませ、ポート番号を含ませないようにしても良い。
【0088】
また、上述の説明においては、IP電話機20がLLDPに準拠した通信方法で収容位置情報を取得していたが、LLDP以外の他のプロトコルに準拠した通信方法にて取得するようにしてもよい。
【0089】
なお、上記のボタン電話システムに含まれる、交換機、スイッチングハブ及びIP電話機のそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のボタン電話システムに含まれる、交換機、スイッチングハブ及びIP電話機により行なわれる通信方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0090】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0091】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0092】
(付記1) 端末が所属する群に対応したサービスを前記端末に提供するにあたり、前記端末固有の識別情報ではなく、前記端末が接続されている中継装置固有の識別情報に基づいて前記端末が所属する群を特定することを特徴とするサービス提供装置。
【0093】
(付記2) 前記端末が第1の中継装置に接続した場合に、前記端末から前記第1の中継装置固有の識別情報を取得し、前記端末が前記第1の中継装置から取り外され、第2の中継装置に接続した場合には、前記端末から前記第2の中継装置固有の識別情報を取得することを特徴とする付記1に記載のサービス提供装置。
【0094】
(付記3) 前記中継装置固有の識別情報と群とを対応付けておき、前記端末が接続されている中継装置固有の識別情報と前記対応付けを照らし合わせることにより、前記端末が所属する群を特定し、前記対応付けは任意に変更可能なことを特徴とする付記1又は2に記載のサービス提供装置。
【0095】
(付記4) 前記中継装置は前記端末を接続するための接続部を複数含んでおり、前記中継装置固有の識別情報及び前記接続部の識別情報と、群とを対応付けておき、前記端末が接続されている中継装置固有の識別情報及び前記端末が接続されている前記接続部の識別情報と前記対応付けを照らし合わせることにより、前記端末が所属する群を特定し、前記対応付けは任意に変更可能なことを特徴とする付記1又は2に記載のサービス提供装置。
【0096】
(付記5) 複数の前記端末それぞれと接続している中継装置を介して、複数の端末と自サービス提供装置とを接続することにより複数の伝送路を確立し、前記複数の伝送路間の接続を切り替えることにより、前記端末間の音声通信を実現することを特徴とする付記1乃至4の何れか1に記載のサービス提供装置。
【0097】
(付記6) 前記端末に提供するサービスは、前記端末間の音声通信に関連するサービスであることを特徴とする付記1乃至5の何れか1に記載のサービス提供装置。
【0098】
(付記7) 前記端末に提供するサービスは、少なくとも一部の前記群に関しては、群毎に内容の異なる、各群特有のサービスであることを特徴とする付記1乃至6の何れか1に記載のサービス提供装置。
【0099】
(付記8) 付記1乃至7の何れか1に記載のサービス提供装置と、前記端末とを含むサービス提供システムであって、
前記端末は前記中継装置に接続すると、該接続した中継装置から、該接続した中継装置固有の識別情報を受信し、受信した識別情報を前記サービス提供装置に送信し、
前記サービス提供装置は前記端末が送信した識別情報を受信し、受信した識別情報に基づいて前記端末が所属する群を特定し、特定した群に対応するサービスを前記端末に提供することを特徴とするサービス提供システム。
【0100】
(付記9) 自端末が所属する群に対応したサービスをサービス提供装置から提供されるにあたり、前記サービス提供装置が自端末の所属する群を特定するための情報として、前記端末固有の識別情報ではなく、前記端末が接続されている中継装置固有の識別情報を前記サービス提供装置に送信することを特徴とする端末。
【0101】
(付記10) 端末が所属する群に対応したサービスを前記端末に提供するにあたり、前記端末固有の識別情報ではなく、前記端末が接続されている中継装置固有の識別情報に基づいて前記端末が所属する群を特定するサービス提供装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするサービス提供プログラム。