特許第5954865号(P5954865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954865
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】モータ回転子支持体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20160707BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20160707BHJP
   C21D 8/00 20060101ALI20160707BHJP
   H02K 1/02 20060101ALI20160707BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20160707BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20160707BHJP
   C22C 38/58 20060101ALN20160707BHJP
【FI】
   H02K1/28 A
   C22C38/00 302A
   C21D8/00 D
   H02K1/02 A
   H02K1/27 503
   H02K15/02 K
   !C22C38/58
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-77892(P2012-77892)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-208023(P2013-208023A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(73)【特許権者】
【識別番号】512082060
【氏名又は名称】三和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎二
(72)【発明者】
【氏名】斑目 広和
(72)【発明者】
【氏名】中島 敏史
(72)【発明者】
【氏名】宮城 一裕
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−055577(JP,A)
【文献】 特開平11−069680(JP,A)
【文献】 特開2011−006776(JP,A)
【文献】 特開平07−102318(JP,A)
【文献】 特開2009−095089(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/046108(WO,A1)
【文献】 特開昭61−023750(JP,A)
【文献】 特開平08−295998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00−1/34
H02K 15/00−15/16
C21D 8/00
C22C 38/00
C22C 38/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転子に配置される磁性体を支持する円盤形状の支持体であって、
全体に加工組織を有する非磁性鋼からなり、比透磁率が1.005未満で、室温における0.2%耐力が550MPa以上である単材が積層されており、円盤形状の中心に軸穴が形成された軸受け部を有し、最外周縁に全周に亘る外縁リングを有し、外縁リングの内周側に、区画壁を介して等角度間隔で磁石収納部が設けられており、前記磁石収納部の内周側と前記軸受け部の外周側との間に、前記磁石収納部ごとに貫通穴を有するリング状リブを有することを特徴とするモータ回転子支持体。
【請求項2】
前記単材が比透磁率が1.005未満で、室温における0.2%耐力が600MPa以上であることを特徴とする請求項1記載のモータ回転子支持体。
【請求項3】
前記非磁性鋼が18Mn−18Cr系非磁性鋼であることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ回転子支持体。
【請求項4】
前記磁性体として、希土類系磁石または非希土類系磁石を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のモータ回転子支持体。
【請求項5】
前記非希土類系磁石が、フェライト磁石であることを特徴とする請求項4記載のモータ回転子支持体。
【請求項6】
前記磁性体として、圧粉鉄心を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のモータ回転子支持体。
【請求項7】
前記単材を結束した積層構造を有することを特徴とする請求項1〜6記載のモータ回転子支持体。
【請求項8】
前記結束が、カシメ、ねじ、溶接、接着、リング材による外周焼き嵌めのいずれかあるいはこれらを組み合わせたものであることを特徴とする請求項7記載のモータ回転子支持体。
【請求項9】
モータの回転子に配置される磁性体を支持する円盤形状の支持体を製造する方法であって、
非磁性鋼を熱間加工して熱間加工材を得、該熱間加工材を機械加工して比透磁率が1.005未満で、室温における0.2%耐力が550MPa以上で中心に軸穴が形成された軸受け部を有し、最外周縁に全周に亘る外縁リングを有し、外縁リングの内周側に、区画壁を介して等角度間隔で磁石収納部が設けられており、前記磁石収納部の内周側と前記軸受け部の外周側との間に、前記磁石収納部ごとに貫通穴を有するリング状リブを有する円盤形状の支持体単材を得て、該支持体単材を積層して結束することを特徴とするモータ回転子支持体の製造方法。
【請求項10】
前記熱間加工後に1000℃以上×5分以上の固溶化処理を行い、その後、600〜1000℃×0.5時間以上の時効処理を行うことを特徴とする請求項9に記載のモータ回転子支持体の製造方法。
【請求項11】
モータの回転子に配置される磁性体を支持する円盤形状の支持体を製造する方法であって、
非磁性鋼を熱間加工した後、冷間加工して冷間加工材を得、該冷間加工材を機械加工して比透磁率が1.005未満で、室温における0.2%耐力が600MPa以上で、中心に軸穴が形成された軸受け部を有し、最外周縁に全周に亘る外縁リングを有し、外縁リングの内周側に、区画壁を介して等角度間隔で磁石収納部が設けられており、前記磁石収納部の内周側と前記軸受け部の外周側との間に、前記磁石収納部ごとに貫通穴を有するリング状リブを有する円盤形状の支持体単材を得て、該支持体単材を積層して結束することを特徴とするモータ回転子支持体の製造方法。
【請求項12】
前記冷間加工に、冷間圧延工程を含むことを特徴とする請求項11記載のモータ回転子支持体の製造方法。
【請求項13】
前記冷間加工の冷間加工率が5〜40%であることを特徴とする請求項11または12に記載のモータ回転子支持体の製造方法。
【請求項14】
前記機械加工が、切り出し、冷間打ち抜き加工、切削加工、レーザー加工、放電加工、深絞り加工、溶接のいずれか1以上の工程を含むことを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載のモータ回転子支持体の製造方法。
【請求項15】
前記非磁性鋼が、18Mn−18Cr系非磁性鋼であることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載のモータ回転子支持体の製造方法。
【請求項16】
前記結束を、カシメ、ねじ、溶接、接着、リング材による外周焼き嵌めのいずれかあるいはこれらを組み合わせた方法により行うことを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載のモータ回転子支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータの回転子に使用され、該回転子に配置される磁性体を支持する支持体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、モータ用磁石には高い性能を発揮するため、例えばネオジムやジスプロシウムのような希土類(レアアース)が添加された希土類磁石が使用されている。
特許文献1には、回転軸に対して平行な方向に磁極を有する複数の永久磁石を備えた回転子を有するアキシャル型モータが開示されている。
また、特許文献2には希土類磁石に代えてフェライト磁石を有する高性能アキシャルギャップモータが提案されている。
【0003】
これらのアキシャル型モータあるいはアキシャルギャップモータには、磁石を配置する回転子があり、磁石は回転子に含まれる支持体によって支えられる。この支持体には、一般にオーステナイト系ステンレス鋼からなる非磁性鋼が使用される。
支持体は、高速で回転する回転子に含まれ、磁石を支えてその位置を適正に保持することが必要である。このため支持体は非磁性の性質だけでなく、適正な強度を有することが必要とされる。
ところで、オーステナイト系ステンレス鋼は、冷間で加工することによって強度が高まるが、加工誘起変態によって非磁性特性が損なわれるという問題がある。このため、通常は、熱間鍛造後の素材から機械加工を行って支持体形状を得る工程が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/046108号
【特許文献2】特開2011−010375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、最近では、モータの高速化や大型化の要請があり、支持体に対する強度要求は高まっている。また、大型化が必要でない場合にも軽量化への要請はあり、軽量化に対応する高強度化が望まれている。しかし、上記したように従来の材料では、非磁性特性と高強度化とがトレードオフになっており、上記要請に応えることができない。また、比較的厚肉の支持体の場合、加工率が少なくて必要な強度を得にくいという問題もある。
また、従来の製造工程では、形状が複雑な製品形状を得るためには熱間鍛造素材から機械切削やワイヤーカットなどによるかなりの時間の加工が必要である。製品形状や大きさにもよるが、加工に2週間もの時間を費やすケースもある。そのため、量産化を考えたとき、これらは非常に大きな問題となる。しかし、上記のように製造工程の制約があるため、生産性を考慮した工程を採択することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、非磁性特性を維持したままで高強度化が可能であり、さらに製造工程の制約が少ないモータ回転子支持体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明のモータ回転子支持体のうち、第1の本発明は、モータの回転子に配置される磁性体を支持する円盤形状の支持体であって、
全体に加工組織を有する非磁性鋼からなり、比透磁率が1.005未満で、室温における0.2%耐力が550MPa以上である単材が積層されており、円盤形状の中心に軸穴が形成された軸受け部を有し、最外周縁に全周に亘る外縁リングを有し、外縁リングの内周側に、区画壁を介して等角度間隔で磁石収納部が設けられており、前記磁石収納部の内周側と前記軸受け部の外周側との間に、前記磁石収納部ごとに貫通穴を有するリング状リブを有することを特徴とする。
【0008】
第2の本発明のモータ回転子支持体は、前記第1の本発明において、前記単材が比透磁率が1.005未満で、室温における0.2%耐力が600MPa以上であることを特徴とする。
【0009】
第3の本発明のモータ回転子支持体は、前記第1または第2の本発明において、前記非磁性鋼が18Mn−18Cr系非磁性鋼であることを特徴とする。
【0010】
第4の本発明のモータ回転子支持体は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記磁性体として、希土類系磁石または非希土類系磁石を含むことを特徴とする。
【0011】
第5の本発明のモータ回転子支持体は、前記第4の本発明において、前記非希土類系磁石が、フェライト磁石であることを特徴とする。
【0012】
第6の本発明のモータ回転子支持体は、前記第1〜第5の本発明のいずれかにおいて、前記磁性体として、圧粉鉄心を含むことを特徴とする。
【0013】
第7の本発明のモータ回転子支持体は、前記第1〜第6の本発明のいずれかにおいて、前記単材を結束した積層構造を有することを特徴とする。
【0014】
第8の本発明のモータ回転子支持体は、前記第7の本発明のいずれかにおいて、前記結束が、カシメ、ねじ、溶接、接着、リング材による外周焼き嵌めのいずれかあるいはこれらを組み合わせたものであることを特徴とする。
【0015】
第9の本発明のモータ回転子支持体の製造方法は、 モータの回転子に配置される磁性体を支持する円盤形状の支持体を製造する方法であって、
非磁性鋼を熱間加工して熱間加工材を得、該熱間加工材を機械加工して比透磁率が1.005未満で、室温における0.2%耐力が550MPa以上で中心に軸穴が形成された軸受け部を有し、最外周縁に全周に亘る外縁リングを有し、外縁リングの内周側に、区画壁を介して等角度間隔で磁石収納部が設けられており、前記磁石収納部の内周側と前記軸受け部の外周側との間に、前記磁石収納部ごとに貫通穴を有するリング状リブを有する円盤形状の支持体単材を得て、該支持体単材を積層して結束することを特徴とする。
【0016】
第10の本発明のモータ回転子支持体の製造方法は、前記第9の本発明において、前記熱間加工後に1000℃以上×5分以上の固溶化処理を行い、その後、600〜1000℃×0.5時間以上の時効処理を行うことを特徴とする。
【0017】
第11の本発明のモータ回転子支持体の製造方法は、モータの回転子に配置される磁性体を支持する円盤形状の支持体を製造する方法であって、
非磁性鋼を熱間加工した後、冷間加工して冷間加工材を得、該冷間加工材を機械加工して比透磁率が1.005未満で、室温における0.2%耐力が600MPa以上で、中心に軸穴が形成された軸受け部を有し、最外周縁に全周に亘る外縁リングを有し、外縁リングの内周側に、区画壁を介して等角度間隔で磁石収納部が設けられており、前記磁石収納部の内周側と前記軸受け部の外周側との間に、前記磁石収納部ごとに貫通穴を有するリング状リブを有する円盤形状の支持体単材を得て、該支持体単材を積層して結束することを特徴とする。
【0018】
第12の本発明のモータ回転子支持体の製造方法は、前記第11の本発明において、前記冷間加工に、冷間圧延工程を含むことを特徴とする。
【0019】
第13の本発明のモータ回転子支持体の製造方法は、前記第11または第12の本発明において、前記冷間加工の冷間加工率が5〜40%であることを特徴とする。
【0020】
第14の本発明のモータ回転子支持体の製造方法は、前記第9〜第13の本発明のいずれかにおいて、前記機械加工が、切り出し、冷間打ち抜き加工、切削加工、レーザー加工、放電加工、深絞り加工、溶接のいずれか1以上の工程を含むことを特徴とする。
【0021】
第15の本発明のモータ回転子支持体の製造方法は、前記第9〜第14の本発明のいずれかにおいて、前記非磁性鋼が、18Mn−18Cr系非磁性鋼であることを特徴とする。
【0022】
第16の本発明のモータ回転子支持体の製造方法は、前記第9〜第15の本発明のいずれかにおいて、前記結束を、カシメ、ねじ、溶接、接着、リング材による外周焼き嵌めのいずれかあるいはこれらを組み合わせた方法により行うことを特徴とする。
【0023】
本発明では、非磁性鋼が用いられ、モータ回転子支持体の単材として形成された後で、比透磁率が1.005未満で、室温(例えば5℃〜35℃)における0.2%耐力が550MPa以上の特性を有している。
比透磁率が1.005未満であることにより、回転子における磁気に影響を与えることなく磁性体を支持することができる。また、室温における0.2%耐力が550MPa以上であることにより、高回転においても磁性体を確実に支持することができ、軽量化も容易になる。単材の積層により、比較的厚肉のモータ回転子支持体においても、十分な加工率で製造した単材を使用して構成することができる。
また、本発明は非磁性鋼の種別が特定のものに限定されるものではないが、好適には18Mn−18Cr系の材料を用いることができる。以下に、18Mn−18Cr系非磁性鋼について各成分の作用と組成が定められる理由を説明する。
【0024】
Si:0.1〜2.0質量%
Siは脱酸材として使用するため0.1%必要である。しかし、Siはフェライト相形成元素であるため過剰に含有するとフェライト相が析出し、また冷間加工性も悪くなるため上限を2.0%とする。
【0025】
Mn:10〜25質量%
Mnはオーステナイト相形成元素であり、N溶解度を高くするのに10%以上が必要である。しかし、過剰に含有すると強度が低下するため上限を25%とする。同様の理由で下限を13%、上限を24%とするのが望ましく、さらに下限を16%、上限を21%とするのが一層望ましい。
【0026】
Cr:12〜25質量%
CrはN溶解度を確保するために12%以上必要である。しかし、Crはフェライト形成元素であるため過剰に含有するとフェライト相が析出するため上限を25%とする。なお、同様の理由で下限を14%、上限を23%とするのが望ましく、さらに下限を16%、上限を21%とするのが一層望ましい。
【0027】
N:0.3〜0.8質量%
Nは強度を確保するために0.3%以上が必要であるが、過剰に含有するとブローホール生成の原因となるため上限を0.8%とする。
【0028】
Al 0.02質量%以下
Alは脱酸材として添加することができるが、過剰に含有すると窒化物を形成し靭性を低下させるため、上限を0.02%として所望により含有するものとする。なお、脱酸材としての作用を十分に得るため0.005%以上含有するのが望ましい。
【0029】
Ni:5.0質量%以下
Niオーステナイト相形成元素であり、所望に含有する。しかし5.0%を超えると強度が低下することから上限を5.0%とする。また、積極的な含有では、1.0%以上含有するのが望ましく、1.5%以上含有するのが一層望ましい。なお、不可避不純物として1.0%未満するものであってもよい。
【0030】
Mo+1/2W:3.0質量%以下
WおよびMoは強度を向上させる成分であり、所望により含有する。ただし、過剰に入れると冷間加工性を悪化させるため、所望によりそれぞれ単独であるいは複合してMo+1/2Wで3%以下の範囲で含有することができる。なお、いずれかを含有する場合にはその作用を十分に得るため、Mo+1/2Wで1.0%以上とするのが望ましい。
【0031】
V、Nb:1.00質量%以下
VおよびNbは窒素と結合して窒化物を形成し、熱処理時の結晶粒粗大化を防止するので、所望により含有する。ただし、フェライト相形成元素であるため過剰に含有するとフェライト相が析出する。そのため、それぞれ1.00%以下の範囲で含有することができる。なお、含有する場合にはその作用を十分に得るためそれぞれ0.05%以上含有するのが望ましい。
【0032】
Co:3.00質量%以下
Coはオーステナイト相形成元素であり、所望により含有する。ただし、高価な成分であるため3.00%を上限に含有することができる。なお、含有する場合にはその作用を十分に得るためそれぞれ0.5%以上含有するのが望ましい。
【0033】
B:0.01質量%以下
Bは固溶強化するとともに微細な窒化物による強化も期待でき強度、靭性を改善するので、所望により含有する。ただし、過剰に含有すると粗大な窒化物となり靭性を低下させる要因となる。そのため、0.01%以下の範囲で含有することができる。なお、含有する場合にはその作用を十分に得るためそれぞれ0.003%以上含有するのが望ましい。
【0034】
不可避的不純物
C:0.3質量%以下
Cは、製造上不可避的に含有するが、耐食性を悪化させるため、その上限を0.3質量%とする。同様の理由により0.2%以下とするのが一層望ましい。
【0035】
P,S:0.03質量%以下
P,Sは延靭性や熱間加工性に影響を及ぼす。そのため、P、Sはそれぞれ0.03%以下とすることが望ましい。
【0036】
製造工程
本発明のモータ回転子支持体は、製造工程が格別なものに限定されるものではなく、熱間加工材、冷間加工材に機械加工を経て単材を製造し、これを積層して結束することでモータ回転子支持体を構成することができる。
【0037】
素材は常法の溶解、凝固過程を経て得ることができる。具体的には、取鍋精錬法、下注ぎ鋳込み法、上注ぎ鋳込み法、真空鋳造法、エレクトロスラグ再溶解法などの二次精錬法が例示される。また、連続鋳造法により直接ビレット材を製造してもよい。
【0038】
熱間加工として、熱間圧延、熱間型打ち鍛造などの熱間鍛造を代表例として挙げることができ、これらは常法により行うことができる。その熱間加工温度としては800〜1200℃が例示される。熱間加工により単材形状を取得する方法として、ビレット材もしくは連続鋳造により製造された鋼片を熱間型打ち加工する方法がある。熱間型打ち加工は特に限定されないが、熱間プレスにより単材形状に近い形に1回、または複数回の型打ちで加工することができる。また、型打ちする金型も1種類、または数種類の金型を使用してもよい。また、熱間型打ちの型打ち温度は前述の熱間加工温度と同等である。
支持体用の単材を取得する前の熱間加工材または冷間加工する前の熱間加工材には固溶化処理を行ってもよい。固溶化処理条件は特に限定されないが、1000℃以上、保持時間としては5分以上、冷却方法は水冷、油冷、ファン冷却を含む空冷が例示される。
また、固溶化処理後、時効処理を施すことで、回転支持体の一層の高強度化を図ることができる。時効処理の条件としては600〜1000℃×0.5時間以上とすることができる。
熱間加工材は、以降は冷間での強加工を行うことなく製品形状を得ることができる。
【0039】
熱間加工材はさらに冷間加工を行うことができる。冷間加工としては、冷間圧延、冷間鍛造などを挙げることができ、常法により行うことができる。冷間加工による加工強化で、一層の高強度化を図ることができる。
冷間加工は、例えば加工率5〜40%により行うことができる。加工率が低いと、加工強化が十分に得られず、加工率が高いと延靭性を十分に得ることができない。
また、冷間圧延では、最終板厚は0.3〜4mmが例示される。板厚0.3〜4mmとすることにより、そのまま単材用の素形材としての板厚を得ることができる。なお、ここで言う冷間とは、再結晶温度を超えない温度範囲での加工をいい、例えば450℃以下の範囲で所望により加熱してもよい。なおテンパーカラーの付かない250℃以下が好ましい。
【0040】
機械加工は、本発明としては特定の内容に限定されるものではなく、素形材の作製から仕上げ加工まで含まれる。例えば、切り出し、冷間打ち抜き加工、切削加工、レーザー加工、放電加工、深絞り加工、溶接の工程を挙げることができる。
【0041】
上記により製造される単材は、積層して結束される。モータ回転子支持体は、全体が単材の積層により構成されているものであってもよく、一部に積層構造を有していないものであってもよい。
結束は適宜の方法を採用することができ、全体としての比透磁率や強度に悪影響を及ぼさない方法を採用するのが望ましい。結束方法としては、例えば、カシメ、ねじ、溶接、接着、リング材による外周焼き嵌めなどを採用することができる。結束用の部材を用いる場合、比透磁率や強度が単材の規定値を満たすものが望ましい。
【0042】
また、最終形状を得るために、積層した部材を組み立て溶接するようにしてもよい。溶接組み立ての溶接方法は特に限定されないが、入熱が少なくシールド性が高いTIG溶接が好ましい。溶接後、所望により300〜600℃の応力除去焼鈍を行ってもよい。また支持体形状材には所望により仕上げ加工を行ってよい。欠陥が残留した場合、溶接補修にて補修してもよい。
【0043】
上記の方法により、量産化が可能でコスト的にも廉価に製造できるモータ用回転子、特にアキシャルギャップモータの回転子に適した支持体を製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、十分に低い比透磁率と高強度が得られ。非磁性特性を維持したままで高強度化が達成され、さらに製造工程の制約なくモータ回転子支持体を得ることができる。また、積層数などによってモータ回転子支持体の厚さの変更も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態のモータ回転子支持体を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のI−I線断面図である。
図2】同じく、永久磁石を配置したモータ回転子支持体を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のII−II線断面図である。
図3】同じく、製造工程を示すフロー図である。
図4】同じく、結束方法としてねじを用いた方法を説明する図である。
図5】同じく、結束方法としてかしめを用いた方法を説明する図である。
図6】同じく、実施例における一部供試材での冷間圧延加工率と室温における0.2%との関係を示すグラフである。
図7】同じく、実施例における一部供試材での冷間圧延加工率と室温における伸びとの関係を示すグラフである。
図8】同じく、実施例における一部供試材での冷間圧延加工率と比透磁率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に本発明の一実施形態のモータ回転子支持体を図1、2に基づいて説明する。
この実施形態のモータ回転子支持体に用いられる単材1は、非磁性鋼からなる熱間加工材または冷間加工材で構成されており、熱間加工材では、比透磁率が1.005未満で、室温における0.2%耐力が550MPa以上、伸びが10%以上の特性を有し、冷間加工材では、比透磁率が1.005未満で、室温における0.2%耐力が600MPa以上、伸びが30%以上の特性を有している。非磁性鋼には、好適には18Mn−18Cr非磁性鋼が用いられる。
【0047】
単材1は、全体が薄板の円盤形状に形成され、中心に軸穴2が形成された軸受部3を有している。軸受部3の外周側には間隔を開けてリング状リブ4が形成され、最外周縁に外縁リング5が形成されている。さらに、軸受部3とリング状リブ4と外縁リング5の間に亘って放射状に等角度間隔で16の区画壁6が形成されている。単材1を複数を積層して結束することでモータ回転子支持体100が得られる。
【0048】
各区画壁6、6とリング状リブ4、外縁リング5で囲まれる空間は、磁石収納部7に割り当てられている。図2に示すように、積層された単材1で連なる磁石収納部7に、軸方向両面に異極となる磁極を有する永久磁石10が収納される。永久磁石10は、周方向において隣接するもの同士が異極となる磁極を有するように配置されている。
このモータ回転子支持体100の軸穴2に図示しない回転軸を取り付けて、回転子に備えるモータ回転子支持体として使用することができる。なお、モータ回転子支持体100をそのまま回転子として用いるものであってもよい。
上記では、モータ回転子支持体に支持される磁性体として永久磁石のみを説明したが、その他に強磁性体を支持する構造を有するものであってもよい。
【0049】
この実施形態のモータ回転子支持体は、特に出力等が限定されるものでないが、特に5kW以上のモータに好適に使用することができ、量産化が可能でコスト的にも廉価に製造でき、特にアキシャルギャップモータの回転子に適した支持体として使用することができる。
【0050】
次に、モータ回転子支持体1の製造工程について図3のフロー図に基づいて説明する。
前記した18Mn−18Cr系非磁性鋼の組成に調整し、常法の溶解法、鋳造法によりインゴットを作製する。溶解法、鋳造法としては、取鍋精錬法、下注ぎ鋳込み法、上注ぎ鋳込み法、真空鋳造法、エレクトロスラグ再溶解法などを採用することができるが、本発明としては特定の方法に限定されるものではない。
該インゴットは、熱間加工である熱間鍛造等によりビレットに中間成形し、さらに熱間圧延等の熱間加工に供する。熱間加工は、素材を800〜1200℃に加熱して行うことができる。
【0051】
また、ビレットは、上記溶解法、鋳造法によらず、連続鋳造法により直接得ることもできる。本実施形態で連続鋳造法の種別は特に限定されるものではなく、常法により行うこともできる。
【0052】
熱間加工では、熱間型打ち鍛造によって素形材形状にまで加工することができる。素形材形状としたものでは、その後、仕上げ加工によって製品形状とすることができる。例えば、連続鋳造で得たビレットを熱間型打ち鍛造することで効率よく製品を製造することができる。
【0053】
熱間加工によって得られる熱間加工材には、1000℃以上で5分間以上加熱する固溶化処理を施すことが望ましい。成分の均一化がなされるとともに、オーステナイトが安定する。
固溶化処理した熱間加工材には、さらに600〜1000℃×0.5時間以上の条件で時効処理を施すのが望ましい。時効処理によって強度をさらに向上させることができる。
なお、本発明としては、上記した固溶化処理、時効処理を省略することも可能である。なお、時効処理を行う場合は固溶化処理を行う。
【0054】
熱間加工材は、さらに機械加工を経て単材形状とされる。
機械加工としては、切り出し、冷間打ち抜き加工、切削加工、レーザー加工、放電加工、深絞り加工、溶接などが挙げられる。機械加工には仕上げ加工を含むものである。
この実施形態で得られたモータ回転子支持体1は、比透磁率が1.005未満、室温における0.2%耐力が550MPa以上であり、優れた非磁性特性を有するとともに、高い強度を有しており、高速回転において磁性体を安定して支持することができる。また、当該モータ回転子支持体1は、室温における伸びが30%以上であるのが望ましい。
【0055】
次に、冷間加工を含む製造工程について説明する。
上記と同様に18Mn−18Cr系非磁性鋼の組成に調整し、常法の溶解法、鋳造法によりインゴットを作製する。該インゴットは、熱間加工である熱間鍛造等によりビレットに中間成形し、さらに熱間圧延等の熱間加工に供する。熱間加工は、素材を800〜1200℃に加熱して行うことができる。
また、ビレットは、連続鋳造法により直接ビレットを得ることもできる。
【0056】
熱間加工によって得られる熱間加工材には、1000℃以上で5分間以上加熱する固溶化処理を施すのが望ましい。固溶化処理した熱間加工材には、さらに600〜1000℃×0.5時間以上の条件で時効処理を施すのが望ましい。時効処理によって強度をさらに向上させることができる。例えば、固溶化処理、時効処理を施すことにより強度は100〜300MPa程度上昇する。なお、冷間加工を行う場合の時効処理は冷間加工前、冷間加工後のどちらでも選択できる。
なお、本発明としては、上記した固溶化処理、時効処理を省略することも可能である。
【0057】
熱間加工材には、さらには、冷間圧延などの冷間加工を行うことができる。冷間加工では、冷間加工率5〜40%で加工を行うことができる。なお、前記したように、冷間加工は、再結晶温度を超えない温度範囲での加工をいい、再結晶温度を超える温度範囲での加工を熱間加工とする。なお、加工後、応力除去を目的に300〜450℃の応力除去焼鈍を行ってもよい。応力除去焼鈍によっては必要とされる機械的特性は影響を受けない。
冷間加工を経た冷間加工材は、さらに機械加工を経て単材形状とされる。
機械加工としては、切り出し、冷間打ち抜き加工、切削加工、レーザー加工、放電加工、深絞り加工、溶接などが挙げられる。機械加工には仕上げ加工を含むものである。 また、機械加工には、部材同士を組み立てて溶接により製品形状を得る工程を有するものであってもよい。
【0058】
得られたモータ回転子支持体用の単材は、比透磁率が1.005未満、室温における0.2%耐力が600MPa以上であり、優れた非磁性特性を有するとともに、高い強度を有しており、高速回転において磁性体を安定して支持することができる。また、当該モータ回転子支持体用の単材は、室温における伸びが10%以上であるのが望ましい。
高回転で使用される回転子支持体は遠心力などにより変形が生じる。それに耐えうる延靭性も必要となるため、熱間加工材、冷間加工材を問わず、伸びが10%以上であるのが望ましい。伸びを重視する場合、熱間加工材の方が冷間加工材よりも高い伸びを示し有利である。
【0059】
得られた単材は、さらに、積層して結束される。積層される各単材は、同一形状のものの他、異なる形状の単材を含むものであってもよい。
結束方法は特に限定されるものではなく、カシメ、ねじ、溶接、接着、リング材による外周焼き嵌めなどの適宜の方法を採用することができる。
【0060】
図4は、ねじにより結束されるものを説明する図である。
各単材1の構成は、図1に示して説明したものと同様であり、中心に軸穴2が形成された軸受部3を有し、軸受部3の外周側には間隔を開けてリング状リブ4が形成され、最外周縁に外縁リング5が形成されている。軸受部3とリング状リブ4と外縁リング5の間に亘って放射状に等角度間隔で16の区画壁6が形成されている。
【0061】
この実施形態の単材は、さらに、図4(a)に示すように、軸受部3に、軸方向に貫通するねじ穴20が、区画壁6が位置する角度位置に相応してそれぞれ形成されており、さらに外縁リング5に、軸方向に貫通するねじ穴21が、区画壁6が位置する角度位置に相応してそれぞれ形成されている。ねじ穴20、21は、機械加工時に、合わせて形成することができ、ねじ穴のみを後工程で形成してもよい。
結束に際しては、図4(b)に示すように各単材1を積層し、ねじ穴20、21の一端側からそれぞれねじ30a、31aを挿入し、他端側でナット31a、31bを螺合して各単材を結束することができる。なお、ねじ穴20、21にねじ溝を形成し、ねじ30a、31bをそのままねじ込むようにしてもよい。
【0062】
図5は、かしめによって単材を結束する例である。
この例では、単材1の片面の適宜箇所に凸部22を設け、単材1の他面に凸部22に相応する位置に凹部23を設けておく。この例では、軸受部3に、周方向に沿って90度間隔で、凸部22および凹部23を形成する。単材1同士を重ね合わせる際に、単材1の凸部22を重ねた他の単材1の凹部23に圧入することで、単材1、1同士をかしめて結束させる。この方法により任意の数の単材1を重ねて積層することができる。
【0063】
上記した凸部22および凹部23は、例えば、機械加工の板材打ち抜き時などにおいて、複数個所を同時に成形することができる。この場合、打ち抜き用の上金型と下金型に予め凸部22と凹部23に対応する型面を形成しておき、打ち抜き時に抜き方向の上面と下面に対となった位置に凸部と凹部とを成形することができる。
このような凹凸のかしめにより、積層方向の芯出しを容易にすることができる。かしめ作業としては単材を複数重ね、プレス圧力を加えて一体化することで積層型支持体の芯出しを精度よく、生産性の高い製造を行うことができる。なお、かしめ構造は上記に限定されるものではなく、適宜構造を採用することができる。
【実施例】
【0064】
本実施例に使用する18Mn−18Cr非磁性鋼として表1に示す組成(残部がFeと不可避不純物、Pは0.025%以下、Sは0.005%以下)のものを用意した。
【0065】
実施例1(熱間加工材から支持体形状材を製造するケース)
表1に示す18Mn−18Cr非磁性鋼50kgをVIM(真空誘導溶解)により溶解、金型鋳造し、50kgの試験鋼塊を得た。この試験鋼塊の押湯を切断した本体部分を1200℃で熱間鍛造および熱間圧延し、4〜6mm厚×200mm幅の試験材とした。比較材として、SUS304系ステンレス鋼(鋼No.15)、SUS316系ステンレス鋼(鋼No.14)の試験材も同様の方法で得た。
これらの試験材には、1050℃×3時間、水冷の固溶化処理を施した。V、Nbを添加している試験材の一部には固溶化処理後、900℃×1時間の時効処理も実施した。
これら試験材から冷間プレスにより室温で冷間打ち抜き加工を行い、支持体形状材に相当する供試材を得た。室温において、この供試材からJIS Z 2201記載のJIS14A号試験片を採取し、JIS Z 2241に基づく引張試験を行い、磁気天秤法による比透磁率測定を行った。
【0066】
実施例2(冷間圧延材から支持体形状材を製造するケース)
表1に示す18Mn−18Cr非磁性鋼50kgをVIM(真空誘導溶解)により溶解、金型鋳造し、50kgの試験鋼塊を得た。この試験鋼塊の押湯を切断した本体部分を1200℃で熱間鍛造および熱間圧延し、4〜6mm厚×200mm幅の試験材とした。比較材として、SUS304系ステンレス鋼(鋼No.15)、SUS316系ステンレス鋼(鋼No.14)の試験材も同様の方法で得た。
これらの試験材には1050℃×3時間、水冷の固溶化処理を施した。V、Nbを添加している試験材の一部には固溶化処理後、900℃×1時間の時効処理も実施した。
これらの試験材に表1に示すように5〜40%の冷間圧延を施して、2〜5mm厚の試験材を得た。これら試験材から冷間プレスにより室温で冷間打ち抜き加工を行い、支持体形状材に相当する供試材を得た。この供試材から実施例1と同様に試験片を採取し、室温において、引張試験、磁気天秤法による比透磁測定を行った。
【0067】
表2、3に試験結果を示す。試験結果より、実施例1では発明材では0.2%耐力が550MPa以上を確保しており比透磁率も十分に低いことがわかる。一方、比較例の0.2%耐力は鋼No.12を除き400MPaに満たないレベルであり、鋼No.12は、0.2%耐力は高いものの比透磁率も高く比透磁特性に劣るため、比較例の材料はモータ回転子支持体には不向きと言える。
実施例2では発明材の比透磁率は冷間加工を実施しても変化は無く、加工誘起によるフェライトやマルテンサイトへの変態が無いことがわかる。一方、比較材では冷間圧延加工率が高くなるにつれて比透磁率は増加し、加工誘起変態が起こっていることが伺え、比較材は発明材よりも比透磁特性が劣ることがわかる。
【0068】
また、上記供試材のうち、鋼No.2、8、11、14のデータに基づいて、冷間圧延加工率と、0.2%耐力、伸び、および比透磁率の関係を示すグラフを作成し、図6、7、8に示した。
図6に示されるように、いずれの供試材も冷間圧延加工率の増加に伴って0.2%耐力が大きくなっているが、本願発明例の供試材は、冷間圧延加工率に拘わらず比較材よりも大きな0.2%耐力を有しており、強度に優れることが分かる。
また、図7に示されるように、いずれの供試材も冷間圧延加工率の増加に伴って伸びが低下しているが、本願発明例の供試材は、比較鋼No.11に比べて冷間圧延加工率40%程度までは、より高い伸びを有している。
さらに、図8に示されるように、本願発明例の供試材は、冷間圧延加工率が増しても比透磁率の変化は殆どなく、安定した非磁性特性を有している。一方、比較例の供試材では、冷間圧延加工率が増すと、急激に比透磁率が増加しており、比透磁率に悪影響があることが分かる。
これらの点から、比較例の供試材では、非磁性特性を維持したままで冷間加工により強度を高めることは困難であり、本発明例の供試材では、非磁性特性を維持したままで冷間加工により強度を高めることができることが分かる。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【符号の説明】
【0072】
1 単材
2 軸穴
3 軸受部
4 リング状リブ
5 外縁リング
6 区画壁
7 磁石収納部
10 永久磁石
20 ねじ穴
21 ねじ穴
30a ねじ
30b ナット
31a ねじ
31b ナット
22 凸部
23 凹部
100 モータ回転子支持体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8